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(過去ログNo.)

交通ネットワークの将来性の狭間で…

投稿者---551planning(1999/01/10 23:49)

交通ネットワークの再構築が叫ばれている。その中での競合路線の展開は、双方を高めうる反面共倒れになる危険性も高い。身近な例として、99年開業予定の多摩都市モノレールと京王動物園線、そして横浜市営地下鉄を考えてみたい。

■多摩都市モノレールと京王動物園線

多摩都市モノレールが開通して、間もなく2ヶ月になる。私が試乗した際(12/06)はそこそこの開通人気か、とも思ってはいたのだが、各種報道ではあまり芳しくないようである。暫定開業である事、付近並行バス路線からの転移が進んでいない事(定期券の関係で6ヶ月が目処か)との事情があるにせよ、「初乗り需要」があろう開業10日で見込みよりも2万人も少ない結果とは、あまりにも御粗末ではないだろうか。おまけにこの見込み人員をクリアしても採算ラインに乗らないというのだから、この「予想利用人員数」算定というもの、なかなか「曲者」である。その意味では来年度予定とされる立川北-多摩センター間早期開通が待たれるところだ。これによってまさしく多摩の南北交通は変わる事になる。
ところで来年度開通予定のうち高幡不動-多摩動物公園間は現京王動物園線と併行する事になる。同線は今後も必要なのだろうか?沿線住民ではないので強い事は言えないが、付近には武蔵台団地が造成されているが、ほとんどが高幡不動での乗換を強いられているのだからモノレールのみとなっても直接の不便さはないのではないだろうか。多摩動物公園への都心からのアクセスを考えてみても、今後は立川・多摩センターからの流入が期待でき、多摩都市モノレールが都系列3セクである事を考えても、新宿直通というものの犠牲に替えられるのではないか。問題は中央大学をはじめとした通学輸送の点。通常はさておき、毎年2月の「受験期」は、モノレールではとてもさばけない利用集中が予想される。少子化で受験人口が減るにせよ、実際を体験したものとしては鉄道という大量輸送機関のありがたみをいやというほど痛感させられる出来事といえるのだが…。
日常利用という視点での大きな問題点は、京王とモノレールの高幡不動駅がかなり離れていること。確かに京王ストアもある構外道路を歩かせたいのは分かるが、京王駅新宿側からモノレール駅コンコースへの直接連絡通路くらいは必要だ。早急な対応が望まれよう。

多摩都市モノレールには大株主である京王電鉄(出資比率10%弱、出資鉄道会社では西武に次ぐ)である。たしかに適度な競争関係を持った共存共栄も選択肢のひとつではあるが、多摩都市モノレールの機能性向上のために、今では中途半端な路線というべき動物園線の休止というのも、検討されてしかるべき選択肢のひとつではなかろうか。もったいない、というなかれ。鉄道路線たるもの確かに利用者の足なのだが、各種税等の負担をも負っていることをも忘れてはならない。実は「保存車両を動態化して活用した博物館的利用」という提案も考えたのだが、種々の点考慮した結果、あえて負の選択を問うてみることとしたい。

■横浜市営地下鉄

横浜市営地下鉄の湘南台延長が08/29に決定した。当初今秋の開業予定だったが、「学生の定期券の変更をしなくてすむように」(高秀横浜市長)と2学期前に早められたとのこと。これでついに市内を突破し、藤沢市にも入ることになる。また、市がまとめた新規鉄道網計画の中ではあざみ野以遠新百合ヶ丘延伸も盛り込まれ、小田急多摩線・多摩都市モノレールを介した立川・八王子方面との相互流動を図る意向で、「横浜市の北西端地域や川崎市麻生区域の交通不便地域の解消に加え、両地域を含めた三多摩地区からの新幹線(新横浜)アクセスの飛躍的向上が望める。(中略)「首都圏第2ゲート」となる新横浜地区の機能強化に沿った戦略的路線延長といえる」(01/03付神奈川新聞朝刊)。順調に進めば、国内最長路線地下鉄は50キロ弱にも及ぶことになる。

しかし現状の利便性を考えてみよう。今は他路線へのフィーダー路線的位置付けでしかない。拠点駅と横浜駅相互を見てみると、戸塚ではJRが、上大岡では京急が、関内・桜木町ではJR(東急)が、新横浜ではJRが…というように、速達性・低廉性双方格下になってしまう。湘南台延長も対横浜では競合路線となる相鉄の開業のほうが早い点、正直言って「意味なし」にもなりかねない。周辺地域から関内・桜木町地域への利便性だけでは食って行けないのが現状ではないのか。
港北ニュータウン入居状況も引っかかる。首都圏周辺にある大規模開発「ニュータウン」では必ずといってよいほど対東京方面鉄道路線がセットになっていた。いまだに東急田園都市線あざみ野が急行停車駅にならないこと、目蒲線方面の直通が考慮されていたはずの4号線(日吉-中山)も建設費縮小の目的でミニ地下鉄化されることとなり、都心直通性の低さも問題ではないか。
対新横浜地域の機能強化という位置付けの新百合ヶ丘延伸も疑問である。八王子からは言わずと知れた横浜線があり、多摩センターからも京王-橋本経由のほうが早かろう。長期的に見れば中央新幹線(リニア)ができてしまえば新幹線アクセスそのものの存在価値が低くなる。ビジネス需要はMM21に劣るわけで、そもそも新横浜と連携されていない現状こそ問題ではないか。

手っ取り早い改善策は急行運転に尽きよう。上永谷・新羽の車庫線活用による緩急接続も可能で、MM21線建設で余剰施設となっている関内駅の3号線元町方面用ホーム部分の転用で更なる高速化も可能だろう。ただし、他路線からの利用転移はそうやすやすと望めないので、沿線地域から都心方面高速化を考えた段落とし運用も検討されるべきだろう。湘南台-上永谷間各停、以遠伊勢佐木長者町~横浜間・新横浜以遠各停運用と、上永谷-新羽各停の2運用にするのである。上永谷・関内・新横浜が緩急接続(新横浜は乗換)駅である。新百合ヶ丘延伸時は、各停・急行運転区間をあざみ野まで拡大して緩急接続をあざみ野でも実施すれば良い(そのためにはあざみ野の2面4線化か引上線設置が必要となろう)。
横浜圏ではこの他にも新線構想が目白押しである。しかしそれが必要不可欠なのかは、より具体的にじっくりと見てゆく必要があろう。直接的に関係はないが、神奈川県が実施している「時のアセス」(諸公共工事を時間調整をかねて見直す施策)も結局すべての事業がそのまま進行することとなったと報じられた。緊急的施策は別として、これら新線構想が50年100年を見据えたものでなくてはわれわれ利用者に結局は付けが回ってくるということを、忘れてはならない。

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多摩都市モノレール全通の理想と交通結節点の現実

投稿者---551planning(2000/01/10 23:36)

遅まきながら、あけましておめでとうございます。
当方からの投稿はずいぶんと御無沙汰になってしまいましたが、本年はこつこつと書き込んでいこうと思っておりますので、皆様もぜひとも宜しく、またお気軽にお書き込みの程を…。

モノレールつながりで、写真も変えてみました。言わずもがな、10日に開業した多摩都市モノレールです。先行開業区間試乗は開業から一週間後だったのですが、今回は初日、そこそこの混雑は予想していたのですが…。

京王多摩センター駅に降り立ったのは13:30過ぎ。京王線切符売り場がやけに混雑していたもののさほど気には留めず、カレーショップで腹ごしらえした後、以前から提唱しているホーム直結の可能性を改めて探るため小田急ホームからモノレール駅を見てみることに。tamamamono
あ、多摩動物園仕様の電車もあるんだーと眺めてふと駅前広場を見やると…列、列、列じゃござんせん?モノレール駅へと伸びる一筋の線は小田急京王総合駅の方まで延びている。

さっそく切り上げてこの列に加わる。両駅間はペデストリアンデッキでつながったものの大半は覆い無し…こういうところは多いが、是非雨天時を考慮して欲しいものである。そうだ、近場で言えば京王線南大沢駅と都立大学の間には覆いがあるものの、中途半端で風で吹き込む雨には意味無し…という例もあるのでなかなかに。
歩いて3分ほどの道を、ざっと30分掛かっただろうか。やっとモノレール駅員の「切符カードをすでにお持ちの方は先に進んで下さい!」という声が聞こえてぱらぱらと列が崩れる。そういうのはもっと先のほうで徹底しておいて欲しいかな、それより総合駅にカード専用臨時販売所でも置けば飛ぶように売れたかもしれない。そもそも折角の3連休だったのだからせめての御祝儀乗車を取りこぼさない様、土曜開業にはできなかったものか…。
やっとのことで切符売り場までたどり着く。やはりJRを含む他社線連絡切符は発売していない様。どうしても自動改札を通って欲しいらしく、乗降客が集中するとたちまちに5台では対処不能…怒号さえ響く。ホームもまあ1~2週間で落ち着くとはいえこんなに利用は想定していなかったのか小ぶり。沿線に著名大学を控えているだけにもうすぐの受験期が気に掛かる。

乗車列車は5分延。かぶりつきの為かそのまま折り返す乗客もいて車内は大混雑。2ドアで中間がボックスシートということもあって中まで客が入らず入口部分に人が固まってしまうのである。
何はともあれ発車。多摩丘陵を縫うように走る。急カーブあり急勾配ありトンネルあり…。中央大学・明星大学駅は両大学に挟まれている。明星大学までは覆いつきの専用通路が…。中大も受験のために山登りするのも去年までなのか?という近さだ。さすがホームには司法試験予備校の宣伝が多く、「中央大学駅前校」までできているようだ。ここでは明星も負けた(まあ法学部が無いが)?多摩動物公園からは京王線が併走、以前指摘している様に関係が気になる。 高幡不動からはまた平野に。先行のモノレールまで見える。路線脇の住居も丸見え、居住者だろうか「ウチ、家!」という声があちこちで上がる。スピードもさほど出ないので、今後プライバシー問題も出る可能性も。実際神戸六甲ライナーの例があるのでどうなることやら。
立川北で一旦降りてまた戻る。立川は南北に駅があって乗降が分散されている様。これを効果と見るか、空しく中央線ホームを跨ぐ姿をどう捉えるか。


感想はこの辺にして、当掲示板の主題に戻ると、押し並べて乗換は不便。いずれも3分ほど掛かる感じ。立川南はすでにペデでJR駅と連絡(覆いは無し)、立川北は本欄で以前取り上げて御紹介頂いた通りJR駅前が現在建設中、いずれつながる由。再開発もかなり進んでいる。
どの駅も各路線を跨ぎ、ホーム直結は難工事ではなさそうなだけに非常に残念である。高幡不動に至っては京王線上に駅舎があるだけに、どうしても京王ストア横を通らせたいんだなと勘ぐりたくなるほど。結局利便性が考慮されているのは西武玉川上水駅のみで、たまたまか各駅にはライオンズのマスコットが宣伝で張られていて、妙に誇らしげに見えたのは…ちょっとこじつけ過ぎかナ。
そんな中で気になったのは他の掲示板でも書かれていた、甲州街道駅と中央道日野バス停の関係。うーん、「空中散歩」では徒歩10分を切る近さといって良さそう。まだまだ周辺は区画整理中といった感ながら、いずれ使えるルートとして整備して欲しいし、需要は少なからずあるだろう。これは拾い物だった。

 

後日談…

投稿者---551planning(2000/01/19 23:21)

すでに各所にて報告されているが、昨日付日経朝刊に一週間の利用状況が記事となっていた。
1日当たり11万6千人の見込みが平均7万3千人と6割強にとどまっているというもの。混乱した初日が11万6.5千人というから、獲らぬ狸の…もびっくりである。
関係者によると「天候不順・バス等からの定期利用者移行がまだまだ」と、先行開業時にも聞いたような台詞。結局あの後先行区間でも利用率は伸びていないというに…。
それにしても、初日の混乱を思うとすぐ先の大学受験シーズンが思いやられるというもの。かく言う当方もC大目指して多摩動物公園駅から山道を「よく」そぞろ歩きしたものである。もう6年近く前になる当時で多摩動物公園からの帰りの京王線はすごいラッシュだっただけに、ホーム容量からしてちょっとのことで溢れ返りかねないモノレールの輸送力ははなはだ疑問というしかない。しかもそんなふうになってこそ、見込みと合う数だというのだから…。
いやはや、前途多難というより他無いのか、地域的には悲願のプロジェクトだけに、地域の支えあってこその路線である。行先を見守りたい。


【551planning-2010/12】

サイト立ち上げ後の“イキったネタ”のひとつ。結果論として、京王動物園線は今なお走っているし、横浜市営ブルーラインは全列車各駅停車で運行されている。裏を返せばそれなりの理由があるわけで、今読み返すに稚拙だなぁとも思う反面、それでも…と心のごく片隅で思ってみたりもするのですが。

多摩都市モノレールは2000/01に現営業路線が全線開業、利用も順調に伸びており2009年度で12万人超/日に。建設費が嵩んで債務超過状態となっていたのを2008年に都の支援で抜本的改善が図られ、経営環境も整備されています。
横浜市営地下鉄は1999/08に湘南台延伸、2008/03にはグリーンラインが開業し既存路線がブルーラインとなっています。こちらも建設費が嵩んで経常損失が続いているものの、ネットワーク化によって利用は伸びており、2002年度以降営業利益を確保しています。

 

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