【検証:】中量板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】<中量輸送システムの明日…>
(過去ログNo.316)
下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。


〔都市交通〕軌道系とバスシステム〔続〕
 投稿者--- 打越健太郎氏 投稿日時: 2001年2月25日 12時40分
〔都市交通〕軌道系とバスシステム
└Re:軌道系とバスシステム
 
└Re:軌道系とバスシステム
└Re:軌道系とバスシステム
 └重要なご指摘ですが…それが全てですか?
(以上前ページ)

  └バスが軌道系の代わりを果たせるなどということがあるのだろうか?
                                 いや、ありはしない(笑)
   └そもそもバスと軌道を単純比較すること自体が間違いでは?
    └お答え、その2
  └Re: 重要なご指摘ですが…
   └お答え、その1
    └Re:お答え、その1
     └失礼致しました
    └Re:お答え、その1
     └丁寧なご意見、有り難うございます
      └横から失礼(Re:丁寧なご意見、有り難うございます)
     └Re:お答え、その1
      └お答え、その3
       └ちょこっと補足
       └率直に感じる疑問
        └大悟&新たなる煩悩(笑)
         └Re:大悟&新たなる煩悩(笑)
          └どうも有り難うございます
           └Re:どうも有り難うございます

▽前ページより

バスが軌道系の代わりを果たせるなどということがあるのだろうか? いや、ありはしない(笑)
 投稿者--- 打越健太郎氏 投稿日時: 2001年2月27日 17時34分

 打越健太郎です。本来、自分の意見に幾つも自己レスを付けるなど不恰好でしょうが、少々、今回提示した疑問は自分なりの「思いのたけ」であります。バスがバスのままで、軌道系並みの高速・定時(・大量)輸送を行えるのか、という疑問は、常々思っていたことであります。一見可能なようですが、実は、バスの定時性を飛躍的に高めるような施策は、結局の所、実質的にも掛かる費用も軌道系と同じになってしまう(場合によっては「もっと掛かる」かも)のではないか、というのが僕の疑問です。前にも申し上げたガイドウェイバス志段味線、あれを以て「バスでもこんなことが可能なのだ」というご意見をしばしば見かけます。しかし、あれは(制度上、ということは置いておいて)建設費用などを考えれば、軌道系でしかありません。むしろ「バスと相互直通できる軌道系」とでも称すべきものでしょう。バス専用道路でも、話は全く同じです。

 また、バスが鉄道に比べて過疎運転なのも、僕が提示した「回転が悪い(=頻繁運転の為には、不当なほど多数の運転士とバスが必要になる)からでは?」という疑問と無縁ではありませんね。これを解決する為の対策によって、結局(ガイドウェイバスのように)バスが軌道系に変質してしまうのではないか、というのが、僕の疑問です。

 なお、バス優先信号というのは、確かに優れた方法です。しかし(この部分は併用軌道の路面電車等にも当て嵌まります)、バス走行路線と直交する道路にとっては、やたら赤信号ばかりになってしまい、移動阻害要因となってしまいます(名古屋の新出来町線なども、これのせいでラッシュ時の更なる増発は不可能だとか。志段味線が基幹バスでなくガイドウェイバスになったのも、多分同一の理由でしょう)。これに対処する為にバス道路を立体交差すると…やっぱりバスが軌道系になってしまうのではないでしょうか。無論、交差点だけ立体交差化すればもっと安いでしょうが、これまた軌道系(欧米のLRT)とやっていることは同じです。費用も、そんなには安くないでしょうね。

 こういった疑問がある以上「バスを整備したほうが安上がり。バスでも軌道系と大差無いサービスは可能」というご主張を伺うたび「机の上はそうでしょうが…実際にやるとなったら空理空論ではないか、または軌道系と同じくらいの大金を使うことになってしまうのでは…」という疑問があるわけであります。

そもそもバスと軌道を単純比較すること自体が間違いでは?
 投稿者--- とも氏 投稿日時: 2001年2月27日 23時53分

 ともです。
 打越様の意見、熱いものがありますね。やー頼もしいものです。

 とはいえ、聞き捨てならないことが多いですから、反論を。

1)バスと鉄道の比較に意味が有るのか
 
そもそも論の話ですが、バスと軌道(鉄道)を単純比較することに何の意味が有るのでしょうか。
 バスと軌道系はそもそも守備範囲が違います。たとえ志段見線や出来町のような基幹バスであっても、地下鉄やLRTなどの軌道系とは守備範囲が違うのです。(もちろん両線ともに欠点があることはたしかですよ)
 バスの場合には路線を自由に設定できる=需要に併せた柔軟な路線設定が可能というものがメリットの一つです。
 一方、軌道系のメリットといえばやはり輸送力です。バスとは異なり、運転手1人での輸送力という観点でいえばバスなど足下にも及びません。
 すなわち、輸送力と、需要の動向(線的な需要なのか面的な需要なのか)を考えずして両者を比較することに意味はないです。
 さらにいえば、「専用道などは〜バスが軌道系に近付いて行く」という点も、それがなぜいけないのか、何が問題なのかいまいちピンときません。
 コストでいえば結局同じこと。輸送力とコストでいえば一見LRTのほうがよさそうですが、LRTの場合には高度なメンテナンスが必要であり、そこにコストがかかりますから、LCC(ライフサイクルコスト)を考慮しなくては比較になりません。(初期投資か事後のコストかという点ですね)
 それこそ、「金沢に入れるのなら」のような具体的な話であれば、都市構造を考えながらの議論になりますから意味が有りますが、一般論でやってもただの言い合いに過ぎません。

2)バスの速達性と定時性
 
これについては、沢村様の書かれている通り、LRTにしても起る問題ですし、それを理由にしてバスは劣ると断定するのは大きな間違いでしょう。
 定時性の悪化からくる回転の悪さにしても、専用道路などの解決策さえ見出せればそれを理由としたバス批判は的外れになります。
 出来町線の交差道路も同じこと。そんなに輸送密度が高いのであれば、LRTでも耐えられませんし、交差道路の赤時間も長いですよね。
 ちなみに、併用軌道がある場合、そのブレーキ性能と発進時特性から交差道路の青時間は通常の交差点にくらべ短くなるので、出来町線でLRTをやるのであれば、ほとんどの交差点が立体化するひつようがあります。

3)バスが軌道系になること
 
これがどうして問題なのか、僕には理解できません。
 バスの場合、専用道区間は軌道のように速達性を、そして一般道区間ではバスとして細かく廻るという特性に併せたバイモーダル的な可能性があります。
 そこを打越様はどう考えておられるのでしょうか。
 これを理由に軌道系ではなくバスによる基幹交通をやっているのがオタワであり、アデレードであるのです。
 打越様はこういった先進的なバス中心都市は認めないのでしょうか。

 それぞれの都市で相応しい交通機関という考え方でバスを選択しようがLRTを選択しようが良いわけで、なにも軌道系は絶対に良いものではないはずですし、バスが軌道系の代わりを果たせるのかということでいえば、果たせる都市と果たせない都市があるとなるのでしょう。

 都市交通というものはいわばオーダーメードなんです。「LRTが良いのだ!」「バスが良いのだ!」などと都市の構造や規模、密度を考慮せずに議論してもなんら意味はないと僕は考えます。

 ちょっと辛口反論ですが、御容赦を。
 ではでは。

お答え、その2
 投稿者--- 打越健太郎氏 投稿日時: 2001年2月28日 02時29分

打越様の意見、熱いものがありますね。やー頼もしいものです。

 いやあ、あの題名は高校時代に学んだ漢文・古文の「反語」そのものでして…ちょっとした遊びみたいなものです。

1)バスと鉄道の比較に意味が有るのか
  そもそも論の話ですが、バスと軌道(鉄道)を単純比較することに何の意味が有るのでしょうか。
 (略) すなわち、輸送力と、需要の動向(線的な需要なのか面的な需要なのか)を考えずして両者を比較することに意味はないです。

 仰る通りですね。僕としても「軌道系とバス、どちらが優れているか?」などという「ハブVs.マングース」のような(失礼)議論をしたいのではありません。ただ「LRTをはじめとする軌道系の整備というのは、それほど有益な事業なのだろうか? 都市交通はバスに任せておけば充分なのでは?」という議論(LRT導入を訴える際、まず第1に出てくるのが、この疑問です)に対して異議申立てをしたまでです。政令指定都市クラスの大都市であれば、大概何らかの軌道系都市交通を持っていますよね? 僕としては、今後増えていくであろう中核市・特例市などにおける都市交通を論じる際に、軌道系という選択肢を太く示しておきたいと考えております。その為の主張であるということだけはご理解頂ければ、幸いです。

  コストでいえば結局同じこと。輸送力とコストでいえば一見LRTのほうがよさそうですが、LRTの場合には高度なメンテナンスが必要であり、そこにコストがかかりますから、LCC(ライフサイクルコスト)を考慮しなくては比較になりません。(初期投資か事後のコストかという点ですね)

 なるほど、この点は少々、僕の主張を修正する必要が生じてまいりますね。もう1度、後で触れますので、ここではこのくらいに。

2)バスの速達性と定時性
  これについては、沢村様の書かれている通り、LRTにしても起る問題ですし、それを理由にしてバスは劣ると断定するのは大きな間違いでしょう。
  定時性の悪化からくる回転の悪さにしても、専用道路などの解決策さえ見出せればそれを理由としたバス批判は的外れになります。

 これに関しては、僕にも言い分があります。「専用道路などの解決策」と仰いますが、その専用道路は、一体何処にあるのでしょう? 一般道路を封鎖してバスのみに使わせる、というのは可能でしょうが、LRT導入と同じように、人々の反対に対する地道な説得が必要になってまいります。で、代替道路でも建設することになったら、これはこれで費用が掛かります。バスの長所であるはずの「新たなインフラ整備が(殆ど)不用」という点を帳消しにしてしまいます。
 バス専用道路を建設するとなると、もっと大変ですね。バスが比較的自由に路線を設定できるのも、また面的輸送に長じているのも、軌道系と違って既存道路というインフラを活用できるからですよね。現に、一例として関東鉄道を挙げれば、最近絶好調の高速バスはどんどん新しい路線が設定されているのに、鉄道線のほうは常総線(取手〜下館)、竜ヶ崎線(佐貫〜竜ヶ崎)と、ここ何年も全く増えていません。自らインフラを整備するというのは、それほど大変なことなのです。で、これがバス専用道路の新規建設ということになったら、バス会社にもある程度の負担を求めるのでしょうか? おそらく、今後の新規バス路線開設は絶望的になってしまうでしょうね。一方、もし行政がバス専用道路を全額負担して建設してあげる、というのであれば、これは鉄軌道の上下分離と同じようなものであって、僕個人は賛成です。でも、その際には「バスが費用的にも、また社会全体の便益(環境や輸送力、etc)を考えてもっとも優れているのだ」という説明が求められます。道路を新規に建設するというのであれば、これまたLRT整備とどちらが安価か、甚だ疑問ですので。

3)バスが軌道系になること
  これがどうして問題なのか、僕には理解できません。
  バスの場合、専用道区間は軌道のように速達性を、そして一般道区間ではバスとして細かく廻るという特性に併せたバイモーダル的な可能性があります。
  そこを打越様はどう考えておられるのでしょうか。

 バスが軌道系になってしまうこと自体に反対なのではありません。オタワについてはよく存じませんが、アデレードやクリチバ、(福岡、名古屋、浜松も近いかな?)などの努力と工夫には、感心と関心とを禁じ得ません。それはそれで1つのあり方でしょう。でも、ちょっと待って頂きたいのは、そもそも何故バスに拘るのか、であります。そもそもバスの利点としては

・面的な輸送が可能
・資本設備が非常に安い

といったものが挙げられます。しかし、バスを軌道系に準じたものとして機能させる為に色々な工夫(バス専用道路やガイドウェイなど)を行うと、果たして資本設備は本当に安いのか、いっそ軌道系を導入してしまったほうが合理的なのではないか、と思うわけです(これについては前に、とも様が「そうでもない」というご指摘を下さいましたね。もう少し勉強してみます)。
 一方の面的輸送ですが、これは軌道系が逆立ちしても敵わないでしょうね。しかし「中心部」が相当に広い都市では、バスが軌道系に準じた機能を果たしている区間では、ダンゴ運転になってしまっており、これを一括してまとめられる軌道系にしてしまったほうが、これまた合理的ではないでしょうか(クリチバでは、この部分には連節バスを使っています。大阪の「ゾーンバス」も、基幹路線には大型車を使ってこれに類した考え方を取っているのは確かです。これらはバスではあっても、ここで申し上げる議論がある程度当て嵌まります)。無論、幹線部分の輸送需要にもよりますが。
 「乗り換え無しのバスのほうが快適」というご指摘もあるでしょう。しかし、うまく座席にありつければその通りですが、座れなかった人にとって、乗換時は「座席を確保できるかもしれない」大チャンスです。また、結局またも座れなかったとしても「立ちっぱなし」よりも、時々移動できるほうが却って体は楽ですね。また、乗換時に延々と階段や露天を歩かされるのは嫌ですが、もしもすぐ反対側に乗換列車(バス)が待っていてくれるのなら、バス−列車間の乗継は、そんなに苦痛ではありません。むしろ、僕などはここで手洗に行ったり、煙草を吸ったり出来て、ちょっとした息抜きになって結構ですね。
 そういった意味で「バスにして軌道系」というあり方(名古屋の志段味線がまさにそれ)が1つのあり方であることは納得致しますが、やはり中心部は軌道系にまとめてしまっても良さそうな気が致します。そのほうが何かと利益もあるのではないでしょうか。

  都市交通というものはいわばオーダーメードなんです。「LRTが良いのだ!」「バスが良いのだ!」などと都市の構造や規模、密度を考慮せずに議論してもなんら意味はないと僕は考えます。

 このご指摘には同意致します。ただ、やはり軌道系にはバスに優位する点が多い(バスは駄目、という意味ではありませんよ。「LRTにはバスとは別の長所があるので、やはり世間のLRT重視にはそれなりの根拠がある」ということです)ということだけは言えるかと思います。

Re:重要なご指摘ですが…
 投稿者--- 沢村慶司郎氏 投稿日時: 2001年2月27日 21時16分

 沢村です。こんばんは。
 さて、打越さんのお話に対し、いくつかの疑問が出たので、質問がてら書かせていただきます。

 (B)ですが、これは皆様も実感していらっしゃることでしょう。これに対する対応策としては軌道系であれバスであれ同一で、軌道(走行場所)の強化を図る事ですね。

 そうですね。

 もしもバスの定時性を軌道系並みに強化しようとするならば、バスレーンでは不足、バス専用道路というのが正解になるでしょう。

ここで一つ整理したいのですが、打越さんの定義によると

バスレーン =LRT併用軌道
バス専用道 =LRT専用軌道

ということになりますよね。
 ということは、バスでも専用道路を造ればLRTと同じ定時性が確保できる。同時に、LRTでも、併用軌道だと、定時性はバスレーンのバスと同じ事になりますね。ということからすると、

この分析の結論としては「軌道系はバスに比べ、定時性・速達性に長けている

とは必ずしもいえないと思うのですが。いかがでしょう?

次に、この点が前提になっている

 さて、次に(A1)ですが、これも(B)で論じた問題と無関係ではありません。速達性に欠ける(=回転の悪い)バスを頻繁運転しようとすれば、バスの車両・運転士を過分に用意する必要が生じてきます。

も、LRTにも生じる可能性のある問題、ということになるように感じたのですが、いかがでしょうか?

以上の点から、

やはりバスは軌道系に敵わない、ということではないでしょうか。

というのは早計と考えるのです。

 ところで、これとは別の話として、

 (A2)は何故なのでしょう。これが同じバスでも都市間路線になれば、例えば水戸〜東京間で高速バス2080円、JR普通列車2210円、という具合で、あまり差がありません。一方で、水戸〜大洗間のバスですと、鉄道(鹿島臨海鉄道・大洗鹿島線)が310円なのに対し、バスだと相当高い

 この点が本論といかなる関係にあるのかがわからなかったのですが、そもそもここではLRTとバスの関係が問題だったように思うのですけれども、そうだとすると大洗鹿島線のような普通鉄道との比較をしても、意味がないように感じました。

そういうことなので、私も、

 やっぱり軌道かバスかの違いではなく本数・所要時間・運賃・定時性など実際的なところが効いているような気がします。

と考えました。

 そもそも、レールの有無にこだわる必要はないと思います。
 名古屋の志段味線については、混雑区間は軌道に準じた専用道、あとは一般道も対した工事をせずに運行可能、という、軌道とバスのメリットをあわせる手法でした。
 結局、それがその地域のニーズに合うものかどうか、という問題に帰納されるのではないかと思いました。

お答え、その1
 投稿者--- 打越健太郎氏 投稿日時: 2001年2月28日 01時38分

 沢村慶司郎様、ご意見有り難うございます。折角ご意見を頂戴致しましたので、僕の言葉が足らずに理解しにくくなったしまった部分の補足を兼ねたお答えをさせて頂きます。

 まず、

 バスでも専用道路を造ればLRTと同じ定時性が確保できる。同時に、LRTでも、併用軌道だと、定時性はバスレーンのバスと同じ事になりますね。

 補足がてら、お答え致します。まず、ご指摘に関しては仰る通り、LRTでも併用軌道では、バスに比べてそれほど優位するとは思えません。ですから、僕としてはLRTを整備する際、市街地(トランジットモールも一案です)を別として、なるべく専用軌道化を図るべし、と考えております。これがAGTやモノレールになると、これはもう、併用軌道ということは有り得ませんよね。
 では、LRT整備に際して、市街地においてそんなに簡単に専用軌道化を図れるか(「専用軌道を造る」という方法と、「道路からクルマを排除して専用軌道にしてしまう」という2つの方法が考えられます)、ですが、全部と言うのは無理でしょう。やはり広島のような併用軌道が出来てしまうのはやむを得ない事です。しかし、LRTは郊外にまで路線を伸ばしたり、或いは既存鉄道に直通したり、とにかく専用軌道が確保されている区間であれば相当に高速走行が可能です。この点、僕はLRTの長所だと考えております。
 一方、バスはどうか? どれほど郊外に行っても、バスが走る場所はやはり道路です。そんなに高速運転出来ません。つまり、市街地ではLRTと互角の勝負が出来るバスも、郊外〜都心の所要時間を見れば、やはりLRTには敵わないのではないか、というのが、僕の考えです。なお、以前「だったらバスも高速道路を走れば良いではないか」というご指摘を頂戴致したことがあります。たまたま既存の高速道路があれば良いのですが、そうでない場合には、これは無理ですね。「いや、LRTを整備する費用で高速道路を造れば良い」と更なる反論が予想されますが、これは如何なものか… 交通体系を考慮して不可欠な道路であれば、建設しても良いでしょう(ex.都市の外環状道路)。しかし、そういった場合を除き、あまりクルマ社会化を助長するような道路建設は如何なものでしょうか。人や物資の円滑な移動上に必要不可欠な道路を別として、あまり道路を建設せず、公共交通主体の交通体系を志向するのが、現代の世界的傾向です。環境や事故といった問題を考えれば、この傾向は正解でしょう。

 次に、運賃の問題です(補足:水戸〜大洗間をバス利用すると、約1000円掛かるようです)。沢村様は「唐突だな」とお感じになったようですね。この部分は、矢切様ご指摘の「軌道系は、バスよりも運賃が安い」というご指摘を踏まえたものです。
 まあ、それはともかく、僕がここで運賃の問題を取り上げたのは理由があります。安いほうが利用されるのは当然として、では何故にバスは軌道系より高い運賃を取っているのか? という問題です。僕の分析としては、バスは軌道系に比べて回転が悪い(=高速性に欠ける)ので、ある程度頻繁運転をしようとすれば、かなりの投資をしてたくさんのバス車両と運転士とを用意する必要があるのではないか、という答が出てまいりました。とすると「バスでも運賃(・運転頻度)を軌道系並みにすれば、軌道系と同様に使ってもらえる」というご意見に対し、一旦、それに同意した上で「そもそもバスに、軌道系並みの運賃(と運転頻度)で輸送するという芸当が可能なのか?」と。敢えて問い返したといった所です。
 なお、LRTとバスとを比較している際に、何故また一般鉄道が出てきたのか、というご指摘ですが、僕としては「軌道系」とバスとを比較していたので、としかお答えできません。余談ながら付け加えておけば、水戸〜大洗間(約12km)はかつて茨城交通水浜線という路面電車が走っていた区間で、大洗鹿島線は、水浜電車の生まれ変わりともいえる路線です。そして水戸〜大洗間は、おおむね20分間隔という頻繁運転が行われています(パターンは滅茶苦茶ですが)。「軌道系のほうがバスより安い運賃、頻繁運転には向いている」ということの論証として例示したまでです。

 そういうことなので、私も、「やっぱり軌道かバスかの違いではなく本数・所要時間・運賃・定時性など実際的なところが効いているような気がします」と考えました。

とのご意見に対しては「賛成。でも、バスが軌道系並みの本数・所要時間・運賃・定時性を確保できるのですか?」と、再び疑問を呈しておきます。それが全く不可能であるわけはないにせよ、バスを強化する様々な対策を積み重ねていくことによって、結局は軌道系整備と同じくらい費用が掛かってしまうのではないか、それならば何故無理をして、殆ど「びっくりショー」的な芸当までしてバスに拘る必要があるのか、素直に軌道系を整備しても良いのではないか、というのが、僕の持つ意見です。

Re:お答え、その1
 投稿者--- 沢村慶司郎氏 投稿日時: 2001年2月28日 02時13分

 打越さん、こんばんは。沢村です。
 さて、時間がないので、ちょっとだけ。残りは明日ということで。

(1)水戸=大洗間の運賃
 ミスがあったので訂正しておきます。
 まず、水戸=大洗間のバス運賃は640円です。実は前コメントの時に知っていたのですが、私が出す筋合いの問題ではないと思いまして。
 でも、640円が「約1000円」は誇大しすぎなので、一応指摘させていただきます。

 さて、軌道系<バスとおっしゃった件についてですが、比較の対象となるべき、LRTの走る都市部ではそうでしょうか?
 この点、是非、もう一度公正な観点から考えていただきたいところです。

 なお、LRTとバスとを比較している際に、何故また一般鉄道が出てきたのか、というご指摘ですが、僕としては「軌道系」とバスとを比較していたので、としかお答えできません。

 この点は、ともさんが既にご指摘の通り、そもそもそうした単純比較に意味がないと、私も感じています。
 また、軌道系とひとくくりにされているようですが、軌道系側のサンプルとして地方の一般鉄道である大洗鹿島線を出したのであれば、サンプルとしては的外れではないでしょうか。

「軌道系のほうがバスより安い運賃、頻繁運転には向いている」

 率直に申し上げて、水戸「だけ」をサンプルにしてこのように結論付けるのは、あまりにも乱暴な意見だと考えます。

 (2)LRTとバスとの交通モードとしての利点・欠点の比較に対する意見についてはまた明日に書きます。

 辛口になり失礼しました。

失礼致しました
 投稿者--- 打越健太郎氏 投稿日時: 2001年2月28日 02時45分

 打越健太郎です。

(1)水戸=大洗間の運賃
640円が「約1000円」は誇大しすぎなので、一応指摘させていただきます。

 これは失礼致しました。先日申し上げた、病気療養中の友人に電話で尋ねたのですが、どうやら彼はバスの始発「茨大(註:茨城大学のこと)前」から、終点の「大洗水族館前」まで乗った運賃を言っていたようです。水戸駅から大洗駅までなら、確かにそのくらいでしょうね。これは単純なミスです。失礼致しました。

 また、軌道系とひとくくりにされているようですが、軌道系側のサンプルとして地方の一般鉄道である大洗鹿島線を出したのであれば、サンプルとしては的外れではないでしょうか。

 大洗鹿島線が「地方の一般鉄道」であることは確かですが、水戸〜大洗間に限れば、都市交通としての一面を併せ持っていることは指摘できると思います。水戸から2つ目の常澄駅までは水戸市内ですし(大洗駅は3つ目)、大洗町は実質的には水戸都市圏の一部を為しています(合併構想あり)。この区間だけ大洗鹿島線の運転本数が多く、またこの区間の健闘が功を奏して大洗鹿島線は輸送密度3000人弱(超えたこともあります)、ほぼ収支均衡という、第3セクターには珍しい大健闘をしていることも併せて申し上げておきます。

 率直に申し上げて、水戸「だけ」をサンプルにしてこのように結論付けるのは、あまりにも乱暴な意見だと考えます。

 これは謙虚に耳を傾けるべきご意見です。水戸を例にとったのは、僕にとってもっとも馴染み深い地域だからで、他意はございません。他の地域を例示して、僕の意見の反証・傍証など示して頂ければ幸いです。ただ、地方都市で首都圏などに比べれば渋滞も少なく、比較的バスも定時・高速輸送しやすい水戸ですらこうなのだから、ましてもっと大きな都市では、バスと軌道系とが互角の定時・高速輸送など出来るのかな、というのが僕の感想です。少なくともある程度の距離を定時・高速輸送するのであれば、軌道系のほうが有利である(「絶対に勝つ」とは申せませんが)とは言えそうに思われます。

(2)LRTとバスとの交通モードとしての利点・欠点の比較に対する意見についてはまた明日に書きます。

 楽しみに致しております。但し、それに対する愚見を明日中に書き込めるかどうかは、ちょっと微妙です(所用がありますので…)。

Re:お答え、その1
 投稿者--- 沢村慶司郎氏 投稿日時: 2001年3月1日 01時01分

 前の投稿の続きになります。
 打越さんの意見の内
(2)LRTとバスとの交通モードとしての利点・欠点の比較に対する意見

 LRTを整備する際、市街地(トランジットモールも一案です)を別として、なるべく専用軌道化を図るべし、と考えております。これがAGTやモノレールになると、これはもう、併用軌道ということは有り得ませんよね。

 なるほど。
 ただ、私が感じるのは、その場合「ガイドウェイバス路じゃだめなのか?」ということなんです。恐らく、多くの人が感じている疑問ではないかと思うのです。
 あえてそこでレールを選ぶのは?ということでもあります。

 LRTは郊外にまで路線を伸ばしたり、或いは既存鉄道に直通したり、とにかく専用軌道が確保されている区間であれば相当に高速走行が可能です。この点、僕はLRTの長所だと考えております。
 一方、バスはどうか? どれほど郊外に行っても、バスが走る場所はやはり道路です。そんなに高速運転出来ません。つまり、市街地ではLRTと互角の勝負が出来るバスも、郊外〜都心の所要時間を見れば、やはりLRTには敵わないのではないかというのが、僕の考えです。

 いろいろと展開ありがとうございます。
 確かに、LRTの利点として、郊外鉄道への直通が上げられますね。
 できるところは、そういう方法もあると思います。そういう需要があれば、そうした方式でもよいと思います。

 ただ、だからといって別にガイドウェイバス〜一般道走行と単純に優劣を比べても仕方ないのでは?ということです。
 LRTが郊外鉄道と相互直通できるのが利点なように、ガイドウェイバスも一般道に出られることがメリットになります。

 どちらを選ぶかは、その都市(路線)の旅客流動如何の問題であって、優劣というレベルの問題とは違うと思うのですが

 最後に、補足として

バスが軌道系並みの本数・所要時間・運賃・定時性を確保できるのですか?

 という点ですが、別に「バスだから」本数が少ないとか、そういう問題なのでしょうか。そのあたり私には理解できかねた部分ではありますが。
 これは、バスが、交通モードとして本質的に持つ問題なのでしょうか?
 1分ごとにバスが運行されている区間もありますが。

丁寧なご意見、有り難うございます
 投稿者--- 打越健太郎氏 投稿日時: 2001年3月1日 09時10分

 沢村慶司郎様、毎日のような丁寧なご意見、本当に有り難うございます。僕のようなLRT導入に積極的な人間にとっても、沢村様のような懐疑的なご意見をお持ちの方との議論は、自らの偏見を打破し、LRTの得失を真剣に考えるきっかけとなり、実に有益であります。

 ただ、私が感じるのは、その場合「ガイドウェイバス路じゃだめなのか?」ということなんです。恐らく、多くの人が感じている疑問ではないかと思うのです。
 あえてそこでレールを選ぶのは?ということでもあります。

 そうですね。ガイドウェイで駄目だとは申しません。ただ、ガイドウェイは(少なくとも志段味線は)高架です。そして、ガイドウェイを地表に建設するのは困難です。ドイツ・エッセンには平面ガイドウェイがありましたが「踏切を造れない」という欠点もあって、あれは各地には広まりませんでした。無論、地形によってはLRTでも高架に上げなければならない都市もあるでしょうが「原理的に」高架か地下にしか造れないガイドウェイよりも、可能であれば地表に造れるLRTの軌道のほうがバリアフリーの見地からも優れているし、トータルで見た建設費についても安く上げられるのではないか、と考える次第です。
 ランドスケープの見地からも、およそ高架が相応しくない都市もあるでしょう。例えば金沢がそうです。ガイドウェイでも地下に設ければ景観上の問題点は無くなりますが、今度は「地下に潜ってまでバスに乗るかな?」という問題が出来ますね。東京に残った軌道線、都電荒川線と東急世田谷線、ともに「階段を上り降りせずに乗れる」という点が好評であることも考えるべきでしょう。この長所は、普通のバスにも共通しますが、では普通のバス(何ら大量・高速・定時輸送の為の工夫をしていない)がLRT並みの輸送の能力を持つか、というと、今度は世間一般で言われているLRT・バスの優劣比較がそのまま妥当してしまいかねません。そういった意味で「軌道系でありながら、バス並みに乗り降りが楽」というのは、確かにLRTの長所でしょう。バスを強化するための工夫は(路線の大部分にバスレーンが導入できた東郊線・新出来町線のような「道路がとにかく太い」恵まれた都市を別にして)この「バリアフリー(とシームレス)とに対立する惧れがあります。

 どちらを選ぶかは、その都市(路線)の旅客流動如何の問題であって、優劣というレベルの問題とは違うと思うのですが。

 これも、確かにそうですね。バスが既に高度に発達し、直通すべき鉄道が無く、しかもLRTでも高架にするしかないような都市であれば、ガイドウェイバスも1つの選択肢でしょう。但し、もしも輸送力が将来逼迫する惧れがあれば、ガイドウェイバスだと輸送力増強はなかなか大変ですよ。連節バスを導入する、という手もありますが、名古屋ですら(検討したが)導入が出来なかったのですから(きっと地表走行時に問題があるのでしょう)。

 別に「バスだから」本数が少ないとか、そういう問題なのでしょうか。そのあたり私には理解できかねた部分ではありますが。

 何度も申したように、バスの高速性の無さ・定時性の悪さ(=回転の悪さ。1ルートに時間が掛かれば、それだけ1台のバスが往復できる回数は減ってしまいます。また、渋滞でダイヤが乱れに乱れ、本来の次の運用に入れない場合「特発」つまり、車庫に用意した予備のバスを発車させて何とかダイヤを確保しなければなりません)は、頻繁運転の敵ですね。軌道系に比べて不利になり得るのは、事実でしょう。

 これは、バスが、交通モードとして本質的に持つ問題なのでしょうか?
 1分ごとにバスが運行されている区間もありますが。

 バスを大量に用いれば、可能です。でも、渋滞などがあるせいで、頻繁運転の為には本来必要な輸送力を超えるバスが必要になる惧れは否定できますまい。バスに「向かない」(過分な投資をすれば可能だか)ということは言えるでしょうね。

Re:丁寧なご意見、有り難うございます)
 投稿者--- まつ氏 投稿日時: 2001年3月1日 09時59分

 打越さん、はじめまして!
 たいへん気になる部分があったのですが、

 何度も申したように、バスの高速性の無さ・定時性の悪さ(=回転の悪さ。1ルートに時間が掛かれば、それだけ1台のバスが往復できる回数は減ってしまいます。また、渋滞でダイヤが乱れに乱れ、本来の次の運用に入れない場合「特発」つまり、車庫に用意した予備のバスを発車させて何とかダイヤを確保しなければなりません)は、頻繁運転の敵ですね。軌道系に比べて不利になり得るのは、事実でしょう。

LRTでも、路面区間がある限り同じ事だと思うんですけど。このあたり。

 バスを大量に用いれば、可能です。でも、渋滞などがあるせいで、頻繁運転の為には本来必要な輸送力を超えるバスが必要になる惧れは否定できますまい。バスに「向かない」(過分な投資をすれば可能だか)ということは言えるでしょうね。

 それはLRTでも同じですね。
 では。

Re:お答え、その1
 投稿者--- まつ氏 投稿日時: 2001年3月1日 10時05分

 沢村さん、はじめまして!
 本題に入ります。

 ただ、私が感じるのは、その場合「ガイドウェイバス路じゃだめなのか?」ということなんです。恐らく、多くの人が感じている疑問ではないかと思うのです。あえてそこでレールを選ぶのは?ということでもあります。

 私もそう思いました。
 思うんですけど、なんで線路にそんなにこだわる必要があるんでしょうね。
 ガイドウェイバスみたいな、軌道とバスの中間形態だってあっていいはずなのに。
 ここで軌道系とバスとを厳格に峻別することに、どれほどの意味があるのでしょうか。私はないと思うんです。

 確かに、LRTの利点として、郊外鉄道への直通が上げられますね。できるところは、そういう方法もあると思います。そういう需要があれば、そうした方式でもよいと思います。

 ただ、だからといって別にガイドウェイバス〜一般道走行と単純に優劣を比べても仕方ないのでは?ということです。
 LRTが郊外鉄道と相互直通できるのが利点なように、ガイドウェイバスも一般道に出られることがメリットになります。

 LRTの鉄道直通っていろいろな問題がありますよね。
 ターミナル駅を無視するわけですからターミナル駅周辺の衰退にならないか?
 普通鉄道との輸送力段差をどこで吸収するか?
 まあ、できるところはやればいいと思いますが、どこででも通用するとはいえないです。(ガイドウェイバスも同じですけど)

 どちらを選ぶかは、その都市(路線)の旅客流動如何の問題であって、優劣というレベルの問題とは違うと思うのですが。

 そういうことになりますね。優劣っていうことじゃないと思います。相対的な問題だと思います。

 という点ですが、別に「バスだから」本数が少ないとか、そういう問題なのでしょうか。そのあたり私には理解できかねた部分ではありますが。
 これは、バスが、交通モードとして本質的に持つ問題なのでしょうか?

 私もそれはわかりません。バスが本数少ないっていう公式は、どこで作られたものなんでしょう?
 では。

お答え、その3
 投稿者--- 打越健太郎氏 投稿日時: 2001年3月1日 21時56分

 まつ様、ご批評有り難うございます。まつ様のご意見にも、僕なりの考えを申し上げたく存じます。

ここで軌道系とバスとを厳格に峻別することに、どれほどの意味があるのでしょうか。私はないと思うんです。

 別に軌道系に拘っているわけではありませんよ。現に軌道系とも巨大バスとも言える「ゴムタイヤ・トラム」などというものもございますし… 

(参考)ゴムタイヤ・トラム log310.html#4

 ただ、軌道系のほうが輸送力が大きい、という、何人も否定できない事実がありますよね? 同じ数のお客さんが乗った際、車内にゆとりがあるという枝葉末節的な問題はさておき、相当に輸送需要が小さい地域でも、ほんの一時、輸送需要が道路の能力を遥かに超えてしまうことがしばしば起こります。それは朝の通学ラッシュです。一時期の第3セクター鉄道ブームの際、何故、相当の過疎地域までレールを残したかご存知ですか?あれは「地方の見栄」ばかりではなく、通学ラッシュ対策という面もあるのです(中高生の通学が不可能になると、若い世代が即、流出して過疎地域の死活問題になり得ます。「レールが無くなると過疎化が進む」という地方の声は妄想でも何でもなく、こういった問題を背後に抱えていたのです)。輸送能力というのは平均ではなく最大値にも対応できなければ困るので、一見バスで用が足りそうでも、実は軌道系が必要になる地域というのは、相当に存在すると思われます。但し、それほどの能力が要求される時間は短いので、建設費やランニングコストに過大な投資をすると大変です。そこで僕は、軌道系としては1番安上がりなLRTを高く評価しているのです。

LRTの鉄道直通っていろいろな問題がありますよね。
ターミナル駅を無視するわけですからターミナル駅周辺の衰退にならないか?

 何故です? 日本にも鉄軌道直通が複数存在することはご存知ですね。その中の代表例として岐阜・広島を検討してみると、岐阜では、むしろ路面電車を新岐阜ターミナルに直通する為に鉄道線に直通しています。で、本来の軌道線はと申しますと、これも新岐阜駅前電停がございます。また広島では宮島線と市内線(昔は同一会社でも、全く別の路線でした)が直通していますが、これも互いのターミナルである西広島で線路をつないだので、ご心配のような問題にはなっていません。
 まあ恐らく、まつ様のご心配は、東急東横線〜営団日比谷線の直通などを念頭に置いていらっしゃるのでしょう。確かに、あれは渋谷というターミナルでなく、中目黒がジャンクションになっていますね。でも、営団南北線〜東急目黒線は如何です? 既存のターミナルに対する需要が強いのなら、その時は既存ターミナルでLRTと直通すれば良いだけの話です。

普通鉄道との輸送力段差をどこで吸収するか?

 これも例がありますよ。それもゴロゴロ。北海道の主要路線は、あれは殆ど都市間輸送で持っているのですが、その間隙を縫って、1〜2両のローカル列車がコトコトと走っていますね。敢えて北海道と言わずとも、山形・秋田新幹線でも、常磐線のいわき以北でも、こういった例は結構存在します。

バスが本数少ないっていう公式は、どこで作られたものなんでしょう?

 何度も言っているのですが… 「バスは必ず本数が少ない」とは思いません。現に僕の住む水戸などは、メインストリートが1本(国道50号線)しか無いので、この区間に限れば30秒と待たずに次のバスが参ります。これに関しては、僕の以前の投稿をご覧になって頂ければ、ご理解頂けるかと思います。(以下、僕自身の投稿です)

 何度も申したように、バスの高速性の無さ・定時性の悪さ(=回転の悪さ。1ルートに時間が掛かれば、それだけ1台のバスが往復できる回数は減ってしまいます。また、渋滞でダイヤが乱れに乱れ、本来の次の運用に入れない場合「特発」つまり、車庫に用意した予備のバスを発車させて何とかダイヤを確保しなければなりません)は、頻繁運転の敵ですね。軌道系に比べて不利になり得るのは、事実でしょう。

 これは、バスが、交通モードとして本質的に持つ問題なのでしょうか?
 1分ごとにバスが運行されている区間もありますが。

 バスを大量に用いれば、可能です。でも、渋滞などがあるせいで、頻繁運転の為には本来必要な輸送力を超えるバスが必要になる惧れは否定できますまい。バスに「向かない」(過分な投資をすれば可能だか)ということは言えるでしょうね。

ちょこっと補足
 投稿者--- 打越健太郎氏 投稿日時: 2001年3月1日 22時05分

 なお、念の為に…
「なんで急にローカル線の話題になっちゃったんだ?」とお感じの方も多いでしょう。いささか唐突でした。僕が言いたいのは

「ラッシュ(特に時間的に集中する朝の、それもクルマの運転が出来ない中高生の通学という)時、『瞬間風速』的に輸送需要は非常に大きくなる。事実、相当の過疎地域でもバスでは対応できないほどだ。確かに全ての地域に軌道系が必要なわけではないが、我々が日常思う以上に、軌道系の輸送力が必要とされている可能性は大きい」ということです。失礼致しました。

率直に感じる疑問
 投稿者--- とも氏 投稿日時: 2001年3月1日 22時35分

 ともです。こんばんは。

 今日、「バスのまち」から帰って参りました。
 ということでバスの擁護を。(笑)

 冗談はさておき。

 さてさて、ずっと読んでいて一つ感じるのは、やはり、打越様のバスに対する厳しい意見はそのまま今のバスに対する問題ともいえるでしょう。
 ですから、打越様の意見そのままということではないものの、今後、バスを基幹交通にするのであれば当然、考慮すべきものと考えます。

 ただ、ちょっと気になる点がやはりありますね。
 まず、僕はこの考え方には否定的なんですが、最近の「LRT推進論者」の方の多くは併用軌道で整備することを考えていませんか。例えば道路の車線を減らして導入するとか。それではバスはどうでしょうか。バスの場合も結局同じことで、バス専用道を一般車道内に整備することだって法律上の問題はありませんし、それであればLRTなどとの差はなくなります。
 また、リバプールやパリやはたまた長野のような渋滞交差点手前のみのバス専用レーン整備や、ニューヨークやロサンゼルスにあるようなバス専用ランプと高速道路の組み合わせなどなど様々な施策をやるのもガイドウェイバスと同じような効果は十分考えられます。

 そもそも、バス専用道路化に予算うんぬんというのなら、LRTの専用軌道も同じこと。車線削減なしの状態で整備するなら同じです(LRTは道路内、バスは道路内整備できないというのは矛盾しませんか?) 。

 また、LRTの自動車削減効果はそれ単体でははっきり言ってないです。
 打越様の書かれているストラスブールにしても、TDMによって減ったのであってLRTがその原因ではありません。
 確かに、LRTの整備がTDMの成功に寄与したことはまぎれもない事実でしょう。
 しかし、TDM自体はそれがLRTであってもバスであっても成功する時は成功しますし、失敗するときは失敗します。
(LRTで自動車削減がうまいっていない都市の代表格はパリのサンドニ、カナダのカルガリーなど、バスでうまくいった都市の代表はオタワ、アデレード、パースなどがあります。もちろん日本でいうところの「TDM」だけではなく単純なパークアンドライドも含みますが)

 そもそも軌道系の整備がされれば自動車が減るのなら、こんなに都市交通問題で議論はおきません。(笑)

 ちょっと考え方を変えて、一つ都市内基幹交通としてのバスが確立している都市を見てはみませんか?
 ではでは。

大悟&新たなる煩悩(笑)
 投稿者--- 打越健太郎氏 投稿日時: 2001年3月2日 01時51分

 打越健太郎です。

 さてさて、ずっと読んでいて一つ感じるのは、やはり、打越様のバスに対する厳しい意見はそのまま今のバスに対する問題ともいえるでしょう。
 ですから、打越様の意見そのままということではないものの、今後、バスを基幹交通にするのであれば当然、考慮すべきものと考えます。

 有り難うございます。少なくとも現時点におけるバスシステムは不備だらけであり、まだまだ改善が可能と考えております。念の為に申し上げておけば、僕は毎日バスを使っており、バスは大好きです(笑)。今後ますますバスが奮闘し、僕のような人間をアッと驚かせてくれれば、それはとても嬉しい事です

 ただ、ちょっと気になる点がやはりありますね。
 まず、僕はこの考え方には否定的なんですが、最近の「LRT推進論者」の方の多くは併用軌道で整備することを考えていませんか。例えば道路の車線を減らして導入するとか。それではバスはどうでしょうか。バスの場合も結局同じことで、バス専用道を一般車道内に整備することだって法律上の問題はありませんし、それであればLRTなどとの差はなくなります。

 これなんですが… 先日参りましたシンポジウムでも、この考え方が何度も表明されていました。そこで気付いたのですが「LRTを道路上に建設したい」という考え方の背後にあるのは、実は「軌道系を建設したいけれど、土地買収の金が無い。いっそ道路を建設用地に使えないか」という発想なのですね。で、道路上に建設できるLRT・AGT・モノレールを比較して、もっとも安価なLRT導入に傾く人が多いようです。ですから、ここにいらっしゃる皆様と、彼らLRT導入派では、話がかみ合わない惧れが多分にあります。ですから、

 また、リバプールやパリやはたまた長野のような渋滞交差点手前のみのバス専用レーン整備や、ニューヨークやロサンゼルスにあるようなバス専用ランプと高速道路の組み合わせなどなど様々な施策をやるのもガイドウェイバスと同じような効果は十分考えられます。

 このお考えは正しいのですが、近年のLRT導入派は、むしろ「何が何でも軌道系を建設したい」と考えた上で、用地が無料(軌道敷設時は無料で道路を利用できます)、建設費が安価、という点に目をつけている可能性が大です。だから、とも様の正しいお考えも、彼らの情熱を静めるのには無益でしょう。

 ところで、先ほど入浴しながら「LRTのバスに対する優位性は、ウムム…」などと考えを廻らしておりました。色々な具体例が頭に浮かびますが、レアケースを持ち出しても説得力が無いし…などと考えていて、遂に辿り着いたのが「LRTとバス、どちらが向いているかはその都市の特性による」という、以前からとも様が仰っていたお考え、そのものでした。以前からこのお考えが正しいことは理屈では分かっていたのですが、遂にストンと胸に落ち着いた気分です。これを「大悟」というのでしょうか(^^;

 しかし、娑婆(=俗世間)は煩悩の尽きない所です。次なる疑問が…

 バスが基幹交通になっていて、しかもうまく行っている都市は、アデレード・クリチバなどでしょうか。で、ここで新たな疑問が生じました。「バスでもうまく行った例があるのなら、何故に世界中でLRTがあれほど評判になって人気があるのだろう?」と。抽象的に答えるのは簡単です。その都市の特性にバスが合っていたのだ…。ではその「バスがうまく機能する都市の特性」とは何か? なかなか思いつきません。敢えて言えば、都市が拡散して、面的な輸送が求められているといった事柄でしょうか。でも、クリチバの場合、フィーダーバスはなるほど面的輸送を担っていますが、「背骨」に相当する基幹部分までバスなのです。これでうまく行っているのなら、何故に欧米の他の都市ではLRTが隆盛を極めているのでしょうか。却って逆の意味で不思議です。

Re:大悟&新たなる煩悩(笑)
 投稿者--- 沢村慶司郎氏 投稿日時: 2001年3月2日 10時06分

 それではバスはどうでしょうか。バスの場合も結局同じことで、バス専用道を一般車道内に整備することだって法律上の問題はありませんし、それであればLRTなどとの差はなくなります。

 ここ数日打越さんに対して出されてる意見は、見る限り一貫してこのことだと思います(^^)。

 打越様がおっしゃる「近年のLRT導入派」は、「何が何でも軌道系」で、都市における適否を考えず、まず軌道系ありき。
 そんな彼らの情熱なんてどうでもいいです。オモチャじゃないし、第一税金ですよ。彼らを面白がらすために造るものじゃないです。

 あと、用地が無料と言いますが、土地を占有するのだから土地所有者に何らかの賃料を支払ってる可能性もあります。

 バスが基幹交通になっていて、しかもうまく行っている都市は、アデレード・クリチバなどでしょうか。で、ここで新たな疑問が生じました。「バスでもうまく行った例があるのなら、何故に世界中でLRTがあれほど評判になって人気があるのだろう?」と。

 LRTが実情に合ってたからなんでしょう。
 ただ、その理由はLRT導入の理由にそのままなると思いますから、導入派にとって研究の価値はあると思いますよ。

 私が思いつく理由として、一つには潤沢な資金で建設・運営できたことがあげられるでしょうね。
 特に、有名なストラスブールは無料でしたっけ。確か。
 でも、日本ではそれは望めないと思っておいた方がいいと思いますよ。財政かなり厳しいですし。

 いま一つ思いつく理由として、市民があくまでもLRTをバスと並列的に*手段」として考えられていて、支持されていることじゃないでしょうか。
 日本のLRT導入派は、打越様の「何が何でも」と言う言葉に代表されるとおり、手段のはずのLRTが自己目的化している感じがします。
 このため、市民から、LRT導入論が、一部マニアの感情論にしか見えないのかもしれません。
 LRTの導入にはマイカー規制という市民の痛み分けが必要です。市民の支持が必須条件です。
 とすると導入論は慎重に扱うべきなのに、その急先鋒がこのような「何が何でも」に代表される感情論では、説得力をもたないのは当然でしょう。
 しかもそうした人々の多くは、マイカー利用者を悪し様に貶す傾向にあります。環境意識が低い、などです。
 それでは、痛みを受ける市民の支持は得られにくいと思いますが。

 あと、LRTの自己目的化と申しましたが、日本のLRT導入派がLRTを選択する目的意識に乏しい(あるのかもしれないが、感じられない)というのもあります。だからして「バスでもいいじゃないか」になるのではないでしょうか。
 LRT導入派さんには、もう少しソフトに頑張っていただきたいものです。

どうも有り難うございます
 投稿者--- 打越健太郎氏 投稿日時: 2001年3月2日 12時09分

 沢村慶司郎様、ご意見有り難うございます。簡潔に済ませたいので、3点だけ。

 あと、用地が無料と言いますが、土地を占有するのだから土地所有者に何らかの賃料を支払ってる可能性もあります。

 いや、併用軌道なら無料です。軌道法で「所定の利用料を」と決まっているのですが、その肝心の「所定」が決まっていないので、結果として軌道事業者は道路をタダで利用できます。

 日本のLRT導入派は、打越様の「何が何でも」と言う言葉に代表されるとおり、手段のはずのLRTが自己目的化している感じがします。
 このため、市民から、LRT導入論が、一部マニアの感情論にしか見えないのかもしれません。

 うーん、現実のLRT導入論は、果たして「一部マニアの感情論」扱いですかね?
 それは同意致しかねます。むしろ、金沢でも広島でも、また仙台でも、実際にはLRT導入論は相当程度の市民の賛同を勝ち得た事実があります。金沢はどうやら有望のようですし、広島も「平和大通り線」が一部とは言え、実現するでしょう。むしろ実際には、LRTを望んでいるのは一部市民だけではありませんよ。商店街などのLRT研究は最近、非常に盛んです。沢村様は「LRTは一部マニアだけが主張している」とお考えでしょうか。むしろ、行政や財界などもLRTには、極めて注目しているのが事実ですね(それだけに、何も考えないで導入してしまいかねないのが不安ですが)。
 それから、もう1つ。マイカー利用者といっても、無論「自家用車絶対」と考える人ばかりではありますまい。僕だってクルマを使いますしね。ただ、全てではないにせよ、環境意識のまるで無いドライバーもいるでしょう。こんなことは言いたくないのですが、極度のスピード違反者。危険なばかりか、燃料も無駄にしています。また(ここからは仮定の話です)環境問題などでクルマ利用が制限された場合、決して納得せず、納得しないだけならともかく、規制にも従わない輩(実在しそうですね)は、やはり糾弾されても仕方ないのではないかと思います。

 最後に「財政難だ。LRTの無駄な建設は反対」とお考えでしょうか。このご意見に反論できる者はおりますまい。絶対的に正しいご意見ですから。ただし、実際の日本社会にそんな実例があるでしょうか… むしろ、LRTで建設すれば安上がりなのに地下鉄やモノレールが作られたり(多摩モノレールなども、未建設区間はLRTで造れという意見もあるのですが)、また誰が使うのかさっぱり分からない道路などを建設したり、という事実を見ていると、むしろLRTのほうが遥かに有益と考えます。仮に「バスで足りる」路線までLRTにしてしまっても、地下鉄や高速道路ほどの建設費は掛かっておらず、しかも利用者もそれなりにあるでしょうから、それほど決定的なミスにはなり得ないと思うのですが。

Re:どうも有り難うございます
 投稿者--- とも氏 投稿日時: 2001年3月3日 23時50分

ともです。

 いや、併用軌道なら無料です。軌道法で「所定の利用料を」と決まっているのですが、その肝心の「所定」が決まっていないので、結果として軌道事業者は道路をタダで利用できます。

 これはおかしいです。
 軌道法にある所定の利用料というのは、道路法による占用料のことで、本来は道路管理者(国や県、市などです)は徴収しなくてはなりません。
 僕も実例が解らないので、チェックする必要がありますが、行政監察や会計検査あたりで当然指摘される事項と考えられますので、「所定」が決まっていないからタダはおかしな話です。考えられるとすれば、占用料を免除するけれども、表面管理(=軌道の管理)をすることで相殺するという考えかもしれません。

金沢でも広島でも、また仙台でも、実際にはLRT導入論は相当程度の市民の賛同を勝ち得た事実があります。
それから、もう1つ。マイカー利用者といっても、無論「自家用車絶対」と考える人ばかりではありますまい。

 僕は市民運動によって、このような交通計画への積極的な意見が出されることは極めて重要なことと考えますし、それを行政が真剣に検証し、だれもが納得するのなら導入するというのは正しい行政運営と思います。そういう点でいえば、金沢や仙台の運動自体を批判するつもりはありません。
 とはいえ、その他の市民(大抵はこちらのほうがおおい)からみて、本当に必要なのかどうか、そこを考えずしてのLRT導入論は、やはり感情論的なとらえ方をされても仕方がないです。

最後に「財政難だ。LRTの無駄な建設は反対」とお考えでしょうか。(以下省略)

 どうも、この辺が打越様と僕や沢村様の意見が合わない点だと思うのですが、そもそも、LRTの建設に必要な道路、土地はだれが手当てするのですか?
 「用地は今ある道路を使います。建設費用は道路側で負担して下さい。それだからAGTやモノレールよりも有利です。LRTが入る道路の車はどっかにいって下さい」では、LRTっていうのはそんなに特権をもつものなんですか?という素朴な疑問をもたれるでしょう。
 今現在の国土交通省の政策にあるスキームでのLRTの建設費用は、結局は税金なんです。それは道路特別会計だとしてもです(もちろん民間整備なら別です)。

 そういった現状を踏まえずしてLRTが有利といっても何ら説得力はないですよ。
 せっかくのLRTに対する社会の期待を裏切るようなことは、自らの首を締めることになります。

 ちょっと支離滅裂ですが。ではでは。

2004.11.14 Update


Copyright © 1998-2004 Unlimited Liability Company 551planning. All rights reserved.
Designed for Microsoft Internet Explorer 5.0 …by Microsoft FrontPage 2002