tw
top

トップページ企画一覧BBS(電子掲示板)>常設板過去ログ1998

(過去ログNo.)

第3の空港

投稿者---551planning(1998/10/25 17:22)

日本国内には、定期便が就航している空港がここ10年間に26空港新たに誕生している。今夏も大館能代(秋田県)と佐賀(佐賀県)の2空港が開港した。さらに10を越える空港の建設が予定・計画されている。その中から「第3の空港」というポイントで、3空港を考えてみたい。

  • 神戸空港

伊丹・関空に次ぐ関西圏第3の空港として神戸沖への建設が予定されている。阪神大震災のため当初計画が一時中断されたものの、自治体等はいまだ建設を希望している。なお、市民の手で賛否を決そうという市民投票開催署名運動が、現在展開されている。
関空の開港によって、関西圏の航空地図は変貌した。といってもこれまで伊丹が負っていた分が分散化されただけで、飛躍的な利用者増加があったわけではない。さらに関空の第2期工事も開始されることが決まっている。広大な関東平野に2つの空港しか持たない首都圏と違い、確かに対海外需要では中四国・北陸という後背地を持つものの、国内需要では今後の増加も望み薄であるところ、新たにもうひとつ空港が必要なのか…。
ただ、施設も見劣りがし、騒音問題の根本的解決が図られていない伊丹に変わり得るという「存在価値」もある。空港用地を埋め立てで確保という資金的問題が最大の焦点とも言えそうではある。

  • 中部国際空港

成田・関空に次ぐ本格的国際空港として愛知県常滑市沖に建設が決定している。2005年に瀬戸市で開催される愛知万博の玄関口、さらには中部圏経済の戦略拠点として期待されている。焦点は現名古屋空港との関係だが、関西のように並存されるのであろうか。
中部圏は東海地方からの集客が期待でき、北陸からの流入もある。首都機能移転問題次第では、まさしく「日本の空の玄関」たる存在になるとも言えなくはない。しかし気になるのは関空でも言われた点である都心部=名古屋との距離。鉄道輸送は名鉄常滑線改良が決定しているが、付近に接続可能な有料(高速)道路を持っていない道路整備がどうなるであろうか。空港建設自体がまだ未知数なので何とも言えないが、名鉄新名古屋のキャパを考えれば、早晩HSST新規導入も検討されるかもしれない。ともかく、都心部に微妙な距離が空港自体の利便性に影響しないよう望みたいところである。

  • 首都圏第3空港

首都圏では、片や拡張が需要に追いつかない羽田と、根本的対立構造を引きずり期待に応えられないまま成長に陰りが見え始めた成田の2空港に加え、新たに空港を持つことで需給バランスの是正を図るべきとの主張がなされている。
具体的構想が煮詰まっているわけではなく、どのような形になるかも分からない。軍事基地転用か用地問題が起こらない海上建設か、というのが大きな流れのようである。国内専用か国際線併置かもはっきりしないところ。いずれにせよ、形はどうあれ、歪んだ構造になっている首都圏航空需要の受け皿が必要であることは間違いないのかもしれない。首都機能移転問題も微妙に絡む。
需要中心点からずれた成田がもう少し都心に近ければ、あるいは関東平野西部に建設されていれば、国内ハブ空港としてもやって行けたのかもしれない。羽田の拡幅や中部国際空港開港、地方空港の国際化で相対的需要も落ち目であることから、いっそのこと空港整備を放棄して「第3空港整備」にシフトすることも1つの策とも言える。
しかし、空港というもの、アクセスインフラ投資をもひっくるめて考えなければならない。せっかく築き上げてきた「成田」の資産を有効に生かすためにも、首都機能移転は展都方式であるべきだろう。新空港建設を成田に定めた政治責任を対極的に捉え、全うすることがスジというものではないか。

***
地方空港整備を進めた時期の「遺産」があちこちで新たな負債構造を生む図柄は、かつての国鉄ローカル線や今なお続く枝葉末節高速道建設とダブり、この国の交通政策の貧困さを如実に物語っているとも言える。一見需要が望めそうな都市圏空港建設の代表3例を挙げたが、利用者にとって、どんな空港が望まれているのかを再度見極めてから、検討を始めて欲しいものである。
もう「まず施設ありき」では通用しない時代なのだから。

事実関係について、若干の補足を

投稿者---栗平 五月氏(1998/11/11 20:32)

はじめまして。「第3の空港」、たいへん興味深く拝見いたしました。
僭越ですが、事実関係について、若干の補足(補正)をお許しいただけたらと思います。

【神戸空港】

関空の開港によって、関西圏の航空地図は変貌した。
といってもこれまで伊丹が負っていた分が分散化されただけで、飛躍的な利用者増加があったわけではない。

  1993年(関空開港前)の伊丹空港乗降客数・・・・・・・2,331万人
  1996年における関空・伊丹両空港の乗降客数合計・・・3,200万人
関空開港によって、関西圏の航空需要は、成田からの転移分を差し引いてもかなり増加したと見てよさそうです。

ただ、施設も見劣りがし、騒音問題の根本的解決が図られていない伊丹に変わり得るという「存在価値」もある。

国等の方針では、▽関空=関西圏における国際ハブ空港、▽伊丹=関西圏の国内航空ネットワーク拠点、▽神戸=神戸周辺の地域発生需要に対応したローカル空港-----といった位置づけで、つまり、3空港の機能は「棲み分け」が成されるとの見解です。
この見解にどれだけの妥当性が有るかは「?」(特に伊丹と神戸の関係)ですが・・・。

空港用地を埋め立てで確保という資金的問題が最大の焦点とも言えそうではある。

これからの大都市圏における空港建設は、用地買収、騒音対策などにかかるコストを考慮すると、海上埋立による建設の方が一般的に有利です。ちなみに神戸空港の場合、埋立造成は市債によって資金調達し、埋立地の一部を民間に売却する事等で償還する、いわゆる「神戸商法」です。

【中部国際空港】

焦点は現名古屋空港との関係だが、関西のように並存されるのであろうか。

名古屋市、愛知県、国らの協議により、「ジェネラル・アビエーション空港」(ビジネス用の小型機需要や、報道、防災など、民間航空運送以外の需要に対応した空港)として再整備される事で大筋合意がなされています。

鉄道輸送は名鉄常滑線改良が決定しているが、付近に接続可能な有料(高速)道路を持っていない道路整備がどうなるであろうか。
(中略)名鉄新名古屋のキャパを考えれば、早晩HSST新規導入も検討されるかもしれない。

常滑線が空港アクセス機能を充分に発揮するためには、新名古屋駅の改良は絶対必要なのですが、どうにも手のつけようがないのが頭の痛いところです。なお、もう一つの鉄軌道系アクセスとしては、今後3セクで旅客化される西名古屋港線(名古屋~金城ふ頭)を延伸させる案が将来的に検討される予定です。

【首都圏第3空港】

軍事基地転用か用地問題が起こらない海上建設か、というのが大きな流れのようである。
国内専用か国際線併置かもはっきりしないところ。

運輸省はこれまでの基礎調査で海上案に絞り、一昨年から首都圏周辺海域での水深・海底地盤等の性状、またアクセスや需要等に関する調査を続けています。なお、「第7次空港整備7ヶ年計画」で同空港は、羽田の需要超過分を中心に受け入れる国内拠点空港として整備される事がうたわれています。
今後の見通しは不透明ですが、羽田の沖合展開が1999年度末に完了するので、その後、現7ヶ年計画の最終年である2002年度までには最終的な候補地選定が行われるでしょう。
なお、自治体・経済界等からは、▽葛西沖、▽横浜本牧(または金沢八景)沖、▽横須賀野比沖-----といった構想が取り沙汰されています。

Re:事実関係について、若干の補足を

投稿者---551planning(1998/12/12 00:51)

栗平さん、こちらこそ。拙文をお読み頂き、有難うございます。
データは集めたはずですが、自己見解部分は全くの独断と偏見ですので、その点お含み置き願います。

【神戸空港】

  1993年(関空開港前)の伊丹空港乗降客数・・・・・・・2,331万人
  1996年における関空・伊丹両空港の乗降客数合計・・・3,200万人
関空開港によって、関西圏の航空需要は、成田からの転移分を差し引いてもかなり増加したと見てよさそうです。

潜在的需要の創出はできた、ということでしょうか。伊丹も逼迫していましたし、関空で国際線運行の大幅増加が可能になったということもあります。ただ、本来的には更なる増加(4,000万人超)は見込まれていたのですから…。
神戸空港を周辺地域ローカル的使用とは、贅沢な話ですよねぇ。播磨・但馬空港とは訳が違ゃうっちゅうに、と思います。

これからの大都市圏における空港建設は、用地買収、騒音対策などにかかるコストを考慮すると、海上埋立による建設の方が一般的に有利です。ちなみに神戸空港の場合、埋立造成は市債によって資金調達し、埋立地の一部を民間に売却する事等で償還する、いわゆる「神戸商法」です。

私事ながら、もう少しで4年前の冬、神戸で「体感」した「神戸株式会社」というあり方の崩壊を思い、全国各地での3セクの状況等勘案すると、この方式の限界も近いといえると考えますが如何でしょうか(先ずもってこの御時世、企業が乗るだろうか…)。

【中部国際空港】

名古屋市、愛知県、国らの協議により、「ジェネラル・アビエーション空港」(ビジネス用の小型機需要や、報道、防災など、民間航空運送以外の需要に対応した空港)として再整備される事で大筋合意がなされています。

東京でいう調布飛行場のようになるということで。
私としては丘珠的利用方法(対北陸・松本・南紀等のコミューター基地)なんかどうかと思います。中日本航空に期待…。

鉄軌道アクセスということでの西名古屋港貨物線旅客転用化ということですが、成田・関空でも思うのは「2本要るか?」ということ。JRが広域アクセスを考慮…ということですが、それが活用されているとはいえない現状を考えると、<高速系=HSST><大量輸送系=名鉄>という図式が妥当かと。ただし、HSSTを絶対造るべき、とは言いません。ならば新名古屋根本的改築のほうが金がかからないはず。

【首都圏第3空港】

個人的には現「海ほたるPA」付近を希望します。首都圏人口バランスの是正を図り、せっかく1兆も無駄(?)にしたアクアラインが活かせる!というもの。

上に戻る▲

「首都圏第3空港」

投稿者---栗平 五月氏(1999/01/27 12:26)

以前、空港の事で投稿させていただいた栗平と申します。
今回は「首都圏第3空港」が必要か、また必要な場合、どこに、どうあるべきか、という点について皆様のお考えを聞いてみたいと思ってお邪魔いたしました。

僕がいきなり予断を持って発言するよりも、まず議論のたたき台を提示したほうが実のある展開に結びつくのでは、と思い、運輸省の公式見解を以下に引用させていただきたいと思います。

【新たな首都圏空港について】

  • 東京国際空港は、沖合展開事業が完成しても、国内線で21世紀初頭には再びその能力が限界に達することが予測されることから、首都圏においては、将来の航空需要の増大に対応するための空港能力の一層の拡充を図っていく必要がある。
  • この空港の拡充方策について、平成3年度から運輸省において調査を進めてきた結果、東京国際空港の再拡張は航空機騒音問題等から極めて困難であり、また、既存の飛行場の活用及び内陸における新規の空港設置については、ともに航空機騒音問題等から拠点空港としての利用が期待できないことが判明した。
  • こうしたことを受け、平成8年12月の航空審議会答申および9年12月の空港整備七箇年計画閣議決定(平成8年決定の5箇年計画を延長・・・栗平註)において、「東京国際空港の将来における能力の限界に対応し、海上を中心とした新たな拠点空港を建設することを前提として、事業着手を目指し、関係地方公共団体と連携しつつ総合的な調査検討を進める」旨とされている。
  • 運輸省としては、現在、平成8年度から、この答申及び計画を踏まえ、海上を中心とした新たな拠点空港の立地に関し、空港計画、空域、立地、影響、アクセス等について調査検討を進めているところである。
    また、関係地方公共団体との連携に関連し、平成8年3月より「首都圏の空港に関する意見交換会」を設け、情報交換、意見交換等を行い、航空及びその周辺事情に関する情報の共有化と各者の相互理解を深めているところである。
      (「意見交換会」のメンバーは、運輸省及び埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県、千葉市、横浜市、川崎市)

【首都圏空港に関する平成11年度予算案】

  • 平成11年度予算(案)においては、調査費1億円を計上することとし、海上を中心とした新たな拠点空港の立地に関する調査を行うことを予定。
(調査費の推移:百万円)
3年度4年度5年度6年度7年度8年度9年度10年度11年度
630100130140140140100100

黄信号点滅…赤が…

投稿者---551planning(1999/01/29 23:23)

国内空港を考えるのか、国際空港を考えるのか、はたまた両者を兼ねたハブ空港を考えるのか…。
まず陸上交通整備との絶対的兼ね合いを考えると、第3空港設置がどういった形であるとしても必要性には慎重論を唱えざるを得ません。
例えばリニアができれば20往復以上の羽田-大阪(伊丹・関空)線が要らなくなるわけですし、整備新幹線の進展如何では羽田-富山・小松線もどうなることになるでしょうか。
「リニアにいくらかかると思っている!」との問いは出てきましょう。しかし関空の経験で、海上空港の建設費用がどれだけかは周知の事実。なんといっても日本の大動脈である東海道ルートへの高速移動機関がもたらす経済効果は、新幹線がすでに実証済みです。

#誤解されると困るのですが、ちなみに私個人としては「中央新幹線」派で、リニアは要らないと思っています…。

運輸省としても、現実論として首都圏の航空需要の飽和状態はあるといえ、20年以上もの歴史を紡いできた「成田」に対する考え方は今後も不変でしょうし、一刻も早い全体構想の実現は不可欠といえます。さらにいえば、ひょっとして…という首都機能移転問題もあるわけで、これらからも第3空港設置に関しては「黄信号点滅…赤が…」というのが本当のところです。

もし設置するのであれば、首都機能移転を「展都」展開(東京を核とし、周辺衛星都市に行政業務機能を分散するもの)が望ましいと考える私としては、「海ほたる」をベースとした場所が良いのではとの思いは変わっていません。ただし、ここは羽田への進入空域でもあり、現実的でないことも言えるのですが…。


【551planning-2010/12】

TIAT

自前のBBSを盛り上げるべく、いわゆる鉄道系ではなく交通全般を扱うんだよ-という意味を込めた当方の“飛ばしネタ”なんですが、改めて読み返してみると、最初期に“データの読み方”を教わったんだなと思います。
これは言い訳ですが、当方この時点で渡航経験はおろかヒコーキにすら乗ったことはありませんで、えらい背伸びしたネタを飛ばしてんなと。

それにしても、まさか羽田に国際線ターミナルができるなどとは予想できず。いや、それ以上に当方自身がヒコーキにハマったというほうが意外なのかもしれません。

 

ご意見は【検証:】常設板までお気軽に!

上に戻る▲

テンプレートのpondt