2012
5月
6月
- 井笠鉄道(以下井笠)、中国運輸局(岡山運輸支局)に事業報告書提出、「危機的な状況と認識していなかった」〔中国〕
- 売上高9億200万円(前年比7400万円減)、損失4260万円(同270万円増)〔東京商工リサーチ〕
7月
- 井笠関藤社長、岡山バス協会総会前に両備グループを訪問し小嶋代表に「何かあったら路線だけは守ってほしい」と伝達
8月
- 08上旬
- 井笠、「経営が思わしくない」と社長と弁護士が中国運輸局に相談も、『運輸局の担当者は事業が困難になるとの認識はなかったという』〔中国〕
- 08下旬
- 運転資金欠乏から従業員給料遅配発生〔東京商工リサーチ〕
- 井笠、中国運輸局に不渡り危機伝達〔中国〕
→運輸局、水面下で関係自治体と連携し後継会社を模索
- 08/22
- 井笠、岡山県・笠岡市等に路線廃止可能性について相談
→関係機関と計14回協議、両備グループとも協議(経営への影響を避けるため内々で)
9月
- 09下旬
- 関係6市2町、運行期間延長のため補助金約1500万円を井笠へ概算払い
10月
- 10上旬
- 井笠、中国運輸局に事業廃止方針伝達〔中国〕
- 『もっと早い段階で話してほしかった。異例のケースで、十分な対応ができなかった』『経営が悪い事業者はほかにもいて、分からなかった。今回のようなケースが起きないように対策を考えたい』
- 10/12
- 15:00 NHK-G地方ニュースで報道
- 16:20 NHK-ONLINE 広島県のニュースで「井笠鉄道が破産申し立てへ」記事アップ
- 17:00 井笠、本社で記者会見し10/31でのバス事業終了を正式発表
- 『事業移管の目処が立った』〔東京商工リサーチ〕
- 『大勢の人にご利用をいただきながら、大変申し訳なく、おわびしたい』〔讀賣〕
『地域の皆さまに不便、ご迷惑をお掛けする』『赤字経営が10年以上続き、自主再建を断念せざるを得なかった』〔中国〕
『地域の公共交通を守りたいとの一心で事業を続けてきたが、これ以上は難しいと判断した。利用者や従業員に迷惑を掛けることになり大変申し訳ない』〔山陽〕
『人口減が続く過疎地の路線を多く抱え、路線バスの大半が赤字。貸切バス事業も99年の自由化後は思うように収入が入らず、人員や車両削減などの経営努力を上回るペースで収益が減った』〔毎日〕
- 夜 本社・営業所で従業員説明会
- 10/31で全従業員解雇、本人希望で中国バス等に再就職依頼中〔OHK〕
- 夜 両備、グループ内に「井笠鉄道バス路線救援対策本部」設置
- 10/13
- 休暇職員も出勤し各バス停に運行停止文書を貼り出し
利用者からの問い合わせ相次ぐ、12日夜は約100件、13日は17:00までに約50件〔中国〕
- 利用者の問い合わせは約260件に〔山陽〕
- 『両備グループの小嶋光信代表は支援に前向きながらも、あくまで「緊急時対策」と強調』〔中国〕
- 10/15
- 朝 井笠社長、笠岡駅前で運行終了ビラを自ら利用客に配ってお詫び〔RNC〕
- 石井岡山県知事定例会見、来年3月末まで財政面での補助を含めた支援方針を明言
- 笠岡市、企画対策課に「バス対策本部」を立ち上げ
市議会全員協議会、『市としても新しい公共交通の運行形態を考えていきたい』と市長〔山陽〕
- 11:00 井笠、中国運輸局岡山運輸支局に事業撤退関連書類提出(12日はFAX届出、受理済)〔RSK〕
- 午後 対策会議会長(笠岡市長)、小嶋両備G代表に依頼書提出
- 『わらにもすがる思いでお願いに来た。空白期間が生じないように市民の足を守っていただきたい』〔讀賣〕
- 『緊急のことで、もう残された時間はない。行政と我々が役割分担をしながら、市民の不安を最小限にとどめたい』〔讀賣〕『緊急事態であり、総力を挙げて地域の足を守りたい』〔山陽〕『(来年4月以降については)行政と協議しながら恒久的なスキームを作りたい』『大半が赤字を抱える日本の公共交通機関の現状では今後も同様のことが起こりうる。解決に向けて一つの道筋をつけたい』〔毎日〕
- 里庄町は「他の代替手段を検討中」として依頼書の連名を見送り〔山陽〕
- 10/16
- 午前 中国バス、中国運輸局に代替運行許可申請
- 申請書類の記載は代替運行の始点終点のみとし、具体的ルートは関係自治体の意向を踏まえて決定する方針
- 岡山支局長『今月末までに許可を出せるよう速やかに手続きを進める』〔山陽〕
- 湯崎広島県知事定例会見、福山市と協議しながら支援のあり方を検討と表明
- 14:00 小嶋両備G代表記者会見
- 『井笠鉄道の財務状況の厳しさや国からの財政支援もない中ではすべて引き継ぐことはとても無理で、最大限できることをしていきたい』〔NHK〕『全ての運行ができるかは不透明。井笠鉄道バス路線対策本部を立ち上げ路線の維持に取り組む』〔TSS〕『時間的な余裕がなく、緊急避難として取り組む。乗務員は路線に詳しい井笠鉄道の運転手を充て、バスが足りなければグループから出してでも市民の足を守る』〔山陽〕『基本的には通勤、通学を中心として、約半分ぐらいカバーできるのではないかと思っている』〔HOME〕『すべて赤字路線で、高速バスや観光バスなどでも赤字は埋まらない。民間による運営は不可能』〔山陽〕
- 運営については、自治体から運行を請け負って委託料を受けるとし、運賃収支が赤字の場合は、自治体の負担になる〔RCC〕
- バスや営業所など運行に必要な設備は、井笠鉄道側の許可を受けて現在のまま使用 運営形態は中国バス内に「井笠バスカンパニー」を設け、行政から委託を受ける形に 乗務員については面接の上で半年間雇用する方針〔RSK〕
- 高速バスと観光バスについては既に予約が入っていることから、利用者への対応を優先し運行を引き継ぐ〔TSS〕高速バスについてはすべて事業継続し、観光バスについては北振バスと2社で引き受ける〔RNC〕
- 10/18
- 中国バス専務、笠岡市役所で対策会議会長である市長から依頼書と新ダイヤを受領→午後、中国運輸局に変更申請
- 『会議から提示された内容で利用者に不便をかけないように準備していきたい』〔NHK〕
- 10/19
- 浅口市・里庄町、寄島~里庄線について11/01~03/31は代替無償バスを運行すると発表
- 10/20
- 福山市、神辺中央コミュニティーセンターで自治会長に対する説明会開催、運行ダイヤを郵送し回覧依頼
建設局都市部長『通勤、通学、通院などに配慮し、できるだけバス交通の空白地帯が無いよう対応するが、人員、車両などに限りもあり、路線、便数を絞らざるを得ない』『市民生活への影響が最小限となるよう対応していきたい』
- 市北部の自治会長8人出席、『高齢者はバスが頼り。朝病院に行くと帰宅が夕方になってしまうのでは』『代替運行の便数を増やしてほしい』『代替運行は仕方ない。住民もバスの将来像を考える必要があると思った』〔中国〕
『地域に相談もなく、廃止路線が決められるのは、一方的だ』『バスが、買い物弱者などの生活の支えになっている。バス路線の廃止や減便で、こうした支えがなくなることを懸念しています』〔NHK〕
『市が補助金を出していながら、なぜ唐突な路線廃止となったのか』『交通弱者をこれ以上苦しめないでほしい』『福山駅が中心の交通網を見直すチャンス。通院や買い物は神辺町周辺でも済む。地域内を回る路線など時代のニーズに合った交通手段への見直しを進めては』〔朝日〕
- 10/21
- 福山市、東部市民センター・市役所で自治会長に対する説明会開催
- 10/23
- 中国運輸局、中国バス・北振バス・日の丸タクシーに対し代替輸送に係る道路運送法の許認可対応
- 井原市、臨時市議会で一般会計補正予算案可決
- 井原バスセンターの土地建物購入費2751万円、中国バスへの補助金1410万円など〔朝日〕
- 10/25
- 通学定期券半額補助対応について各学校に詳細周知
- 10/29までに各学校に申込、11/09までに継続先事業者にて購入手続
- 10/26
- 石井岡山県知事、三島笠岡市長(対策会議会長)ら、羽田雄一郎国交相と面会
- 地方自治体の緊急対応を支援する制度の創設、地域公共交通政策の再構築の方策等の提案書を手渡し
知事「補助がないと自治体側の負担が大きくなる」〔山陽〕
国交相「財務省と協議を始めたところだ。必要な対策を検討していかなければならない」〔讀賣〕
- 両備G、井笠在籍社員のうち83人を採用内定
- 10/21~/25に採用面接、在籍者165人(運転職120人)中101人(運転職63人)が応募、83人(運転職60人、事務職13人、バスガイド2人、整備3人など)を内定〔讀賣〕
- 10/27
- 中国バス内定の運転職60人のうち30人が辞退申し入れ
- 『現場では万事窮すとの絶望感が走りましたが、直ぐに福山の井笠鉄道福山東営業所と笠岡営業所を緊急訪問し、実態をつかみ、両備グループの熱烈な支援で、事なきを得ました。これは犯罪に類する業務妨害で、それも市民の足を奪うおそれのある行為なので、今後犯罪性が追求されるでしょう』〔小嶋代表メッセージ〕
- 10/28
- 最後の日曜日、笠岡駅前にはカメラを手にした人が相次いで訪れ、停車中のバス車両や停留所の時刻表を熱心に撮影
未使用の回数券やバスカードに関する購入希望の問い合わせも、「販売はしておらず、申し訳ない」〔中国〕
- 10/31
- 中国バス、本社で20人に辞令交付式 井笠社員内定者のうち11人が出席 笠岡営業所長『迷惑をかけてしまったが、お客さんに選ばれるようなバス会社にしたい』〔讀賣〕
笠岡・福山両営業所で引継64台の紋章・社名の張替作業実施
- 17:10 井笠本社会議室で終礼
- 従業員18人を前に関藤篤志社長『100年にわたる会社の歴史の中で地域に果たした役割は非常に大きいものがあり、誇りに思う』『私の力不足でこのようなことになった。大変申し訳ない』〔山陽〕『中国バスなどへ行く人もいるが、一層の活躍を祈ります』〔讀賣〕報道陣に対し『地方のバスは利用者が少なく、自治体の手厚い支援がないとやっていけない』〔朝日〕
11月
- 11/01
- 中国バス、社内に「井笠バスカンパニー」を設立し緊急代替運行対応
- 08:00 笠岡駅前で出発式、関係者約30人が見守る中、小嶋代表や三島笠岡市長ら5人でテープカット
- 小嶋代表『単に生活路線としての市民の足を守るだけでなく地域がさらに発展するように頑張っていきたい』〔NHK〕『期間満了で「はい、終わり」なんてことはしない』〔産經〕
三島市長『短期間で開業できたことでほっとしているが、これからがたいへんで、来年4月以降の運行についても精力的に検討していきたい』〔NHK〕『対策会議として年内には方針を打ち出す』〔産經〕
- 花束贈呈の運転手『あんな終わり方だけに私も納得していないが、今はただお客様を安全に送り届けるだけ』〔産經〕
- 11/02
- 井笠、岡山地裁に破産手続開始申立て 負債総額は約32億3600万円