【検証:】中量板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】<中量輸送システムの明日…>
(過去ログNo.346)
下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
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LRTの定義をやってみましょう
 投稿者---とも氏(2002/08/15 21:59:20)
 
 http://town-m.vop.jp/
LRTの定義をやってみましょう
└Lightの定義をしてみては?
└LRTの定義について・・・
Re:LRTの定義をやってみましょう
 └Re:LRTの定義をやってみましょう
  └LRTのについての「境界定義」
  └Re:LRTの定義をやってみましょう
   └Re:LRTの定義をやってみましょう
    └Re:LRTの定義をやってみましょう
     └LRTの定義は技術論の方が分かりやすいのでは?
     └Re:LRTの定義をやってみましょう
      └やや横レス:定義は大事です
      └Re:LRTの定義をやってみましょう
       └Re:LRTの定義をやってみましょう

 ともです。
 遅くなりましたが予告通り、LRTをあえて定義付けするとして、私なりの案をまとめました。みなさまの案とは微妙に異なりますが、いかがでしょうか。

LRTとは
 そもそもは欧米における機関車牽引方式を基本とする普通鉄道(重軌道=ヘビーレイル)に対して軽量な電車が走行する鉄道(軽軌道=ライトレール)の公共交通(トランジット)システムの総称。
 一般には狭義LRTを指す。
  • 広義LRT;(=これを「中量輸送システム」と呼ぶ)
     本来の意味のLRTを総称するものとして、マストランジット(大量輸送公共交通)規模未満の軌道系公共交通システム全般を指す。中量規模(10,000人/日〜30,000人/日程度)を輸送可能領域とするもので、鉄軌道または案内軌条(ガイドウェイ)等により走行経路を指定される輸送機関全般(18〜20m車2連程度を最大輸送規模と勘案)

     ただし、以下のものは当てはまらない
      ・もっぱら普通鉄道を使用し、電車または気動車の短編成により運行がされている区間
      ・都市内交通として当然有すべき頻度を確保していない、またはサービスレベルが達しない区間。
       ただし端末区間や特殊区間は例外

<広義LRTの分類>

  • トラム(路面電車)
     
    路上走行する電車=路面電車のこと。都市内での機能、対応輸送力は問わない。
  • AGT
     
    自動ガイドウェイ方式軌道システムの総称。ゴムタイヤだけではなく鉄軌道のものも含む
  • 新交通システム(ASGT)
     
    ゴムタイヤ側面案内軌条走行方式軌道の交通システム。
  • リニア駆動(鉄軌道)式(ARGT)
     
    リニア駆動により鉄軌道上を走行する交通システムのうち、自動走行方式のもの。
  • BRT(バス高速輸送システム)
     
    バスを用い、高速輸送を行うことで軌道並の輸送力や定時性を確保したシステムのこと。基幹バスなどを含む。
  • GWB(ガイドウェイバス)
     
    側方案内軌条方式バスシステム。

ほかにモノレールを含む

  • 狭義LRT;(=これを「LRT」と呼ぶ)
     広義のLRTのうち、都心部内または郊外中心部などにおいて路上走行、もしくは類似環境を走行する軌道システムで、都市交通計画上の都市内における基幹交通軸機能もしくは補助基幹軸として交通ネットワークに位置づけた(公共交通の利用促進を図る施策や自動車との連携・転換などいわゆるTDM施策など具体的な計画を定めた)システムを指す。
     郊外部において既存鉄軌道線に直通する形態を含む。

<狭義LRTの分類>

  • カールスルーエ方式LRT
     
    狭義LRTのうち、郊外部において普通鉄道に普通鉄道列車と路線を共用し直通するスタイルを指す。
  • プレメトロ式LRT
     
    狭義LRTにおいて将来的な地下鉄や高架軌道などへの発展を見越した形で段階整備で路上に軌道を整備、もしくは一部区間のみを地下などの構造物で整備するスタイルのLRTのこと。
  • 低床式LRT
     
    狭義LRTのうち、低床式を採用し道路面上からの乗降を容易にしたスタイルのもの。
  • 中高床式LRT
     
    狭義LRTのうち、中高床式を採用し、乗降にホームが必要なスタイルのもの。
  • TVR(トランスロール)
     
    鉄軌条案内ゴムタイヤ走行方式の軌道システム。
  • 広義LRTではないもの
  • 普通鉄道(HRT)
     
    軽軌道ではない既存鉄道方式全般
  • 大量輸送方式鉄道線(MRT)
     
    地下鉄や日本の民鉄、JR近郊区間などを含む大量高頻度高速輸送システムの名称
  • キャビン式短距離輸送システム
     
    1〜2km程度を結ぶことを目的としたキャビン(車両)方式の輸送システム。ゴンドラ方式、斜行エレベータ方式、STシステムなど
  • 連続輸送式短距離輸送システム
     
    1km程度を結ぶことを目的にした連続輸送輸送システム=動く歩道、エスカレータ
  • その他関連用語
    トランジットウェイ
     LRTやバスの専用走行路。特に立体構造などで構造分離されたもの。
    LRV
     狭義LRTに使用される車両のうち、交通軸としての機能、輸送力をカバーできる車両のうち、軽量でかつ制震台車などの採用により、騒音や振動の軽減、つまり都市内走行を主眼においた車両を指す。

 いかがでしょうか。

 まず、
  ・輸送規模(輸送力)
  ・交通計画上の位置づけ(都市内における軸)
を選択の要因としました。車両のタイプはキリがないので書きません(笑)

 問題は交通計画上位置づけられているが古い車両を利用する路線です。これに関してはシステムはLRTだけど車両はLRVではないとなるしかないですね。
 料金システムについては、セルフチェックやゾーン運賃を採用していないLRTもありますし、それが必須要件でもないですからシステムとしてのLRTの成立要因にはなり得ないと考えました。
 また、TDMとの関係は、都市交通計画上の位置づけを選択要因にしていますので、あいまいではありますが、その都市にあわせた考え方で交通計画上の考え方としての整理が可能になりますからあえてあの程度としました。
 狭義LRTと路面電車といういつも議論になる部分は、やはり輸送力や機能面での差としました。
 また、呼び方がややこしいので、広義LRTを「中量輸送システム」、狭義を「LRT」とするとイメージもすっきりすると思います。
 あくまで議論の際の整理ですからこんなもんでよいかと・・・(汗)

 まずはたたき台として。ご批判などなどお願いいたします。

Lightの定義をしてみては?
 投稿者---和寒氏(2002/08/16 08:44:23) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 これほど詳細な提案をされるとは、とも様の労を多としたいです。私のような鉈割り提案ではいけませんね。
 ちょっとだけ引っかかる点があります。

LRTとは
 そもそもは欧米における機関車牽引方式を基本とする普通鉄道(重軌道=ヘビーレイル)に対して軽量な電車が走行する鉄道(軽軌道=ライトレール)の公共交通(トランジット)システムの総称。

→基本にこの定義があるならば、車両のタイプについても定義しておけば紛れがないと考えます。最近では様々な新車が投入されているので、分類は一見難しそうですが、簡単に見分けられると思います。

→軸重が軽い≒台車中心間距離が短い(10m未満が妥当かな?)=Lightとすればいいのではないでしょうか。そうすれば紛れが出てきません。

 なぜこのように考えるかというと、普通鉄道規格小単位輸送の路線を広義LRTに含めてもいいと考えるからです。とも様はこれを含めないと定義されていますが、「中量鉄道」とカテゴライズし、車両規格を上のように定義しておけば、紛れはないと考えます。

 もう一つには、先の自分の定義では、「路上鉄道」に相当する路線が日本どころか世界のどこにもない、と気づいたからです。
 例えば、都電荒川線や東急世田谷線をどこに当てはめるのか。私はこれを狭義LRTと考えるので、該当するカテゴリーを設けたいのです。例えば、
    荒川線・世田谷線:LRT
    江ノ電・遠鉄など:中量鉄道
 日本には境界事例が多く、紛れもまた多いのですが、これならばすっきりすると考えます。

***
 TDMとの関連は、論じるのが難しいですね。なにをもてTDMとするか、ということもありますし、また現実の例がまだまだ少ないですから。
 機械的に定義するならば、なんらかの形で都市計画決定の中に含まれている、ということでしょうか。それにしても紛れが出そうです。
 例えば荒川線や世田谷線は都市計画の中に包含されていませんが、ほぼ全線専用軌道であって、交通機関としての優位性と独立性を保っています。これをトラムよりも格上に見ないのはおかしいように思われます。それとも、トラムタイプの中量鉄道と変則カテゴリーにすればいいのか。悩ましいです。

 定義を考えていくのはたいへんですが、ここを確固としておけば、後の議論がスムースになります。時間がかかる課題でしょうが、面白く楽しい作業となりそうです。

LRTの定義について・・・
 投稿者---TAKA氏(2002/08/16 11:37:52)

 TAKAです。私の引き起こした議論に詳細を加えて頂き有り難うございます。基本的な所は前のレスで差がない事は明らかですが、誰でも分かる詳細な区分けをしておく事こそ重要な事であると考えます。
 以下でともさんとそんなに変わらないと思いますが、私なりの定義を述べたいと思います(すいません変わらない所は引用させて貰います・・・)。

(TAKAの)LRTの定義
 →基本的に都市での軌道(専用・兼用は問わず)を用いた中量輸送システム。又法的には軌道法が適用される物とする。
  ※この中の「軌道」の概念には鉄軌道・案内軌条等を含む。
  ※中量輸送システムとは1日当たり10,000〜30,000人程度の人員輸送システムを指す。

 ここから狭義な意味の「純粋LRT」と中量輸送都市交通全般を含めた「拡大LRT」に分類する。

☆「純粋LRT」の内訳(補足)

  • カールスルーエ方式LRT
    → 日本のイメージとしては広電宮島線?
  • 低床式LRT
    → 今流行の岡山の「momo」や広島のグリーンムーバー等が該当する。
  • 中高床式LRT
    → 東急世田谷線や都電荒川線が該当する。
      江ノ電等は地方鉄道の色彩が濃いので(運賃収受システム等で)該当しない

☆「拡大LRT」の分類

「とも案」と同じ

☆LRTではないもの(追加)

  • リニアモーター式地下鉄
     ATOで自動運転だが搭乗員はいると言う形であるが、日本では東京の大江戸線みたいに地下鉄として運用され、輸送力も他には劣るが中量輸送システムとは言えないので除外する。
  • 路面電車
     まさしくLRTであるが、乗降性等古いシステムを現在に残している物であるので、此処でのLRTからは除外する。但し改良すれば純粋LRTになる予備軍ではある。 

◎これが私のイメージする分類ですが、如何でしょうか?基本的にはともさんと変わらないと思いますが・・・
 只私は純粋LRT(=狭義LRT)には完全に「路面電車の進歩したスタイル」という概念で分類しました。今の日本ではこれの方が一般的に分かりやすいと思います。
 後純粋LRTをLRTと呼ぶとして、拡大LRTをなんと呼ぶかが問題です。「中量輸送システム」とは呼びたくありません。
 何故なら私は日本の都市交通内の中量輸送システムについて、既存のバス路線の改良を重視すべきと考えています。拡大LRT=中量輸送システムだとバスを閉め出す事になります。
 ですので中量輸送システム=LRT(純粋・拡大含む)+バスという定義にして、拡大LRT=都市中量軌道システムとした方が好ましいと考えるのですが如何でしょうか?

◎後はTDM・都市計画等総合的な要素との兼ね合いですが、空くまでも其処とは分けて考えた方が分かりやすいと考えます。
 TDM・都市計画はどちらも道路交通主体の考えが今の日本では主流のような気がしますし、TDMに関しては日本で実例が少なく其処にLRTを具体的に絡ませた計画は殆ど存在しないのが実情ですから、TDM・都市計画を絡ませてLRTを定義するのは好ましくないと思います。
 只都市計画たる物は何処の都市にでも存在する物ですから、LRT・中量輸送システムの何処かの都市を例にした各論をする時にその都市について、LRT・中量輸送システムとTDM・都市計画を絡めて検討すればよろしいと考えます。

 この様な私の意見如何でしょうか?ともさんの骨格の定義をいじっただけの案で申し訳有りませんが・・・
 ともさんの定義でほぼ問題ないとは思いますが、素人にはちょっとわかりずらい気がしたのでいじくりました。
 如何でしょうか?

Re:LRTの定義をやってみましょう
 投稿者---くらかけ氏(2002/08/18 12:14:52)

 ごぶさたのくらかけです。

 日本での「LRT」の定義を決めるのに海外の事例を持ってきて、そして何の提案もせずに議論を引っ掻き回すだけになるのですが……。

 私は現在仕事のためシアトルに滞在していて、その休みを利用してポートランド(OR:MIにもポートランドがあるので州名をつける必要があるのですが、以下州名は省略します)に行ってきました。ご存知の方もいるかと思いますが、ポートランドには「MAX」と呼ばれる軌道があります。アメリカでは初の戦略的LRTとされているのですが、これをすでにかかれている3名の定義にのせると狭義LRTから外れてしまいます。

 どのあたりがかというと、輸送能力が「普通鉄道2両程度」よりも大きいこと。輸送単位としては高床2車体連接または低床3車体3台車なのですが、現在のメイン路線であるブルーラインではこれを終日2本連結して運用されています。車体そのものが大きいこともあり、1本で普通鉄道の2両(の座席数。こちらではあまり立つ概念がないので)程度の輸送力がありますので、確実に超えてしまうのです。

#ややこしいのは一部線路を共有するレッドライン(いわゆる空港線)は単独での運用していること。

 また、ポートランドでは近年「Portland Streetcar」なる新しい乗り物がお目見えしました。こちらがLRTになるかというと全線が併用軌道なので「トラム(ただしLRV使用)」ということになります。

 今決めているのは「日本版LRT」の定義であり、ポートランドMAXのようなものは法令を盾にする中央官庁側が却下する(オーバーサイズのため)でしょうし、また、当面の間はトラムやバスからの昇華による導入となることからこのサイズのLRTは導入されないでしょう。

 ただ、法令面は(期待だけでオフィシャルルートによる根拠どころか噂もないのですが)ゆくゆくは解決することでしょうし、また戦略的にも普通鉄道からのダウンサイジングはありえないことではありません。
 そのときに定義がない→検討対象外だともったいないのでこのサイズがあることも考慮に入れた定義が必要なのではないかと思います。

#ただ、当分の間はありえないという理由で今は「日本版LRT」には定義しないというのも一つの選択肢ですし、私自身はそれで問題はないと考えています。

 ポートランドとシアトルを合わせると

「MRT鉄道>モノレール≧ポートランドMAX>トラム・バス(プレメトロタイプ含む)」

と非常にバラエティに富んでいたりします。そこで、それらを現状をまとめてみようと思っているのですが、知識も権限もない私が書くゆえガイドブック情報に毛が生えた程度のレベルになりそうです。そういったものでもこの掲示板をごらんの方々に対する需要ってありそうなものなのでしょうか…?

 最後にポートランド交通関連のリンクを張っておきます。

MAX Right Rail: http://www.tri-met.org/max/index.htm
Portland Streetcar:
http://www.portlandstreetcar.org

Re:LRTの定義をやってみましょう
 投稿者---とも氏(2002/08/18 19:07:21) http://town-m.vop.jp/

 ともです。ごぶさたしています。

 日本での「LRT」の定義を決めるのに海外の事例を持ってきて、そして何の提案もせずに議論を引っ掻き回すだけになるのですが……。

 いえいえ事例を多く出すことで明確になりますから。

 ポートランドMAXは私も以前乗車しています。確かにサイズがでかい。いかにもアメリカンですね。LRTかといわれるとLRTなんですが確かに「長いしでかいし・・・」ですね。
 ただ、輸送力で見ると、中量規模でしてそもそも一応狭義LRTの枠内からスタートしています。ただ、輸送規模の拡大により狭義LRTの枠から飛び出したものといえます。すなわち段階整備LRTです。プレメトロという考え方でも外れてはいないとおもいます。
 同じような例は18m車が4連で走っているロサンゼルスなんかもLRTではなくなる可能性はありますが、混雑の考え方などが日本とは異なりますので、1編成あたりの輸送力ではLRTレベルになります。
 よってMAXは狭義LRTと考えて妥当でしょう。

 ストリートカーは狭義LRTとはいえないでしょうね。トラムでよいと思います。
 メルボルンもLRTタイプ車両でも現地ではLRTという考えではないですし、都市それぞれの考え方の中で狭義LRTになるかどうかということでしょう。

 ちなみにLRTのTはトランジットですが、日本語直訳の交通ではなく米語の公共交通です。よって、アメリカでは規格や輸送力にこだわらず軽軌道公共交通をLRTというのが一般的ですよね。ですからLRTというとものすごく広くなります。
 とはいえ、日本でのLRTというものがストラスブールに代表されるように悲しいかな歪曲してしまっている以上、ある程度決めないと議論がかみ合わないということですね。

 確かに境界事例は多いのです。ロサンゼルスやメルボルンは客観的に見てどちらか悩みます。ただ、LRT=ストラスブールなどのヨーロッパ型という誤解で語りだすとそれこそややこしくなる。トランジットモールは無い都市もあるんですし、TDMメニューだって抑制策ですからなにも諸車乗り入れ禁止が必須でもありません。

 また、法令関係はそれがなにもLRT導入の支障になっているわけではなく、必要があれば特認だってなんだってできるんです。しかも国の政策が路面電車を活用していく方向なのですし。必要があれば改正されます。法律はむやみにこだわらずともよいでしょう。それよりも本来あるべき姿としての都市交通論を固めたいですね。

 そこをきっちり整理していきましょう。

LRTのについての「境界定義」
 投稿者---TAKA氏(2002/08/18 22:41:00)

 TAKAです 今晩はともさん 初めましてくらかけさん。

 今までの定義付けのレスを見ても明らかですが、LRTの定義に境界的事例が数多く存在しています。その上日本には本当の意味での純粋(狭義)LRTと言える軌道輸送システムが存在していません。この様な状況の中では海外の事例を持ち出して検討対象にする事は大切な事だと思います。
 私自身は海外でLRTに乗った事が1回もありませんので(海外にはもう8年間も行っていません。それに海外で乗った鉄道は北京・NYで地下鉄に乗っただけなので・・・)、海外事例に関しては多少本を読んだだけなので、是非とも此処で海外事例に関して紹介して頂けると助かります。  

 それでアメリカのポートランド・ロサンゼルスの「軌道」の話ですが、これは「境界事例」の様な気がします。連結して18m4両の輸送力と言うことになると、輸送力的にはLRTとは言えないでしょう。この輸送力は日本で言えば江ノ電や東急池上線よりかも輸送力が多くなります。どちらもLRTではなく都市・郊外鉄道と定義付けすべき輸送力になります。
 日本ではこの大きさをLRTとは定義できないでしょう。私の記憶が正しければ軌道法での路面電車の長さ制限は30mで広電のグリーンムーバーは特認で運行しているのではありませんでしたっけ?私の記憶に間違いがあるとしても1編成36mの軌道車両というのもちょっと日本で見ると大きい感じがします。しかし軌道が大部分と言うことになると実際はLRTと言えるのかな・・・と思うのですが。

 この様な境界事例は最終的に議論の精度を上げる為、その事例がでてきた時ごとに皆さんと一緒に議論して検討を深めていった方が良いと思います。
 如何でしょうか?皆さん?

Re:LRTの定義をやってみましょう
 投稿者---ゆうなぎ鉄道氏(2002/08/18 22:37:23)

 うーん、皆さんの定義って、やっぱりわかりにくく、しかも鉄道専門家の域を出ていませんね。

 輸送力と定員とか、あまりこだわる必要ないんです。ポートランドなんか、議論の余地なくLRTですよ。なぜって、明確な都市計画にもとづいてフリーウェイ建設のかわりに建設されているんですよ。また最近できた都心部の路面電車もMAXを補完するためのものですから、LRTの一部なんですよ。要するに再度定義すれば、

LRT=路面電車+都市近郊鉄道+TDM+都市計画

ということかな。これはうしろから読んでください。

 都市計画に基づいて、交通計画を立て、そのためにTDM施策を採用し、そのために路面電車や都市近郊鉄道を中心としてバスなどあらゆる交通手段を有機的に結合したシステム。

 つまりLRTの概念は、鉄道とかバスとかの単独の交通手段のことでなく、統合的交通システムのことなのです。ただ基幹に多くは鉄道がある。しかしブラジルのクリチバなんかは、概念としてはほとんどLRTなんですが、やはり基幹バスシステムといいますよね。

 ということで、LRTと基幹バスシステムはあまり違わないことになりますね。

Re:LRTの定義をやってみましょう
 投稿者---とも氏(2002/08/19 00:07:50) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

 うーん、皆さんの定義って、やっぱりわかりにくく、しかも鉄道専門家の域を出ていませんね。

 おっしゃりたいことは良くわかるんです。前にも書いていますが都市交通計画上の位置付け(=都市計画+TDM)に路面電車的な電車がつけばLRTなんです。ベクトルは全く同じと思います。

 でもそこに境界事例が多くなる。ポートランドはおっしゃるとおり完全なTDM対策目的のまさにLRTです。フリーウェイのかわりというか撤去しての敷設ですから(ポートランドの場合は土地利用まで公共交通向けですから言うことなしですが)。

 ただ、そうなるとTDM目的で敷設しながら路面走行もしくは類似環境走行がないシステムの中量軌道や郊外鉄道との直通が無い場合をLRTと呼ばないということになります。またTDMが目的に無いLRTはLRTではなくなるということになります。
 バンクーバーやバンコクのスカイトレインのようにLRTが全区間専用軌道を走るケースは?とかロンドンやシドニーのように実質的にTDMが無いLRTは?とか郊外部だけを走る香港は?MRT端末のシンガポールは?となってきます。
 TDM=都市交通計画上の手段と考えるのならばTDMを必須にするのは私は違和感を感じます。

 そこを明確にしたいのです。
 TDMというよりも「都市(交通)計画」ではないのかなと。TDMというと「自動車からの転換」が必須になりかねません。これは目的ではありますが、手段の特性ではないですね。LRTで自動車が減るわけではないですから。
 そこは外しておきたい。

 中量規模という概念は難しそうに見えて簡単な話です。輸送力は単に車両の大きさに比例しますから。いくら併用軌道でもだれも京津線や福井鉄道、TDM目的でフリーウェイ中央に敷設されたのサンフランシスコBARTをLRTと思わないように車両がおおきすぎればそれは「マストランジット」であり、LRTにはならないですね。規模が大きければMRTになると思います。

 でも、悲しいかな「欧米では6両編成のLRTもあり・・・だから輸送力を根拠にした地下鉄導入正当化は誤り」「路面電車が郊外鉄道と直通しなくてはLRTではない」といったことが実しやかに語られる。いくら編成が長くても単位時間の輸送力では地下鉄以下ですし、郊外鉄道との直通はそれこそ都市計画上の考え方が問題になるだけで、郊外部にまで軌道を延ばす必要が無いのなら不要なわけです。もし輸送力の概念を外してしまうと大量輸送規模の軌道までLRTになってしまい、ヘビーレールとの差がなくなってしまい、「LRT万能論」などということになってしまいます。

 ここが今のLRT論議をごちゃごちゃにしている原因ではないかと。

 ということで、ゆうなぎ鉄道様の書き方で私なりに書くと

LRT=路面電車のような軌道+都市計画(=交通計画+まちづくり+郊外への直通)

となるかと。

 郊外鉄道への直通はオプション(都市計画に入るのでしょうか)。高架・地下の構造は無視。TDMの理念は交通計画に内包。路面電車のようなとは「あの程度の規模・形」という極めて曖昧なニュアンスです。都市計画に位置付けできない路面電車はLRTではない。規模が大きいのも小さいのもLRTとは言わない。あくまで中量規模のみ。ということではどうでしょう。

 対案提示になりますが。ではでは

Re:LRTの定義をやってみましょう
 投稿者---ゆうなぎ鉄道氏(2002/08/19 14:19:00)

 大分煮詰まってきましたね。

 まあ私など人に伝えるのに、いかに簡単に伝えるかが大切だったものですから、こういう定義を考えたわけです。TAKAさんのおっしゃるように、つまるところ

LRT=都市計画にコントロールされた路面電車的軽量鉄軌道

というところでしょうね。
 低床も、軌道位置も、トランジットモールも、都市計画で必要とあれば導入されるわけですから。

 ただ伝えるという立場ですと、従来のモノレールや新交通システムをLRTの範疇に少しでも入れると、ややこしくなります。私の場合、LRT普及を目指した中での定義という限界があります。学術的にどうこうというわけにはいかないのです。何も知らない市民に、LRTのメリットを端的に伝える必要があったからですね。
 LRTのバラエティーについては、学芸出版社の服部さんたちの著作をお読みください。学芸出版社で検索してみてください。これを読むと、LRTの定義の中に、都市計画というよりか、明確な税金投入の考え方が必要だと考えられます。その意味から、運営費に税金投入しにくい日本ではまだLRTが成立しにくいことがわかるはずです。

LRTの定義は技術論の方が分かりやすいのでは?
 投稿者---TAKA氏(2002/08/22 00:30:52)

 ゆうなぎ鉄道さん今晩は TAKAです。

 ゆうなぎ鉄道さんは「LRTは都市計画にコントロールされた路面電車的軽量鉄軌道」と定義されておりますが、私も基本的には賛成です。只都市計画を必須条件にするのは、世界的に見たら時代の趨勢ですが、日本で見ると未だ時代の趨勢足り得ていないと考えます。低床路面電車は日本にもこの頃多数存在しています(広島・熊本・高知・鹿児島・松山・岡山)これらの都市に導入している車両は間違いなく「低床路面電車」です。しかし都市計画との関連性を見たらこの中のゆうなぎ鉄道さんの関わっていらっしゃる岡山が一番近い所にいますが、民鉄が独自に導入した「高知・松山」等は独立して導入して民間企業が運営していて、都市計画とは距離を置いて運営されています。ゆうなぎ鉄道さんの定義ではこれらはLRTではなくなります。

 此処でLRTを日本語に置き換えてみれば「軽軌道公共交通機関」となります。この様に考えると、路面電車もLRTになります。
 此処には「都市計画」は入っていません。ですからあくまでLRTは「軽軌道交通機関」であると考えその内今までの改良されていない乗客に優しいシステムで運行されていない旧態依然の物は「路面電車」である。低床路面電車等を用い利用しやすいシステムに改良した物がLRTである。LRTを都市交通の中で有機的に活用する為に都市計画で総合的に管理する。と言う方が一般的には分かりやすい気がしますが・・・

 LRTの定義に「都市計画」を加え、都市の中での色々な側面で調整された交通機関がLRTであるというのも理解できます。しかし都市計画の中で公共交通機関として都市の活性化に結びつく物はLRTだけではありません。それは都市により異なるはずです。その点と欧米ほど都市計画とLRTを結びつける有機的結合がされている都市が存在しない(岡山が一番近いにしても未だ欧米の都市の方が進んでいるのは否定しよう無いですから・・・)個別の都市で異なる環境なのに其処でLRTと都市計画をくっつけると逆にLRTに制約を付ける様な基がしますが・・
 それならLRTの定義に関しては技術的な目に見える物を根本に据え、「この様なケースの都市計画ならLRTを導入するのが良いのでは?」とツールとしての選択をさせた方が好ましいと考えますが・・・

 とりとめのない様な意見ですいません。私も都市計画の専門家でもないですし、LRTの知識にも豊富であるとは必ずしも言えません、この様な私にも分かりやすい定義には技術で仕切った方が分かりやすいのでは?と思って書き込みました。如何な物でしょうか?

Re:LRTの定義をやってみましょう
 投稿者---とも氏(2002/08/19 15:03:00) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

LRT=都市計画にコントロールされた路面電車的軽量鉄軌道

 そうですね。極めて解りやすいと思います。
 ただ、都市計画にコントロールされた・・・という意味を勘違いされないようにしないといけませんね。

 ただ伝えるという立場ですと、従来のモノレールや新交通システムをLRTの範疇に少しでも入れると、ややこしくなります。私の場合、LRT普及を目指した中での定義という限界があります。学術的にどうこうというわけにはいかないのです。何も知らない市民に、LRTのメリットを端的に伝える必要があったからですね。

 広義・狭義のそもそもの話はそこから来ています。
 LRTのメリットを挙げていただいたら新交通なんかと同じになってしまった。機能的には同じではないかと。でもAGTは違うし鉄軌道のAGTもあるから・・・となってスパイラルにはまってしまった。
 で、えーいということで、路面電車的なものを「狭義のLRT」=LRT、その他LRTかどうか曖昧なものを含め機能的に近いものを「広義」=中量システムとしてはという話です。
 その上で、LRTとはといえば狭義に限定されますから、ゆうなぎ鉄道様の書かれるとおりです。

 LRTのバラエティーについては、学芸出版社の服部さんたちの著作をお読みください。学芸出版社で検索してみてください。これを読むと、LRTの定義の中に、都市計画というよりか、明確な税金投入の考え方が必要だと考えられます。その意味から、運営費に税金投入しにくい日本ではまだLRTが成立しにくいことがわかるはずです。

 そうですね。ただ、この辺は微妙な問題もはらみます。日本では独立採算が前提ですから欧米のようなシステム導入が本当にできるのかということはありますし。(私は上下分離でいいじゃないかと思いますが)
 私はまずは理想系ではなく、90点ぐらいでなんらかの形になったLRTが出来ることが第一だと思います。ですから岡山に期待しているのでして(笑)
 運賃収受やら総合的な都市交通運賃制度などは別にLRTに限定される話ではなく、どこかでしっかりした制度が確立できれば・・・と思います(長野や浜松など期待できる都市はあります)。
 そうすれば組み合わせで出来るのでなんとかなるのではないかとも。

 なんかまとまりませんが。ではでは。

やや横レス:定義は大事です
 投稿者---和寒氏(2002/08/20 12:15:20) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 皆様、こんにちは。

 いきなり余談ですが、「構造改革」という用語はたいへん便利なものです。なぜなら、受け手側がそれぞれに定義可能な、極めて曖昧な(あるいは包括的な)概念であるからです。構造改革の具体的な定義は、実はされていない。まあ、現下の状況では定義する必要がないということもあるのですが。
 LRTという用語も、以上の状況に近いものがあります。このLRTという用語に、受け手側がそれぞれ自分の考えを当てはめてしまうがゆえに、議論や意志疎通の際に不都合が生じる。それが問題なんでしょう。

 ゆうなぎ鉄道様の定義は、用語が包含する意味の多面解釈を防ぐという意味において、極めて有効であったと考えます。これは議論をするうえでの鉄則です。また、多くの方の理解を獲得するという観点からも、有効であったでしょう。
 その一方で、都市計画やTDMという包括的な概念と、郊外鉄道+路面電車という極めて限定的な概念が組み合わさっているため、応用性に欠けることは確かです。より正確にいえば、岡山以外の都市で使える概念といえるか、疑義が残るのです。

 どの都市でも使える概念を呈示したい。それがとも様の発議の根本であると理解します。であるならば、多様な交通システム(軌道系といえないものもある)を広義LRTに包含するのは正当だと考えます。
 そして、その広義LRTのなかで、岡山版の定義はこうだ、ということなのだと位置づけられるように思います。
 とも様の発議は、どちらかというと学術的なアプローチです。これは、(地理的範囲や概念などで)幅広い議論のなかで混乱を惹起しないために、必要な定義であると理解しています。

Re:LRTの定義をやってみましょう
 投稿者---アバント氏(2002/08/21 03:04:22)

 初めまして。アバントと申します。LRTの定義が面白そうなので、ちょっと私見を書かせて貰います。

 LRTの定義って、難しいですよね。日本と欧米では定義が随分違うようです。日本では路面電車というイメージが強いですが、欧米では線路の敷設形態がLRTの基準となっているような気がします。広義、狭義というLRTの定義が出ているようですが、あくまで日本ならではの視点、ということでしょうね。

 ところで、LRTを都市計画としてとらえる視点は賛成です。都市計画の中で有効だからこそ、LRTが脚光を浴びてきたわけですから。
 そこでLRTの定義ですけど、こんな風では如何でしょう?

  1. やはり軌道型交通なので、鉄車輪で走ることが前提。だから、バスよりも生産性が高い。

  2. 導入手法が柔軟なこと。だから路面でも走れるし、鉄道への乗り入れも出来る。都市への導入がしやすい。

  3. 建設・運営が低コストであること。鉄道よりも金がかからないシステム。運賃収受など、まさにここに該当。

 中量輸送システムであることも特徴だけれど、まぁ2.で説明できているかと・・・。
 こうやって説明すれば、ストラスブールもクアラルンプルも同じ範疇に入るかな?もちろん、この3つにも例外はいっぱいありますし、ちょっと抽象的なので、どうしても補足した説明は必要になりそうです。

 ところでTVR(トランスローア)とありますけど、全く別物です。これを書くなら、ゴムタイヤ・トラム(TVR、トランスローア等)とした方が良いかもしれません。

Re:LRTの定義をやってみましょう
 投稿者---KAZ氏(2002/08/21 10:35:14)  http://www5b.biglobe.ne.jp/~ktnh/momo/

 ちょっとだけ。

 個人的には「鉄車輪で走る(狭義の)新交通システム」と説明しています。これなら路面電車との混同も避けられるかな、と思いまして。鉄車輪だから普通の電車や路面電車とのも相互乗り入れできるし、踏切も作れるから今のゴムタイヤの新交通みたいに全線高架や地下にしなくても済むんだよ、と説明してます。広島を知っている人になら「アストラムの車輪をタイヤから鉄車輪に換えたら広電の市内線に直接入れるでしょ?そういうことだよ」と言うと、結構納得してくれたりしますね(笑)。

近鉄北勢線、三岐鉄道へ経営権移譲…三重県方針
 投稿者---551planning(2002/08/17 00:03:34)
近鉄北勢線、三岐鉄道へ経営権移譲…三重県方針
└Re:近鉄北勢線、三岐鉄道へ経営権移譲…三重県方針

 …だ、そうです。

【検証:】注目記事紹介 http://moomoo.gaiax.com/www/moomoo/t/a/trafficmap/diary.html

 近鉄は平成14年度での全線廃止を届出済みで、昨年度の鉄道事業法改正により地元協議を経ずとも1年での廃止確定と見られていただけに、まさに逆転ホームラン、と云えそうですが…。

近鉄 北勢線鉄道事業廃止届出 http://www.kintetsu.co.jp/

***
 実は当方、7月に当地を通りました。
 三岐鉄道完乗後、伊勢治田からは員弁川へ下りつつの一本道で阿下喜へ。丁度昼下がりの穴の時間で1時間以上の待ち…並行する三重交通路線バスは2ルート計1時間2本あり、さらに駅前にはショッピングセンターがあるものの冴えないもので、他に喫茶店もない状況…いつの間にか日は高く上り、夏の暑い最中待合室でしばし休憩。
 待ちわびた軽便電車も非冷房であったことを思い出し愕然としつつ、結局自然風を楽しめるところも少なくなったとふと思ってみたり。到着した数10名弱も半分は御同輩でとんぼ返りのご様子。みな熱心に撮っておられました。
 発車直前に部活帰りの女子中学生が大挙乗車、一気に騒然となる中、列車は更に悲鳴を上げます。林間ルートで軌道の手入れも十分でなさそうなのは致し方なし?中間点で車庫のある北大社までそんな感じが続きます。
 北大社で学生軍団が大挙下車、その後もさほど利用者が増えることなく西桑名に到着。またも御同輩を受け入れ、阿下喜へとすぐ折り返してゆく軽便電車の後姿をしばし目に焼き付けておきました。

 沿線人口、起点求心力を見ても北勢線のほうが上なのに、結局貨物輸送で三岐が残る結果は皮肉。ただ北勢線の場合は放置プレイの結末と地元も思っているのか、沿線含め反対の看板は共産党のものしか見ませんでした…主要道もそれなりに整備されており、全くのクルマ中心の地域であることを改めて感じた気が…と思っていたのですが。

***
 近鉄が云うように特殊狭軌線に投資を施して維持することへの抵抗感は現地を訪ねて感じました。ただ、切迫した状況でないということも云える乗りがあったことも事実、せめて桑名通勤圏の限界であろう北大社までは、とも感じましたが、三岐自身もそれなりにやる気となると、どうなるでしょうか…。

Re:近鉄北勢線、三岐鉄道へ経営権移譲…三重県方針
 投稿者---和寒氏(2002/08/17 07:29:55) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

→これは驚きました。私の推論の正しさが、確認できたような気がします。
 近鉄は超ナローに投資したくない。企業マインドとして、それは理解できるのです。しかし、だからといって、いきなり廃止というのは飛躍がありすぎると感じてました。
 これに関する検証記事を、いま一度整理しておきたいところです。ただいま繁忙なもので、来月になるかもしれませんが。

放置自転車実態調査から  投稿者---551planning(2002/08/17 11:28:42)

  8/5、内閣府から「平成13年度 駅周辺における放置自転車等の実態調査の集計結果」が発表された。
 この調査は全国の市、および三大都市圏の区町村計796市区町村にある駅から約500m圏内の放置自転車数(2001年10〜11月の晴天の平日の11時台前後)を調べたもので、1977年から2年おきに実施されている。全国での総数自体は91年(830,000台)以降減少し今回は前回比21,000台減の541,000台。

http://www8.cao.go.jp/koutu/chou-ken/h13houchi.pdf

 気になるワーストだが下記の通り。

2001年度   1999年度
1 天神 4,530台   1 池袋 4,330台
2 新浦安 3,710台   2 天神 3,870台
3 蒲田 3,280台   3 亀戸 3,540台
4 名古屋 3,140台   4 巣鴨 3,270台
5 岡山 2,980台   5 蒲田 2,830台
6 赤羽 2,940台   6 名古屋 2,710台
7 大宮 2,530台   7 川崎 2,630台
8 新宿 2,510台   8 相模大野 2,610台
9 南行徳 2,470台   9 布施 2,320台
10  池袋 2,440台   10  千葉 2,170台
             
33 亀戸 1,800台   20 岡山  
46 千葉 1,570台   22 大宮  
49 川崎 1,520台   24 新浦安  
67 巣鴨 1,350台   43 南行徳  
78 布施 1,170台   53 赤羽  
182 相模大野 750台   90 新宿  

 放置自転車というのも2種類あると思う。日中停まりっぱなしの通勤通学型と、所用時の一時停車である用務型である。そう考えると、大きな業務・商業スペースもない岡山は意外に映るが、学校が郊外にあるため通学需要が推定できる。一方で南行徳は明らかに通勤通学型が太宗を占めているものと考えられる。営団東西線沿線での乗降者数からすると駐輪場整備の遅れが読み取れる。
 蒲田や赤羽など、通勤通学型と用務型が合わさるところの対応は難しい。前回ワーストだった池袋を抱える豊島区は駐輪場整備を目的とした外形標準課税の導入で鉄道会社に課金しようと考えた。各社反発しているが、今回の調査では鉄道会社自前での駐輪場整備は全体の1割に満たないのも事実。高架下など場所の提供に留まる場合が大きいようだが、高度集積地域である繁華街でのスペース確保は自治体とて難しく、八方塞がりの状況打開策は見えてこない。
 その意味では武蔵野市「ムーバス&ムーパーク」のような公共交通誘導策は参考になる。岡山の話は当板でも丁度出ているが、TDM(交通需要マネジメント)の1施策としての既存軌道系交通の魅力向上、さらには延伸などによる輸送力の増大への取り組みは注目といえよう。

***
 なお、東京都でも同時期に同様の調査を行っている。こちらも紹介しておこう。

13年度http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2002/04/60C44500.HTM
12年度
http://www.metro.tokyo.jp/INET/CHOUSA/2001/05/60B5V500.HTM

2001年度   2000年度
   

東京都発表

内閣府発表        
1 蒲田 3,591台 3,280台   1 亀戸 3,871台
2 赤羽 3,151台 2,940台   2 池袋 3,724台
3 新宿 3,000台 2,510台   3 巣鴨 3,352台
4 池袋 2,679台 2,440台   4 新小岩 3,145台
5 大森 2,644台     5 葛西 2,824台
6 中野 2,512台     6 中野 2,599台
7 立川 2,440台     7 小岩 2,563台
8 府中 2,354台     8 蒲田 2,418台
9 豊洲 2,147台     9 町田 2,406台
10  新小岩 2,127台     10  渋谷 2,370台

 実はこのように、ほぼ同時期の調査とはいえ近似とはいえ結構ムラがあったりする。
 当方が利用する東西線西葛西駅は3年ほど前に増築改修工事が行われたのと同時に江戸川区によって有料地下駐輪場が設置された。当初は放置自転車が激減したように感じたが、最近ではまた目立つようになっている。開設当初は契約確保目的で取締りが強化されたが、安定需要を確保できたために「上辺の取締り」になったと批評することもできると考える。
 このように、駅の規模との釣り合いや調査主体と整備主体の違いによる「温度差」(すなわち、調査時期近辺での取り締まり強化などである程度台数をコントロールすることは可能と思われる。前回ワーストの場所ががくんと下がっているのも一要因の端的な現れ)を見なければその実態は理解できない面が分からない部分もあって、こうした調査は1指標ながら難しいということを表しているといえないだろうか。
 話を戻すと、フォローというわけではないが江戸川区では積極的に駐輪場整備を進めていることは事実、しかも駅前の立体利用(概ね地下駐輪場)でありがちな駅と離れていて…ということを極力なくそうとしている努力は特筆しておきたい。

 自転車との付き合い方、我々自身も見直しては、ということで関連サイトを御紹介しておこう。

交通とまちづくりのレシピ集 自転車を活用しよう! http://town-m.vop.jp/bike-00index.html

2004.11.02 Update


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