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甲州路

「規制緩和」後の高速バス新機軸を見る =早春の甲州路より=

2002/02のいわゆるバス・タクシー事業規制緩和後、新規参入の目立った動きは出ていないものの、収益性の高い高速バス事業には既存会社の権益確保的な動きがなお活発に続いている。中でも話題となった新宿-甲府線(京王・山交・富士急)の1000円キャンペーンや「昼特急&青春ドリーム」だけでないJRバス各社の動向など、利用者獲得へ新規アプローチの模索が始まっていることも見逃せない。そんな姿に触れようと早春の甲州路を駆け巡ってきた。


東京河口湖線

03/09(土)朝、東京駅八重洲南口高速BT。急行静岡行きJR東海バス便が結構な乗りで出たあとの1番乗り場、やってきた車は新宿ではお馴染み、アニメチックが鮮やかな富士急行のバス…行き先は河口湖駅。「東名経由」と方向幕にも入っているのが逆に新鮮…東名ルートに新路線デビューだ。

これまで富士山へは新宿から中央道高速バス、京王か富士急というのが相場だったところへやってきたJRバス関東と富士急が組んだ東京駅~御殿場・河口湖線。横浜方面からは定番のアプローチであるルートだが、バス路線は確かに無かった。JRBKはこの河口湖線のほか、「昼特急&青春ドリーム」の拡充、吉松線のてこ入れ、変り種の「らくらくミッドナイト守谷」(金曜夜守谷行深夜バス)など積極的な展開を見せている。

さて、08:40発便は富士急ハイランド11:00過ぎ着と動き回るには丁度いい時間の便で乗りも期待していたが、結果総勢15人。6人組グループなど、過半が女性で車内も華やか、早速「お菓子交換」が始まった。
出発直後、信号待ちで留まっていると女性客がドアを叩く。「御殿場行きますか」「行くのは行くけど、駅に行かないよ。そっちで待ってて」と急行静岡行きを勧める。売り込んでも良い所だが順当な対応としておこう。
霞ヶ関ランプでは「横浜町田-厚木 渋滞7km」との表示。3号用賀線は対向都心環状方面はかなりノロノロ。終着目前の夜行バス便も嵌っている。こちらはスムーズで東名東京料金所まで30分掛からなかった。東京料金所過ぎの向ヶ丘バス停には3人ほどの待ち客。高速バスの始祖とも云うべき東名ハイウェイバスの特徴のひとつがこの本線停留所だが、しかしこのクルマは直行便で各バスストップには寄らない…。

富士山が見え始めた横浜青葉ICを過ぎてしばし、ノロノロに。海老名SA付近まで続いたものの、相模川の手前付近で解消、再び快調に走る。大井バス停付近で10分前発のJR東海バス急行静岡行きを追い越し、10:15頃足柄SAに到着、「少々遅れておりますので10:20には出発します」と放送が入り、5分弱の休憩となった。
足柄SAはハイウェイバス用スペースが確保されており、至近に洗面所や自販機コーナーなども設けられているが、メインの建物はかなり遠く、軽食購入などはし難いのが残念…後方から先程のJRTBがやってきてしばしランデブー。双方の車の乗客が降りて背伸びなどしばし休憩する。こちらの運転手は花粉症のようで、クシャミが耐えない…御苦労様です。

再び出発、しばし進んで御殿場ICから下道へ。丁度御殿場IC停留所には東京と御殿場を結ぶもうひとつのルート・小田急箱根高速バスが到着、こちらは素通りする。しばし市街を走ってR138沿い、富士急御殿場車庫に10分弱の遅れで到着、1人が下車。
R138を進み、須走から東富士五湖道路に入る。車窓の左は広大な富士山の麓に広がる自衛隊演習場、「射撃訓練中」との表示も見える。山中湖畔のホテルマウント富士入口での降車は無いため、山中湖ICはそのまま直進…河口湖ICを降りて来園者の歓声が聞こえてきそうな富士急ハイランドに若干の早着、件のグループなど9名が下車した。
終点・河口湖駅前には定刻11:15の到着。5人が降りると、駅前の車庫に静々と収まっていった。ふと見れば折り返し11:30発JR便が出発準備を始めていた。しばらくしてブルーラインのこのクルマも見慣れることになるのだろうか…。

河口湖線の場合、原則予約制とされているのは当然として、であるならば東名上の停留所で客扱いしないのは勿体ない。向ヶ丘や大和など、それなりの需要が期待できるのではと考える。過少評価しているとすれば、事業者側の高速上BSの利便性に対する評価を如実に示しているとも云えようが…。少なくとも言えるのは御殿場での乗降をしているのなら御殿場インターは経由させてもいいのではないか。むしろ富士急車庫でP&Rをしているという宣伝になろう。
あとは山中湖や忍野を経由させることを考えれば、東富士五湖道路経由としてしまっているのはどうか。現状でもホテルマウント富士を経由するとすれば山中湖インターを降りることになり、経路的には中途半端の感もあるが、潜在需要掘り起こしの一助にはなろう。
ともあれ、現状の東京駅と富士急ハイランドを結ぶだけしか積極的なメリットを見出だせないようでは行く末が気になるところ。夏に掛けての渋滞対策含め、今後に注目だ。

新宿甲府線

河口湖駅でJR-Eのジョイフルトレイン車を買い取った「フジサン特急」と御対面、得意なデザインに「本物」とつい見比べるなどして過ごし、路線バスで甲府へ移動。13:00前に到着し、既に15:00発新宿行きを予約してあったのだが、ダメ元で早い便に切り替えようと駅前案内所を尋ねると、20便以上ある新宿行き案内板は「満席」の表示で埋め尽くされていた…「17:00以降ならまだあるんですがね」では話にならないので、予約通りに切符を購入、食事などして時間を潰す。
引き換えた切符を見ると15:00発便は運行事業者に京王と記されており、2号車になっていた。14:30発は山梨交通便で1台運行、出発時は7割ほどの乗りだが、途中乗降があるからと理解する。この後改めて案内所を訪れると、当日便は「完売」の由、予約無しで訪れて駅に向かう人も少なくない…恐るべし1000円キャンペーンながら、利用客流出の現実をどう見るのか。

15:00前にやってきた車はまたもや富士急で2号車。遅れて京王車が到着し、「運行事業者」1号車となった。バス停前で待っていた多くの人が大移動を始め、車内では「席はドコ?」と中年の女性グループが騒がしい…その外は1~2人連れという感じの乗客が多い。それぞれ乗客が乗り込むも手間取り、5分遅れの出発となった。2号車の乗りは7割ほど。埋まったであろう1号車の代わりに途中乗降を拾うのかと判断する。
市街の細道をうねうねと進み、身延線高架下の善光寺で2人乗車、山梨学院大学前では乗車なかったものの、石和駅入口で3人、一宮で4人が乗車した。このとき1号車も乗降を行なっており、まあ2台に速度差がでるのもどうかとは思うが、効率的には疑問の残るところ。
ともあれ、中央道に入れば下道の信号待ちの煩わしさもなく、車内は仮眠を取る人が過半を占めているようだ。7割近くが女性、地元客と行楽帰りの中高年グループが多いのも目を引く。

渋滞ポイントも滞りなく過ぎ、八王子手前では圏央道との大規模なJCT工事が進行中。今度の延伸でも「中央道が近付きます」と声を大にして告知中…。上野原から先は降車停留所となるが、「ありそう」な元八王子、日野とそのまま通過、結局高速道上での乗降はなかった。詰まり始めた初台で降りて下道に…新宿追分交差点を左折するだけで10分近く要したのは最後に印象を悪くしたが、17:20の到着と結局その10分遅れにまとめたのはさすがとしようか。

1ヵ月間にわたって行なわれた甲府線キャンペーン。後日報道をみると、当方試乗の03/09が最大規模の増便を行なった日だったとか(通常分含め43.5往復)。この間の利用者は対前年1.2倍、半額にしたがゆえ収支的にはトントンだった様子で、実乗からはそもそもの流動の太さとともに潜在需要の掘り起こしも見られたことは積極的な評価を与えるに十分と感じた。しかし反面でみすみす逃している状況も見られたのはなんともはやであった。「台数を制限せず、乗車希望者が1人でも定員を上回れば増発した」(紹介記事より)とされているが、許容を超える需要までは読みきれなかったにせよ、悔やまれるところである。
現状でも回数券利用だとかなりお得になることは地元で知られており、潜在需要は東京側での掘り起こし如何ということになろう。その意味ではマスコミ効果もそれなりにあったかもしれないが、グループ客の取り込みという意味では鉄道に分があると思われる分、例えば果実狩りなどでダイレクトアクセスとなるバスの機動力をも加味した、甲州の観光資源の積極的なアピールなど、より長期的なキャンペーンがあってもいいように思う。その中での価格帯をどのように探ってゆくのか…多方面へ与える影響力が大きい、「伝統」ある中央道高速バスの真価が今まさに問われているところだといえそうである。

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新宿~甲府線「1000円キャンペーン」の問題点など

投稿者---ジョー万太郎氏(2002/04/02 03:05:05)

パッスルスイカ改めジョー万太郎です。

新宿~甲府の高速バスは私は2月24日に乗車してきました。乗車したのは新宿10時ちょうど発の富士急行車両で前日に奇跡的に券が取れた上で乗車しました。帰りは中央道の渋滞を避けるべく、乗車しませんでしたが(夕方甲府発はほぼすべてが満席となっていた)。
この路線は、甲府までの途中停留所の勝沼や石和でも乗降客があり、これらの駅が特急あずさやかいじの停車本数が少ないことがバス需要を喚起したように感じます。まさに「かいじ高速バス」にふさわしいものでしょう。

さて、採算性に問題が合ったと報じられていますが、割引するのはよいことながら、過度の運賃割引はバス=安い=取りづらいという現象を起こしかねず、バス本来の持っている利点がなくなる(機敏性や鉄道の恩恵がないところからの都市部直通、特急と違い確実に座れるなど)可能性があります。こうなると鉄道などに客が行ってしまい、儲かるとは言い難かろうと。
そもそも山梨県の国中地方(でしたっけ、郡内だったかな)は人口が30万人規模とあまり多くなく、少ないパイを争うような戦いになりかねません。まあTDLのようなアミューズメントがあれば話は別ですが(笑)。また、観光地そのものも魅力を引き出すことが重要だと思います。過去は果物狩りなどは盛んでしたが、今は都市部ではあまり見かけず文明に失われたものになりかねないので、楽しさなどを伝えるべきではないでしょうか。バス運賃の価格競争は、町の産業振興などもかかわる問題なので、安易に行わずに慎重に行っていただきたいものです。

※北九州市~福岡市にかけての西鉄バスの1000円運賃は、両都市とも政令指定都市で100万人以上の人口がいるので、パイが大きく、ビジネスや観光、アミューズメントなどさまざまな面で利用価値があることが大きな理由でしょう。特急列車などのライバル争いはこれらが背景にあるからでしょう。また熊本~福岡の廉価運賃も都市規模、観光規模による点があるでしょう。

新機軸に移る新宿-甲府線

投稿者---551planning(2002/04/02 03:05:05)

ジョー様、忘れた頃の遅返御容赦の程。

バス運賃の価格競争は、町の産業振興などもかかわる問題なので、安易に行わずに慎重に行っていただきたい。

慎重なる検討の末の結果がとりあえず出たようですよ。
06/01に甲府線3往復を奥座敷というべき湯村温泉へ延伸することに伴い、1ヶ月間限定ながら平日のみ使用可の「トクワリきっぷ」を土休日も利用可能としたこと。今週の日経記事では先の1000円キャンペーンあっての施策と触れられていました(スイマセン、記事取っといたんですが紛失してしまいました…来週調べます)。山梨交通は羽田に次いで成田進出も実現方向で検討が進んでいるということで、高速バスで収益基盤確立が出来るでしょうか。

割引するのはよいことながら、過度の運賃割引はバス=安い=取りづらいという現象を起こしかねず、バス本来の持っている利点がなくなる(機敏性や鉄道の恩恵がないところからの都市部直通、特急と違い確実に座れるなど)可能性があります。

まさしくこの問題は1000円キャンペーン時に発生しており、今回の湯村温泉延伸はバスの機動性を活かす模索として評価できるのでは、と思います(甲府市街北部地域住民への利用促進策としても位置づけられている由)。


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