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【検証:近未来交通地図】
特別リポートNo.051 |
需給調整規定撤廃を柱とする乗合バス事業の規制緩和が定められた改正道路運送法施行から2年。コトデンバス、九州産交、京都交通…本業の利用者数長期漸減傾向に加え、バブル崩壊による付帯事業の“勝ち負け”の鮮明化で、既存事業者の体力と撤退が容易となった過疎路線の動向が強く問われるようになる一方、“クリームスキミング”(オイシイトコ取り)への警戒感が強く懸念されていた新規参入の状況も、さほど目立った動きが見られていないということができるかもしれません。
改正道路運送法施行(2002.02)後に路線バス事業に新規参入した会社 052.html#11
そんな中注目したいのは、特にオイシイトコ取りが話題視される高速バス路線への新規参入でしょうか。端緒となった「たかなんFOOTBUS」では参入前にライバルであった既存者2グループが共同運行して対抗、価格勝負と本数拡大に至りました。昨年末に新規市場を開拓した九州・八代の神園交通も、九州産交独占であった熊本空港連絡バスに風穴を開けたものの、九州新幹線開業に併せて同区間に九州産交も路線開設で応戦すると伝えられています。
最も注目すべきは仙台の富士交通の動向でしょうか。経緯を纏めていますが、公取委から既存3社(宮城交通・福島交通・JRバス東北)に対して口頭注意まで出たというのも凄い話だと思います。開業直前に既存社が値下げを仕掛けた事から高松以上に価格競争となり、結果既存社開業時と比して回数券ベースで約2/3まで値下がりし、運行本数も倍々ゲームで激増していった様を横目で見て、共倒れの懸念を強く持ったものです…しかしながら事態は思わぬ方向へ。富士交通は昨年末に福島・郡山に拠点を持つ桜交通との共同運行化を果たすと、この2/7から3番目の路線となる仙台−山形線に参入することに。先行2路線が軌道に乗れば山形をはじめ東北主要都市や、仙台空港リムジン、対首都圏などの路線…と開業前に大風呂敷が広げられていた事を思い出しますが、紆余曲折の末先行2路線の目処が立ったということなのでしょうか。大袈裟に例えれば盟友家康に南の守りを固めさせ新たな侵略を進める信長の姿が浮かぶようです…おっと、独眼流政宗の地、でしたね。といってもまさか死装束で秀吉に挑むというわけでもないでしょうが…。
乗合バス事業者に対する独占禁止法違反被疑事件の処理についてhttp://www.jftc.go.jp/pressrelease/03.may/03051401.pdf
福島〜仙台高速バス、値下げ競争第2ラウンドへ 051-2.html#21
というわけで前置きが長くなりました。富士交通の状況はかねてより気にしていたものの実乗は昨年元旦という特異日1度きりの当方、話を聞いて居ても立ってもいられなくなり、山形線開業となった2/7に現地へ馳せ参じ、駆け足ながら状況を見て参りました…。
「はやて」だけじゃぁツマラナイ…でしょ? 「正月パス」2003東北筋旅日記 040.html
まずは家康、ではなかった、去る12月に自ら新規参入を果たした“盟友”桜交通路線を表敬訪問します。
郡山駅前に立つと、あちこちで雪かきに精を出す人々の姿が見受けられますが、積雪量自体はさほどではないものの、当地での積雪も珍しくなっているのでしょうか。駅前バスプールを行き交う福島交通の路線バスもチェーンを巻いています。
で、3年前に再開発で整備されたという西口駅前の細長いスペースを巧みに使った綺麗なバスプール4番乗場からは、仙台線のほか伝統のいわき−郡山−会津若松線(1969年一般道経由で開業・1996年磐越道経由化 常磐交通自動車・福島交通・会津乗合自動車)、1998年開業の新宿線「あぶくま号」(福交・JRバス東北・JRバス関東)、1999年開業の福島線(福交単独)や福島空港線といった昼行便と京都・大阪への夜行バス「ギャラクシー号」(福交・近鉄バス)が発着します(あと東北急行バス東京−山形線も深夜に立ち寄るはず)。
…が、富士・桜便はここではありませんで、駅前の大通りを西に2ブロックほど進んだ先に乗場がありました。駅前バスプールに乗り入れない分、桜交通が乗場横の商店街のビル2Fに待合室と事務所を設置、桜交通参入時のオープンか真新しい待合所はトイレも完備されていて、誇らしげに一般乗合運送約款が置かれてもいました。このような天候では立派な切符売場はあるものの待合設備が無く寒い中を野天で待たされる既存便との差は贔屓目に見ても大きいかなと感じました。ただし待合室が2Fで急な階段を上り下りするしかないのは玉に瑕、ではありましたが。
さてさて、最初に目にした「直接対決」は、バスプール見学時に09:15発の福島交通仙台行が20名ほどを乗せて発車、待合室を見学した直後に発車した09:30発の富士交通仙台行はポツリポツリ…という状況。事務室からの放送とガイドの女史が仙台行きの時刻表の入ったティッシュを配って宣伝に努める姿が印象的でした。




○ 桜交通 日大工学部→郡山駅前→仙台駅前
当方は福島交通の路線バスで市街を南に進み、阿武隈川のほとりにある日大工学部正門前バスロータリーへ。東北新幹線車中からも風車が目印になりますが、こんなところにも学部のあるさすが全国展開の日大、学部ではここが北限で三島が南限?ですかね。わざわざここまで来たのは、富士・桜便は運行開始当初より単独でここまで乗り入れており、10時過ぎ発の桜交通便に合わせたためです。既に白ベースに桜の絵が描かれたクルマが控えていました。
福島交通路線バスが折り返し発車してそろそろとバス停に進んで乗車開始、ガイドのオバサマが…おっとベテランさんですね、にこやかに迎えてくれました。クルマに乗り込むと桜が歌詞に出てくる柔らかめなロック調の歌が流れています(題名・グループ名不明…)。ん?さすが桜交通だけに…!と思っていたら、何のことはないFMが流されているだけ(そういえば富士交通完備の車内TVはなく、代わりにFMが道中流されていた)でしたが、たまたまとはいえよく出来ていた?なぁと。さて、当方と学生然の男女3名グループが乗車して出発となりました。ガイドより軽く挨拶があって、各席に廻って運賃を回収します。クルマは阿武隈川東岸の福島工業団地内を進んで市街へ。森永工場前で学生グループの連れらしき男女2名、桜交通前・中央工業団地・方八町一丁目では乗車無く、回送状態の富士交通車と離合して(どうも富士車は東口ロータリーで折り返し待機している様子)、駅前で親子連れなど5名が乗車しました。


しばし時間調整の後10:30に発車、改めてガイドから挨拶があり、(駅前乗車の人の)支払は後程と伝えられます。軽く丘を登って西方へ進むと、富士・桜便単独停車の虎丸・はまつ前を通過して郡山市役所へ。ここでも5名が乗車、車内も俄かに活気付きます。ちょっと細道のあさひ通りから福島放送の 本社(県庁所在地じゃないんですね…)前を左折して桑野3丁目でも親子連れなど5名が乗車。R49への右折渋滞にしばし嵌り、R49に入って直ぐに後ろについていた若松行会津バスがイラついたかのようにするりと先を急いでいきました。結局コパル前を通過して郡山ICから東北道に入った時点で10分ほどの遅れとなっていました。あ、しっかりETC対応でしたよ。
東北道に入る前後でガイドから挨拶があり、2時間弱の行程と吾妻PAでの休憩が告げられ、てきぱきと揺れる車内で運賃回収してゆきます。しっかり期間限定の回数券割引(1,200円←1,300円)アナウンスのおかげか回数券をと求められていたようです。で、間髪入れずに子供を中心にアメの配布と『膝掛けは宜しいですか?』、そしてお茶サービスとガイド添乗の強みを実感します。それでいて貸切でない分押し付けがましいアナウンスがないことからも、FMをBGMに車内には寛いだ雰囲気に包まれてゆきます。
しかし車外に目をやると市街では晴れ間も見えていた天候が一変、峠付近を中心に吹雪く状況に。さすがにハンドルをとられることはないものの、減速を強いられる視界不良区間もありました…実は朝方まで福島・宮城・山形県境付近で東北道・山形道が通行止となっており、乗車時に運転手に確認したところ『開通はしていますが…』との話、ガイドからも『今朝の便(桜交通担当郡山08:30発か?)は回送だったそうですよ』と伝えられていたのでした。


福島盆地に入って吾妻PAで一息、降る雪こそ穏やかになりましたがさすがに寒いようで、トイレなしながらもバスを降りた人は数人に留まりました。ガイドは傘をさして外で待ちます。乗車確認、発車後に直ぐお茶のお代わりと、適宜車内にも目を配る姿は信頼が持てます。そして運転手のほうも慌てず、といって遅くも無く、てきぱきと車線を変えてクルマを進めてゆきます。対向車線も既存便、富士・桜便が入り乱れる高速バス街道…県境を越え蔵王PAあたりで離合したのは弘南バス「スカイターン」でした。
再び薄日の差す穏やかな天候となって、ガイドからまもなくの案内があると仙台宮城ICから一般道へ。仙台西道路青葉山トンネルを突き進めばぽっと市街に放り出される感じがいいですね。広瀬通一番町で半数ほどが降車、結局終点の広瀬通仙台駅前には10分遅れのまま12:30に到着となりました。
○富士交通 県庁市役所前→青葉通仙台駅→山形駅前(ダイエー山形店前)
青空ものぞき寒さも差ほどではない中、仙台駅前から徒歩で宮城県庁へ移動、勾当台公園も一面の銀世界となっておりました。
ここからは本日のメインである富士交通山形線試乗となりますが、律儀にというかあてつけというか、既存2社(宮城交通・山交バス)とほぼ々ルートをゆきます。そのために仙台駅も広瀬通宮交高速バス案内所前でなく青葉通みずほ信託前となるのは、どうせならどこかに独立拠点でもと思ってしまういちげんさんには分かりづらいですが、既存社で通勤・通学定期券も設定されるほどの日常利用者の多い東北地方随一のドル箱路線と云われる山形線だからこそのまさしくガチンコ勝負ということでしょう。
その意味では特に土曜日ということもあってどれだけの利用があるのだろうと気になっていた始発の県庁市役所前バス停、市営バスや宮交バスの路線便がひっきりなしに発着する中やってきた13:00発の宮城交通便は乗客ゼロ。と、女性がやってきて富士交通のポール前に立ったので当方も並ぶと、あれよあれよと列が出来ました。そんな中聞こえてきた当方の後ろに並んだ若い母娘の会話…。
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母 娘 母 娘 |
『今日からなんだって。安いのよ…あそこに時刻表があるから取ってきて』 『えー、800円っていくら安いの? 200円か』 『回数券買ったらもっと安くなるんだって…ほら、750円って書いてある』 『何で安く出来るの?』 |
| 母 |
『今までずーっと宮城交通と山交の独占だったでしょ、ライバルが出てくると便利になるかもね。 ほら、山交の運転が乱暴でしょ、そういうのもライバルが出ると変わるのよ』 |
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娘 母 娘 |
『でもどれだけ走ってるの…少ないんじゃない?』 『そうね、(既存社も)増やしてるらしいし。でも値段が安いとこっちに乗っちゃうかもね…あ、来たわ』 『綺麗なクルマだね、山交とかだとこんなやつ(宮交路線バスを指して)もあったし…』 |
…やはり利用者の目線は怖いですね。勉強になります。
ということでやってきたクルマに乗り込んだのは当方含め6名。スーツ姿の男性もいました。運賃箱もついたワンマン仕様ですが、初日とあってか男性社員が添乗しています…といっても接客対応は全くしませんでした。運転手の初々しい様子を見ると、指導中ということかもしれません。均一運賃ながら降車時支払とのこと、『発車します』との挨拶で出発、本日開業等特段の放送は無かったものの、『宮城交通さんと山形交通さんの回数券は使えません』との注意が入ります。クルマは広瀬通から仙台駅を横目に青葉通のバス停へ到着。11名が乗り込みました。広瀬通一番町でも7名が乗車。滑り出しはなかなかのようです。
仙台宮城ICから東北道へ、こちらもETC装備です。村田JCTから山形道へ進みますが、再び徐々に雲行きが怪しくなってきました。それにしてもひっきりなしという感じに既存便と離合します。目測ながら富士便含め各便10名は軽く乗っている様子、ということは富士交通の健闘が伺えるわけですが、そういえば添乗の社員も離合便、特に既存便の様子はチェックしていましたね。高速道もに被さるスキー場を横目に笹谷トンネルへ…なるほど、山形道全通前にいちはやく先行開通していたというここが笹谷トンネルでしたか…。
高速道路の名称・・・いい加減、整理ができないのか../../topics/highway/log501.html#2
笹谷峠の前後区間では東北道ほど吹雪く事はなかったもののまだ除雪が追いついていない状況、さらにトンネルを越えたあとは緊急待避所も数箇所ある長い下り坂の区間ですが、バスは慣れた道かのように軽やかに進みます。
そして峠を下り終わるとそこは山形蔵王IC、そして雪が降りしきる山形市街に突入という形になります。最初村田JCTまでは感覚として随分遠回りになるのではと思っていたのですが、なるほどこのルートだと両市街地をそつなく押さえる事ができる高速バスの利便性を思い知らされる気がしますね。県庁前・南高校前でそれぞれ数名が降り、山形駅を目前に望むダイエー山形店前が終点となります。何を隠そうここは山交ビルバスターミナルでもあるわけですが、降車は既存便ともども同じ場所となるのは面白いというかなんというか…ちなみに富士交通の乗車場所はほぼ向かいのセンタービルの前となりますが、庇もない完全野天で悪天候時には待つのは辛そうな気もします…その意味でも、富士交通のほぼ毎時1本15往復運行もさすがと思う以上に、既存便の平日60往復、しかも44往復からの大幅増便という数字に瞠目させられる思いがします。
その意味では今回の新規参入・増便対抗はマスコミの注目も集まっているのか、降りた途端にテレビクルーが降車客の撮影とインタビューを始めました。その後には山交バスが到着…塗装から仙台線ではないようですが、鍔迫り合いを間近に見た思いがしたのでした。


○宮城交通 山交ビルバスセンター→広瀬通一番町(→県庁市役所前)
天候も踏まえ、山形市街散策もそこそこに、すぐ仙台に戻ることとします。
ダイエー山形店内をそのまま突っ切ると、通りの裏手が山交ビルバスセンターとなります。規模はそれほどでもないですが、相対式ホーム的に6つの乗り場が配置されており、都市間バスでは仙台線のほか、新潟線(山交バス・新潟交通)、鶴岡・酒田線(山交・庄内交通)、2003年開業しJR乗車券でも乗れることで話題となった福島線「ピーチライナー」(山形高速バス・福島交通)の昼行便と山形空港(山交単独)・仙台空港(山交・宮交観光サービス)連絡バス、夜行バスの京都・大阪便(山交・近鉄バス)、新庄―東京線(山交・東北急行バス 2003年10月から山形経由化)と東北急行バス単独の東京便が発着します。![]()
山交バスといえば実質的な持株会社的大規模グループ再編に伴い、近年バス路線の大規模な縮小策を取ってきたことが想起されますが。2002年から新庄線「あじさいライナー」・米沢線「おりひめライナー」を手がけ(1998年廃止路線を高速道経由で復活)、大幅割引などのてこ入れを図ったものの不振で結局1年で消え、貼り出されていた福島線ポスターにはてこ入れ時の宣伝が添えられているところに、黒マジックでバツがつけられているのが何ともな気分にさせられます。それもあって今回の仙台線増便は生命線死守と云っても過言ではないでしょう。
開放的な窓口で両替がてら乗車券を購入、ワンコインならぬワンノート価格(1,000円)は分かりやすいですが、富士便は800円としており、「値下げ合戦になっている仙台―福島・郡山線のようにはしたくない」と増便で利便性に訴えたい既存社の動向が今後注目かな…と思いつつ、既に乗場に列ができていたので並ぶと、後ろから『すいません、NHK山形ですが』と声を掛けられました。振り返ると、先程富士便を撮影していたテレビクルーです。といっても、当方は地元民ではないので、望ましい返答もできなかろうとお断りしました。で、そのあとにやってきた御婦人がインタビューに答えていました。記憶のある限りに拾ってみると…
記者
婦人
記者
婦人
記者
婦人
記者
婦人『今日から富士交通さんも走っているんですが、こちらにされたのは何か理由でもありますか?』
『えっ、いつも使っていますもんで』
『今日から、富士交通さんというところが仙台までバスを走らせているんですが、御存知ですか?』
『いえ、知りません』
『仙台へはいつもバスをお使いですか?』
『電車より便利ですし、安いでしょ。だからバスです』
『利用手段を選ぶ時に何で選びます?』
『やっぱり便利かでしょうね。本数も多いほうがいいです』というような感じでございました…なるほど、仙山線は使いづらいようですね。それとやはりというか、山形での富士交通の知名度はまだまだというところかもしれません。
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山形空港行山交便がガラガラで発車後、鶴岡行山交便とともに仙台行宮交便が入線、それぞれ15名ほどが乗り込みました。山形線の宮交車は比較的経年車が多いと聞いていましたが、なるほどいい感じ?ですね。それでも力強い走りを見せてくれます。ふと前を見ると、仙台・山形市内双方で区間乗車も可能になっているんですね…利用の程はどうかなと思いますが、一般道経由からの伝統が残っているということなのでしょうか。
山形市内での乗車なく再び山形道へ。富士交通では衛星テレビの放映がありましたがこちらは無くて車内も静かなもの…といっても富士便のテレビ放映も衛星とはいえ山岳路線ということで受信状態はあまりよくなく、サービスと云われても…とも思ったので、やはり何よりも着席の快適性と定時性が何よりのサービスになるのでは?と。走りはというと、さすがに勝手知った道といいましょうか、なかなか攻めたハンドル捌きで魅せてくれます(もちろんセーフティドライブであることは大前提ですが)。まあ当方が好む走法ということなのですが、乱暴という印象まではいきませんで、雪道だからこそドライバーの腕への安心感すら覚えましたね…ということもあってか、笹谷越えから暫くして、ちょいと記憶が落ちて、気づけば仙台宮城ICを降りるところでした。向かいにはちょうど宮交の「村田特急」と思しき一般車が。都市高速ならいざ知らず、東北道爆走体験もしてみたいと思いました。
というわけで、広瀬通一番町で下車。1/3までいかないくらいの降り具合は意外というか、勿論乗車数回の判断ではなんともではありますが、先の桜便郡山線でも終点まで乗っていた人が多かったことから、駅方面指向の現れということでしょうか?


○JRバス東北 広瀬通仙台駅(宮交案内所)→福島駅東口→福島県庁前
繁華街を斜めに抜ける感じでJRあおば通駅から仙台駅へ1駅移動、お目当てだった2WAYシート車の快速「うみかぜ」をドンピシャで引き当て。混んでいたので座り心地こそ分かりませんでしたが、ちょうど回転させているところを見ると、構造的には先輩近鉄LCカーよりもしっかりしているかな?と。
仙台駅ではちょうど仙山線快速「ホリデー仙山」と東北線福島行臨時快速「仙台シティラビット」を見ることができました。ホリデー仙山は719系4連、シティラビットはヘッドマークまでついた417系3連で、まもなく発車のシティラビットは立客も…とはいえ福島まではどれくらいの利用率なのでしょうか。ホリデー仙山のほうは発車までしばし時間があることもあってかまだまだ余裕ありという感じでした。


その後、別項のにっぽん高速バスターミナル探訪にいずれ纏めますが、東口から西口バスターミナル、青葉通仙台駅前と駆け足で巡って広瀬通仙台駅前宮交高速バス案内所へ。東口はペデストリアンデッキを主とした駅前広場の改装中で、有名な西口のそれとはまた違うスタイルになるでしょうが、すっかり大型店ひしめく電気・IT街の街並みをイメージさせる存在になるかもしれません。若者を中心に人通りも多かったです。
にっぽん高速バスターミナル探訪 ../../update/bt/report001.html
宮交案内所で見学がてら一息と思っていたのですが、丁度福島行JRバス東北便が停車中で、次発は20分後ながら夕闇迫る状況を踏まえて飛び乗る形で車内に進めば、窓側を中心にほぼ埋まっている状況、何とか最後尾に2つ並んだ空席を見つけて窓側に座れば出発です。広瀬通一番町で親子連れグループが乗車してきてついには補助椅子も使われる状況となりました…。車中では運転手から「富士交通・桜交通の回数券は使えません。宮城交通・福島交通との共通回数券は御利用になれます」との注意が折に触れ流されます。
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当方にとっては1日でもう通り慣れた道を淡々と進みます。と、東北道に入ってしばし、横を猛然と白地に赤というベーズカラーを纏った宮城交通高速車の山形行が疾走して行きました…このクルマにも背面に「ペースカー」の文字が(関係当局が進める「東北ハイウエイ・セーフティー作戦」の一環として事業用車にステッカー添付をして安全運転周知を図っている)…。さて、薄暗くなってゆく中行き交う各便を見ていましたが、目視レベルでしかないとは云うものの、さすがに仙台17時着の便は利用の少ない時間なのか、ポツリポツリと云う乗り具合に感じられましたね。
すっかり闇に包まれた中で県境を越えて福島盆地へ駆け下りると、福島飯坂ICからR13を南へ。途中停留所のためのアナウンスで車中の静寂もまもなく家に、という安堵感のざわめきに変わります。富士便は当初独自性をということでか福島西ICからのアプローチとしていましたが、現在では福島飯坂IC経由(しかしそれでも西口経由のままとむしろ迷走気味になった嫌いアリ)になったということで、途中利用の様子含めどうかなと思っていると、中央郵便局で親子連れグループが降りた他はほとんどが福島駅東口での下車でした。折角なので当方は終点の福島県庁へ、残る3名が降車するとクルマは足早に回送されてゆきました。
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まさか1日で南東北3県庁舎を見ることになるとは思っていませんでしたが、夜ではありましたが福島県庁舎は他県のような高層建築でない分、なかなか歴史を感じさせてくれます。停留所付近には来庁用含め駐車スペースもあり、いっそP&Rは?などと短絡的に思ってしまいましたが、それにしても需要の中心街とはちと云い難い中での県庁前発着の意味も良く判らないところではあります(ビジネス需要であるならば山形線同様宮城県庁・市役所前発着とするほうが合点がいく)。
馴れない雪道に足をとられつつ福島駅東口バスプールへと戻ります。ここの10番乗場からは仙台線のほか、いわき線(福島交通・常磐交通)・会津若松線(福島交通・会津乗合自動車)・郡山線の県内路線と福島空港・仙台空港線、それと郡山を経由する「あぶくま号」「ギャラクシー号」(と東北急行バス東京−山形・仙台線)が発着しますが、富士・桜便もかの公取委口頭注意を受けて乗り入れていることになっているのですが…当方が注意深く見なかったせいか、はたまた鈍感だったのか、それらしき記載等を全く見かけることはありませんでした。傍にある切符売場も既存便の告知のみですし、それ以上に駅前通りを挟んだ向かい側には降車専用の緑色のポールが昔のまま建っているのを見つけるに至り、やっぱり乗り入れていないんじゃないか?と思い込んでしまった、ということもあるのですが…帰宅後改めて富士交通サイトを見て、どういうことなのかなぁと…。
試乗を終えて…●
というわけで駆け足ではありましたが、「鍔迫り合い」の状況を何とはなしに理解できたかなぁと思っております。その上で当方自身が感じた規制緩和以後の新規参入による、利用者側から見た“理想と現実”を考えてみました。
目を引く「価格破壊」
たかなんFOOTBUSもそうでしたが、新規参入の効果はなんといっても運賃の値下げでしょう。規制緩和前の新規参入への警戒感の現われとして、西鉄の「1,000円・1,500円高速バス」(2000年7月〜)や新宿〜甲府線「1,000円キャンペーン」(2002年2〜3月)といった動き、またはJRバスの「昼特急&青春ドリーム」(2001年12月〜)や近鉄バスの「カジュアルツインクル」での追随(2002年3月〜)といった新規商品提供というスタイルで、事実上の主要市場“先抑え”の展開が見られたわけですが、いざ蓋を開けてみると、新規参入が全国的に見ればあちこちで…とならなかった分、高松や仙台然り、既存2者の遺恨試合ともされる長崎空港連絡バスなどでの苛烈ともいうべき値下げ合戦についつい目を奪われがちになってしまいます。
ただ値下げを手放しで喜んでもいられませんで、やはり収支均衡面での安全性やサービスへの影響、また一方で高松であれば他の明石海峡高速バス路線、仙台でいえば古川など運行社独占が保たれている路線との単価ベースでの差による捩れ的な現象にも注目してゆく必要があろうと思います。特に安全性という意味では、まさに昨年が「路線バス運転手のモラル欠如」を強く問われた年であったことが想起されますが、そこで名前が出たのは実は既存社ばかりという“闇“の部分、また一方で元気が良いとされる新規参入組でも実務面で相当の労働を強いられていることが、とある運転席での会話から漏れ聞いた経験を持つ当方としては強く懸念されるところです。ところで、“先輩”FOOTBUSではリピーター確保に複数回乗車で記念品か1回無料といったポイント制を導入した事で知られていますが、一方で富士交通の場合は回数券を実質往復券化することで更なる運賃割引に訴える展開を取ったことが注目されます。実質的に均一運賃制でありながら乗車後車中で乗車券発券・降車時収受というスタイルとすることで、ペア乗車時にはそのまま片道で回数券を利用できるスタイルにしている事も気軽さと割安感の醸成につながっています。この「2回回数券」制は6枚綴りだった既存社(福島・郡山線)も追随したほか、首都圏でも空港連絡バスなどに見られる形態となってきていますね…それにしてもポイント制も既存社が直ぐ取り入れていますが、こうしたサービス新機軸についても今後どんどんと知恵が欲しいものです。
サービス面での目新しさについて
富士・桜便の最大の特徴は「サービス新機軸」でしょうか。山形線こそなくなりましたが、ガイド添乗とは貸切会社という出自をまさに表しているところとはいえ、運賃収入とのアンバランスさを最も感じるところではあります。表現を変えれば、まさにガイド分のコストを考えれば、通常というべきワンマン運用としたらどれくらいの価格提案が可能なのか?ということです。その意味ではワンマンとなる山形線の運賃設定に、実はなるほどと納得させられるものと感じてもいるのです…当方の推測ながら、先行2路線はあくまでも「広告宣伝費」を含めたバランス前提で、まさに仙台ベースでの「ドル箱路線」とされる山形線参入からはきっちり収支を見据えてゆきますよ、と。その意味で800円という設定は妙なるかな、そして実際に仙台ベースでの利用動向から見ると、富士交通の知名度を推して知るべしと感じたのです。
故に当方は、純粋な意味でのガイド添乗による「サービス主張」という意味では、昨年の試乗時には懐疑的ですらありました。実際そのときに(元日であったため)乗車3人でガイドが手持ち無沙汰であったという知見をも含めたものではあるのですが、さて今回の桜便試乗時のベテランガイド女史の対応を見ると、その考えも結構変わったというのが本当のところではあります。女性の一人乗りは自身が周囲になんとなく気を遣うということもあるでしょうし、子供が乗るとぐずったりする事もままあるわけですが、アメを配ったり膝掛けを貸したり、そして適宜二言三言添えながら車内の様子を見て廻ることで見事に安心感が増すものです。途中休憩後に外が寒かったこともあってか、直ぐに熱いお茶を入れ直しに向かったのも細やかな気配りと思いました。ただし、そうであるならばやはりトイレつき車両の投入等を本腰で考えるべきとも思います。富士交通では、既存社の物量攻勢を受けた山形線については、運転技術向上や接客対応などで『細かなサービス面で特色を出したい』としているようですが、ワンマンとなることで制約も多くなるものと思われます。振り返れば運行開始前は「ボルボバス」など豪華バスでの運行、お茶やコーヒー無料提供・衛星放送の放映に加え、喫煙席の設置や発着地のショッピング情報等の提供、カラオケや缶ビール販売なども…と鼻息が荒かったものですが、昨年乗車時にはあったコーヒー提供は日本茶に統一(とアメに替わった)ようですし、ボルボバスも走ってはいるものの外目の塗装などから見る限りに結構経年化している様子が伺えました。情報提供は記憶にありませんね、喫煙席もどうなのでしょうか?一方では車中や出発時に街頭で時刻表が織り込まれたポケットティッシュを配布していましたが、これは好意的に受け止めました。消費者金融でも無しに…と思われるかもしれませんが、実はそれも結構便利だったりしますよね。こうした実用的な小物からの戦略は意外と面白いのでは、とも思ったりしていましたが。
ともあれ、山形線参入を聞いての感想を書いた前スレでも、『興味深いチャレンジャーの「現実的」展開』としたように、1年半で築いてきた独自ノウハウをもとに、今後どのような展開を見せてくれるのかが大いに注目です。特に某巨大BBSでは「東京線きぼんぬ」ともされていますが、ふと見れば大阪進出かつ激安便も追加と最近元気の良い東北急行バスが伝統だった4列シートから3列シート化に次いで、3月から直行の東京−仙台間昼夜行便をそれぞれ倍増するという動きを見せており、富士交通の意向やあるいはJRバス「昼特急」系進出への牽制含みとも邪推してみたくなる気がします。このように、市場動向がどんどん移ろいでいる中、改めてサービス重視を掲げる富士交通の方向性を、規制緩和の1事例として【検証:】では追い続けてゆこうと考えております。
▼高速バス戦国時代…東北の「鍔迫り合い」に見る“理想と現実”(資料編) 051-2.html
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公取委の「線引き明確化」が高速バス市場にもたらす影響 投稿者---551planning(2004/02/25 00:55:22) |
─利用者不在の競争は規制と同じでは └Re:利用者不在の競争は規制と同じでは ─「諸般の事情」に垣間見える“見えない障壁” |
昨年5月に、公取委が富士交通の福島駅バスプール乗り入れに際し、既存3社に対して注意喚起がなされた事は既に触れておりますが、その際に「規定の見直しを行う」とされていた点について、明確化が図られました。
公取委、高速バスの共同運行で独禁法違反の具体例示す(日経02/24)http://www.nikkei.co.jp/news/…
高速バスの共同運行に係る独占禁止法上の考え方について http://www2.jftc.go.jp/pressrelease/04.february/040224.pdf
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カンタンに経緯をおさらいしておくと、まず1997年に規制緩和の一環として独占禁止法適用除外カルテル等制度の総括的な見直しが行われた際、道路運送法で定める適用除外を一定の共同経営(過疎路線ないし複数事業者による共通路線運行)に関する協定に限定するとされましたが、当時で一般化しつつあった高速バスの共同運行については、公取委が補足的に当時の制度・実態に基づき原則独禁法上問題としながらも、相互運行先での事業施設確保等の必要性などを鑑み、事業者が単独で参入しにくい場合においては問題とはならないという考え方を示しました。ただし実態に沿ってといえど曖昧であった事は否めません。その後2002年2月に需給調整規定撤廃を柱とした改正道路運送法により、新規参入による競争状況に大きな変化が生じ、富士交通の事案となったわけですが、これは
- 富士交通の運行開始前に既存3社が対抗的に運賃引き下げを行った事
- 事業認可の際に事業者間で同一停留所(この場合福島駅バスプール)の調整をすることが求められている状況で既存3社より拒否等は無かったものの速やかに同意が得られなかったために別途自前での停留所で認可を受けた事
について、独禁法に直ちに違反するものではないながらもその可能性を認めて注意喚起に至ったというものです。この際1997年の考え方で想定している状況と大きく変わったことを踏まえ、関係機関(国交省・日本バス協会)に対しても指摘等を行っています。
そして今回明確化されたのは、いわば緩和規定の線引きというべきもので、新規参入に対しては「錦の御旗」となるとともに、既存の高速バス共同運行スタイルにも少なからずの波紋を投げかけるものとも考えられます。「線引き」を挙げてみると、
- 新規参入者への排除行為(バスプール使用に同意しないなど)等の独禁法抵触可能性の明示 (→日経記事ではこれをもって先の富士交通事案での既存3社の対応は今後「違法」になるとしている)
- 共同運行の認容を「事業者が単独で参入しにくい場合」等とする原則の再確認(その状況の継続をもって問題なしとする)
- 単独での運行が可能な場合に、その移行を不当に制限する行為等の独禁法抵触可能性の明示
- 上記抵触可能性事例に該当する場合は独禁法の一般論に基づく判断になることと、その場合の運賃プール性の問題を確認的に記述
ということが具体的に記載されています。これを素直に読むと、単独運行可能との経営判断で既存グループからの離脱による新たな競争関係の発生も予測内にあると考えられるでしょう。無論そういった選択肢が取られるかどうかはかなり否定的ではあるものの、むしろ公取委の立場としてはそれを促すスタンスであるということと当方は理解した(解除条件ではなく限定条件である、とわざと法律用語で考えてみる)のですが…。
利用者不在の競争は規制と同じでは
投稿者---エル・アルコン氏(2004/02/25 20:51:27) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs既存事業者や駅前施設を所有する鉄道側の事情で新規参入が出来ない、もしくはターミナルの設置で冷や飯を食わされるケースは多く、そういうケースの打破は利用者の利益にもつながるので歓迎すべき事象です。
しかし、今回の公取のガイドラインを見て、いささかの違和感を感じた人も多いのではないでしょうか。
高速バスの共同運行や運賃プール制は、利用者から見て事業者間の垣根がないことから、あたかも一つの路線として認識、利用出来るメリットがあります。
また、運賃をプール配分することで、不採算な時間帯の担当も容易になり、ひいては利用者にとってはフリークェンシーを享受出来るメリットが発生します。実際、バス業界における規制緩和の発端となった昭和63年のダブルトラッキング解禁以降、数多の競合路線が発着地の事業者の合従連衡とともに生まれましたが、利用者にとっては互換性が無く、予約や購入、乗降も別々の路線が乱立しても使いづらいだけで、共倒れのように衰退したり、共同運行化して来た経緯があります。
最近では明石大橋経由の京阪神−高松線が、JR系と民鉄系に分れて競っていたのが、新規参入者(たかなんフットバス)の名乗りを前に大同団結した事例があります。これも公取的にはカルテル行為による新規参入への嫌がらせなんでしょうが、利用者的には少なくとも既存路線に関しては使い勝手が飛躍的に良くなったわけで、利用者にとって見れば公取の姿勢は「反消費者」と受け取られかねません。

今回の富士交通の参入路線で見られる「XXの切符は使えません」という一札は、共同運行におけるメリットの裏返しになるデメリットですが、この程度の弊害だから許されるともいえるのであり、何がなんでも競争ではなく、本当に利用者にとってメリットのある形態は何なのか、そこまで考えるのが公僕・行政ではないでしょうか。
***
ちなみに独禁法の趣旨がその第1条前段で「この法律は、私的独占、不当な取引制限及び不公正な取引方法を禁止し、事業支配力の過度の集中を防止して、結合、協定等の方法による生産、販売、価格、技術等の不当な制限その他一切の事業活動の不当な拘束を排除することにより、公正且つ自由な競争を促進し、事業者の創意を発揮させ、事業活動を盛んにし、雇傭及び国民実所得の水準を高め」、とあるように、独占を排し、競争による経済活動の活性化を図ることを目的にしているわけですが、それは当然後段の「以て、一般消費者の利益を確保するとともに、国民経済の民主的で健全な発達を促進することを目的とする。」という結果に結びつくものでないとおかしいはずです。つまり、今回のガイドラインは利用者不在の事業者同士の競争を目的にするために独禁法と公取が機能するがごとき印象を受けたのであり、もし独禁法の想定があくまで事業者同士の競争のみに主眼があり、一般消費者の利益は反射的効果に過ぎないというのであれば、消費者保護の観点から見て「間違った法律」として指弾されるべき存在になります。
競争は経済の活力を維持するうえでも大切なことですが、それはあくまで消費者に利益があることが大前提です。消費者に背を向けた業界のための「競争」は、業界のための「保護・規制」と本質的には何も変わらないということを、業界も公取も考えるべきです。
Re:利用者不在の競争は規制と同じでは
投稿者---World's Uniquest Railway Enthusiast氏(2004/02/25 22:23:15)こんばんは
同様の意見になりますが、別の視点からコメントさせていただきますちょっとマニアックな学術書ですが、東京大学出版会の「自由化時代の交通政策」(2001)の14章「バス市場における規制・競争・補助」で、バス産業の学術研究の第一人者である寺田一薫氏はバス産業の規制緩和について次のように言及しています。
1996年に運輸省は、すべての交通機関についての需給調整規制撤廃を発表した。わが国の交通部門の規制緩和では、英国をはじめとした各国と比較して取り組みが遅れたために、交通機関ごとの特性に照らして制度をつくる時間的余裕がなくなってしまった。・・・ (前掲書 p236)
こういう記述を見ると、公共交通の規制緩和というのは利用者の便益よりは、行政改革の形式的な実現のための一手段となってしまっているような気がします。規制緩和が単なる言葉上のものならいいのですが、不完全だろうが余裕がなかろうが実行された以上監督官庁は厳格に実行する事が職務上の義務でしょうから、今回の判断を下した公取以下、関係する行政担当者も対応に随分苦労しているのではないかとおもいます。
競争で利用者は利益を受けるといいますが、独占下のバス業界で大金持ちになったバス経営者の成功談があるわけでもない以上(バス運転手が多少羽振りの良かった時期というのはあるでしょうが)、競争によって還元される利益の源も限られているように感じます。行政で緻密な分析をやることは難しいと思いますが、このあたりを多少でも吟味してもらいたいものです。
WURE
「諸般の事情」に垣間見える“見えない障壁”
投稿者---551planning(2004/03/25 11:18:06)富士交通は、4/1からの仙台−福島線の運行経路変更を発表しています。開設当初からの名残である「西ルート」と、既存3社と完全に被る「飯坂ルート」(両ルート名は当方勝手な命名デス)それぞれで停留所を増設する(特に飯坂ルートでは既存3社の停留所と完全に合わせる)ほか、西ルートのテレビユー福島「角」停留所を「本社前」(福島西道路沿い)に、そして福島駅東口乗場をバスプールから再び日通駐車場前に移すとのこと…(なお共同運行の桜交通サイトではまだ出ていません)。
富士交通 http://www.fujikotsu.com/oshirase.htm
当スレでもさんざ触れられているように、公取委「口頭注意」という“錦の御旗”を掲げて念願の東口バスプールに乗り入れてから、まさか半年で撤退とは予想だにしていませんでした。ただ、当方が乗り入れ後にも拘らずその“様子”を垣間見ることができなかったことから想起するに、いろいろなことをつい勘繰ってしまいます。
当の東口バスプールは、福島交通とJRバス東北の路線バスを中心に、関連する高速バスも発着しています。高速バスの出る10番乗り場は駅ビルからはロータリーを挟む遠い位置にあり、屋内待合施設もあるわけではないですが、なんといっても傍に福島交通の発券案内所があることが最大のポイントでしょう。そしてそこに「富士・桜便」についての言及は当方が見る限りにおいてほぼなかったものと考えます。無論だからといって既存社による排除と非難するとか、富士側が不利かというと、そうはいえないでしょう。バスプール管理もタダではないでしょうし、応分の負担をしつつ、それゆえの「利用権」を主張し続けることも可能であったのではと思いますし、それが自然です(独自の発券“小屋”を施設内にまさに「捩じ込ませた」たかなんFOOTBUSの例も)。さらに云えば、本数で見ても既存3社便のほうが多いこと、運賃ベースでもほぼ横並びの状況が続いていたことなどから考えるに、各種利便性で既存3社が勝った結果でもありそうです。結果として拠点をずらしたことで利用者側の混乱もあったのではないかと推察されますし(降車場としては従前の道路上にポールが残っていたということもあった)、途中停留所が2ルートに分かれていることでの不利もあってかの停留所増設策と併せ見ても、富士側の苦心振りが見えてくる気もしなくはないです。
ただ発着拠点を何とかずらすためとして公取委まで引っ張り出した背景に、既存社がなかなか反応しなかったという「事実」があったことを思えば、乗り入れ実現後も無言の圧力とまで云わないものの、何らかの“見えない障壁”があったのではと思われます。何よりも『諸般の事情により』という表現をしたところに富士交通の悔しさが現れていると思うのは、当方だけでしょうか。
▼高速バス戦国時代…東北の「鍔迫り合い」に見る“理想と現実”(資料編) 051-2.html
| 2004.11.14 Update | ||
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