【検証:】掲示板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】
(過去ログNo.099)
下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
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一石を布く重さ〜〜京都市烏丸線国際会館駅と叡山電鉄

 投稿者---和寒氏(2003/01/08 23:35:45)
 
http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 目先を変えるわけではないのですが、表題の場所は以前から気になっていたところでして、こんな文を拙HPにアップしてみました。御笑覧頂ければ幸甚です。

■京都市烏丸線

 京都市烏丸線の略年表は下記のとおりである。

昭和56(1981)年  北大路−京都間開業
昭和63(1988)年  京都−竹田間開業
  近鉄京都線との相互直通運転を開始
平成 2(1990)年  北山−北大路間開業

 この三次に渡る開業により、烏丸線の当初計画区間は完成した。しかし、烏丸線は当初計画だけにとどまらず、平成 9(1997)年に国際会館−北山間が延伸された。

 
京都市交通局烏丸線国際会館駅   左:ホームに停車中の列車 右:外観   いずれも平成12(2000)年撮影

 国際会館駅近傍には国立京都国際会館が立地している。同館は昭和41(1966)年の開館と国際会議場としての歴史は日本で最も古く、外交の舞台になるなどの由緒もある。京都洛北の景勝地にあり、周辺環境には恵まれている一方、京都市中心部から離れた交通不便の地であったことも否めない。同館へのアクセス整備として、烏丸線の延伸が望まれたのは当然の展開であったろう。そこまでは、納得しえるところだ。
 京都国際会館のユーザーにとって、烏丸線延伸による利便性向上は大きかったはずだ。ところが、この延伸により多大な影響を受けた鉄道が存在する。
 それは叡山電鉄である。下の地図を御覧頂きたい。

出町柳行ワンマン単行列車(岩倉駅西方)


出町柳行列車車内風景

いずれも平成12(2000)年撮影

 松ヶ崎駅はもとより、国際会館駅が叡山電鉄に与える影響はかなり大きいといわざるをえない。単純な直線距離でいえば、宝ヶ池・八幡前・岩倉・木野の4駅もが国際会館駅の勢力圏内に入っている。宝ヶ池駅から見て、宝ヶ池公園は(敷地の一部は直近にあるとはいえ)国際会館駅より遠くなってしまった。岩倉駅から国際会館駅までは1kmもない距離で、歩いても苦にはならない。
 しかも、烏丸線は都心部に対して便利な路線である。叡山電鉄はまず出町柳での乗換が必要であるうえ、乗り換えた先の京阪線の各駅は拠点性においてやや弱い。
 だから、主に日常利用において、烏丸線に対する叡山電鉄の優位性は少なくなっているとみなさざるをえない。目的地によっては、叡山電鉄より山側に住む方々が、叡山電鉄を素通りして国際会館駅に向かう可能性さえ指摘できる。
 国際会館駅。叡山電鉄にとってはなんとも重い一石を布かれたものではある。

岩倉駅に停車中の「きらら」第2編成 平成12(2000)年撮影

 叡山電鉄は、だから別の道を模索しつつある。烏丸線延伸とほぼ時を同じくして、観光色の強い「きらら」を投入したことがその表れである。鞍馬や貴船への観光は、烏丸線といえども役に立たない。沿線に高名な観光地を控えている叡山電鉄の強みは、ここにある。
 観光に注力するかたわら、日中はワンマン車を単行運転するなど、合理化を極めつつも運行本数を確保する工夫が見られる。沿線にはいくつかの学校が立地しており、ある程度まとまった需要が期待できることが効いているのだろう。叡山電鉄は、烏丸線との勝負を決して諦めてはいない。

 この厳しい競合条件下で両者が共存できるならば、交通事業のモデルケースになりえるし、また両者にとって幸せな道ともいえるだろう。

 

参考文献
(01)HP『京都市交通局』より「京都市交通局のあゆみ」 http://www.city.kyoto.jp/kotsu/history/kotsu_history.htm
(02)HP『国立京都国際会館』より「20年のあゆみ」(井上伸) http://www.joho-kyoto.or.jp/KICH/orgmng/hstry20.htm

最近ノリノリ?国交省の[交通通信簿]企画はナニを変える?
 投稿者---551planning(2003/01/08 00:15:21)

最近ノリノリ?国交省の[交通通信簿]企画はナニを変える?
└正式名称「公共交通の『快適性・安心性』向上方策の検討委員会」だそうです。

 昨年末、鉄道局サイト内に[コンシューマーレポート]ページを立ち上げた国土交通省が、今度は鉄道やバスなどの[快適性][安全性]を客観的に評価する指標作りの検討委員会を設置するそうで。

NIKKEI NET http://www.nikkei.co.jp/news/shakai/20030107AT1G0702507012003.html
国交省鉄道局 
http://www.mlit.go.jp/tetudo/index.html

 コンシューマーレポートのほうは、データベースとしては十分活用可能な…濃いネタが詰まってまして、こうした趣味の片隅でわいわい云うには丁度いいけれど、それでは一般的な利用時に気軽に使える情報入手とか、各社の対比としての分析などを行うにはまだまだといった感じですね。
 快適度指標のほうは学識経験者や事業者、利用者の代表で構成される専門委員会が今日1/8に初会合ということなので、その人選が先ず楽しみ…「利用者の代表」って、どんな人がなるんでしょうかねぇ。

 弊サイトも、「利用者の視点で捉える議論スポット」と掲げている以上は、これを注目せねばなりますまい。
…ただ、指標化することに意義があるのではなく、そこに至る経過及びそれを踏まえての各事業者及び行政対応がどうあるべきかがきちんと問われてこそ活きてくるものではなかろうか、と広いネットの片隅でいきがってみたりしております。
 #国交省のひとも、結構こんなとこ見に来るんでしょうかねぇ。(ぼそ)

***
 一見とっつきにくい国交省サイトですが、結構ネタの宝庫です。特に道路関係は情報提供が進んでいますので御参考までに。
 …なのになんでこと「民営化」になると、結構…(以下自粛)。

道の相談室 http://www.mlit.go.jp/road/110.htm
道路IRサイト 
http://www.mlit.go.jp/road/ir/index.html

正式名称「公共交通の『快適性・安心性』向上方策の検討委員会」だそうです。
 投稿者---551planning(2003/01/18 00:53:11)

 1/14付交通新聞1面記事で掲載されておりました。

 公共交通機関が提供するサービスについて、速達性や安全性、定時性、経済性などについてはそれぞれ具体的な対応対策が目に見える形で反映されているものの、こと快適性や安心性など利用者ニーズの高度化に対しては具体的対応反映が見えにくいことから、事業者による自発的な取り組みを促進させるべく、快適性・安心性の対応状況を開示するべくその指標作りを担うのが今回の検討委員会設置の経緯との由。

 「快適性・安心性」の例としては

○快適性
 ・ホームの冷暖房((屋外にあっては)待合室という意味か…なお小田急祖師ヶ谷大蔵の冷暖房完備待合室が写真で掲載)
 ・車両の乗り心地
 ・駅構内の移動距離
 ・トイレのにおい

○安心性
 ・運休・遅れの案内
 ・利用者同士のマナー問題
 ・問い合わせ等の応答体制

が挙げられており、車両冷房化率やバリアフリー対応におけるES・EV設置率というようなスタイルでの指標造りがイメージされているとか。

***
 で、『学識者、事業者、利用者代表などで構成(記事より)』される注目の委員ですが、

委員長  家田 仁  (東大大学院工学系研究科教授)
委員  須田義大  (東大生産技術研究所教授)
   内藤 廣  (東大大学院工学系研究科助教授)
   寺部慎太郎  (東大大学院工学系研究科講師)
   藤本裕子  (トランタンネットワーク新聞社社長)
   廻 洋子  (淑徳大国際コミュニケーション学部経営環境学科講師)
   麦屋弥生  ((財)日本交通公社地域調査室長)

(以上敬称略 その他事業者・国交省から各6名ずつ このほか実務者レベルのワーキンググループが設置される)

 なお、事業者からの参加はJR-E・営団・東急・広電・遠鉄と鉄建公団からです。

***
 1/8に初回会合、指標作成期日の明記はないものの、遠からず何らかの形で出てくることでしょう。
…それにしても委員を拝見するに、見たことあるお名前、事業者…「ツボ」を心得て?というところでしょうかねぇ。

おそいぞ武蔵、高いぞ武蔵

 投稿者---エル・アルコン氏(2003/01/14 15:24:25)
 
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 2003年度の大河ドラマ「武蔵」にあわせて、武蔵生誕の地を争う?播磨と美作ですが、「武蔵」景気を当て込んだバス路線が開設されます。

 まずは岡山駅から岡山空港経由で湯郷温泉、武蔵の里(大原町)を経由して智頭急行大原駅までのバスが「武蔵直行バス」と銘打ち両備、中国JR、神姫の3社で2往復(他に湯郷−大原、岡山−湯郷が各1往復)運行されます。で、姫路からは神姫バスが26年ぶりに伝説の特急バス復活と銘打ち、姫路−湯郷温泉のバスが1往復出ます。この2路線は湯郷温泉で接続するのですが、「武蔵直行バス」は2日前までの予約が必要とやや窮屈です(武蔵の里−大原駅の予約は不要)

***
 さて、まあ観光キャンペーンでの運行に目くじらを立てるのは野暮ですが、気づいたことを少々。

 まずは佐々木小次郎ばりに「おそいぞ武蔵!」というわけで、そもそも岡山−湯郷−林野に路線を持つ宇野バスがこの区間(空港には入らない)を1時間35分程度、1100円で結びます。一方の「武蔵直行」は1時間50分で1000円です。空港に寄らないとはいえ、一般路線バスのほうが速いというのも、です。
 姫路からの特急バスも、なんと龍野、新宮、佐用と停まる国道経由のようで、湯郷まで2時間は姫新線の姫路−林野と同等です。

 次に「高いぞ武蔵!」でして、岡山−湯郷はあの「日本最低を目指すバス会社(同社HP)」宇野バスより安い1000円ですが、そこから大原までも1000円。乗りとおすと2000円はいかがでしょうか。
 さらに問題なのは姫路からの特急バスで、なんと1700円です。JRが林野まで1280円、なによりも三ノ宮−姫路−津山−上斎原の中鉄バスがあるんですが、その姫路−津山の運賃が1400円です。これはちょっと看板料が高いのでは。

***
 気になるのは、鉄道がどう出るか。湯郷温泉へ京阪神から姫新線ではなく岡山経由津山線津山からバスという信じ難いルートを指定してパックを売っているのですが、今回はどうするのでしょう。
 大原は智頭急行経由で簡単ですが、作州の名湯は外せないでしょうし、どうでるか。中国高速線経由というあたりが落としどころでしょうが、もう一つの武蔵生誕伝説の地、播州とのリンクでは姫路起点の姫新線がベストなんですが。

 上月以西を放置プレイしているだけに、蚊帳の外で押し通すのでしょうね。

時刻表の「数字」に思う
 投稿者---551planning(2003/01/18 11:38:51)

時刻表の「数字」に思う
└角逐の側杖は困る...

 去る木曜日夜、疲れた身体を吊革に預け、終電間際のごった返した営団東西線に揺られながらあたりを何気なく見渡していた当方、ひとつの窓上広告に目を留めました。東船橋に住む「自然太郎」さんが新宿発7時丁度の「スーパーあずさ1号」で甲府へ行くのにどのルートが一番速いかというもの。
 ・東船橋→(総武緩行線)→西船橋→(営団東西線)→高田馬場→(山手線)→新宿
 ・東船橋→(総武緩行線)→御茶ノ水→(中央線)→新宿
 ・東船橋→(総武緩行線)→船橋→(総武快速線)→東京→(中央線)→新宿
…いちおうコタエは2番目、意外とシンプルな結果の以前に、「自然太郎」って…などと軽いツッコミを入れてみたりするわけですが、まぁまぁね、なんておもってみたり。まぁこの広告自体は何度も見ているものですから、ハイハイなんてナ感じで。

…ん!待てよ、この広告は…そう、「この時刻を調べられるのはMATTだけです」的な文章が添えられているわけで。あれ、MATTって休刊になったんじゃぁ…。

***
 MATTは1987年4月に八峰出版から創刊された、首都圏近郊路線に絞った月刊時刻表。弘済出版社(現交通新聞社)のJR時刻表やJTB時刻表では端折られているJR、さらに始発終電しかない民鉄・地下鉄などの時刻が網羅されている、まさしくニッチ狙いの企画で、それまで特定の駅しかなかった(駅の時刻表 ターミナル・ガイド 弘済出版発行)情報から一挙に判りやすくなったとして広く一般にも知られる存在になっていたと思います。94年9月には関西地区版のKATTが登場、その後季刊発行ながら名古屋版のNATTも発売されていました。そもそも小さめの書店でも結構置いていたことを考えれば、発行量及び販路もそれなりのものだったのだと。
 長い独占時代に終止符を打ったのが98年10月に創刊した「My Line東京時刻表」(弘済出版)。大きさもMATTの1.5倍ほどになったものの、いかにもexcelか何かで作ってますよ、的なMATTと比してまさに時刻表的な紙面構成となったMy Lineの見易さは秀でていましたね…もっともマニア的には列車番号を…なんていう要望もあったとか?

 それから4年、今皆様が日頃電車に乗られるときに時刻を調べたい場合にはどのようにされるでしょうか…ネットが使える環境にあればさくっと調べられるという便利な世の中になったものです。そもそも時刻表を見るのは…という向きが一般的ですから、MATTの辿る道も自ずと下り向きになっていったのでしょうか。
 ほぼ時を同じくして世に出た「駅すぱぁと」(ヴァル研究所 88年2月にDOS版が発売されている)がその経路探索機能に留まらない広範なソフト連携によるデータサービスを構築し、あるいは携帯・Web検索で一躍スターダムとなった「駅前探検倶楽部」(東芝が企画 97年5月〜)が今年会社設立により独立するなどを見るにつけ、昨年12月発売の2003年1月号を持って休刊する旨が、意外にひっそりと編集後記のところで触れられていたのを見たときは「一時代の…」を感じたものです。

駅すぱぁとWorld http://www.ekiworld.net/
駅前探検倶楽部 
http://ekitan.com/

 当方自身は、こと首都圏における行動範囲からしてMATTの類の時刻表を買う、ということはめったにしなかったのですが、あればまぁ使うよ、という感じでしたね。会社にもMATTは置いてありましたし、「JTB派」としてJR時刻表の2色刷りには慣れないながらも、My LineはMATTありきということもあるのかしっくりきていましたし。
 まぁ当方自身ぱっと調べるのはすっかりネットになりましたが、時刻表「読み」はそれほど苦にはしないので、大規模改正時などにはアナログのよさを改めて味わったりしておりました。路線の全体像をとらえるにははやり紙ベースでないと…と思いますね。世知辛い世の中ですが…。

***
 それにしても、「時刻表のデジタル化」は急激な進歩を見せています。そして実際の鉄道運行管理もデジタル化が進展、さらに緊急時の情報提供システムとのリンクも進められていると聞きます。
 そんな中、人為的なミスが大きな影響を生むという警鐘を鳴らしたのが1/4のJR-E埼京線トラブルでしょうか…休日ダイヤデータが平日のそれになっていたので各所でエラーが生じたものとのこと、折りしもこの日は北関東雨氷現象による架線凍結で宇都宮線や高崎線が大規模抑止となっていただけにまさにあってはならない事故、というべきでしょう。

朝日 http://www.asahi.com/national/update/0115/024.html 

 そもそも、デジタル化によって電車が走れない状況が生まれるということ自体に、いくばくかの不安を感じざるを得ないのですが…無論信号表示絶対という大前提を把握した上での短絡的発想とはいっても、フェールセーフの思想の根本は「人が守る安全」の上に立つ運行なのではないでしょうか。

 そういう意味では、単に時刻表の数字の羅列と、デジタルにおけるそれの意味合い、重要性もまた、一味違って見えてくるような気がします…もっともスジ屋サンにとっては数字以前の「線」にいろいろな思いが込められているわけですからね…やはり機械一辺倒というわけではないのでしょうか。

角逐の側杖は困る...
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/01/19 00:53:05) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 この広告、相当昔から掲出されてますが、どちらかというと一向に変わらないあたり、ただ漫然と掲出という印象で、コスト意識が甘いのではという評価も出来ます。

 まあ余談はそこそこにして、八峰出版のエリア別時刻表は首都圏のMATT、関西圏のKATTが月刊であり、KATTの別冊の形で中京圏のNATTが季刊でありました。
 2003年1月号を最後に休刊するMATTに先立ち、2002年11月号限りでKATTが休刊しており、NATTもこのまま休刊でしょう。KATT最終号の編集後記では改正などの節目に発行とはありますが、3誌ともに休刊となると、時刻表編集スタッフも解散でしょうから、改正などでの臨時発行も期待薄というしかなく、「東京時刻表」のフォローが無い関西圏や中京圏の利用者にとっては困り果てる状況です。

 各社別の時刻表があるのならまだしも、関西では阪神など冊子式時刻表の発行が無い会社が大手ですらある訳で、このあたり、KATTの存在が自社発行を控えさせていたかもしれませんが、複雑なダイヤにも関らず「解読書」たる冊子式時刻表が無いとなると、利用者が離れる原因になりかねません。
 そんなのを求めるのはマニアだけといわれそうですが、沿線住民は結構冊子式時刻表を購入している現実がありますし、私自身KATTを使うのは、日常利用や家人に聞かれた時であり、並行路線が多いとか、乗り換えが多いといった関西圏においては重宝していました。

 一方で電子媒体の時刻表提供サービスもあるわけですが、確かに徒歩接続など実際に即したパターンを相当把握しており、区間と時間を入力すれば複雑な乗り換えも一発回答という便利さはあるとは言え、PCなどが必要ですし、同じ路線でも条件を違えると一からやり直しだとか、勝手に使わないけど速いルートを勧めてくるといった問題もありますし、検索時間も紙媒体より遅いようで、全面的に移行、依存するのは困難です。

***
 今回の休刊は稼ぎ頭のMATTが「東京時刻表」に負けて商業ベースに乗らなくなったというのが真相でしょう。しかし、その側杖で情報源を失う関西圏と中京圏はいい迷惑です。関係ないところの事情でサービスが無くなるというのは自由競争下ではよくある話とはいえ、代替サービスが無いというのはやはり困ります。

 今回は時刻表出版界では「巨人」である交通新聞社(創刊当時は弘済出版社)がニッチ狙いの新興勢力をすり潰したという格好ですが、しからば「時刻表の版元大手」ならば、関西圏、中京圏でのサービス消滅を前提に首都圏の市場だけを守るのは如何なものか。同社刊行物のユーザーは関西圏や中京圏にもいる訳で、私自身今後は同社刊行物(東京時刻表もそうですが…)の購入に忸怩たる物を感じるのも事実です。

 せめて季刊、もしくは主要社の改正のタイミングで関西圏や中京圏を同社がフォローしてくれないものか。業界大手とされる企業に求められるのは市場の論理だけでなく、寡占しているサービスを普く提供することもあると思うのですが。

日本ライン下り廃止に見る観光船事業の今後
 投稿者---551planning(2003/01/19 19:39:58)

日本ライン下り廃止に見る観光船事業の今後
└角逐の側杖は困る...

 道路板に京阪が瀬戸大橋フィッシャーマンズワーフを閉鎖するとの話を書き込んでいたら、こんどは名鉄が日本ライン下りの廃止を決定したというニュースが…。

日経 http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/20030119AT3K1900P19012003.html

 急流で知られる中部の大河・木曽川。その風景がヨーロッパの大河ライン川の渓谷に似ていることから「日本ライン下り」と呼ばれる美濃太田から犬山橋下までの13kmを下る船旅は大正時代から広く知られるように。最盛期の1970年代には年間約40万人もの乗船客数を誇ったものの、2001年には約7万人にまで減少、02年度中間配当見送りに追い込まれた名鉄の合理化の波を受けたということになりましょうか。
 現在は冬季運休中とのことですが、既に関係自治体に廃止の意向が伝えられているとのこと、引受先は果たして現れるのでしょうか…。

日本ライン観光 http://www.nihon-rhein.co.jp/

***
 観光船事業といえば、日本では結構親しまれているのりものといえるでしょう。
 急流下りというと、日本三大急流とされる最上川・富士川・球磨川のうち最上川と球磨川の舟下りや、阿武隈・鬼怒川・長瀞・天竜・阿賀野川ライン下り、猊鼻渓・只見川・保津峡・大歩危舟下りなどが出てきますね。「まんてん」の屋久島にもあるそうですよ。
 またボート・遊覧船だと木曽川上流の恵那峡や熊野瀞峡のウォータージェットといった急流系から、東京の隅田川ラインや横浜の「シーバス」、大阪水上バスなどの都市系、また日本水郷や柳川、「矢切の渡し」も外せませんね。

全国・海外 船の旅情報 ※遊覧船をクリック! http://www.fune.co.jp/index.html

 これはかつて水運が盛んだった証左でもあるわけですが、この御時世さすがに厳しい状況にあるようで、廃止なんていう話もちらほら聞くわけですが、「老舗」の廃止というのは今後波紋を広げそうですね。

観光と行楽の狭間での迷走劇
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/01/23 13:31:24) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 かつて観光地には欠かせないアイテムとして水辺に遊覧船、山辺にロープウェイという感じでしたが、各地のロープウェイが今や青息吐息という有り様で、観光船よ、お前もかと言うところでしょうか。

「ロープウエー綱渡り 赤字に廃止・撤退検討 」アサヒ・コム02/11/09 http://www.asahi.com/osaka/021109c.html

 しかしちょっと待て、という思いもあります。
 そうはいっても湖沼や海辺にいくとやはり「遊覧船は?」「ボートでも?」というのが王道であり、時刻表あたりでは全く紹介されていないどころかガイドブックにも出ていない遊覧船があるのはザラで、しかもそれがけっこう賑わっていたりします。
 ロープウェイなんかもそうで、箱根ではシーズンには2〜3時間待ちはザラだった搬器の大型化を達成してますし、観光地の魅力次第というのが本当の所ではないでしょうか。

 生活様式の変化というありきたりな理由付けは簡単ですが、それだけではそこそこ賑わっている遊覧船の説明がつきませんし、今日び片道が原則の川下り船といっても駐車場への送迎などクルマへの対応くらいはしてますし、「公共交通」の利用が高い芦ノ湖の遊覧船ですらクルマ利用者をターゲットにした周回型コースも用意して対応していますから、交通選択の問題もないでしょう。

 では日本ラインは、というと、伝統的な犬山地区の観光エリアのアイテムですが、確かにどこかの車掌DJではないですが(笑)、「成田山、日本モンキーパーク、国宝犬山城、茶室如庵」に鵜飼、明治村とリトルワールドでしょうが、ちょっと魅力が薄くなったようです。
 とはいえ名古屋近郊の手軽な行楽スポットですから、ベースの利用や需要はあるはずですし、かつては名鉄広見線の日本ライン今渡駅下車で乗船所でしたが、今は犬山遊園駅から送迎バスを出して、犬山遊園駅起終点の周回コースとして、電車、クルマ両方に対応はしていました。

 結局問題なのはこの日本ライン、えらく運賃が高いことでして、60分の乗船になんと3400円です。
 同じ渓谷美に急流下りも味わえる保津川下りが2時間で3900円。秘境の誉れ高い瀞峡で上陸20分を含めての2時間で3340円ですから、手軽に訪れる感じの身近な観光地にしては敷居が高いようです。

 周囲の宿泊施設や観光施設に置いてある割引券やJAF割引は1割引に過ぎませんが、昨夏発売の「夏休み日本ライン1DAYフリーきっぷ」は名鉄電車・バスの1日フリーと明治村、モンキーパーク、リトルワールドのどれか1つの入場フリーがついて3900円と相当下げたり、9/1から11/30は「スーパー割引」と称して2800円に割引いてましたが、他地域では情報も入りづらかったようです。そうそう、昨秋で発売終了になりましたが周遊きっぷでも乗船できましたが、これも利用へのインセンティブは働かなかったようです。

***
 一口に遊覧船といっても、2つに分かれるようです。
 一つは河川湖沼、海辺のある都市型と、もう一つは秘境型です。
 前者は水上から街を眺めたり、普段は味わない船という非日常を楽しむタイプであり、東京の水上バス、横浜のシーバスや、また観光都市のそれも範疇でしょう。後者は急流下りや渓谷美、また断崖の奇勝といった見て楽しむタイプや、芦ノ湖など自然型の観光地にあるタイプで、和歌山県北山村などの観光筏やラフティングもその範疇でしょう。
 前者は概ね1000円までと言った価格設定で、後者は3000円程度から1万円程度まで高めの設定です。

 今回撤退を発表した日本ライン、また東京や大阪で話題にはなるが事業化が厳しい小河川や運河のクルーズもそうですが、どうもこの区分と価格設定のミスマッチがあるようです。
 日本ラインはそれこそかつては「日本のライン、ローレライ」という感じで後者の秘境型に属していたのでしょうが、如何せん美濃加茂から犬山というコースは街中になりすぎました。犬山というエリア自体が広域からの集客力がある「観光地」ではなく、中京圏の「行楽地」になっており、3400円も払って乗るような客層はもはやいないという事実に気付くべきでした。

 逆に名古屋から電車で1時間足らずで非日常を味わうという行楽客の需要はそこそこあると考えられるわけで、3400円だと乗らないが、1000円ならどうでしょうか。垂直護岸とさほど綺麗でない水面、行き交うのはポンポン蒸気程度の隅田川の水上バスに660円も投じる人があれだけいるんですし。
 乗らないけどそれなりに惜しまれる声が聞こえてくるのはそうしたミスマッチへの不満も混じっているのでしょう。

 その東京の水上バスは手頃な「非日常体験」ですが、一方で荒川や江東区の運河にある同種の遊覧船はどうでしょうか。やはり1000円を超えると「行楽」では厳しいようで、あまり盛況という声が聞こえてきません。そのあたりの機微をつかむことがこの手の観光産業に求められているのだと思います。

(N'EX+はるか)/1600系=?(続・いつまで続く「模倣犯」)
 投稿者---551planning(2003/01/19 20:27:54)

(N'EX+はるか)/1600系=?(続・いつまで続く「模倣犯」)
└Re:(N'EX+はるか)/1600系=?(続・いつまで続く「模倣犯」)
└デザインの限界と…

 続けて名鉄ネタで。誰か書くかなーと思っていたんですが。

 名鉄社長からのクリスマスプレゼント、というわけでもないんでしょうが、昨年12/25付社長会見の席で中部国際空港アクセス専用の新型特急車両のデザイン発表がありましたのは皆様ご存知でしょうか。

名鉄リリース http://www.meitetsu.co.jp/news/91.html

 ま、デザインをぱっと見でもお感じになられるものは皆様それぞれあろうかとは思います。基本仕様については空港連絡が考慮されているとの触れ込みで1997年に登場した1600系がベースになっていて、3セクを除く民鉄初の車体傾斜制御機能も磨きがかけられていることでしょう。
 ただまぁ、当方先ず見て思うのが「N'EXのパクリやん!」と。車体色も「はるか」を何処となく思わせません?…確かに曰く『既存の成田・関空の空港特急に負けないインパクトのある外観であること』を狙ったなぁといいますか。南海「ラピート」が違うところにイってしまっているだけに、運用等を考慮してのデザインであることは分かりますが、ねぇ。

 以前近鉄アーバンライナーnextをネタ元に「模倣と優れた外形の継承の境は何処か」ということで議論しておりますが、このあたりで続編をば。さらに11編成33両が投入されるこの名鉄空港特急のあり方についても、皆様の御意見をお聞かせ願えればと思いますが、例えば名前は「セントレアライナー」とかになるのかなど、さて如何?

いつまで続く「模倣犯」 log071.html

Re:(N'EX+はるか)/1600系=?(続・いつまで続く「模倣犯」)
 投稿者---Ferrovie federali氏(2003/01/23 21:56:28)

 そういうことを言えばJR東日本もひどいです。
 E231は明らかにベルギー国鉄の電車をダサくしたような格好にしか見えないです。 
 あの場合はシンプルで安いしかも機能性があるものと考えてたどり着いた結果としてもあまりにひどいものです。

 しかしながら外国も日本の模倣をしてる事もあります。
 イタリア国鉄の機関車にEF58によく似たものもあれば、はたまた高速列車は681系のそっくりさんだったり(しかもあのフェラーリのデザイナーがデザインした)、はたまたベルギー国鉄の電車が近鉄の初代ビスタカーとそっくりだったりと色々あります。

 電車の設計には限界があるのでどうしてもこのようにならざるを得ないのでしょうか・・・ なやましいですね。

デザインの限界と…
 投稿者---第三波平氏(2003/01/25 20:49:49)

 こんばんは。

 名鉄の空港特急、スカーレットが全く消えたんで、正直吃驚しました(敢えて消したことに意義があるのかもしれませんが)。ただ、模倣といっても同社のパノラマカー≒小田急NSEとか、国鉄151≒東武DRCのように、いずれたりとも「名車」の地位が高いケースもあるんで、もう少し何とかならんかったかな…の感想も少々あります。

 ちょっと変わりますが、最近の通勤車のデザインで気になったことが少々。
 先日小田急3000形の2次車の甲種回送が行われましたので早速見に行きました。この編成は既報通り東急車輌製でJRのE231系と車体を共通化したため側面が変わっていました。その感想なのですが、何といえば良いのか、小田急の電車としての個性はどこへ行ったのか?という感じがします。
 唯一鋼製車と同じロイヤルブルーを巻いていること、が小田急としての個性なのかと思うのですが、途中で並んだ京浜東北線209系のスカイブルーと全く同じに見えた、と言ってもよいでしょう。

 メンテナンスフリーの点からアルミ・ステンレスカーとも無塗装(銀色)の電車が増えてきたのですが、帯だけではそろそろ限界が来ているような気がします。これから車体の共通化が進む時代において通勤車は如何に車両の「個性」を出すか、が課題になるような気がします(もっとも、日常に使用する車両に強力な個性は要らない、という考えもあるかもしれませんが)。

 乱文、脱線失礼しました。

中吊りが訴える真実
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/01/29 18:19:05)
 
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

中吊りが訴える真実
└Re:中吊りが訴える真実

 2008年度を目処に開業を目指している阪神西大阪線延伸ですが、そのプロジェクトの告知が阪神電車の中吊りに出ています。9300系の写真の下に「写真はイメージです」とあり、京急の「京急 搭乗」じゃあるまいしどこが、とよく見ると、種別が「特急」で、行先が「奈良」でした。

 西大阪線の延伸とは、もともと昭和30年代の都市交通審議会において阪神伝法線(梅田への急行線として建設された名残の大物−千鳥橋)千鳥橋から西九条、九条、難波を通り近鉄大阪線の上本町六丁目を結ぶ新線が答申された計画で、阪神が千鳥橋から、近鉄が上本町からそれぞれ難波まで延伸する形で免許、近鉄は1970年に難波まで開通して計画を達成しましたが、阪神は1964年に西九条まで開業して西大阪線と改称したものの、翌年難波への2期線を着工した途端、沿線の九条商店街の反対で頓挫して今に至っているもので、2001年に第三セクター、「西大阪高速鉄道」を設立して悲願の達成に挑んでいます。

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 で、今回のテーマは延伸そのものではありません。

 今回の論点はその中吊りで、尼崎からの現行の本線と西大阪線、そして難波延伸部分の地図が実縮尺で出ています。もともと梅田からの第二本線(急行線)計画の名残だった伝法線・西大阪線ですから、千鳥橋まで本線と実は並行気味に走っています。そこから梅田は北東なんですが、難波は実はほぼ東。見た感じでは梅田までとそう差がない印象です。

 今の西大阪線が西九条どまりといまいちぱっとしませんし、路線図でも枝線扱いだけに、尼崎から西九条へ向かうのが大阪都心に対してそっぽを向いた印象があります。ですから西九条から難波へ、といっても梅田から御堂筋線の方が便利、と錯覚する懸念があります。
こうしたなか、正しい縮尺の地図で視覚から迫ることで、今回の難波延伸が実は本線から真っ直ぐ向かっており、しかも梅田へ行くのとあまり差がなさそうだという「事実」を利用者に訴えています。

 実際西大阪線はもともと「急行線」としての建設ですから線形はよく、淀川水系の治水対策として鉄橋も改築されているため、けっこうカーブが多い本線よりも速達効果が出そうです。あとは地下区間でどれだけ速く走れるかですが、うまくすれば梅田と同等に近い時間で難波に着くことも望めそうです。

 しかしそうした「実力」も乗客にアピールできなければ意味がありません。特に新しいルートというのは今までが確実に不便でない限りなかなか浸透しないものです。
 その意味で、こうした「啓蒙」をおりにふれて実施することは、一見無駄なようで必ず将来の糧になると思います。

Re:中吊りが訴える真実
 投稿者---KAZ氏(2003/01/29 18:57:40) http://www5b.biglobe.ne.jp/~ktnh/pri/

 西大阪線延伸ですが、地元に行った環境アセスの資料などでは九条の地下坑口へ向かうアプローチ部分では列車速度が90km/h程度の設定になっているようですね(ソース詳細失念)。ただ以前の計画では延伸区間は各駅停車が原則となっていたようなので、地下線内での通過運転などを行うのであれば若干の工事内容変更が必要かも知れませんね。
 そういえば以前の新聞記事で三宮〜難波間の所要時間が出ていたと思うのですが、手許にないので確認できません。ちょっと探してみます。しかしこの事業も案外と注目を集めているようで、一般市民からも時々話を聞きますね。大抵は好意的な反応が多いように感じます(京阪の延伸計画とは好対照ですね・・・)。

 これからの阪神の事業内容PRがどんなものになるのか、楽しみです。久しぶりの都心部での新線ですからね・・・

2004.11.02 Update


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