【検証:】中量板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】<中量輸送システムの明日…>
(過去ログNo.366)
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匙は投げられた? 宇都宮LRT計画の正念場を考える
 投稿者---551planning(2003/09/12 11:22:01)
匙は投げられた? 宇都宮LRT計画の正念場を考える
└宇都宮の「ハイレベルな」躓きから何を学ぶか
└元宇都宮市民としては・・・
 └水平エレベーター+郊外連絡線が理想かも
ワークショップ『LRTとまちづくり』 〜日本都市計画学会@宇都宮大学より

 浜松フォーラムに参加した際に思わず話題となった宇都宮ですが、かつては共同で調査を推進してきた2者…推進派の市(長)と慎重派の県(知事)のスタンスの乖離が決定的となったようです。

新交通システムで、計画見合わせなど2案を宇都宮市長に提示−−福田知事 /栃木 毎日(09/11) http://headlines.yahoo.co.jp/…
栃木県 知事記者会見(09/10) 
http://www.pref.tochigi.jp/kaiken/h15/0910day.html#dd7

 LRT云々の時には必ず出てくる宇都宮の事例ですが、【検証:】では「宮環」他の都市外環道路整備にこそ言及されていますが、LRTは不思議とスルーでしたね。
 カンタンに経緯をなぞると、自動車交通の伸張に伴う交通渋滞と、その一方での中心市街地の衰退が問題化した1990年代後半から構想が出され、両者の解決を図るべく、まず市中心部と(需要の大きい)鬼怒川を越えた東方の清原工業団地とを結ぶ新交通システム計画について市と県が共同で97年から調査研究を開始、今年5月には「新交通システム導入基本方針」も示されたところでした。

宇都宮市 ==まちづくりを支える新交通システム== http://www.city.utsunomiya.tochigi.jp/kikaku/shinkotsu/
栃木県 新交通システム導入の検討状況 http://www.pref.tochigi.jp/koutsu/sonota/04/network4.html
LRT宇都宮 
http://www.lrt-utsunomiya.net/index.html

【都市外環道路】バイパス整備に伴う論点 log324.html#2

 この間99年に自民分裂選挙の中でLRTによる中心市街地再生を掲げた福田富一宇都宮市長が初当選、2000年には田中康夫長野県知事からの「無党派改革知事」隆盛の流れの中で「官対民」を旗印に今市市長から転進した福田昭夫栃木県知事が初当選、今年4月には福田市長が再選されています。その市長選の直前、今年3月に福田知事はLRT計画については採算性を問題視し交通渋滞解消策としての鬼怒川架橋案を発表、5月の基本方針についても問題点が多いと懐疑的な見方を示し、今回の知事提案に至ったというわけです。

 知事は記者会見の席上LRT計画について下記4点の問題点を挙げています。

 その上で宇都宮市に対し、喫緊である鬼怒川渡河交通対策への検討・LRT計画の事業性の詳細な調査分析・包括的なまちづくりビジョンの必要性を問うとして、

  1. 今後5年間程度計画を見合わせ、交通渋滞などの課題を県と市で協議、整理する

  2. 市が早急に導入を望む場合は、市が事業主体となり行う

という提案を行っていますが、まぁ云ってしまえば事実上の離脱宣言と解釈できましょうか。
 ただし、知事会見を読み進めていくと、基本方針策定までのいささか性急とも思える流れも見え隠れしますし、長崎や名古屋の例示をしての方向性再検討の必要性言及もある意味筋が通っていますし、個別指摘点についてはあらなる議論の余地はあろうと思いつつも、いわゆるクルマvsLRTではない、まちづくりのビジョンがLRTありきになっていることこそどうなのだ、という視点は他地域もよくよく考えるべきところと思った次第でもあります。

 率直に申し上げて、当方自身は鉄道が好きですし、LRTが出来れば真っ先に乗りに行くことでしょう。かといって【検証:】でいろいろと勉強させて頂いて、また金沢然り宇都宮然り、新規敷設の先頭を行ったであろうという地域で1本敷くにこれだけ苦労するという現実を改めてどのように考えるのか、一方で例えば宇都宮では都市内コミュバスの整備が進みつつも他の路線バスの先細り感、さらにはまさに瓦解が進む中心市街地の魅力をどのように取り戻すべきか、その本筋論はきちっとなされるべきでしょう。その意味でまさしく「LRTを導入しさえすれば…」という知事の見識を重く感じます。

 ともあれ、宇都宮市がどのようなカードを切ってくるのか、先ずは注目です。

【LRT】日本初の新規導入は何処か? log326.html

宇都宮の「ハイレベルな」躓きから何を学ぶか
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/09/12 13:31:25) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 知事会見と質疑応答を見て感じたことは、知事自身の見識か、ブレーンの力量かは別として、現時点でのLRT、いや、公共交通にまつわる問題点をきちんと踏まえているということです。

 知事が指摘した4つの論点ですが、これはまさに公共交通シフトを考える際の最低限の関門です。逆にこれまで趣味界を含めての議論でも、この関門を認識して対案を出し得た推進派は数少なく、この関門で堂々巡りの平行線の議論を行っているのが現実でしょう。
 知事の2つの結論は、凍結と離脱ということですが、見方を変えれば宇都宮市がこの関門を乗り越えた時には(側面)支援をすると読めますから、棄却と言うより差し戻しということも出来ます。

 なるほどと思わされたのは、長崎電軌を例に取るのが適切かどうかは別として、経営の見通しに関する疑問を呈した時、初期投資(インフラ整備)と経常収支に切り分けて考えていることです。初期投資に国や自治体が支援しないと話にならないという前提は、つまり、そこまで含めての営利事業として成立することまでは考えていないということでしょうし、それを踏まえた上で、経常経費が賄えるのか、という最小限のハードルへの疑問となっています。
 このあたり、質疑応答で名古屋の事例に言及した際、小牧市を名指しした部分で、償却前・利払前でも利益が出せない桃花台新交通が念頭にあることは想像に難くないです。

***
 交通に軸足を置いて見ていると知事の論理に違和感や反発を感じると思いますが、LRT(に限らず公共交通)と言うシステムの整備において、何が目的で何が手段か、という主客を取り違えなければいきおい知事と同じ関門を設置して、同じ判断基準で考えるでしょう。

 LRT(に限らず公共交通)を整備したらこういう効果がある、ではなく、LRTは目的のための最善のツールなのか、という当たり前の問いかけをしているに過ぎないのです。もしLRTを導入したいのであれば、目的実現に最適なツール足らんという青写真をまず示さないといけないのです。
 きちんと考えるとどうなるのか。またかと言われるかもしれませんが、結局はRACDAの「アクション5」のように、ツールとしての使い勝手をまず考えるが大事でしょう。

 そしてそれが行政、事業者、そして推進派がきちんと話し合う最低限の入門レベルであもるのです。

***
 ただ、一つだけ留意したいのは、宇都宮の場合、宇都宮環状線(「宮環」)を始めとする全国でも最高レベルの道路網が整備されており、導入への障害と言う意味では他の都市に比べたら格段に低いということです。今回の話も、社会実験を始めとする実証を経て、具体的な議論を積み重ねての話であり、綿密な検証や事業化調査もまだされていないような単純なプラン提案と同レベルで捉えてはいけない話です。

 宇都宮のプランが頓挫した理由としては、「宮環」などに担保された都市内交通の整備ではなく、未だ道路整備が必要とされる鬼怒川渡河の流動へ、自動車交通への影響を事実上担保することなく計画したと言う、宇都宮エリアの交通整備の進捗との齟齬が大きいといえます。
 そして、この部分も数多の「LRT計画」との相似形、つまり円滑な交通の実現という目的との乖離という結果を描いてしまっており、そのことが最も導入に対する障壁が少ないはずの都市において否定されたという厳しい結果を招いた一因だと思います。

元宇都宮市民としては・・・
 投稿者---こみゅー氏(2003/12/04 05:58:54) http://dreamexpress.k-server.org/

 初めまして&おはようございます。
 幼少から学生時代までの15年近くを宇都宮で生活していた僕としては、どうもLRT計画は腑に落ちない・・・というより、もう少し応用できるものがあるのではないか・・・と睨んでおります。

(JR)宇都宮駅東口から東方向のLRTで大きな効果が期待できるのか

ということに対しては、一つだけ大きな問題点ないし欠陥があります。

 以前管理者殿がマロニエ号新宿線/羽田線の試乗で東京と宇都宮を往復されましたが、沿線風景を憶えていらっしゃれば答えは出ています。

【2001・夏・バスレポ2】 進展する栃木の高速バス事情 ../report/025.html

 宇都宮市の中心部はJR宇都宮駅の西側から東武宇都宮駅付近の間一帯なので、少なくとも路線がJR東北本線(宇都宮線)を突き抜けて西へ行かない限り中途半端というのが僕の持論です。
 その証拠が市内3社のバス路線で、宇都宮市東部方面からの路線は必ず市内中心部を走ります。

【東野交通】
 市内北東部の平出工業団地や鬼怒川を渡った先の清原地区、及び真岡・益子からの路線がある。
 国道123号線(水戸街道)でJR宇都宮駅の南を回って西口バスターミナルを経由、市内中心部のメインストリート「大通り」を経て東武宇都宮駅まで運行。

【JRバス関東(宇都宮支店)】
 清原地区や芳賀町祖母井(うばがい)、ツインリンクもてぎなどからの路線がある。
 東野と同じく水戸街道〜JR宇都宮駅〜大通りの経路は変わらないが、東武宇都宮駅には立ち寄らず大通りで北側をかすめ、西進して作新学院の隣にある宇都宮支店まで行く。

【関東自動車】
 鬼怒川西岸の柳田車庫からの路線があるが、前2社と異なり平出工業団地を横切って、北側からJR宇都宮駅西口に入る。※僅かに東口発着もある
 JR宇都宮駅からはJRバスと同様だが、作新学院より更に西の駒生(こまにゅう)営業所まで行く。

 宇都宮の中心街のうち、特に大通りの中間にある二荒山神社(馬場通り)から東武宇都宮駅にかけてが繁華街になっています。この区間の北には栃木県庁、南には宇都宮市役所があり、また東武宇都宮駅自体東武百貨店を抱えて繁華街の西の中心として機能しているので、ここを逃さない手はないと思います。
 宇都宮駅東口の再開発で大規模商業施設でも作るなら話は別ですが、沿線に集客施設がない限り経営的には厳しいような気もします。高校や大学、工業団地の通勤需要も考えられますが力不足かもしれません。沿線のシンガーミシン跡地の再開発で大規模商業施設を造る計画がありますが、それも乗客増に寄与するかわかりませんし。仮にできたとしても西側からの需要を忘れるわけにはいかないでしょう。

 そこで僕の腹案としては、宇都宮の規模を考えるとオーバースペックな気もしますが、東武宇都宮線を地下化して東武宇都宮駅からJR宇都宮駅を貫き、LRTの計画ルートで清原地区へ延長する方法です。これは将来的には更に東へ延ばすことで真岡鉄道への接続も視野に入れており、戦前のしがらみから実現しなかった宇都宮と芳賀地区:栃木県東部を結ぶ鉄道の新設も意味しています(宇都宮に客が流れて真岡の商業が衰退することを恐れていた)。
 また人車鉄道の復活を兼ねて宇都宮市北西部への路線があれば、更に有益ではないでしょうか。
 裏技としてはJR日光線を鶴田駅から地下化、東武宇都宮・JR宇都宮・清原地区を新線で経由して宝積寺か真岡鉄道に接続する方法もあります。

 とにかく、LRTにせよガイドウェイバスにせよ、既存鉄道を地下化するにせよ、宇都宮市東部から中心街へ新線を作るなら、JR宇都宮駅を越えて少なくとも東武宇都宮駅までを視野に入れなければ意味がない、ということです(そのうち架空鉄道のコーナーでも作って書きたいと思います)。

水平エレベーター+郊外連絡線が理想かも
 投稿者---とも氏(2003/12/04 12:55:35) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

 宇都宮ですね。都市交通としては極めて理想を実現しやすい土地ですし、なんたってその可能性はなかなか。
 関心を持ってみております。

○西方向への延伸
 まったくもって同感です。
 宇都宮の市街は明らかに西側。都市交通軸としては東武宇都宮−JR宇都宮の連絡があって始めて意味があるのではとすら感じます。
 以前行われたパークアンドバスライドの社会実験でも西側まで運行されましたが、東の清原からで東口止まりは単なる「清原工業団地アクセス」でしかないでしょう。

○システム
 HRTの延伸は一案ですが、宇都宮の市街構造からすると、東武宇都宮−JR宇都宮間に市街拠点が存在しますから、途中駅が必要です。でも駅間が短い。となればむしろLRTのような「水平エレベーター」が理想では?と考えます。
 逆に、東武宇都宮線は都市間よりも宇都宮都市圏輸送に比重が移っているかなぁ?とも感じますので、LRTを乗り入れることもできましょう。
 そう言う意味ではLRTでどうでしょうか。

○ルート・構造
 私は基本的には
  清原工業団地〜宇都宮大〜平松町〜宇都宮駅東口〜宇都宮駅西口〜大通り〜東武宇都宮駅〜桜〜戸祭
を本線として、東武宇都宮線直通を支線とする程度が理想かと考えます。
 将来的に桜〜鶴田〜JR日光線もしくは鹿沼IC方面なども考えられましょう。

 真岡方面はどうでしょうか。流動はありますが、近い将来北関東道も完成しますし基幹バスで救うのはどうでしょう。石井近辺に乗り継ぎターミナルを設置するとか。

 東武宇都宮〜JR宇都宮間は大通りをセミモール(一般車2車線とLRT・バスモールをセパレートで設置)にでもすればよいかなと。
 この間が都心部ですし、乗降空間になりますから、ヨーロッパのモールイメージに近い物ができそうです。

 東側のみのフリンジとしてR408、宮環を全方向の二次フリンジ、都心部環状を三次フリンジにして、それぞれで乗り継ぎ拠点を考えてみましょう。
 通過交通は少ないわけですし、都心への交通はすでに東武百貨店のパークアンドライドなどもあるので可能性はありますね。

 宇都宮はなかなか考えてみたい面白い土地ですね。もう少し議論を深めてみましょうか。

 それでは

ワークショップ『LRTとまちづくり』 〜日本都市計画学会@宇都宮大学より
 投稿者---かまにし氏(2003/12/08 04:51:58)

 かまにしです。

 先月22・23日に宇都宮大学工学部におきまして、日本都市計画学会が主催するワークショップ『LRTと街づくり』が開催されました。宇都宮でLRTに関するワークショップということで、宇都宮市の構想するLRT計画はもちろん、横浜のLRT導入を推進する市民団体や学識経験者、国土交通省など、さまざまな立場からの問題提議がなされた中身の濃いワークショップだったと思います。以下に、ワークショップの内容に関するメモ書きを掲載しました。皆様の議論の参考になれば幸いです。

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 ワークショップにおけるコーディネーターとパネリストは以下の方々です。

・コーディネーター

・パネリスト
 古池弘隆

 松川ゆみ
 竹原卓郎
 秋村成一郎
 松中亮治
 望月真一
(宇都宮大学工学部教授)

(横浜にLRTを走らせる会事務局)
(宇都宮市助役)
(国土交通省都市・地域整備局街路課特定都市交通施設整備室長)
(岡山大学環境理工学部助教授)
(アトリエUDI都市設計研究所代表)

 フォーラムは、各パネリストによるそれぞれの立場からの発表の後、傍聴者にアンケートを取り、その内容をもとに場内にて議論を深めていくという形で進行しました。

---
 まずトップバッターは、紅一点の「横浜にLRTを走らせる会」事務局の松川ゆみさんです。この「横浜にLRTを走らせる会」は、12月23日にも神奈川県民サポートセンターにおきまして「横浜にLRTを走らせようフォーラム」を主催するそうです。

 実は、この団体は発足が今年の5月頃だったようです。松川ゆみさんは神奈川生活者ネットワークのメンバーで、地元の衆議院議員が主催する勉強会のつながりもあって、3月に上岡直見氏の講演会に参加。そこから彼のアドバイスを受けて世話人会を発足させ、生活者ネットや路面電車フォーラムの協力で設立準備会をつくり12月23日のフォーラムにて正式発足にいたるそうです。

 今回の発表では、横浜市の概要から始まり、地下鉄計画、そしてLRT導入を構想している本牧地区・みなとみらい地区の概要について話されました。

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 次に、宇都宮市・助役の竹原氏の発表で、宇都宮駅から鬼怒川を挟んだ東部の工業団地までの路線とこれまでの経緯について話されました。特に印象的だったのは、

・LRTを土地利用などとセットで考えていくことの重要性
・LRT建設の意義と採算性

 ⇒   

LRTはまちづくりのツールであり、採算性だけでは割り切るべきではない
ランニングコストは黒字になると予測されている一方で、初期投資の借入金まで運賃収入でまかなうのは無理と予測されている中、いかに初期投資を財政支援するか

・市と県の連携をいかに進めていくのか
・市民や県民への理解促進をどうべきか

アンケート調査で66%の市民がLRTに慎重姿勢

の4点でした。当初の整備路線を宇都宮駅東口〜清原工業団地、次に東武宇都宮駅〜宇都宮駅東口の宇都宮都心部を横断する路線を建設、以後はさらに西への延伸構想もあるものの当分先の計画になるとのことでした。

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 次に、宇都宮国道事務所の方の「国交省における路面電車整備支援策」に関するお話でした。正直、僕にとってはこの話が最も参考になったので、この部分については自分のメモの内容をまとめて掲出したいと思います。

 鉄軌道を新設する場合には、
   都市モノレール・新交通システム・路面電車
   鉄道とラッチ外整備支援          
⇒軌道法
⇒鉄道事業法

 日本における路面電車導入の意義(なぜバスではだめか?)
   ・中核都市における公共交通システムとして導入しやすい
   ・シンボル的存在として活性化に寄与
   ・交通弱者が使いやすい

 路面電車導入の課題と対応策
  ・先駆例がなし      
                
  ・初期投資返済負担の軽減 
  ・導入空間の確保     
  ・公的支援策       
  ・経営基盤の確保     
⇒中核都市におけるモデルケースを作る
  鉄道の路面電車化(踏切の除去など)
⇒段階整備
⇒単線+行き違いからスタート
⇒軌道法関連法制の見直し
⇒相互支援組織も検討

◎交通は派生需要であり、LRTの導入も土地利用・市街地の開発と一体で考えるべきである

 補助体系と適用例
  ・道路特会   
        
  ・一般会計  
       
         
          
 路面電車走行空間改築事業
   →道路の中央に軌道を寄せる場合に適用。3分の1補助。
 都市再生交通拠点事業
   →国が3分の1補助。
 公共交通移動円滑化補助
   →国が4分の1、地方が4分の1補助。車両費に充てる。

  +道路構造令の改正で路面電車が道路空間内に入れやすくなった
    例1)豊橋
    例2)鹿児島
    例3)長崎
 都心交通改善事業+路面電車走行空間改築事業
 交通結節点改善事業
 都市再生交通拠点事業  →電停の平面化

 手書きのメモをもとにしているので、全てを網羅できたとはとても言えないかもしれませんが、大まかには以上のような感じでした。

---
 次に岡山大学の松中先生が、主に市民1人あたりの交通負荷など、交通工学的な面からの分析を話されました。中でも印象的だったのが、世界で市民1人あたりの交通負荷が最も高いのはヒューストン(米)なのですが、日本で見ると実は宇都宮という話でした。

 最後に、UDI都市設計研究所の望月氏は、フランスの都市政策とLRTとの関係について話されていました。70年代までのフランスは日本と類似点が多く「中央集権一極集中&官僚主義」だったのですが、80年代から徹底した「地方分権化/車優先社会の修正/行政と市民の役割の修正」を行ない、そのための制度も整えていったという旨の話でした。また、フランスは日本と比べて「総合性と整備レベルで際立つ」とされていました。

---
 そしてようやく、アンケート結果をもとに会場とのディスカッションという時間になったのですが、かなり予定が押してしまったこともあり、ほとんどディスカッションを行なうことはできませんでしたが、数名だけ質問を受けることになりました。最初の質問者は、栃木出身の早大政経学部の現役学生で、宇都宮市の助役に対して「市民への合意形成を図るためには、行政側がPR活動するだけではなく、市民の中からもLRTに対する要望の声が上がり、それが広がっていかなければダメなのではないか。しかし栃木県は全体的にそういった雰囲気が欠けている。横浜と宇都宮を足して2で割るぐらいがちょうど良いのではないか?」という発言をされていました。次の質問者は、同じく地元の方で「LRTが走ることで、自分たちの生活がどのように変わるのか、といったことまで見えてくるような伝え方をしなければ、絶対に市民には浸透しない」という発言でした。

 本来、今回のフォーラムは都市計画学会の学会員向けに開かれたものなので、地元の人といえど来るのはまずいはずなのですが、しかし僕は逆にフォーラムに実際に市民が参加して、最後にこのような意見が出てきたことは非常に良い展開だったと思い、会場をあとにしました。

目の黒いうちに見れるか?日本のLRTって・・・
 投稿者---ゲバラ焼き肉のタレ氏(2003/09/26 00:09:49)
目の黒いうちに見れるか?日本のLRTって・・・
└手続きや調整がかかるんですよね
 └Re:手続きや調整がかかるんですよね
  └Re:手続きや調整がかかるんですよね

 いつもは傍観専門ですが、今回は少し参加させて頂きます。

 本題。先日、「路面電車を考える館」というHPを拝見した所、10月10日(金)、大阪市内にて、「どうしてできない、LRT」というシンポジウムを開催されるという事を知りました。詳細は下記のURLにて御覧下さい。

http://www.urban.ne.jp/home/yaman/

 私は、その日は残念ながら行けそうにも有りませんので、行かれた方の御報告を待つのみですが、それにしても何て胸元をえぐるようなタイトルでは有りませんか! 
 LRTに関しましての動向は、一般マスコミで取り上げられたり、国土交通省もようやく重い腰を上げて調査・支援に乗り出す等、「路面電車撤退」が吹き荒れていた頃が過去のものになったといって良い程の追い風ムードになって、・・・結構月日が経ったと思います。
 確かに、超低床車の普及、停留所や結節点の改善、実現間近のJRローカル線のLRT化など、一応の動きは認めます。しかし、肝心の、「新規路線」は、構想こそ百出すれども、見事に、実現に向かっている話しは聞きません。これはどういう事でしょうか?一部では、「不況やからしゃあない!」という声を聞きますが、じゃ、採算を合わすなんて夢の又夢としか思えない様な規模の大きい交通機関が次から次へと出来ていく事実は何でしょう?
 私は、自他共に認める路面電車フェチです。かといって昔ながらの路面電車がそのまま復活すべしなんて思いは毛ほどもございません。只、バスと大型の電車の間を埋めるべく交通手段として、LRTが有効なのでは(ついでに言うと、「基幹バス」ももっと普及して欲しい)、と信じているだけなのです。

 何故わが国で、LRT、はたまたそれを含めた中量交通機関の普及が遅々として進まないのか。この掲示板では、恐らく昔から議論がたくさん出ておられると思いますが、改めて、皆様の慧眼に裏打ちされたご意見を知りたくなって、書き込んだ次第でございます。
 長々とした駄文をお許し下さいませ。

手続きや調整がかかるんですよね
 投稿者---とも氏(2003/09/26 17:46:08) http://town-m.vop.jp/

 とも@ご無沙汰です。超手短に。

 一般的に交通機関を新規導入するとなれば、交通網の構想からスタートして、採算性の検討、需要予測(ODが無ければOD調査から)、導入ルートや沿道開発動向の把握、分析、調査、関係する機関や他の事業、インフラ施設との調整、場合によってはシステム開発・試験など、早ければ3〜5年程度、下手したら10〜20年。そこから、警察や関係事業者との調整、免許申請、都市計画手続き、環境影響評価に3〜5年は要します。そこではじめて計画決定し、計画決定から、用地買収、関連道路や再開発などの整備を含めおおむね鉄道であれば5〜10年で完成という流れです。
 たとえば、ゆりかもめは昭和50年代、千葉モノレールは昭和40年代、ゆいレールは昭和50年代から調査がされています。そこから開通まで20年程度。よって、短くても15年弱、下手すればそれ以上の時間は見なくてはなりません。ましてやLRTは都市交通網の劇的な改変ですから、土地利用などからすべて見直すことが求められます。道路網なども単にクルマを減らすという次元ではない長期的なトリップ動向などを把握しなくてはなりません(一般論で人口は増えないから道路は入らないとかLRTが出来ればクルマは減るなどという単純な次元ではない)。
 確かに「長いなぁ」と思いますが、ヨーロッパなどを見ても1970年代から検討が始まり、着手は1980年代。もともと基幹バスや既存路面電車があったところ以外はやはり15年以上は要しています。

 ですから今調査をしている地域で都市計画決定に辿り着く物が数年で出て、実際に工事が行われるのに5年以上、そんなスパンは最低限見なくてはならないでしょう。
 逆に早くできるLRTでは都市構造とのマッチングに不安があり、アメリカなどでは急いで作った路線の中には都市計画と合致せず失敗した例もありますからね。

 むしろ、既存軌道の改良が加速度的に進むと思います。豊橋、広電と続いてますが、そういった手続きなどが不要で事業費さえ確保し、調整がなされれば整備可能なものこそ早期に進んでいくでしょう。また、ステップ整備という手法もあり得ますね。シアトルのようにまずバスで整備をしてLRTに変えていく。そういう手法の方がむしろ早いかも知れませんね。

 まとまりませんが。ではでは。

Re:手続きや調整がかかるんですよね
 投稿者---ゲバラ焼き肉のタレ氏(2003/10/05 00:30:12)

 どうも、ともさん。え?「御無沙汰」って事は、1回しか投稿していない私の事を、覚えていらっしゃってたんですか?いやはや、誠に恐縮の至りでございます。
 それから、具体的かつ詳細なレスを有難うございました。私は今まで、わが国におけるLRTに対する認識に、どこか根強い偏見が有るのでは?と思っておりましたが、それ以前に、交通機関の新設に向けてのプロセスの多大さについては、全く気付いていませんでした。目から鱗が取れた心境でございます。いやぁ、投稿した甲斐が有ったわぁ!
 確かに、LRT(又は基幹バス)というのは、必ずどこかで、一般車道を削るという事に遭遇するので、自動車の通行のスムーズ化にばかり血道を上げているわが国にとっては、かなり勇気の要る決断でしょう。それを敢えて、行うかどうかは、これからの公共交通の命運に関る問題やと、私は思っております。

Re:手続きや調整がかかるんですよね
 投稿者---とも氏(2003/10/07 18:09:40) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

 え?「御無沙汰」って事は、1回しか投稿していない私の事を、覚えていらっしゃってたんですか?いやはや、誠に恐縮の至りでございます。

 いえいえ。

 確かに、LRT(又は基幹バス)というのは、必ずどこかで、一般車道を削るという事に遭遇するので、自動車の通行のスムーズ化にばかり血道を上げているわが国にとっては、かなり勇気の要る決断でしょう。それを敢えて、行うかどうかは、これからの公共交通の命運に関る問題やと、私は思っております。 

 今の行政の流れは「車線を減らすこと」や「クルマを通さないこと」に関しては、むしろ進めるべき的なものが見えますね。
無論、何処でも彼処でもでは無いのですが、「くらしとみちづくりゾーン」や「路面電車走行空間改善事業」のように、特性や土地の状況を含めた周辺環境次第では車線を減らしての公共交通整備も選択肢としてありうる政策方針は見て取れます。
自動車をスムーズに流す、公共交通の整備、双方を進める。その方針にシフトが数年前以上に進んでいるなぁというのが私の感想です。

 LRTの悲しいところは、本当の意味での「メリット」をちゃんと理解されていない点ですね。どこにでも「LRTを!」という意見があまりにも多すぎる。
 結局、公的機関調査や計画のテーブルに載ってもいない「市民団体」レベルの構想が一人歩きして、結局「進んでない」となりかねない。
 もちろん、岡山のように市民や企業が行政を動かすこともありますが、それには並大抵の活動じゃ話にならない訳で、そこまでやっている団体は悲しいかなさほど無いでしょう。いくら企業に出資や理解を求めたって、行政を動かしてはじめてモノになるのですし。

 独善的に「LRTがすばらしいんだぁ!」ではなく、「公共交通として何が必要か」。その観点で進めていけばどっかでモノになるものが出てくるのかなぁと思ってますが。

 それでは。

万葉線の赤字をなくすには高速化をすることである
 投稿者---うめ氏(2003/10/18 11:58:50)
万葉線の赤字をなくすには高速化をすることである
└高速化で赤字がなくなるわけが無い
 └Re:高速化で赤字がなくなるわけが無い
  └物理的に可能であっても乗客はどうなる?

(以下次ページ)
└≪管理者投稿≫ソース開示とメールアドレスの明記を
 └ソース開示

  └夢想とするか妄言とするかでも主張は違うものになる

  └新湊大橋(仮称)への軌道併設は無理では
   └Re:新湊大橋(仮称)への軌道併設は無理では
    └はっきり言えば無理です
    └Re:新湊大橋(仮称)への軌道併設は無理では
「たびのっさん」の元富山県民ですが・・
 └Re:「たびのっさん」の元富山県民ですが・・
  └では採算性と必要性は
   └Re:では採算性と必要性は
    └Re:では採算性と必要性は

 富山県内の路面電車、万葉線(全長12.8km、高岡駅前−米島口間と能町口−中伏木間は道路併用区間、米島口−能町口間と中伏木−越の潟間は専用軌道区間)は第三セクター化された。万葉線の赤字はつづいている。第三セクター化後、車内清掃を徹底したり、運賃値下げをおこなったりしている。
 万葉線につかわれている車両はデ7000型、デ7050型、デ7060型、デ7070型といった旧式車両であり、それらの車両は老朽化が進んでおり、冷房もない。今後、冷房付の新車が投入される。
 投入する車両は加速度5.0、常用減速度5.0、非常減速度6.0、最高速度120キロ、転換クロスシートの2両編成のLRT車両にすべきである。なぜ、最高速度120キロにするのかというと、万葉線の専用軌道区間では、最高速度80キロが限界であるが、新湊市と富山市は富山地方鉄道で廃止された射水線(新港東口−新富山)を復活させ、越の潟につなげ、将来LRT化することが考えられている富山地方鉄道富山市内線に乗り入れることが考えられる。射水線は線形がいいので120キロ運転は可能なので、120キロの快速を走らせるべきである。万葉線併用区間ではLRT車両によって現行の40キロから60キロに引き上げるべきである。そのためには軌道法では40キロ制限をもっと緩和するように国に求めるか、特認をもらう必要がある。
 さらに併用区間での電車優先思想、すなわち電車優先信号や軌道内絶対に立ち入りができないようにセンターリザベーション化をし、定時性を高めるべきである。万葉線専用軌道区間ではLRT車両によって最高速度を現行の40キロから80キロにひきあげるべきである。そして、快速を設定すべきである。なお、一部専用軌道化が予定されている。能町口−中伏木間を専用軌道化することが考えられている。専用軌道化される区間は吉久電停付近であり、できれば能町口−中伏木間を専用軌道化したいとしている。能町口−中伏木間が専用軌道化されればさらに速くなる。それらによって高岡駅前間の所要時間は現行の41分から10分台ぎりぎりに短縮する。表定速度は現行の18.7キロから約40キロになる快速運転だと12分で結ばれる。
 パークアンドライドとバスアンドライドをおこない、折りたたみ自転車の持ち込みを許可し、パターンダイヤ化と頻繁運転をおこなえば、乗客はさらにふえる。射水線が開通し、同線内で120キロの快速運転を行えば、さらにふえるだろう。新湊市街から高岡駅まで車で10〜20分でついてしまう。それでは万葉線が利用されないのも当然である。前述したような改善をおこなえば、車と同等の便利さになると思う。

高速化で赤字がなくなるわけが無い
 投稿者---とも氏(2003/10/18 23:27:56) http://town-m.vop.jp/

 ともです。
 万葉線はしっかりネタとしてやっていきたいところですが、あまりにも目に余りますので。

  1. 富山地鉄射水線との直通
     常識的に考えてどうやって敷くのか。そもそもなぜ廃止になったのかご存知なのか、不思議で仕方が無いです。
     富山新港を埋めろとかトンネルや架橋というのなら絵に描いたもちにもならない。妄想を通り越してますね。新港を越えるための架橋をするには数百億単位の経費を要しましょう。港を迂回したらその時点で高岡周りのほうが早い。効果がどうやったって無いんです。

  2. スピードアップ
     歩道のある一般道路をLRTが80キロで走行ね・・・まぁなんという危険なものでしょうか。いくらセンターリザベーションで完全分離でも平面交差がしかも「信号」で残る以上、道路交通法に定める法定速度を上回る速度で軌道を走らせるというのは愚の骨頂。ハッキリ言えば論外ですよ。
     しかも減速度5.0ですか。鉄道線じゃないんです。そんな減速性能で軌道を60km/h超で走られたらたまったもんじゃないですね。
     また、対車においてスピードアップすればいいということですが、スピードアップしたところで12分。車で20分で着くのならその差は8分。5分間間隔運転で乗車チャンスを50%とすれば2分半はロスしますから5分半。さらにパークアンドライドの乗り換え抵抗、バスとの乗り換え抵抗を考えれば転換はおき得ないでしょう。高岡市内の中心部における水平エレベーターとしてというのならまだしも、都市間輸送でというのは論外です。だったら万葉線ではなくJRを活性化したほうがよっぽどいい。

 高速化すれば赤字が解消、乗客が増える。一見正論のようですが、甘い意見ですね。
 高速化しても乗り換え抵抗などのその他抵抗や料金差の時間換算によるトータル所要時間差がどれほどになるか。そこの議論なく単に高速化を求めたってなんにもならないですね。

 それでは。

Re:高速化で赤字がなくなるわけが無い
 投稿者---うめ氏(2003/10/19 00:21:27)

富山地鉄射水線との直通
 常識的に考えてどうやって敷くのか。そもそもなぜ廃止になったのかご存知なのか、不思議で仕方が無いです。

 新湊市と富山市では射水線を復活させる構想が出ています。(いつ実現するか分かりませんが)新湊大橋が今後、開通しますが、その新湊大橋に万葉線の軌道を架けて、射水線につなげることが考えられています。廃止になったのは車社会の影響です。だが、車より便利にすれば、もうかる路線になると思います。

スピードアップ
 歩道のある一般道路をLRTが80キロで走行ね・・・まぁなんという危険なものでしょうか。いくらセンターリザベーションで完全分離でも平面交差がしかも「信号」で残る以上、道路交通法に定める法定速度を上回る速度で軌道を走らせるというのは愚の骨頂。ハッキリ言えば論外ですよ。
 しかも減速度5.0ですか。鉄道線じゃないんです。そんな減速性能で軌道を60km/h超で走られたらたまったもんじゃないですね。

 前にも書いたように、万葉線は高岡駅前−米島口間と能町口−中伏木間は道路併用区間(能町口−中伏木間は今後鉄道線化される可能性がある)、米島口−能町口間と中伏木−越の潟間は鉄道線となっています。私は道路併用区間では、80キロ出せと言っていません。道路併用区間では60キロ、鉄道線区間で80キロを出すべきと言っています。LRT車両は従来の路面電車より高性能なので、軌道法40キロ制限はもっと緩和する必要があります。そうしないと自動車利用の方が便利になります。

 さらにパークアンドライドの乗り換え抵抗、バスとの乗り換え抵抗を考えれば転換はおき得ないでしょう。高岡市内の中心部における水平エレベーターとしてというのならまだしも、都市間輸送でというのは論外です。だったら万葉線ではなくJRを活性化したほうがよっぽどいい。

 乗り換えの抵抗についても、できるだけホームに近いところに駐車場においたり、バスとの乗り換えについても同一乗り場で乗り換えられるようにすれば乗り換えの抵抗はなくなります。普通の鉄道の駅のように階段はありませんから(普通の駅でもエスカレーターを設置すれば乗り換えの抵抗はなくなる)。

物理的に可能であっても乗客はどうなる?
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/10/20 11:55:01) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

北陸線の高速化論でも書かれてましたが、特に非常時の減速度の数値が高すぎます。

北陸線の未来と北陸新幹線 ../traffic/log117.html

 阪神ジェットカーの減速度(5.0)を例示されていますが、あの減速度のまま停車するのではなく、速度照査ポイントまでの減速のあと、ゆっくりと停車するから許されるわけです。一方非常時の場合はその高い減速度のまま停止まで持って行くわけで、その時の衝撃を考えるととても乗客を乗せて運転出来るものではないでしょう。
 非常時に自動で「急停車します」という放送が流れるシステムは一部鉄道で既に導入されていますが、それを聞いて人間が防御姿勢を取るまでのタイムラグの方が、非常制動を掛けてブレーキが利くまでのタイムラグよりも大きいですから、それに伴う衝撃を受ける前提で考える必要があります。

 レールブレーキなどの話にしても同じです。低いスピードであっても急ブレーキを掛けた時の衝撃は凄まじいというのは、自動車教習や安全運転教育、特にシートベルト、チャイルドシート着用問題で口がすっぱくなるほど言われている話です。私事で恐縮ですが、ガソリンスタンドで給油後、ATのクリープ利用で進み出した瞬間、進路を塞がれ急ブレーキを掛けたら、チャイルドシートに座っていなかった後席の子供がダッシュボードに飛んで来て怪我をしたことがありますが、度外れた減速度で一気に停止した場合、車内では同じ事象が続出するわけです。特に軌道線のような低速運行の場合は、ノッチを抜くまでもなく逆に短時間で停止に至るため、かえって危険です。

 技術的に停止できるから大丈夫ではないことはいうまでもありません。
 タッパーに入れた豆腐を運ぶと言うとき、蓋があるからデコボコ道でもこぼさずに運べるというような話で、蓋を開けてみれば中の豆腐がグチャグチャになっていることを考えていない議論です。

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2004.11.02 Update


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