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【検証:近未来交通地図】特別リポートNo.015
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東京モーターショー2000見聞録
(2000.11/03)
下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。

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 「個性満載。地球を走る。明日をつくる。」…20世紀最後の自動車の祭典・第34回東京モーターショーが10/31〜11/4、幕張メッセで開催された。昨年から部門別分離開催となり、今年は初めての商用車部門、トラック・バスを中心に多彩な車種が展示されていた。ここではバスの話題に関してダイジェストでお送りしよう。

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 11/3(金・祝)、今にも泣き出しそうな曇天の元、いざ幕張メッセへ。まずはJR幕張本郷駅からシャトルバスで会場入りとした。
 まもなく登場2周年を迎える日本初の市街地型連節バスは幕張新都心の顔でもある。新都心通勤者に京葉線の利便性が思わしくないからか幕張本郷―海浜幕張間のバス路線に利用者が集中、朝ラッシュ時の海浜幕張行きは60本/h(1分1本)ダイヤとなり、更に利用者増加が見込めるとなって、運輸当局や千葉市・県警との折衝等5年以上の歳月ののち導入されたもの。現在ではLRT導入も噂される日本でも稀有な路線である。この12月のJRダイヤ改正で武蔵野線の海浜幕張乗入れが実現するが、通勤利用者の選択は今後どのように変化してゆくかも注目である。
 スタッフが出て乗客を捌き、程よい乗り…おそらく「単車」では結構な混みだろうか、となって発車。新都心のびる群が見える所までは順調に来たものの、そこから渋滞に。もしやモーターショー渋滞かと思いきや、先日海浜幕張駅前に開業したアウトレットモール・ガーデンウォ〜ク幕張の駐車場渋滞だった。10分ほど渋滞にもまれ、予想以上に時間を食って会場に到着した。

 昨年から分離開催となって初の「商用車ショー」だけに成否が注目される所だが、結構な人出だ。中央ゲートを入ると中央ホール。マツダ・いすゞ・三菱が中心、東ホールはトヨタ・日野・ダイハツ3社共同展示、西ホールは日産・日産ディーゼル・スズキ・ホンダ・富士重工と各種部品会社がそれぞれ出展していた。
 当方東京モーターショー自体初見学なので感じは知らないが、トラックやバスなど、モノ自体がでかいクルマがでーんと居座っていて、それまでTVなどでやっていた、きらびやかな雰囲気、台上のクルマの前でオネェチャンが…は差ほどない。小さい子供連れの一家をよく見かけ、ほのぼのした雰囲気もあった。

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 日産ディーゼルは3種類のバスを展示。フルモデルチェンジされた大型観光バス「スペースウイング」・舌を噛みそうなキャパシターハイブリッドノンステップバス(制動時発生エネルギーを蓄えるキャパシター式蓄電装置とCNG(圧縮天然ガス)エンジンの融合)・スウェーデン生まれ、ルノーベースの小型ノンステップバス「マルチライダー」。注目はすでに大阪市交通局が導入しているマルチライダーか、「三方シート配置」で車内はまさに箱という感じ。キャパシターバスは東京ガスの協力で都市ガス駆動で試走もされていた。

 三菱自動車は4車種。AEROシリーズからは、安定した人気を誇る観光仕様「エアロクイーン」・路線バスの未来系「エアロノーステップHEV」(ハイブリッド電気自動車/参考出品車)・近日発売開始の9m級「エアロノーステップミディ」。マイクロバス系「ローザ」からはロングボディの路線仕様車が出展されていた。ノンステップ2種は特に注目を浴びており、車内を熱心に眺める人も…4車種並びはバスへの自身が伺える。会場では全く見掛けなかったが「不祥事」を忘れないで欲しいところ。

 いすゞ自動車は現在人気の観光タイプ「ガーラ2000GHD」・路線タイプ「エルガCNGノンステップ」の2種。共に欧州車両統一基準をクリアした高剛性ボディ採用の安全性を誇る。エルガでたまたま車椅子の方の乗降風景を見たが、もちろんバス横に台が添えられた上でのスロープ乗降だったので至ってスムーズだったが、実際に路線で供してみるとどうだろうか。ところでエルガの前方LED表示が「新大阪」側面も「浜松―新大阪」は…?

tms2000tms2000tms2000 日産ディーゼル工業 http://www.nissandiesel.co.jp
三菱自動車 http://mitsubishi-motors.co.jp/
いすゞ自動車 http://www.isuzu.co.jp

誤解を恐れずに述べると、バリアフリー対策として乗降口を低く設定している車種の多くが、現実的には車椅子単独での昇降は難しい。これでは片手落ちです。(パンフレットより)

 小さなスペースながらかなりの注目を集めていたのがクセニッツ。フォルクスワーゲンベースにオーストリア・クセニッツ社ボディを架装したこのクルマ、昨年春から運行されている「金沢ふらっとバス」ですでに知られている。残念ながら車内乗車見学はできなかったが、外から見ても分かる小さなボディにめいいっぱい取られた客席スペースは、オーダーメイド方式で様々なシートアレンジが可能。更には独自のエアサスシステム・驚異の後部接地差3cmで車椅子利用者単独乗降をも可能にしている。「21世紀のバスを本気で考える。その答えが、今ここに」(パンフレットより)…このクルマに詰まった「夢と希望」は限りなく大きい事をひしひしと感じさせてくれた。

Kutsenits japan グリーンベル・モーター http://www.vw-audi.ne.jp/kanazawa

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 多くの来場者の関心を集めていた、テーマ性を明確にしたトヨタ・日野・ダイハツ3社共同ブース。
 日野自動車からは4車種。こちらも人気の観光バス「セレガR」・大型ノンステップ路線バス「ブルーリボンシティ」・各地のコミュニティバスで採用されている中型ノンステップ路線仕様「レインボー」・武蔵野市「ムーバス」に採用され、それがコミュニティバスの火付け役「リエッセ」。その「リエッセ」ではたまたま中扉ステップリフトの操作デモが行なわれていた。簡単そうに見えたが、これもやはり実際の使用例を見ないとなんとも…という感じが。このクラスでのノンステップ車は国内ではまだまだのようであり、残念ではある。

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 さて、今回当方が最も注目していたのが、トヨタが提案する新世代公共交通システム・IMTS(Intelligent Multimode Transit System)。幹線部では専用道路上で隊列自動無人走行、支線部は一般道を走るドライバー運行の通常バスとして、軌道系交通の定時性・高速性と路線バスの経済性・柔軟性を追求するもの。バス自体、また運転席等も突飛なものではなく、「車両として量産バスを使用するため、車両コストが低」い上、専用道の運行にはAHS(Advanced Cruise‐Assist Highway System=走行支援道路システム)による無線指示と車間調整システムで「レールや電力設備が不要なため、建設コストも低い」(パンフレットより)といういいことづくめ。車両自体もCNGエンジンやノンステップと昨今の潮流を汲み入れたもので、本社内に試験施設をもって研究が続けられているという…うーん、乗ってみたい!
 また、ITS(Intelligent Transport System)を取り入れたTIME(TOYOTA Intelligent Mobility Enhancement)ではバスロケーションシステム(TIME-b)を商品化。GPSを活用した路線・車両管理でインテリジェントバス停に待ち時間・バス位置・到着予測などをリアルタイムで表示させるほか、電話での音声情報で利用者への対応も可能にし、デマンド機能での経路変更対応などもローコストで実現したという。
 傍にウェルキャブシリーズの一般車両改造車が多数展示されていたこともあってか多くの来場者が流れてきており、またプレゼンターの説明に熱心に耳を傾けている人も多く、傍目には地味とも思えるものが注目を集めており、今後の動向を期待したいところ。

東京モーターショー出展3社共同ページ http://www.toyota.co.jp/thd2000/
日野自動車 http://www.hino.co.jp
トヨタ自動車 http://www.toyota.co.jp

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 すでに各種報道されている通り、今回のポイントは「環境・福祉・IT技術」に集約されているといっていい。その中でのバス車両は「CNGエンジン・低床化・小型化」という技術的革新が求められている事が分かる。しかしIT技術を取り入れるなどといったバス運行そのもののシステム提案が少なかったのは残念、言い替えれば、平成大不況と世界的自動車メーカー再編余波でその余裕がないのか…その分さすがというべきかトヨタの施策が余計目立つ格好となった。
 またかつてはきらびやかな未来的フォルムのコンセプトカーがバス専門誌を飾ってくれたものだが、今回は各社とも現実的。モーターショー自体がバブリーチックな眼で見られていたこともあって「現実回帰」が却って多少寂しくも思われるが…。

 商業者部門が独立、一般車との差別化で果たして例年のような入場者数は…との危惧もあろうが、本来のコンベンションの姿である各社のコンセプトが明確になっていた点は大いに評価できるのでは。来場者も家族連れで楽しむ姿が多かったし、関係者も積極的に来場者との間に立って奮戦していたのが印象的だった。「はたらくクルマの祭典」…各社には今後とも我々に親しむクルマ造り・オープンな企業であることを期待したい。

東京モーターショー公式HP http://www.motorshow.or.jp/


再統合を惜しむ…東京モーターショー
 投稿者---551planning(2004/05/18 11:02:04)
─「ゆったりモーターショー」は今年限りに
 └東京モーターショー2004見聞録

 それまで隔年開催だったのが、1999年から乗用車・二輪車と商用車の部門別交互毎年開催に変わった東京モーターショー。しかし10年を経て2007年開催より再統合される運びになるそうです。

東京モーターショー、乗用車・商用車の総合ショーに(日経05/18)http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/…
東京モーターショー http://www.tokyo-motorshow.com/

 正式発表前のため再び隔年開催化されるかなど仔細不明ですが、商用車部門の不入りが理由とされていることから、今年開催はともかく2006年の開催の有無も微妙になるやも知れません。
 平成の世とともにその舞台を幕張メッセに移した国際規模の自動車ショーは、バブル絶頂期の1991年に入場人員200万人の大台を突破するなど華やかな印象がまだ強いですが、その後不況とともに入場人員も減少、ここ2年は持ち直してはいるものの(高校生半額、小学生以下無料とした2003年開催で対前(2001年)比較15万人増の142万人)、分離開催となったこともあってか最盛期と比べれば確かに急落したという印象すら受けます…特に商用車部門は開催期間が乗用車部門の約半分ということもありますが2000年が18万人弱、2002年が21万人強と桁が違います。

***
 当方、晴海時代に1度行った記憶がおぼろげにあります(…といっても、新製品だったポカリスエットの試飲をしたくらいの記憶しかない)が、クルマに興味がなかったこともあって、幕張時代はトンと縁がありませんでした。
 実質的に興味を持っていったのが2000年の商用車部門開催から。その後も商用車部門のみ行くという感じで、3回目の今年も楽しみにしておりました。まぁ何が良いかというと、バスのトレンドチェックは勿論ですが(特にIMTSや燃料電池バスなど、トヨタ系のやる気は毎回瞠目です)、「ゆったり見られるモーターショー」であることが一番でしょうか。
 正直職場でモーターショー行くなんて云ったら「違う目的だろ」と返されるのがオチだった風潮の中、こと商用車部門ではその主目的?であるコンパニオンのおネェサマ方もトーンダウンしており(それゆえカメラ片手にがっつくような方々もそういらっしゃらず?素人でもクルマの「形式写真」が撮りやすい)、“はたらくくるま”を前面に出したファミリー向けのイベントとしては成功の部類だったと認識していました。
 ただ当時より日自工は入場者数動向を気に掛けていたのも事実、福祉車両に注目が集まるようになったということで、その関連の乗用車を意識して導入した2002年開催では、結果として「前回より増えた!」とオフィシャルサイトでも強調していましたし、今回も『働くくるまと福祉車両』部門とネーミングまで変えたことから、かなりの手応えを感じていたと思ったのですが…。

 賑々しいお祭りも楽しいもの、しかし欧米での自動車ショーの様子が関係者主体に見えるところからも、東京モーターショーは異質に思えてきた分、関係者は勿論一般人もさまざまな興味本位で楽しめるショーというのも貴重だと思うだけに、つい惜しんでしまいます。再統合時には「より深く、楽しく、ゆったりと」楽しめる趣向も期待したいところです。

「ゆったりモーターショー」は今年限りに
 投稿者---551planning(2004/05/21 13:51:16)

 自工会より正式発表されました。
 いわゆる「商業車部門」の開催は今年限りとなり、2006年は休催、2007年の40回大会より再び総合ショーとして以後隔年開催となります。
 同時に来年の「乗用車部門」の開催期間を13日間から17日間に延長(土日祝日も5日から7日に)することで、混雑緩和を目指すそうです。

第39回東京モーターショー−乗用車・二輪車−(2005年)会期延長と第40回東京モーターショー(2007年)以降の開催形態の変更について
http://release.jama.or.jp/sys/news/detail.pl?item_id=405

 「総合ショー」化でも参加体験型企画や展示スペースの見直しによる充実をとされていますが、特に今回福祉車両にスポットを当てているような方向性が盛り込まれるかは微妙な気がします。
 隔年開催による事業者側のコスト軽減も言及されていますが、来年は直接期間は重ならないものの愛知万博もあるだけに、「最後の乗用車部門単独開催」としても期間延長はちょっと引っかかるところです。

 その意味も含め、今年限りとなるであろう「ゆったりモーターショー」を楽しみにしておきたいと思います

東京モーターショー2004見聞録
 投稿者---551planning(2004/11/04 23:26:48)

 先般投稿の通り、分離開催となり3度目、そして商用車部門では最後の単独開催となる第38回東京モーターショー―働くくるまと福祉車両―が幕張メッセで開幕、一般公開初日の3日に行って参りました。
 前2回との大きな相違点は福祉車輌が前面に出された点。前回(2002年第36回)も福祉車両の展示は目立っていましたが、そのときはある意味初回(2000年第34回)の「働くクルマ!!」一辺倒から最新乗用車の福祉車両仕様をこぞって出すことで乗用車部門との差を埋める意が強く感じられた気がしました。その後の動向を踏まえ、さて今回そのあたりどうかな…と、さらに今年は10月に東京ビックサイトでは第31回国際福祉機器展(HCR2004)、ポートメッセなごやでは第11回ITS世界会議が開催、また5月にはアクトシティ浜松で第10回高齢者・障害者のモビリティと交通に関する国際会議(TRANSED2004)開催と類似展示会も多く、当方は浜松と名古屋の一般向け企画を覗きましたが、それらとの差はどうかというところも楽しみにしつつ向かったのでした。

HCR2004 http://www.hcr.or.jp/
第11回ITS世界会議 http://www.itswc2004.jp/japanese/index.html
TRANSED2004 http://transed.jp/jp/tenzikai-jp/


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 毎度お馴染み幕張本郷からシャトルバスに乗車、スムーズに会場前まで運ばれます。を、到着したのは13時前だったのですが、たまたまなのか帰路につかれる方が目に付きますね。会場内は昼食時とあって入口周辺のカフェテリアに人だかりができています。

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 まずは福祉車両がテーマであることに敬意を表して、というわけでもないのですが、シンポジウム会場に直行します。開催期間中10本のシンポが行われる中、当方が参加したのは「バリアフリー社会の実現と私たちのあるべき姿」〜福祉車両・交通バリアフリーからみた日本の未来〜というもの。会場はざっと500席くらいあったのでしょうか、6割方埋まるなど、盛況と考えていい感じでした(なにぶんシンポ会場が展示場と離れており、再入場手続(といっても蛍光塗料を手に塗られるもの)などが必要で気軽にふらっと立ち寄れる感じでもない)。
 パネリスト・コーディネーターは男性のみ6名、顔触れを見て頂ければ判るとおり、某氏がちょいと脱線気味?ながら『バリアフリー実現の意義やユニバーサルデザインの本質、これからのクルマ社会、交通バリアフリーがどうあるべきかなどを探った』(byオフィシャルサイトモーターショーニュース)のでした…なにぶん広範なテーマながら1時間半では短く、高齢者ドライバーの急増問題や、福祉車両用駐車スペース利用での処罰問題(不届者への処罰規定がないのは日本くらいとのコト)等の具体例も示されたものの、日本人の障害者に対する意識の改革を、というまさに重い課題の指摘で留まってしまったのが勿体無かった気がしました。
 ちなみに、ニュースでは『会場には若いカップルや家族連れなどが多数来場、福祉車両への関心が一段と高まっていることを物語っていた』とありますが、否定はしませんけどまぁねぇ…という感じでしたよ。ただ男性主体とか、壮年層主体とかの偏りはなく老若男女程良く?の参加だったことは確かですけどね。

「バリアフリー社会の実現と私たちのあるべき姿」〜福祉車両・交通バリアフリーからみた日本の未来〜
http://www.tokyo-motorshow.com/show/2004/public/symposium/index.html
モーターショーニュース http://www.tokyo-motorshow.com/show/2004/public/news/Vol2_J.pdf

 シンポが終わりいざ展示場へ。シンポ会場向かいの東ホールから中央、西ホールへ抜けました。東ホールに入るとまずはスリーダイヤが目に飛び込んできます。自動車・ふそう横並びですが、特にふそうは展示車両をトラック3台に絞り、双方ともに品質改善への取り組みを報告するスペースを広く取っていました…といってもだだっ広い休憩所という感じも否めず、寂寥感?を強める感じです。
 対照的に復活後持続する勢いを感じさせるのが隣に陣取ったのは日産+UD。丁度イベント時かナマ歌が響いており、正直ちょと煩くて敬遠。前回は広くドリンクサービスのアルコンサルティングラウンジを設けていたのですが、今回はだいぶ規模縮小した様子。その代わり展示車両は確実に増えていたのではないかなと。ただしバス関連では日産シビリアンとUDスペースアローで前回と変わらず。シビリアンは車体ブースのほうでも複数台展示されており、フルモデルチェンジして丸5年、街中でも良く見掛ける存在になりました。スペースアローはこちらもすっかりお馴染みとなった西日本車体工業ボディですね。

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 着実にスペースを広げてきた感のある欧州勢はダイムラー・クライスラーとボルボトラック。ボルボが迫力で見せれば、ダイムラーはデカいベンツマークが印象的。中でもトランスポーターT1N(コミュニティバス仕様)は大阪市がオムニノーバ・マルチライダーなき後の赤バス次世代車として導入を決めた車種。高い拡張性も魅力的で、欧州勢で独走を続けるクセニッツの大きなライバルとなりそうです…そういやマルチライダーとクセニッツに初対面したのは、前々回のモーターショーでした。小型バスの可能性の広がりを改めて感じる4年間でもあります。

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メルセデス・ベンツ トランスポーター T1N 「コミュニティバス仕様」大阪市のコミュニティバス(通称赤バス)に採用
http://www.mercedes-benz.co.jp/news/news/index_04_1015.html

 東ホール最後はいすゞ。毎回手堅い技術系の印象がありますが、今回は出品車両をすべてホワイトベースに黒赤ラインに揃え、清潔感を感じさせます。目玉は大型トレーラでの福祉車両。車椅子トラッカーを考えて、助手席に電動リフトシステムを備えたもので、シンポジウムパネラーも評価していました。丁度デモを見ることができたのですが、本当の需要はさておき、働くクルマならぬ「クルマで働く」可能性を強く提案するものでもあります。

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 バス関連ではエルガノンステとガーラハイデッカーでこれまた前回と同じ、ただしガーラはリフト付バスになっておりました。ガーラは非常用口を出口とする車内通行型展示を行っており、車内でしばし寛ぐ…という姿も見られました。

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 中央ホールではまず車体関連をさっと。トヨタ車体はコースターのレトロバスを、日産車体は先程触れたようにシビリアンを2台とキャラバンのジャンボタクシー仕様だそうですが、タクシーのほうは気づかなかったなぁ…というのもすぐ隣のクセニッツに目がいったもので。クセニッツも3度目の出展ですが、前回はカーゴモデルを出すなど力が入っていたものの、今回はCITY IVのCNGタイプとIIのハンディキャップタイプ。IVのドットデザインは長野市タウンシャトルカラーでしたが、アルピコ文字はありませんで。両車ともに車内立ち入りは今回も出来ず。デモ車というわけにもいかないのでしょうがちと勿体無い。スタッフブースも簡素で、納入実績も一息といった感のある現在、正直パワーダウンは否めない感じでした…とするとやはり今後はベンツマークが席捲の可能性あり? 

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 いや、クセニッツにとってベンツ以上の強敵なのは日野ポンチョの増殖振りでしょうか。2002年に登場したプジョーベースのこのクルマ、前回のモーターショーでも展示されていましたが、クセニッツよりも小振りな姿はまさに愛らしく、あっという間に全国に広がってゆきました。当初国内90台限定と云われていましたが、TRANSEDの際に聞いたところだと120台まで拡大したそうで、それもほぼ売りつくす勢いと思われます。
 というわけでお隣の日野ブースへ。前回はトヨタ・ダイハツと3社共同でしたが、今回は横並びながらも独自色が強くなっています。前回は淡いグリーンだった展示車両は今回深いブルーで統一、毎回挑戦的な次世代コンセプトモデルを多く出しており印象に残りますが、今回もこれでもかと云わんばかりのハイブリットのオンパレードでした。さて当方注目なのがそのバカ売れ状態?の後継車となるか、小型ノンステップコミュニティバスの次世代コンセプトモデルと銘打たれた「ポンチョL」です。

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 「フラワータウンのコミュニティバス」というコンセプトイメージを与えられ、実車の横でほのぼのとしたCGアニメを流しておりました。ボディを箱型にしたものの全幅2m、全長も7mに押さえ、車内もすっきりとしたノンステフルフラット、座席や手摺、運賃箱?の提案も見所ありのクルマです。日野としてはリエッセの弱点を克服、室内コンセプトとしては前回トヨタが提案したフラッポ譲りでボディの大柄さを研ぎ澄ました感じですが、さすがにハイブリットまでとは行かなかった様子。あとはブルーリボンシティとセレガですが、セレガは前々回からの復活(前回は創立60周年記念でボンネットバスを展示)ですが電気自動車走行の可能性を秘めたIPT(Inductive Power Transfer)−ハイブリッド版に進化しています。何でも停留所で4〜5分充電すれば20キロ弱は電気で走れるのだとか。個人的にはミニバスにも応用できそうな拡張性を持つグローバルハイブリッドバンが印象に残りましたね。

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 続いてはトヨタ、当方もうひとつの注目であるIMTSバス。愛知万博内輸送用の実車の登場はインパクト十分で、置かれた位置が奥まった場所だったものの、バス関係でギャラリに最も注目を集めていたと思います。なるほど、発芽をイメージしたデザインですか、後部には芽吹いた絵も描かれていますね…クルマ自体は意外と小柄というか、流線型の先頭部が大きく感じられます。

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 車内はフラッポ→ポンチョLのような提案性はなくデザインで巧いことまとめたという印象…万博のときは立客満載なんだろうなという感じもします。日野ともどもモニターの使い方が上手く、こちらは万博会場を使った実写版。隊列走行はもちろん乗場がホームドアなんだということも判りました。
 

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 丁度ステージでハイエースのサウンドサテライトとやらがガンガンやっていたのもありますが、後はさらっと。ポルテの両側スライドタイプと、去年の乗用車部門で話題になった一人乗りのPMが目を引きましたね…あれ、新型ハイエースのサイドの窓はこんな狭いの?
 ダイハツはフラッポデザインの延長?みたいなFFC・FRCくらいかな。むしろその向かいの働くクルマコーナーは大盛況!千葉県警のパトカーが人気を集めていたほか、消防はしご車やクレーン車が首をながーくして待ってましたよ。

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 西ホールはホンダ・マツダ・スバル・スズキと部品メーカーゾーン。ホンダは前回のアクティ・コンポの黄色いトレーラーカーがインパクトありましたが今年はおとなしめ。マツダは相変わらずのZoom-Zoom、スズキも軽No.1らしい既存車主体の構成でした。
 最奥部には「福祉車両ウェルフェアパーク」と銘打たれた一角。そういえば前回は国土交通省がバリアフリー仕様のバス・タクシーの展示を行ってましたが、今回は後述のように環境モノにシフトしたため、自工会主体企画に変更。シニアカーや各種車椅子、周辺機器の展示や乗車体験ゾーンとなっており、隣がトミカブースとあって家族連れで賑わっておりました。個人的には訪問入浴車の横に置かれていたライオンズカラーの伊豆箱根交通・車椅子専用中型福祉タクシー「ひまわり号mini」が印象に。伊豆箱根交通は福祉車両の導入を積極的に行っているようなのは企業イメージとして打って出るべきところですが、何分あのカラーは今はちょい…。

 サイドのもう一角は国土交通省と環境省のスペース。残念ながらこちらは人が若干まばらでしたが、コンパニオンをつぎ込んでまで環境関連を必死にアピールしてました。「次世代低公害車開発促進プロジェクト」として開発車両が4種展示されていましたが、うち「シリーズハイブリッドバス」としてこんなところで出会おうとは…という三菱ふそうボディのクルマは、前回の目玉だったトヨタ+日野の燃料電池バスFCHV-BUS2に似た屋根高の外観ながら、ディーゼルエンジンを発電専用として超低排ガス・燃費半減を目指すという別モノ。システム自体は前々回三菱ふそうが展示、前回は遠鉄バス貸出中を遠征してきて試乗車として活躍してましたが、さらに研究を重ねているそうで…今後の展開が注目されます。

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 なお今回試乗会は別途幕張ベイタウンの北側の空き地を使ったものに変更、シャトル便で京成ノンステバスが結んでました。ただし前々回(UDキャパシターハイブリッドノンステップバス)、前回(三菱ふそう(遠鉄バス)HEV、クセニッツCity-IIハンディキャップタイプ)とあったバス車両の試乗は今回無くなっておりました。

 バス関連を中心に駆け足での覚え書きでしたが、改めて全般的に振り返ると各社ともに無難なチョイスをしてくる中で、日野+トヨタは毎回仕掛けてくるなと。前々回ではIMTSとリエッセリフト車、前回はFCHVとフラッポ・ポンチョ。今回も堪能させて頂きました。対極は前々回4種、前回試乗車含め5種の編隊出品だった三菱ふそうでしょうか。不祥事の連鎖は深手の傷となったでしょうが、引き目の姿勢は残念でした。特にバスでは非常口付近の座席保持の問題が出ていることを考えれば、あえて自戒を込めて具体的な注意喚起の場とするなど、モニター数台でお茶を濁すよりはもっと違う方法もあったかと思います。あとは体制構築直後ではあれど、いすゞ+日野=のジェイ・バスのアピールがあっても良かったのかなという気がしましたね。
 福祉車両では、いすゞのトラックのようなサプライズはありましたが、結局スライドシートの類が全盛というのが変わらずのところ。シンポでも出ていましたが、こうしたクルマはディーラーで気軽に存分に試してもらう時期に本格移行すべきでしょうし、一方でITSを活用した支援システムとの融合の現実的提案というステップが待っているにもかかわらず今回はあまり見受けられなかったのは、直前に名古屋で専門会議・展示会があったからとはいえ物足りなさを感じました。

#なお、名古屋に行った感想は…あんまりないなァ。あおなみ線&名城環状線試乗のついでの立ち寄りで駆け足見学ということもありましたが、あちらはあちらで専門性主体でして。時間の都合もありパンフレットをひとしきり貰って帰ってきた感じでした。
#ちなみにIMTS関連ではお馴染みのインテリバス停が置いてありましたね。

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 あと、コンセプトカーも商用車ということもあってか小振りなのは全般的に地味な印象にさせてしまいます。そういう意味では乗用車あってのイベントショーではないという割り切りが出来るので当方は好きだったのですが、では幕張メッセでやるには…ということにもなるのかなと。まだそのあたりが欧米のショースタイルとは異なるということなのでしょうか。
 そういう意味でやっぱり?最後に触れておくと、前々回、前回よりコンパニオンのオネェさまが確実に増えたことですかね。ま、カッコこそまだおとなしめなんでしょうが、あっちでバシャバシャこっちでバシャバシャという感じ。思えば一昨年なぞ「ほのぼの感満点」だったことからすると、まさに景気回復を実感したような…? その意味では会場全体が結構賑わっていたと感じましたが、公式発表ではこの日53,500人の入場者数、前回最終日(6日目の11/3(日)58,100人)、前々回最多入場日(5日中4日目の11/3(金)54,800人)と比べてそうでもない感じは意外でした。会期は前回より1日減となっていますが、果たして前回の総勢21万人余を上回ることは出来るでしょうか…(前々回は同じ5日間で18万人弱)。

 ともあれ、乗用車部門のアホみたいな混雑(なんだろうなぁと…入ったこと無いもんで)に比べると、家族連れで1万円掛からずに皆で半日楽しめるイベントというのもあっていいのではないかなぁと(…とシングル野郎が云っても説得力無いでしょうが)。原点に帰る?意味で、晴海でも日比谷公園辺りででも、小ぢんまりでいいから今後もやってくれないかな、というのが希望です、はい。

2005.06.01 Update

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