【検証:】中量板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】<中量輸送システムの明日…>
(過去ログNo.341)
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コミュニティバスからコミューターバスへ…ミニバスが拓く路線バスの可能性
 投稿者---551planning(2002/06/30 23:19:34)
コミュニティバスからコミューターバスへ…ミニバスが拓く路線バスの可能性
└事業者主導か行政主導かは程度の問題では?
 └本来的には「利用者主導」であるべき
  └運営面と機能面の違い
└小田急バスの「成城学園前〜千歳烏山線」から「コミューターバス」を考える
 └Re:小田急バスの「成城学園前〜千歳烏山線」から…
  └混沌の中にある日本のミニバス交通システム

 「コミューターバス」…6/28付神奈川新聞記事に大きな文字が躍った。
 要旨はというと東急バスが来年秋を目処に、日吉駅−井田病院−新日鉄研究所跡地間(約2.2km)に20人乗り小型バス4台を投入して終日10〜20分間隔の運行を計画中というもの。川崎市議会質疑応答に出たもので、市側も交通空白・不便地域の解消を図るもので実現に協力する姿勢ということである。

 “commuter”は「通勤者」という直訳であるが、日本ではコミューター航空という言葉がまず浮かぶ(尤も、航空分野では現状は“regional”、地域間輸送という意味合いが強くなっているか)。バスに置き換えれば短距離(高頻度)中量輸送という概念となろうか。総体的な意味で「コミュニティバス」が地元自治体の関与を前提とするのに対し、事業者主導での路線開設という意味で使ったものと考えるが、このような例も昨今珍しくなくなってきた。以前御紹介した新京成電鉄の団地路線や京成電鉄による金町・南水元地区「アイリスループ」もコミュバス的に見られがちだが事業者主導である。
 そんな中「コミューターバス」として注目すべき路線がこの6月に登場した。京王バス・関東バスの永福町−松ノ木住宅−新高円寺駅−高円寺駅南口線である(高45・朝ラッシュ時は新高円寺折り返し:新02)。従前京王バスが運行してきた永福町−松ノ木住宅線を新型車両の投入とともに高円寺駅まで延伸したもので、南北間移動の弱い杉並区では貴重なバス路線となった。

ミニバス商戦を探る〜千葉からのリポート〜 ../report/040.html

***
 6/29(土)の昼下がり、梅雨時期らしい曇天模様の高円寺駅南口ロータリーにちょこんと永福町行の関東バス便が停まっていた。関東バスの既存路線は210円だが、京王バスに合わせて200円で運行しているため、外側にもステッカーで示されている。沿線の大宮八幡宮の宣伝もラッピングされており賑やかだ。日中は15分間隔で運行しており、さらっと席が埋まる形で出発、南進して青梅街道との交差点を右折すると営団丸の内線の新高円寺駅、ここで立客が出た。おもむろに左折して細道を行くがすぐ右折し五日市街道に入る。中野駅と五日市街道営業所方面とを結ぶ通常車体の既存路線も走る2車線道路をゆく。
 松ノ木で左折し、センターラインのない狭隘道を進む。松ノ木商店街では対向車にも一苦労…完全新設停留所の松ノ木公園で下車し、商店街を行ったり来たりすると、松ノ木住宅北隅のバス回転場があった。従前の京王バス単独路線も小型車を使用していたが、狭隘路もあるとはいえ、この先は関東バスのテリトリーとして入っていなかったのか…見えない境界線を越えた気がした。
 商店街で対向車を待つもなかなか来ず、結果的にはバス同士の対向を見ることができたがやはり大変そう。これまた新設停留所の松ノ木二丁目から今度は京王バス車両で永福町を目指す。既存路線の設定理由であろう松ノ木国家公務員官舎を横目に南下すると都営和田掘公園。善福寺川を超え、林間の狭隘区間を進むと大宮八幡前交差点へ。ここから方南通りへ入って広い通りをきびきびと走る。スーパーサミット本部の西永福交差点から井ノ頭通りに入ってしばし、永福町到着は車両交換の都合もあってか京王バス車庫となった。蛇足ながら永福町からの路線は駅前の停留所から大宮八幡前交差点までの比較的狭いながら一方通行の道を一気に北上する。

 関東バスもそうだが、以前は大型3扉車両中心であった京王バス。現在でこそ珍しくなくなったが、「チョロQ」とも云われる7mクラス中小型バスの端緒は京王と日産ディーゼルとの共同開発(RN系)であった。短尺ながら車体幅を在来車と同じ2.3m幅として室内居住性を高めたこの小型バスを以後積極的に導入している京王だが、一方で狭隘路線での取り回しに難点を残していたのも事実。今回投入された三菱エアロミディMEの最新作は車幅2mとなり狭隘路線への投入が容易となった。車高は従来車と同様とし、居住性を損ねないようにしている(京王のサイト掲載写真でRN系と並ぶ姿からその細面ぶりが伺えよう)が、さすがに車内も狭く、前扉から入るとすぐ前輪タイヤハウスのデットスペース、進行方向右側は前向き3列、左側は跳ね上げ式の内向きベンチシートが1.5人掛けほどで中扉があり、高床となる後席は1−2掛け席2列、最後部は4人掛けというスタイル。立席スペースもそんなにあるとはいえない。
 小型バスのベストセラーである日野リエッセ唯一のマイナスポイントであったノンステップ対応もMEではクリアしている。永福町車庫では「すぎ丸」との並びも垣間見えたが、すぎ丸への投入も十分可能といえる。その意味においてコミュニティバスとして南北交通を実現した「すぎ丸」と、今回のコミューターバス路線である松ノ木線のコンセプト対比…特に運賃面、採算性なども今後注目になるかもしれない。

http://www.keio.co.jp/news/newsr/nr2318.htm

 建設省・世田谷区主導による運行実験から3年、小田急バスの単独運行開始から丸1年が経た成城学園前駅−千歳烏山駅を結ぶ路線(成06)にも試乗してみた。7mクラス通常車体幅のノンステップ三菱車で松ノ木線と近いものを感じるが、こちらはCNGバスで屋根上のガスタンク部分の突起で知られている。

***
 下調べせずにやってきた千歳烏山は初めて降りた地、駅頭のバス停案内に従い、成城学園駅行きと書かれた北口乗り場へ向かうが、細長い駅前商店街を抜けて旧甲州街道沿いのビル1Fをくりぬいたような折り返し場にようやくたどり着くと、出入庫路線チックな朝夕時のみの運行との時刻表が…どうもおかしいと思いつつ、また駅の掲示に従って南口へ行けばこんどは京王バスの千歳船橋行きのみ。どうにも解せないと喫茶店で休息中に調べ直せば、小田急バスのサイトに乗り場が載ってましたよ…駅からかなり離れたところになるんですねぇ。

http://www.odakyubus.co.jp/topics/seijo-chito2.htm

 何とか無事に試乗することができたものの、乗ったとたんに進むは先程の千歳船橋行き乗り場の向かい!確かに乗降停車するには手狭なところというのは理解するものの、何とかならないものか…そもそも京王駅での掲示がないのがなんとも解せない。
 しばし2車線道路を進み、榎交差点で右折すると急に狭隘路。この交差点を中心に各方向とも渋滞が発生しており、道が細いのと電柱が邪魔をして乗用車との対向もかなり難儀、駒大グラウンドまで結構時間を食う…松ノ木線よりも厳しい環境にあるともいえる。そういえば試乗しているバスも烏山発車時点で5分近い遅れを生じていた。しかもここは9mクラスの通常車両が走る路線も通っているというのだから驚くばかり。
 車内も途中乗降で立客を出しており、榎交差点時点で後続の別路線バスを確認しているため、一部バス停では降車対応のみして乗車客を乗せない措置を取ったのだが、運転手が車外放送をしなかったため待客が思わず扉を叩くシーンも…これはいけません。
 仙川を越えた先で左折、成城通りに入るといつのまにかでかい洒落た住居が増えた。成城学園駅前では右回り周回。この路線の千歳烏山駅付近もそうだったが、駅改札との位置的に道路横断を伴う設定は如何なものだろうか。成城学園前付近も繁華街の狭隘路とあって自由が効かない面もあるだろうが、いちげんさん的には柔軟性のなさを感じさせるものがあった。

***
 コミュニティバスからコミューターバスへ。バス事業そのものの復権、あるいは新たな可能性を期待させる車両の登場には今後とも注目して行く一方で、折角見出された方向性に詰まらないけちが付かないようなしなやかさをも、我々利用者は求めてゆきたいところではないだろうか。
 ともあれ、ムーブメントはやはりムーバス、すぎ丸を生んだ東京都区西部から起こるのか…全国的な波及を期待したい。

事業者主導か行政主導かは程度の問題では?
 投稿者---かまにし氏(2002/07/01 00:25:23)

 こんばんは、かまにしです。

 私は、ミニバスを使った交通システムは多くの場合、大型バス・高速バスと比べると収益ベースに乗りにくいため、完全に事業者主導なものも少なく、また民間事業者に委託をする以上、完全な行政主導にもなりえないのだと、今のところは認識しています。

(ただしムーバスだけは、一番最初ということで、コミュニティバスに対する世の中のコンセンサスがなかったため、行政主導にならざるを得なかったのでしょう。)

 私は半年ぐらい前に、「すぎ丸」についてヒアリングをした時、杉並区の交通対策課の方から「現在、すぎ丸に次ぐ、南北交通網の第2弾として京王バスの松の木団地線を高井戸に乗り入れるという話を進めている」と伺いました。しかし「南北交通」というコンセプトは同じであれ、あえて形態をかなり対照的なものにしていることは、杉並区にとっても今後の展開に関する実験的な要素があるのかもしれません。そういう意味でも確かに今後に注目していきたい路線です。

 そして、「アイリスループ」や世田谷の千歳烏山〜成城学園前の路線が、導入にどのようあ経過をたどったのか、ぜひ調べてみたいと思います。

本来的には「利用者主導」であるべき
 投稿者---551planning(2002/07/02 00:23:30)

 ミニバスを使った交通システムは多くの場合、大型バス・高速バスと比べると収益ベースに乗りにくいため、完全に事業者主導なものも少なく、また民間事業者に委託をする以上、完全な行政主導にもなりえないのだと、今のところは認識しています。

 仰せの通りです。今回の松ノ木線にしても、御指摘の通り、また従前紹介の京王サイトにある通り、杉並区の関与は事実でしょう。「すぎ丸」の存在が生んだ路線といっても過言ではないでしょう。
 しかしながら、「行政による運行コスト負担の有無」というポイントは決定的に異なります。「すぎ丸」が100円であるのに対し松ノ木線が200円であるという運賃設定こそがそれを如実に示しています。すなわち裏を返すと、採算性を度外した路線開設というリスクが負えない状況下での路線開設である以上、事業者側には相当の自身があるのでしょう。エリアの都合から関東バスとの共同運行になっていますが、その関東バスが自社の210円の運賃と異なる運行形態に同意した点もそれを伺わせます。

#蛇足ながら、その運賃のズレが自社共通定期使用者の選択乗車を許していない(他社バスに乗れない)という弊害を残している事実があったりするのですが…。

 ただしムーバスだけは、一番最初ということで、コミュニティバスに対する世の中のコンセンサスがなかったため、行政主導にならざるを得なかったのでしょう。

 一連のコミュニティバス評価議論の中でも示してきたつもりですが、確かにムーバスは武蔵野市の施策として注目すべき事例であり、地方自治体にこぞって近似例が生まれた所以でもあるわけですが、現実的に常時混雑する状況が続いていることについて具体的な対処が継続的に行われているのかという評価に懐疑的です。また、沿線停留所での吸殻問題やプライバシーなどの懸念が出ていることもまた事実です。いちいち取り上げていればキリがない、というのもありましょうし、政治的にも地区偏重が許されない分全市域への路線拡大が第一義になってしまったということもありましょうが、「行政主導」の観点からすればまさしく鏡であっても、その鏡に利用者の視点が映し出されているのだろうか…とつい思ってしまいます。
 無論それが事業者主体の場合にはなされるのだ、ということは(残念ながら)決してありませんし、といって行政に引っ張られないと改善されないようではこれまた問題であるというのも事実ですが…。

運営面と機能面の違い
 投稿者---とも氏(2002/07/05 00:56:26) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

 そもそもコミュニティバスとはなんぞやという点があいまいであることが話をややこしくしているとおもいますが、「行政なりが関与する形で低密度もしくは低需要区間において、モビリティ確保や住民ニーズに応えるために運行するシステム」ですよね?

 そう考えれば、運営面から見ると松ノ木線、東急トランセは明らかな一般乗り合い路線であり、すぎ丸、ムーバスはコミバスになりますね。

 一方、機能面から見ると、東急トランセやムーバスは市街地の低需要区間を回るスタイルであり、すぎ丸や松ノ木線はコミューター的シャトル路線バスであって、いわゆるコミバスとは違う概念になります。
 よって、東急トランセとムーバスは利用者からしてどう違うのか、その差として運賃以外には明確に見えないのが実際です。すなわち、利用者はその路線がコミバスであろうが純民間であろうが「利便性の高いバスシステム」があればよいのであって、両者ともそれを行っているのですから差が見えてこないのです。

 バスシステムを機能で見るか運営でみるかということですが、交通計画としては機能ありきで運営手法を考えていくスタンスが基本であって、運営から分けていっては矛盾が生じてきます。
 すなわち、都市施設の機能として必要かどうかがまずあって、その上で収益性や採算性に問題があるかをチェックをし、費用対効果において必要性が高いと判断できるのなら行政負担=住民負担においてモビリティ確保を行っていく。
 それがもし純民間ベースで可能なのであれば世田谷南北のように行政主導でスタートしながらも完全民間ベースでやればよいということではないでしょうか。

 これまで、コミュニティバス路線の多くは運営面でも画一的ですし、機能面でもさほど差はなかったので、「コミュニティバス」という言葉を運営にも機能にも持たせられたのでしょうが、松ノ木線やすぎ丸のようにその定義に当てはまらないコンセプトの路線が現れてきたことを考えれば、従前の枠にとらわれない新たなものを考えなくてはならないのではないでしょうか。

 まとまりませんが。ではでは

小田急バスの「成城学園前〜千歳烏山線」から「コミューターバス」を考える
 投稿者---TAKA氏(2002/07/10 20:56:11)

 「コミューターバス」というのは、近年になって出てきた概念であると思いますが、「コミューターバス」の概念を短距離中量輸送という考えで捉えるならば、小田急バスの成城学園駅北口発着路線は、有る意味で「コミューターバス」を考えるのに好ましいと言えるかもしれません。

 現在成城学園駅北口発着路線は、千歳烏山行・千歳船橋行・仙川経由狛江行等のバス路線が有りますが、これらの路線は榎〜仙川間の道路が狭小で有る為中型バスを用いて運行しています(私も車でこの道をよく通りますが、非常に狭く私の幅が2m近くある乗用車でも、普通の乗用車とのすれ違いに困難を感じますし、非常に混雑している道です)。
 又本数も仙川経由狛江行きは約毎時6本、千歳烏山行と千歳船橋行の両方が運行されている、成城学園駅北口〜榎間も約毎時6本運行されています。それでかなりの利用客がありますし、狛江線の入間町1丁目・千歳烏山線・千歳船橋線の上祖師谷4丁目までは、成城よりかなりきついですが、広義の徒歩圏内と言えます(私の会社の本社が留学生会館前(上祖師谷4丁目の一つ手前)にあり7月より本社に移転してきましたが、会社の人間で結構歩いている人も居ます)。
 又留学生会館前のバス停には、結構常時タクシーが止まっていて、結構相乗り等で成城まで利用する人も多いです。又基本的にはこの近辺の人の流動は、成城に向かって流れています。

 私の個人的考えでは千歳烏山と成城では電車に乗ってしまえば千歳烏山の方が便利ですが、千歳烏山行きのバスの本数と上祖師谷4丁目〜榎間の狭隘道路部分で時間が掛かるのと、留学生会館からだと成城の方が近いのと、対千歳烏山への本数が対成城より少ない為、私も通勤に成城経由か千歳烏山からタクシーを使っています(毎日通勤でなく、パスネット・バスカード使用の為経路は比較的自由に選択できる為)。

 この様な環境は、有る意味で「コミューターバス」を運行するのに理想的環境とも言えると思います。本数が多くても需要が望める環境、所要時間も程々の距離・時間、又道路の制約で大型バスが運行できない等の環境にあります。
 私は東京の実例しか知りませんが、東京では「コミューターバス」は東京の西部地域に多く広がっています。その中で主に形態として4つのパターンの組み合わせであるかと思います。

(1−a) 駅を中心としたフィーダー路線
(1−b) 今まで狭隘道路でバスを運行できなかった地域の南北間路線
(2−a) 官が誘導し民間が自己の採算ベースで運行する路線
(2−b) 官が補助し民間に運行を委託して、運賃も安く運行する路線

 これを現実に当てはめて考えると、千歳烏山線や松の木線は(1−b)と(2−a)の組み合わせの路線、武蔵野市の「ムーバス」は(1−a)と(2−b)の組み合わせ路線、杉並区の「すぎ丸」は(1−b)と(2−b)の組み合わせ路線、という形になると思います。

 基本的に「コミューターバス」は需要が予想できる都市・近郊地域を対象にする物と考えれば、(1−a)(1−b)に関しては地域の特性でどの様な路線を設定するか次第なのでどちらでもよろしいと思いますが、運行形態に関する(2−a)(2−b)に関しては、官が誘導することに関しては問題ないかと思います(望ましいことであると思います)が、必ずしも100円ワンコインの運行にするような補助をするのには疑問を感じます。
 少なくとも運行業者にしてみれば狭隘路線用に小型バスを導入する為の費用や、小型バスによる1台当たりの運行コスト減以上の収入減に関しては、採算性が悪化する分に関しての官の誘導の責任に応じた公的補助を貰うべきとの考えも有るでしょうし、それに関しては官の誘導に対する応分の責任を果たす意味でも、補助せざる得ないでしょう。
 しかし近隣の完全民間主導路線が210円の運賃で運行しているのに、(2−b)の形態で運行されている路線だけ100円で運行されていると言うことに、210円の路線を使用する乗客がよく思うでしょうか?(私ももし千歳烏山線が(2−b)の形態で開設されていて100円で運行されていて、私の利用区間の並行路線の千歳船橋線が210円で運行されていたら、文句の一言も言いたくなるでしょう。しかしまず其処までのことはないでしょうが・・・並行路線区間で二重運賃を設定することはないでしょうが・・・)

 正直言ってまだ「コミューターバス」を運行することの出来る区間は沢山有ると思います(例えば「松の木線の桜上水延長」「すぎ丸の浜田山から八幡山への延長」「八幡山〜経堂」「経堂〜桜新町」「千歳船橋〜仙川」等々が考えられるでしょう)。
 只闇雲に補助を与えて、低運賃で運行することには疑問を感じます。東京では完全民間ベースの200円や210円のバスが多く運行されていて、多くの人々の欠かすことの出来ない足となっていることも考えると、必ずしも補助で運賃を下げて「コミューターバス」路線を運行する必要は必要ないと思います。
 あくまでも官は好ましい方向を総合的に考え民間をその方向へ誘導して、民間がどうしても採算を改善できない部分だけ官が補助する様な形態を有る程度基本的ルールとして定めておくべきでしょう。
 官も杉並区の例のような試行錯誤をしていますし、又千歳烏山線のような高需要を期待できる(成城から乗ると小型バスのこともあり結構込んでいる=需要が存在する)路線ばかりとは限らないでしょう。
 只実質的「コミューターバス」路線を完全民間ベースで運行している例も存在している以上(千歳船橋線や狛江線・東急トランセ等)有る程度官の役割についても考えながら今後の「コミューターバス」路線の育成について考えるべきでしょう。

 只これらの考えは「コミューターバス」を基本的に否定する考えではありませんし、都市にもまだ存在する不便な地域に対する改善策として、官がその方向へ民間事業者を誘導して新規「コミューターバス」を開設することは好ましいことであると思います。只今後開設するような路線は、必ずしも千歳烏山線のような需要に恵まれた路線ばかりとは限らないでしょう。又「ムーバス」のような住宅地内で狭隘な地域の交通手段の改善も重要でしょう。
 その中で基本的な最低限のルールを作るのも不平等を無くす為にも必要でしょうし、今後「コミューターバス」路線を広げる為の合意を得る為にもよいことであると思います。
 これだけ「コミューターバス」路線が出来てきた事で、逆に課題も浮き彫りになってきたのかな?と感じます。

Re:小田急バスの「成城学園前〜千歳烏山線」から「コミューターバス」を考える
 投稿者---とも氏(2002/07/11 20:04:20) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

○コミュニティバスとは
 まず、コミュニティバスとはなんぞやという概念からすれば、まさにシビルミニマムサービスの一環であって、交通弱者を救うことを目的に、(福祉的意味合いの強い)公的負担の上で短いバス停間隔や狭隘な地域に入り込んでいるというのが一般的な考え方です。
 ムーバスはまさにその典型であって、武蔵野市の負担においてインフラを準備し、運行のみを委託することで成立させているいわば半官半民のバスであり、通常の路線バスと同格で比較するものではないと考えます。
 よってそれが民間で成立するかどうかという話ではなく、まず機能的なものも含め、福祉政策的な観点からの評価も必要になります。

 そもそもコミュニティバスはイギリスや北欧にあるサービスルートやSTサービスなどの福祉バスサービスを日本に持ち込んで変形させたものであって、あくまで福祉政策的な意味合いを持たなくてはなりません。ただ、ムーバスの場合はそれをシルバーパスなどを使えないようにすることで一定の住民負担で成立させるという手法を採用したことで黒字に出来たと考えればよいものと考えています。
 ですから、極論を言えば需要が多かろうが少なかろうが、福祉政策的に必要であれば設置しなくてはならないのがコミュニティバスではないかと考えます。

○ではコミューターバスとは
 
そもそも定義自体があいまいなままで議論するのは危険ですが、地域密着型で高頻度運行のバス全体をコミューターと考えればよいのであれば、日本全国いたるところにコミューターバスは存在することになります。
 おそらくそうではなく、バス停間隔が比較的短いなどの交通弱者救済的側面=福祉政策面をもっていて、かつ高頻度運行されている路線を指すのではないでしょうか。そうであれば、まさに世田谷南北や松ノ木線が該当するのでしょう。
 コミュニティバスといえば「行政負担が入るモビリティ確保路線」、コミューターバスはコミュニティバスと「モビリティ確保を目的する路線で直接的な行政負担の無いもの」と解するのが適切ではないでしょうか。

○成城学園付近の路線は
 
成城学園〜仙川・調布・狛江方面のバス路線は私の場合週3〜4回は使いますので、良くわかりますが、確かに本数が多く、便利な路線ではありますが、あえてコミューターというよりもただの路線バスに過ぎないのではないかというのが率直な感想です。
 それが本数が高頻度で、かつ中型車を使っているから似ているだけで、松ノ木線やすぎ丸、ムーバス、世田谷南北とはまったく別物と考えます。
 ましてやコミューターと呼ぶには役不足であり、単なる狭隘バスと考えますがいかがでしょうか。決定的な違いは「最初から交通弱者対策を目的の一つとして設定された」という点でしょう。これらは、一般路線バスではおのずと性格が異なり、当然アウトプットも異なると思います。

○利用者の視点から見れば
 利用者の視点から見れば前にも書いている通り地域密着のバス路線に様々なタイプが増えてきてトランセのような例もあるわけですが、ムーバスもトランセも大差はないのであって、それが採算ベースに乗ろうが内部補助で成立しようがモビリティが確保されることが重要であって、そこに運営面での評価を持ち込むことにさしたる意味があるとは思えません。
 すなわち、交通弱者のモビリティ確保ができるのならば、民営だろうが官設だろうがあまり気にする必要は無く、交通計画の段階において、どういった方式が成立するかという観点で考えていけば良いのではないかと感じます。

 むやみやたらに行政がムーバスタイプのものを運行することは当然賛成できませんが、福祉政策の一環としての送迎バスなどを統合したバスサービスとしての「コミューターバス」に行政がある程度の負担をすることはバス経営安定の一つの方法といえます。
 様々な文献を見てもバス経営において小型車を使うコミュニティバス的路線は採算確保は非常に困難で公共交通プアを解消するためにはある程度の行政負担は当然というのが一般的な考え方です。もちろん直接的な経営参加、出資ではなく、バス停の設置費用負担、道路拡幅、などによる現物出資的なものでももちろんよいわけですし、その範囲は様々です。行政が仮に出資したとしてもそれにより他の行政サービスの効率化が図れるのであればよいのではないでしょうか。
 実際、コミュニティバスによってタクシー利用の行政負担が減少したとか、武蔵野市のようにムーバスにより高齢者の外出率が向上し、結果的に様々な面でプラス効果が現れたものもあります。一面的に民間か行政かを論じるよりも、まず機能がどうかという点で考える必要がありましょう。

 さらにいえば、今の日本の交通計画の流れにおいては、行政、事業者、住民がそれぞれの立場で発意しながらそれぞれの案や意見をもとに組み立てていき、その中にバス路線網導入などの構想があってという、大きく言えばすべてに「行政関与」があるものになります。よって純民間で民間事業者自らの発意のみで路線を開設するということはまず考えにくく、松ノ木線にしても、世田谷南北にしても、はたまたTAKA様があげられた成城北口〜仙川方面線のうちの狛江駅系統にしても、行政からのアプローチや行政による施設整備という前提があるからこそ運行されていると考えられるでしょう。

 今後、デマンドサービスの拡大、路線固定・バス停自由のジープニー的路線なども十分考えられます。ただ、それを単純に民間経営が成り立つか成り立たないかという観点で考えるのではなく、まずはモビリティ確保を第一義において総合的な交通政策を考えていくことがポイントでは無いでしょうか。その中でいかにして採算性をあげる工夫ができるか、そういった点を考えないとならないと思います。

 まとまりませんが。

混沌の中にある日本のミニバス交通システム
 投稿者---かまにし氏(2002/07/14 10:01:51)

 かまにしです。

 以前にも申し上げたかもしれませんが、私はコミュニティバスの政策過程について研究している学生です。いろいろな方と議論をさせてもらう機会がこれまでにもありましたが、ここ数日の皆さまの議論を見ていて、私が感じたことを以下にまとめてみました。

 内容を一言でいえば、まさにタイトルの通り「混沌の中にある日本のミニバス交通システム」です。私はTAKA様の書き込みと、とも様の書き込みをそれぞれ別のタイミングで読ませていただいたのですが、正直言ってどちらも正しいのではないかと思ってしまいました。

 ようは日本のコミュニティバスが未だにはっきりした形のものにならない根本的な原因が、そこに象徴されているような気がするのです。

○利用者の視点は…?
 しかしそんな混沌とした状況の中にあっても、ただ一つ変わらないものがあります。それは利用者の判断基準です。自分の家の近くから最寄駅までのバスが走っているときに、あなたがそれを使うか使わないかを何をもって判断するかを考えます。おそらくその判断基準は安さだけではなく、頻度の多さ・速さ・車内の快適さなどを総合的に考えたときのサービスが、乗る人の支払意思を上回っているかで判断されるはずです。これは、どの交通手段においても同様にいえることです。
 バスの話に戻れば利用者にとっては、それが「コミュニティバス」であろうが「コミューターバス」であろうが、行政が運行していようが民間が独立採算でやっていようが、ようは「便利」であればどうでもいいわけです。

○日本のミニバス交通の混沌
 以上のことから、結局、混沌としているのは利用者の視点ではなく、運営者の視点であることが伺えます。運営者の視点として見たときの「ミニバス交通システム」の軸は以下のものがあるのではないかと考えます(TAKA様が提示されたものと似ていますが、とも様の指摘を踏まえて再編成してみました)。

 ・あくまで独立採算を原則として、それができない交通サービスは必要ない(1)
 ・公的負担を導入しても、必要な交通サービスを提供すべき(-1)
II  ・交通空白地域を埋める、あるいは地域間シャトルとしてのバスシステム(1)
 ・交通弱者を救済するため福祉政策としての輸送サービス(-1)

 Iを横軸、IIを縦軸にとり、I・IIの中でどちらか片方の傾向が強いときには(1)や(-1)、どちらの傾向も見られる場合や中間的な性格の場合は(0)という形で、変遷をまとめてみました。日本の路線バスは、原則的に(1、1)というスタンスの路線が大半を占めていました。

 そこに、武蔵野市のコミュニティバス「ムーバス」が入ってきたわけです。先ほどとも様の書き込みにもあったように、「コミュニティバス」の原型は主にヨーロッパで、シビルミニマムサービスの一環として交通弱者対策のために公的負担を利用してでも提供した福祉政策としてのバスです。すなわち本来のコミュニティバスは(−1、−1)ということになるはずです。

しかし、日本に「コミュニティバス」の存在を広めた「ムーバス」は、福祉対策を目的として掲げ行政がイニシアティブを取って導入したという要素は持ちながらも、欧州で言う「コミュニティバス」というよりは、「路線バスを狭い道路の
住宅地に走らせた」ような交通システムだったわけです。「ムーバス」が若い人からもかなり利用され、吉祥寺駅周辺の放置自転車は大きく減ったという功績からもそれが伺えます。つまり「ムーバス」は実際には(−1、1)、もしくは(−1、0)というスタンスであったと言えそうです。

ここのところの誤解もあって、日本のコミュニティバスは以後、いわゆるヨーロッパ型の(−1・−1)ではなく・(−1、0)や(−1、1)波及していきました。戸田市の「toco」・西東京市の「はなバス」なんかがそれに近い形ではないかと思います。ただ、首都圏でも稲城市内循環バスが、PCや携帯電話の予約によるデマンドサービスによる市内の公共施設を巡回するバスを走らせており、ヨーロッパ型のコミュニティバスに近い(−1、−1)に近い事例もないことはないんですが。。。

さらに最近の流れは、松の木路線や世田谷南北路線、アイリスループをはじめとした、民間の独立採算で運営される路線が増加しています。すなわち(−1、0)から(1、0)への転換です。ここに来て、公的負担から独立採算への揺り戻しが起きているわけです。

ただ松の木路線の導入プロセスを見ていても、行政はバスを運行するための環境整備を行なっています。つまりとも様もおっしゃられていたように、「その運営形態はどうであれ、大半のケースで行政は関与せざるをえない」のではないかと考えられます。そして現在、独立採算への揺り戻しが起きている中で、今後、ミニバス交通システムはより(0、0)に近づいていくのではないかというのが私の見解です。

かなり大風呂敷な理論をぶちあげてしまいました。皆さまのご意見・ご批判をお待ちしています。

路線バスに効くクスリ(1.路線バスの問題点)
 投稿者---谷川岳氏(2002/06/30 23:06:41)
 
http://www.kr-web.net/
路線バスに効くクスリ(1.路線バスの問題点)
└Re:路線バスに効くクスリ(1.路線バスの問題点)
 └Re:路線バスに効くクスリ(1.路線バスの問題点)
└路線バスに効くクスリ(2.処方箋)
 └Re:路線バスに効くクスリ(2.処方箋)
 └Re:路線バスに効くクスリ(2.処方箋)

 初めまして、谷川岳と申します。
 551planningさんからは、運営している「川島令三論」というサイトにリンクを貼って頂いております。以後、宜しく御願い致します。

 さて、題記の件ですが、通勤に自宅から最寄り駅まで毎日バスを利用しています。で、バスを利用していて思ったことや、我々利用者が楽にバスで移動できるための方策なんかを考えてみたいと思います。
 以下、ここをご覧の皆様にはありふれた話題かもしれませんが、とりあえずご覧頂きたく。
 まずは、かなり具体的で恐縮ですが、私が利用しているとあるバス路線を例に挙げて私が感じた問題点などを挙げてみたいと思います。

〈問題点〉

 とりあえず、ざっと挙げてみただけでもバスを日常的に利用して見つかった問題点はこれだけ思いつきました。ここで挙げた例は、私が日常的に利用するとあるバス路線のものですが、恐らく路線バスの大半はここと同じような感じではないでしょうか。
 相模原市の場合、鉄道が市の端っこにしかなく、市の中寄りに住んでる人は、鉄道を利用するためにバスの利用がかなり多いです(そのため、私が利用している路線では年がら年中混んでいます)。が、他の地域などでは、上記のような状態だったらバス利用はじり貧になっているのではないでしょうか。
 そこで、そろそろ文字制限に引っかかりそうなので、別途どうすれば楽にバスで移動できるかについて考えてみたいと思います(明日仕事が早いので、具体的方策などは後日投稿したいと思います)。
 とりあえず、「私もそう思う」とか、「こうではないか?」といったご意見を頂ければ幸いです。

Re:路線バスに効くクスリ(1.路線バスの問題点)
 投稿者---とも氏(2002/07/03 00:48:20) http://town-m.vop.jp/

 ともと申します。谷川岳さん、よろしくお願いいたします。
 さて、問題点に関していくつか

 前乗り前降りによる出入り口の混雑

 前乗り前降りは首都圏では神奈中のしかも湘南・相模地域限定の手法ですが、なれない人にはなんとも使いにくい手法です。
 乗降が錯綜する主要停留所では極めて非効率であり、単に発券を後ドアですれば済む話であり、なぜこの手法にこだわるのか疑問です。

 車内精算による遅延の発生

 いわゆる「後払い」の問題点といえます。
 後払い方式は確実な収受が可能であり、多様な料金体系が可能という優れた手法ではあるものの、降車時の混雑だけは如何ともしがたく、なかなか難しい問題です。ましてや均一区間では乗車のほうが流動がバラけることは当然であり、均一区間においても後払いにこだわるシステムは効率的とはいえないでしょう。
 前払いであれば集約徴収(鉄道の改札口的なものを設置)や発券徴収が可能で、混雑緩和はできるのですが。

 道路状態に依存するバスダイヤ

 道路渋滞が激しい場合、その道路が2車線(片側1車線)であれば、なにも対処法は無く、道路混雑緩和のための拡幅などに期待するしかありません。
 片側1車線でもバス専用レーン化(広島で一方通行バス専用の実例あり)、バス専用道路(奈良や杉並で実例あり)などは考えられるものの、代替機能を有する道路があって初めて成立する(そうしなければパークアンドライドもキスアンドライドも成立しない)ものであり、導線が1本しかないような場所では厳しいものがあります。また、都内の三鷹市や杉並区で採用されているような中央線変異式バスレーンなどは道路幅員に余裕があれば可能でしょう。
 片側2車線以上で、バス本数が相当数あるのならばバスレーン導入が現実的です。全国各地に事例がありますが、名古屋のような基幹式バスシステムは大規模とはいえ、中央走行式ならば駐車車両などの影響も無く、比較的スムーズな運行が可能です。町田駅前や荻窪駅前などで導入されており、相模原のような地域ならば可能性のある施策です。

 信号の問題は、バス優先信号の導入が最適解ではないかと。
 PTPS(公共車両優先通行システム)というもので、道路上の光ビーコンとバスにつけられた車載器間で通信することで、バスの走行ルート上にある信号をバスの運行に合わせて制御(青信号の延長など)するというものです。
 これにより、バスが走っている間、無駄に赤信号に引っかかることも少なく、定時性の確保が可能です。
 このシステムは、札幌や東京、さいたま、長野、大阪、福岡など全国で導入されており、相模原でも導入は可能ではないかと思われます。

 個別具体的な対案になりますが、いかがでしょうか。
 ではでは

Re:路線バスに効くクスリ(1.路線バスの問題点)
 投稿者---谷川岳氏(2002/07/03 23:20:21) http://www.kr-web.net/

 こんばんは。谷川岳です。
 ともさん、早速のご返信ありがとうございました。

 前乗り前降りは首都圏では神奈中のしかも湘南・相模地域限定の手法ですが、なれない人にはなんとも使いにくい手法です。
 乗降が錯綜する主要停留所では極めて非効率であり、単に発券を後ドアですれば済む話であり、なぜこの手法にこだわるのか疑問です。

 慣れない人には使いにくいと言えば、相模原営業所の場合、同じルートを経由するのに始発駅によって前払いのバスと後払いのバスが混在していたりします。
 朝のラッシュ時なんか、慣れてる人が多いので特に混乱はないのですが、慣れない人が乗ってくると、そこで支払いの行列が滞ったりします。

 後払い方式は確実な収受が可能であり、多様な料金体系が可能という優れた手法ではあるものの、降車時の混雑だけは如何ともしがたく、なかなか難しい問題です。ましてや均一区間では乗車のほうが流動がバラけることは当然であり、均一区間においても後払いにこだわるシステムは効率的とはいえないでしょう。

 毎日バス通勤をしていて、降りるときに時間がかかっていると、やはり「改札口があったらいいのに」なんて思ったりします。非現実的かもしれませんが、バス共通カードが発展してSuicaみたいなICカードが導入されれば運賃支払いもスムーズに行くんじゃないかって思ってます。

 道路渋滞が激しい場合、その道路が2車線(片側1車線)であれば、なにも対処法は無く、道路混雑緩和のための拡幅などに期待するしかありません。

 確かに片道一車線ではバスも普通のクルマも道路を共有しなければいけないので、対処は難しいですね。
 私が利用している相模大野駅近辺の場合、片道2車線以上ある道路が国道16号線くらいしかないので、どの系統も狭い道路をほかのクルマに気を遣いながらゆっくりと走っています。
 だから、片道一車線の道路に堂々と路駐しているクルマを見ると、ドライバーに殺意を感じることも多々あります(ぉぃ)
 個人的には、多数の系統が走っていて且つ道路混雑が激しいような区間(例えばバスの発着する、鉄道の各駅前の区間)を地下化なり高架化して一般のクルマと分離してしまえば、その分バスがスムーズに走れ、便利になることによって、わざわざ駅近くの駐車場を探す手間などが省けクルマ利用が減るんじゃないかってことを考えてます。
 まぁ、時間的・金銭的に莫大なコストがかかるってことは承知ですが・・・(^^;

 信号の問題は、バス優先信号の導入が最適解ではないかと。
 PTPS(公共車両優先通行システム)というもので、道路上の光ビーコンとバスにつけられた車載器間で通信することで、バスの走行ルート上にある信号をバスの運行に合わせて制御(青信号の延長など)するというものです。

 これ、私も考えてました(^^ゞ
 各バス車両に発信器でもつけて、信号機の方で例えば半径50m以内にバスが接近したら、バスが通り過ぎるまで青信号を延長するとか・・・。

 個人的には、バスを都市のメインの交通機関として考えるような都市政策・交通政策が必要と考えています(現状だと、恐らく輸送力の大きなクルマくらいの認識しかされていないのでは?)。
 考えようによっては、下手にLRTを導入するよりコストを安く、且つ便利な交通機関になり得るのではないかって思っています。
 …実は、私の考えていた案は殆どすべてともさんが投稿されましたので、ポイントを整理して、私なりのバス改善案なんぞを週末にでも投稿したいと思います。

路線バスに効くクスリ(2.処方箋)
 投稿者---谷川岳氏(2002/07/07 23:09:27) http://www.kr-web.net/

 谷川岳@川島令三論です。
 初投稿から1週間と時間があきましたが、快適な路線バス交通のための処方箋を考えてみたいと思います。
 前回の投稿で挙げてみた問題点を簡単に整理すると以下の点に纏まると思います。

 で、本題の処方箋ですが、簡単に言えばこれら問題となる要素を一つずつ潰していけば、最終的にはバスがより一層便利なものになると考えます。

〈処方箋〉
1.路線バス最優先の道路法規の整備
→具体的な例を挙げると、名古屋の基幹バスやガイドウェイバスみたいにバス専用レーンが確保できれば、バスの遅延解消には一番効果的ですが、うちの地元の相模原市のように、大半の路線が片道一車線しかないような地域ではその方法は難しいと思います。
 こういう地域でとりあえず手をつけられるのは、まずは交通法規の整備といったところでしょうか。道路交通法の改正とまで行かなくても、自治体レベルでの条例策定でバスを最優先とするルール作りをしていけば、少しはバスの円滑な走行には寄与するでしょう。

2.運賃支払いの簡素化
→乗降客の多い停留所では、多数の乗客が乗降するため、運賃の支払いが発生すると、停車してから発車するまでにかなりの時間を要することがあります。定期券、バスカード、現金と、多種にわたる支払い方法があり、また、普段バスに乗り慣れない人は定期券もバスカードも持っていないので、ほぼ確実に現金払いとなりますが、定期なら見せるだけ、バスカードならカードリーダを通すだけとそれほど時間がかからないけれど、現金の場合まず小銭を探し、小銭がなければ千円札を両替し、小銭に換えるという作業が発生するので、それだけで時間がかかるものです。また、バスカードの場合たまにカードリーダが読みとってくれないと言う事態もあります。
 そこで、JRでもSuicaが実用化されたように、ICカードによる運賃支払いを原則とすればいかがでしょうか。当然ながらICカードリーダの設置など初期費用が莫大になるのが難点ですが、例えば自治体とタイアップして地域のお店の支払いにもICカード可能にしたり、Suicaと共通の規格にしたりすればICカードでの支払いもかなり汎用性を持つのではないかと思います。もっとも、どこかが一社だけ導入するのではなく、少なくとも関東でのバス共通カードを導入している会社全部が導入するくらいでないとスケールメリットが活かせないのですが・・・。

 以上、簡単に述べましたが、私なりの結論を簡単に述べると、そのほかダイヤや運賃制度など細かいところはもっと考えないといけないですが、「確実に、気軽に利用でき、どこで乗っても同じやり方で利用できる」方法を考えるのが、バスが都市交通の一翼を担うために必要なことではないかと考えます。

 これは私の持論ですが、運転者のモラルに大きく依存する自家用車主体の現在の道路交通では、「空間」というリソースが非常に限られている日本では早晩破綻する危険性を感じています。「空間」という、日本では非常に限られたリソースを有効活用するためには、川島令三氏が提唱している鉄道の活性化や、最近議論が活発化しているLRTの導入なども有効ではありますが、路線バスの活用もまた一つの選択肢として考えられるべきではないかと思っています。

 以上、毎日バスを利用し思ったことをざっくりと書いてみましたが、如何せん会社への行き帰りにしかバスを使わない生活ですので、非常に範囲の限られた議論になりやしないかと危惧しております(^^;
 掲示板をご覧の皆様の忌憚のないご意見なども頂ければ幸いです。

Re:路線バスに効くクスリ(2.処方箋)
 投稿者---とも氏(2002/07/10 15:50:55) http://town-m.vop.jp/

 ともです。
 谷川岳さんのお考え、まさに御意というところです。
 そこで、多少ですが、フォローと現実対策をいくつか。

 名古屋の基幹バスやガイドウェイバスみたいにバス専用レーンが確保できれば、バスの遅延解消には一番効果的ですが、うちの地元の相模原市のように、大半の路線が片道一車線しかないような地域ではその方法は難しいと思います。
 こういう地域でとりあえず手をつけられるのは、まずは交通法規の整備といったところでしょうか。道路交通法の改正とまで行かなくても、自治体レベルでの条例策定でバスを最優先とするルール作りをしていけば、少しはバスの円滑な走行には寄与するでしょう。

 例えば相模原周辺ですと、4車線道路は相模原駅周辺と16号に限られますね。
 ですから、バス専用レーンも難しいです。
 ただ、前にも書きましたが、リバーシブルもしくは中央線変異式バスレーンはいかがでしょうか。
 相模原付近は不幸にしてか幸いにしてか戦時中の軍都計画の名残で比較的道路幅員は確保されています。いわゆる「1.5車線」という1車線+停車余裕のある幅の道路がわりと多いですね。
 こういう道路を往復3車線にして、1車線をリバーシブル(時間帯で方向が変わる)にしてバス専用レーンをピーク方向のみ確保するという方策が考えられます。また、2車線道路を朝夕のみ3車線で使うようセンターラインをずらす「中央線変異」方式も使えます。
 これですと、4車線ない相模原付近でも可能な策です。

 また、思い切って専用方向指定というものもあります。
 いつも混んでいる(そう思うのは私だけか・・・)相模大野駅前などは一方通行にしてしまうのも一つです。
 2本の2車線道路を一方通行で通せば実質4車線1本と同じ。効果は大きいです。

 ICカードによる運賃支払いを原則とすればいかがでしょうか。
 もっとも、どこかが一社だけ導入するのではなく、少なくとも関東でのバス共通カードを導入している会社全部が導入するくらいでないとスケールメリットが活かせないのですが・・・。

 ICカードは共通化がカギですね。相模原を通る小田急、京王に導入がされれば可能かと思いますが、今のバスカードがある以上難しいかもしれません。
 シンガポールの一部路線などは実は前乗り前降り後払いというほぼ同じシステムを採用していますが、あまり混乱しません。それはチケット制を採用しているからで、乗車後、車内でチケットを車掌や券売機から購入し、下車時にはそれで支払うという方法が行われています。これはなかなか使えそうな技です。
 とはいえ、神奈中バスの場合にはまずは後ろ乗り前降りの徹底でしょうか。
 さらにはゾーン運賃制度などによる料金簡素化なども考えてもよいでしょう。
 対距離ではなくゾーンで運賃が変わるようにすれば前乗り後ろ降りが採用できます。
 さらには、相模原はバスが非常に使いやすい地域特性を持っていますので、ぜひとも乗り継ぎ割引制度なども考えて欲しいものです。

 これは私の持論ですが、運転者のモラルに大きく依存する自家用車主体の現在の道路交通では、「空間」というリソースが非常に限られている日本では早晩破綻する危険性を感じています。「空間」という、日本では非常に限られたリソースを有効活用するためには、川島令三氏が提唱している鉄道の活性化や、最近議論が活発化しているLRTの導入なども有効ではありますが、路線バスの活用もまた一つの選択肢として考えられるべきではないかと思っています。

 同感でして、私もバスの活用は公共交通の利便性向上に不可欠という認識です。
 バスだけでも鉄道だけでもダメで、総合的な交通対策としてバスの活性化はかぎになっていくと思います。
 この辺はさらに議論を深めたいですね。

 それでは。

Re:路線バスに効くクスリ(2.処方箋)
 投稿者---CHIP氏(2002/07/12 01:23:58) http://norimonoland.info/

 路線バスにとって雨天時や通勤時間帯の渋滞は大敵ですね。ガイドウェイバスを建設するのもバスレーン設置のどちらも現実的には難しい箇所が多いのが現状ですね。もし、バスレーンを設置できたとしても一般車両がバスレーンを走ってしまい結局は設置の意味のない場所もあり、対策としては難しい限りです。

 ICカード式バスカードの登場は鉄道・バス共に有効な手段の様に思います。ただ、仕様を共通化しないと結局は複数枚のカードが作用しあって読みとれない自体になるかもしれませんよね(Suicaと別のICカードが一緒に入った財布だと読みとれないことがありますから。小銭でも同様のことが起きる可能性があります)。

 私も毎日、バスを利用しておりますが感じることは自家用車が我が物顔で道路を走っていることと共にバスの地位が余りにも低すぎることですね。「環境保全の為にバスなどの公共機関を利用しましょう」等と自治体もPRしていますが、それ以前にバスが快適に走れる環境作りを先にすべきだと感じるのは私だけでしょうか?

2005.06.05 Update


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