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【検証:近未来交通地図】 特別リポートNo.054
都市再生オフ都市再生オフ
第1回都市再生オフ開催仔細
(2004/05/08)
下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。

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 【検証:】調査会情報板で計画を進めていた、第1回の「都市再生オフ」を去る5/8(土)に開催しました。簡単ではありますがご報告を。

□ 開催経緯

 まず情報板と重複しますが、開催に至る経緯について触れておきます。
 【検証:】ではサイトオープン時より、『皆様と顔の見える関係構築』を標榜して積極的にオフ会を開催してきました。単なる乗り回し会ではなく、各人がいろいろな視点を持って参加し、当日の懇親会や事後にはBBS等でやり取りをする…という「現地調査会&懇親討論会」スタイルを採用し、おかげさまで回を重ねることで、会をサポートして頂ける「ナビゲーター」によるポイント説明およびスムーズ運営という新たなスタイルが見えてきました。先の日立電鉄鮟鱇オフや今度の富山ホタルイカオフなどではナビゲーターの方に率先していただいて企画を進めて頂いております。

水戸・日立現地会“鮟鱇オフ”備忘記 053.html

 そんな折、別途オフ会開催の提案がありました。「都市再生オフ」と題して、「旧国鉄用地および大江戸線・南北線沿線の再開発の実地検分」や「都市再生・住宅の都心回帰がもたらす鉄道需要への影響についての検証」を行おうというものです。この提案を見た際に当方の脳裏に、以前にオフ会参加者の皆さんと「まち」に拘った現地調査会もやってみたいですね、という話をしていたことが掠めました。交通分野も含めた広い視点で追っかけてみようというもので、前には丁度昨年の半蔵門線延伸の際に下町あたりをぷらぷらと似たようなこともやっていました。

 ひとくちに都市再生といっても、再開発ビルによるまちづくりという側面だけでなく、オフィス需要、住宅環境整備、道路・鉄道や各種ライフラインといったインフラ整備などが複合的に絡まり、さらには歴史的、地理的、政策的観点にもつながってゆく多角的な検証ポイントを有しているものです。さらには東京、首都圏や「都市中心部」だけでなく、観光地から過疎地域に至る、いわば日本全土の再生、見直しの検証につながるものと云っても過言ではないのではと考えます。その点当初の提案はかなり偏った、かつ明確そうで漠然としたものに感じられたため、事前議論の必要性を感じました。

 さらには、提唱者から『これまでの【検証:】のオフ会はいつの間にか仔細まで決まっていて、参加するにもなんともの“不透明な”雰囲気がある』との指摘も受けました。これについては当方自信はそう深く考えていなかったところではありますが、ある程度の最低催行人員を確保すべく常連諸氏とメール等でのやり取りを進める中でオフという形がつくられ、ほぼ確定段階でオープン化していたのも事実な点、さらにはオフ参加者の固定化という実態に、多者の参加を求めているわけではないものの、より多くの【検証:】参加者との交流スタイルを求めていた当方として悩ましさを感じていたということもありました。そこで、先に挙げた「ナビゲーターによる支援スタイル」の進展とあわせ、オフ会提案から開催へのよりオープンな形の模索を行うべく、調査会情報板の立ち上げを行ったものであります。率直に云ってそのきっかけのひとつに、『数年間に及ぶ定例オフのかたちにしたい』という提唱者の思いに強く感じるものがあったということを付記しておきます。

 その意味においては、事前議論が捏ねられたかというと当方としては不満な部分もあったのですが、時期的や「都市再生の何たるか」の意識集約の観点から、とりあえず1回やってみようということで開かれたのが先のオフ会ということになりました。よって、教科書的といいますか、昨年来の“都市再生的流行先進地”というべき六本木ヒルズ周辺と八重洲・日本橋界隈を巡るという企画にしました。後述しますが、今後については提唱者をはじめ皆様から広く目的地と主題の明示を大いに期待したいと思います。なぜなら当方自身も知見不足名ところが多々あり、一緒に勉強したいというのが本音ですので…その点1回目はあまりにもベタだなぁと思っていたのですが、ふたを開けてみると個人的には成功だったなと思っております。

都市再生オフ

 というわけで、5/8(土)の14時に、場所も六本木交差点アマンド前という思いっきりベタなところにしてみました。当方は南北線で六本木一丁目で下車、泉ガーデン(住友不動産 2002年)内をぶらつきましたが、飲食系ショップも落ち着いており、穴場的に寛げる空間でありました。そのあと首都高谷町JCTの下から坂を上り詰めて六本木交差点へ。かもめ様とlatir様が到着し暫し話をしていたものの、かもめ様が所要のため早くも離脱…正直提唱者がいないのかよ、と軽くツッコミを入れてしまう展開になってしまったのではありますが、予定時間から暫くして打越健太郎様とさいたま市民@西浦和様が到着、都合4名で出発です。

■ 六本木散歩

 まずは六本木交差点から北側に暫し進んだ、かもめ様御所望の檜町防衛庁跡地へ。2000年までに移転が完了、翌年の一般競争入札で取得した三井不動産Gが「東京ミッドタウンプロジェクト」として昨年より整備を進めています。今回の講師役をお願いしているさいたま先生が東京江戸重ね地図をお持ち下さった(毎度お世話になっております!)のですが、なるほど昔は松平邸ですか。現在は丁度更地化して地盤整備を行っているといった感じ、ぽっかりと地色が見えるなだらかな起伏を持った約10haの光景は用地の広大さを改めて印象付けるものでした(ちなみに六本木ヒルズ(森ビル 2003年)は約11ha)。後程六本木ヒルズでも話が出ましたが、現状を見る限りに都営大江戸線の改札がひとつと周辺道路も拡幅途上という感じで交通系アクセスがどのようになるか注目です。乃木坂から歩かせるかぁ?

都市再生オフ都市再生オフ

 ここから六本木通り北側の小道を分け入ってみます。歌舞伎町とはまた違う猥雑感も太陽の下では目立たず、むしろ今で云えばSOHOの走りとも云うべきオフィス兼用マンションなどが立ち並んでいます。外国人目当てのマンスリーマンションなどもありますね。江戸の昔は寺社の集まりだたようで、名残を留めるかのように木々が生い茂った、趣きある公園から空を見上げるとヒルズ森タワーがでんと聳えていましたが、結構閑静な空間に違和感というか、ある種の「東京らしさ」をふと感じたのでした。

都市再生オフ

 六本木通りに進むと環状3号線との交差部。六本木トンネルとヒルズ直下の麻布トンネルの整備が周辺道路環境に多大な影響を与えたことを再確認しつつ、いよいよ六本木ヒルズへと向かいます。多くの方が日比谷線六本木駅から地下道を進んでメトロハットからタワー正面にという経路であろうと思いますが、当方も唯一そのルートだけしか使っていなかったので、脇から急に人込みの中に突っ込む形となった今回のアプローチは新鮮でありました。

 当方以外の方は初めてという六本木ヒルズ。まずは正面玄関へと向かいましたが、かの回転ドア圧死事故以後完全閉鎖されているようで、そこだけひっそりとしていました。一応祭壇的に白布で覆われたテーブルが置かれていましたが、警備員つきで立ち寄る雰囲気にはありません。遠めに目礼しました。このあと間違って脇から入るもオフィス部への入り口ということで引き返しましたが、かの正面玄関もそのオフィス部へのアプローチということで、母子がなぜそこに「引き寄せられた」のか…ひとつにはオープン以来云われている「迷路的構造」にあるのかもしれません。当方自身久々でしたが、案内掲示等の整備は進んでいるようには思えませんでしたが…。

 さて、当方的には住居棟などヒルズの全体像を見てから上に上がろうと思ったものの、タワー展望台への経路はかなりの行列の様子。まずは上がってみましょうということになりましたが、展望台まで20分ほど待たされました…実は展望台入口とは別、階下の経路入口の向かいにあるインフォメーションカウンターでも発券しているようで、混んでいたらまずはそちらで買ってワープされることをお勧めしましょう、特にカップルの方!
 ということで我等男4人衆は無事展望台へ。スカイデッキとオープンエアスペースが閉鎖だったのは残念でしたが、春霞ながら川崎や川口のタワーを目に捉えながら東京の再開発拠点や道路整備計画などの記憶と照らし合わせつつぐるっと1周望んでゆきます。森林の多さを改めて指摘した人もいらっしゃいましたが、皇居のほかにも皇室関連取り混ぜてあるものです。なるほど、やはり六本木トンネルの上は米軍ヘリポートでしたか。改めてみる防衛庁跡地は広いですが、いずれ森タワーに比肩するビルが立ち上がるというのは俄かに信じ難い気もしました。

都市再生オフ

 相変わらず行きと帰りの動線の入り混じる広場を抜けて下に降り、今度は森都市未来研究所を訪ねます。ここではオープニングイベントを飾った「世界都市展」の1/1000都市模型が企画展示に合わせる形で一部公開されているのですが、訪問時は映画「イノセンス」(押井守監督作品)の都市世界とのタイアップ企画が展開されており(既に企画終了)、上海と東京の都市模型が展示されていました。当方は「世界都市展」見たさに以前訪問しており、山手線内を再現した東京の都市模型に圧倒されたものですが、今回はその1/3程度の展示。しかし皆様もいたく気に入られた様子は当時結構吹聴していた当方にとってもなによりでした。まあ改めて見ても良くつくり込んでいるものです…今回端部となった信濃町近辺を走行中の電車の両数を数えて「11両はミスだなぁ」と云ってしまうのは【検証:】らしいところでしたが。

森都市未来研究所 http://www.muf.jp/

 というわけで、あっという間に所定時間をオーバーしつつ、各人堪能して「下界に降る」こととします。その前に売店で思い思い買物をされていましたが、「都市のチカラ」(森ビル都市再生プロジェクトチーム著、幻冬舎刊 1,575円)はオールカラーで読み易くデータも豊富と、都市再生オフの副読本のひとつになろうかということで当方含め購入してみました。これから読むところですが、追々良い内容があれば紹介できればとも思っております。

都市再生オフ

 1時間振りの下界に降り立って、住居棟から麻布十番方面に廻り込む事としました。西側の入口となるけやき坂テラス横では丁度ベロタクシーが休んでいたので本物とパチリ。さらに住居棟裏手のさくら坂通りを進むと喧騒が遠のき、もとの斜面を活かした公園では青い目をした子供たちが気ままに遊ぶ姿も見られるなど、まさにビジネスとアミューズメント、そしてリビングが一体となったゾーンの真骨頂を味わったのでした。さらに進んでオープンカフェの中を抜けてけやき坂通りに戻り、ブランドショップやテレ朝の横を抜けて東側の交差点からは南進して麻布十番商店街へ。「このあたりの人は何処で買い物するのか?」という問いかけの答えを実見しつつも、麻布十番通りの車の抜けようも気になり、つい「モール化できないものですかね」という話へと展開してゆきます。
 それにしても、当方も久々の麻布十番ですが、1年ほどで結構垢抜けた感じを抱きました。新たな流動が街を変えたと云ってしまえばそれまでですが、つい純な古さを目で探している自身に気付かされたもので…。

■ 日本橋散歩

 南北線、銀座線と乗り継いで京橋で降り、3月から走っている無料巡回バス「メトロリンク日本橋」に乗って八重洲・日本橋界隈を巡ります。台場・丸の内に次ぐ日の丸自動車興業プロデュースの路線ですが、こちらのバス停(ちなみに京橋ではビルの壁にシール張りになっていました)にはついにというか時刻表が掲げられていませんでした…15〜20分間隔であることや無ダイヤ状態になりがちな丸の内の例を踏まえてということでしょうか。と、バスがやってきました。「丸の内シャトル」と同じタービンEVバスながら江戸名所図屏風を描くなどお洒落な外見に仕上げています。銀座方面に一番近い停留所ということでか多くの降車があったものの車内は座席定員を超える30人近い乗りようです。

都市再生オフ

メトロリンク日本橋 http://www.hinomaru.co.jp/metrolink/nihonbashi/report/index.html

 昭和通りから八重洲通りに入って八重洲口前の2停留所で車内がさらっと入れ替わり。永代通りから中央通りに入って三越のライオン像の前で車内はがらっと空きました。我々はもう少し乗って日銀の脇を掠めてから三越の向かいの停留所で降ります。当方このメトロリンクは初乗でしたが、【検証:】でも既に指摘されているように、ルート設定にやや難ありかなと感じた次第です。
 さて、ふと見上げると室町三井新館(三井不動産 2005年予定)がだいぶ立ち上がってきています。更に日本橋方面に進むと三越新館も今秋のオープンに向け仕上げの段階。歩道部の防護工の化粧板には『道再生・都市再生 民間と公共が連携した、道路空間の再構築による地域の「再生」』と題して、三越前地下街と新宿駅南口甲州街道架替再整備、渋谷駅前周辺整備工事の各イメージ図が掲げられていました。メトロリンクのデザインに併せ江戸の風景を描いた化粧板にはかつて社業発展の要であった地域の再生にかける三井グループの心意気も感じたのでした。

都市再生オフ

 ここで日本橋でしばしまったりと。関鉄メガライナーを見送り、タイミングを見て道路元標をパチリ。首都高が煩いとか地下化をとかの話の現実性を占いつつも、それなりに首都高桁も化粧されているからこれはこれでいいのではという話や、川こそどうにかしなければとか。高知のはりまや橋は大袈裟なれど、親水公園的処理もできるのでは…と話は膨らみます。そうこうしているとようやくかもめ様が復帰、今オフもうひとつのキーポイントであるCOREDO日本橋(三井不動産 2004年)へと向かいます。

都市再生オフ

 ここで当方は所用でしばし離脱、皆さんは建物内を一巡したあと、玩具のタカラが直営するアンテナショップ「GARAGE」内のフレッシュジュースカフェで一息入れていらっしゃいました。当方はQ-CARや電動自転車・原付などを見て楽しんでおりましたが、さて皆さまにはCOREDO如何でしたでしょうかね…当方はこちらも前に訪問済みでしたが、6階分の吹き抜けなど建物も目新しさこそ興味深いものの、昔日の東急百貨店日本橋店にお世話になったものとしては、いわばどこにでもあるようなオフィス主体で中途半端な規模のショッピングゾーンとなってしまったことはちと寂しくもあったのですが…。

 周囲も暗くなってきたということで、最後に中央通りからさくら通りをそぞろ歩き。ライトアップされた高島屋に「きちんと外壁を掃除しているのは立派」との指摘も上がります。さくら通りの両側も再開発ビルが建ち並びつつ、金券ショップやファーストフード系がひしめく雑多な空間が混在することで活気が見られていますが、周辺の風紀的悪化傾向は気掛かりなところではありますが。
 さらに国際会館跡と鉄鋼ビルの間から丸の内トラストタワー(森トラスト 2003年)のGRAND CENTRAL PLAZAに向かいます。ビルや駅に囲まれた空間にぽっかりと芝生主体の空地が確保され、各種イベントが展開されていますが、チェックの早い人から回答がありましたが、ランチタイムにはキッチンカーが集まった「ネオ屋台村」が人気を集めているところです。
 丸の内中央ビル(JR東海 2003年)に入るスターバックスはいいよね、という話をしながら日本橋口のロータリーを抜け、呉服橋交差点至近の居酒屋にゴールイン、懇親オフ会に突入と相成りました。

□ 懇親オフ会にて

 懇親オフ会は途中でかまにし様も合流して総勢6名でいろいろと意見交換を。ざっくばらんでいささか脱線気味ではありましたが、「都市再生オフ」のあり方について、テーマ性の大きさへの認識共有とともに、それを常設板などを中心として議論を深めて行ければと云う点で理解が得られたものと思っております。そちらにつきましては後程ということで、以上取り急ぎではありますが報告とさせて頂きます。参加各位、宜しく補筆の程…。

 懇親会ではいろいろな意見交換がなされ、「都市再生」の何たるやの意見集約を図りました。
 といっても、先に記したようにひとくちに「都市再生」という言葉で括れない多面性を持っていることから、個人的には「まちの“みかた”勉強会」というスタンスで臨んでいこうかなと思っています。
 #率直に云って「都市再生オフ」って表現が大仰な気もしておりまして。
 #といって独断で改名するわけにはいきませんので、以下「都市再生オフ」で統一しておきますが。

 例えば、蔵の街として観光地化が図られている川越と栃木の違いは?さらには性格の似た茨城・結城でのまちづくりが考えられるかという話も出ました。ここは歴史的性格はもちろん、アクセスとの関連での議論にもなるものと思いますし、『川越にプリンスホテルがある理由は?』という“謎掛け”も出されていましたね。
 横浜といえばMM21開発に目が行きがちですが、個人的には上大岡や東戸塚といった周辺副次核における商業再開発や、多摩田園都市におけるたまプラーザや港北NTの商業集積と、グランベリーモールや「悠・粋・知三規庭」といったモール開発の“戦略性”に関心を持っています。
 また、日暮里・舎人線が何故整備されるのかということや、隅田川を挟んで今では教科書的でもある白髭西地区と汐入地区の住宅再開発の“意義”の研究、更に常磐新線開業を控えた北千住の商業競争力の考察なども議題として出されました。富国強兵から太平洋戦争、戦後の高度成長からバブル経済…この地域から「縮図」が見えてくるかもしれません。

 たまたま首都圏に固まってしまいましたが、そろそろ「万博後」を見据えるべきであろう中京地域の交通整備と地域開発の状況や、首都圏とはまた違う「ニュータウンの変化」、さらには阪神大震災から10年を迎えんとする関西地域の状況、さらには地方でも「タワー頼り」の再開発が進む一方で、交通体系の変化の影響やコミュニティの自立化を目指す動きもいろいろと見えつつあるということもあります。
 それらを深く考察するには各種学術論文も数多くありましょうし、インターネット上にはまちを見据えたさまざまな情報が溢れています。その中で、近未来の地域地図を考え、見てみようというのが、「都市再生オフ」の意義になるのかなと考えています…そのココロとしてはやはり愚直に「まちを観る、視る、診る」ということになりましょうし、中には「看る」部分に携わる方もいらっしゃるものと考えます。
 よって、当方の独断で偏視眼的にポイントを決めてというようにはしたくないですし、事前事後には各人の主題や疑問点をぶつけ合うことも必要と考えます。それはこれまでも【検証:】全般のオフのあり方でもあったわけですが、まさに「定期的、長期的」を見据えたオフという形態の中でより深く考えられればと思っております。

***
 というわけで、「都市再生オフ」ディレクターのかもめ様からは第2回の地域設定がなされております。
  『日暮里と舎人新線建設現場を走る都バス里48系統の試乗、そして南千住(白鬚・汐入地区)・北千住ツアー』

 当方の視点としては先述の通り、
  ・日暮里・舎人新線の整備理由…その地域特性とAGT選択の是非
  ・白髭と汐入の再開発の意義
  ・北千住の商業競争力…丸井出店の成否を探る
なんてな感じでおります…またあえて書いていないチェックポイントもありますし、広く皆様にもポイントや参考資料等の紹介をお願いしたいと存じます。

***
 なお、管理者としては、オフの具体的な日時や移動等の仔細部分については調査会情報板で、レポートや議論については常設板他(例えば日暮里・舎人線のAGT選択理由の考察等は中量板になると考えます)で適宜すみわけを考えてゆきたいと思っておりますので、宜しく御対応の程…(なお迷われた時には適宜思うところに上げて頂ければ随時移動等の対処をします)。

 以上、批評含め皆様の忌憚なき御意見をお待ちしております


異議あり〜「都市再生」とは何か?そしてオフ会の開催意義を問う
 投稿者---とも氏(2004/05/11 23:36:44)
 http://www.koutsu-machi.com/

─Re:異議あり
「都市再生」を見に行く(復習編)
─都市再生の経緯とその方向性の矛盾

(以下次ページ)
 └課題・論点を明確にしなければ議論にならない
  └確かにおっしゃる通りですね…
 └まず、見てみよう
  └異議あり2
   └都市を見るには、そしてオフとするのなら
   └冷静に返信
    └奇跡のタネ明かし
   └「正論」の使い方。
    └≪管理者投稿≫気を引き締めつつ本件の見解を
    └Re:「正論」の使い方。
     └念のための補足
    └私も本件の見解を
     └認識の整理は必要

 簡潔に。

 そもそも「都市再生」と都市再開発は別。都市再生とは何か。これは明確に定義されている。
 首相官邸にある都市再生本部で示す基本方針として閣議決定されたものに示される都市再生施策の重点分野は以下の点。

(別添1)都市再生施策の重点分野
  1. 活力のある都市活動の確保
    ○ IT等を活用した交通渋滞・交通事故対策
    ○ ボトルネック踏切、渋滞ポイント解消
    ○ 民間投資誘発効果が高い都市計画道路等の優先整備
    ○ 通勤・通学混雑解消
    ○ 国際物流機能の強化など物流の効率化・円滑化       等
     
  2. 多様で活発な交流と経済活動の実現
    ○ 国際交流機能の強化や都市観光の推進
    ○ ITなど将来成長産業の育成
    ○ 地域に密着した商業をはじめとする都市型の産業の活性化
    ○ 大学など高等教育機関等と各種都市機能の連携・一体化   等
     
  3. 災害に強い都市構造の形成
    ○ 密集市街地の整備
    ○ 震災対策
    ○ 都市型水害対策                     等
     
  4. 持続発展可能な社会の構築
    ○ 廃棄物・リサイクル対策
    ○ 都市公害対策
    ○ 地球温暖化対策・ヒートアイランド対策
    ○ 自然との共生等水や緑を活かしたまちづくり
    ○ 美しい都市づくり                    等
     
  5. 誰でも能力を発揮できる安心で快適な都市生活の実現
    ○ バリアフリー
    ○ 職住近接のまちづくり
    ○ 既存住宅ストックの改修・更新
    ○ 保育・介護等生活支援サービスの充実
    ○ 都市型犯罪対策
    ○ 安全でおいしい水の確保                 等

 このようにすでに定義づけられたものをいまさら議論してもただの堂々巡りに過ぎず、それよりも都市再生により何がどう変わるのかという視点で考えるべきで、正直オフ報告からそういう視点が見えないというのは理解できない。

 といっても、先に記したようにひとくちに「都市再生」という言葉で括れない多面性を持っていることから、個人的には「まちの“みかた”勉強会」というスタンスで臨んでいこうかなと思っています。

 であれば「都市再生」をキーワードにするのはいかがなものかと。「まちの見方勉強会」なら違うのでは。

『日暮里と舎人新線建設現場を走る都バス里48系統の試乗、そして南千住(白鬚・汐入地区)・北千住ツアー』

 まず「都市再生」にこだわるのなら「日暮里舎人線」を考えるのはいかがなものかと。まちの「見方」であれば日暮里舎人線をキーにするのは開通前に何ができるのか。白髭や汐入は一つのポイントとなれど、日暮里舎人線と絡めたところで論点がぼやけるし単に「近いから見て回る」をはみ出せない。それじゃ何の意味も無い。
 駅の改良が進んでいようがなにしようが、それを見て「都市再生」というのはいかがなものであろうか。

 さらにいえば今回のコースは都市再生において重点地区とされた地域であるが、それにしても都市再生の本来の意義と再開発がごっちゃになっており、都市計画をやっている人間からして非常に不思議である。
 六本木ヒルズは確かに都市再生に位置づけられている。しかし、これは市街地再開発事業であり、その内容は都市再生と直結しない。
 あくまで既成市街地のリストラの一環であり、それを単純に「都市再生」と括ることに違和感を感じざるを得ない。八重洲・日本橋はまさに都市再生の動きだ。しかしこれとてこれを見て「都市再生」を語られるのも非常に違和感がある。

 もし、本気で都市再生を見て感じるのであれば、解決していない問題箇所をまず見ることからしなくてはならないのではないか。
 日暮里舎人線からは都市再生はおそらく見えてこない。今、東京の都市問題において見なくてはならないものはどこか。言うまでも無く木密住宅地と中層オフィス街、官公庁跡地(防衛庁以上に都市再生で注目の地域は他にある)そして防災的に問題のある市街地である。そこを見ないで次が日暮里というのは少々オフとしての開催意義を疑う。確かに荒川区や足立区は木造密集市街地であり防災的に問題が無いわけではないが、もっと先に見るべきところはある。
 正直、このままでは私は開催意義をとても見出せない。よってあえて異議を唱える。

 厳しい指摘であるが、あくまで都市計画分野の専門として考えて非常に違和感があるので。
 不適切ならば削除いただきたい。

以上

Re:異議あり
 投稿者---551planning(2004/05/12 10:55:43)

 まずは管理者からイイワケと所感までに。なお、ディレクターはじめ多くの皆様の御批評をお待ちしております。

 個人的には前述している通り、「まちの“みかた”勉強会」という意識でおり、「都市再生」の概念についても柔軟にというか大局的に考えておりました。

 #この点は「グランドデザイン」の呼称を安易に使いすぎるとのお叱りと同じで、ちゃんと示すものは示すべきだったと反省しております。

 その意味では、当方の意識としては「地域再生」のほうが強くあろうかと。仔細は下記リンクにありますが、「都市再生」がハード的主眼なら、「地域再生」はソフト的主眼にあります。よって懇親会でもどちらかというと商業面や、雇用体系の変貌とオフィス供給飽和による人的流動への影響の考察をしたいと強調しておりました。

都市再生本部(2001.05/08設置、2002.06/01都市再生特別措置法施行)http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tosisaisei/index.html
地域再生本部(2003.10/24設置)http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiikisaisei/index.html

 ともあれ、字面だけでナカミがないままにあやふやに多用するのは宜しくない、ということには同調します。
 管理者と云う立場では【検証:】が厳しく見られているということに気を引き締めなければならないと思います。いずれにせよ方向性の明確化が求められるのでしょうが、ただ個人的にはオフ会そのものまでに全否定までに意味のないこととは思っておりません。

 まちの「見方」であれば日暮里舎人線をキーにするのは開通前に何ができるのか。白髭や汐入は一つのポイントとなれど、日暮里舎人線と絡めたところで論点がぼやけるし単に「近いから見て回る」をはみ出せない。それじゃ何の意味も無い。
 駅の改良が進んでいようがなにしようが、それを見て「都市再生」というのはいかがなものであろうか。

 「都市再生オフ」(一応まだ使わせて頂きます)では長期的な展望の下で、一種の定点観測的な方向性での現地調査も意識しております。まぁ行ってみないと判らないわけですが、「開通前にできること」もあろうかと。

#なお、別途圏央道の件でも仔細を書こうと思っておりますが、個人的には『現地を観ずとも地図を良く見るだけでもある程度の理解は出来ると考えられる』までに至っていないところがありますので、何でも見てやろうという意識がありますね。『非常に限られた試乗で…全てを知ったようにものを語る』ことを注意するのは当然ではありますが、どうしても“百聞は一見に如かず”が念頭に残っておりまして…。
#なお、オフ参加で各人が何を得るかは個々の意識に任せたいと思いますし、それが専門的には違うというものになっても、当方的にはそこまで面倒は見られません。
#ただ、【検証:】上に出てきた時には注意すべきということにはなりますが、概ねオフ会レポートは管理者責任となってしまっているようで…。

 あと、論点としても限定的には捉えたくないな、というのがサイト運営者的な欲望です。こと【検証:】はただでさえ総花的でありつつ、まだ破綻までには至っていないのではないかと(管理者としての欲目?いや、崩壊寸前だということであれば別途御指摘賜りたく!昨今の状況的に徹底的にやるべきと思いながらもサイト移転等にかまけて日々悶々としているところですが)。

 もし、本気で都市再生を見て感じるのであれば、解決していない問題箇所をまず見ることからしなくてはならないのではないか。
 日暮里舎人線からは都市再生はおそらく見えてこない。今、東京の都市問題において見なくてはならないものはどこか。言うまでも無く木密住宅地と中層オフィス街、官公庁跡地(防衛庁以上に都市再生で注目の地域は他にある)そして防災的に問題のある市街地である。そこを見ないで次が日暮里というのは少々オフとしての開催意義を疑う。確かに荒川区や足立区は木造密集市街地であり防災的に問題が無いわけではないが、もっと先に見るべきところはある。
 正直、このままでは私は開催意義をとても見出せない。よってあえて異議を唱える。

 これまでの【検証:】のオフ会では、大枠のテーマ設定の下、各人がいろいろな視点を持って参加し、当日の懇親会や事後にはBBS等でやり取りをする…というものでしたが、この「都市再生オフ」ではある程度の事前議論を求めております。試みとしては当方自身実験的なところもあり、専門的な視野からの御批評も強く期待したいところです。そういう意味では「謎掛け」で勿体ぶらずに具体的提案も期待したいところです…甘えすぎですかね?

#そういえば、きっちりギャラありで「講師」を迎えて…という話も懇親会で出ておりました。薄謝になろうかと思いますが、今後多くの専門家の皆様との知見が広げられればとも思っております。自薦他薦お待ちしております。

 というわけで取り急ぎ

「都市再生」を見に行く(復習編)
 投稿者---さいたま市民@西浦和氏(2004/05/12 01:04:03)

 こんばんは。皆さん。オフ会勉強になりました。いささかやぶにらみですが、私から見たオフの様子と感想・意見をまとめてみます。ともさんにレスする形で、参加者の皆さん、復習しましょう。

 そもそも「都市再生」と都市再開発は別。…
 首相官邸にある都市再生本部で示す基本方針として閣議決定されたものに示される都市再生施策の重点分野は以下の点。

(別添1)都市再生施策の重点分野
 1. 活力のある都市活動の確保

 この土曜午後4時間のオフ会で私たちは何を見てきたかというと、管理人さんのレポートにもありますように、防衛庁の跡地、六本木西公園、麻布トンネル、テレビ朝日周辺再開発(六本木ヒルズ)、麻布十番商店街、メトロリンク日本橋巡回バス、日本橋室町三井ビル(建設中ですね)、日本橋三越、日本橋、日本橋コレド(東急百貨店跡再開発ビル)、さくら通り、八重洲鉄鋼ビル裏の空き地といったところですね。
 この「町歩き」は「都市再生」地域の検証というよりも、都内「再開発」地巡りだったと言えるかもしれません。かもめさん他、若い皆さん(やっぱり私歩くの遅い)との懇親会といった風情でした。私が持っていった地図のコピーは、「持ち歩き江戸東京散歩」の該当地区のでありまして、大上段に構えたテーマで進めた割には脱線した調査会になってしまったかなあ。調査会の告知に引かれて参加して下さった方には、(自称)常連を代表してお詫びしておきます。
 確かに六本木ヒルズ周辺は、各地からの観光客や買い物客が集まっていて、昔のテレ朝の周りの独特の雰囲気からは大きく変わったと言えます。時間に余裕があれば、奥の中国大使館あたりも行ってみたかったかな。
 ともさんの指摘による公式の都市再生の視点から見ると、六本木の再開発に先立って開通した麻布トンネル・六本木トンネルが、「渋滞ポイント解消・投資誘発効果の高い都市計画道路の整備」に当たりますね。

2. 多様で活発な交流と経済活動の実現

 六本木ヒルズ自体は東京の新名所として、「都市観光」地の機能を十分果たしていたでしょう。土曜午後の高層ビルの展望台は、老若男女、洋の東西を問わない観光客で賑わっていました。確か、高層オフィス棟にはFMジャパン(J-WAVEね)他情報産業が入って居るのでした。その他、ビル内に校舎を構える大学院もあり、ビル自身もフォーラム形式のイベントを行うなど「大学など高等教育機関等と各種都市機能の連携・一体化」を図っているのでした。

3. 災害に強い都市構造の形成

 展望台に登りますと、いささか曇ってはいるのですが、都内の眺望が一望です。再開発によって新しいビルが建っている地点がよくわかります。汐留、品川、台場、大崎、天王洲、恵比寿、新宿、秋葉原、神保町、霞ヶ関、江東のマンション群…。意外なのが渋谷に再開発ビルが少ないことですね。
 たしか、六本木ヒルズは高台で、増上寺そばの芝公園にある東京タワーより展望台が高い位置になるんですね。窓の真下を見ると、麻布十番から一の橋と谷が伸びています。テレビ朝日の庭にあった池(これはわき水のはずなのです=大学の授業で習った)はそのまま生かしてあり、ここから谷筋へ川(もちろん暗渠)が流れているはずです。

 最近建設された、多くの再開発ビルはもちろん非常時の備えがあるでしょうから、雨水を蓄えたり(庭のわき水とは関係なく)、自家発電できるようになっていたりしているはずですね。六本木ヒルズもおそらくそうでしょう。詳しい方教えて下さい。ホテルの屋上のプールなんかは防火用水になるんですよね?

4. 持続発展可能な社会の構築

 展望台から周囲を見回しますと、麻布や赤坂、目黒にかけては結構植生が見られるのです。もちろん、青山の墓地や迎賓館、東宮御所、神宮外苑などまとまった緑はあるんです。でも、地上へ降りるとなぜか、緑が遠い感じがするのは、気のせいでしょうか?
 高層ビルからの眺めで面白いのは、古いマンションの屋上に植木鉢を並べているところが多かったり、案外、「屋上緑化」は行われているのかも。
 そして、旧毛利藩屋敷跡でもある六本木ヒルズの中央に、前述の池を残しているのは、「水や緑を生かした街づくり」の実践ですね。
 「街の美しさ」は個人の趣味的な部分もありますから、ヒルズ全体のデザインをどう捉えるかは、別の議論として、独特の形態の高層ビルの形はインパクトがありますね。

5. 誰でも能力を発揮できる安心で快適な都市生活の実現

 過去ログを見ていただければと思うのですが、私も家族に車椅子使用者がおりますので、六本木ヒルズへ連れてくることが出来るかな?という視点でも歩いてみました。要所要所にエレベーターを配置してありますからフロアーの移動はうまく出来そうです。あとはトイレの配置でしょうか。
 ヒルズは、オフィス棟である高層ビルと、ホテル棟、マンション棟などから出来ています。おそらく、旧テレビ局の敷地がオフィス棟になっていて、隣接して再開発を行った住宅街がマンション棟の敷地になっているように見えます。麻布トンネルから一の橋への4車線道路に沿った区画は商業棟ですね。西友の系列の高級マーケットが入っています。
 旧住宅街の住民数から見れば、マンション化したことでその数は多いに増えたでしょうし、オフィス棟や近隣の諸企業に勤める人たちが増加した人口を構成していれば、まさに、「職住近接の街づくり」ができたことになります。

都市再生オフ

 マンション棟下に止まっている自転車タクシーの実物を見て、駐車場から出てくる黒塗りの車に追い越されたりしながら、麻布十番商店街へ入っていきます。そういえば、児童公園の植え込みの看板が英語なのに感心しました。
 麻布十番は元麻布の寺町の前の古い商店街だったのですが、周辺が大使館街となった今では、結構インターナショナルな感じの小洒落た店が何軒かあります。私が気になったのは荒物屋が多かったことかな?周りの事務所や商店などに需要があるのでしょう。
 麻布十番温泉は、温泉と銭湯の2階建てで都内の貴重な天然温泉です。温泉は別として、六本木観光の内外の人々はここを見て「東京の古い商店街はこうなのか」と思うのは私はちょっと…。
 昔から六本木から十番へ降りてくる観光コースはあったのですが、南北線や大江戸線が出来て、ヒルズから十番を見て各方向へ行ける十番駅は人を飲み込んだり吐き出したり…。

 麻布十番駅から南北線に乗ります。今度は日本橋へ行くのです。南北線は立派なホームドアーで、これを見るたびに「急行運転しないかなあ」と思うのです。でも、来る電車は6両編成で、平日でも夜8時を過ぎると10分間隔!溜池山王で銀座線に乗り換えます。階段を上がると銀座線のホームで、こういう乗換がいいですね。

 京橋で降りて、地上へ上がります。メトロリンクバスの乗り場を捜します。交差点から室町方向へ向かった所に乗り場がありました。静かにバスがやってきます。乗り込みますと、結構混雑しています。立ち客が6〜7人という状態で八重洲通りを東京駅へ。バスは八重洲口から呉服橋、永代通りを通って日本橋交差点を曲がって中央通り、工事中の三井ビルから日銀横、新日本橋駅上の交差点で再び中央通りへ戻り、私たちは三越本店前の「日本橋室町一丁目」で下車。バスの停留所の所にはカラーコーンが置かれ、一般車の駐車を防いでいます。

 三越の前で降りた私たちは日本橋の橋へ向かいます。橋のたもとは昭和の初めまで「魚河岸」だった所で、今は築地、大田に移った魚市場は江戸時代以来ここにあったのです。確かに三越の向かいには「山本海苔店」や鰹節の問屋さんが何軒かあります。三越の新館はだいぶできており、外壁のデザインが古い棟と微妙に違うのは私は気に入らない。本館増築時の形で揃えて欲しかった。新館の方はよく見ると新宿の伊勢丹の外壁に似てる感じです。

都市再生オフ

 日本橋の橋の上には高速道路が通っているわけです。これが川の下へ入るとしたらどうでしょう、という話をしましたね。「道路原標」の位置が高速道路の上と日本橋の上で揃えてあるのが凝っているのに感心したりしつつ、こんどは日本橋交差点角のコレドビルへ向かいます。

 日本橋コレドビルは旧東急百貨店ですね。現在の主な入居はメリルリンチ証券です。
 商業スペースは地下1階から地上4階までで、かつての東急百貨店に比べ縮小されてますね。入っているショップは日本橋ということで、(あまりよく分からないのですが)高感度な企業の店みせなのですね。
 この1階の奥(中央通りから入っていってオフィスフロアー入り口の向こう側)の自転車や電気自動車を売っているフロアーのジュースバーでしばし休憩です。
 休憩の後、ビルから出ると薄暗くなってきました。今度は八重洲口へ向かって歩きます。高島屋のライトアップを見上げながらさくら通りに曲がります。メトロリンクバスは三越の前に止まりますが、高島屋や丸善の前には止まらないんですね。バスが設定された理由が何となく分かります。
 私などは、「高島屋や三越は地下鉄でいくもの」と思っていたのですが、これは首都圏の人の発想だということに気づきました。上野や銀座から銀座線で行けば地下鉄駅がデパートの地下1階へ入れるわけですが、新幹線が集まる東京駅は全国からの人たちが集まるわけで、日本橋のデパートからすれば、東京駅からは「少し歩く」距離になってしまい、たくさんの人がいる東京駅から人を呼び込みたいと考えるのは当たり前でしょう。
 ただ、さくら通りとその先にある高島屋や丸善にとっては今度は「バスで行くほどの距離ではないな」となって、この循環バスに積極的に関わっていないと見えますね。
 さくら通りから現在解体中の国際観光会館を見つつ鉄鋼ビル裏の「グランドセントラルプラザ」ビルとその前?の空き地を廻って、懇親会と相成りました。

 このようにすでに定義づけられたものをいまさら議論してもただの堂々巡りに過ぎず、それよりも都市再生により何がどう変わるのかという視点で考えるべきで、正直オフ報告からそういう視点が見えないというのは理解できない。

 いやあ。全くご指摘の通りで、「都市再生」と言うテーマは時系列的な比較があってこそのキーワードで、「昔どうだったか」の様子がわかるかわからないかで、ただの観光地巡りになるか、見てきただけでも深い議論が出来るようになるかが分かれますね。
 六本木の場合、テレビ朝日南側の木密住宅のブロックを再開発地区に組み込み、マンション化したことで、「企業本社を中心とする高層化」だけでない六本木6丁目という「都市地域」の「再生」が成ったのだとわかるわけです。「講師役」としてお誘いいただいたのに、皆さんにその為の説明を私が現地でどれだけ出来たかというと、これは申し訳ない、いささか不本意だったと言わざるを得ない。
 その上、持っていった地図が江戸末期と現代という資料では、変化を味わう事は出来なかったと思いますし、私も考えすぎていました。

 ただ、この町歩き会で、参加した皆さんにどれだけ、「街の見方」を会得してもらったかは未知数で、それは今後の皆さんの「投稿の質」から読みとるしかないのかな?と思っています。

『日暮里と舎人新線建設現場を走る都バス里48系統の試乗、そして南千住(白鬚・汐入地区)・北千住ツアー』

当方の視点としては先述の通り、
  ・日暮里・舎人新線の整備理由…その地域特性とAGT選択の是非
  ・白髭と汐入の再開発の意義
  ・北千住の商業競争力…丸井出店の成否を探る
なんてな感じでおります…またあえて書いていないチェックポイントもありますし、広く皆様にもポイントや参考資料等の紹介をお願いしたいと存じます。

 管理人さんからは、以上の企画の提起がされていますね。これはこれで楽しみなのですが、どのようなコースになるか分かりませんけれども、「まず見てみよう」のレベルであれば、8時間くらい(すなわち1日)で見て回ることが出来るでしょう。ただ、それぞれの地域、地点についての情報を得るレベルをどのくらいまで上げるかで3日かかるかもしれませんし、1週間くらい泊まり込んで、手分けして調べ上げるということもできるでしょう。
 この掲示板をお読みになっている、プロの皆さんのご批判に耐えうる内容にするとすれば、私はこんな日程と調査を考えて見ました。素人考えの一つとしてご笑覧頂ければと思います。

#日暮里舎人線について(予習編)
・東武伊勢崎線と埼玉高速線の間の地域の全町丁別人口(面積がわかれば人口密度が出ますね)
・上記地域の都市計画用途地域区分
・上記地域の公共輸送機関(すなわちバス)の路線網と輸送力
・上記地域の道路網と交通量
・主要公共施設や大規模集合住宅の分布
・上記地域の地価の状況(路線価及び実勢価格)
・上記地域の将来構想、隣接地域の都市計画や将来構想
・交通機関利用者や適当な地域の居住者への簡単な意識調査(もちろん一部ですが)

 まず「都市再生」にこだわるのなら「日暮里舎人線」を考えるのはいかがなものかと。まちの「見方」であれば日暮里舎人線をキーにするのは開通前に何ができるのか。白髭や汐入は一つのポイントとなれど、日暮里舎人線と絡めたところで論点がぼやけるし単に「近いから見て回る」をはみ出せない。それじゃ何の意味も無い。

#南千住を歩く(予習編…私ならこんな所を見て欲しい)
・三河島〜田端間の常磐線貨物線の踏切
・三河島リトルコリアと宮地交差点
・大関横丁と三ノ輪車庫跡
・都電三ノ輪橋駅と三ノ輪商店街
・東京スタジアム跡(出来れば町屋斎場)
・新旧の千住大橋と付近の小マンション、簡易旅館
・南千住駅と小塚原刑場跡
・泪橋と山谷
・隅田川駅
・汐入再開発と隅田川沿いの小造船所
・白髭橋と川沿いの都営?住宅

 新しい交通路線によって「都市再生」ができるというのは私も聞いたことがありません。「都市再生」のために交通路線を整備するというのが正しい文法ですね。
 日暮里駅の改造は、この掲示板で古くから論議されている空港アクセスの課題の解決の意味の方が大きいはずですし、再生される地域はむしろ三河島千束三ノ輪入谷など国道4号線沿いや谷根千地域の方で、課題を見つけやすいですね。その時に論議になるのは、おそらく再生の質になるのでしょう。もちろん、駅自体をどうするかをよく見るのもテーマとはなるのでしょうが、面的な「再生・再開発」ではないですね。

 駅の改良が進んでいようがなにしようが、それを見て「都市再生」というのはいかがなものであろうか。

 駅を見るだけでは「都市再生」を見たことにはならないのです。全くその通り。

 さらにいえば今回のコースは都市再生において重点地区とされた地域であるが、それにしても都市再生の本来の意義と再開発がごっちゃになっており、都市計画をやっている人間からして非常に不思議である。

 都市計画について勉強をする人が増えれば、こういう誤解が無くなると私は思うのですが、「都市再生」の質について、この掲示板で議論するのはぜひ進めて欲しいと思っています。そうすれば、よりエレガントな都市計画ができるようになると思うのです。蛇足ですが、この掲示板で裁判官論議をしなくても済むのではないか?と思うのです。

 六本木ヒルズは確かに都市再生に位置づけられている。しかし、これは市街地再開発事業であり、その内容は都市再生と直結しない。あくまで既成市街地のリストラの一環であり、それを単純に「都市再生」と括ることに違和感を感じざるを得ない。八重洲・日本橋はまさに都市再生の動きだ。しかしこれとてこれを見て「都市再生」を語られるのも非常に違和感がある。

 どなたかが書かれていましたが、確かに「都市再生」は政治的な動きの中から出てきたのかもしれません。ただ、それまで言われてきた「市街地再開発」よりももっと大きな地域のリストラをするという風に私はとっているのですが…。
 「再開発」はハード先行のイメージがありますが、「都市・地域再生」となるとソフトも整備されるわけですね。日本橋のバスはこの一環となるわけですね。

 もし、本気で都市再生を見て感じるのであれば、解決していない問題箇所をまず見ることからしなくてはならないのではないか。

 そうですね。私が「時系列比較」といったのはあながち間違ってないのですね。

 日暮里舎人線からは都市再生はおそらく見えてこない。今、東京の都市問題において見なくてはならないものはどこか。言うまでも無く木密住宅地と中層オフィス街、官公庁跡地(防衛庁以上に都市再生で注目の地域は他にある)そして防災的に問題のある市街地である。そこを見ないで次が日暮里というのは少々オフとしての開催意義を疑う。確かに荒川区や足立区は木造密集市街地であり防災的に問題が無いわけではないが、もっと先に見るべきところはある。

 なるほど。確かに「都市再生」は政令で定められたものでしたね。
 これらの地域を順々に見に行ければ、なぜ再生しなければならないか勉強になりますね。また、見に行きましょう。

http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tosisaisei/kettei/020719seirei.pdf

 管理人様、とも様。またまた不勉強な私を、かもめ様はじめ『【検証:】bigineers』共々今後ともご指導ご鞭撻よろしくお願いいたします。

 乱筆ご容赦。お休みなさいませ。

都市再生の経緯とその方向性の矛盾
 投稿者---かまにし氏(2004/05/12 17:00:34)

 かまにしです。

 確かに最近、あちらこちらで「都市再生」という言葉が使われ、いわゆる都市計画・まちづくりと呼べるものが全て「都市再生」に結び付けられてしまう傾向があるのはおっしゃる通りです。とも様が挙げられた定義というのも、結局のところこれまで都市問題として解決が叫ばれてきたものを体系的にまとめただけ、と捉えることもできるわけです。

 私も大学で都市計画やまちづくりを学ぶ身ではあり(しかし専門家であるとも様には到底かなわないのですが…)、とりあえず今日「都市再生」がとりざたされるようになった経緯をもう一度ひもといてみるのも良いのかなと思いました。

 以下は、エクスナレッジ社の『都市再生と新たな街づくり〜事業手法マニュアル』の冒頭(pp.004〜pp.018)に掲載されている早稲田大学理工学部教授の伊藤滋先生と東京大学大学院工学系研究科の大方潤一郎先生の対談『ホンネで見直す21世紀の都市と暮らし・住民の身近な生活の質と国際競争力の向上に向けて!』の内容の概要を掲載したものです。

○なぜ、今、都市再生なのか
○貧困な都市環境を変えるには
○市民からの都市改革は起こるか
○都市再生に都市計画はどう関わるか
○木造密集地帯を変えるには
○難しい問題はらむ住民運動
○ルールが守れない日本社会
○コミュニケーション能力が都市計画家の重要な資質
○都市再生法で何ができるか
○普通の街の再生に焦点を当てる
○街の再生の第一歩はどこから
○都市再生政策への期待と限界
○都市再生関連法をどう見るか
○専門家はどう生きていくか 〜マンション建替えに取り組んでみて
○衰退する中心市街地の活性化策

 以上の項目の中から、『なぜ、今、都市再生なのか』と『都市再生政策への期待と限界』の2つの部分についてのみ、一部引用をしたいと思います。

★なぜ、今、都市再生なのか★
 
司会:

 都市計画や街づくりの世界では今、都市再生が大きな話題になっています。なぜ、今、都市再生なのか。この辺から大方先生に問題提議をお願いします。

大方:

 一般市民が都市について感じている問題は、次の4つくらいあるかと思います。
 第1は、都市の景観が美しくないということです。次に、道路の問題です。例えば歩道がないとか、あっても狭いとか、交通渋滞などですね。第3は、パブリックスペースが少ないことです。第4は、居住環境の貧困さです。
 しかし、今回の都市再生政策を実行することによって、一般市民のこうした不満が解消されるのかといえば、かなり疑問が残るといわざるをえないと思います。まず、そのあたりのところから、伊藤先生、どうご覧になってますでしょうか。

伊藤:

 今回の都市再生政策は、実は庶民にはあまり関係ないところから出てきた話です。政治家が決めたんです。
 バブルが崩壊して日本経済がだめになりました。日本経済の復活には外資に来てもらわなければいかんというわけで、外資が気に入るような都市にしようという政治家の発想がそもそもの出発点です。エコノミストも、「東京をこのままにしておいて世界の都市と戦えるのか」と言い出しました。都市計画家はひとこともそういうことは言っていないんです。
 石原慎太郎・東京都知事が出てきて「東京こそ日本である」とぶち上げた。小渕総理もそれに乗っかって都市再生が始まりました。そのように、そもそも庶民とは関係ないところから動き始めた話です。今でもそうではないでしょうか。

大方:

 外資に対しても2つの見方というか、流れがありますね。「けしからん、日本の資本で頑張ろうじゃないか」という民族主義的な流れと、「もっと外資が来やすいようにしよう」という国際化の流れと…。

伊藤:

 相反するふたつの流れが交錯しているところは、明治維新の頃と似ています。

大方:

 ええ。そうすると都市再生は庶民の現状の街づくりに対する不満を解消するというよりも、日本がグローバライゼイションの波の中で生き残るために必要だという話と、景気回復には地価の底支えが不可欠という、2つの流れが重なり合って、動き始めたということでしょうか。

伊藤:

 ひとことで言うとそんなことですね。

大方:

 これまでの日本の都市づくりを振り返ると、インターナショナリゼーションの空間とバナキュラー(Vernacular:風土に根ざした、日本固有の)空間を分けて、前者には金をつぎ込んで整備し、後者は成り行きに任せてきた。21世紀になっても、また、同じようなことを続けるのかと思いますが…。

伊藤:

 この10年間の日本の経済を支配しているのは株価の下落なんです。そこで都市再生が出てきたわけです。

大方:

 そう言ってしまうと身もふたもないような気もしますけど(笑)。

伊藤:

 でもそうなんですよ。

司会:

 伊藤先生にうかがいますが、バブルのときにオフィス賃料が高騰しましたね。何が原因かというと、外資が都心に高値でオフィスを大量に借りたんで、それが周囲に波及したんだと説明する方がたくさんいらっしゃった。それが本当だとしたら、都市再生はもう一度そのベクトルに戻せということになるんでしょうか。

伊藤:

 あのときは、外資が来るというんで、「オフィスをつくれば儲かる」とみんなが思ったわけです。日本人はそういう傾向があるでしょ、特に大企業のサラリーマンは。それで、みんなが土地を買いに走ったんです。
 でもバブルが弾けてそういうところはばたばたと潰れた。それを見ているから今度はやらないですよ。よく調べれば、東京の土地は余りきっていることははっきりしているんですから。

大方:

 かつては不動産投資はキャピタルゲイン狙いだったけど、今は不動産は収益還元価格に切り替わりつつありますし…。

伊藤:

 エコノミスト集団は株価が下がっているのを見て、「東京に集中投資してはいけない」と言っているけれど、実体経済のなかにいる株のディーラーとか不動産会社の専門家は、個別具体でものを考えています。三菱地所の株が上がったから、丸の内の外側の土地まで上がるかといったら、上がらないですよ。そんなところをキャピタルゲイン狙いで買うようなディベロッパーはとっくに淘汰されてしまった。ただ、日本人っていうのは一度懲りても、喉元過ぎれば熱さを忘れる部分がありますからね。

★都市再生政策への期待と限界★
 
司会:

 そういう微妙な付加価値が都市の価値であるとしますと、今回の都市再生政策に、そういう微妙な価値をつけるための政策があるのでしょうか。

伊藤:

 それはないですね。

大方:

 今回の都市再生政策は、インターナショナル・スタンダードをつくるほうに向いている。それももちろん必要だけど、それがすべてじゃない。

伊藤:

 簡単に言えば、インターナショナル・スタンダードは港区の半分と千代田区と中央区、それに湾岸に任しておけばいいんです。我々都市計画をやっている人間は、中野区とか杉並区とか目黒区、あるいは荒川区がどう変わるかに関心があります。しかし、そこに頭を突っ込むと住民運動の難しさという壁に当たる。さっきも言ったように、たとえばマンション建設反対で住民が手を結んでも、ひとつの紛争が終わるとせっかく集まった住民同士の繋がりが雲散霧消してしまうんです。永久運動型にはならない。それをもう一度集めるのは大変です。

大方:

 仮にある住民運動が地区計画をつくるところまで到達して、そこで一段落して20年間休眠していたとしても、それはそれでいいんだと思うんですよ。もともとアマチュアでやってるわけですから、街づくりに一生費やすことはない。ある種のルールが決まれば、一応それで20年は安定する。永久革命は不可能ですよ。むしろ3年ぐらいわーっと燃えて、燃え尽きて、その結果としていいものが残ればそれでいいと思うんですが、それじゃだめですか。

伊藤:

 しつこさがないからな、日本人は。だけど都市計画的に見ると嘆かわしい領域がどんどん増えていますよ。

 実はこの対談で登場している伊藤滋先生は都市再生本部の座長でもあります。いわゆる今回の「都市再生」の旗振り役であり、「都市再生」ムーブメントを起こした張本人です。

 上記の対談は、今回の「都市再生」の経緯と「都市再生」が本来あるべき方向とのギャップを示すための参考資料として記しました。対談ということで本来的には、参考文献とするにはふさわしくない資料かもしれませんが、上記の2点がまとまっていることと、「都市再生」ムーブメントの張本人の発言ということもあり、あえて記させていただきました。

 上記の対談にもあったように、今回の「都市再生」政策は小渕内閣の財政出動路線〜小泉内閣の構造改革路線に至るまで、今も一貫して引き継がれている政策でもあるわけですが、その背景には、小渕内閣時代には自民党が相対的に不人気だった都市部の票を獲得する狙いがあったこと、小泉内閣時代には公共投資を効果の大きい都市部に集中させたこと、から方向性の全く異なる両内閣において、「都市再生」というテーマにおいてだけは奇しくも同じ方向性を示したという事情があります。

 しかし動機はどうあれ、「都市再生」という名の下に公共投資が比較的、都市部に集中するようになったことで、これまで解決が難しかった様々な都市問題への取り組みがさかんになったのも事実です。例えば、廃棄物のリサイクルシステムが構築されつつあることやボトルネックの解消といった施策が大きく前進したことは、結果として住民の身近な生活の質向上にも大きく資するものだと思います。

 ただ以上の対談からも分かる通り、伊藤滋先生本人も「今回の都市再生はインターナショナル・スタンダードをつくる方に向いている」という発言を認めており、その方向性が本来あるべき「都市再生」の一部しか実現されていないことも同時に認識しておかなければならないと思います。特に対談でも記されている通り、「中野区や杉並区、目黒区、あるいは荒川区といった普通の街がどう変わるかに関心がある」という発言が示す通り、華々しい都市再開発だけを見るだけではなく、こういった木密を含む住宅地の更新をいかに行なっていくかも、「都市再生」と今後の東京のあり方を考える上で非常に重要なのでしょう。

 そういう意味では、とも様の『「都市再生」と都市再開発は別』という指摘はおっしゃる通りだと思います。(私は今回は夜だけの参加ですが)今回の都市再生オフは、「都市再生」の経緯や目指すべき方向性を把握した上で行なわれたものではなく、単なる「まち歩き」や「再開発ビルめぐり」に終始してしまったのかもしれません。ただ、さいたま市民@西浦和さんからも補足があったように、江戸時代からの江戸・東京の変遷を地図にて追っていった上で、現在の東京の街が持つ魅力やポテンシャルを都市観光と絡めて検証した側面もあり、そのような意味で今回の「都市再生オフ」は、その第1回目の試みとして決して間違った方向性だったとは私は思いません。

 また、次回のオフ候補に挙げられている荒川区・足立区に関しても、ともさん自身があげられているように荒川区は古くからの木造密集市街地の一端であるとともに、最近では荒川区『近隣まちづくり推進制度』による連担建築物設計制度活用による密集市街地の建替え推進が行なわれており、木造密集市街地の改善例としては先進的です(←もちろん他にも先進例はあるでしょうが…)。華々しい都市再開発にとどまらない、広い意味での「都市再生」の可能性を持ったエリアだと思われます。

http://www.city.arakawa.tokyo.jp/2/suisin/suisin.htm
http://www.tokyo-machidukuri.or.jp/job/e/vol_31/m31_05.html
http://www.tokyo-machidukuri.or.jp/job/e/nitei.html

 また、とも様は投稿されている内容を見る限り、「都市再生」としての内容だけでなくその順番にすらこだわっているように見え、私はその点にも非常に疑問を抱いております。

 なぜ「荒川区や足立区より先に見るところがある」とまで言い切れるのでしょうか?ついでに言うならば「都市再生」が何であるかという議論は、専門家の中ですら議論が分かれることであるにも関わらず(実際、上記の対談で出てきた2人すら微妙に描いているイメージがずれている)、「都市計画分野の専門として考えて非常に違和感がある」とおっしゃられていること自体に、私は疑問を感じざるを得ません。

 とはいえ、私自身はとも様が考える「都市再生」を否定するつもりは全くありません。ただ、「都市再生」というテーマ自体が『どのようなテーマで何を重視して論じるか』がズレるのは仕方がない類のものです。上記の対談でもあったように、「都市再生」が外資呼び込みのための環境づくりや地価対策、景気回復の手段であるという議論も、経済学者から見れば当然の話です。このように、様々な立場からのいろんな見方があるテーマであることを認識した上で、「都市再生」という都市問題解決のチャンスをより実り大きくするために、いろいろな視点からの議論を尊重したいものです。

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2007.01.28 Update

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