【検証:】掲示板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】
(過去ログNo.102)
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大阪府内近鉄線の観察

 投稿者---エル・アルコン氏(2003/03/17 00:39:07)
 
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 近鉄の議論ではどうしても急行などに乗車した時の中・長距離利用者としての所感が主になることから、思い立って大阪府内の様子を見てきました。実見自体は2月中旬の日曜日と3月中旬の平日のいずれも日中で、ダイヤ改正を挟んでの再訪という体裁になりました。

近鉄が心配だ
近鉄大阪線の考え方(妄想付き)
柏原市の措置には驚きました(停車駅選定の背景と政策過程)

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log098.html
log098.html#2

●近鉄大阪線の実見

2月の乗車:鶴橋−八尾−国分 3月の乗車:鶴橋−国分

 13時過ぎの鶴橋で乗車まで何本か見送って観察しました。
 高安行きの普通が座席定員6割程度、それを弥刀で抜く準急榛原行きが座席7割程度。国分まで準急から無待避で逃げ切る国分行きがやはり7割程度、弥刀で抜かれた急行青山町行きもざっと見で座席7割程度ですから、乗車率自体は平準化されている感じです。間に来た賢島行きの甲特急は4連とささやかながら車内は輪を掛けてささやかで、30人程度しかいませんでした。
 上りも鶴橋や下り列車から観察したところ座席定員の7〜8割程度。無待避の普通の乗車率がこころもち良かったようです。ただ、階段位置の関係か前寄りの混雑が激しく、この数字は均してのものです。

 国分行きの様子ですが、降車が目立ったのは布施と長瀬で30人程度ずつ。布施の乗り込みもそれなりにありますが、俊徳道など近場で降りるようです。
 目立ったのは八尾で、50人は軽く降り、ここで座席定員の半分以下に減っています。
 そのまま国分まで逃げ切る普通を敢えて捨てて次の準急榛原行きへ一本落とすとやはり八尾の降車は国分行きと同程度。座席定員7割程度が半分程度に減少です。
 ここから3駅連続停車ですが、山本では20〜30人程度の降車で信貴山口行きへの乗り継ぎは10人程度。同時発車・対面接続となるジャストの接続ですが、「ラッキー」と当の乗り換え客が口走っており、レアケースということか。
 高安では10人程度の降車でした。

 国分は10人程度の降車。前の普通か当駅乗車か、3人が乗車。さっきの急行の1本後の急行も7割程度でしたが、上りは14時を回ると寂しく、急行は3割程度で通過。普通に至っては6連で20人程度しかいませんでした。

 今度は急行で乗りつけることにしましたが、榛原行き普通が国分先着(国分で緩急接続)で、次は14時17分の宇治山田行き急行です。ちょうど8分発にあるはずの準急が抜け目となる時間帯で、20分ヘッドだから仕方が無いとはいえ、やや冗漫なイメージです。
 弥刀で追い抜く国分行き普通が先発しましたが、小学生低学年か幼稚園の団体が入り、しかも何かあったのか車椅子が6台も乗り込み混雑。これらの要因が無ければ座席定員ちょうど程度で、平日の方が混んでいるイメージです。

 急行は前4連の5200系が宇治山田行き。後ろ2連は名張までだそうですが、立客が各車20人程度。布施でも都合20人程度の乗車がありました。
 弥刀で先ほどの普通を見ると団体は消え、若干の立客程度に収束。
 国分では50人程度の降車で、榛原行き乗り継ぎと下車は4:6程度でした。
 上りを見ると、急行待ちが30人くらい。待避する準急からの乗り継ぎは20人程度で、下りと合わせて中間優等による乗り通しから緩急接続型への移行は自然に行われている感じです。

 なお上り急行の乗車率は立客が各車20人くらいで、ここから吊革も結構埋まる感じ。抜かれた準急は上下とも各車10人程度です。ただ、後続の急行青山町行きは座席定員程度と試乗列車よりも明らかに少なく、青山越えの需要がその差なんでしょうか。

 何かと不評な国分の待避列車の長時間停車ですが、緩急接続型ダイヤでは当たり前のスタイルです(阪神、京急など)。
 ただ、国分到着時点でガラガラの国分止め普通を場外信号待ちになるまで追い上げる準急もガラガラで到着、それがドカッと止まって急行の接続を受けるというダイヤは明らかに無駄で、中間種別である準急の処遇をいよいよ抜本的に考える時期のようです。長瀬や八尾のように利用が明らかに頭一つ抜け出ている駅の処遇もありますし。

●鶴橋駅の観察から
 近鉄特有の「種別ごと」「行先ごと」にまとめてある駅掲出の時刻表。慣れないと非常に見づらく、「分かりづらいな」とこぼす利用者を見ました。
 あとトイレの位置がめちゃくちゃです。環状外回りからの連絡口にはなく、指示を見ると難波・上六行きホームからさらに乗り換え専用通路に降りた隅にあり、無駄な階段上下に加え物騒で、改良を求めたいです。

●河内国分駅の改良など
 エスカレーター、エレベーターは木に竹を継いだ感じもしますが竣工。東口のペデが複雑で、降りてもう一度上る破目に。
 焦点の線形改良ですが、上六方の分岐器付近の道床が新しく、こことわかります。下りホームの上六寄りが拡幅されており入線側を緩和したようです。ホームの有効長自体は6連のままで手つかずですが、延長用地を探すと上六寄りの下り線側は近鉄タクシーの営業所などが利用している土地、上り線側は駐輪場があります。これを使えば10連化も可能なんですが。

 改良点はちょうど大和川橋梁から下ってきた線路が駅で水平になる縦勾配の屈曲点で、新しい道床の厚みなどから嵩上げして勾配変化の緩和を計ったようです。
 線形自体は大和川橋梁から駅構内まで一直線ですが、八木方の左カーブに渡り線など制限要素が手付かずで、通過列車用、それも200m程度の区間のスピードアップにしかならない改良ですから、柏原市も高い買い物をした感じです。

●国分駅周辺と高井田駅との関係
 大和川を国豊橋で渡るとJR高井田駅は近く、10分前後で着きます。実際徒歩や自転車で渡る人もそこそこおり、お互い集客対象かつ逸走懸念があるといえます。
 家並みは国分側の方が多く、一戸建てのほか集合住宅も目立ちます。高井田は一戸建て中心に背後の丘に延びています。商業も駅ビルのライフなどがありますが、高井田側は無いに等しく、国分の方が総合的に勝っていますが、高井田の駐輪場も3階建てでしっかり埋まっており、油断は出来ない位置関係です。

 高井田駅は3月の時に利用しましたが、列車あたり10人弱の利用に過ぎず国分とは大差のイメージですが、毎時6本の普通が全部久宝寺乗り換えで有効になる大和路線と、毎時3本の急行のみが実質の有効列車である近鉄では、若干の補正をしないと比較が難しいです。また高井田、国分とも駐輪場の利用状況や商業よりもベッドタウンという周辺環境から、国分への日中の急行停車は、国分利用者のCSという観点からしたら、朝夕の快急、区快が通過している以上、辛い点になるのでは。

優等停車駅論から考える「都市の装置としての鉄道」と「鉄道会社の立場」の両立
 投稿者---かまにし氏(2003/03/21 23:32:28)

優等停車駅論から考える「都市の装置としての鉄道」と「鉄道会社の立場」の両立
└Re:優等停車駅論から考える…
└「最速ルート」を認めない論理とは

 かまにしです。

 東京圏・関西圏の大手私鉄を中心に、一つの線路に停車駅の違ういくつかの列車を走らせる、いわゆる「優等列車」の運転が行なわれるようになって1世紀近いの歳月が経ちました。中でも、現在の大手私鉄や新幹線のダイヤ、そしてそれを支える運行システムは世界のトップを行くものだと言われています。一方で、優等列車は都市内輸送においては、地域にとって大きな影響を与えうる存在でもあります。だからこそ、実際に「急行停車の署名・請願」が出されるし、一度それが実現すれば、その地域のポテンシャルや住民の生活を変えてしまうこともあります。

 現在の日本では、鉄道ダイヤをコントロールしているのは運営に携わる鉄道会社自身です。現在の鉄道会社は、第3セクターという例外はあるものの基本的には民間企業体であり、その利潤を最大化するための行動をとります。これを鉄道事業にあてはめて具体的に考えると、「いかに単価の高い乗客を多く増やすか」ということになります。僕自身はそのシステム自体を否定するつもりはありません。

 ただ、交通には「都市機能を支える装置」という側面もあります。鉄道会社の利潤を最大化するダイヤが、「都市の装置」として求められている役割を最大限果たしているかというと、私は必ずしもそうではないと思うのです。すなわちこの両者は必ずしも一致しないと考えます。とは言っても、各自治体の立場から自分たちの都合の良いようにコントロールしてしまうのでは、必要以上に「地域エゴ」が出てしまい、全利用者トータルで見た場合の社会的便益は低くなってしまうわけで、これも問題です。すなわち、鉄道会社の立場と「都市の装置」としての役割をいかに両立させバランスを取っていくか、そしてそのコーディネートを誰が担うのか?このような優等列車の停車駅に関する「そもそも論」を考える必要があると僕は思うのです。

 ここでは、鉄道会社の利潤最大化と「都市の装置」として求められている役割が一致していないだろうと思われる例を、少し考えてみました。

***
 「梅屋敷駅」は、京急蒲田駅から一つ品川寄りの普通列車のみ停車する駅です。1日の平均乗降客数は約1万5千人で京急線の各駅の平均よりちょっと少なめです。この駅は、ただえさえ列車の本数が多い上に、下りは京急蒲田駅の手前の平面交差の関係で、梅屋敷駅付近から減速を始めることも加わり、いつでも「開かずの踏切」です。ただし、この点については現在進行中の連続立体交差事業でおそらく10年後には問題は解消されます。

 普通列車しか停まらない駅なので、運転間隔は朝夕ラッシュ時を含め10分間隔。この駅から品川に行くのに、日中まともにその普通列車に乗ると必ず1〜2回の待避の上、15〜20分(平和島で特急・急行乗り換えの場合も含む)の所要時間です。ところが、お隣の京急蒲田駅からは快特利用でたった7分で着いてしまう。梅屋敷駅の方が品川に近いのに実に2〜3倍の所要時間の差があるのです。

 こんな状況では、どう考えだって複乗が横行するのは当たり前です。京急蒲田駅まで下り普通で戻れば、最速10分かからずに品川に到着できるのですから。。。さらにこの問題に追いうちをかけているのは、前述の「開かずの踏切」問題です。梅屋敷駅の駅勢圏は西側よりも東側が強い。というのも西側はJR蒲田の駅勢圏であり、地理に詳しい人が歩けば15分ぐらいです。ところが東側の住民は上りホームに行くためには、問題の踏切を渡らなくてはならない。しかし時には20分(列車2本分)踏切が開かないこともあるのに、わざわざ踏切が開くのを待って遅い上り普通に乗るでしょうか?

 ただし、京急はこのような「複乗」に厳しい態度をとり続けています。駅員は、場合によっては罰則運賃を適応することもあります。でもあからさまに「複乗した方が早いダイヤ」を組んでいる京急に、「複乗」を咎める大義名分があるのかは疑問です。京急の都合でそのようなダイヤになっているのですから。。。

 もちろん、上記の問題は梅屋敷駅に限ったことではなく、大森町駅・神奈川駅などにも言えることでしょう。また優等停車駅でも平和島駅から、日中のエア快特を挟む時間帯に下り特急・急行⇒上り快特と乗りかえる人を見たことがあります。

 もちろん、さまざまな種別と行き先が異なる列車を2本の線路で裁いている京急にとって、この区間でこれ以上の普通の増発は不可能であること、横浜・横須賀・羽田空港方面への乗客とのバランスから今のダイヤが構築されていることは承知しています。その中で、中間小駅へのサービス水準の下限をどのあたりで「線引き」するか。現在、そこは鉄道会社の判断に拠っているわけです。また、中間小駅へのサービス水準の向上が無理だとしても、複乗が認められれば「既存のダイヤを変えなくても」これらの駅の実質サービス水準は向上します。

 実は先日、大井町駅を利用した時に、上り列車が到着を伝える自動放送と同時にあった駅員のアナウンスに僕は唖然としました。『今度の下り列車は蒲田行です。川崎・横浜方面をご利用の方は、上り列車をご利用になり、品川駅から東海道線をご利用ください』と!こういう乗車経路は、鉄道運賃の規則にはおそらく違反するはずですが、それでも僕はこのアナウンスを聞いて、「殿様商売」というJR東日本へのイメージが一気に変わりました。

 「複乗を大々的に認めて」とまでは言いません。だけど、梅屋敷駅の下りホームや駅入口に京急蒲田駅・上りの時刻表がさりげなく貼ってある、それぐらいの対応だけでも地元住民の京急への視線は随分変わるのではないかと思うのです。

 今回挙げた京急線については、さまざまな種別と行き先が異なる列車を裁いている、その中で中間小駅が犠牲になっている。そんなどうしようもない状況だからこそ、僕は以前『第一京浜・基幹バス構想』を提唱しました。

京急・品川〜京急蒲田間の普通を基幹バス化できる? log062.html

 そして最初に挙げた、鉄道会社の立場と「都市の装置」としての役割をどのように折り合いをつけてゆくのか、両者をコーディネートする仕組みのあり方、そのあたりについてもぜひ皆さんと議論をしたい次第です。他のさまざまな地域の事例についてもご教授いただければ幸いです。よろしくお願いします。

Re:優等停車駅論から考える「都市の装置としての鉄道」と「鉄道会社の立場」の両立
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/03/24 15:57:44) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 都市というものはどうしても均一を保った発展は出来ないのであり、どうしても同一都市内での「格差」発生は不可避のようです。
 公的機関による計画的発展で無い限り、どうしても思惑を秘めたデベロッパーの競争により都市が形成されてくる面は否めず、その際に自分の開発エリアが「高級」とか「便利」と銘打って来るわけです。
 現在に至る首都圏の「論争」の下地ともいえるのですが、渋沢栄一が田園都市計画をぶって今の東急目黒線沿線を開発した際、「北半球では偏西風の影響で、西側が空気の良い高級住宅街、東側が空気が澱む下層エリア」といった趣旨の宣伝を行い、関東大震災で大被害を受けた都心在住の上・中流層をターゲットにしていました。

 現在はさすがにそうした露骨な宣伝はないですが、一方で優等停車駅になれば地価が何割か高くなる、つまり資産価値が上がるという事実があるため、ターミナルからの距離ではなく優等停車駅かどうかによって開発・発展の度合いが異なっています。
 さすがに優等停車駅は手が届かなくても、「その次の駅」だとすぐ優等に乗りかえられるということでセカンドベストとしての人気がありますが、逆に「一つ手前の駅」は次の優等停車駅やその先よりも時間がかかるということもあり、逆に敬遠されてしまいます。
 そういう地域は「どんな土地でもいいからその街に住みたい」という人には穴場になりますが、こうした名板借り的な居住は学生や若年層の賃貸が多く、分譲購入となるとやはり考えるわけで、大概は発展から取り残される傾向があります。

***
 地域の発展がその地域を統括する行政の手が稚拙なために濃淡が出たり取り残されたりするのであれば、まだ原因と結果の関係が明確なんですが、鉄道会社の意思である優等列車の停車やダイヤ構成により半ば恣意的に決まるケースが多いことは街づくりの観点からはたまったものではないでしょう。
 ややこしいのは優等停車駅と行政区分がリンクしないことで、ここでも話題になった近鉄大阪線やかつての京急のように、ターミナルを出たら次の停車駅は隣県(近鉄=大和高田、京急=京急川崎)となるケースに至っては、一企業の方針で都道府県単位の発展が決まりかねないことになります。

 それでも都市間連絡がメインといった大義名分があるのならまだしも、自社開発案件を優先するようなケースもあり、ターミナルからの絶対的な距離という客観基準で無い部分での線引きがどこまで許されるのかは考えていくべきテーマかもしれません。

***
 中間小駅へのサービスの問題、言い替えれば必要以上の下位列車のフォローを伴わない速達化としては、従来千鳥停車がありますが、これは一見便利なようで、有効列車が実は少なくなるという弊害もあります。それを考えるとご提案の折り返し乗車を前提にしたシステムは確かに有効ですし、従来緩急接続のために停車していたケースを、本当に拠点性のある駅に集約することも可能になるかもしれません。
 ピーク方向と反対側で輸送量に格差のあるケースでは、反対側の輸送力を活用することで実質の輸送力を倍化することも可能ですし、逆に今まで多かったピーク方向の下位列車を折り返し乗車を前提に削減することで、競争力を持つ速達列車の増発とスピードアップも視野に入ります。

 街づくりの観点からも、ターミナルからの時間距離と実際の利便性のギャップを埋め得る話であり、そうして利便性を向上した小駅と、緩急接続と折り返し乗車の拠点としてポテンシャルを増した拠点駅をメリハリをつけて育てていくことが可能になることで、限られた資源投下の効率化もはかれます。

「最速ルート」を認めない論理とは
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/04/22 11:45:40) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 先日阪神芦屋駅に下車した時のことです。
 神戸方面の電車から降りて改札に向かう地下道の壁に、「定期券などの区間外乗車は所定の運賃を頂きます」という趣旨の張り紙がしてありました。

 おそらく打出から梅田方面への折り返し乗車への警告で、これだけなら他路線でもよく見られる光景で珍しくもありません。
 しかし、芦屋は全くの中間駅であり、始発駅絡みで見られる他線のケースとは違います。ではなぜただの途中駅で警告文を掲出するほどの折り返し乗車があるのか。

 朝ラッシュ時、阪神は14分サイクルの運転となっており、基本的に梅田、三宮への有効列車は14分に1本となっています。それでも優等列車が停まる駅であれば待ち時間はともかく、緩急接続により乗車時間自体は短く出来ます。しかし、4連しか止まれない打出は6連を使用する優等列車が止まれません。そのため、西宮に出て乗りかえる必要がありますが、ダイヤの関係で普通は西宮で区間特急に通過追い越しをされた後に来る直特になります。隣の香櫨園が準急停車のおかげで、甲子園まで先行して区特に乗れるのと比べると時間ロスが大きいのです。さて折り返し乗車の理由ですが、14分ヘッドの梅田行き普通が出る2分前に高速神戸行きの普通が出ます。これに乗って芦屋で折り返すと本来は乗れない区特に乗れて、梅田に4分早く着きます。ただでさえ14分待ちのところ、2分前にくる電車で折り返し乗車をすれば4分早く着くというダイヤでは折り返したくなるのも人情です。

 夕方にはそういう逆転はないのですが、こんどは2つ西の青木で折り返し乗車が見られます。
 こちらは対象が深江で、下り快急からの折り返しです。こちらは深江到着がたかだか1分早いだけですが、西宮で普通に乗り換えると後続の直特まで退避するための逆転で、西宮での長時間停車を厭う向きでしょうか、これも12分ヘッドという間隔がなせるわざともいえます。

 本数が少ないうえに折り返したほうが早いというダイヤを乗客に提供することが是なのか。また、直通客との兼ね合いでどうしてもそういう「犠牲」が不可避であれば、折り返し乗車というリカバリーショットをなぜ認めないのか。
 通過駅にもベストの手段を認めることで停車駅の選択における「犠牲」を極小化するという発想があれば、停車駅論争の形態もまた変わってくるかもしれません。

六甲アイランドアクセス四変化

 投稿者---エル・アルコン氏(2003/03/23 02:24:59)
 
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 神戸の人工島というとポートアイランドが有名ですが、今回はもう一つの六甲アイランドの交通です。JR住吉から阪神魚崎を通り島内へ至る六甲ライナーがメインですが、みなと観光バスによる阪急岡本駅南、三ノ宮駅・新神戸駅行きの2系統が開設され、昨年には三ノ宮線が日交シティバスとのダブルトラックになりました。岡本線は日中毎時3本(土休は2本)、三ノ宮線が毎時3本(うち1本がみなと観光担当の新神戸直通便)とまずまずの本数を確保しており、日中毎時10本、6分間隔のフリークェンシーを誇る六甲ライナーとの棲み分けが気になります。

●岡本線
 昼下がりの岡本・本山を散歩がてら乗り場に向かいました。乗り場は山手幹線上で、JR摂津本山駅、阪急岡本駅ともロータリーは特にないので折り返し場所が気になります。ちなみに市バスはJR甲南山手を起終点にしています。
摂津本山と岡本を結ぶ動線である横断歩道を挟んで市バスと反対側の三宮側に乗り場がありますが、工事中でさらに遠方に仮停留所という厳しいシチュエーション。

 明らかに摂津本山駅の方が近く、市バスもバス停名は「JR摂津本山」なんですが、こちらは「阪急岡本駅南」。六甲ライナーがアクセスしていない阪急連絡を重視しているとも言えますが、そもそも六甲大橋で「本土」側に降りた時、一番近い阪急駅は阪急御影であり、わざわざ手戻りになる格好で三ノ宮までよりも長い20分以上を掛けて岡本まで行くのにはそれなりの理由があるはずです。
一つあるのは岡本と六アイにキャンパスを持つ甲南大学ニーズですが、バスはキャンパスまで入りませんし、甲南大自体がバスを運行しているようです。
 結局、六アイの住民が岡本に、また岡本の住民が六アイに、という生活圏のリンクが一番説明がつきます。人工都市六甲アイランドシティ(RIC)と、山手のお洒落な街岡本がお互いに惹き合う。そういう目的の路線であり、だからこそ「RIC」のデザインをバスがまとい、行先が「岡本」なんでしょう。

 さて中途半端な時間にしては9人と案外乗っての発車です。バス自体はリエッセクラスで、1-2列(最後尾4列)の22人乗り。補助席込みで28人の座席定員です。時間帯によってはマイクロバスも入るようですが、流動の規模はその位です。とはいえ両替機付きの運賃箱もあり、一人前の路線バスです。
 すぐ左に折れて十二間道路(魚崎幹線)に入り浜手へ向かいます。実は魚崎の南側の魚崎浜、魚崎南町への市バス路線があるのですが、阪神御影からJR住吉経由、またJR甲南山手からJR摂津本山経由で、阪神魚崎駅をかすりもせずに魚崎と青木の駅間をすり抜けて浜手に出ます。このあたりも阪神の苦しさが見て取れます。

 JR摂津本山からの市バスはそのまま十二間道路を真っ直ぐ魚崎南町に向かいますが、こちらはいったんR2に入り、JR住吉からの市バスが通る細道で魚崎南町へ。道は狭いですが阪神とが立体というのがメリットです。海岸線の道路に出ましたが、ひょっとしてと期待した魚崎浜ランプ−六甲アイランド北ランプの利用はなく、ひたすら西進。南魚崎で六甲ライナーと交差し、御影浜まで行って第二工区の埋立地にある六甲大橋への取り付け道路に入ります

●岡本線続き
 神戸港の東側には灘浜の東部第一工区、御影浜・住吉浜の第二工区、魚崎浜の第三工区、深江浜の第四工区と埋立地が並び、「本土」との出入りポイントが限定されており、そこに六アイとの出入りが絡みますから意外な迂回を強いられます。六アイへは一般道は第二工区からになり、阪高経由なら第三工区にある魚崎浜ランプから行けますが500円かかります。(特定料金が無いのは湾岸線六アイ北〜神戸線摩耶、京橋の乗り継ぎがあるから)そのため岡本からわざわざ御影のラインまで迂回するのです。
 六甲大橋は二重構造で島への往路は下段。上段が島からの復路と六甲ライナーです。面白いのは並行する阪高六甲アイランド大橋が同じ二重構造ながら上下の使用方向が逆ということ。ですから六アイ経由の関空リムジンは関空行きは下段オンリー、関空発は上段オンリーになります。
 六甲アイランドは外周部に神戸港本来の港湾設備が並び、真ん中にオフィス、住宅地区がある構造。島内の中心線に六甲ライナーが走り、その下はリバーモールという公園。道路は左右に南北の幹線があり、東側をバスは行きます。

 程なくベイシェラトンホテル前のロータリーに着きます。ここは東西間の道路ながら、リバーモールをはさんでロータリーで折り返す構造です。
 関空リムジンと三ノ宮線はホテルの車寄せに入り「ベイシェラトン前」を名乗るのですが、ロータリーの反対側の露天停留所になる岡本線は、こちら側のビルを取って「P&G前」を名乗ります。確かにP&G日本本社の正面ですが、もともとベイシェラトン前だったはずで、不可解な改名です。
 岡本線と三ノ宮線のみなと観光便はここから神戸国際大学まで向かいます。岡本線は280円ですが、島内利用の設定があり200円です。神戸ファッションプラザで右折し、今度は西側の幹線に入りウエストコート七番街前。実は車内などの掲示ではP&Gからは国際大−七番街の循環のように見えますが、実は単純な一本棒。国際大経由で七番街まで乗るのも無意味で、実態はP&Gへ向かう七番街のバス停の向かいで便宜下車扱いとなっており、私もそこで降りました。

●六甲ライナーなど
 七番街の時刻を見ると結構空くのでベイシェラトンへ。ちょうど日交シティバスがいましたがなんと満員。数えると28人乗りで、ちょうど私の前の2人連れが次まで30分と聞き、立ちますと車内へ。私は見送りましたが、膝の上の幼児を含めて31人乗車とは恐れ入ります。

 バス乗り継ぎで三宮に出るプランを変えて、六甲ライナーに。実はリバーモールに出るとすぐアイランドセンター駅があり、公共交通の乗り場の名称がほぼ同一箇所なのに全く違うという問題が。
 以前は自動改札ながら降車時は投げ込み&単純センサー方式だった自動改札も、スルKAN導入に合わせて最新型に更新。ただ、ICカードには対応しないようですし、カードは神戸市営地下鉄と同じでした。
 ちょうど来たマリンパーク行きからの降車は30人ほど。一方住吉行きは40人ほどが待っており、バス以上の驚き。マリンパークからの電車は10人程度でしたからここで50人ほどに。4連の車内は前後のみ一方向きクロスで後はロング。ほぼ座席定員一杯という感じです。
アイランド北口では10人程度乗車。六甲大橋は上段、かつ道路の外側走行ゆえ眺めよし。南魚崎も2人乗車があり、魚崎へ。
 阪神連絡と見られる降車がどのくらいと見ていたら10人程度。逆に5、6人の乗車もあり、ほとんどがJR住吉までです。もちろんKilala住吉など商業施設が充実してる住吉自体の求心力(六アイが属する東灘区役所もある)が大きいのですが。

 住吉川沿いの風致地区を無粋に高架線で通過とあって住民の反発が激しく、西側の窓は「瞬間曇りガラス」となっており、R43を越えたあたりからR2までの区間で断続的に沿線の住宅を覗けないように電気仕掛けで曇ります。ただ、ドア部やクロス部は対象外のようで、ロングの窓を曇らせても意味が無い気が...
 それと、住吉駅側のマンションは対象外のようで、状況を見てではなく場所を選んでの対応に疑問も感じます。

 JR改札までの間に金券屋があり、昼特きっぷを買おうかと思いましたが混んでるのでパス。ちょうど快速が接続で、三ノ宮までアイランドセンターから21分でした

●三ノ宮線
 乗り場はそごうの向かい、ジャンボフェリー接続バスや阪神国道バスなどが停まる並びからの発車。JR、阪急、阪神の各駅、そして繁華街からも意外と行きづらいエアポケットのような場所にあります。

 日交シティバス便は六アイからの盛況に反して4人で発車。運賃箱はありますが両替機が無く、運転手が傍らの小銭入れを開けての手渡しです。
 すぐ右折し、ポートライナー下の道路へ。実はこの道がR2で、2本西のフラワーロードはR2ではありません。突き当たりの神戸港駅のところを右折、フラワーロードと交差する税関前交差点を左折します。
 ここから170m程度が日本一短い国道174号線で、その旨の掲示があるのはご愛敬。R174を完走すると左折し、ほどなく新港ランプから港湾幹線(ハーバーハイウェイ)に入ります。

 神戸港駅、そして東部新都心を見ますが、ポーアイへの第二のルートである港島トンネルの延長線上、阪高生田川ランプに向かって都市計画道路らしき路盤が伸びていました。新港から摩耶埠頭への摩耶大橋を越えると料金所。湾岸線シフト作戦の一環で、京橋乗り継ぎの新設とともに、大型と普通車の料金統一(200円)という形振り構わぬ手に出てますが、「湾岸線接続」と料金所に書くくらいなら、乗り継ぎの場合は料金免除にして欲しいです。
 ちなみに「港湾幹線」の名の通り、ポーアイと六アイ、そして新港と摩耶埠頭を結ぶのが目的であり、摩耶埠頭の出口を過ぎると阪高住吉浜に入るか六アイに行くしかないという大胆な構造です。

 灘浜大橋を渡り発電所や製鉄所を二重高架で抜け、六甲大橋を越えて岡本線と同じコースで六アイに。アイランド北口では後ろについた阪神御影・JR住吉からの神戸フェリーバスを待つ客が30人近くいるのに目が点になりました。
 終点はベイシェラトン。車寄せに入っての降車となりました。
 ちょうどみなと観光の新神戸便が来ましたが、5人程度の乗車で、さっきの満員はホテルでの会合か何かの影響だったのでしょうか。

●そしてもう一つの「ルート」
 バスを降り、中央に人工のせせらぎが流れるリバーモールを歩きます。ボードウォークと石畳の雰囲気の良い道。地盤沈下か震災の影響か、石畳が波打っていますが、却って自然な感じが出ています。道行く人も多く、道や公園にはベビーカーでの家族連れも多く、人工都市にありがちな無機質な感じが薄いのも特徴です。

 ただ、地名がいまいちで、向洋町東、中、西(当然「むかいなだ」ではなく「こうようちょう」)という字チックな住所はどうか。住居、商業地区は向洋町中にまとまってますが。RICのイメージとのギャップが大きいです。
 このあたりはポーアイも同じで、こちらは「港島」と、まんまやんか、と突っ込みたくなる直訳です。

 さて最後に試したもう一つのルートとは「徒歩」です。六甲大橋の下段には左右に歩道があり、自転車を含めて通行できます。
 アイランドセンターから六甲大橋まで10分。渡り切るまで10分という感じ。夕暮れの神戸港を見ながらの散歩です。
 第二工区に降りると工場地帯ゆえ雑然としています。運河を真っ直ぐ魚崎南町へ越える車道はないのですが、南魚崎駅の連絡通路の形で歩道だけあります。エレベーターで六甲ライナーの線路併設の歩道に上がり、南魚崎駅側のエレベーターで降りる構造。自転車の持ち込みが容認されているのが異色ですが、六甲大橋を歩いたり自転車で越える人は私以外にも何人かおり、それなりにいるようです。

 南魚崎駅の構造も面白く、5階が第二工区への通路、4階が駅、2階が住吉川を越えて魚崎南町へ行く道路への連絡口、そして1階が住吉川公園経由で魚崎駅方面となっています。住吉川沿いの道は河川敷に降りて川沿いの遊歩道となっており、そのままJR住吉方面までつながっています。
 六甲大橋北詰から南魚崎まで10分強。魚崎駅まで更に7〜8分であり、住吉まででも小一時間といった手軽な散歩道です。私は住吉までは行かずに川から外れてそのまま家まで帰りましたがそれでもトータル1時間でした。

 実際、住吉川沿いの遊歩道は結構人通りがあり、住吉駅周辺のスーパーの袋を提げた人も目立ちます。確かに南北を通す道が少なく、気分も良いここに集中するのはあるんですが、こうしてみると六甲ライナーの南魚崎以北の区間は、遊歩道を歩くというのが意外なライバルになっているようです。
 もっとも、バスも含めてライバルというより、目的や気分に応じて使い分けられているというのが現実のようです。

鹿島鉄道再生論
 投稿者---まるまん氏(2003/03/24 19:55:34)

鹿島鉄道再生論
└Re:鹿島鉄道再生論

 ご存知の事と思いますが、鹿島鉄道は2003年4月から5年間で総額2億円の公的支援が実施される事になりました。何故ここまで経営難に陥ってしまったのかといえばやはり車の普及による旅客の減少と百里基地への燃料輸送の打ち止めが大きな影響を及ぼしているように考えております。茨城県は道路が整備されておりもはや鉄道を利用する人は高校生と交通弱者であるお年寄りや体の不自由な人だけといっても過言ではないと思います。

 そんな鹿島鉄道でもちょっとした改善で旅客増加を見込める糸口があるのではないかと思い皆様のご意見を賜りたく投稿いたしました。
 また、鹿島鉄道沿線では高校生が一体となって鹿島鉄道存続運動を行っています。詳しくは鹿島鉄道愛好会ホームページをご参考になさってください。

http://www.paw.hi-ho.ne.jp/kasitetu/index.htm

Re:鹿島鉄道再生論
 投稿者---とも氏(2003/03/25 01:40:01) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

 鹿島鉄道ですか・・・
 まず私の率直に感じる利用者減の原因を

  1. 自動車保有率の増加(いわゆるモータリゼーション)
     まぁ言うまでもないでしょう。(笑)
     ただ、石岡市や鉾田町の場合、他のモータリゼーションと意味合いがちょっと違います。
     鹿島鉄道沿線から石岡へという流動は確かに強いです。また、石岡を通過して土浦、水戸、東京へという流れも多いでしょう。
     しかし、ではどこまで車で行っているかという点です。
     朝、例えば霞ヶ浦大橋からR354を土浦方向に走っていくと車が実に多い。神立の陸橋から中貫を経て土浦市街への車も多い。で、どこに行くか。土浦駅などですね。そこからはというと「鉄道」を使う。
     もちろんつくば市や神立の工業団地群、土浦市街への通勤流動も多いでしょうが、これは鹿島鉄道でカバーできるものではないですね。
     また、石岡中心部へも当然多いですが、それとて駅から鉄道利用はそれなりにいるわけですし、データなどを調べる必要はありますが、単純に自動車に置き換わったという問題では無いように感じます。

     石岡市は確かにあの地域である程度の生活核機能を有する都市ですが、隣接する土浦やつくばと比較すると業務集積でやや劣るのもまた事実です。

     つまり、石岡の求心力の低下がそのまま鹿島鉄道の沿線衰退につながった、鹿島鉄道に乗って石岡に出ても常磐線に乗り換えなくてはならない。だったら常磐線の駅に直接出てしまう。そういうことではないでしょうか。
     まさに「端末手段(駅まで、からの交通)レベル」での自動車利用増という非常に限られた問題であると考えられます。
     

  2. 鉄道がニーズにマッチしていないのではないか
     上の話と絡むんですが、鉾田や小川や玉里の方がどこに出るかです。
     石岡や鉾田に出るのなら鹿島鉄道は確かに使えます。
     しかし、土浦やつくば、水戸なら車でしょう。となると、要は鹿島鉄道が動線とあっていないのかもしれません。となるとなかなか難儀な話です。
     

  3. 鉄道の性格のギャップ
     鹿島鉄道に今求められる機能はなんでしょうか。パッと地図を見たり現地を見る限り石岡〜玉里では住宅開発も進んでいますし、計画のある6号BPができれば周辺の開発も計画的に進むでしょう。R355と平行していますので市街化が結果的に鹿島鉄道沿線に進む都市形態です。であればやはり「バス」代わり、つまり「フィーダー輸送」だと思うんですね。 しかし、まだまだダイヤや駅配置はいくら改善しているとはいえ昔の石岡〜鉾田の都市間ローカル輸送型ではないかと。
     そこが今の機能とのギャップではないでしょうか。

***
 鹿島鉄道の今置かれている現状は正直厳しいと思います。
 百里の共用化にあわせて鉄道接続・・・というのもわかるんですが厳しいです。
 仮にB767が20便就航しても500人。往復1000人。全員使ってくれればいいですが、半分で500人ですから厳しい。
 貨物輸送も可能性は否定しませんが、今ひとつインパクトがない。沿線に大規模荷主が期待できるのならいいですが、土浦駅で本線荷扱いができる現状においてはコンテナも期待できませんし、ジェット燃料輸送は悪くはないですが、それとてコストを考えると自衛隊や空港サイドが二の足を踏む可能性は否定できません(燃料を鹿島港や常陸那珂港から運ぶとした場合、おそらく移動距離と輸送量からしてトラックのほうが環境負荷が小さいかもしれません。他の自衛隊や米軍の燃料輸送同様、本牧からであればまだ環境負荷は小さいかもしれませんが、タンク車数両だと微妙ですね・・・)。

 で、批判ばかりでは何なので提案を。

 なんだかまとまらず、長々ですが。
 ではでは

「春の風物詩」のままでいいのか?
 投稿者---551planning(2003/03/30 05:38:51)

「春の風物詩」のままでいいのか?
└Re:「春の風物詩」のままでいいのか?

 危険なネタなのだろうが、やはり一利用者としては疑義を覚えざるを得ない。

 「春の風物詩」ともなった千葉動労(国鉄千葉動力車労働組合)によるストライキが3年連続で今年もまた実施されている。
 当方も一労働者のハシクレであり、スト権を尊重するものでもあるが、利用者サイドからすればこんなことも起こってしまうわけで。

讀賣 http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/chiba/index.htm

 そういえば去る2月には「誤乗温情」ネタで話題提供した地区でもあるわけだが、日頃からの告知体制に何ありとも云えるかもしれない。
 そもそもこのスト自体が慢性的存在になっており、経営側は「すんなり終わってくれれば」とでも思っている節すらあると云わざるを得ないのではなかろうか。対東京・成田アクセスだけを確保すれば良いという話ではないのである。

国鉄千葉動力車労働組合 http://www.doro-chiba.org/
JR-E 千葉支社 
http://www.jrchiba.jp/strike/strike.html

美談の蔭に潜む本質的欠陥 log090.html#5

***
 今春闘はベアゼロ定着を超え「賃下げ」すら闘争テーマになる事態に至った。もはや春闘というスタイル自体が終焉したと強く認識されるようになったともいえる。春闘スタイルの一角を占めた私鉄総連も統一要求提案は今昔、今春闘では1月末に早々と京急が会社側逆提案によるベアゼロ妥結、その後総連統一要求としてベア1300円を掲げたものの結果は大手各社ともに3月半ばにベアゼロ妥結、なお京成はスト突入直前まで至っている。JR-C・-Wもベアゼロでの妥結となった。

 さらにスト権闘争自体も変わりつつある。一昨年にバス事業分社化について問う形でスト権を掲げた相鉄では今年も経理部門移管の是非を掛けてこの日曜からの72時間ストを掲げた。結果回避されているが、リストラそのものの是非を争う、まさしく就業防衛にまで至ったと認識せざるを得ない。

相鉄 http://www.sotetsu.co.jp/nw/strike/sub01.pdf

 いずれにせよ利用者にとってスト決行は迷惑以外の何者でもない。「生活を掛けて」臨む労組の悲壮感すら漂う中、やはり千葉のそれは得意に映ってしまうと断じざるを得ないのだが…。

Re:「春の風物詩」のままでいいのか?
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/03/30 11:57:48) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 ストライキというと利用者にとっては迷惑以外の何物でも無いですが、だからこそ労働戦術として有効なのであり、「争議権」を弱い立場とされる労働者の最後の切り札として与えることで労使間のバランスを取っている面があります。
 もちろん争議権の行使は「劇薬」ですから行使にあたっては厳格な手続を必要としており、まず組合内でスト権行使を確立して、会社側に通告して入るというステップが求められており、それを省いたいわゆる「山猫スト」は堅く禁じられています。

 さて、昨今スト権確立、スト突入というケースは非常に少なくなっていますが、利用者にとっては有り難い反面、スト突入の内容を見て疑問を感じるケースもあります。
 それは、労使交渉の最終兵器としての争議権という位置づけを見るに、本来せめてスト権の確立くらいはしないと、というようなケースでも妥結してしまう例が多い反面、争議権に訴えるような内容か、というようなケースであっさりスト入りしてしまう例があることで、理解を得ないといけないはずの利用者から「どうして?」という疑問を呈されることが多い千葉動労や航空各社のケースがその代表といえましょう。

***
 前者の例で強く疑問を呈したいのは、先日も京成と新京成がバス部門を分社化する(京成は既に地域分社をいくつかしているが、残る電鉄直営部門も分社する)リリースがありましたが、最近多い、事業部門におけるまるごと転籍や、甚だしい例ではいったん解雇して再雇用という明らかに労働報酬などの条件を下げるための施策が目立つことです。
 まあ存亡の縁に立つような経営状態であればまだしも、そもそも日銭が入り損益はともかく資金繰りに窮するような事業構成でない運輸業は、自由化になったとは言え既存業者の強みで独占度が高く、他産業に比べて恵まれた面があります。

 そうした業界で、大手とされる企業においておやこの手の施策が採られることは、業界中小、ひいては他産業にも影響を与えかねない問題があり、さらにそこで争議権の確立すらしないで妥結するようでは、これも他産業への影響が大です。
 例えば2003年度の春闘で、トヨタがその最高益をベースアップではなく一時金で還元したことは大きな波紋を呼び、他産業のベアゼロ、ベースダウン論に大きな影響を与えました。幸い日産がベアの形で還元したことで、成果還元の方法が一つに固まることは避けられましたが、それでも労使に与えた影響は大きかったです。

 「お家の事情」はいろいろあるでしょうが、世間に流れてくる情報(=他産業が公式に知り得る情報)としては、他産業における「転籍」(少なくとも「業界大手」とされる企業では生涯収入を転籍一時金の形で補填するなど手厚い例が主流)に比べてシビアなケースが多く、モラルの維持などを考えるとその内容に驚くとともに、案外素直に妥結する姿勢にもまた驚かされるのです。

2004.11.02 Update


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