【検証:】過去ログSpecial

【検証:近未来交通地図】Special029-2
中央線の高架工事騒動への疑問符
(京急蒲田付近連立化工事と比べて)
(2003/12/24)

 本投稿は、【検証:】掲示板でもお馴染みのかまにし様のレポートを中心に、読みやすく構成させて頂いたものです(一部文面を編集しております)。なお文中の写真の著作権はかまにし様に帰属します。

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中央線の高架工事騒動への疑問符
(京急蒲田付近連立化工事と比べて)

 投稿者---かまにし氏(2003/12/24 15:16:50)

−実際に通ってみて...
 └パターンダイヤと開かずの踏切の関係
 └閉鎖時間と待ち時間
  └Re:閉鎖時間と待ち時間

 先日、別件で武蔵小金井駅に立ち寄った際、ついでに問題の踏切の状況を見てきました。以下がその時の写真です。訪れた日は晴れた土曜日の午後3時半頃で、一般的には買い物客の動きが頻繁な時間帯です。武蔵小金井駅の東側の踏切には誘導員が立つとともに、12月中旬から午前7時〜11時において全面車両通行止になる旨の掲示がありました。

 先のレポートで中央線の朝ラッシュ時における踏切の連続閉鎖時間が1時間近くにのぼる上に、高架化工事の進捗で踏切の横断距離が2倍以上に増加し、短い開放時間では横断が困難になるなどの事態が指摘されておりました。さらに、JRが問題の線路切り替えを行なった直後に衆議院議員選挙があったというタイミングも重なり、小泉首相が直々にこの問題を指摘し、工事期間中の「暫定歩道橋の新設」を指示する事態に発展いたしました。

 私も日常生活において京急線を利用する際、いつも同線の踏切における遮断に悩まされている身でありますが、中央線は連続閉鎖時間が1時間近くにのぼるという話を聞いて、中央線沿線にお住まいの方を大変不憫に思っておりました。ところが実際に現地を訪問してみると、なんだかこの「中央線・高架工事騒動」そのものへの疑問符が強く抱いてしまったのです。

 私は武蔵小金井駅のすぐ東側の踏切の状況しか見ておりませんが、実は同踏切には歩道橋が設置されております。しかしこの歩道橋は、以前この掲示板でもレポートがあったように「ほとんど使われていない」のが実態です。確かに踏切が開いていればそこを通るのが一番楽なのは確かなのですが、少なくとも「踏切で楽をして通行する」か「大変でも歩道橋で確実に通行する」という2つの選択肢が用意されていることは、工事期間中の状況にしてはとても恵まれているものと私は考えます。

 他方、私の近所の京急線でも現在、平和島〜六郷土手間で連続立体交差事業が行なわれており、最終的には計28箇所の踏切が除去されるわけですが、現時点で歩行車道・自転車道が立体化されているのは京急蒲田駅周辺のわずか1ヶ所だけで、それ以外は全て踏切しか選択肢がない状況です。特に大森町駅と梅屋敷駅については駅構内も立体化されていないため、自分の住んでいる側とは反対のホームを利用しようとする場合、いつ開くのか分からない踏切を通勤時間に織り込んで行動しなくてはなりません。以前から両駅の利用者から「京急をまたぐ歩道橋を設置してほしい」との要望が度々、議会に出されてきたという経緯もあります。連続立体交差事業が都市計画決定され、現在は実際に工事も進んできた中、さすがに現在ではそのような要望は出ませんが、しかし連続立体交差事業が完成するまであと10年近く、同駅の利用者は我慢し続けなければならないわけです。

大森町駅前
梅屋敷駅前

両駅とも駅利用者ですら線路の反対側に渡るためには踏切しか選択肢がないため、短時間の遮断でも大量の滞留が発生する。

京急蒲田駅の南側にある踏切

京急蒲田駅のホーム下をまたぐ公共地下道 京急蒲田駅のホーム延伸時に踏切から地下道に切り替えられた。

 確かに中央線については連続閉鎖時間が1時間近いことを考えれば、いくら歩道橋があるとはいえ厳しいものがあり、早急な対応が求められるのかもしれません。しかしそうであるならばエル・アルコン様も指摘されていましたが、同踏切において「朝7時〜11時の車両全面通行止」を行なうよりも、むしろ歩行者・自転車は、スロープをつけて自転車でもスムーズに通りやすく改良し、より積極的に歩道橋へ誘導、むしろ踏切は車両交通の処理に特化すべきだと考えます。

 私が疑問を感じる点をまとめると以下の2つになります。まず1つめは、既に皆様もあげられておりますが、連続立体交差事業を行なう上でのプロセスの問題です。それは、親スレッドでもある小金井街道の踏切における対応を見ても、「本当に必要なところに必要な処置が取られているのか」疑問を感じざるをえません。

 2つめは、中央線の一連の「高架工事の踏切騒動」は、同じような問題を直に感じている身からすれば「なぜ彼らだけこんなに問題にされるのか?」という疑問を感じざるをえないのです。それはもともとこの踏切問題が政治的に利用されてしまったという側面もあって仕方がないのかもしれませんが、実際に現地を見てますますその思いは強くなってしまいました。

 ただ、私は他の踏切の状況をきちんと視察したわけではないので、もしかしたら片手落ちになっているのかもしれません。特に私が片手落ちになっている部分について、皆様から状況等の報告・反論などを頂ければ幸いです。では、失礼いたします。


実際に通ってみて...
 投稿者---エル・アルコン氏(2004/01/06 15:34:15) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 まずは体験と思いながらも遠隔地ゆえなかなか機会が無かったのですが、12月28日に【検証】の2003年納会プレ企画として行われた「中央線踏切状況視察会」に参加して、初めて現地を通ってみました。

 場所は東小金井から武蔵小金井までの区間、時間帯は15時過ぎですが、まず言えること、というか身をもって実感したのは、「開いた時間が短過ぎて渡りきれない」ということ。もちろん遮断機が下り始めても誘導員が出してくれますが、南北に離れた上下線の最初の線路を渡る時にもう警報機が鳴り出しては心理的にも嫌なモノです。おまけに「急いで出てください」と強い調子のアナウンスが頭上から降ってきますから。

 実は待ち合わせが東小金井駅改札前だったのですが、屋内跨線橋の自由通路に自転車通行レーンが示され、しかも当たり前のように通行する姿には、聞いてはいたもののびっくりです。エレベーターも増設されており、ちょうど大阪の安治川トンネルのような感じと言うのでしょうか。

 有名?な武蔵小金井の小金井街道踏切には歩道橋が併設されてましたが通る人はほとんどいません。
 エスカレーターなどの対策が無いですが、待つくらいなら渡る人がそこそこいても不思議は無いだけに、なぜそこまでして待つのか?という感じです。
 もっとも、駅間の踏切では跨線橋の工事中でしたが、エレベーターが付くようとはいえ、折り返して登る階段の「威容」を見ると、ひょっとしたらこの電車で開くかもしれない、と淡い期待をもって待ってしまうのかもしれません。

***
 さて、ひと通り渡ってみて思ったのは、単なる「開かずの踏切」と言えない複合要因が問題の根底にあると言うことです。
 かまにしさんが例示されていた京急線の「開かずの踏切」との決定的な違い、それは開いても渡りきれないケースの存在です。京急線のような複線でしたら、踏切に入ってから警報機が鳴り出しても、遮断機が下りる頃にはまず渡り切れます。ところが今回のケースでは冒頭の体験のように、完全に取り残されるわけで、鳴動が始まってから遮断機が下りきるまでのマージンがマージンとして機能していないのです。

 とは言っても世の中には複々線、三複線区間の踏切もあるわけですが、次の問題として列車接近、通過後のマージンがともに長過ぎることがあります。
 東小金井駅に行く際、武蔵境から中央線に乗ったのですが、武蔵境駅西側の踏切は下り電車が通過しても開きません。(西武多摩川線とは別になっている)もちろん対向電車が接近しているから、と言いたいところですが、それとすれ違ったのは東小金井駅構内です。
 東小金井を通過する特急、特快への対策と言えばそれまでとは言え、あまりにも余裕を見過ぎです。
 さらに踏切側から電車を見ていると、電車の最後尾が通過して数秒たってようやく警報機が止んで遮断機が上がるのです。これでは通れるものも通れないと言うのが偽らざる感想です。

 このあたり、私の地元のJR神戸線と比較して見ましょう。
 普段よく通る摂津本山駅東側すぐの「田辺村踏切」ですが、複々線分の幅員を持ち、日中でも毎時片道20本程度の列車が通りますが、「開かずの踏切」という印象はありません。
 見ていると鳴動開始は駅構内の列車近接放送と同じタイミングでして、それはホーム側を通過する快速でも同じです。外側線を130kmで駆け抜ける新快速にしても、例えば下り線なら鳴動開始は遠くに見える甲南山手駅通過のあたりであり、遮断機が下りてから「待つ」という印象は貨物列車くらいです。

 列車通過後にしても、まだ踏切内にいる間に警報機の点滅が終わってしまうようなせっかちであり、もちろん遮断機が上がるのは完全に通過してからですが、中央線のようにふた呼吸も三呼吸もありません。かといって誘導員などいないこの踏切で障害検知装置が作動して列車が止まったとか、はねられたと言うような事故の話は聞かないわけです。

 安全対策としての誘導員を置いているのなら、他線と比べても過剰とも言えるマージンをもっと削ることは可能であり、そうすることで開いても渡りきれない状態からの脱却を図るべきです。
 ここまで閉まっていると、1秒でも長く開いて欲しいですし、また、1回でも多く開けば開かずの度合いが飛躍的に減るのです。
 このあたりは誤解されやすい部分なんですが、60分と言う限られた時間で等間隔で1分ずつ開いたとしたときの平均待ち時間の変化を見れば明らかなんです。

※1回=59分待ち、2回=29分待ち、3回=19分待ち、4回=14分待ち、5回=11分待ち、6回=9分待ち、7回=7分34秒待ち、8回=6分30秒待ち、9回=5分40秒待ち、10回=5分待ち。

 10回開いていたあたり(1時間あたり50分閉鎖)からしばらくは1回減っても(閉鎖時間が1分増えても)1分も待ち時間は増えませんが、5回を切る(閉鎖時間が55分を超える)あたりから待ち時間が3分、5分、10分、30分と等比級数的に増加します。中央線の場合、この「一線」を越えてしまったであろうことも原因ではないでしょうか。

***
 さて、新年4日の朝10時過ぎに帰省先から帰る際、中央道調布ICへ出るべく武蔵境通りを南下しました。三鷹通りか新小金井街道に迂回するにも出発地と目的地の関係を考えると愚直に踏切経由と言うのが速そうで、あえて突っ込みました。

 結論から言うと1回待っただけでしたが、誘導員が「止まれ」の旗(なぜか黄色)をもって、1台ずつ前車の進行具合を見極めて踏切内に進入させていました。
 黄色い上っ張りに黄色の旗と言う見づらさも問題ですが、ここまでクルマが通りづらいのであれば、誘導員が監視しているという前提のもとで、一旦停止と1台ずつの進入ではなく、無停車で通過させ、通過台数の極大化を図ると言う発想があっても良いのでは。

 まあ難なく渡りきったところで私のクルマの前に飛び出す人影が。駅南のイトーヨーカドー駐車場の誘導員で、私を止めて駐車場から出るクルマを優先しています。
 幸い1台なのですぐ通れましたが、最初の信号が黄色になってましたし、後ろには踏切を脱したクルマが並んでいました。
これは非常に問題です。いわば「社会問題」になっている中央線の開かずの踏切に絡む地点で、踏切の通行を全く考慮しない交通誘導が許されるのかどうか。少なくとも踏切が開いているときの本線遮断は絶対に不可という指導が必要です。

パターンダイヤと開かずの踏切の関係
 投稿者---かまにし氏(2004/01/07 16:06:53)

 こんにちは、かまにしです。

 さて、ひと通り渡ってみて思ったのは、単なる「開かずの踏切」と言えない複合要因が問題の根底にあると言うことです。
 かまにしさんが例示されていた京急線の「開かずの踏切」との決定的な違い、それは開いても渡りきれないケースの存在です。京急線のような複線でしたら、踏切に入ってから警報機が鳴り出しても、遮断機が下りる頃にはまず渡り切れます。ところが今回のケースでは冒頭の体験のように、完全に取り残されるわけで、鳴動が始まってから遮断機が下りきるまでのマージンがマージンとして機能していないのです。

 これは私もおっしゃる通りだと思いました。確かに京急の踏切との決定的な違いは「ただ開く回数を増やせばよい」で済まされないことですね。横断距離が長くなればなるほど、横断に要する時間の個人差は大きくなりますから、そう考えると中央線のケースにおいてのみ、歩道橋をつけることが合理的なのかもしれませんね。

 安全対策としての誘導員を置いているのなら、他線と比べても過剰とも言えるマージンをもっと削ることは可能であり、そうすることで開いても渡りきれない状態からの脱却を図るべきです。
 ここまで閉まっていると、1秒でも長く開いて欲しいですし、また、1回でも多く開けば開かずの度合いが飛躍的に減るのです。

 この点については、異論があります。もし閉鎖時間が1時間のうち40分台であったとしても、交通処理上で問題になる場合がありうると考えるからです。なぜなら、『パターンダイヤ』によって電車が一度に何本も通過するため、閉鎖時間の平均で見れば大したことなくても、遮断時は大量の歩行者・自転車・自動車の滞留を抱えてしまう場合です。これがまさに前述の京急蒲田駅周辺の現状なのです。

 例として、京急蒲田駅のすぐ南側の踏切(京急蒲田第二踏切)における平日日中における遮断状況を取り上げます。京急線の現在の日中ダイヤは、20分パターンで組まれております。この踏切における日中の遮断時間は20分のうち10分ほどです。ただし、この10分の遮断時間のうち7分ほどは1回にまとまっているのが特徴です。

 まず、1番線から羽田空港始発の快特・新逗子or浦賀行が出発するために、この踏切の遮断機が下り始めます。電車はポイント通過のため、かなりゆっくりと発進していきます。するとこの電車が通過する直前で、今度は川崎方向から快特・泉岳寺行が京急蒲田駅に滑り込んできます。しばらくして、快特・泉岳寺行がちょうど滑り込もうとする時に、今度は再び品川方向から快特・三崎口行が2番線に到着をいたします。この電車は、1番線に到着するエアポート快特・成田行を待ち合わせるため、1分ほど長めに停車をしますが、この間も遮断機は下りたままです。
 そうこうしている間に、今度は再び川崎方向からの電車の接近表示されます。この列車は川崎で切り離された特急・羽田空港行ですが、2番線に停車しているがポイントを通過してからの進入になるので、京急蒲田〜雑色間で徐行運転になります。ようやく快特・三崎口行が通過し、この間1分以上の時間をかけながら特急・羽田空港行が1番線に進入いたします。
 ところが特急・羽田空港行が踏切を通過しても、川崎方面からの電車の接近表示は消えません。そう、特急・羽田空港行がかなりの徐行運転をするため、川崎で待避した普通・品川行がやってくるからです。さらに普通・品川行が京急蒲田駅に滑り込むと、今度は品川方面からの接近表示が再び入り、京急蒲田駅構内を見渡すと平和島で待避した普通・浦賀行の存在に気づかされます。そして、1分後ようやく踏切は開くのです。

 このように6本の列車が交互に行き来するため、遮断時間が計7分にも及ぶ長時間遮断パターンが、20分おきに繰り返すことになるのです。ちなみに、この京急蒲田第二踏切は、JR蒲田駅と第一京浜国道の東側の住宅地をつなぐ最短経路でもあるため、ピーク1時間あたり約1万人の歩行者・自転車の往来がある踏み切りの上、バスのメインルートともなっています。ちなみにこの京急蒲田第二踏切から100mほど南には、環状8号線が平面交差する京急蒲田第四踏切があり、遮断状況は概ね第二踏切と同じになっています。
 すなわち交通量の多い両踏切において、たとえ平均的に見れば遮断時間がさほど長くなかったとしても、局所的であれ長時間の遮断が起こってしまうことは道路交通の処理において好ましいことではないはずではないでしょうか。さらに言えば、環状8号線と第一京浜国道が交差するこのあたりの踏切渋滞は、時にはその影響が広範囲に及ぶ可能性すらあるといえます。

 それはさておき、いずれにせよ踏切における待ち時間の多少は、エル・アルコンさんがおっしゃる閉鎖時間と平均待ち時間との関係だけでは測れないのではないかと考えるのですがいかがでしょうか。

閉鎖時間と待ち時間
 投稿者---とも氏(2004/01/08 13:18:20)

 ともです。

 確かに10分のうち7分は閉まりっぱなしであるのだから感覚的平均待ち時間は・・・というのは否定はしませんが、どうも違和感があります。
 簡単にシミュレーションをしてみましょう。

 1時間に40分台ということですので仮に42分とすると、かまにし様のご指摘通りとするならば、7分×3回、残りが1閉鎖2分で2回閉鎖とすると20分でみれば

閉7分−開3分−閉2分−開3分−閉2分−開3分

となりますね。

 つまり閉鎖は3回です。
 一般的に車の発進停止にはタイムロスがあります。このロスは1回の信号で2〜3秒ですから踏切でも同程度、3秒として、実際に空いている時間は2分57秒。さらに平均的な車頭間隔、つまり1台の車が通って次の車が到着するまでが都市部では平均2秒。一時停止によるロスが1秒として3秒とするなら1回の解放時間に59台。
 つまり1時間に京急蒲田の踏切は解放時間が9回ありますので、531台/車線を通過させることが出来るとなります。

 一方、中央線の場合1時間に50分として、解放パターンが見えませんが、新聞報道などにあるように1回解放で1分程度ということはおおむね10回の遮断ということになりますね。
 であれば、1回の通過可能時間は57秒。1回の解放時間にはわずか19台。10回で190台/時しか通せないのです。
 たった10分とはいえこれだけの差が出ます。

 しかし、7分の遮断の間に車が大量に押し寄せるから捌け残りが生じ、結果通過可能容量は少ないし周辺に影響を与えるのではないかと感じるかも知れません。
 それはそのとおりです。7分間に来る車の台数はランダム到着として車頭間隔2秒で210台です。次の開放で59台捌けますから残り151台。2回の遮断時間2分間で流入するのは70台。221台となり累積していきます。
 でも、中央線のパターンの場合にも結局累積するわけで(5分閉鎖1分開放で流入可能150台に対し捌け19台)、同じ条件の時間40分閉鎖とした場合でも4分閉鎖が10回で2分開放とすると流入が120台に対し開放39台となり実は捌け残りは細かく開いてしまう方が増えるのです。

 実際にはランダム到着とはいえ車群ですし、滞留の増加による渋滞延伸はありますが、一気にはけることで滞留が減少することもあり、単純に7分も閉まっているから・・・というのは何も意味がありません。
 細かく検討をしなくてはなりませんが、単純比較には何も意味はないと思いますが。

 批判的に。
 ではでは

Re:閉鎖時間と待ち時間
 投稿者---かまにし氏(2004/01/09 15:43:55)

 こんにちは、かまにしです。

 ともさんがおっしゃっていたことを、簡単なグラフにしてみました。ちなみに、以下の部分は

 7分間に来る車の台数はランダム到着として車頭間隔2秒で210台です。次の開放で59台捌けますから残り151台。2回の遮断時間2分間で流入するのは70台。221台となり累積していきます。

 2回の遮断時間2分間で流入するのは「70台」ではなく「60台」ですよね(←車頭間隔が2秒なので、1分間に60÷2=30台が流入)。それをふまえて以下のような簡単なグラフを作ってみました。

 上の図では、踏切遮断パターンの違いによる交通処理能力の大小にスポットをあてるため、中央線は4分閉鎖2分開放とし、閉鎖時間は双方同じぐらいになるように設定いたしました。

 車両の流入が2秒に1回、はけるのが3秒に1回という前提が本当に正しいかは論点としてありますが、仮に正しくなかったとしても双方同じ条件を課しているので、比較には問題ありません。このシミュレーションを踏まえると、確かにともさんがおっしゃるように、1度にまとまって閉鎖する「京急線」タイプの踏切遮断よりも、細かく閉鎖する「中央線」タイプの踏切遮断の方が、最終的な交通処理能力が実は低いということが分かりますね。この点については、非常に勉強させられました。

 ただ、どうしても一つだけ疑問が残ってしまうのは、上記の場合はあくまで一本の道と踏切が交差するポイントでの交通処理能力しか見ておりません。しかし京急線にしても中央線にしても、以上のシミュレーションからも踏切の前後に大量の滞留ができることが明らかになっていますが、このような車両の滞留を受け入れる余地がどれくらいあるかは、また別の問題と言えます。

 この点について京急蒲田駅周辺の場合は、京急線と道路の平面交差だけでなく、幹線道路どうしの平面交差が何箇所も隣り合っている状況があります。例えば第一京浜側から環状八号線世田谷方面へ入る場合、南蒲田交差点から京急蒲田第四踏切の間のわずか50mぐらいのスペースしかなく、とても200台もの車が入る余地はありません。実際にこういった交通処理に関して、現在、蒲田警察署は南蒲田交差点の信号において、第一京浜側から環状八号線世田谷方面に入る流れを、京急蒲田第四踏切の開閉に連動させて制御しているぐらいなのです。すなわち第一京浜側から環状八号線世田谷方面に入るための信号が20分中7分も続くということが実際にあるわけで、すでに広域的な影響が出ているといえるのです。

 確かに、単純に閉鎖時間の長短だけで評価をしようとした点については問題がありましたが、こういった滞留スペースの問題や渋滞の広域的な波及もあわせて総合的に考えた時、京急線と中央線を取り巻く環境はそれぞれどうなのでしょうか?


「開かずの踏切」が問いかける鉄道優先の正当性
 投稿者---エル・アルコン氏(2004/01/26 17:34:20)
 
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

−Re:「開かずの踏切」が問いかける鉄道優先の正当性

 中央線の工事で一躍脚光を浴びた「開かずの踏切」ですが、全国でも同じような悩みが多いわけで、何も中央線に限ったことではありません。

 さて、1時間に59分閉まっているといったケースがあるわけですが、そもそも論として、踏切において鉄道側が事実上任意の時間を遮断できるのはなぜでしょうか。
 鉄道用地は鉄道事業者の所有にかかるわけで、所有者の権利は絶対ですから、確かに鉄道側がダイヤを編成し、その時々の運行に従って道路を遮断しています。

 しかし、遮断される道路はまさに公共物の筆頭であり、一事業者の都合で通れなくなることが本来あって良いものでしょうか。
 元来、鉄道も「鉄道国有法」を持ち出すまでも無く、国有が原則であり、そういう意味では公共性が高いというより、「公」そのものでした。さらに鉄道の運行も今のように高頻度ではなく、道路の遮断において、遮断する側とされる側の公益性を比較しても、単位時間あたりの遮断時間と言う侵害の度合いを見ても、踏切で道路が遮断されることにあまり疑いを持たないできたのが現実とも言えます。

 時代は流れて、社会において道路交通の占めるウェイトは鉄道をしのぐと言っても良いほどであり、かつ、鉄道の「公益性」を考えても、利用者(沿線住民)の移動に資するというより、利潤の追求にウェイトが置かれているきらいもあるわけで、事業者による営利活動により道路が遮断されているという見方も可能かと思います。
 ちなみに法律は所有権の絶対を認める反面、一方当事者の所有権の効果を担保する目的ではありますが、いわゆる「袋地通行権」を対価の支払を前提にしていますが認めるように、完全なる遮断、もしくは実質的に遮断されることを認めていません。
 袋地の所有者に通行権を認めるくらいですから、「公道」の通行権はまさに公共の福祉であり、それを無制限に遮断することはどうなのか、考える時期かもしれません。

***
 こうした中、興味深い事例が幾つか出ています。
 まず、京福電鉄を引き継いだえちぜん鉄道で、福井口から福井までの区間で、JRの連立化に合わせて高架化するか否かが問題になった際、福井県が主要道との交差地点では踏切ではなく信号制御とし、踏切による交通阻害を極力減らすという方針を打ち出しました。

えちぜん鉄道 福井駅乗り入れ高架化問題 費用負担の「壁」厚く 県、軽減へ地上案に軸足(朝日03/9/16)http://mytown.asahi.com/…

 株主である自治体が高架化費用を捻出できないための案でしたが、さすがに反発が強く、自治体負担で高架化が決まりました。

 ただ、定時性、安全性などの問題を挙げていますが、東急世田谷線の若林踏切(環七通り)が世田谷線の運行にそういう問題を投げかけているという話は聞きませんし、同じ福井の福井鉄道も市内は併用軌道です。その問題が軌道系交通にとって絶対的な問題であるのなら、LRTなんてできないはずで、そういう意味では鉄軌道だけを絶対視せず、道路交通と対等の視座で考えた慧眼という評価も出来るはずです。

 次に、これも昨秋、京都の京福嵐山線で、電車の直前を救急車が横断したというニュース。たまたま先頭部に乗っていた乗客が見ていて通報して発覚したのですが、赤信号の優先通行が認められている公務中の救急車であっても、嵐電レベルの電車であっても劣後すると言うのが現状です。
 極端な話をすれば、宴たけなわのお座敷列車が3次救急に急ぐ救急車を待たせて通過出来るわけです。
 ちなみに中央線の武蔵境通りの踏切のすぐ南には、3次救急施設である武蔵野赤十字病院がありますが、分秒を争う救命治療を対象とする病院が指呼の間にありながら、踏切の北側にいると...という事態もありえるわけです。

武蔵野赤十字病院 http://www.musashino.jrc.or.jp/index.htm

***
 交通というものは鉄道だけのものではなく、道路交通もまた重責を担っているわけです。「開かずの踏切」の問題は、沿線住民と鉄道利用者の関係だけでなく、鉄道交通の利用者と道路交通の利用者という対立軸にもなるわけですが、その両者に本源的な優先劣後はありません。それどころか警察、消防、救急といった社会生活の維持に直接かかわり、優先性を持つ交通は道路交通に頼っているわけで、それを考えた時、ひとり鉄道が優先権にあぐらをかくことが許されるのかどうか。さらに言えば、「開かずの踏切」の除去を自治体や国に任せきるような姿勢で良いのでしょうか。

 確かに都市計画などで自治体が連立化など交通遮断となる障害を解消するのは、自治体の住民に対する責務であり、そういう意味では自治体が事業者の計画を待つという待ちの姿勢もまた不可でしょう。
 今回の中央線の問題は幸い、連立化の途上における一時的な障害であり、完工により障害が解消することが見えています。
 しかしながら、そうした計画すらないケースにおいては、自治体の取り組みが無いことも批判の対象ですが、事業者がそういう状態で改善の計画も無く事業を継続することに対して、「権利の濫用」を指摘されてもおかしくは無いわけです。

Re:「開かずの踏切」が問いかける鉄道優先の正当性
 投稿者---World's Uniquest Railway Enthusiast氏(2004/01/26 23:28:31)

 こんにちは、WUREです。

 通行の優先権という問題は、非常に大きな問題であるというのは理解できるのですが、議論の論点を何処に絞るべきなのでしょうか。
 これを小さい問題、例えば、緊急車両の通行の問題などを対象として議論する場合には、消防署なり緊急病院などの施設が病院の影響を受けないような場所に建設する−単純に言えば踏み切りの両側に二重に設ける・・・鉄道の通行権を制限する際に生じる社会的な損害、もしくは他の代替手段への投資費用が、こうした施設の二重化に必要なコストを上回るのであれば、効率的であると判断される・・・というような話になってしまうような気がします。商業立地等は長期的には障害物を避ける形で発展するものと予想されますし、この議論では結局今回の中央線の問題のような「工事やダイヤ改正で、遮断時間を『短期間に』変動させる事が問題。」「(こうした解決策を実行する際の)費用負担の割合は?」というありがちな結論に矮小化されてしまうように思えます。
 他方、通行の優先権の問題は、鉄道の存在そのものが都市構造を分断してしまう問題としても発展させる事が出来ます。ただ、「そもそも、多摩の都市構造は・・・」という議論展開はこれまでも多く展開されてきたものですが、収束する議論になりうるものでしょうか。鉄道会社とて、これほどまでに鉄道が大きな障害となるものとは予想できなかったでしょうし、同時に莫大な便益をもたらしているものでもありますので。また、権利の濫用を別の視点で捉えると、鉄道による騒音公害の事例などと似たようなものかなと考える事もできるのかなとは思いますが、当初の問題提起とは随分異質なものになってしまう事は否めませんし。

 ちょっと取り留めのない話になってしまいましたが、適当に軌道修正していただければ幸いに存じます(踏み切り自体の問題で言えば、入れ替え等で相当の時間開かずの踏み切りになる操車場近辺の踏み切りの問題等も問題提起したいところなので)。

WURE

2004.11.14 Update


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