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(過去ログNo.)

宇高航路廃止の衝撃-カナリアは鳴き止んでいる

投稿者---551planning (2010/02/14(Sun) 16:15)

02/12、宇野~高松航路を運航する2社から、03/25限りでの事業廃止届が四国運輸局に提出されました。
以前より苦しいとは聞いており、昨年乗ろうと思っていたもののタイミングが合わず、今年こそと思っていたのはつい先日こんなニュースを聞いていたからだったのですが…。

宇高航路は1910年に鉄道省連絡船を起源とし、戦後は国鉄宇高連絡船と民間3社(本四(日通)フェリー(津国汽船)・宇高国道フェリー・四国フェリー)の三つ巴体制が続いた後、1988年の瀬戸大橋架橋により宇高連絡船が廃止(ホーバーの流れを受け継ぐ高速船運航継続も1990年廃止)。しかし瀬戸大橋の道路通行料金が割高だったことや荒天時の迂回路的存在として、トラックドライバーの支持により民間により24時間・合計120便超の運航は継続していました。

景気低迷などの煽りもあり、2004年には本四フェリーが四国フェリーと共同運航化、2008/04には宇高国道フェリーが運航部門を子会社化するなど経営改善策が取られつつ、運航便数もこの際に合計100便割れに。そして同年/09から瀬戸大橋でのETC限定割引がスタート、国道フェリーが/10から「マンガ喫茶フェリー」をはじめるなど話題づくりに努めたものの、ついに2009/03から「休日1000円高速」が本四会社では1週間前倒しで始まり、共同運行化により自船運航を事実上終了していた本四フェリーが刺し違えるかのように同月限りで撤退。
主要2社はなおも24時間運航こそ維持していたものの、/12末には両社とも前年比から半減以下となる合計44便への大幅減便を断行。古くから集客合戦を繰り広げてきた両社ですが、2009年夏頃からは統合も模索されてはいたものの不調に…/12の改正では出航時刻を平準化するなど最後の生き残りをかけたようですが、離島を結ぶ生活航路でないことや、直島経由(四国汽船)で間接的に航路があると捉えることもできることから、思い切った決断に至ったのでしょう。

1000円高速、そして無料化の犠牲云々ともされてはいますが、瀬戸大橋架橋から22年、そして本四連絡3ルートが揃ってから10年以上が経過しており、四国内の高速道路網進展ともあいまって人流・物流は大きく変貌しています。航路100年という記念すべき年ではあるものの、RACDA・岡会長の言を借りれば、『ある意味予定されてもいた』結果でもありましょう-そうなんですよね、RACDAはホーバー活用提案から始まった団体だったんです。

ただし岡会長も触れる通り、地域公共交通をどうするのかの大局で捉えると、「国策のあり方」をやはり見過ごすことはできないと考えます。瀬戸大橋架橋時には競合運航会社への手当てもなされたでしょうし、道路料金もある程度の高水準に保たれてきたのも国策なら、高速道路無料化のマニフェストに対抗するかのように設定された1000円高速も国策。ただ利用者本位の方向性が明確にあったのか、場当たり的にカネが落とされてきただけではないのかどうかは、じっくり考えなければならない点でしょう。

今回の動きとは関係ないとは思うものの、なんというタイミングか、同日付朝日夕刊コラム「窓~論説委員室から」にはこのような一文が。

鳩山政権が突き進む高速道路の無料化政策の影響を評価するカナリア役としては、JR四国がうってつけ付けだと思う

毒ガス検地役として使われていた「炭鉱のカナリア」になぞらえたものですが、JRの中ではもっとも小規模、その上これまでの歴史はリストラ史だというJR-Sの路線維持にかける涙ぐましい節約努力も、1000円高速で吹き飛んでしまった。世界では環境問題などから鉄道復権の潮流の中、高速道路無料化によりまじめに経営しているJR-Sが苦境に立たされるようなら、それは政策失敗の警報と受け止めなければならない-としています。

今年実施予定の無料化社会実験においては、四国内では松山道と高知道の端部が指定され、本四架橋や連絡する区間での指定はありませんでした。さりとて、指定区間は予讃線や土讃線と競合する部分でもあり、JR-Sへの影響は否定できません。それは、四国や瀬戸内海に限らず、全国の鉄道・バス・航路についても同じこと。『流通コストの引き下げを通じた生活コストの引き下げや、産地と消費地へ商品を運びやすくするなどによる地域と経済の活性化』を目的とする高速道路無料化方針ですが、1000円高速に起因する“結果”を検証することなしに社会実験に進むことが何をもたらすのか…すでにカナリアが鳴き止んだ暗闇を更に奥深く進んでいくような気がしてなりません。

国道フェリー継続! 四国フェリーは…

投稿者---551planning (2010/03/04(Thu) 20:14)

宇高航路撤退表明から3週間、とりあえず最悪のシナリオは免れたようです。まさに急転直下なのか、公式サイトでは未だ航路廃止のお知らせが出ているのですが…。

かつては国鉄連絡船も就航する主要航路の突然の廃止表明以後、その波紋は大きくなり、前原国交相も02/16の段階で何らかの支援の可能性を示唆。その後02/26には急遽関係8機関が集まった「宇野高松間地域交通連絡協議会」初会合が開催され、国側が
 ・2社統合ほか減量化での運航継続
 ・四国汽船直島経由便強化
 ・JRやバスによる代替手段確保
-の3点を提示し、03/06に素案を示す考えとなっていましたが、この時点では国による赤字補填スキームがないため自治体での支援可否検討も投げかけており、自治体側も困惑-との報道もなされていました。

運航継続を決断した国道フェリーの山下周市社長は「地域や利用者から極めて強い要望があった」とする一方、高速道路無料化政策の進展を睨みながらの継続であることも示唆しており、就航船の1隻減等更なる厳しいリストラを進めることになりますが、まさに本航路のみである同社にとっては存亡の危機ながら、まずは企業としての継続を図った決断に、利用者として機会があれば応えたいと強く感じています。

***
なお、こんな記事も…。

02/27に急性肺炎で他界されたとのこと。02/12の撤退表明記者会見では堀川智司専務が対応しており、この時点で体調は優れていなかったとも推測されますが、昨春には日経ビジネス「敗軍の将、兵を語る」に登場、まさしく悲痛な思いを吐露されており、その後さらに積み重なったであろう心労を思わずにはいられません。心からお悔やみ申し上げるとともに、小豆島を支える四国フェリーの今後にも注目してゆきたいと思います。

四国フェリーも完全撤回…だが

投稿者---551planning (2010/03/12(Fri) 13:20)

03/11、四国フェリーも宇高航路廃止届を取り下げました。早くも「利用者が振り回されただけ」との声も出ており、同社サイトでも『運航を存続させていただきたいと存じます』『ご利用者の皆様には多大のご心配やご不安をおかけいたしましたこと深くお詫び申し上げます』『引き続きご愛顧ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします』との言葉が並び、国道フェリーサイトにも『皆様方から強いお叱りの声と、また励ましの声も頂戴いたしました』等、同様の言葉が並んでいます。

それにしても今回の“騒動”で、まさに前途は五里霧中といわざるを得ません。四国新聞記事では、連絡協議会に対する失望が両社を動かす形になった旨とする一方で『「本当に利用者を思って限界まで合理化したのか」との疑念さえ抱かせる』としていますし、RACDA岡会長は旅客高速船のニーズ可能性に触れつつも『今回はともかく、やがて直島航路だけにするべきだろう』との所感を示されています。

国道フェリーは最大2/3程度までの減便を視野に入れ、高速道路無料化に向けた社会実験動向を視野に数ヶ月の延長としていたところ、四国フェリーは現行同等の維持、1年間の継続を表明。ただし従業員についてはいったん解雇の上子会社「四国急行フェリー」での再雇用等による合理化を行うとしていますが、国道フェリーでは2008/04に同種の合理化を実施していますね。

なお、宇野高松間地域交通連絡協議会は当初3回予定だったそうですが、国道フェリー継続発表直後の03/06に開かれた第2回会合では社会実験運航実施で国と自治体が合意したものの費用負担で物別れに終わったとのこと。四国フェリー継続を受け、今後は両社統合を含めた経営合理化による継続運航確保を焦点に協議会は継続される見通しともされていますが…。

【検証:】では、近いうちにデータベース・ラボにて一連の経緯等をまとめつつ、今後の動向を注視したいと考えます。

【リポート】岐路に立つ“四国の玄関”ルート~100周年の宇高航路・宇野線を往く

投稿者---551planning (2010/06/12(Sat) 04:35)

先月現地を急ぎ廻ってきました-改めて厳しい現実を見る思いです。

で、リポートとしてはアップしたんですが、改めてイロイロと調べてみると根深いというか複雑というか、リポートをまとめる途中でのかなり拡散しそうになったので、とりあえずいったん〆とこうというのが率直なところでした。
なにぶん中途半端間があるやも知れませんが、そのあたりは【検証:】データベースラボで随時、というところとなります。


最新情報は【検証:】Wiki-宇高航路の100年
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