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【検証:近未来交通地図】<ニッポンの空(港)論>
(過去ログNo.440)
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マイレージに思うこと
 投稿者---エル・アルコン氏(2004/02/08 00:37:44)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs
─「公共」と「商売」
 └Re:「公共」と「商売」
  └Re:「公共」と「商売」
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      └Re:「公共」と「商売」
       └何が「機会の公平」で何が「結果の公平」か?
       └Re:「公共」と「商売」

  航空機利用へのインセンティブとして挙げられるマイレージサービスですが、航空各社とも単純な会員制度にとどまらず、さらに利用頻度(マイル)に応じてグレードを設けてサービス内容に色を付けることで、より一層の利用を促進しています。
 会員制度を内部で更にランク付けすることで利用を促進する制度は、百貨店の「友の会」にもある話で、年間の利用金額に応じて値引率を違えたり、駐車場の無料サービスの時間が異なったりします(もっとも、その頂点には「外商」があるが)。

 利用に応じて利用者にメリットを還元するこの制度、顧客囲い込みとしては非常に良く出来ており、鉄道など他の輸送業界でも利用促進、利用者還元策としてこの制度を参考にすべきというケースが多いことからもわかるように、顧客サービスの新しい定番となった感があります。

***
 さて、概ね肯定的な印象のマイレージですが、その「還元」の内容を見ると「公共交通機関」として些か首を傾げざるを得ないものもあります。
 その最たるものとして指摘したいのが、いわゆる「上級会員」に対するキャンセル待ちの優先割当です。

 他のサービスが当該会員へのメリットの供与に留まるのに対し、これだけは当該会員へのメリットの供与の効果として、他の利用者が不利益を被るのです。
 よく、アップグレードや無料航空券を貰えて...というやっかみ半分の声を聞きますが、これは他の利用者は相対的な不利益を被ってはいますが、絶対的な不利益を被っていないわけであり、キャンセル待ちにおける「順番抜かし」という絶対的な不利益とは質が違います。

 このサービス、百貨店のように単純な売買とは異なり、商法の一般則としての旅客輸送契約における「申込順契約成立」の原則を歪めるものであり、商法の特別法としての鉄道営業法その他でもこの原則が遵守されていることを考えると、問題とせざるを得ません。また、料金格差に裏打ちされたアッパークラス固有のサービスでも無いわけで、「対価」を持たないサービス格差は合理的な説明が難しいです。
 いったん満席になっての「キャンセル待ち」ゆえ、と考えたくなりますが、1週間前に満席になって、3日前に空席が出来たのと契約の本質的には変わりが無いわけです。
 もちろん「会員優先予約」の類もこれと同種の問題を孕んでいますが、少なくとも「先に申込が出来る」ことで「先に申し込む」ため、原則は守っています。

 かつて特定便割引や早期予約割引がスタートした頃、内容や割当数が不透明で利用者の批判を浴び、公取の指摘も受けましたが、ネットの普及で各種サービスとその内容を利用者が把握することが容易になったことで定着した面があります。
 このように、「公共交通機関」はそのサービス内容が不明瞭、不公平であればあるほど利用者はその交通機関を「一般的な公共交通」として認めづらいのではないでしょうか。逆に鉄道への信頼が高いのも、「利用者還元」は未だしとはいえ、サービス内容は明瞭公平であることも一助かと思います。

 航空はこれまで「限られた層を対象とした交通機関」であったがゆえなのか、マイレージのほかにもキャビンアテンダントによる接客、また弾力性に富む運賃設定など、鉄道など大衆的な交通機関には無いユニークなサービスをウリにしており、他の交通機関も自分達に無いユニークなサービスを意識してきました。
 しかし、航空による移動が一般化し、かつ一般的に移動があるケースでメインの交通機関となるケースが増えるとともに、ユニークなサービスよりも、「公共交通としてあるべきサービス内容」、さらに踏み込めば「サービス内容の明瞭さ、公平さ」が今後は求められるのではないでしょうか。

 もちろんこれまでの「明瞭さ、公平さ」は「画一性」と同義でもあり、「公共交通としてあるべきサービス」は今後は今の航空のようなスタイルであるという見方も可能です。しかしながら、「公共」の二文字に馴染む考えなのか、また、利用者は本当にそれを望んでいるのか。すなわち、各種割引への賛辞よりも、その原資を捻出している「取れるところから取る」高止まりしている区間や時期の利用者の批判のほうが大きいのではないのか、というところまで考えるべきかもしれません。

 その過程で利用者が今まで享受してきたメリットを失うかもしれませんが、そのメリットが明瞭さや公平さを犠牲にしているのなら、それは諦めるべきですし、それを犠牲にしない明瞭かつ公正な利用者への還元を構築すべきでしょう。
 マイレージが全体では好評なのも、そのサービスの大半は他者の犠牲を伴わない利用者のみに帰属する明瞭かつ公平なものだからではないでしょうか。

「公共」と「商売」
 投稿者---Tom氏(2004/02/11 21:26:55)

 簡単にレスします。

 この件は航空業にふたつの矛盾した要素があることが話をややこしくしていると思います。
 「公共」の面を重視すれば高頻度に利用しているというだけで優遇されるのは腑に落ちないこともあります。

 ただ、「商売」と考えれば、空席が出来たときに「上得意に便宜を図る」ということはあってもいいと思います。
 例えば、新製品がロット限定で入荷した場合など、常連に優先的に割り振られるのはよくある話です。

 空席待ちについては予定を早く立てることで予約を確定させるという逃げ手もあります。
 企業で予約した場合など会社名で得をするケースがあるのも確かです。利用頻度の高い企業の場合、企業規模ではなく、例えば○航空会社の△×営業所を通じての手配が多ければ。万一の場合そこを経由して手配すれば前日までのキャンセル待ちの場合優先されることもあります。

 それがマイレージという形で個人に拡張しただけであり、また航空会社であっても私企業である以上、この程度の上得意優遇は許されるものと思いますが、いかがでしょうか。

Re:「公共」と「商売」
 投稿者---とも氏(2004/02/12 20:50:19)

 簡単に。

 空席待ちについては予定を早く立てることで予約を確定させるという逃げ手もあります。
 それがマイレージという形で個人に拡張しただけであり、また航空会社であっても私企業である以上、この程度の上得意優遇は許されるものと思いますが、いかがでしょうか。

 同感です。
 そもそも空席待ちは「空席待ち」であって、いわば「満席キャンセル待ち」なわけです。
 少なくとも日本の国内線においては、予約が大前提であり、アメリカのように当然のオーバーブッキングによる早めチェックイン前提の空席待ちとか、あるいは国際線のような座席ランク調整による空席発生を待ってのといったものではなく、単にキャンセルや予約変更が生じた場合にのみ「当日」使うことができる制度ですなのですから、申し込み順がどうあれ、あくまで満席に対するケアでありオーバーブッキングによるということではないので、空席待ち利用者は「満席を承知」で空席待ちリストに載せるわけです。

 つまり、他の利用者にとって、「エリート会員がいるから乗れなかった」ということではなく、あくまで「本来は乗れない」が基本であり、その時点で既に申し込み順原則とは無関係になると考えます(エリート会員がいてもいなくても乗れるか乗れないかはわからないから。あらかじめ空席を用意しているわけではない)。

 公共交通であるからして特定客層を過度に優遇すべきではないのは理解します。しかし、あくまで空席待ちは特殊ケースと考えますが。

 それでは

Re:「公共」と「商売」
 投稿者---かまにし氏(2004/02/13 02:03:23)

 こんばんは、かまにしです。話が飛んでしまうので分けて記述したいと思います。

●マイレージ会員のキャンセル待ち優先と航空機の宿命

 航空機という交通機関の特性上、「全員着席」を前提とせざるを得ないので、「キャンセル待ち」が出てしまうこと自体はどうしても避けられないことだと思います(もちろん理想は、「キャンセル待ち」が出ないほどの輸送力を確保できることだと思いますが、波動要因に一つ一つ対処するのも現実には難しいのも確かです)。問題は「キャンセル待ちが出た時にその席を誰に譲るか」です。これはTomさんがおっしゃっているように、航空会社の立場から考えれば「日ごろから多くの利益を享受させてもらっている上得意客の満足度を高めたい」と思うでしょうし、それが妥当かどうかはともさんがおっしゃっているように「キャンセル待ちの解釈(=もともとキャンセル待ちの時点で乗れないことが前提なわけで、それを特例で乗せている)」次第なのだと思います。

 ただ裏を返せば、この「いざという時、乗れないことがある」という点が、新幹線との競合という視点で見たときに、航空機の弱点とも言えるのだと思います。先日、芦屋出身で現在は神奈川在住の方と実家に帰る時の交通機関の話になったのですが、彼は圧倒的に新幹線の方が多いそうです。理由は空港までのアクセスを考えると時間・費用とも大差ないことのほかに、「新幹線はいざというとき飛び乗れる」ことも挙げていました。今でこそ飛行機はインターネット予約が定着し、路線によっては1日前まで「特割」で乗れるわけですが、それでも当日急に予定が変わって便を変更したいということはあるわけで、そのあたりの融通がきかないことはやはり航空機の弱点と言えます。ただ、前述のように「全員着席」が前提である以上、航空機で「飛び乗り」まで認めるのは難しいのは確かなわけであって、そこは航空機と新幹線の根本的なサービスの差であり、航空機を利用する上での「リスク」としてあらかじめ認識しておくしかないのかなと感じました。ですから、そこで発生した「キャンセル待ち」もあくまでイレギュラーなものとして、その権利までを公共交通機関として平等にする必要もないのかな…。でも、実際に自分が飛ばされた時の一般の利用者の立場で見れば複雑な心境です。

●「公共」と「商売」

 公共交通であるからして特定客層を過度に優遇すべきではないのは理解します。しかし、あくまで空席待ちは特殊ケースと考えますが。

と、ともさんは書かれていますが、私は「特殊ケース」ではなく公共交通全般においてもよく見られる現象だと思っています。その最たる例が旅客鉄道における「優等列車」の存在です。「優等列車」の存在によって利用者の多い拠点間の速達性が上がり、それによって上得意客の満足度が向上する(利用者がさらに増える)わけですが、ダイヤ次第ではそれ以外の利用者に確実にしわ寄せが来るわけです。もちろん、しわ寄せがこないように上手にダイヤを組んでいる場合もありますし、通過駅の利用者が極端に少ないケースも現実にあってそれ相応の措置という場合もあります。ただ今回のマイレージの件を、「公共」と「商売」という側面から抽象化するならば、構図そのものは全く同じものだと言えます。

 そう考えると、結局「どのような組織がどのような立場で公共交通の運営を行なうか」で、そのサービスのありようがある程度決まってくるような気がします。例えば、以前の国鉄は今ほど同一線区内での優等列車の運行を行なっていなかったのに対して、大都市圏私鉄はすでに頻繁にそれを行なっており、そして国鉄民営化後のJRにおいては次第に優等列車の運行がさかんに行なわれるようになりましたが、これも突き詰めれば「公共」という立場に立つのか「商売」という立場に立つのか、その組織の置かれた状況によるのだと思います。そしてどちらを重視されるのかは、最終的にはその時代の人々の価値判断に行き着いてしまうのでしょうか。

 ではでは。

Re:「公共」と「商売」
 投稿者---エル・アルコン氏(2004/02/14 16:39:39) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

●キャンセル待ち
 「キャンセル待ち」についてはちょっと別論点になってきてますね。

 アメリカにおけるシャトル便のように定員まで先着順に乗せる形態は極端ですが、原則予約であっても、本来「出発」=「予約終了」であれば「キャンセル待ち」は発生しないはずです。
 私鉄の有料特急やJRのライナー系列車は満席になるまで予約、販売しており、時間が来るか満席になれば販売は終了されます。新幹線もそれに近く、回数券を持って「次の新幹線」という指定をするため、概ね直近の新幹線から、満席になるわけです。

 航空機の場合も、手続終了時刻もしくは満席になるまで「販売」していれば、物理的な空席はともかくとして収益上は「全席販売済み」のはずであり、余席があっても手続終了時刻を過ぎれば収益上も空席を残して出発するだけでしょう。
 ではなぜ「キャンセル待ち」が有り得るか、というと、結局は出発時点での物理的な空席が途中埋まることが有り得ない航空輸送の特性から、座席の「超過販売」をしているだけでしょう。搭乗希望者の声に応えると言えば聞こえは言いですが、1席でも多く売ろうとする航空会社のスケベ根性とも言えますし、そのために手続締切から出発までのアローワンスがあるとしたら大多数の利用者に時間の空費を強いているという極めて問題な制度と言うことも可能です。

●では優遇は是か非か
 一般的な商行為であれば優遇は良くある話ですが、同じスタートラインでの優遇はあっても、順番の先後はあまりないのでは。
 特に、先着順受付が前提という場面での順番の先後は、あまり容認されているとも言えないかと思います。妙な例えですが、街の食堂で「注文内容によっては順番が前後する場合もございます」という注記があるのもその流れでしょうし、以前某社の株式が公開される時の割当が不透明だったことへの批判が、NTTなどの政府保有株の放出時のやり方に反映されたというケースもあるわけです。

●それは「優遇」ではない
 かまにしさんが例示された優等列車の話ですが、それはちょっと違うのでは。
 優等列車のしわ寄せが普通列車に、という話ですが、例えば「特急料金」などサービスを担保する支払がある場合は当然「上級」のサービスがあって当然ですし、無料優等列車の場合でも、長距離利用者というこれも「より多い収入」が担保になっているわけです。

 そして短距離利用者、遠距離利用者のそれぞれの中での待遇は等しいわけですから、極端に短距離(普通)列車への配分が悪いと言うわけでもない限り、公共性を問われることは無いかと思います。

Re:「公共」と「商売」
 投稿者---かまにし氏(2004/02/14 20:10:05)

 かまにしです。

 航空機の場合も、手続終了時刻もしくは満席になるまで「販売」していれば、物理的な空席はともかくとして収益上は「全席販売済み」のはずであり、余席があっても手続終了時刻を過ぎれば収益上も空席を残して出発するだけでしょう。
 ではなぜ「キャンセル待ち」が有り得るか、というと、結局は出発時点での物理的な空席が途中埋まることが有り得ない航空輸送の特性から、座席の「超過販売」をしているだけでしょう。搭乗希望者の声に応えると言えば聞こえは言いですが、1席でも多く売ろうとする航空会社のスケベ根性とも言えますし、そのために手続締切から出発までのアローワンスがあるとしたら大多数の利用者に時間の空費を強いているという極めて問題な制度と言うことも可能です。

 キャンセル待ちの制度そのものは、「空席ができればお金を支払ってでも乗りたい」人がいる反面で、「既に予約済みの席でも物理的には空席がある」場合に、航空会社としても1便あたりの収益性を良くしたいこともあって、利用者の便宜を図る制度であり、それ自体は利用者・航空会社双方にメリットがあるわけです。もちろんキャンセル待ちの客以外に迷惑がかかる場合もないとは言いきれませんが、実際にはキャンセル待ちが出た場合の処理も時間に織り込んでいるのではないでしょうか?

 ただ、キャンセル待ちはあくまでもイレギュラーな対応であると僕は考えます。航空機利用の場合、事前に予約をするか、空席がある場合に当日窓口で購入が原則であり、この原則部分に関してはきちんと先着順をとっています。しかし本来ならばイレギュラーな対応であるキャンセル待ちまで、純粋に先着順を適用すべきかどうかは僕は疑問です。もちろん、近年までは基本的に先着順で対応してきたわけですが、キャンセル待ちとはいわば予定を上回った際の抽選のようなものであり、そうであれば必ずしも先着順でなければならないということはないと思います。むしろ航空会社の立場から見て、キャンセル待ちの席をどうせ譲るならば、普段はほとんど利用しないお客様よりも、頻繁に利用していただいているお客様にお譲りして、彼らの満足度(ロイヤリティ)をさらに高めて今後につなげたいと思うのは当然だと思われます。

 また、エル・アルコン様は僕が挙げた優等列車の話は、今回のキャンセル待ちの話とは異なるとおっしゃられていますが、確かに頻繁に利用していただいているお客様であれ、ほとんど利用しないお客様であれ、キャンセル待ちの席に支払う金額は全く変わりません。とはいっても、頻繁に利用している上級マイレージ会員は、当然それまでに航空会社に支払ってきた額がそうでない方と比べて圧倒的に多いわけであり、「より多くの運賃」を担保している長距離利用者の無料優等列車停車による優遇と、やはり同じことではないかと思います。いかがでしょうか?

Re:「公共」と「商売」
 投稿者---とも氏(2004/02/15 01:25:54)

●キャンセル待ち

 航空機の場合も、手続終了時刻もしくは満席になるまで「販売」していれば、物理的な空席はともかくとして収益上は「全席販売済み」のはずであり、余席があっても手続終了時刻を過ぎれば収益上も空席を残して出発するだけでしょう。
 ではなぜ「キャンセル待ち」が有り得るか、というと、結局は出発時点での物理的な空席が途中埋まることが有り得ない航空輸送の特性から、座席の「超過販売」をしているだけでしょう。搭乗希望者の声に応えると言えば聞こえは言いですが、1席でも多く売ろうとする航空会社のスケベ根性とも言えますし、そのために手続締切から出発までのアローワンスがあるとしたら大多数の利用者に時間の空費を強いているという極めて問題な制度と言うことも可能です。

 違和感があります。

 まず、海外の場合、キャンセルを見込んで供給座席数を上回る予約を受け付けることは一般的であり、その分がいわゆる「オーバーブッキング」であります。このオーバーブッキング時におけるオーバーブック分の搭乗順については、確かに問題はあります。航空会社の事情で上級会員にまわされるわけですから。
 しかし、この場合でも旅客側で自衛は可能であり、乗継の場合などではボランティアなどによる努力をたとえ非メンバーであっても行うわけですし、上級を乗せるために非メンバーを降ろすということもないわけですから、一概に間違いとの批判はできないでしょう。

 これとて見方によっては予約の自由変更が可能という搭乗者の利便性と相対するものであり、それが結果的にオーバーブックを生み、それがなければ搭乗率が確保できなくなるわけです。
 となれば必要悪であり、そのリスクとしてフレックストラベラーなどの制度により航空会社は負担をもっているわけです。

 では、国内においてはというと、オーバーブッキングも当然ありますが、ここで問題になるキャンセル待ちとは何かといえば、「満席」になるまで販売した航空便について、キャンセルや搭乗手続き遅れによる実質キャンセルによる空席を、特に希望する旅客(当然普通運賃を負担している)に対し販売するという制度であり、あくまで「満席」になるまで販売していなければ成立しません。空席が1席でもあるのなら「空席」としてギリギリ(航空券発売期限)まで一般販売をしているわけですし、そこには上級会員も平会員も非メンバーも関係はありません(ただし、マイレージメンバー(会員クラス関係なし)に対するキャンセル待ちサービスが存在するのは事実であり、新幹線でも最近はハウスカード所持者を対象に同様のサービスがある)。
 直前キャンセルが出た場合にはキャンセル待ち客に譲られますが、キャンセル待ちを申し込んだ時点では満席であることに差はありません。

 キャンセルが出ても空席で・・・というのは一面、正論のようですが、希望するが満席のために予約を入れられなかった旅客に対しては「空席があるのであるから乗せろ」という思いは当然あるわけで、それをカバーするシステムとしてキャンセル待ちがあるわけです。
 その時点では、キャンセル待ちを入れる旅客はそのリスクを当然承知している旅客であり、キャンセル待ちにおいては「乗れるという保証はない」ということの説明をされてキャンセル待ち券を手に入れています。

 であれば互いに納得した上での申し込みであるキャンセル待ちに公平性を求めるのは筋違いと考えます。

●公平性
 極論を言えば交通機関において完全公平は絶対にありえません。
 優等列車の話はメインの板なりでやるべき話と感じますが、同じような話で地方空港と幹線空港、高速と一般道の話でもありますが、そこで公平性を求めることは到底無理な話です。

 わが国が資本主義国であり、交通機関は公的コントロールはあれど原則民間事業となっている以上は需要と供給バランスによるサービスレベル変化は考慮しなければならず、そこに完全公平を求めることは絶対にできません。
 原則部分において公平性を担保しているのであれば、その枠内においての常識的な範囲での格差は許容しても不自然さを感じません。

 批判的ですが。では

Re:「公共」と「商売」
 投稿者---エル・アルコン氏(2004/02/15 02:34:00) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 もう少しお付き合いのほど...

●キャンセル待ち
 確かに航空に慣れた方には違和感のある議論ですが、そもそもこれらの「航空の常識」そのものが「非常識」ではという思いがあります。

 例えばオーバーブッキングによるボランティア募集なんかその典型ですが、通常は段階的に予約金の徴収もしくは解約もしくは予約変更への違約金の徴収を行いカラ予約の数を減らし、最後は一定の時間をもって予約=販売として事業者側のリスクを軽減するわけです。
 そのいわゆる「カットオフデート」の設定を極端に言えば出発ギリギリに設定しているからこその現象であり、予約・購入していても乗れないリスクは予約変更の容易さというメリットでカバーされると考えるものではないでしょうし、出発後の払い戻しと合わせて、過剰なサービスが徒になっているという考え方もできます。
 幸か不幸かそこまでのサービスを当然と思っていない人(=航空利用に慣れない人)が日本では多いわけで、逆にそういうサービスを廃止することで可能になるサービス(手続時間の短縮や予約の確実性など)による集客可能性を考えても良いのでは。

 また最近の本邦便では無くなったようですが、搭乗×日前までのリコンファームも同じ類で、乗客の立場からしたら予約どころか払い込み済み、つまり運送契約の概念から言ったら完全無欠に義務を果たしている航空券を持っているのに搭乗できないケースがあるというのは冗談じゃ無い話です。
 数の管理が難しいといっても、オンラインでの管理が可能な現在においては相当精度の高い管理が可能であり、今のオーバーブッキングを前提にした制度は大昔の電話と台帳で管理していた名残に過ぎない悪弊ではないでしょうか。

 で、キャンセル待ちですが、確かにいったんは「満席」になっています。しかしそれとて鉄道その他の交通機関でもある話で、鉄道なら発車直前にマルスに戻されれば淡々と発売されるわけで、何も特別な扱いはありません。
 もちろん帳簿の上では「完売」であっても現実に空席があるのに売らないというのはいかがなものかという話ですが、よしんばそれを良しとしても、その発売順序に関してだけ原則が曲がるというのはどうも馴染めません。受付そのものを上級会員からにしてというのであれば順番の先後は生じないのでまだ公平性が僅かながらも保たれるのですが。

●公平性について
 ここで問題にしたいのは、結果の公平ではなく機会の公平です。
 もちろん個々の利用において優等列車、優等車両のように然るべきフィーを支払えばそれに見合う待遇を受けられるのは当然であり、ニーズの大きいところに経営資源が集中されるのも当然でしょう。
 しかしながら、それらの前提においてはやはり「機会の公平」は重視すべきではないでしょうか。

 余談ですが、資本主義以前の問題というか、それを含む全ての前提とも言える絶対王政に対する近代市民革命では、身分制の打破、つまり機会の公平が底流にあるわけで、完全な公平の実現が不可能だとしても、尊重すべき部分かとは思います。

何が「機会の公平」で何が「結果の公平」か?
 投稿者---かまにし氏(2004/02/15 23:49:21)

 かまにしです。

●公平性について
 ここで問題にしたいのは、結果の公平ではなく機会の公平です。
 もちろん個々の利用において優等列車、優等車両のように然るべきフィーを支払えばそれに見合う待遇を受けられるのは当然であり、ニーズの大きいところに経営資源が集中されるのも当然でしょう。
 しかしながら、それらの前提においてはやはり「機会の公平」は重視すべきではないでしょうか。

 余談ですが、資本主義以前の問題というか、それを含む全ての前提とも言える絶対王政に対する近代市民革命では、身分制の打破、つまり機会の公平が底流にあるわけで、完全な公平の実現が不可能だとしても、尊重すべき部分かとは思います。

 「機会の公平」という意味で考えれば、私はキャンセル待ちにおける上級マイレージ会員優遇よりも優等列車停車による優遇の方が、よほど「機会の公平」が担保されていない気がします。

 上級マイレージ会員への優遇を受けられるかは「その航空会社の便をこれまでに何マイル利用したか」という頻度によって決定されるものであり、仮にそれまでほとんど利用したことがない人でも、今後その航空会社をたくさん利用することでより上級のサービスを利用できるようにすることは可能です。

 しかし、優等列車停車による優遇を受けられるかは「どこに住んでいるのか、どこに勤めているのか」という出発地・目的地で決定されるものであり、いくらその鉄道会社を頻繁に利用していたとしても、住まいか職場が変わらない限り、より上級のサービス(優等列車)を利用できるようにはなりません。住まいや職場はそう簡単に変えられるものではなく属人的な要素が強いですから、こちらの方が「機会の公平」を満たしていないと言えるのではないかと思います。もちろん、グリーン車のような優等「車両」に関してはこれにはあてはまりませんが…。

---
 ただ確かに優等列車によって、ある面では不便になったとしても、便利になる面が多いのであれば、それを取りやめるべきだという議論はできません。したがって、ともさんがおっしゃるように「サービスレベルの格差をどこまで許容すべきか」という議論が重要なのですが、運営する側が「商売」だとそういった議論は見落とされがちになるのではないか、というのが僕が言ってきたなのことです。もちろん日本の大都市圏私鉄による鉄道経営は、世界の見本になる部分も多いですから、基本は民間の活力を最大限利用するという方向で考えるべきなのだと思いますが、上記のような問題に対していかに公的コントロールを働かせていくかが今後の課題なのではないでしょうか?

 最後の段落の議論については、これ以上続く場合は別の板に移してやりたいと思います。ではでは。

Re:「公共」と「商売」
 投稿者---とも氏(2004/02/19 20:16:41)

 そのいわゆる「カットオフデート」の設定を極端に言えば出発ギリギリに設定しているからこその現象であり、予約・購入していても乗れないリスクは予約変更の容易さというメリットでカバーされると考えるものではないでしょうし、出発後の払い戻しと合わせて、過剰なサービスが徒になっているという考え方もできます。

 日本の場合、乗り継ぎという制度がそもそも一般的ではないだけにピンとは来ない話ですが、遅延が当たり前の航空においてはその遅延リスクをどこかでカバーしなくてはならず、その一つの策が予約変更の容易さであり、払い戻しでしょう。
 気象による欠航など「不確実性」があるのはどうやっても解決できませんからやむを得ません。

 で、キャンセル待ちですが、確かにいったんは「満席」になっています。しかしそれとて鉄道その他の交通機関でもある話で、鉄道なら発車直前にマルスに戻されれば淡々と発売されるわけで、何も特別な扱いはありません。

 航空も基本スタンスは同じです。システムに戻されるだけ。
 ただ、空港ですでにキャンセル待ちが発生している場合には空港でキャンセル待ちに割り当てが行われる。これはシステムとしては非常に合理的です。
 コンピューターに戻すとしても、一般客もマイレージ会員も関係なく、航空券販売窓口に張り付いて、1席のキャンセルが出るのを待つというのはどう考えても尋常とは言えません。

 逆で考えると、新幹線の場合には発駅で満席であっても直前キャンセルが出たらシステムに戻されますが、その時点で窓口にいた人しか購入が出来ません。で、何が起きるかと言えば「窓口行列」であり「システム化されていないキャンセル待ち」です。つまり、乗りたくて駅に居る人、たとえば指定が取れながために自由席の列に延々並ぶ人に行き渡らず、偶然にして窓口で買えてしまった、あるいはシステム化されていないキャンセル待ちという不可解なもので取れてしまう層がかならず発生する。それは旅客のニーズにマッチしているとはとても思えず、むしろ杓子定規にシステムに戻すというのが良いとは私には考えられません。

 少なくとも航空のシステムそのものは利用者からして不合理とは感じませんし、上級会員優遇も確かに度が過ぎれば問題ですが、そもそも上級会員には予約受付の優先権すらあるわけですし、場合によってはその上級会員をアップグレード、ないしは便変更をすることで一般客を乗せる場合もあり、その是非は簡単な話とはとても思えません。

 機会の公平を追求するがあまり、結果の不公平や漁夫の利が生じるようでは本質的な公平性を保っているとは言えないと考えますが。

 批判的ですがご容赦を。それでは

2005.01.20Update

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