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【検証:近未来交通地図】Special028
変わるもの、変わらないもの…
「ゼロサントオ」と東海道山陽新幹線

 本投稿は、【検証:】掲示板でもお馴染みの、エル・アルコン様のレポートを中心に、読みやすく構成させて頂いたものです(なお一部文面を編集しております)。

子連れ新幹線道中記
(2003/09/16)
「動き出す日」〜新幹線で行く品川レポート
(2003/10/10)

下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。

700系

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子連れ新幹線道中記
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/09/16 16:30:04)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs
─子供は無料で一緒にというサービスが始まる

 先週末の三連休、2歳の子供を連れて新幹線で新大阪−東京を往復しました。
 普段の出張ともプライベートとも違い、勝手が違う道中でしたが、それだけに普段気がつかないものがいろいろ見えました。

●子供のきっぷをどうするか
 自分一人であればビジネスきっぷ(ビジ回)を買って適当な時間の指定を取ればいいんですが、今回は子供がいます。もちろん子供の指定券を取れば良いとはいえ、世間一般の感情として、2歳児に大人正規料金の半額を支出するというのはなかなか抵抗があります。もちろん「膝の上」で我慢させればタダですが、10kgを大きく超えて座りが悪く動くもの(笑)を3時間近く膝に乗せるのは苦痛です。今や長距離利用では選択の余地がない優等列車に乗るといきなり無料が大人の半額にはねあがるというのは、理屈では分かっていても抵抗があります。
 このあたりがクルマでの家族旅行との決定的、いや、致命的な違いであり、多彩な割引で客を集めている航空機の場合は大人の七掛け位になるわけで、これも厳しい話です。

 というわけで、極端に混んでなければ大目に見てもらえる自由席利用が前提となります。もちろん、もう少し小さい乳児だと泣いたり、授乳その他の問題もあり非常に悩ましいですが、個室もこの16日をもって東海道から退役した100系のみの施設だったので、肩身を狭くして開放室に乗るしかありません。まあ東阪間ではビジ回が自由席個札より安いので、使う切符は変わりませんが。

●スケジュールは...
 そういうわけで、極力空いていそうな列車を狙います。今回は三連休ですから望み薄ですが、時刻表を丹念に探すとありました。新大阪10時3分の「ひかり216号」。新大阪始発で京都、名古屋のみ停車。新横浜や静岡県内の停車がない列車でしかも季節運転。さらに7分前の9時56分に同じ停車駅の「ひかり306号」があり、こちらがあふれない限りこっちを狙う人は少なそうです。
 帰りは難物で、最終日の夕方は混むんですが、それまでは「ひかり」が広島行きと岡山行き2本の3本しかない時間帯です。ある程度覚悟を決めて、遅くならない時間帯で、新大阪行きが動き出す最初になる東京15時26分発の「ひかり219号」を狙いました。

●さて乗車まで
 ある程度早めに着くのがセオリーとはいえ、ホームで待つと子供が愚図ります。さらに新大阪までの電車も座れなかったりすると大変です。今回も結局立席で不穏な雰囲気です。で、新大阪に着くと車中での3時間の備えでお菓子やジュースを買いますが、子供がめざとくオモチャを見つけて騒ぎます(笑)
 まあ車内で騒がれるくらいなら安いもので、買いましたが、子供がいない頃は駅やサービスエリアでなんでオモチャ、しかもあまり冴えないものを売ってるのか不思議でしたが、今にしてみると身にしみて分かります。

 先発の「のぞみ8号」が7分遅れとなり、続行となる「ひかり306号」をそのまま続行にすると、東京までには270km運転で取り戻せるのですが、鳥飼から回送の「ひかり216号」が同じホームから出るので、ダイヤを痛めないためにか遅れ3分程度で「のぞみ8号」に先発しました。おそらく京都で退避でしょう。

●さて出発
 おかげで「ひかり216号」は予想以上の空き具合でした。いちばん最後まで埋まらないB席に私、子供をA席に座らせ、テーブルにオモチャを並べて準備万端に整えた成果か、おとなしく新幹線の旅を楽しんでいます。
 小さい子供の場合、どうしても「お昼寝」タイムがあります。しかも年齢によっては昼前と昼過ぎというわけで、今回もお昼前の時間帯に掛かります。幸い名古屋を出ても車内は10人も座っておらず、3人掛けを回転させて向かいの席に横に寝させることが出来たので助かりました。
 普通なら「ただいま、新横浜駅を時刻通り通過しました。あと15分ほどで終点東京に到着します」という9月限りで消えるアナウンスが入るんですが、時間は定時でしたが車内があまりにも淋しいせいかアナウンスは流れず、そのまま12時53分に東京駅に着きました。最後のアナウンスで子供も起き、そのまま乗り継いで目的地へ向かいました。

●行きはよいよい帰りは...
 さて、帰りです。私鉄沿線から山手線に乗り継いで東京までの道中、私鉄の車内で「お昼寝タイム」に入ってしまい、自分の荷物、子供の荷物(着替え、オムツなど)を背負って、さらに子供を抱きかかえての移動は死ぬ思いです。
 東京駅で指定券販売状況を見ると「ひかり」はずらりと「×」マーク。これは「膝の上」も有り得ると覚悟を決め、まだ30分以上ありますが、西日を遮るものがない乗車位置で子供に直射日光が当たらない様に気遣いながら待ちましたが、幸い発車20分前に入線したため涼しい車内で待てました。
 15時10分の臨時「ひかり197号」博多行きも満席で発車。結局5分前には空席がなくなる盛況でしたが、子連れも多く、「膝の上」は強いられることがなかったのは幸いです。
 普段は煩わしく感じる家族連れですが、こういう時は固まっていると心強いです(笑)

●設計者出て来い!(爆)
 子供が寝てればいいんですが、東京駅で歩いているうちに目覚めてしまい、それっきり(笑)
 こっちは眠いんですが、寝させてくれません。
 さて、座りながらもぞもぞするので様子を見ると、どうもオムツが替えごろです。洋式便所にはオムツ交換台があるのを知っているので使いましたが、いざやってみると設計者出て来い!と怒鳴りたくなるような代物でした。

 まず、台を引き出すと長さが小さいです。おさまるのはせいぜい1歳程度まででしょうか。立てるようになれば立ったまま替えることも一応可能ですが、狭い車内では無理があります。
 で、足がはみ出ますが、突然「シャー」と言う音とともに子供が叫びました。見ると、手洗いに足が掛かっており、センサーに触れたようで思いっきり足を水が洗ってます。
 幸いサンダルに素足だったから良かったものの、そうでなければ大惨事です。
 気を取り直して足の位置を直してオムツ替えに挑むと、今度は「プシュ!」と音が響き、子供がびっくりして怯えます。今度は何事、と見回すと便器洗浄のセンサーに私が触れたようです。
 ところがこれに当たらないようにオムツ替えは事実上出来ない位置にあるわけで、プシュプシュ鳴らしながら交換するしかありません。音は結構大きく、しかも破裂音なので子供によっては泣くでしょう。

 手洗いといい、センサーといい、オムツ交換台との位置関係をまったく考えていないことが分かります。ついでに言えば、300系の場合は脱いだ紙オムツの捨て場が便所内のごみ捨てかサニタリーボックスと言うのも気が利かず、かといって700系は紙オムツ捨てがあるのですが、蓋が無いというこれも信じられない構造です。
 まさに仏作って魂入れずの典型で、ビジネス客しか考えていないという揶揄も頷けるものでした。

●そして帰着
 夕暮れ時を迎え、18時16分に新大阪に着きました。すぐの新快速は混んでましたが次の快速が12連なので、1列車遅らせてゆっくり座って帰りました。どうしてもこのアプローチが泣き所で、座って真っ直ぐ帰れるリムジンとの差を感じます。

 名古屋、京都停車と言う「基本パターン」の新幹線乗り納めが子連れ旅行と言うのも何かの縁でしょうが、子供も満足げだったのでなによりでした。

子供は無料で一緒にというサービスが始まる
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/09/18 09:47:21) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 さきに子供連れの時の座席確保の話をしましたが、JR西日本がこんなサービスを始めるそうです。

〜より多様なニーズにお応えする車内サービスの提供をめざして〜 「チャイルドクッション無料貸出しサービス」を試行実施します 
http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/030917a.html

 あの無駄にまで見える幅広の肘掛をうまく活かした?サービスですが、これまで肘掛を跳ね上げて親子3人で座ってたりしていた層にとってはレールスターの固定式肘掛は恨めしかっただけに福音です。
 余談ですが、大昔の新幹線の転クロは肘掛が固定で、小さい時家族旅行で1人分のスペースに子供2人で押しこまれたことを考えると、0系改座車以降の肘掛跳ね上げはありがたいです。

 今朝の朝日新聞の「青鉛筆」でも早速取り上げられており、マイカーが主流の家族旅行を引き戻す一手と紹介しています。
 まあ2週間の試行で、8号車で2台のみというささやかな規模ですが、将来的には恒常的かつ拡大して欲しいサービスです

「動き出す日」〜新幹線で行く品川レポート
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/10/10 16:04:10)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs
─品川食糧戦?
 └エキよりもカキが気になる品川事情(苦笑)

 10月1日改正で、品川駅開業、「のぞみ」中心ダイヤへの変更など、開業以来の変貌を遂げたともいえる東海道新幹線ですが、幸運にも東京出張の機会を得、しかも品川駅利用が便利なスケジュールとあって、早速活用してきました。

●「新・新幹線」
 急な決定で、前日のお昼前にようやく指定券を買いました。例によって六甲道の金券屋で買いましたが、別項の通り神戸市内発着はほぼ原価です。ちなみに東京で見た価格は今回も8月の価格と同じです。大阪市内では神戸よりさらに100円安いと言う情報もあるので、東西で同じ回数券が750円の価格差という「ビジネスきっぷ」時代には無かった異例の事態になっています。

「新幹線回数券」の相場(10月初旬:神戸市内調べ) 015-4.html#11

 で、隣の六甲道駅で指定を受けましたが、今回は趣向をかえて「みどりの券売機」を試しました。案内係がついてサポートしてましたが、いきなり回数券を紙幣挿入口に入れようとして、こっちですと案内されたように、慣れないと戸惑います。
 普段なら帰りはオープンにするのですが、ある目的意識があったので帰りの指定も受けました。窓口なら指定列車が券面に記載された1枚ものに差し換えになるのですが、こちらは「***円」表示の指定券が別途出てきます。

 神戸市内−東京都区内の場合、乗降駅が新神戸、新大阪、品川、東京の4駅になるので、乗車駅を4駅から選ぶ方式。もちろん乗車駅を選択したら降車側は2駅になりますが、手順が多い印象です。
 禁煙、喫煙を選び、窓側、通路側、特に指定しないに分かれた座席位置を選びましたが窓側は満席。で、特に指定しないを選ぶとなんとB席。しかも奇数号車の18番ということは目の前が壁...せめて通路側を選べば良かったと思いましたが後の祭。もっとも、18番の通路側でも当たった日には目の前でドアが開閉ですからもっと悲惨ですが。

 翌日、三ノ宮まで神戸線普通で出て地下鉄に乗り換え。市内駅制度のお蔭で地下鉄を別払いするだけで済みます。三ノ宮で下車する際に有人改札で新幹線乗り継ぎを告げると、◇型で新幹線乗換と入った下車印が押されました。ちなみに新神戸だと同じく◇型で在来線乗換と入りますが、通常の小判型と違う幹在乗り換え用の特殊下車印だそうです。

 新神戸停車の「のぞみ」は既に満席だったので指定は新大阪7時17分発の108A「のぞみ108号」。そのため新大阪までは新神戸6時51分発の302A「ひかり302号」でつなぎます。
 新神戸駅の空席情報を見ると、当日朝というのに11時台に東京に着く列車から空席が現れており、ひところのように13時頃まで前日の段階で満席というのと比べると空いているのでしょうか。
 下りの0系「こだま631号」が出ると302Aの到着。「...。途中の停車駅は、名古屋までの各駅と、浜松、静岡、三島、品川です。」と言うアナウンスや、米原や岐阜羽島も含めて延々と停車駅を映してスクロールするLED表示に、むかしの「ひかり」今いずこという感慨が襲います。

 300系の302Aは岡山発「ひかり」の一番列車。姫路と西明石は20分前に300Aがあります。
 数両おきに青い円形の「AMBITIOUS JAPAN!」「のぞみは、かなう」のステッカーが貼られており、700系先頭車のステッカーは知っていましたが、これにはびっくりです。ちなみにこの円形ステッカーはJR東海持ちの300系、700系全編成、700系先頭車もJR東海持ちの全編成のようで、気合が入っています。
 新大阪までなので自由席に乗りましたが、実際にはこの区間、指定席の空席に座っていても、検札でも特に何も言われません。回数券での指定券は、途中乗換での発行はしないようですが、新神戸や、一時期全列車乗り換えを伴っていた(改正で設定がなくなったが)西明石関係の場合、どういう取り扱いの内規になっていたのか気になるところです。指定席乗車が可能なきっぷですから、差額500円を徴収して席番を指定しない指定券を発行するわけにも行きませんし。

 車内は8割程度の乗車。ただ、新大阪で7割方入れ替わり、結局8割程度の乗車で発車しました。

●「のぞみは、かなう」
 108Aの指定席は前寄りだったのでホームを行進。この時間帯、新横浜停車の106Aと品川停車の108Aが7分間隔で雁行するダイヤです。
 指定された席はやはり目の前が壁。折り畳みのテーブルが大きいのはいいんですが、網袋がなく、テーブルを畳むと新聞やペットボトルと言った小物の置き場がなくなります。

 7時17分、定刻に発車。今までお馴染みのチャイムではなく、「のぞみ」専用チャイムで放送が始まりましたが、自動放送のあとでいきなり「この電車は全車指定、失礼致しました、のぞみ108号...」とまだ慣れないようです(苦笑)
 車内は拍子抜けするほど空いています。ざっと20〜25%程度で、編成全体でもどうでしょうか。少なくとも隣の車両は同じくらいで、2個列車で航空機1機分という感じでは、航空のシェアを実証すると言う感じです。

 7時34分の京都ではさすがに乗ってきます。私の隣のA席も埋まり、ざっと7割程度の入りになり、朝の新幹線らしい雰囲気が戻ってきました。
 席の環境が環境なので新聞を読み、コーヒーを飲んだら寝るくらいしかありません。車端の席にはパソコン使用を考慮したコンセントがABC席に1個とDE席で1個の2箇所ありますが、電圧低下や停電の可能性がありますのでご注意をと書かれているのを見ると、最近の機器は対応があるとはいえちょっと不気味です。実は東名間走行中に目を覚ましたら隣席の人がパソコンを使ってましたが、衆人環境で使うのはあまり良いものでもないでしょう。

 満員の311系8連の普通と並走しながら名古屋着。8時12分発ですが、ここで空席が消えて満席に。まだ時間が早いせいか、もしくは自由席で我慢しているのか、名古屋での降車はほとんどありません。108Aは京都に続いて名古屋も副本線側に入りましたが、先行の106A、岐阜羽島で抜かれた302Aが追ってくるので、交互使用でスジを立てているのが分かります。
 ほとんどがビジネスマンでは、新聞のかすれ音くらいしか聞こえない気だるい雰囲気。ただ、部下か同僚連れでの出張でしょうか、あれこれ話す声も聞こえますが、日中の列車のお喋りと違う雰囲気です。
 車販はJRCP担当で、黄色いワゴンに主だった商品の価格が書いてあるのは親切です。特に呼ばわることもなく、ワゴンのチャイムで存在をアピールしていますが、ちょうど車端部だったので見ているとデッキに出たとき、向き直って一礼しています。JR西日本の車掌のように折り目正しい姿は好感が持てますが、肝心な車掌が後ろを見ずに通りぬけるのはどうでしょうか...
 ちなみに、極めて個人的なことですが、このワゴンのチャイム、メロディのキーが私の携帯の着信音と似ているのです。ですから聞こえてくるとハッとするんです(苦笑)

 新横浜を通過するといよいよ次は品川。610A「こだま610号」を追い抜きましたが、抜かれる方にとっては108Aも品川停車なのに、という思いがあるのでは。
 「只今、新横浜駅を時刻通り通過しました」のアナウンスがないままに列車は進み、都内へ入ります。西大井あたりでチャイムが流れ、品川到着を告げるアナウンスが入りました。今までなら「まだまだ」の距離ですが、そう言えば100系なら「あと15km」と出てくるタイミングでしたね。
 車内がざわつき、通路に並ぶ人が目立ちます。大崎付近のカーブでは、これまでは「減速」でしたが、今度は「駅近し」という徐行です。併走するE217系が抜いて行き、今までは軽く潜って高架に駆け上がる感じだった八ツ山トンネルでは到着寸前のスピード。LEDは早や「品川」のみの表示で、9時45分、品川駅21番線に到着しました。

 見ていると降りること降りること。各車両半分近く降りる感じで、ホームをスーツ姿の大群が埋め尽くしています。手近な階段、ESは北側の通路ですが、中央の通路に出てみようとホームを歩くとこれが遠いのなんの。7号車あたりまで北側通路につながる階段で、中央はその先3号車付近です。
 手近な階段を上がっても7号車あたりまでコンコースを歩かされる計算ですから、相当ホーム位置が東京寄りに偏っているのは横須賀・総武線や東海道線ホームのようです。
 歩いているうちに新横浜で抜いた610Aの到着(9時49分。これも交互発車で22番線着)ですから、下手をしなくても2個列車分の降車客が滞留する感じです。

 真新しい改札を抜け、明るいコンコースからの乗り換え通路は意外と狭く、抜けたらかつて通いなれた13番線への降り口でした..

●AMBITIOUS JAPAN!
 さて、仕事は早め進行で終了し、指定の列車まで余裕があったので、新装なった品川駅を観察してみました。
 山手線ホームやコンコースでは、会社の違いもあるんでしょうか、別段開業記念の装飾もなく、秋の東北へ誘う広告だけが目につきます。
 ホームや階段の乗り換え案内も、13番、14番線の横須賀・総武線まではラインカラー入りの案内ですが、新幹線は京急と同じく「他社線」チックな扱いです。もっとも、今のスタイルになったとき、京急の案内がそこに無かったという笑えない話があったわけで、それに比べれば何倍もマシです。

 北通路から乗り換え改札に向かいましたが、いつもの通路が少し屈曲して新幹線コンコースにつながる格好です。人形焼のワゴンが1台出ているのが、「新しい玄関口」らしさをわずかながら演出していますが、それを除けばいつもと変わらぬ普段遣いの駅です。
 乗り換え改札付近はさほど広くない、というか南側より狭い感じで、降車客が自然体でコンコースに向かった時、南北の通路が受け持つ人数に大きな偏りがあるのに、多い北側の方が狭いというのは心配事です。

 いったん改札を出て、自由通路を港南口へ向かいます。薄暗い演出の通路を行き、新幹線エリアに入ると高い吹き抜けと明るい内装が目映い空間です。見上げる天井から、「AMBITIOUS JAPAN!」のイメージキャラクター、TOKIOの面々が大きく映る垂れ幕が四方に下がり、みどりの窓口やツアーズにもTOKIOのポスターが張り巡らされています。
 そしてそこを抜けると再びJR東日本エリアになって港南口。右手の工事空間は品川イーストビルの工事現場ですが、施主がJR東日本と、JR東海はあたかも離れ小島です。

 その構造が幸いしてか災いしてか、乗り換え客も乗降客も、まずJR東日本の窓口を経て、JR東海の窓口に至る格好になっています。これでは発券業務は根こそぎもって行かれるようなものですが、ではJR東海の窓口は空いていて早いといいたいところ、ハウスカード以外のカードが使えないわけで、新幹線改札の脇のみどりの窓口に、「こちらの窓口はエクスプレスカードとJRカードだけです。下記のカードをお持ちの方は後ろのツアーズ窓口へ」という趣旨の張り紙が総てを物語っています。
 まあツアーズが通路を挟んだ対面の「みどり」併設というのはそれはそれで便利で、カウンターの後ろには安さを強調した「ぷらっとこだま」のポスターが目を惹いていましたが...

 さて、出張帰りのお楽しみといえばやはり車内で飲むビールです(爆)
 これまでの東京駅ですと、何をおいても大丸の「ごちそう広場」でして、多彩な弁当、惣菜から選び、酒類も定番から通好みな銘柄まで各種揃っており、これはこれで心ときめく瞬間でした。
 しかし、品川には当然ですが大丸はありません。取り敢えず高輪口を下りたところにある成城石井をのぞいて見ましたが、はっきり言って期待外れです。

 実は時間がまだあったので、泉岳寺まで往復して、パスネット+新幹線回数券での連絡改札通過を試したんですが、あとから考えれば京急下りホームのシウマイの崎陽軒が弁当の穴場です。
 もちろん、品川といえば常盤軒で、崎陽軒ともども大丸でも弁当売り場の一等地に出店しているだけに、今日は常盤軒と思っていましたが、いざコンコースの売店を見てがっかり。大丸での品揃えに劣るのは仕方がないとしても、なんかどの弁当もお菜が似たり寄ったりで冴えません。

 新製品「三宝物語」にしても、世界の3つの味という触れこみですが、米のフライドチキン、伊のサンドウィッチ、日の栗入り赤飯という取り合わせでは箸が進むどころか止まります...
 結局、お勧めの「こだま」を買いましたが、妙に重い。内容は後のお楽しみです...(笑)
 もちろん、南通路にはNRE、新幹線改札内にはJRCPと東京駅でもお馴染みの両者があり、手堅くいくのであればまあ間違いは無いですが。JRCPでは品川限定駅弁も出しているようですし、そちらの方が無難かも。

常盤軒 http://www.tokiwaken.co.jp/orizume.htm

 酒とつまみも難物で、南通路のコンビニくらいしかなく、乾き物しか無いです。
 新幹線改札内(北通路側)にはカフェテリアがありますが、東京駅や新大阪駅のように商品が置いてある感じでもなく、気の利いた惣菜をつまみに飲むというのは品川に限っては非常に難しいです。
 改札内南側では弁当売店のほかはキヨスクしかないのも難点で、北側であればコンビニがあり、そこにそこそこ酒類も揃っていますが、コンビニのほうは補充が追いつかないのか、最初に見たときにはビールは「スーパードライ」だけだったのに、少し経つと「一番絞り」だけというように、ちょっとお寒い様子です。

 もう一つ問題なのは、土産物の問題です。
 出張帰りであれば家や職場へ。これから出発であれば先方への手土産と、それなりに需要はあるわけです。東京駅なら結構揃っていますし、それこそ大丸へ行けばどこへ出しても間違いのないレベルのものが手に入ります。
 しかし品川となると難物で、コンコースの土産物も「東京ばな奈」「ひよこ」「塩瀬総本家の饅頭」「松崎煎餅」程度と、とにかく種類が少ないです。
 さらに、そのラインナップも問題で、家や職場と言った「ホームグラウンド」へと考えると、毎度毎度で芸が無い、というほどのメジャーなラインナップですし、「客先への手土産」で考えるともう少しランクの高いものがほしいところです。
 このあたり、首都・東京の新しい玄関口を自認するのであれば、それに相応しい、またそれ特有の需要に応じる気配りがほしいところです。
 現状だと、そのうちに降りるのは品川だけど、乗るときはやっぱり東京、という使い分けが進むかもしれません。

●「新神戸へ、のぞみ続々」
 帰りの列車は品川17時58分発の31A「のぞみ31号」。往路が700系でしたから、復路は500系と両社の看板車種の乗り比べという見立てです。
 博多行きということもあり、混むかなと思っての前日予約でしたが、品川駅ウォッチングの途中、コンコースの「みどり」のモニターを見ると、17時15分頃で×が21分の135Aだけで、あとは△でも無く○が並んでおり、次の列車という購入で本当の直前に埋まる傾向のようです。

 早めに連絡改札を通り、ホームをウォッチングしましたが、改札にはラジカセが置かれて、TOKIOの曲が控えめに、しかしガンガン流れています。売店にもCDが置かれてますが、意外なTOKIOグッズとしては無料配布のポケット時刻表。普段は冊子式のJR西日本バージョンを重用していますが、今回は変哲も無い「新・新幹線」よりもこっちでしょうね(笑)

 17時半の475A「こだま475号」、34分の137A「のぞみ137号」、40分頃通過の63A「のぞみ63号」を観察。137Aと交互発着になるため23番線に回った475Aは7割程度の乗りです。137Aは自由席が7割程度で到着。品川でも埋まらず名古屋に向けて発車しました。まだ新横浜の乗車を残す63Aも同程度で、指定席の方が心持ち混んでいましたが、この時間帯で空席があると言うのもちょっと辛いですね。
 ちなみに品川での停車時間が短いようで、各扉まだ乗車が全然終わっていない段階でベルが鳴ります。空いた乗車口へお回り下さいと促してますが、通勤電車と違い、隣のドアは遠いですから移動はリスキーです。これも「玄関口」なんですからもっと余裕を持った停車時間が欲しいです。

 お楽しみグッズ(爆)を携えて31Aを迎えましたが、案内の自動放送で「新山口」だけ声が違います。品川開業と同時改称なのでなぜと思いましたが、他駅と共通なんでしょうね。
 31Aは一転して自由席が満席。指定席のデッキも含めて立客がいます。席を確認して荷棚にカバンと上着を置き、席につくともう発車です。
 これまで品川までが助走で、そこから横須賀線の上に出て大井方面の遠景を眺めることで出発気分が盛り上がっていましたが、品川からだとあっという間に多摩川という感じです。
 今回は狭いと評判の500系の窓側に座りましたが、FRPを多用し、かつ白さが目立ち落ちつかない300系や700系と比べて、特に夜の行路においては500系のインテリアは落ちつきます。貫通路の処理も、円形断面の車体を逆手に取って円弧が重なるデザインは見事ですが、抑え金の角の塗装が剥げていたり、メンテがちょっと疎かになっているようです。

 31Aは品川の次は新横浜に連続停車。山陽、九州直通ゆえ、木目細かく首都圏での利用を拾う意味があるのでやむを得ないですが、ちょっと鬱陶しいのも事実です。ここで満席になり、デッキの人影も多いです。
 闇が支配する東海道を270kmで駆けますが、確かに300系ほどではないですが、700系と比較すると揺れが大きいです。ビールを空け、夕刊紙を読むというオヤジモード全開で寛ぎ、スクロールするニュースを目で追いますが、300系、700系などと比べて白色は見辛いです。
 で、満席の盛況のせいか、それとも品川の物足りなさのせいか、車販が戦場のような忙しさです。6号車の自席に最初にきたのは新富士を過ぎ、もうすぐ静岡というあたり。1列ごとに呼び止められ、ビールが切れてサービスコーナーに走り、弁当が無いとまた走りと大変です。ワゴンを下げた別働隊がそのうち補給部隊になる有り様で、大儲けでしょうが大変です。

 愚図ったので連れ出したのか、指定が取れなかったのか、デッキで泣く子をあやす母子連れの泣き声がドアが開くたびに聞こえてきます。三河安城通過時の「只今、三河安城駅を...」の放送も上りの新横浜同様無く、18時33分に名古屋に着きました。
 で、驚いたのは降りる客の多いこと。35%程度が降りています(座席定員がちょうど100人なので、降車客数=%)。もっとも、10%程度の乗車もあり、このあたりが山陽直通というところでしょうか。
 京都では15%程度の降車で乗車は少数。新大阪まで乗るのは名古屋乗車組を含めて半分強と言ったところです。
 名古屋の先でさきほどの弁当を遣いましたが、妙に深い立方体に近い容器に白飯と茶飯が半々。その上にお菜が載ってますが、基本的にご飯がメインという感じで胃にもたれました(苦笑)空腹時には良いでしょうが、容器が深く、底の方に箸が届きにくいのも難点です。

 新大阪到着時に、「ただいまJR神戸線は人身事故がありまして運転を見合わせております」と悪夢のアナウンスが入りました。摂津本山で人身事故があったのですが、幸い、神戸市内の回数券で新神戸降車にしていたので地下鉄と阪神乗り継ぎで帰宅できたので助かりました。
 新大阪では20%程度の下車で乗車はほとんどありません。やはりレールスターに流れるのでしょうか。
 車内は3割程度になり、そして六甲トンネルを抜けた新神戸に到着は20時42分。降りたのは10%程度で、降り立ったホームを見渡すと、全体で120〜150人程度の降車でした。
 乗車はほとんど無く、岡山へ向かう車内は閑散としており、厳しさが募る光景でした。

品川食糧戦?
 投稿者---551planning(2003/10/11 10:57:10)

 東京在住の当方が未だ品川駅に行けず…ですが、詳細なレポートありがとうございます。
 「お楽しみグッズ売場」ですが、まぁ規模含め東京駅大丸は敵無しでしょう。逆に訪阪の帰路にさて何を…というときにツマミ系をいうわけにもいかないですからね。まさか阪神百貨店のイカ焼きや551の豚饅を車内で…というわけにも行かず!
 ただ東京駅ホームにはそれこそ昔語りになった100系風のカフェテリア売店がありませんでしたっけ?まぁあそこもショボイといえば…。

 品川では成城石井の反対側、京急品川駅1F・B1の旧京急ストアーが新装開店してウイング高輪Eastとなっており、B1は惣菜や菓子売場となっていますが、無論JR乗継客が訪れる事は出来ず、周辺状況から云っても東京駅大丸の商圏とは比べ物にならないですからねぇ…どれくらいの集客能力があるかはちょい疑問ではありますが、未確認ながら神奈川新聞では京急駅・ウイングともに好調との羽振りの良い記事が出たようですよ…。

ウイング高輪East http://www.wing-net.ne.jp/east/gourmet2.html

 JR-E構内もこれまでは乗換拠点としてカレースタンドや蕎麦屋等の集まりがありますが、あんまり売店の印象はないですね。崎陽軒や常盤軒もありましょうが、こちら側はそんなに手が入っていないということでしょうか?蛇足ながら京急売店なんかでは大船の「鯵の押寿司」を扱ってましたが、どうでしたかね?
 まぁこの「品川食糧戦」、本命というべき来春のJR-E品川イーストビル開業がひとつポイントかと。アトレ品川となるショッピングゾーンにはクイーンズ伊勢丹がキーテナントとなるようで、これはまた成城石井と被らないのかな?あとレストランですがニューヨーク・グランドセントラル駅「オイスターバー」第2号店が出店になるそうで。名前は聞いた事がありますが、これはエル・アルコン様に御紹介賜れればと…。

品川イーストビル http://www.jreast.co.jp/press/2003_2/20031002.pdf

***
 さて、エル・アルコン様が遣われた「こだま弁当」とは名古屋ので? ところで、当方行ってないとはいえ結構TVでやってた事もあって家人が弁当を買ってきてくれまして、JRCPが開業記念で発売した「品川駅御弁当」という幕の内(祝品川と焼きの入った玉子焼き入りの奴…御記憶の方も?)を食べたのですが、御飯がいまいちでした…。「品川貝づくし」は貝ごとに炊き分けられているらしく「いい仕事してる」とTVで女性弁当評論家?の方が云ってましたね。乗務パーサーは「おもてなし弁当」がオススメとか。これは見た目も結構美味しそうです…皆様の中でもお試しになられた方はいらっしゃいますでしょうか?

JRCP http://www.jr-cp.com/topics/contents.htm

エキよりもカキが気になる品川事情(苦笑)
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/10/11 23:59:06) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 東京や新大阪のホームのカフェテリアのつまみ系はそこそこありますよ。
 気の利いたものとしてはチーズ類のセットとか。JRCPのワゴンサービスで赤・白のワインを扱っているのとリンクしている感じで良い感じです。

 新大阪の場合は梅田で買って1駅通勤電車で揺られてというのは無いですが、JRW側のコンコースの売店が出色です。弁当も水了軒の定番メニューのほか、コンビニ弁当のような実質重視のタイプも豊富です。
 まあ、弁当メニューという意味では、新大阪のほか、新神戸にしろ京都、名古屋にしろ目先の変わった弁当が豊富で、さらにJRCPの売店もありますから「定番」もしっかり。ですから首都圏起点での「帰りのお楽しみ」は苦労しなかった記憶があります。

 品川に話を戻せば、「こだま」は有名な名古屋の「ひかり」「こだま」ではなく、常盤軒オリジナル。ボリュームは名古屋の比ではない感じです。
 JRCPの品川オリジナル弁当は気になりますが、新幹線改札を入るまでお目にかかれないというところが難点で、「もし無かったら...」という懸念から手前の常盤軒やNREで購入という頭ハネを食らうことを考えると不利な勝負です。
 JRCPもかつての「高かろう...」の定評が尾を引いているきらいはありますが、だいぶ良くなっており、「21世紀出陣弁当」のように瓢箪から駒のように定番化したものもありますし、季節商品にも力を入れるなど、目先の変化への対応はヘビーユーザーにとってもありがたいです。

***
 余談ですが、551さんが振ってきたオイスターバー、魚介類を生で食べない米国人ですが、カキだけは例外、というか、アサリなどの貝も生で食べる、という文化に裏打ちされているので、これは楽しみですね。NYのロングアイランド鉄道の支線の終点に「オイスターベイ」という駅(地名)もありますし。
 NYの店では産地その他で異なる「カキのメニュー」がありましたが(実際味わいも異なります)、品川店はどうでしょうか。ちなみに日本からの直送か、それとも種が日本産なのか、「ミヤジマ」という種類もメニューに載ってました。

 ただ、白ワインで楽しむ作法なので、日本酒の冷えたのを傍らにという感じではいかないのでしょうからこれは残念ですが(爆)

2005.06.02 Update

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