【検証:】掲示板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】
(過去ログNo.087)
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鉄道に道路機能を追加せよ:道路代替カートレイン
 投稿者---PATHFINDER氏(2002/10/27 17:41:52)

鉄道に道路機能を追加せよ:道路代替カートレイン
└道路代替なら道路のない所に作るのが良い?
 └小さく産んで大きく育てると言う道も...
  └まずは「社会実験」的な所から始めるのが良い?
   └Re:まずは「社会実験」的な所から始めるのが良い?
    └お手軽に「社会実験」も色々難しいかな?
     └市場の隙間と重なり
      └Re:市場の隙間と重なり
鉄道は渋滞の発生理由を解決しうるか
 └カートレインは「渋滞解消」にはならないのでは?
  └カートレインの可能性と課題
   └(追記)データ上の検証
   └Re:カートレインの可能性と課題
    └Re:カートレインの可能性と課題
     └Re:カートレインの可能性と課題

 皆さん、今日は、“PATHFINDER(−Ichimura)”です。

 道路上の交通渋滞は軽視する事が出来無い社会問題の一つです。
 渋滞で自動車の速度が低下すればする程、有害物質の排出量は急増致します。
 つまり、道路での交通渋滞は環境問題の一つでもあります。
 渋滞解消を目的に新しい道路の建設等の道路整備を求める意見や陳情や計画等が日本各地で増加しつつありますが、それらの事例における渋滞自体が行楽シーズンや通勤時間等の特定の日時に限定されているならば、巨費を投じて新たに高規格道路を建設する事自体、あらゆる面で非効率だ、と思います。
 交通渋滞が特定の日時に限定される事例における高規格道路の新規建設の代替案として、カートレインの設定により鉄道に道路機能を追加させる事を、私的に考えます。

※以下、レジメとして記述致します。

 以下は、例として、土曜休日と行楽・観光シーズンを中心に、首都圏で道路代替カートレインを設定すべき区間と路線と運行系統の案です。

【1】 伊豆半島方面: 神奈川県茅ヶ崎市〜(東海道線)〜静岡県三島市、
神奈川県小田原市〜(東海道線)〜静岡県三島市
   相模湾に接する箱根山群の存在で地形上隘路故に極めて酷い渋滞が発生し易い箱根越えの国道1号線や山海狭間に在る135号線等の各道路の代替手段。
【2】 甲府盆地方面: 東京都八王子市〜(中央線)〜山梨県塩山市
   広大な山岳地帯の存在で地形上隘路故に極めて酷い渋滞が発生し易い中央自動車道と国道20号線の代替手段。
【3】 浅間山・軽井沢方面: 群馬県藤岡市〜(高崎線・*信越線)〜長野県軽井沢町、
群馬県松井田町〜(*信越線)〜長野県軽井沢町
   碓氷峠の存在で地形上隘路故に極めて酷い渋滞が発生し易い国道18号線碓氷峠バイパス等の各道路の代替手段。
※長野新幹線開業後に廃止された横川駅・軽井沢駅区間を復活させる。66.7‰の急勾配を走行可能な車両を必要とする。

 取り敢えず、以上であります。

道路代替なら道路のない所に作るのが良い?
 投稿者---TAKA氏(2002/10/27 22:49:24)

 今晩はTAKAです。
 基本的に鉄道にカートレインという形で一部道路機能を付加させるという基本的考え方には賛成します。
 しかし基本的に渋滞道路の代替としてカートレインを使うには、輸送力が不足なのではないでしょうか?
 言われている「伊豆箱根地域」「中央自動車道代替」「碓井バイパス代替」の3ヶ所は渋滞の激しい所です。特に中央高速の笹子トンネルや小仏トンネル周辺地域では週末には10〜30km程度の渋滞が週末に恒常的に発生している「渋滞の名所」です。しかしその様な超渋滞地域にバイパス機能としてカートレインを運行するにはカートレインでは輸送力が不足しすぎるでしょう。
 今運行の夜行カートレインは一両当たり3台乗用車積載可能だったと思います。2段重ねの自動車運搬貨車のような物を使っても車種を制限された上に7〜8台しか積載できません。1編成20両連結にしても60〜160台で毎時10本運転したとしても600台〜1600台しか運ぶ事はできません。これでは焼け石に水でしょう。
 それに中央本線や東海道線の小田原以西では毎時10本も運転する線路容量は無いでしょう(両方とも普通がそれなりに走っていますし、中央本線には毎時2本の特急があります)。そう考えると、「発想は良し」ですが「費用対効果は薄い」という感じがします。

 それならば構想の出ているような「青函カートレイン」の様な、道路がない道路交通のボトルネックの区間にカートレインを運行する方が、道路機能付加という側面でも効果的であると思います。津軽海峡に道路トンネルや長大橋の架設による道路敷設は現状では非常に困難(財政的・技術的にも)ですから、そう言う所に道路特定財源を投入して、道路代替のカートレインを運転した方がよろしいと思います。
 青函カートレインに関しては、97年7月号鉄道ジャーナルの中に(財)東北産業活性化センターの後藤栄喜氏が「青函カートレイン構想の概要」という事で、ユーロトンネルのル・シャトルをモデルにしたと思われる中小国〜木古内間の標準軌でのカートレイン構想について述べていられます。

 私自身は青函カートレインには以下のような意義があると考えます。

 ですからこの様な道路の造れない所に道路代替のカートレインを道路の代替ですから道路特定財源の投入による上下分離方式で行うのが好ましいと思います。
 又具体的には上記の「青函カートレイン構想」に多少下記の手を加える事とします。

  1. 区間は中小国〜木古内から青森〜函館間にする。

  2. 青函トンネルに関してはの狭軌・標準軌の三線構造にする。

  3. 津軽海峡線に関しては複線化・三線構造化をする。出来ればスーパー特急クラスの規格にする。

  4. 将来新幹線が青森まで延伸された時にはこのカートレイン路線を北海道新幹線の路線に転用し青森〜函館間ではカートレイン用新線に新幹線列車・カートレイン・既存貨物列車・在来ローカル列車を共存させられるようにする(今の津軽海峡線のローカル輸送も担うバイパスを造る。旧線路は廃止する)。

 この様な形の道路代替カートレインの方が実現性が高いと思いますが如何でしょうか?
 混雑区間バイパス用カートレインの発想も斬新であるとは思います。しかし狭軌路線で既存路線利用では残念ながら輸送力があまりに不足しすぎると思います。その様な所でいきなり実現させるのはかなり困難であると思います。
 欧州でもアルプスや英仏海峡等の地形的障害の厳しい所でのバイパスとしてカートレインが使われている例が多いように感じます。それならば今の日本でその例に当てはめれば、青函カートレインが一番実現性が高いでしょう。
 日本に今まで例のないの斬新な構想ですから、いきなり冒険的な構想を行うより今あるインフラを活用して効率的に地理的ボトルネックの解消という無難な線から行い、その成功例からより革新的な方向へ進む方がこの考えを生かす為により良い方法ではないかと考えますが・・・

小さく産んで大きく育てると言う道も...
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/10/28 18:13:43) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 お二方の意見を拝見して感じたのは、今のカーフェリーが持つ異なる性格をお互いに主張しているような気がします。
 PATHFINDERさんの例示は、瀬戸内や東京湾といった時間も短く、先着順で搭乗できる短距離フェリーであり、TAKAさんのそれはまさに青函とか中距離レベル。そして例示にはないですがかつて実際に運行されていたのは長距離フェリーのそれでしょう。

 PATHFINDERさんの場合は、クルマ利用者から見た選択肢の一つ(高速、国道、裏道etc...)としての提供であり、運転しないでスムーズに動けるといったメリットを訴求することで、コストメリットと連続性に優れる「そのまま運転」に対する付加価値として売り出す体裁でしょう。
 この場合、アクア開通前の夏場の東京湾フェリーなんかがイメージとしてあり、なかなか乗れずに延々と待つくらいなら、R128〜R16〜館山・京葉道〜首都高のほうが速いのに待ってましたよね。
 TAKAさんの場合のように「唯一に近い選択肢」の場合に求められる輸送力を具備しなくても、乗せられるだけと言うある意味気楽な提供が出来るケースです。

***
 言いかえれば、前者はサービスとして需要を見こんだ売り手市場の提供で済むのですが、後者は自動車交通途絶区間の移動確保として、需要に応じた提供をある程度準備しないと行けない買い手市場の面があるということです。

 もちろん公共交通としては後者の整備のほうが理想ですが、カートレインの普及と言うとっかかりとしては前者の整備から入ると言うのも一つの手かなと思います。

まずは「社会実験」的な所から始めるのが良い?
 投稿者---TAKA氏(2002/10/28 19:56:03)

 エル・アルコン様今晩はTAKAです。ご指摘有り難うございます。
 ご指摘を踏まえて又考えてみました。

 言いかえれば、前者はサービスとして需要を見こんだ売り手市場の提供で済むのですが、後者は自動車交通途絶区間の移動確保として、需要に応じた提供をある程度準備しないと行けない買い手市場の面があるということです。
 もちろん公共交通としては後者の整備のほうが理想ですが、カートレインの普及と言うとっかかりとしては前者の整備から入ると言うのも一つの手かなと思います。

☆確かに替交通手段を複数用意できると言う意味で、そんなに需要が発生しないし存在自体が「One of Them」であるという事で私は逆に中途半端さと需要の存在がない事を危惧しました。
 しかし確かにそんなに大上段に構えて行うより、社会実験的にカートレインを普及させ運営上の問題点等をあぶり出すという社会実験的には小田原〜三島間等は丁度良いと言えるでしょう。
 欧州ではスイスアルプスのカートレインは山間部の道路交通のボトルネックの補助手段として使われていますから、その様な例に箱根のバイパスは当てはまるでしょう。
 ただ以下の点を社会実験実施時の前提とすべき条件として提起しておきます。

 以上を踏まえ、第一段階として行うべき路線としてPATHFINDER様の提案の路線を踏まえつつ、私としては以下の2路線を提示します。

  1. 小田原〜三島間(PATHFINDER様の提案の路線)
    →箱根の隘路改善が目的の社会実験

  2. 高崎〜長岡間 (新規提案の路線)
    →関越道と国道17号線の関越トンネルと三国峠越えの隘路改善が目的の社会実験。関越道は関越トンネル・沼田・渋川伊香保等で何時も渋滞するし、冬のこの周辺の道路を運転するのは危険を伴う、その為にカートレインでのこれらの改善を目指す。
    ※高崎〜長岡間は沼田・水上・越後湯沢等で途中下車する事が可能なシステムが必要である→要検討事項
    ※高崎〜長岡間、特に峠越えの水上〜越後湯沢間は複線であるが線路容量には大きな余裕がある。
     その有効活用の側面も強い(恒久運転を目指す社会実験)。又碓氷峠越えに比べて勾配も緩いので既存技術応用で簡単に対応可能。又貨物列車も運行されているから技術的な問題はない。

☆確かに青函カートレインは未だに構想自体は否定するには非常にもったいないと考えますが、特に私の考えは他の構想に比べて区間を青森〜函館間の津軽海峡線全面改良を含んでいるので規模が非常に大きくなっています。
 その様な状態では日本で知名度の低いカートレインの第一号には規模も投資金額が大きすぎるのも危惧すべき内容であるのは確かです(成功すればそれがもたらす効果も大きいですが・・・)
 それならPATHFINDER様の提案様な路線で最初に行い、社会実験的な試みで経験とノウハウを積み重ね、その上で青函カートレイン構想を実現させる「ホップ・ステップ」の順番の2段階作戦の方が好ましいかもしれません。カートレインという事業全体のリスクに対する安全性も高いですし・・・
 その様な考えはエル・アルコン様にご指摘頂くまで築きませんでした。私の「人の意見を否定的に捉えた上でしか発想が出来ない」という欠点が出てしまいましたね・・・どうもご指摘頂きまして有り難うございました。 

Re:まずは「社会実験」的な所から始めるのが良い?
 投稿者---とも氏(2002/10/28 20:19:42) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

●青函のような区間への適応性
 まさにTAKA様が書かれたとおりで、ヨーロッパにおけるカートレインはまさにこのスタイルです。
 つまり、短距離速達型又は道路機能の一部としてのカートレインという思想ですね。
 これは私も賛成です。
 特に青函は日本でも最初からできるであろう唯一のケースではないでしょうか。

●小仏や碓氷、笹子、箱根など
 率直な意見ですが成立しないと考えます。
 確かに、普通車であればTAKA様の試算をそのままと考えると相当な負荷軽減になりえますが、大型車ではそもそも在来線建築限界に納めるには特殊なトラックが必要であり、物理的対応として困難ではないかと。
 日本の在来線規格ではトレーラーやトラックの輸送はできません。よって、スライドやコンテナ形式にするしかないという実状を鑑みなくてはなりません。
 また、碓氷はR254、笹子は御坂&R138という迂回路が物流導線としてしっかり機能しています。こういった無料かつ有効な迂回路があるのであれば鉄道サービスを無理に提供しても成立し得ないでしょう。
 ただし、北海道や東北のような迂回路に乏しい区間では十分可能性があると考えます。それこそ依然議論のあった北見〜旭川、夕張〜十勝などは建築限界の問題さえクリアできれば可能性は高いです。
 とはいえ、その条件は限られます。

 社会実験もいいんですが、まずは青函のように確実な区間から始めてはどうでしょう。カートレインは過去何度も失敗しています。であるからこそ慎重な導入が必要です。そのときに確実に引きつけられる北海道のようなところこそが向いていると思いますが。
 いかがでしょう。ではでは

お手軽に「社会実験」も色々難しいかな?
 投稿者---TAKA氏(2002/10/28 22:45:41)

☆青函のような区間への適応性

 私も青函カートレイン構想が一番カートレインを生かし、しかも現状では無駄に大きすぎるインフラと化している青函トンネルの有効活用という意味でも優れていると考え、このレスの一番最初の書き込みでは青函カートレイン構想を対案に近い形で提案しました。
 しかしこの構想は標準軌で運行して車両限界を広げる事でトラックまで運べる選択肢を選ぶ変わりに、道路インフラが弱くカートレインだけが浮いてしまう危険性のある中小国〜木古内ではなく青森〜函館間まで延長するという私の考えに整合させると、北海道新幹線の青森〜函館間を先行開業させ、しかも其処に旅客列車と狭軌貨物を共存させないとならないと言う困難かつ金の掛かる計画が待っています。
 その為にエル・アルコン様のご指摘を踏まえ具体的に「小田原〜三島間」「高崎〜長岡間」を再度提案して社会実験的な物で実験をした上で大規模投資の青函カートレイン構想に進もうと考えを転換させました。
 私自身では公的計画のパクリではありますが当初提案の青函カートレイン構想が一番実現性は高いと思います。だからそれ以外は既存インフラを使っての「社会実験」なのです。

☆小仏や碓氷、笹子、箱根など
 逆に関東周辺に拘らない方が良かったですね。私はカートレインの基本的な成功への要素として、「カートレインでないと越せない地形的障害」「カートレインが絶対的に有利な車を運転したく無くなるような環境」が自動車運転者の誘導の為の要素となると考えます。
 それには道路の混雑区間も良いですが、とも様の言われるように今ではでは抜け道的なバイパスも多くあるので、地形的・交通的障害に加えて気候的障害も有用ではないかと思いました。それで雪の峠越えのある高崎〜長岡間を加えました。
 とも様の言われる北見〜旭川や夕張〜十勝も有効でしょう。何せ冬は乗用車からJR特急へ客が転移するくらい冬の北海道の運転は難しいみたいですから・・・確かにそれでも成功には色々な条件等が出てくるかもしれません。 

☆正直言って「社会実験」は此処で出ている議論の折衷的な玉虫案とも言えます。
 一番「社会実験」で問題なのは、簡単に出来るからと言って安易にやって失敗したら次に実験するのに大きな抵抗になる事です。安全策で「社会実験」をするなら確実に成功しそうで、投資が少なくて済む事です。
 箱根や上越国境での社会実験は需要という面での成功のリスクが存在しますし、青函カートレイン構想では投資の大きさのリスクが存在します。
 今まで失敗してきた日本のカートレインですからなかなか成立させるのは難しいかもしれません。

市場の隙間と重なり
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/10/28 23:58:05) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 見事に意見が割れましたね(笑)

 実は私の見立ては逆でして、青函の方が実は難しいと読んでいます。
 これは、青森−函館で見た場合、対フェリーでどれだけのメリットを提示できるか、またフェリーに対する価格訴求力はどうか、このあたりが鍵だと思うからです。

 もう一つ、青函の場合は結局物流関係が主力になりますが、青函間を通過する物流は青函間だけでも150km近い距離があり、そこはやはり貨物列車や船舶といった輸送手段を軸にするのが本線だと思うからです。
 トラック搭載となると勢い大掛かりになりますが、そのコストを吸収し、かつフェリーに対して競争力のある料金を提示できるかに掛かっています。

***
 首都圏の短距離カートレインの場合、トラックは考えていません。
 上記の問題にも絡みますが、物流の場合、ただでさえ「価格破壊」などの影響が物流費へのしわ寄せとなっていることが業界でも問題になっており、コスト意識が異常に高まっていることと、高速並行の国道を走るトラックの多さを考えると、絶対値としての費用を重視するトラックを呼び込むには「運賃」<「燃料費」としない限り勝ち目がありません。

 一方で自家用車の場合は相対的に財布の紐も緩く、絶対的な金額以外のメリットの提示で訴求できます。それと絶対数としての移動数の多さは、例え「シェア」は小さくても青函間に比べて事業成立へのハードルは低いでしょう。
 自家用車にターゲットを絞ると事実上土休日専用ですが、何も無理して平日も動かすことはなく、例えば貨物列車用機関車の土休のアルバイト運用として位置づけるといった考えも可能です。また、土休は観光ルート、平日は都心通過流動という使い分けも考えられます。

 私が考える区間としては、西湘貨物駅−三島、伊東と八王子−酒折か竜王という首都圏でも名うての「隘路」です。
 また、西湘−大井とか線路容量が許せば立川あたりから都心とか、クルマだと微妙に厳しいところへの設定に妙味が有りそうです。
 自家用車に限定すれば、自走での積み下ろしでも施設は簡単に出来そうですし、駅へのクルマのアプローチもあまり大規模なものは要らないでしょう。

Re:市場の隙間と重なり
 投稿者---TAKA氏(2002/10/29 09:35:21)

 エル・アルコン様お早うございます。TAKAです。
 人との待ち合わせの間に書き込んでいるので簡単に・・・

☆意見が割れたと言うより、3分割ですね!
 エル・アルコン様は首都圏近距離派ですし、とも様は青函派、私に至ってはその間をウロウロですから・・・

☆青函カートレイン構想の最大の問題は投資金額の大きさと如何にしてフェリーに勝つ運賃設定と利便性を備えるかに有ります。
 前述の鉄道ジャーナルに出ていました青函カートレイン構想の中では、ターミナルの土地代を除いて、中小国〜木古内の運行で車両費・設備費で約100億円近く掛かると出ていました(青函トンネルの三線化工事費用が入っているかは確認しませんでした。それ次第ではもっと費用が増えるかも・・・)。まあそのシミュレーションではフェリーに対抗可能な運賃設定になっていました。その当たりは考慮されています。
 しかしこの構想の問題は区間を中小国〜木古内に絞っている事にあります。確かに投資金額が少なくて済みますが、フェリーが青森〜函館間を直結しているのに、カートレインは中小国発発だから高速を青森で降りた後とぼとぼと津軽半島の国道を中小国まで行かなければなりません。これは北海道側にも当てはまります。
 この様に青函カートレイン構想は現実性が高い物のまだ色々な問題を抱えていますし、それこそ此処で失敗したら、「日本ではカートレインはダメだ」という事になりかねません。

☆それに対して関東周辺の場合は「狭軌路線による運搬自動車の制約」「それこそ海の物とも山の物とも分からない冒険」「日によって需要にムラがある(=効率性の問題)」「既存路線使用による線路容量の問題」等があります。
 可能性という点での潜在需要総量という点では、関東周辺の交通隘路の方が青函地域より多いのは事実ですが、果たしてその3%位でも来てくれるか?と言う疑問はありますし、今まで想定すらしていないパターンなので慎重な検討が必要です。
 それに首都圏バイパスのルートでのカートレインは多分武蔵野線を利用したカートレインを想定されていると思いますが、そのルートこそ乗用車よりトラックの方が需要が多いと思いますし、平日乗用車の利用者の目的地の多くは東京都心に向かっていると思います。ですから平日にその様な環状コースでカートレインを運行しても需要が望めるかは疑問です。
 又私の提案の上越国境越えはトラックで一度挫折しているコースです。ですからその様な前例もあるので需要の対象を変えても心理的抵抗でなかなか難しいかもしれません。

☆どちらの案にしても「日本にカートレインが根付いていない」という根本がある限り、なかなか難しいかもしれません。「成功できそうな青函で行う」のも一策だと思いますし「新規需要が望める所で新しく行う」というのも一策です。しかし最初の前例がないと言うのが最大のハードルであると思います。

鉄道は渋滞の発生理由を解決しうるか
 投稿者---和寒氏(2002/10/19 01:01:45) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 このスレッドではだいぶ議論が深まっているところですが、疑問点がありますので、遡ってここに記します。

 道路代替のフェリーなりフェリートレインという発想そのものは面白いです。実際に、富山新港の「道路フェリー」のような実例もありますし、鉄道にその可能性を追求するのもありえると思います。
 ここで考えたいのは、フェリートレインを導入したとして、最初の問題提起である渋滞解消につながるのか、ということです。

 一例として挙げられている【3】軽井沢の渋滞は、往路においては、駐車場の決定的な容量不足に伴う入庫待ち渋滞が延々と波及している面があります。つまり、途中経路の容量を増しても、根本的な解決にはつながりません。復路は、碓氷軽井沢ICを先頭とする料金所渋滞が主ですので、ここさえなんとかすればよいという面があります。急坂急カーブの連続ですが、旧道という抜け道も存在しており、鉄道を敢えて使う必然性があるかどうか疑問です。使うならばむしろ、在来線跡をそのまま道路に転用した方が自然だと思います。
 【2】甲府盆地の案は、経路が限定されていることによる自然渋滞もさることながら、坂道の頂上やトンネルを先頭とした渋滞が少なからず発生する点を考慮する必要があります。この区間では中央道の3車線化がどこまで進んだのでしょうか。その成果をまず見極める必要もあるかと思います。
 【1】伊豆半島の案は、道路の容量が決定的に少ないので、うまくいく可能性が最も高いと思います。茅ヶ崎から三島に飛ぶというレンジも適切でしょう。

 このような発想をするにおいては、道路にとってどういう対策が必要か、が重要だと考えます。面白い発想だと思いますので、あとはそれを適用しうる(必要とする)場所があるかどうか、でしょう。

カートレインは「渋滞解消」にはならないのでは?
 投稿者---TAKA氏(2002/10/31 11:40:56)

 こんにちはTAKAです。此処の議論ではかなり中心的になってしまっているので、少々コメントを・・・

 ここで考えたいのは、最初の問題提起である渋滞解消につながるのか、ということです。

☆多分渋滞緩和にはこの様なタイプのカートレインを導入しても難しいでしょう。過去の議論でも述べましたが、道路隘路解消に既存鉄道を活用しカートレインを走らせるやり方では輸送力に限界がありますし、受け入れる鉄道の方も在来線を活用する場合線路容量に問題があります。
 単純に考えて1編成16両貨車を連結として、確か今までのカートレインでは1両に3〜4台の乗用車を乗せていたはずです。そうすると1編成で48〜64台しか運べません。毎時10本運転しても480台〜640台です。
 そうなると高速道路の輸送力に比べて屁の突っ張りぐらいにしかなりません。
 又新型貨車を導入して上下に詰めるようにしても、車両限界の関係上セダンの乗用車ぐらいしか運べないでしょう(空くまでも私の試算です。そう大きな狂いはイメージ的には無いでしょうが、根拠には乏しいので悪しからず)。
 そう考えると、狭軌鉄道でその車両限界を変更せずカートレインを運行しようとすると、その輸送力は非常に限定的な物になるという事です。又毎時10本も運行した場合、特急が毎時2本も走る中央本線や比較的普通列車が多い東海道本線では既存運行の列車に影響を及ぼす事も考慮に入れなければ成りません。

☆ただ言われるように、簡単に「ダメだ」と否定するには惜しい内容です。ですから「渋滞緩和」よりかも、「隘路の運転し辛い所を鉄道で代行します」という運転代行的な要素を全面に出し、その次に「定時制も確保できます」という事をアピールに加えて(スムーズに乗れればですが・・・輸送力が限定的である以上待ち時間が多く掛かるのは十分あり得ます)運行するような形にした方が好ましいと考えます。
 それで需要が存在するかも今の段階では?ですから、それに対して「社会実験」的に行い、「果たして本当に成立するのか?」を試してみた方が好ましいと思います。
 此処の前レスで代案提示したような「上越国境越え」や言われているような「夕張〜十勝間」は冬の自動車運転は凍結や雪等があり運転になれていない人に取り非常に危険です。その様な所を「非常に危険な所を安全な列車で代行する」と言う考え方も十分成立すると思います。
 私自身は「渋滞緩和」より「危険な所の運転代行的感覚」をアピールした方が成功しやすいと思います(大体日本の渋滞発生の隘路は山岳区間が多いですから、山岳高速道路の運転のし辛さ等は有りますので)。

カートレインの可能性と課題
 投稿者---とも氏(2002/10/31 15:48:15) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

 過去の議論でも述べましたが、道路隘路解消に既存鉄道を活用しカートレインを走らせるやり方では輸送力に限界がありますし、受け入れる鉄道の方も在来線を活用する場合線路容量に問題があります。

 極々一般論と思っていただきたいのですが、日本の鉄道建築限界で車運を行うとして、目一杯入れれば1両あたり6〜8台が可能収容量でしょう。2段式にして上段をセダンタイプ専用にしての話です。
 そうした場合、15両で運転できれば1編成100台前後の輸送力になります。1時間に2本運行したとして200台です。
 道路の時間あたりの通行可能容量(厳密には時間単位にするので可能交通流率という)は1車線で最大2000台。都市間高速道路におけるサグ部やトンネル部における交通容量は時間2200〜2700台/2車線との調査結果があります(出典:交通工学研究会編 交通現象と交通容量)ので、約10%弱の削減になり、それなりの混雑緩和効果は期待できます(詳しくは当レスの子レスにします「(追記)データ上の検証」を参考にしてください。)。

 もちろん、TAKA様のおっしゃるとおり、抜本的な対策にはつながりませんが、ピークカットに寄与することが可能となり、相対的な渋滞緩和効果はそれなりに期待しても良いでしょう。

 私自身はあえて整備をする必要性は低い(採算の有無は別)と考えますが、だからといって渋滞緩和が無いとの断言はできないと考えます。

 それで需要が存在するかも今の段階では?ですから、それに対して「社会実験」的に行い、「果たして本当に成立するのか?」を試してみた方が好ましいと思います。

 「社会実験」というシステムは確かに良いシステムなのですが、カートレインのような大規模なモノの場合には設備投資や車両の製造などに数億単位の費用が必要になります。
 これだけの費用をもって社会実験を導入するというのは実験ではなく試験導入的要素となり、TAKA様のご提案されるスペックですと、いわゆる「社会実験」とは異なるモノではないかと考えます。
 よって、現実的対応としては可能性のある区間に導入することを前提とし、あえて山岳部などにおいて実験導入を図る(それならば費用は極限まで小さくできる)という思想で行う必要があり、まずはどこか導入の可能性がありうるかという点をふまえる必要があると考えます(LRTの社会実験でもLRTを作らずに擬似的にバスなどで再現するから実験なのであって、本当に整備してしまえば実験ではなくなってしまいます)。
 よって、需要の確実な区間での導入が必須のうえでの社会実験と考えますがいかがでしょうか。

 ちなみに。社会実験において採算性などを最初から想定するのは交通計画論として大きな間違いです。逆説的に思われるでしょうが、交通計画とは「計画があっての採算」です。「採算あっての計画」ではないのです。なぜなら交通は公共財だから。あるべき姿があってそこから計画になって、詳細に詰めたところで採算に入り、計画へのフィードバックがあって・・・という手順を踏まないで、まず採算ありきでは総需要が少ない=不要、つまり公共性を犠牲にしていることになります。交通計画論の基礎中の基礎ではないですか?

 採算が確実にとれるのならば(そのリスクを考慮するのならば)社会実験などの中途半端なものではなく、積極的な導入策を検討することが必要です。そうでなくては交通計画は単なる経営論になります。

 「成立するかしないか実際やってみないとわからない」という部分があるのは特に交通手段の選択において存在することは否定しませんが、それを求めてしまってはこれらの事象を様々な調査データから机上で推定を行う交通工学や土木計画学は全く意味をなさないわけでして、まずは和寒様ご提案の部分についても検証を行った上で本当にどうかという視点で見なくてはならないのではないでしょうか。

 私自身は和寒様のご提案については効果はあるという認識ですが、事業成立は困難と思います。ただ、TAKA様ご提案の上越国境越えの関越道も運転に何ら支障になるほどの狭隘区間でもなんでもないですから、そのままではおそらく「運転しなくてもイイですよ。」としたところで成立は困難ではないかと考えます。
 それこそ一般道で狭隘山岳部となる区間や冬季問題箇所に関して導入するのが適切であって、あえて良好な道路環境がすでに提供されている関越道での導入は不適切と考えます。
 ただ、可能性があるのは危険物積載車対策です。関越トンネルは5km以上であるためタンクローリーなどの危険物積載車両は通行できません。よって、このような車両の輸送は十分可能性があるでしょう。

 都心部は私は良い案と考えます。首都高速道路を通過する交通の全車種において4割が通過交通と言われています。首都高速道路の大型車混入率はおおよそ30%前後ですから、普通乗用車の通過交通需要もバカにできないボリュームです。よってこれらをうけるカートレインは可能性を否定したくはありません。
 それこそ現に武蔵野線ではタンクローリー輸送が行われ、トラックの荷台のみも含めれば相当な複合物流輸送機能をまかなっています。
 一般乗用車に関してはまだまだ実例に乏しいですが、なにも頭ごなしに否定するものではなく、仮に一般乗用車が1日数千台くらいしか転移しないとしても、それこそ採算が確保できればいいわけで、そもそも都心ボリュームの区間で道路に対する費用対効果をカートレインに見いだすのは無謀といえましょう。
 あくまでチョイスとしてのルート機能を提供できればそれでいいのですから。

 最後に、もしカートレインをやるのなら既存鉄道網だけで考えるのでは弱いです。カートレインはあくまで「道路機能」という認識、つまりは高速道路や国道などとのネットワークを考えなくては意味がありません。関越国境ルートならば高崎〜長岡ではだれも使いません。関越道のICからダイレクトにデポまで向かえることが必須ですから、比較的近接する土樽PAや渋川伊香保などにターミナルデポを作ってという流れが不可欠ではないでしょうか。
 しかし、その費用たるや数十億のレベルですむかどうか。でもそこまでやらなくてはそれこそ最初から計画倒れになります。

 新規投資をケチって中途半端に変な場所でやるぐらいなら、やらない方がマシです。

 非常に厳しい書き方ですがご容赦ください。それでは。

(追記)データ上の検証
 投稿者---とも氏(2002/10/31 16:04:14) http://town-m.vop.jp/

 ともです。自己レス恐縮です。

 では、親レスの渋滞改善を検証してみましょう。
 まず、渋滞のメカニズムはどうでしょうか。書き出すと本が書けるボリュームですので超基本概論です。

***
 高速に限らずすべての道路交通の場合、車が1台も走らない状況がいわゆるフリー走行の状況です。当たり前ですね。ここから車が増えて行くにつれて走行環境は悪くなり、単位区間あたりの車の台数が増加するので容量が減少し、それにより速度の自由度が無くなります。その時点でさらに走行速度が低下していきます。
 たとえば上り坂の場合走行速度が自然と低下しますので、区間あたりの車の台数が増加します(流出が滞り流入は進むので加算していきますね)。
 そうなると、フリー走行環境ではなくなるので必然的にさらに速度が低下していくことになりますね。
 これが繰り返されると渋滞になっていくと。

 カートレインの整備による効果について、様々な文献から得られるデータで解析してみたいと思います。
 先に挙げたとおり、交通流率qは時間あたり2200〜2700台/2車線とされています。これらの事象を実測したもので見てみると交通量が増加するにつれ速度が低下(おおむね200〜250台の増加で10km/hの低下)し、およそ40km/hで交通量がこれ以上流れない点になります。ここからは交通量も速度も低下が始まります。ここが容量の値です。
 仮に200台/時間の転換ですと、内外車線の関係もありますので、おおよそ7〜8km/h程度改善されます。中央道の場合、渋滞では30〜40km/hで流れておりこれ以上流れない点以下に速度が落ちていますので、混雑としては大幅に緩和されることが期待できます。
 もちろん、走行曲線を書いて推計する必要はありますが、粗々計算でも7〜8km/h弱の速度向上が期待できるのですから効果は大きいと言えます。ましてやサグ部であれば交通流増大に対する速度低下の割合も高いので、より効果は大きいです(逆に交通量が減少すると一気に速度が上がる)。
 実際のデータでもサグ部で10%交通量のピークカットがされるだけで渋滞は大幅に緩和されます。これは様々な調査結果で示されています。

 よってカートレインを整備することで緩和効果は得られると考えられます。

***
 もちろん、だからといって整備するのが単純によいとは思いません。費用対効果でみれば可能性は否定的です。しかし、青函にしても関越(上越)にしても費用対効果でみればかなり悲観的にならざるを得ません。とはいえ、直接的ではない間接効果まで含めた費用対効果、特に環境負荷軽減効果や経済波及効果(トラックなどの定時性を求められるものへの効果は大きい)は期待できますし、モードチョイスを行えることが選択肢拡大を意味しますのでそれなりの評価を与える必要があります。

 まとまりませんが。ではでは

Re:カートレインの可能性と課題
 投稿者---TAKA氏(2002/10/31 11:40:56)

 こんにちはTAKAです。今ちょっと暇なので掻い摘んで御返答を・・・

 極々一般論と思っていただきたいのですが、日本の鉄道建築限界で車運を行うとして、目一杯入れれば1両あたり6〜8台が可能収容量でしょう。2段式にして上段をセダンタイプ専用にしての話です。
 そうした場合、15両で運転できれば1編成100台前後の輸送力になります。1時間に2本運行したとして200台です。

☆二段式にした場合、セダンタイプの乗用車しか運べない事から、私自身は二段式に関しては?を抱いています。
 それならば割り切って北海道との夜行カートレインで使われているような、パレットで運び込むのを自走式にした1段式の方が好ましいと考えます。しかし貨車の低床化が進められれば高さの制限を緩和でき、大きな乗用車でも運べるかもしれません。高さ2m以上の車も運べれば、二段式でもOKと思います。

☆渋滞緩和については、毎時間当たり数百台削減するのにカートレインを運行するのなら、道路改良を行う方が抜本的な改良になり好ましいのではないかと思います。それ相応の渋滞緩和効果は見込めるでしょうが限定的であるのは皆さんの一致した見解ですから・・・
 それならば逆に他のアピールポイントを見つけて宣伝した方が好ましいと思います。

 ちなみに。社会実験において採算性などを最初から想定するのは交通計画論として大きな間違いです。逆説的に思われるでしょうが、交通計画とは「計画があっての採算」です。「採算あっての計画」ではないのです。なぜなら交通は公共財だから。あるべき姿があってそこから計画になって、詳細に詰めたところで採算に入り、計画へのフィードバックがあって・・・という手順を踏まないで、まず採算ありきでは総需要が少ない=不要、つまり公共性を犠牲にしていることになります。交通計画論の基礎中の基礎ではないですか?

☆計画と採算の問題はそれこそ公共性のある物を民間の営利企業に運営させているからこそ発生している問題です。私の考えは「当初から採算を考慮に入れ重要な項目として考慮すべきである」と考えます。
 公共性が高く必要で採算性に疑問が有れば、試験的に行う事も必要でしょう。それは官の責任で行うべきです。其処で採算性が証明できれば民間に払い下げしても良いですし、採算性がない事が証明されても公共的に必要で有れば補助を出したり、官が運営しても良いかとは思います。
 これ以上はそれこそ「そんなに公共性を重視するのなら公共交通機関を国有国営化すれば良いではないか?但し過去の失敗に目を向けて考慮すべき」という事になるでしょう。
 それ以上は本題から外れるので・・・私は此処までにしておきます。

 「成立するかしないか実際やってみないとわからない」という部分があるのは特に交通手段の選択において存在することは否定しませんが、それを求めてしまってはこれらの事象を様々な調査データから机上で推定を行う交通工学や土木計画学は全く意味をなさないわけでして、

☆当然まず机上で議論をするのは重要です。其処で各種のシュミレーションをした上で、事業を行うのが物事の筋でしょう。それには工学的分析は必要不可欠ですから、当然交通工学や土木計画学と言う学問は必要な学問です。それに関しては私は否定しません。しかし物事は多面的に見るのと同時に現実を見る必要があるのでは無いでしょうか?
 その為に民間企業で鉄道の大部分を運営している、しかも民間企業に直接の収支補助を加えずらい今の制度では、採算性等を考慮する経営学的側面も重要でしょう。
 又卓上の議論でどうしても煮詰まらないし分からない、しかし公共性はあるのは確実そうだからどうしようかという場合、やはり物事を実証する必要が有るでしょう。それには「社会実験」的な物で実証して其処へ民を誘導するという事も必要であると考えます。
 又社会実験には最低限のローコストで行うように最大限の努力をすべきです。その為に御例示の「LRTをバスで変えて実験する」とか「他から借りてきて実験する」という事も必要です。その点から考えて私の考えた「社会実験」は規模とリスクが大きすぎたかもしれません。社会実験と言うより普及への第一段階まで踏み出していたとも言えます。
 そうするとカートレイン構想は「困難さは証明されていても可能性が証明できない」「証明をするにも社会実験の規模からはかけ離れて大きくなっている」という事になり、其処で行き詰まる様な気がします。

 TAKA様ご提案の上越国境越えの関越道も運転に何ら支障になるほどの狭隘区間でもなんでもないですから、そのままではおそらく「運転しなくてもイイですよ。」としたところで成立は困難ではないかと考えます。

☆冬の関越越えが「良好な道路環境であるか?」という事は、色々な見解があるでしょうが、私自身は冬にはスキーで数回通っただけなので何とも言えませんが、その数回の中で1回は三国トンネルの近くでチェーン付きの車を運転していてスピンさせた(幸い車が少なかったので事故にはならなかったが谷底に落ちかけた)経験と関越高速の湯沢の入口で滑ってガードレールに擦ってドア交換という経験があるので、「冬の関越方面は走りにくい」という感覚があるので、この様な物も有効ではないかと提案しました。
 まあ私の運転が下手なだけかもしれませんが、運転に自信のない人には冬の雪道自体が抵抗になると考え、特に冬季期間は有効ではないかと考えて、当初に出ていた案の対案として考えただけです。

Re:カートレインの可能性と課題
 投稿者---とも氏(2002/10/31 18:37:13) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

 二段式にした場合、セダンタイプの乗用車しか運べない事から、私自身は二段式に関しては?を抱いています。
 それならば割り切って北海道との夜行カートレインで使われているような、パレットで運び込むのを自走式にした1段式の方が好ましいと考えます。しかし貨車の低床化が進められれば高さの制限を緩和でき、大きな乗用車でも運べるかもしれません。高さ2m以上の車も運べれば、二段式でもOKと思います。

 超小径台車を採用し、かつ直結台車化などによって低床化を極限まで行えば、上段にセダン、下段にその他ぐらいはできます。立体駐車場のレベルでしょう。もしくはスライドバンを使えば上4台、下3台は今のコキレベルで十分可能になります。

 渋滞緩和については、毎時間当たり数百台削減するのにカートレインを運行するのなら、道路改良を行う方が抜本的な改良になり好ましいのではないかと思います。それ相応の渋滞緩和効果は見込めるでしょうが限定的であるのは皆さんの一致した見解ですから・・・
 それならば逆に他のアピールポイントを見つけて宣伝した方が好ましいと思います。

 ですから限定的なんですが、全く効果がないわけではないのです。だから否定はすべきではない。
 そもそも、こういった積み重ねなんです。
 TDMのパークアンドライドにしても我が国最大級と言われる神戸ですらたった1,000台です。それでも十分効果がある。であれば、時間200台のカートレインに効果がない等と断言するのは計画論をやっている人間からすれば納得行かないです(信号が5秒延びたら混雑ががらっと改善されるということもある。サグの区間に音だし舗装を入れるだけで容量低下が起きない場合もあるんです。つまりほんの数パーセントの改善で劇的変化が起きます)。
 ましてや道路改良を行う?当然ですよ。でも、それじゃピークに合わせて施設整備することになる。そんなことをやっていたらいつまでたっても道路渋滞など無くならないのです。だから道路サイドがTDMを打ち出しているのです。
 なにもここで費用対効果など詳細に詰めなくていいんです。あくまで新規の事業サービスと考えてプラスアルファでいいんです。まさか道路財源を使うんですか?

※採算論の話は私もここですべきではないと思いますので。保留です。

 カートレイン構想は「困難さは証明されていても可能性が証明できない」「証明をするにも社会実験の規模からはかけ離れて大きくなっている」という事になり、其処で行き詰まる様な気がします。

 TAKA様の論ではなんだかんだといいながらも、つまりは「やって見なきゃわからないならやってみよう」というだけです。そんなものを社会実験でやる必要性は皆無です。
 社会実験の目的を完全にはき違えていらっしゃる。社会実験とは「システム導入に当たってそのシステムが有用であるかどうかを実験により利用者や関係機関が判断し、必要性の検討の一助とする」ものではないのですか?
 一度どこかの社会実験をごらんになってください。そうすればよくわかりますよ。

 なにも企業のサンプル調査のように事業が成立するかどうかという視点で行うモノではありません。よってカートレインの社会実験ならば、採算性や事業成立性ということではなく、どこかの区間に導入するとした場合、それが地域や交通流動にどういう影響を与えるかどうかという観点なんです。その結果やデータを使っての採算性や成立の是非はもちろんやります。でもそれが直接の目的ではない。採算性があるかどうかを試す、成立の正否判断のために社会実験をしかも公費で行うというのはあまりにも鉄道事業者よりの視点です。
 そもそも公費で行う以上、採算性や事業成立ではなく、まずは機能として有用か否か、まさに「公共性」の視点から考えなくてはなりません。

 鉄道事業は確かに採算や事業成立は重要な視点です。それは認めます。でも、それを社会実験=公共事業でもって導入テストと同じようなことをするというのは交通計画論として大きな間違いではないですか?

 冬の関越越えが「良好な道路環境であるか?」という事は、色々な見解があるでしょうが、

 確かに冬季の雪道は抵抗になることは否定しません。でもだったら新潟県内はすべて抵抗なんです。
 確かに三国トンネルは過酷と言えましょう。しかし関越道は悪くはありません。雪国の人であればほぼ困難さは感じないでしょうし、東京あたりから冬季にあちらに出向く人にとってもそれほど困難さを感じるほどの道路環境とは思えません(少なくとも私はこれまで関越道の環境が悪いと感じたことはありません。スタッドレスタイヤを装着し、雪道の常識的な走り方をすればいいのですから)。
 関越道があるのであれば何も無理する必要など無いのです。

 TAKA様は事業成立性を追い求めるがあまり、肝心な視点を見落とされています。

 つまりは「交通論としての要不要」です。
 関越の話にしても、だれがユーザーか考えられましたか?
 北海道や栗子のように具体的に鉄道への移行が見られたり、車の交通量が減るのならまだしも、関越軸はどうでしょうか?新潟に住む人や新潟への用務がある人はレジャー客を含めそれ相応の対策をしているのです。
 そういう層が冬季のたかが関越トンネル前後数キロの雪道迂回(関越トンネルは雪がない)のためにカートレインに転換しますか?
 そこを考えてはいかがでしょうか。

 それでは。

Re:カートレインの可能性と課題
 投稿者---TAKA氏(2002/10/31 11:40:56)

 非常に貴重な厳しい御批判有りがとございます。取り急ぎ書き込みますが、内容が深度化してきた為、なかなか短時間ではかけなくなってきましたので、もし再度の書き込みがある場合、御返答が遅くなる旨ご承知置き下さい。
(ちょっと仕事の合間の移動時間等で書いているので・・・。もう4日まで連休も何も無いからいつ書き込める事やら・・・)
(後長さの関係上(中略)させていただいていることはご了承下さい)

 ですから限定的なんですが、全く効果がないわけではないのです。だから否定はすべきではない。そもそも、こういった積み重ねなんです。
(中略)
 なにもここで費用対効果など詳細に詰めなくていいんです。あくまで新規の事業サービスと考えてプラスアルファでいいんです。まさか道路財源を使うんですか?

☆前レスでは「当然付加価値的な魅力を追加した方がより需要を喚起できるだろう。どうせやるのならそう言う所で行った方が効果が高いのでは?」という事で付加価値を出しただけですが・・・
 ただ費用対効果に関して詳細に詰めないで、どうやってその事業の有効性を判断するのでしょうか?時間200台の改善をするのに一体いくら掛かるか?其処から考えてその事業に税金を投入すべきか?採算性が取れるのなら民間に任せればいいのか?其処から考えるのも必要ではないでしょうか?(この考えは一面に置いて否定される物ではないと私は考えます)
 私的な金を投入するのなら「別にお好きにどうぞ、自己の責任でやってください。」でOKでしょう。しかし国民の血税足る公的な資金を投入する以上、公的機関に説明の義務があるのではないですか?
 そう考えれば「費用対効果」は説明の根拠です。又少々効果があるから沢山税金を投入するというのも問題でしょう。既にこの話のカートレイン構想は採算性では?何ですから・・・それこそ1台減ったって効果有りですが、その為に幾らつぎ込むのか?其処が重要であると思います。
 私は計画論の専門家ではありませんから、これ以上は専門家の前でコメントしても「素人よがり」で終わるので、これぐらいにしますが、それこそカートレインを実施するより安く上がる渋滞改善の道路改良があるのなら、費用対効果で考えて其方で行うべきでしょうし、休みにしか集中して渋滞するような所は、一時的な過剰集中なのだから我慢して貰うというのが正しいでしょう。その為に税金を投入するのは仰有られるように無駄すぎます。

 TAKA様の論ではなんだかんだといいながらも、つまりは「やって見なきゃわからないならやってみよう」というだけです。そんなものを社会実験でやる必要性は皆無です。
(中略)
 鉄道事業は確かに採算や事業成立は重要な視点です。それは認めます。でも、それを社会実験=公共事業でもって導入テストと同じようなことをするというのは交通計画論として大きな間違いではないですか?

☆事業の成立判断はどの様に行うべし、と考えますか?まず其処で差があると思います。まあ採算性が分かっていれば何処の民間企業でも何も言わずとも参入するでしょう。その様な時には問題有りません。しかし公共性と採算性の狭間で宙ぶらりんの時、公共性があるから是非進める必要があるがシミュレーションだけではそれが立証できない時、如何にして国民を説得するか?という事でしょう。基本的には「シビルミニマム以上のことに関しては国はタッチすべからず」と言うが私の基本です。其処で「何がシビルミニマムか?」という問題は国民の合意無くして成立しないでしょう。
 その国民の合意を得る為に、即ちこれは絶対公共性が高いと官が考える事業に官が関与する正当性を与える為に公営事業として運営し「採算性が有った」場合には払い下げて税金を回収すればいいですし、「公共性の高い有用な物である。しかし採算性が合わない。其処に税金を投入する価値がある」と考えれば公営を継続すればいいのです。又必要性もない、採算性もないという事になったら、残念ながら撤退・中止という事になるでしょうが、事前検討をしっかりしていれば、その様な事はほとんど無いでしょう。
 とも様の言われる「社会実験とはシステム導入に当たってそのシステムが有用であるかどうかを実験により利用者や関係機関が判断し、必要性の検討の一助とする」という事で有れば、上記も当てはまると考えますが・・・
 少なくとも前提は「公共性がある事」がシミュレーションで立証されている事にすれば、後は効果の検証と採算性の検証ですし、その結果を見て上記の判断を下すのも一策でしょう。
 しかしこれが学術的な「社会実験」の概念と外れるのは、専門家のとも様が言われるのですから正しい事でしょう。私は一介の素人に過ぎませんから・・・学術論としては上記も0点でしょうが・・・

 確かに冬季の雪道は抵抗になることは否定しません。でもだったら新潟県内はすべて抵抗なんです。
(中略)
 TAKA様は事業成立性を追い求めるがあまり、肝心な視点を見落とされています。
 つまりは「交通論としての要不要」です。関越の話にしても、だれがユーザーか考えられましたか?

☆いくら私でもユーザーが存在しないと言う前提で考えていませんが・・・其処まで馬鹿ではないと思っていますが皆さんは別なのかもしれません。又別にこの関越越えの話でも「事業成立性」に関しては別に固執していません。
 元々関越カートレインと言う話は、道路のバイパス的機能のカートレインなら当初の笹子越えや碓井越えのカートレインより実現性が高いのでは?と言うだけで出した話です。私の最初の主張は「道路の途絶している津軽海峡に道路代替の「青函カートレイン」を導入」した方がカートレインの能力を発揮できるのでは?という事なのですから・・・。逆に固執すると言うより妥協的により可能性の高そうな物を考え関越越えを言ったのですから、今のこの状況は本末転倒の上に変に誤解されているのが実体です。
 私とて、前出の例で「その様に不安を感じている人も居るであろう。又良く冬の関越で関越トンネルの前後で渋滞の話を聞くから、その様なニーズがあるのでは?」と考えて提案しているだけです。
 それで前のレスで自分の恥をさらすような事故の話を持ち出したのですが、まあ私だけが雪道で非常識な運転をして事故を起こしていて、愚かな特異な例を勘違いしていただけかもしれません。

2004.11.02 Update


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