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【検証:近未来交通地図】 <中量輸送システムの明日…>
(過去ログNo.370)
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武蔵野市議会で論争になった「ムーバスの採算性」 〜コミュニティバスの意義を改めて問う  投稿者---かまにし氏(2003/12/23 23:58:13)

 かまにしです。

 武蔵野市出身の友人から聞いた話ですが、2003年度の12月議会(第4回定例会)で「ムーバス」の採算性が問題になっているそうです。

 従来、都市部のコミュニティバス導入の先駆者として武蔵野市のムーバスは注目され、またその運営では複数路線全体では黒字となっているということが言われていました。ですが、どうやらその独立採算/黒字というのは、委託業者のコスト・ベネフィットであり、その収支計算とは別に市は毎年度コミュニティバス事業に「政策的投資」を行っており、1994年度からの累積でみると実際にはトータル4億近い持ち出し(赤字)になっていること、その「政策的投資」の中に交通整理員の人件費や駐車場料金の補助も含まれていたことが議会で問題となっているようです。

 このことを市行政は隠していたわけではないとし、現に同歳出は決算書にコミュニティバス事業の支出として計上されています。ただ一般に武蔵野市のコミュニティバス事業は黒字だということが言われていたので、議会でも施策の廃止や意義の再検討の追及というよりも、市行政の説明責任が問われているようです。

---
 武蔵野市でのこのような論争は、「コミュニティバス」という事業の意義そのものを改めて考えさせるもののような気がします。

 以前にも書きましたが、「コミュニティバス」は基本的に採算が取れる事業ではありません。例えば、地下鉄は一般的にその「採算性」が問題視されることが多いとはいえ、ランニングコストで見れば大半のプロジェクトが黒字を出しています。すなわち、問題視されているのはイニシャルコストがあまりに大きくため、運賃収入によって回収が難しいことにあります。これに対して、一般の乗合バスは少子高齢化の進展によって年々輸送人員を減らしており、その経営はランニングコストも賄えないほど厳しい路線も少なくありません。コミュニティバスは、一般乗合バスと比べてさらに小型の車両を使い、しかも運賃は100円のものが多いわけで、いくら「100円だから乗る」人がいたにせよ、本来はランニングコストですら黒字を出すのは難しい事業と言えます。

 そんな中、ムーバスが(ランニングコストで)黒字を出したというのはかなり特殊な例であり、ムーバス4路線の中でも黒字が出ているのは吉祥寺の2路線だけであることを考えると、「高齢者の多い交通空白地域が駅近辺にあったこと」「吉祥寺の求心力の高いこと」が偶然、重なってあれだけ上手くいったと言えるでしょう。

 他の自治体は、武蔵野市のように100円でランニングコストを黒字にするのは諦めているところが多く、その代わり運行補助の上限額を設けたり運賃を150円や200円にして、ランニングコストをできるだけ小さくしている事例が多く見られます。その一方で、イニシャルコストについてはバス停の設置や部分拡幅などを中心に、運行環境の整備に最大限の協力を惜しまない自治体が多いのも特筆されます。すなわち、「公」と「民」が適切な役割分担の上で連携する姿が、コミュニティバスの運行を通じたさまざまなケーススタディからも伺えるわけです。

 話を武蔵野市の議会での論争に戻すと、個人的には「政策的投資」と位置付けられる4億円が、バス停の設置や駐車場の整備、車両の購入、道路の拡幅などに使われたのであれば問題ないと思います。しかし交通整理員の人件費や駐車場の借り上げ料など、実質的に「ランニングコスト」に等しい項目まで運営の収支計算からははずされる代わり、このような「政策的投資」として盛り込まれていたのであれば、確かに少々疑問を抱かざるをえない部分はあります。

 しかし基本的には、ランニングコストの黒字化すら難しいコミュニティバスにおいて、このような「政策的投資」をコミュニティバスを走らせるためのイニシャルコストと捉えるのであれば、それを「公」が負担するという考え方はあっても良いのではないかと思うのです。

 今後、少子高齢化がさらに進んでいく中で、このようなコミュニティバスに対するニーズはさらに高まっていくだろうと考えます。その際、「採算性」という切り口だけでは、おそらくこのようなコミュニティバスの必要性を評価できないでしょう。しかし限りある資源を使う以上、当然経営の効率性は求められます。その時にいかに「公」と「民」が連携して地域の交通を効率的に支えていくのか?全国に3000ある自治体の多様な取り組みが、コミュニティバスを通じて、今まさに展開されようとしているのではないかと思います。

 それはさておき、武蔵野市の議会情報は現時点では「風の便り」で知った情報なので、武蔵野市議会の議事録などが公開された時点で、また改めてこちらにもご報告をしたいと考えております。ではでは。

コミュニティバスの路線提案〜西馬込・蒲田線〜
 投稿者---かまにし氏(2004/01/10 15:07:28)
 
http://web.sfc.keio.ac.jp/~nock/kcbl
コミュニティバスの路線提案〜西馬込・蒲田線〜
└議論の前に確認事項をば
└見えないニーズ
 └Re:見えないニーズ
 └大田区交通問題特別委員会の議事録より

 かまにしです。

 これまで多くのBBSで、LRT路線の提案というものはかなり頻繁に行なわれてきたわけですが、その反面でコミュニティバス路線の提案はほとんど行なわれてこなかったというのが個人的な実感です。それは、こちらの【検証:】においても同様でした。

 しかし、たとえコミュニティバスであっても、その地域にあったシステムを導入することができれば、まちづくりのツールとしても有用なものになるだろうと個人的に考えておりますし、実際にそういった実践例は次第に増えております。したがって私は今回、近所の地域をケーススタディとして、コミュニティバス路線の提案・第1弾を行いたいと考えています。第1弾として今回挙げるのが、「西馬込〜蒲田」線です。

 なお写真つきのページは、私が管理しているホームページにもあるので、よろしければそちらもご覧ください。

http://web.sfc.keio.ac.jp/~nock/nishimagome.htm


 馬込地区は、大田区中北部の丘陵に位置し、現在は閑静な住宅地を中心とした土地利用となっている。大正〜昭和にかけては「馬込文士村」と呼ばれるほど、かつての文豪・有名作家が軒を連ねる高級住宅街でもあった。その反面、JR・東急・京急の路線がくまなく走る大田区の中では、比較的公共交通に恵まれない地域でもあった。そんな馬込地区も、1970年には都営地下鉄浅草線が開通し、都心方面への通勤の便は飛躍的に改善された。とはいえ、都営浅草線は西馬込を終点にする盲腸線であり、馬込地区から大田区内の他地区へ出かける場合は、一度都心方面へ迂回する必要がある。

 しかも、馬込地区には馬込・西馬込の2つの都営浅草線の駅が存在するが、馬込からは大森駅へ向かうバスが頻発している反面、西馬込からは川崎駅に向かうバスしか存在せず、しかも朝・夕の定時性に乏しい。このような背景を抱えるため、西馬込からは大森駅・蒲田駅への公共交通の改善の要望が、以前から区や議会へ提出されているものの、抜本的な解決は現在までなされていない。そして、このようなバス路線の設定を難しくしている原因として、

・馬込地区から大森・蒲田に向かう道路が狭隘でバスの通行が難しいこと
・このようなバス路線の設定によって、他の鉄道・バス路線に影響が出ること

が挙げられてきた。

 しかし、以上の点はミニバス車両を用いたり、規制緩和を利用して既存のバス事業者以外に運行依頼をすることで、克服は可能である。しかも、西馬込から蒲田地区へのバス路線であれば、蒲田地区に大田区役所・区民ホールを控えていることや、羽田空港へ向かう際の短絡ルートとなることを考えれば、手堅い需要が期待できる。したがって、ここではモデルケースとして「西馬込〜蒲田」のコミュニティバス路線を、具体的なルート設定を交えて提案したい。

 西馬込駅のホームは国道1号線の直下にあり、入口は国道の両側にある。蒲田行のコミュニティバスは、東(横浜方面に向かう車線)側に停留所を設ける。できれば、西馬込駅の入口に小さな広場があるので、ここに直接乗り入れたい。ここからしばらく南へ直進し、1つめの十字路(オートバックスがある)を左折。突き当たりも左折する。このとき右側に都営地下鉄の西馬込検車場が見える。この検車場は近い将来、廃止の上で再開発を実施する計画もあるそうだ。

 しばらく進んで右折すると、15‰の坂が存在する。この坂を上りきったところで右折。1つめの信号(貴船坂上)を左折すると、今度は17‰の下りの坂となる。坂の途中、右手には池上本門寺、正面には池上・蒲田の街が一望できる。坂を下り500mほど進むと、交通量の多い2車線の道路=池上通りとぶつかる。この池上通り沿いを右に100mほど進んだところに大森税務署が存在する。

 丘陵地帯の馬込や本門寺付近では比較的大きな区割りの家が目立つのに対して、平地となる池上通りを過ぎたあたりからは狭い土地にたくさんの家がひしめきあう「下町」の風情へと変貌する。この丘陵と平地が織りなす都市のダイナミクスが、大田区の特徴の1つでもある。

 バスは真っすぐ池上通りを横切り、300mほど道なりに進む。そして、池上第二小の東側の道を右折する。そして小学校の先の「日蓮橋」を通って呑川を横切る。そして300mほど直進すると信号付きの五差路とぶつかる。この五差路を横切るのが大城通りである。

 大城通りは、蒲田から池上方面に向かう一方通行の道路で、両側には少し古びた商店が所狭しと立ち並ぶ。蒲田から西馬込に向かうバスは、多摩堤通りからこの大城通りを通る。しかし西馬込から蒲田に向かうバスは、五差路を大城通りを横切って150mほど西に進み、次の十字路を左折する。このあたりは木造密集市街地の改善事業に指定されている地域であるが、決して木造住宅ばかりが目立つのではなく、むしろかなり建て替えが進んでいるのも事実である。ただし、住宅そのものがかなり密集しているのは事実であり、その中に今も木造住宅が混じっているようだ。

 500mほど進むと多摩堤通りとぶつかる。西蒲田地区でもJR蒲田駅にほど近いこのあたりでは、戦後、大規模な区画整理が行なわれたおかげで、道路事情も一転する。バスは多摩堤通りとの交差点を左折する。そして3つ目の信号(5差路)を斜め右に進んで150mほど進むと、JR蒲田駅西口のロータリーとなる。

 西馬込〜蒲田西口まで、距離にして5kmほど、時間にして15〜20分程度である。とりあえず西馬込から蒲田西口までのバスが運行されることで、大田区役所や区民ホール、私事における利用の大半は達成されることになる。しかし、羽田空港や京急沿線へのアクセスを考えればこれだけでは用を足さず、やはり同バスが京急蒲田にも乗り入れることが求められるだろう。ただし京急蒲田への乗り入れは、現時点ではルートの設定が難しいのも事実である。したがって、これは京急蒲田駅の連続立体交差事業の進捗と駅前広場の整備がなされるという前提があることを付け加えたい。

 JR蒲田駅西口ロータリーに発着したバスは、再び多摩堤通りとぶつかる五差路に戻り、今度は斜め右下へ曲がる。曲がるとほどなくJR京浜東北線をくぐる地下道となる。この地下道を抜けて直進するとほどなくT字路とぶつかるので右折する。すると、少し変形した十字路があり、そこを道なりに直進する。この道の両側には蒲田東口商店街のセミモールが広がる。次の信号で京急蒲田あすとアーケードの入口をかすめつつ、23階建てマンションを左側に眺めると、ほどなく京急線とぶつかる。京急線をくぐる直前で左折をするとほどなく京急蒲田駅西口駅前広場となる。再び蒲田西口・西馬込方面に戻るバスは、この駅前広場から北側に抜け、JR蒲田駅東口に入る片側2車線の道路を通り、多摩堤通りとぶつかる十字路を右に入って京浜東北線をくぐる地下道へと入る。

 以上、西馬込〜蒲田に向かうバス路線のルート案について記した。小学校のそばを通行するため、通学路の調整等の必要性はあるものの、一方通行については全て考慮している。おそらく最大の課題となるだろうと思われるのが、既存バス事業者間での調整である。特にJR蒲田駅への乗り入れや池上通りを走る東急バスとの綿密な調整は不可欠といえるだろう。

 また、もう一つの課題と言えるのがJR蒲田駅〜京急蒲田駅に関する運行である。これについては商店街との調整、そして京急バスと東急バスの運行管轄範囲が、京浜東北線を境に東西で分かれていることをどう調整するかである。ただ、後者については道路運送法が改正されたことによって法律的には何の問題もなくなっており、今後は羽田空港需要に代表される大田区の東西の往来に対応すべく、鉄道・バスを含めた公共交通網をいかに再編していくかの議論と一緒に進めていってほしい。この点については、また後々このHPでも取り上げていきたい。

http://web.sfc.keio.ac.jp/~nock/nishimagome.htm

議論の前に確認事項をば
 投稿者---551planning(2004/01/10 17:57:08)

 なるほど、LRTについては“外野”である我々もあれこれと地図なり知見なりからやり取りしてきたわけですが、コミュニティバスというのはなかなか無かったですね…かまにし様は御近所ということですが、なるほどロケーションの大枠は理解できました(また、御紹介の通り自サイトでは更に写真つきになっていますので、皆様も御参考に!)。

 で、やはり知見がない分よく判らない点もありますので、議論の前に御教示賜りたく。

Bus Service Map http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Ocean/5778/

 取り急ぎ思いつくところを書き出してみました。参考になれば幸いです。

見えないニーズ
 投稿者---とも氏(2004/01/11 03:00:19) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

  1. ニーズが読めない・見えない
     行政への要望があるとのことですが、それがつまりそのまま「ニーズ」となるのまでは理解できます。しかし、だからと言ってそれが「需要」につながり、利用トリップとなるかといえばならないでしょう。なぜなら、区役所や区の施設へのニーズとして欲しいのであれば利用層は限定されますし、さらにいえばどういう層がどういう利用形態において欲しているのかの解説がほしいところです。
     商店街としての蒲田への求心力が「すでにある」から欲しいのか、「創出する」ために欲しいのかでも違います。創出のためならば相当な工夫を要しますし、駅だけではなく商店街や大規模店舗への足付けも必要です。
     さらにいえば西馬込サイドへの流動には何があるのか。その点も示すべきです。
     

  2. 路線の性格
     性格として二点間の路線(すぎ丸イメージ)なのか、中間需要を主に拾う路線なのか。その点も見えません。もちろん両方であるのは確かですが、中間需要を主に拾うのであれば往復路線とする意義がみえませんし、二点間であれば京急蒲田まで伸ばすことの意義が読み取れません。

 羽田アクセスという視点は理解できますが、仮に所要20分で15分毎とすると待ち時間を含む実質時間は27分前後でしょう。となった場合、西馬込−羽田空港を泉岳寺廻りでも30分。待ち時間を入れても40分は要しないでしょうからよほど京急蒲田の乗り換えを容易にしない限り苦戦するでしょう。特に空港利用者は価格弾力性が極めて高いですから、百円程度の差では速達に動くのはさまざまな文献でも明らかです。

 蒲田−京急蒲田にしても、これではこのコミバス沿線からのアクセスにすぎず、それで良いと言い切れるのか。極めて疑問です。

  1. システムとしてのコミバスの導入理由
     最大はここです。つまり、西馬込〜蒲田を結ぶ路線がそれほど求められるのであれば民間事業者が通常路線として運行できるのではないでしょうか。
     そもそも、いわゆる「コミュニティバス」というシステムが何かというのはありますが、「行政の一定の関与の元に財政負担を含む形(補助ではなく)で運行するバス」とするのであれば、その導入理由が読めません。
     たとえば世田谷南北、杉並松ノ木、三鷹台〜仙川のように行政の補助程度、もしくは行政の無関与でもかまわないのですが民間事業者が運営したところで何の問題も無い。狭い街路の運転だっていまや各社がノウハウを有しており、住民がそれほどニーズとして望むのであればバス路線の設定に反対されることもないでしょうし、あえて行政が導入する意図が見えません。

 もし、交通弱者救済、福祉目的ならばそれを明確にすべきですし、単なる2点間連絡を基本にするのならその点を明確にすべきです。
つ まり、「なぜコミュニティバスなのか」が全くわかりません。

  1. 都市として考えて
     蒲田と西馬込にどのような特性差があるか理解できませんが、効率的に運行するのならこの2拠点間に特性差がなければ厳しいでしょう。現在の相互流動がどの程度かわかりませんが、仮に西馬込→蒲田の片需要であればなかなか厳しいでしょうし、それならば「対蒲田」の循環系統でもいいわけです。しかしあえて2駅を結ぶとするのならば都市として相互流動を演出する必要があるということでしょうが、それがどうしてなのか、全く見えません。
     この点はコンセプトの基礎ですから明らかにする必要がありましょう。

 かなり批判的ですが。
 では

Re:見えないニーズ
 投稿者---かまにし氏(2004/01/13 00:24:13) http://web.sfc.keio.ac.jp/~nock/kcbl

 こんばんは、かまにしです。

 551planning様・とも様、コメントどうもありがとうございました。説明しきれなかった点も含めて、ホームページ掲載の内容にどの視点が不足していたのか、参考になりました。さて、お二人のコメントにお答えするにあたって若干重複する部分もあるので、以下のようにまとめてみました。

★システムと運営形態★

 私は福祉目的が前面に出るのではなく、交通不便地域の救済・拠点間輸送が中心の路線になるだろうと考えています。また前回の投稿では、「行政がどの程度関与するのか」や「財政負担をするか」といった視点についてはあまり書かなかったので、誤解を生んでしまったのかもしれませんが、551planning様が書かれている「既存事業者の活用」、とも様が書かれている「民間事業者の独立採算による運営」も選択肢の1つとして、当然考えていくべきだと考えております。

 ただし、これまで西馬込から蒲田への路線については、実際に議会で請願・陳情として取り上げられてきたにも関わらず具体的な進展がなく、少なくとも「民間事業者が独力で運行する上で何らかの障害があった」と考えるのが自然です。それが、単に需要がないからなのか、一方通行の狭隘道路が多いため往復で異なるルートを通行せざるをえないからなのか、駅周辺への乗り入れに問題があるのか、一部の沿道住民あるいは事業者自身が消極的なのか分かりません。ただ少なくとも導入には世田谷南北や杉並松ノ木のように、沿道環境の整備や社会実験の実施といった『行政との連携プレー』が不可欠だろうと考えております。その際に、行政側は既存事業者以外も選択肢に入れても良いのではないか、ということです。

 運賃についても拠点間輸送を担うことから、コミュニティバスによくみられる100円運賃などにこだわる必要はなく、他のバス路線との競合関係や採算性からも、総合的に判断すべきだと考えております。

★京急蒲田駅への乗り入れニーズ★

 京急蒲田駅への乗り入れについては、必ずしも羽田需要だけを前提としているのではなく、京急沿線に向かう流れを広くサポートするためのものです。というのも、運行管轄がJR線を境に東西で区切られているため、JR線の西側から京急線各駅に乗り入れるバス路線は大田区内には一つもありません。この理由としてこれまで大田区内の京急線各駅が、西側からバスを乗り入れるにも規模・利便性から考えて中途半端だったということが考えられます。とはいえ、本線と空港線が分岐するキーステーションとなった京急蒲田駅については、現状でもJR・東急〜京急の乗換が一定数あること、京急蒲田駅まで自動車やタクシーで乗り付けて電車に乗るという流れがあることから、西側からのバス乗り入れの需要は十分あるものと考えます。もちろんこのことは今回提案のコミュニティバスに限った話ではなく、西側からJR蒲田駅に乗り入れている既存の東急バス路線全般に対して言えることですが、その路線再編の先駆けにこの「西馬込〜蒲田線」がならないかと考えた次第です。

★JR蒲田〜京急蒲田の結節★

 この「西馬込〜蒲田線」については、あくまでもコミバス沿線からのアクセスとして捉えております。この2駅間の交通網を最終的にどうするかは、いずれにしてもこの路線以外に別途、考えているので、これについてはまた後ほど取り上げたいと思います。

★西馬込に向かう流れ★

 確かに蒲田を目的とする流れに比べて、西馬込に向かう流れは小さいと思われます。ただし、大田区は地下鉄沿線へのアクセスが便利ではない地域が多いので、さすがに蒲田・京急蒲田駅周辺からの流れはないとしても、コミバス沿線から西馬込へのフィーダー路線としての需要は十分掘り起こせるだろうと考えております。また、ホームページでも取り上げた都交の検車場の再開発も挙がっており、この土地がR1に面しているというメリットもあるので、再開発の内容次第では西馬込全体の求心力が向上する可能性もあると考えております。

★ルート長と所要時間★

 確かにこの点が曖昧なのは、自分でも認めるところです。
 私は免許を保有していないので、自転車で蒲田西口からこのルートをそのままトレースして走ったところ、約15分でした。バスの停車時間によるロスはあると考えられる反面、坂が多いこともあって走行速度は明らかにバスの方が速いので、だいたいこのぐらいの所要時間と考えました。とはいえ、私が西蒲田の自宅から家族の車に同乗して都心方面へ向かう時も、R1まで以上の道を通って約10分ほどで西馬込に到着するので、以上の見立ては概ね誤りではないと考えております。

 とりあえず、お二人からのコメントの一部ではありますが、私の現時点での考えを書き記しておきました。しかしコンセプトや請願・陳情の経緯など、まだ調べきれていない点もあるのでまた後ほど付け加えていきたいと思います。

大田区交通問題特別委員会の議事録より
 投稿者---かまにし氏(2004/01/22 01:21:15) http://web.sfc.keio.ac.jp/~nock/kcbl

大田区交通問題特別委員会の議事録より

平成13年 6月12日 「第2京浜国道・馬込中学付近から蒲田に直行するバス路線の開設」を求める陳情 ⇒継続審議
      ・荏原町〜蒲田(蒲15)の利用状況と本数
・トランスファー(相互乗換)制度
・五反田〜川崎線の蒲田への乗り入れ検討
 
    「梅屋敷駅周辺からJR大森駅への直行バス路線開設」を求める陳情 ⇒継続審議
      ・JR蒲田駅を起点にする路線は、踏切の影響で定時制確保が難しいため。
 しかし「採算には乗らない」との京急バスからの回答。
 
平成14年 4月16日 陳情・請願にあるバス路線の開設に関係する乗車実績  
      ・荏原町〜蒲田は微増(東急バス全体では5%減)
・大森〜東邦医大〜蒲田は横ばい(京急バス全体では2%減)
 
  6月19日 「地域循環(小型)バス路線の新設」を求める陳情  
  7月16日 交通空白地域に関する議論/世田谷区タマリバーバスについて  
      ・主な交通不便地域は、中央3、5、8丁目、西蒲田1、4丁目、池上1丁目、中馬込1、3丁目  
    ⇒ただし、地下鉄駅に近い場所でも蒲田・横浜方面については戦力にならないことを考慮すべきでは?(筆者コメント)  
  11月12日 交通不便地域と実際の要望路線との食い違い  
      ・要望は、蒲田〜矢口区民センター/久が原周辺  
平成15年 3月5日 「地域循環(小型)バス路線の新設」に関して  
      ・杉並区すぎ丸の導入経緯について
・東急バスが「採算に乗せるのは難しい」との見解を示す
 
  6月18日 久が原周辺のバスルートについて  
      ・区側は、商店街の買い物道路であること、右折左折が激しい場所であること、東急バスが全体の需要が落ち込む中での新規路線の開設は非常に難しいという立場を取っていることから、難しいという見解を示す
 
 
    コミバスの要望がある地域:馬込/久が原/田園調布/矢口下丸子
導入における調査・需要予測の必要性について
 
  10月2日 馬込地区から蒲田へのミニバス路線の運行を求める陳情  
      ・区側は、スクールゾーン・買い物道路・一方通行・車両制限などで物理的に難しいという見解を示す
・委員が自由が丘のサンクスネーチャーバス、品川シーサイドのジャスコ送迎バスを挙げて、区が運行補助を拠出する以外の方法の可能性を示唆する
 

 馬込〜蒲田の交通アクセスの問題は、以前(特に区役所が蒲田に移転した頃)から問題になっていたようで、どうやら同じようなバス路線の新設を求める陳情が、手を変え品を変え出されてきた経緯があるそうです。その一環として運行が始まったのが、大森駅〜大田文化の森(旧区役所)〜臼田坂〜荏原町のルートの一部を踏襲した、蒲田駅〜池上駅〜大田文化の森(旧区役所)〜臼田坂〜荏原町を走る「蒲14」系統です。しかし「蒲14」は日中1時間に1本で最終も17:37となっており、これでは狙い乗車をしてでも直行で行きたいお年寄り以外は利用価値はありません。ただ、この「蒲14」でも運行当初より利用者は微増しているそうです(最終便は早くなってしまったが…)。

 さらに、この「蒲14」では馬込地区の一部しかカバーすることができず、(西馬込駅から北東方向の地域)、十分なものとは言いがたいのも事実です。それで実際に西馬込駅周辺にあたる「第2京浜・馬込中学付近から蒲田駅に直行するバスを求める陳情」が出たといういきさつのようです。大田区としてはこれまでも五反田駅から川崎駅に向かう「反01」の一部を、池上駅・蒲田駅に入れる方向で考えてもらったり、池上警察署で田園調布駅〜蒲田駅を結ぶ「蒲12」とバス停を共有するので、新規運賃を支払わなくても乗換えができる「トランスファー制度」の検討を呼びかけているそうです。ただいずれも東急バスが関わるこれらの施策を難しくしている一因として、「蒲14」を除く蒲田駅を発着する全ての路線が池上営業所管内であるのに対して、西馬込を通過する「反01」は荏原営業所管内であることも一因と言えるのかもしれません。

 一方、平成14年ごろから地域循環バス(コミュニティバス)に関する議論も見られており、これまでに大田区内には馬込・久が原・田園調布・矢口下丸子で導入の要望があるそうです。

 全体的に見れば、大田区も(とりわけ馬込〜蒲田の交通については)実現に向けて努力しているのが伺え、その点は評価するのですが、いかんせん東急バスとうまく折り合わないのが現状のようです。ただ大田区としても、東急バス以外への委託も選択肢に入れて、いくつかの事業者間で具体的な運行補助等の条件を競わせるなどの工夫ができないかと感じさせられます(杉並区は実際にすぎ丸の導入時にこれをやっているわけですし…)。また、事業者側との話し合いの中で区としてどのような環境整備(具体的な場所の道路拡幅・スクールゾーンや買い物道路の調整)が必要なのかを明らかにして、それを地元住民と話し合うことも合意形成のために必要だと思われます。

 続いてニーズ面についてですが、これについては「大田区内から蒲田地区を訪れる来街者数と来街交通手段」との関係について公開されているデータがあるので、後ほど紹介いたします。では、一度とりあえず失礼いたします。

〔超ライトネタ〕こんなコミュバスを見かけました
 投稿者---和寒氏(2004/02/25 09:24:54)
 
http://www.geocities.jp/history_of_rail/
─実働的にもにも好評のようですね

 たまたま所用で出かけた先で見かけました。カメラを持っていなかったのが残念至極で、かわりに Web上で画像が提供されているところを紹介します。

野田市「まめバス」http://www.city.noda.chiba.jp/koutu/community-bus.html
http://www.city.noda.chiba.jp/koutu/image/bus/mame.jpg

 なんで「豆」なんだと同行者の間で盛り上がりました。小さいバスだから「豆」というところはわかるが、じゃあなんでという部分で、「醤油の名産だからかな」という線で笑いとなり、とりあえずの結論になりました。
 ちなみに正解は、

 小回りのきくミニサイズのバスであること、市民の皆さんにこまめに乗ってもらいたいこと、合併後の新市で計算すると平成13年産の枝豆の出荷量が全国一になること(野田市まめバスサイトより)

だそうです。

 車体デザインも妙に凝ってまして、

・『枝豆』をデザインしたシンボルオブジェ(長さ約1.2メートル)を、天井の前部と後部に配置するとともに、まめバスのキャラクターを両側面及び後部ガラスに描くことで、子どもたちも乗ってみたくなるようなデザインとしました
・車体の色は、枝豆の緑色をベースに、大豆のベージュ色、小豆のあずき色の3色としました。さらに、側面中央には枝豆を大きくデザイン化し、その前後にも丸で「豆」を表しました(野田市まめバスサイトより)

ということです。

 とにかく一目見てほほえましいバスであることは間違いなく、市民に飽きられないよう、今後ますますの発展を祈ってしまったのでした。

実働的にもにも好評のようですね
 投稿者---551planning@おさぼり管理人(2004/02/25 11:14:07)

 それにしてもなかなか凝ったデザインですね。これは当方も現物を見てみたいです。
 外見だけでなく運行自体も好評のようです。

野田市の『まめバス』乗客1万人突破 1日平均600人 市の負担軽減期待(東京02/08)http://www.tokyo-np.co.jp/…

 半月強で1万人という数字がどれだけのものかはピンと来ませんが、1便あたり15人というのはなかなかのものと。ただ車両はクラス最小規模の日野ポンチョ(実使用車両は座席数18とのこと)であることを考えれば、混んでいる印象を与えそうな点、高齢者利用も目立つという「コミュニティバス」としては懸念材料でもあります。
 同地域では野田市中心部で茨城急行が大型車を、関宿市街で朝日バスが中型車両を運行しており、この空白地帯を埋めるものではあるものの、こうした車両導入についてもその是非が考慮されるべきではないかと考えますが…このあたりは別途。

2004.11.02 Update

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