【検証:】常設板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】
(過去ログNo.080)
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並行在来線の根本矛盾〔続〕
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/09/08 02:13:27)
 
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

並行在来線の根本矛盾
└根元は遠くからつながっている
 └盛岡八戸間の場合
 └
幹線輸送とローカル輸送分離の是非
  └理論をひとまず措いて
   └Re:理論をひとまず措いて
    └新幹線の「特性」を活かすべきか否か
     └駅への近さか、それとも乗ってからの速さか

(以上前ページ)

並行在来線と整備新幹線の運営問題
 └議論の前に
  └ほぼ横レスです
  └共通されて居るであろう認識と議論すべきであろう問題
   └責任分担と今日の現実
    └責任分担のあり方と責任に応じた補助
     └収益と負担と分離のミスマッチ
      └補遺・いびつな上下分離

▽ 前ページより

並行在来線と整備新幹線の運営問題
 投稿者---TAKA氏(2002/09/08 23:52:43)

 エル・アルコン様今晩はTAKAです。ついにこの話題が出てきましたか・・・
 正直言って非常に難しい問題です。しかし今こそ注目して議論すべきであるとは私も考えます。
 ちょうど良くこのレスが立ち上がりましたので、ちょっと書き込みをしたいと思います。

  1. 整備新幹線は必要か?
     まずは大元のここから議論が始まると思いますが、基本的には有る程度の需要が発生している区間に関しては整備新幹線は必要であると考えます。日本の背骨たる東北新幹線の未完成の盛岡〜青森間・九州の動脈である九州新幹線・東海道新幹線に非常時の間接的バイパスとなりその上沿線にかなりの人口の住んでいる北陸新幹線は整備が必要でしょう。
     しかし「全国新幹線整備法」で定められている区間でも、需要の少ない新幹線を作るのに躊躇う区間も存在します。その様な区間をどうするか?これも重大な問題です。これらの区間に関しては、ミニ新幹線・フリーゲージトレイン等で対応すべきでしょう。これらの方法を使い分け、効率よくなるべく広くの地域に高速鉄道の恩恵を及ぼさせるべきでしょう。
     

  2. 並行在来線問題をどうすべきか?
     やはり整備新幹線を整備すれば、当然並行在来線問題が発生します。これをどうするか?地域の交通網や全国の貨物ネットワーク整備の問題等も絡んで複雑な問題になります。
     ではどうすべきか?採算性に問題がありその地域間のローカル交通だけになり需要が少ないと判断されるならば、廃止・バス代行も考慮に入れるべきでしょう。バスの輸送力では捌くのに疑問な輸送量が存在するならば、並行在来線も残すべきでしょう。又全国の貨物ネットワークに影響を及ぼす様な場合も並行在来線を残す方向で考慮すべきでしょう。その当たりはケースバイケースになるでしょうが、レールバスで運行する様な区間は廃止するのも選択肢でしょう。只なるべく残す努力はするべきであると考えます。廃止は採算性のどうしても合わない時の最後の策です。
     

  3. 並行在来線の運営主体をどうするべきか?
     並行在来線の運営主体として一番好ましいのは新幹線運営者の一体運営でしょう。しかし今までの並行在来線をJR各社から切り離した軽井沢〜長野間・盛岡〜八戸間・八代〜川内間を見ていると、私見として「JR各社のエゴが出過ぎているのではないか?」と感じます。JRが並行在来線の内篠ノ井〜長野間・川内〜西鹿児島間を並行第三セクターに明け渡しせずJRの運営に残しています。篠ノ井〜長野間はJR篠ノ井線との関係で理解できますが、川内〜西鹿児島間に関しては「大都市近郊で収益に期待がもてるから残しておこう」と言う考えが見え隠れする様な気がします。
     これは並行第三セクターにとり「並行在来線なのにドル箱の大都市近郊区間を引き渡しされず、饅頭からあんこが抜かれた」状態になりますし、収益的にも重大的な問題になります。これでは収益の期待できる整備新幹線と大都市近郊区間だけJRに持っていかれ、並行在来線運営の第三セクター会社は残り物だけ押しつけられた被害者になります。
     又貨物の問題も存在します。全国的な輸送を一地域の第三セクターに任せるのは荷が重いと考えます。今まで安く線路を利用していたJR貨物にとっても重大な問題であると考えます。ですから第三セクターになれば第三セクター鉄道はJR貨物の為に過大な設備を維持する事になるますしJR貨物にとっても今までのアボイダブルコストにもとずいた線路使用料より高い線路使用料が取られる事になります。ですからJR貨物も並行在来線問題の被害者になります。
     これらの問題を解決させる為には、やはり並行在来線も整備新幹線運営業者に一括して運営させるべきでしょう。
     

  4. 整備新幹線の運営主体を考える
     現在整備新幹線の運営=その地域のJRになっていますが、今後建設が本格化する部分ではこのスキームに考慮を加えるべきでは無いでしょうか?
     「全国新幹線整備法」では「建設の前に国は営業主体を指名」する事になり、その営業主体は「自ら的確に遂行するに足る能力を有すると認められるもの」という内容になっています。この条文の趣旨を生かして今後の運行主体を選択するに当たり、公募・選択・入札制にすべきではないでしょうか?
     その時に「並行在来線は一定条件下で一体運営する」という条件を付けその費用を含め一番条件の良い運営主体に運営させるべきではないでしょうか?多分公募・選択・入札制にしてもJRが落札する事が多くなるでしょうから、そうすれば、並行在来線問題も解消できるでしょう。
     

  5. 並行在来線の採算問題を考える
     それでも並行在来線問題に関して、「採算がとても合わない」という問題が発生すると考えます。特にアボイダブルコストによる運賃設定を維持するとなると、JR貨物は得をしますが、並行在来線運営会社にその設備上の負担を押しつける事になります。現在は整備新幹線リース料から調整金を第三セクターに交付して調整する事になっていますが、私はこの「調整金」には反対です。これでは貨物だけが優遇され、新幹線が出来て
    便利になる人が居る反面第三セクター化で不便を被る人も居ます。これらを解消してその上で採算性を改善する為に以下の案を提案します。

  • 新幹線利用客に「地域交通協力税」を徴収してそれで調整金の変わりに並行在来線の運営補助金にする。

  • 並行在来線を運営するのがJRの場合、運賃に関して一定の上限を設け「特例運賃」を認める・(実質値上げを認める)

  • JR貨物に関しては並行在来線区間に限り使用料設定を「アボイダブルコスト+設備維持協賛金」にして並行在来線の過剰設備維持に協力させる。

  • 設備に関しては、JRは並行在来線を鉄建公団に簿価で売却する。整備新幹線の運行主体が並行在来線を運営していたJR会社で有れば売却額は整備新幹線使用料と年賦で相殺する。並行在来線に関しては施設の維持管理も鉄建公団が行い、並行在来線運営会社及びJR貨物が鉄建公団に線路使用料を払う。→並行在来線と整備新幹線を鉄建公団が一体管理する。

 この様な形で負担を軽くした上で出来るだけ既存JRに整備新幹線・並行在来線を一体運営させ、その中で民間会社の宿命の採算性に考慮する方法を取る事が一番好ましいと考えます。

 この様な考え方は如何でしょうか?基本的には公共交通を民間に任せ公共性と採算性を両立させる中で、どの様な役割分担と収支のスキームを作り出すか?という事が問題であると考えます。今までこの問題にそんなに検討されずに整備新幹線建設だけが進んできた事による矛盾がここに来て噴出したと考えます。ですからちょっと考えコメントしました。皆さんの御意見は如何ですか?

議論の前に
 投稿者---和寒氏(2002/09/09 08:46:01) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 TAKA様、こんにちは。議論する前に、前提条件整理、あるいは共有しえる認識の確立を図りたく、簡潔に記します。

■整備新幹線のスキーム
 整備新幹線を云々する際には必ず「採算性」がつきまとってきます。ここで、JRにとっての採算性は、「受益の範囲内の線路使用料」を支払うというスキーム構築により担保されています。即ち、現在進められている整備新幹線の採算性は、少なくとも列車営業レベルでは確保されているはずです。

■並行在来線問題の端緒
 上記の採算性にも絡むのですが、整備新幹線を進めるにあたって、JRの採算性を損なわないために、JRが希望する場合には並行在来線の経営を分離してもよい、とされていたはずです。「残り物だけ押しつけられた」形ではあるかもしれませんが、それを許容しているのが現在のスキームです。

■遠近分離とその責任

 この「調整金」には反対です。これでは貨物だけが優遇され、新幹線が出来て便利になる人が居る反面第三セクター化で不便を被る人も居ます。

→古くて新しい議論ですね。賛否を決める前に、国や地域がどの段階の輸送について責任を負うかの分担について、考察しておくといいでしょう。
 国は地域間交通に責任を持ち、地域内ローカル交通はその地域が責任を持つ、という分担は、実質的に確立されています。明確なアナウンスがされていないので未だ誤解を受けがちですが、特定地方交通線のバス・第三セクター鉄道への転換は、この責任分担を明確に示すものです。
 今回の問題提起は、地域内ローカル交通しか期待しえない路線の上に、地域間交通の一翼たる貨物が残るので、上記の認識を共有したとしても、議論は難しく微妙になりますね。

 とりあえず。

ほぼ横レスです
 投稿者---とも氏(2002/09/09 16:48:51) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

■整備新幹線のスキーム
 和寒様の書かれるとおり、営業ベースでの採算性は確保できるということが大前提でしょうから、そこはまずは切り離して考えたいと思います。
 その上で、建設費の償還ですが、ここは少し長い目で見ることが必要といえましょう。

■並行在来線問題の端緒
■遠近分離とその責任

 私はそもそもこの論議の根本は採算性などの前に交通網としてどういう交通網が望ましいのかという地域マスタープランの要素ではないかと考えています。
 その上で、JRが運営するという形態なのか、一定の地域負担における第三セクターなのか、そこでしょう。
 さらに、在来線の利用者にしてもターゲットはどこなのか。そこを明確にしなくてはならないと考えます。
 採算性はそこからその施設の利用者層、需要、供給形態などを把握し、利用者数などが予測できる段階になってから総合的なコスト比較の段階で進めていけば良い話であって、採算性を第一義にしてはそもそもその施設が必要か不要かという判断ができなくなります。

 その上で、運賃水準が適正かどうか、そして採算性にどう影響を与え、それをクリアするにはというフィードバックでの考え方のほうがすっきりするのではないかと。

 私は今の単なる並行在来線の移管は単なる地域押し付けと見られても仕方が無いと思います。しかし、例えば盛岡都市圏として岩手県なりがゾーン運賃のような仕組みを創設し、その一環として従来の形にとらわれない運賃形態を採用するとか、やり方は様々でよいかなと。
 その前提を踏まえてはいかがかと考えます。

 なんだかまとまりませんが。
 ではでは。

共通されて居るであろう認識と議論すべきであろう問題
 投稿者---TAKA氏(2002/09/09 17:22:51)

 和寒様、こちらこそこんにちは、TAKAです。議論の前に前提条件を整理する事は非常に大切であると考えます。
 私も前の書き込みで、字数制限に引っかかり書きたい内容を削ってしまいましたので、多少表現が足りずに分かりづらい所が有ったかと思います。ですので一応此処で和寒様の提言を元にもう一度簡潔に私も共有しえるで有ろう認識について一応此処で書き込みをしたいと考えます。

■整備新幹線のスキーム
 整備新幹線その物の採算性に関しては、私も和寒様の述べられた事項について基本的に認識しておるつもりです。その為いつもは「採算性!採算性!」と言っている私も、今回は「整備新幹線の採算性」という事を述べていません。ですから今のJRに取り恵まれたスキームで有れば、整備新幹線の採算性に関して特段に問題にするべきでないと考えます。
 その中で今後建設の整備新幹線では、有る程度採算性を確立できるスキームがあるのだから、それに基づいて、公募・選択・入札の制度を作り、受益の範囲の線路使用料を競争させる事で、より高度のサービスと建設資金の償還を進め、その上で並行在来線の整備まで進める事を私見として述べております。

■並行在来線問題の端緒
 確かに採算性に関する基本スキームの中で「JRは並行在来線を切り離す事が出来る」となっており、実際JRは並行在来線を切り離す方向で今までの整備新幹線計画を進めております。其処に関しては異論を挟む余地がないと思います。
 しかし現在のスキームがJRの良い所取りを許容していて、実際にそれが行われている事に問題はないでしょうか?少なくとも公共交通を考えるに際して、JRは良い所取りしてその残り物のお荷物を地方に押しつけるのは、好ましくはないでしょう。JR自体は採算性を重視する民間企業ですから、収益を最大化する為に良い所取りをする行動を私たちは非難できないです。しかし国が税金を投入している事業で負担を地方に押しつけて民間企業に良い所取りをさせる事を許容するべきなのでしょうか?もう行われていたり現在進行形の物に関しては修正は聞かないでしょうが、将来までこの様な事を続けるべきなのか?其処が問題であると思います。

■遠近分離とその責任
 国と地方の公共交通に関する責任分担に関しては仰有るとおりであると思います。その為に特定地交線は、バスや第三セクターに移管されていったのですから・・・
 その地方の交通は地方が責任を持つという考え自体は異論の挟む余地ではありませんが、今回盛岡〜八戸間で問題になったのは「地方交通には不要な過大な設備を、国が責任を持つべき地域間貨物輸送にの為に維持するのは問題である」
 という点です。即ち「貨物はどうするのか?」という事が曖昧なままスキームが実行へ移された事が、この様な問題を発生させたのです。その点に関しては認識の差は存在しないと考えます。
 しかしそれをどうするか?「調整金」制度は好ましいのか?と言う問題になると色々議論は分かれると思いますが・・・其処は難しいですが議論をしても意味のある所ではあると思います。

 即ち問題点は(1)並行在来線をどの様に運営するのが好ましいのか?(2)貨物の地域間輸送をどの様に取り扱うか?という点であると思いますが・・・ 取りあえず簡潔にまでコメントを致します。
 皆さんの御意見を聞かせて頂ければ幸いです。

責任分担と今日の現実
 投稿者---和寒氏(2002/09/10 08:15:28) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 即ち問題点は(1)並行在来線をどの様に運営するのが好ましいのか?(2)貨物の地域間輸送をどの様に取り扱うか?という点であると思いますが・・

 私も同じく、遠近分離による責任分担を是とする考えを持っております。ところが、責任分担を是するか非とするかに関わらず、その先の立論が難しい。なぜならば、JR各社におけるローカル輸送は幹線輸送・大都市圏輸送部門からの内部補助によって成立していること(あるいは成立させるようなスキームが組まれて今日に至ったこと)、しかも今日では参入退出規制が撤廃されていること、という現実が存在するからです。
 このあたりの頭の整理に、しばし御猶予を頂きたく。

並行在来線問題本格立論−−真の問題は奈辺にありや log081.html

責任分担のあり方と責任に応じた補助
 投稿者---TAKA氏(2002/09/11 00:45:36)

★確かに遠近分離で運営主体ごとの責任分担をする事は必要です。又貨物・ローカル・長距離輸送はそれぞれ自己の責任で運営していく事が重要であると考えます。
 しかし何故この様な責任分担が上手く機能しないか?これが重大な問題でしょう。それには

という事があります。
 即ち強者の整備新幹線運営主体に関しては、受益範囲内の自己責任のスキームになっていますが、比較的強者のJR貨物は補助で優遇措置を温存され、ローカル運営主体には鉄道維持、設備をなるべく維持させる等のスキームが決まり地域輸送の身の丈にあった責任の負える範囲の選択を選ばして貰えないという弱者に行けば行くほど責任範囲以上の責任を負わされ、好ましい責任分担のスキームが維持されていない事が、並行在来線問題の責任分担を曖昧にさせて居るのではないのでしょうか?

★今までは一体輸送でしたから内部補助も可能でした。しかし民間会社の内部補助が好ましい形なのでしょうか?それならば「交通税」的な税金を取り税金による補助に切り替えた方が分かりやすいのではないでしょうか?
 民間企業が採算性を重視するのは当然ですし、採算性を担保されているから整備新幹線を運営するというのもそれなりに正しい考えでしょう。又参入・退出規制が緩和されて不採算ならばローカル輸送を切り捨てようと言うのも民間企業の発想から考えれば当然です。
 この様な問題が発生するのも「民間企業の内部補助に地方輸送維持を頼っていた」からでしょう。
 それならば全国から税金を取りその税金で採算性を妨害する最低限の部分だけ補助を行い、それ以上は地方・民間の責任の下で運行する方が分かりやすいでしょう。最低限の責任だけ国が持ちそれ以上は運行主体に責任を持たせる方が理論的には正しいと考えます。
 もう一歩進めれば、整備新幹線を含めて固定資産に関しては「交通税」を財源に国が責任を持つ、各運営主体には其処の採算性・公共性を主体に補助金の投入額を決定し、固定資産(=並行在来線)に関しては整備新幹線を含めて一体的に施設を維持管理してその上で各運営主体からは、その運営主体の責任に応じた責任を負担して、運行その物の採算性に関しては運行主体その物が補助金以上の責任を持つ形で運営していけばそれぞれの責任を全うされ、適正な補助も行き渡り一番好ましいのではないでしょうか?

 なかなかまとまらない私の意見ですが、一応参考まで書きました。それ以上は皆さんゆっくり考えながら少しずつ議論していきましょう。何せ難しい議論内容ですから・・・ 

収益と負担と分離のミスマッチ
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/09/11 19:00:01) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 並行在来線問題ですが、つきつめると収益と負担と分離のミスマッチでしょうか?

 新幹線部分は大雑把に言えば、運営するJRは建設コストに対し収益の範囲内で使用料を払い、残りは国と地方が負担するということです。つまり、運営において収益が出る限り損はしないことが約束されています。その運営においては収益構造上足を引っ張っていたローカル輸送を分離しており、その収益性は格段に高まっています。

 ところが在来線部分は運営と所有が基本的には一体です。負担についても在来線部分の収益の範囲内に限定されることはないですが、一方で国と地方が直接的に負担はしていません。
 もちろん運営が三セクということで間接的に地方が負担していると擬制できますが、一義的には運営経費を賄うだけでは経営が成立しないスキームになっています。
 つまり、もともと同じ場所で経営していた2つの部門のうち、収益性の高い部門と低い部門に分離したばかりか、収益性の低い部門に重い負担を強いているといういびつなスキームといえます。

 その齟齬を修正するには幹在一括での所有・運営ですが、その場合は収支が問題になるので事実上整備新幹線は作れません。しかし、そうなるとご指摘の通り高速化など輸送の質を高めることが出来なくなります。
 ですから結局何かしらの公的負担は必須なんですが、新幹線は設備を所有することで負担、在来線は経営のマイナス分を負担と対応が分れています。
 この部分は在来線部分を公的セクターに所有させて、在来線事業者も運営における収益の範囲内で使用料を払うというパラレルなスキームが望ましいですが、一方でJR所有資産の譲渡問題が発生します。
 結局在来線事業者への譲渡ではなく、新幹線設備使用の一環として現物出資させるというスキームのほうがまだマシだったのではないでしょうか。その譲渡価格は国鉄からの引継同様簿価譲渡に近い数字を設定することも必要でしょう。

 ただ、つきつめて考えると、JRは運営会社として資産を持たずに収益を上げ、資産に関わる費用と、在来線部分という収益性の低い資産と運営を切り離したうえで地方や公的セクターが見るというスキームは、チェリーピッキングともいえます。
 しかしながら、輸送インフラの公有・公的整備を前提にして考えると話は別で、公有民営の上下分離のモデルケースともいうことが出来るだけに、今後の輸送インフラ整備・維持主体をどうするかという議論をすることで、整備新幹線スキームも「矛盾」ではない評価に転じることが可能です。

●運賃問題
 運賃問題については、通常なら収支を償えるレベルの設定が望ましいですが、すぐ脇に内部補助の恩恵を受けて相対的に安い価格を設定出来る会社が存在することがネックです。
 盛岡−八戸の通し利用(および新幹線の1駅間以上の通し利用)を完全に諦めるのであれば問題にはなりませんが、今まで同じJRでの幹在並行区間であれば、特急券分の価格が時間相当額となるため、その区間の所要時間が絶対値で2時間程度であれば、時間はかかるが特急券分を浮かせるという需要が確実にありました。しかし今回はたったの450円、今度はライナーなど付加価値として支出が容認されるレベルの数字になってしまうため、450円を浮かせてまで、という方向に働くでしょう。

 こうした構造が必然になるのも整備新幹線の問題です。例えば並行在来線も下物は公的所有で事業者は運営のみというのであれば、もう少しフレキシブルな対応も可能ですが、設備費その他の負担を一義的に負う以上、収支を無視した運賃を設定して、損失の補填を当然視するというやり方は受け入れられないでしょう。ここも公的負担の支出形態の差が招く不均衡です。

 まあこうなった以上は思いきった遠距離逓減制度を採用するか、遠鉄バスのように「上限運賃制」を採用して、新幹線−一定額の範囲に収めるような価格設定を考えるべきでしょう。そうでなければこの区間の線路をつなぐ理由は貨物と寝台列車以外には無いと割りきるべきです。

●ある相似形
 思いつきのレベルで恐縮ですが、新幹線と並行在来線という構図と問題点を見ると、既存高速道路と税金建設の高規格道や一般道の関係と意外な類似点が見える気がします。
 事業者自体は優良で、収益を鉄道公団への利用料支払にまわす新幹線と、同じく収益を保有機構へ利用料支払にまわす「民営化道路会社」。本来一体のネットワークで考えるべき並行在来線への新幹線の収益による内部補助が遮断され、公費負担で補填というスキームと、「民営化道路会社」が上げる収益を使った「プール制」を廃止するため、税金建設の高規格道などは公費で建設、運営維持となるスキーム。いってみれば、収益部門の分離を垂直構造で行うのが整備新幹線、水平構造で行うのが道路公団改革といったところでしょうか。

 反面教師になるのか、モデルケースになるのか、といったところですが、これも公的所有となる交通インフラの運営の外注先として位置付け、交通インフラを収益事業の対象ではなく、最小限のコストで請け負うという位置付けにすることで、効率的な交通インフラの整備・運営という目的が達成できるとも考えるのですが。どうでしょうか

 やや迷走気味ですが、では。

補遺・いびつな上下分離
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/09/12 11:36:49) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 今回の区間のうち、青い森鉄道側は公有民営ですね。そういう意味では青森県側のほうは現実的な対応を選択したといえます。

 ただ、それでも問題というか不可解なのは、並行在来線部分の資産につき、分離にあたっての簿価譲渡を認めている部分です。
 この区間の収益が悪いとはいえ、悪いのはあくまでランニング部分であり、資産の簿価がゼロやマイナスというわけではないのです。
 よしんば使用料を払うとはいえ、収益性の高い事業に特化して、その収益の範囲内での使用料しか負担しないのですから、収益性の悪いローカル輸送の運営収支との比較次第では運営部分での収支は改善方向に働きます。

 粗っぽい計算になりますが、新幹線の損益を+100として、在来線の損益を+50、▲100、▲150の3パターンで考えてみますと、在来線が+50のとき、一括経営なら利益+50、分離なら使用料MAX=収益としてMIN:0なので一括の方が得です。ところが在来線▲100だと両方とも0で変わらず。在来線が▲150だと、一括が▲50、分離はMIN:0となるため、明らかに在来線の収益の方が悪いことを考えると分離する側にとっては美味しいスキームです。
 これに必ずプラスになる資産譲渡の収入・利益が加わるのですから、そりゃJRが試算すれば効果的になるはずです。

 ここを新幹線使用料の一部見合いの現物出資にして公団が取得し、三セクに運営させるというスキームであれば、あたかも分離益というような利益やキャッシュがJRに発生して新事業者に費用や資金負担としてつけかわるということは無かったですし、JR、公団、三セクともアンバランスが発生しなかったと思うのですが...

並行在来線問題本格立論−−真の問題は奈辺にありや
 投稿者---和寒氏(2002/09/13 08:20:03)
 
http://www.geocities.jp/history_of_rail/

並行在来線問題本格立論−−真の問題は奈辺にありや
└Re:並行在来線問題本格立論−−真の問題は奈辺にありや
 └やや極論になりますが
  └上下分離と整備新幹線・並行在来線融合案について

(以下次ページ)
並行在来線スキームの問題&「交通税」問題&地域輸送の根本問題
└並行在来線問題--空路・道路との分担
Re:並行在来線問題本格立論(論点1:責任分担論)
 └包括対論その1(主に責任分担論)
  └それでもローカル・貨物の分離しか道はありえないのか?
   └Re:それでもローカル・貨物の分離しか道はありえないのか?
   └個別レスその1−−在来線の機能
  └責任分担論の中で・・・(貨物輸送と交通税について)
  └沿線利用者にとっては常にメリットがある
   └個別レスその2−−プロジェクトとしての意義
Re:並行在来線問題本格立論(論点2:収支均衡と負担問題)
 └包括対論その2(主に収支均衡と負担について)
  └Re:包括対論その2
   └個別レスその3−−運賃体系
Re:並行在来線問題本格立論(論点3:資産と損失と国鉄債務)

 └内部補助と国鉄債務とJRの関係の問題について
  └現状を疑う前提での極論ですが
   └現状を疑うではなく、現状を踏まえた上での問題への私見
 └包括対論その3(主に国鉄改革理念)
  └国鉄改革の理念の再構築とローカル輸送維持スキームの必要性
   └Re:国鉄改革の理念の再構築とローカル輸送維持スキームの必要性
    └改めてローカル輸送維持スキームの必要性と内部補助の問題
     └内部補助(会計関係)
     └ソース開示請求
      └回答
       └承知しました

 和寒です。並行在来線問題について、立論を始めます。
 とはいえ、かなり難しい。正直なところ、まとめきることが出来るかどうか不安ですが、ともあれ先に進めてみましょうか。

■前提条件
【遠近交通の責任分担】
 国は地域間交通に責任を持ち地域内ローカル交通はその地域が責任を持つ、という分担は実質的に確立されています。明確なアナウンスがされていないので未だ誤解を受けがちですが、国鉄→JR特定地方交通線のバス・第3セクター鉄道への転換は、この責任分担を明確に示すものです。
 私は、この責任分担を是とする立場をとります。

【参入退出規制】
 いつ時点でかは失念しましたが、今日では参入退出規制が撤廃されており、交通事業者は市場に自由に参入退出できます。ここで重要なのは退出の自由が許容されているという点にあります。制約が皆無ではないにせよ、交通事業者はいつでも退出できる、即ち営業廃止の自由を獲得しています。

【国鉄改革における基本理念】
 国鉄を分割民営化する際には、ローカル部門を維持するため、JR各社において幹線・大都市圏部門から内部補助が行われるスキームが組まれ、今日に至っています。JR各社のローカル部門は、内部補助があってこそ成立しているといえます。

 上記の3条件を並べてみると、この問題の難しさがわかります
   ・国は地域間交通に責任を持ち、ローカル交通には責任を持たない。
   ・あらゆる交通事業者は自由に営業廃止できる。
   ・JR各社は、内部補助によりローカル部門を維持している。
 遠近交通の責任分担が確立されているという状況下において、営業廃止の自由を有するJR各社が、内部補助によってローカル交通を維持しているとは、まったく矛盾した状況というしかありません。理非善悪を抜きにして、この矛盾した現実が問題を難しく複雑にしているということは、広く認識されてしかるべきでしょう。

■盛岡−八戸間の場合
 上記前提条件と現実の制約を考慮すれば、盛岡−八戸間のスキームはよく練られているといえます。
   ・国は、地域間交通のアップグレードに責任を果たしている。
   ・国は、地域間交通の一翼である貨物列車の維持に責任を果たしている。
   ・JRは、受益範囲内の線路使用料を払うことにより、採算を確保している。
    (参入の自由については先の議論となるのでひとまず措きます)
   ・JRは、スキームに則り、並行在来線の営業を廃止できる。
   ・地域は、第三セクター会社を設立、ローカル交通維持の責任を果たしている。
 画龍点睛を欠くとすれば、資産が有償譲渡であり、しかも第3セクター会社への譲渡という点が挙げられます。今のスキームでは、幹線交通の一翼たる貨物列車を維持するため、第3セクター会社が責任を持つ格好です。これは原理原則からしても、現実の負担の重さからしても、最善とはいえません。
 それは、エル・アルコン様が喝破されたとおり、「収益と負担と分離のミスマッチ」といえる状態であるでしょう、
 現状での最適解は、資産を鉄建公団に無償譲渡のうえ、JR貨物及びローカル列車運行第3セクター会社はそれぞれ受益の範囲内で線路使用料を払う、というスキームの構築にあったでしょう。こうしておけば、原理原則に矛盾することなく、かつ第3セクター会社に過重な負担をかけることなく、並行在来線の分離ができたはずです。

 なお、TAKA様御提案の「地域交通協力税」は、ありえない選択肢です。これは私がこの意見に賛成できないから、ではない点に御注意ください。「地域交通協力税」では、国がローカル交通維持に責任を持つことになるからです。遠近交通の責任分担を是とするならば、「地域交通協力税」は責任分担の原理原則に矛盾します。

並行在来線と整備新幹線の運営問題 log080.html#12

■問題の奈辺
 この問題は、詰まるところ、JRのローカル交通部門を如何に維持するか、という命題そのものなのです。
 現状は、ローカル部門をいつでも自由に営業廃止できるJR各社の「良心」や「使命感」に頼っているに近く、極めて不安定なのです。既にいくつかの廃止路線が出ていますが、JR各社が不採算ローカル路線の営業廃止を推進しないのは、それに対する社会的反発が大きいからにすぎないのかもしれません。並行在来線の場合、スキームに「廃止するも可」と明示されていますから、堂々と廃止を宣告しているということなのでしょう。

 敢えて極端な状況を想定してみましょう。JRが「並行在来線は存続します、かわりに山田線と岩泉線を廃止させてください」と提案してきたらどうなるか。なんと無茶な、と思ったところで、利用者も自治体もそれを止めることなどできないのです。
 JRは、利用者と自治体に対して切り札を握り続けているようなものです。そのJRにローカル交通維持を依存している。なんとも倒錯した構造というしかありません。

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 ローカル部門維持に対する思い入れは、皆様それぞれ重いようです。
 TAKA様「なるべく残す努力はするべきであると考えます。廃止は採算性のどうしても合わない時の最後の策です」
 かまにし様「今のままでは『気が付いたら、電車の運賃が2倍になっていた・・・』ってことになりかねないと思うんです。少なくとも、私はそういう状況は避けなければならないと考えます」
 エル・アルコン様も、明記されておりませんが、ローカル部門を廃止すべきではない、あるいは値上げするべきではないという感覚を持っておられるように見受けられます。

 しかし、現実の問題として、いみじくもTAKA様が「民間会社の内部補助が好ましい形なのでしょうか?」と疑義を呈されているように、JR各社の内部補助に頼る現在の構造には一定の限界が伴うことは確かです。
 ローカル部門の採算確保が厳しいことは確かです。とはいえ、なぜコストに見合う賃率を設定できないのか。全国ほぼ一律の運賃設定こそ無理があるのではないか。大都市圏や幹線に依存した賃率は、決して利用者の既得権とはいえないのではないか。
 JRの賃率は、地方私鉄のおよそ半分です。これはJR利用者にとってありがたい状況ながら、しかしその一方、ローカル部門の利用者は適切なコスト負担をしていないという現実をも示しています。
 そう考えるがゆえに、遠近の責任分担のみならず、会計分離をも提案する次第です。先の運賃体系はそれを実現するためのオプションの一つであって、まだ他の手法もあるかもしれません。

 敢えていうならば、「電車の運賃が2倍になってもいいではないか」という発想が、私にはあります。運賃が2倍になっても、なお鉄道を存続するのか。その判断をくだすのは、まさに地域の責任であると考えるからです。
 皆様、如何考えますでしょうか。

Re:並行在来線問題本格立論−−真の問題は奈辺にありや
 投稿者---かまにし氏(2002/09/13 13:33:20)

 こんにちわ、かまにしです。

 並行在来線の議論、やっぱりお子様には早すぎたかもしれません(爆)
 とりあえず、先日の書き込みでは分かりづらかったと思うので、僕が議論したい点を以下にまとめておきました。

  1. 幹線輸送・ローカル輸送・貨物輸送の分離について

  1. 運賃問題について

やや極論になりますが
 投稿者---和寒氏(2002/09/13 17:25:55) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 和寒です。

 並行在来線の議論、やっぱりお子様には早すぎたかもしれません(爆)

→そんなことないですよ。ただ、なんといっても難しい題材ですから「肩肘張って」議論してみましょう。

 新幹線を作る上で、幹線輸送・ローカル輸送・貨物輸送の分離は本当にやむをえないことなのか?

→これは極論だと自覚しているのですが、私の投稿の趣旨は「新幹線をつくろうがつくるまいが幹線とローカルを分離してみては」ということです。幅広く賛意を得られる考えだとは、自分でも思っていません。しかし、一度は考えてみる価値があるでしょう。

→貨物を新幹線に移行できなかったことは、勿体ないことだと思います。軌間や最高速度が違うなど、技術的な課題は山ほどありますが、もし実現していれば、貨物列車に革命を起こしたかもしれません。
 ただし、ローカルの移行は無理です。よいロケーションに駅を設置できるかという問題もさることながら、短い間隔で駅を設置すると、表定速度がてきめんに低下するからです。平均駅間にもよりますが、高々60〜70km/hくらいの表定速度しか発揮できないでしょう。これでは新幹線列車に簡単に追いつかれ、ダイヤを構成できません。
 だから、外国でも高速列車とローカル列車が併存している区間はありません。TGVやICEは在来線に乗り入れていますが、これはミニ新幹線と同じです。 200km/h超で走行する高速線にローカル列車は運転されていないはずです。貨物列車は走っているという話を聞いたことがありますが、本当かどうかは未確認です。
 同じ問題は貨物列車にも当てはまるわけですが、停車すべき駅が少ないため、最高速度向上が可能であれば、表定速度は 100km/h超の世界で勝負できるでしょう。 160km/h程度までいければ、ダイヤを阻害することは少ないと思われます。

分離している地域と分離していない地域との格差・不公平感の存在
 並行在来線問題も、結局のところその対応に一貫性があるわけではなく、JR各社の姿勢に左右されてしまっているのではないでしょうか

→並行在来線の分離、あるいはローカル路線の営業廃止には、JRの恣意が介在することは確かです。その現状がよい、と素直に納得するのは難しいでしょう。でも、その一方で、JRの内部補助によって、ローカル部門が維持されているという現実もあります。

 またまた極論になりますが、そもそもJRほか鉄道がない自治体も多いのです。この手の極論は特定地方交通線廃止を云々するときに出たロジックですが、並行在来線の分離・不分離による格差はむしろ小さな課題で、ローカル交通をどう維持するかというマクロな課題があるという認識はあってしかるべきです。
 冷めた目で見れば、上記の格差とは、今まで優遇されてきた在来線利用者の特典を剥奪するか否かという、いわば「持てる者の悩み」に近い世界があります。その一方で、この広い世の中には「持てない者」、つまり鉄道の恩恵を受けられない地域も少なくない、という事実の重みを考量する必要があります。
 そのなかで、今まで幹線の沿線であったゆえに鉄道を「持っていた」地域の現状を維持する対策を打つことは、「持っていない」地域とのバランスを考えると、むしろ不均衡であり不平等であるのではと、私には思われてならないのです。
 勿論、これは極論であって、皆様の賛意を得られるとは考えていません。しかし、皆様におかれましても、一度は考えて頂きたい事柄なのです。

 ローカル交通にかかる責任をどこまでJRに背負わせるか、という課題に線引きするのは、難しいです。しかし、JR-Hが石勝線や石北線一部区間においては、幹線輸送のみ責任を持ちローカル輸送に責任を持っていない現状を鑑みると、これが雛形という気がします。

 僕が問題視しているのはそのプロセスについてです。これまでの整備新幹線の誘致の構図を見ると、明らかに順序が逆ではないかと思うのです。現状は明らかにフル規格新幹線の建設ありきで、新幹線開業後のローカル輸送のビジョンなんて二の次です。そして、そのしわ寄せは幹線輸送ではなく、ローカル輸送のヘビーユーザー(多くの場合、学生やお年寄り)に来てしまう。結局のところ、受益者負担にはなっていないんです。

→混ぜ返すようですが、国は幹線輸送に責任を負うものであり、ローカル輸送にビジョンを持っているかといえば、そうではないでしょう。だからこそ、地域の責任は重いのです。
 今まではJRの内部補助に頼っていたからこそ、特段の対策を考えずとも済んでいたのです。この内部補助という支えが外された時どう対処するか、それが地域の責任ではないでしょうか。

 実に難しい課題です。皆様のお考えは如何でしょうか。

上下分離と整備新幹線・並行在来線融合案について
 投稿者---TAKA氏(2002/09/14 07:56:04)

 和寒様お早うございます。TAKAです。題名を付けるのに私も苦しんでちょっと訳の分からない題名になりましたが、ちょっと書き込んでみます。見苦しい点はお許しを・・・

 これは極論だと自覚しているのですが、私の投稿の趣旨は「新幹線をつくろうがつくるまいが幹線とローカルを分離してみては」ということです。幅広く賛意を得られる考えだとは、自分でも思っていません。しかし、一度は考えてみる価値があるでしょう。

★「新幹線を作る・作らないにかかわらず幹線とローカルを分離しては?」ということは、表現を変えれば「線路の所有と運営を分離したら(=上下分離)」という事ではありませんか?
 これに関しては「条件付き賛成」です。「現在のJRが幹線輸送だけに特化して、ローカル輸送のみ第三セクター等に分離する」という案では反対です。これでは一歩間違えればローカル輸送だけの切り捨てになり、JRは比較的採算性の高い幹線輸送特化へ向けて進める事になるでしょう。
 しかし「JRは簿価で線路を特定者へ譲渡し、その特定者が線路を保有して運行権を長距離とローカルに分割し、長距離に関して線路使用権(=線路使用料)を入札制にして、其処で入札料で償却費+維持費以上の利益が出た時には一定割合をローカル輸送に還元する等のスキームで有ればローカル輸送にも配慮されており、賛成できると思います(この場合線路所有の特定者は公的機関である事が好ましいと考えます)。

 貨物を新幹線に移行できなかったことは、勿体ないことだと思います。軌間や最高速度が違うなど、技術的な課題は山ほどありますが、もし実現していれば、貨物列車に革命を起こしたかもしれません。
 ただし、ローカルの移行は無理です。よいロケーションに駅を設置できるかという問題もさることながら、短い間隔で駅を設置すると、表定速度がてきめんに低下するからです。

★今考えられる新幹線システムの地方への導入方法は「フル規格新幹線建設」「ミニ新幹線導入(改軌)」「フリーゲージトレイン」「スーパー特急」等が有ると考えます。この内別線新造方式の「フル新幹線」「スピードアップ」が並行在来線問題を引き起こします。
 上記の「並行在来線を新幹線に移行させてしまおう」というプランですが、私は必ずしも捨てるべきではないと考えます。確かに別線新線の新幹線を完全に在来線へ並行させたら線形上高速運転が出来なくなります。しかし並行在来線に対し、

等の策を打てば、並行在来線を新幹線に完全移行させる事は可能ではないでしょうか?
 欧州では200kmの高速貨物列車は存在しますから(標準軌ですが・・・)160kmぐらいで有れば、線路間の間隔をあけ、待避線を多く作る等の策を打てば強ち技術的には不可能ではないと考えます。
 この上

等の策をとればかなり上手に並行在来線問題を解決できると思います。

 またまた極論になりますが、そもそもJRほか鉄道がない自治体も多いのです。この手の極論は特定地方交通線廃止を云々するときに出たロジックですが、並行在来線の分離・不分離による格差はむしろ小さな課題で、ローカル交通をどう維持するかというマクロな課題があるという認識はあってしかるべきです。

★確かに極論ですね・・・言われる事はよく分かります(この様な極論は私のお得意バージョンですが)。
 今まで地方交通線の廃止の時も金を貰った上廃止を選択した所もありますし、転換補助金だけで第三セクター転換を選択した地域もあります。又元々鉄道が走っていない地域もありますし計画だけで来なかったも町もあります。この様な地域に比べれば「整備新幹線並行在来線問題」は「新幹線が出来て長距離輸送が圧倒的に便利になる」というメリットが存在する分全然恵まれていると思います。そう考えればわがままで贅沢な問題とも言えます。
 しかし今回の場合並行在来線に地域間輸送を越える貨物輸送まで存在する事が問題を複雑にしているでしょう。これがなければ別に設備を縮小して地方交通線みたいに第三セクター移行でも良いと思います。又設備簿価引き取りでも致し方ないと考えます。JRは民間企業ですから簿価割れの売却はとてもではないが出来ませんから・・・貨物と過剰な設備を地域に押しつけた事が問題を複雑にしている事は明白ではないでしょうか?
 しかし地域に於けるローカル輸送は如何にあるべきか?という議論は、並行在来線問題だけでなく「日本の総合交通体系の中で地域ローカル公共輸送を如何に維持していくべきか?」という考えの中で、並行在来線問題を考え、地域輸送と地域間輸送の整合と責任分担を如何に取るかを考えるべきではないでしょうか?

 ちょっと纏まりのない文章ですいません・・・(この文昨晩ウトウトしながら書いた物を朝修正したので寝ぼけていたのを直仕切れていないかもしれないので)でも特に「整備新幹線・並行在来線融合案」と名付けてしまいましたが、新幹線に貨物とローカルを走らせるという話、私もかなり興味がありますので、私の考えに御意見を頂ければ幸いです。

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2004.11.02 Update


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