【検証:】中量板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】<中量輸送システムの明日…>
(過去ログNo.309)
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〔バス〕都市新バスシステム(基幹バス)に関する提言
 投稿者:打越健太郎氏 投稿日00/11/19(日) 04:27
〔バス〕都市新バスシステム(基幹バス)に関する提言
└Re:都市新バスシステム(基幹バス)に関する提言
└Re:都市新バスシステム(基幹バス)に関する提言
 └バス先進都市といえば…
  └トランスファー制度導入こそ必要
   └Re:トランスファー制度導入こそ必要
    └Re:トランスファー制度導入こそ必要
     └Re:トランスファー制度導入こそ必要
      └Re:トランスファー制度導入こそ必要
       └Re:トランスファー制度導入こそ必要

 打越健太郎です。この掲示板でも日々有益かつ高レベルな議論が続き、僕のような未熟者としては日々、勉強になることばかりです。これまではLRTの議論が多く、僕のようなLRT好きとしても大変嬉しかったのですが、実は僕は、バスにも興味を持っております。まあ、僕としては「よほど変わったことをしない限り、バスはLRTほどの機能を果たすのは困難」「バスは環境負荷もLRTより大きく、人々に対する信頼感も軌道系には及ばない」「定時性の確保すら難しい」「輸送力もバスのほうが小さい(=同じだけの乗客数なら、LRTのほうが車内にゆとりがある)」などと否定的な意見を数多く述べて参りましたし、原則として今でもそのような考え方ですが、それでも現実に機能しているバスが、ますます便利・有益な存在になっていくのは大歓迎です。また、バスについてよく知ってこそ、LRTの良さ、そして限界、さらにはLRTとバスとの使い分けの基準なども見えてくる、と考えております。

 僕としては、バスのもっとも得意な分野は
   ・遅いながらも快適な都市間直通輸送(高速バス)
   ・軌道系導入に至らない程度の需要に対する路線(亜幹線)
   ・軌道系のフィーダー
   ・コミュニティバスやディマンドバスのような木目細かなサービス
   ・臨時路線
などかと思っておりますが、少なくともLRTの導入までは、基幹交通の重責を担うべきバスも多いでしょうし、また実際に基幹交通としての役割を一部とは言え果たしているバス路線・車両には大変、興味があります。
 以前、主にKAZ様からお教え頂いたことですが、バスの使い方が上手なのは名古屋・福岡など、これを追いかけたいと(行政が)願っているのが金沢ということだそうですね。これらの都市は皆、「都市新バスシステム」といったものを導入しています。具体的には
   ・バスレーンの設定
   ・バス優先信号
   ・ロケーションシステム(運転士用…定時運転のため、停留所での待機を命ずることも)
   ・停留所における接近表示
   ・停留所の整備(乗客が快適に待てるように)
などといったことを行っています(名古屋では「基幹バス」と称していますが、新出来町線のレーンが道路中央、という点以外は同じなのかな? 両者の違いがよく判りません)。こうやってみると、LRT導入とあまり手法的には変わりませんね。無論、こういった路線は頻繁運転し、「軌道が無い」という視覚的な弱さをカバーしています(なお、レーンを色で塗り分ける例も)。で、その甲斐あって名古屋の新出来町線は1日の利用者数が35000人に達したとか。もう限界だということです(それこそLRTの出番かも)。でも、これでもやはり、レーンに侵入する輩はゼロではないらしいですね(「新しい都市交通システム」都市交通研究会著・山海堂)。新出来町線とは無縁ながら、歩道よりのバスレーンは違法駐車などで麻痺してしまうことが多いようです。無論、警察による監視、といった対策も講じられてはいるのですが、極端な話、たった1台の違法駐車でもレーンは麻痺してしまうことが多いです(隣の車線は自家用車でいっぱい、とても回避できない)し、別の道路に迂回というのも、停留所をうまく通れるか、そもそも裏道は太いか、といった問題で「言ふは易く、行ふは難し」のようです。この点、軌道に侵入した自動車はクラクション1発でほぼ必ず退きますね。本来、専用レーンであればそれは軌道と同じものなのですが、電車が絶対に線路を離れられないのに対し、回避できるはずのバスに対しては、どこか「バスのほうが避けてくれるだろう」という甘えを持ったドライバーも、残念ながらゼロではないようです。

 こういった事態に対処するため、外国の例なども参照しつつ、僕が対策案を立ててみました。皆様、ご批評を…
 
1、バスレーンをカラーコーンで分離せよ

 福岡ではかつて、西鉄社員と警察官がバスレーンと一般車線との境界に立ってバスレーンを確保したとか。人海戦術も結構ですが、間違って人を撥ねてしまうといったことも有り得ます(過去に道路工事のガードマンをやった経験から、はっきり言って福岡式は危険だと思います。その危険を顧みなかった西鉄社員はとても立派だと思います)。工事現場に置かれるカラーコーンを立て、出来ればロープでも張れば、同様の効果を無人で達成できますね。

2、違法な車を監視すべし

 ロンドンでは交通監視員がバスレーン近くの道路から監視しています。彼らは警察権の一部を持ち、違法なドライバーに警告したり反則切符を切ったり、あまりに悪質な場合には逮捕したりしてしまいます。また、ロンドンとシンガポールでは、バスの先頭にビデオカメラを設置、バスレーンを侵した車のナンバーを撮影し、後日反則切符を切るという方法が取られています。日本ではプライバシーが問題になりそうですが、警察にこのビデオを管理してもらい、交通取締以外には使わない、ということであれば、これは既に存在するカメラ監視とほぼ同様のものですから、何とか導入できそうです。

3、バスレーンの逆走

 これは力技です。そして事故などのリスクも大きそうです。でも一応、提言ということで触れておきます。バスレーンが道路の中央にある新出来町線などでは、停留所のホームを岡山電軌のように島式にする、ということが考えられます。このままでは乗降が出来ません(電車なら左右両方にドアがある)から、バスに限り、右側通行するという方法です。この「逆走」は、かつて北九州市での路面電車に例があり、またロンドンでも行われている方法です(仙台でもやっているとか。未確認)。
 ただし、これらは「一方通行の道路を逆走」しているのであって、僕が言っているような「絶対にレーンに立ち入らせない」というものとは性質が異なります。道路中央なら、1で述べた「完全分離」と合わせれば何とか可能でしょうか。レーンが歩道よりにある場合でも、「レーン逆走」は考えられなくはありません。但し、そもそもバスのドアの位置からして乗降が難しくなる上に、これはラッシュ時などに時間を限ってやるのでなければ、歩道沿いの商店の物品運び入れが出来なくなってしまいます(こういった商店街の道路では、時間を限って停車を許し、商品の運び入れを行っている例が多い)。やるとすれば、バスそのものを改良し、またラッシュ限定、という所でしようかね。

以上、簡単ながらバスレーンに関する提言を行いました。皆様のご意見をお聴かせ下さい。

Re:都市新バスシステム(基幹バス)に関する提言
 投稿者とも氏 投稿日:00/11/19(日) 22:37

 ともです。こんばんは。

 バスの議論いいですね。待ってました。
 LRTもいいんですが、バスも捨てがたい魅力が有りますから。
 ということで、読ませていただいての意見などなど。

バスの使い方が上手なのは名古屋・福岡など、これを追いかけたいと(行政が)願っているのが金沢ということだそうですね。これらの都市は皆、「都市新バスシステム」といったものを導入しています。具体的には(省略)

 バスの使い方が上手な都市というものに共通しているのはバス事業者が積極的に打って出る地域と言うことですね。
 名古屋には名鉄、福岡には西鉄ですね。
 このほかにもバス施策の先進都市もしくは頑張ろうとしている都市である浜松には遠鉄、宇都宮には関東自動車がありますね。
 バス事業に対する支援は行政がどんなに動いても、バス事業者が乗り気で無ければ上手くいかないですから、このような都市には積極的な事業者が集まるのでしょう。

 「都市新バス」は、もともとは都市内で軌道なみの高頻度、定時性をもったバスをといった発想から出たもので、名古屋や福岡のほかにも東京都交通局の都○○系統や大阪のゾーンバスのうちの基幹ルート等も仲間に加えるのが一般的です。
 打越様の挙げられている施策をやっているからといって都市新バスシステムという定義にしてしまうと、全国いたるところにできてしまいますので、前述のコンセプトで路線設定した路線というものに限定してはいかがでしょうか。これは異論のある方も多いと思いますが。

 実際、全国で見かけるバスレーン以外にも、バスの優先信号については、PTPS(公共車両優先システム)という名前で、警察がいろいろなところで導入しています(東京:目黒通り、札幌市:R36など)し、バスロケーションや停留所の接近予告も珍しいものではなくなっていますね。

歩道よりのバスレーンは違法駐車などで麻痺してしまうことが多いようです。

 これは、解決策があるんですね。しかも日本に。
 大阪の大正区にあるテラス式バス停です。
 通常はバスベイを歩道側に引っ込めるのですが、逆にバス停部を車道側に張り出すのです。
 逆転の発想ですが、こうすればバスは車線変更の必要無く停留所への発着が可能です。
 これはかなり効果があるようですね。

1、バスレーンをカラーコーンで分離せよ

 これは、やっているようでやっていない施策なんですが、実験的には宇都宮のパークアンドライド実験時、長野オリンピック時のシャトルバス専用車線規制での事例があります。
 課題としては「誰が撤去して設置するの」「沿道の出入りをどう確保するの」というとこですね。
 とはいえアメリカにある可動式ウォールなんかを使うと機械化できますし、カラーコーンは道路公団が自動設置&撤去装置を持っていますのでそういったものの発展次第では実現できるかも知れませんが。

2、違法な車を監視すべし

 これは日本でも行われています。大阪市内のバスレーンで違法侵入車がいた場合には道路交通情報板にナンバーが出て警告するものです。

3、バスレーンの逆走

 読む限りこれは厳しいですね(笑)
 力技というか強引というか...とはいえ、可能性を示しましょう。バス専用道路という考え方が近いのかなと思いますので。

 4車線道路をバス専用2車線と一般車2車線で使うのですが、中央分離帯を境に左側をバス専用、右側を一般車として、それぞれ対面通行で使うというものです。
 宇都宮のセミトランジットモール計画の形態はこのようなものではなかったでしたっけ?(だれか御存じの方いませんか)
 商店への出入りについては、バスレーンを時間帯を区切って限定的に使わせれば問題はないでしょう(ピーク時以外は影響ないですから)。

 まずは感想と情報を。これに関しては僕なりの意見もありますので、また後程。
 では。

Re:都市新バスシステム(基幹バス)に関する提言
 投稿者:KAZ氏 投稿日:00/11/19(日) 23:02

 ども。

 バスですが、色々と言われますが中には心理的な要素も含まれますので・・・。

 名古屋の基幹バスですが、他の雑多なバス路線とは塗色を違えた大型バスで運行され、当初は地下鉄路線図に書き込むとしていました(結局書いてはいないようですが)。地下鉄路線に準ずるまさに「基幹」路線として特別な扱いをするはずでした。バスレーンも他区間より明確な色分けを使ったりしていますから、ただの新バスシステムとは違うものとした「意気込み」の現れですね。

 で、今まで紹介されなかったバスレーンのシステムに「はみ出しバス停」と路側駐車帯との一体整備された道路端ではないバスレーンの組み合わせ、というのがあります。これは大阪市で実用化して大きな効果を上げているものですが、路側駐車帯をきっちり整備して、その外側にバスレーンを設置し、バス停部分は路側駐車帯をなくし歩道を拡幅して屋根付の高度なバス停を設置するというもので、バスは路側駐車のクルマに影響されずに走れ、バス停は歩道を「拡幅」した部分に設置するので歩行者や自転車の影響を受けずに済み、ベンチや屋根の設置も容易です。クルマも駐車帯があるので気兼ねなく停められ、しかもバス停部分は切り込みではなく車道に張り出すような形になるので路側駐車のクルマに影響されず乗降できます。実際に何度か利用していますが非常に便利ですし、張り出しバス停なのでバスがバス停から車線に出る時の待ち時間が全くなくとてもスムーズに運行されています。幅が広い道路の場合は是非適用したいシステムです。

 で、バスレーンの遵守ですが、西鉄では今でも本社社員(役職者含む)がバスレーン監視要員として出ているようです。あと福岡の場合は他と違ってバスレーンの方が一般車線より混んでいたりする(バスが自らレーン内で渋滞している)こともあるようですから割り込みどころかバスがはみ出して走ることの方が多いようです。特に急行・快速バスが普通バスを追い越す際にはレーンからはみ出しますからね。
 カラーコーンですが、大阪で一部立てているところがありますが、コーンの切れ目から一般車が入ってきて走りますから、コーンは万能ではありません。最後はドライバーの良心に頼るしかないようです。ロープを張るのは道路交通法などに抵触しないのでしょうか。当方は世にも珍しい普通自動車運転免許非保持者なので、教本などもないのですぐにはわからないのですが・・・

 バスの逆走ですが、大阪が御堂筋(南行一方通行)で実施を検討したようですが、警察の理解が得られないようですね。関西では加古川や姫路(ともに都心部の東西道路は全て一方通行)でも構想はありますが、交差点処理が難しいので実施にはかなり困難が伴うようです。

 バスシステム全般については、また勉強して書きますね。

バス先進都市といえば…
 投稿者KAZ氏 投稿日:00/11/19(日) 23:40

 ども。ともさんと同時投稿になったようで・・・

 都市新バスシステムですが、これは運輸省の都市新バスシステム導入補助を受けた路線は全てこの名称で呼ばれます。また同じようなシステムでも自力で設置した部分については都市新バスシステムとは呼びません。これは補助金のあるなしだけの違いですね。また大阪なんかではバスロケーションシステムだけの整備が大半で、運行管理まで行う都市新バスシステムは少ないはずです。

 バス先進都市ですが、名古屋は名鉄バスより市バスですね。名鉄は市の施策にのっかっているだけかな。浜松については市バスと遠鉄との対立関係(結構険悪だったようです)から市バス撤退・遠鉄への事業譲渡をきっかけに関係が改善され、遠鉄も積極的になってきたようです。遠鉄は浜松を代表する企業としてのプライドもあるようで、一番目に付くバス事業は手を抜かず積極的に経営する方針のようです。

 しかし福岡(というか西鉄)はすごいですね。以前は台風が来たら電車運転をすぐ打ち切ってしまっていました。理由は「バスがあるから」。終電が早い(バスより1時間近く早く終わる)のも「電車で運ばないといけないほどの需要がないからバスに乗って下さい」。全てはバスを中心に動いていて、電車は「バスでは対処しきれないから仕方なく」営業しているといったスタンスにも見えます。ここまでくれば笑えますね。電車は23:46に終わっているのにバスは24:35まであって(市内バスだけでなく小倉線や飯塚線といった都市間路線も含む)、飲み屋での会話も「地下鉄終わったけんバスで帰ると」なんて平気で喋っていてびっくりします。深夜料金も天神を24:01以降に発車する便にしか適用されませんし、深夜の足はバスが当然、といった感じです。鉄道は本当に大量輸送が必要な区間・時間帯だけの運転で当然、といったところなのでしょうか。
 しかし西鉄のバスに対する情熱というか「執念」は恐ろしいですよ。一度天神の交差点に立ってバスの数を数えてみて下さい。昼間でもざっと20台近くは走っています。15分毎の高速バスが5号車まで連ねて走ってみたり、30秒毎なんて気の触れたような運転をしてみたり、その是非はともかく「面白い」ですよ。広島もバスの町と言われていますが、やっぱりバスは福岡ですね。西鉄様の御威光に触れてみて下さい(笑)

 ちょっと変な方向へ話が・・・すみませんね。よっぱらいの戯言です。

トランスファー制度導入こそ必要
 投稿者とも氏 投稿日:00/11/20(月) 17:43

 ともです。

 都市新バスシステムですが、これは運輸省の都市新バスシステム導入補助を受けた路線は全てこの名称で呼ばれます。また同じようなシステムでも自力で設置した部分については都市新バスシステムとは呼びません。これは補助金のあるなしだけの違いですね。

 確かに、その通りです。僕の書いたのでは抽象的というかあいまいでした。失礼しました。
 とはいえ、都市新バスシステム補助が入った秋田などはとてもそうは見えないんで、境目が難しいですね。
 定義としてはKAZさんのものが正解ですから、なにか新しい言葉があっても良さそうです(新バスシステム補助自体が最近目立たないですね。ITSがらみの社会実験のほうがよっぽど高度なシステムですし)。

しかし西鉄のバスに対する情熱というか「執念」は恐ろしいですよ。
(省略)やっぱりバスは福岡ですね。西鉄様の御威光に触れてみて下さい(笑)

 僕も福岡には何度か出張などで行ってますが、西鉄バスのすごさには驚愕ものでしたね(実際、西鉄の担当者と話すとその自負にさらにびっくりでしたが)。
 西鉄と張り合えるバス会社は日本にはないでしょうね。広島はバスの町と言うには少し物足りないですね。バスのすごさでは宇都宮の方が広島よりもさらに上ですね(宇都宮駅〜東武宇都宮駅もダブルバスレーンという片側2車線のバスレーンをおよそ30秒おきで走ってますね)。
 海外では、香港のバスが西鉄とだぶりますね。あそこの世界に名高い渋滞の主因が乗用車ではなく絶対バスだなと実感できます。

 さて、本題です。
 一つ提案を。

 打越様の基幹バスに対する提言の中で触れられてはいないのですが、日本のバスになくて、海外で当たり前のものといえばトランスファー、すなわち乗り継ぎです。
 日本のバスでは、鉄道とバス間の乗り継ぎに関しては札幌や大阪など全国で行われており、札幌のように極めて乗り継ぎ利便性の高いシステムを構築しているところもあります。
 そんな中で、バス同士の乗り継ぎはどうでしょうか。
 料金割引すら珍しいのに、乗り継ぎバス停を整備しているようなところは皆無ですし、そもそも乗り継ぎを考慮したダイヤになっているようなところは大阪のゾーンバスぐらいでしょうか。
 ところが、海外ではどうでしょうか。
 欧米のほとんどの都市でトランスファー制度がありますね。乗車時にトランスファーチケットをもらえば無料で乗り継ぎが可能というものですね。
 1回運賃を払えばあとはチケットでの乗降可能というのは、便利ですね。
 日本ではほとんど見ないシステムですがこれを導入しない手は無いと思うのですが・・・(秋田で回数券の事例があるそうですが、回数券に限定しています)。

 このシステムこそ基幹バスを最大限活用できるシステムだと思うのですがいかがでしょうか。

Re:トランスファー制度導入こそ必要
 投稿者エル・アルコン氏の ホームページ 投稿日:00/11/20(月) 19:38

 基幹バス+枝線とか、都心部の一方通行路における運行の問題ですが、ご指摘の通り「トランスファーチケット」を導入しないがゆえの「問題」なのかもしれません。

 設備投資という面では、NYのようにザラ紙の綴りで、乗り換え指定時間もそれをちぎる位置で決めてしまえば、ほとんどかかりません。
 NYの場合、AM9-10というように1時間幅の時刻が順に印刷してあり、そこでちぎるようにスライドさせられるカッター付きのホルダーが運転台にあります。1時間幅なので、少なくとも1時間以内に乗らないといけません。

 私がいた頃はバスへの導入は1系統だけでの試行でしたが、いまではメトロカードも対応しているはずです。

Re:トランスファー制度導入こそ必要
 投稿者打越健太郎氏 投稿日:00/11/20(月) 22:20

打越健太郎です。

 都市新バスシステムですが、これは運輸省の都市新バスシステム導入補助を受けた路線は全てこの名称で呼ばれます。また同じようなシステムでも自力で設置した部分については都市新バスシステムとは呼びません。これは補助金のあるなしだけの違いですね。

 これは補助金の有る無しに関する名前なんですか…それは存じませんでした。まあ、基幹交通としてバスを生かすための工夫としてはなかなかなものなので、これからは「亜幹線」とでも称しましょうか。

終電が早い(バスより1時間近く早く終わる)のも「電車で運ばないといけないほどの需要がないからバスに乗って下さい」。全てはバスを中心に動いていて、電車は「バスでは対処しきれないから仕方なく」営業しているといったスタンスにも見えます。ここまでくれば笑えますね。

 そう言えば、東急東横線・田園都市線にも、渋谷発1:00と1:30という深夜バスが有りましたっけ。あれも西鉄的な考え方に基いてるのでしょうね(大学に入ってすぐ、初めてあれを見たときには、あまりに遅い時間のバスなので、何かの間違いかと目を疑いました…)。

 大阪の大正区にあるテラス式バス停です。
 通常はバスベイを歩道側に引っ込めるのですが、逆にバス停部を車道側に張り出すのです。逆転の発想ですが、こうすればバスは車線変更の必要無く停留所への発着が可能です。

 これは名案ですね。もっとも、それなりに道路が太くないと出来ませんが…実質的には1車線減ってしまいますからね。車椅子などの利用も便利そうですね。バリアフリーにも向いていそうです。

 日本のバスになくて、海外で当たり前のものといえばトランスファー、すなわち乗り継ぎです。日本のバスでは、鉄道とバス間の乗り継ぎに関しては札幌や大阪など全国で行われており、札幌のように極めて乗り継ぎ利便性の高いシステムを構築しているところもあります。そんな中で、バス同士の乗り継ぎはどうでしょうか。料金割引すら珍しいのに、乗り継ぎバス停を整備しているようなところは皆無ですし、そもそも乗り継ぎを考慮したダイヤになっているようなところは大阪のゾーンバスぐらいでしょうか。

 これも賛成です。というより、僕の住む水戸では、どうしてもバスを乗り継がないと辿り着けない目的地が多いのに、これをやると初乗り運賃160円を何度も取られます。これがどれほど客離れを生んでいるか。エル・アルコン様ご提案の方法などを、早速に取り入れて欲しいものです。また、水戸駅では現在「レール&タクシー」というサービスが行われ、東京以遠に特急列車で行く際には、送り迎えのタクシーを割引利用できるのですが、これを少々拡大し、特急券を見せるとバス無料、などというサービスを提言しています。普通列車の乗車でも、せめて割引くらいしてくれれば良いのに…

 何だかまとまりませんが、こんなことを考えております。

Re:トランスファー制度導入こそ必要
 投稿者KAZ氏 投稿日:00/11/21(火) 11:23

 ども。

 乗継割引ですが、大阪市の他は広島(異事業者間・市内電車含む)・福岡でもやっていますね。広島は割引額は20円と低いものの、別会社のバスや市内電車との乗り継ぎでも適用されますから、他と違った形態になっていますね。西鉄は割引額が80円と大きく、また乗り継ぎ回数に制限がない上に高速バスも割引対象になるなど、総合的な西鉄ネットワーク強化策として実施されています(利便性向上というより新規参入事業者への牽制といった意味合いが強いようです)。西鉄なんかでは鉄道定期とバス定期の組み合わせで様々な特典を付けて西鉄グループの利用を促進しようとしています(地下鉄乗換の阻止とバス利用促進)。
 浜松では、通常は駅を中心にして放射状に路線が延びているバスを、通勤時間帯はお互いにスルー運転して駅を超える通勤・通学流動に対処しています。西鉄も市内バスは天神を挟んでスルー運転する方針で、複雑にはなりますが様々な直通ルートがあって使い慣れた者には非常に便利な路線網になっています。

 何かまとまりがありませんが、そういうことです。またゆっくりレスしますね。

西日本鉄道 鉄道―バス乗り継ぎ定期詳細 http://www.nnr.co.jp/nnr/bus/teiki/inf1_c.htm

Re:トランスファー制度導入こそ必要
 投稿者打越健太郎氏 投稿日:00/11/23(木) 01:19

 打越健太郎です。バスを便利にするための方法を思いつきました。というより、鉄道・軌道などのサービスに倣った方法です。

1,乗換券
 路面電車では全く当然の方法ですが、バスではあまり聞きません。これは僕が水戸の街でバスを利用していて気づきました。水戸の街について簡単に説明しておくと、Y字型と申せましょうか。水戸駅からメインストリートの国道50号が出ていて、大工町という所まではほぼ全てのバスが同一ルートです(この区間だけなら水戸のバスもかなり便利。この地域に住んでいる人は自家用車よりバスを多用します)。その大工町からメインストリートが2つに分かれ、バスの一方は自由が丘・新原方面に、もう一方は栄町・茨城大学方面に走っていきます。乗換券を発行すれば、バスはさらに便利になるでしょう。

2,改良型ゾーンバス制度
 これは東京の地下鉄6・7号線にヒントを得ました。大阪のゾーンバスは合理的な運用ですが、乗客に乗換を強いるので不評だとか。ではどうするか。基幹バスが支線に直通する一方で、乗継停留所と乗換の支線バスをも走らせる、というのは如何でしょう。乗換バスはこのターミナル発着でも良いですし、またこの乗換バスもやはり基幹路線に直通しても構いません。二者択一というより、この両者を併用する形になるでしょう。つまり、水戸を例にとると、
   ・バスA…水戸駅前〜大工町(乗継指定停留所)〜栄町・茨城大学方面
   ・バスB…水戸駅前〜大工町(乗継指定停留所)〜自由が丘・新原方面
という2路線に対し、接続する
   ・バスA'…大工町発〜栄町・茨城大学方面
   ・バスB'…大工町発〜自由が丘・新原方面
というバス路線をも用意します。バスAに対しB'、バスBに対しA'の接続を原則としますが、無論、ダイヤの関係上、AとBとが直接接続することもあるでしょう。当然ですが、指定停留所での乗り継ぎは「通し運賃ないしは割引」サービスを必要とします。また、これは完全なゾーンバスと違い、もしもバスが遅れると接続が出来なくなってしまいますので、こここそバス専用レーンその他の都市新バスシステムの完全な形での運用が求められる所です。

 ただ、これらの制度を導入する壁になりそうなのは、路面電車や鉄道と違い、バスは複数の会社がほぼ同一の路線を走らせていることが多いことです。浜松のような1社でバスを全部走らせている都市ならば、僕の提言の実現も簡単でしょうが… ここはゾーン運賃、ないし「スルッとKANSAI」のようなサービス、その他複数会社間の強力な調整が必要になりますね。これは行政の務めかもしれません。

Re:トランスファー制度導入こそ必要
 投稿者とも氏 投稿日:00/11/25(土) 13:36

ともです。
なかなか投稿できないてすみません。

制度を導入する壁になりそうなのは、路面電車や鉄道と違い、バスは複数の会社がほぼ同一の路線を走らせている・・・複数会社間の強力な調整が必要になりますね。これは行政の務めかもしれません。

 そうですね。日本でなぜ乗継ぎ制度や画一化されたシステムが存在しないかといえば、それがすべての原因でしょう。
 札幌市、広島、福岡は稀な例ですね。
 海外の大都市では交通機関の運営はそれほど多くの社が行っているわけではありません。
 日本の地方都市であれば、思いきって行政主導で1社運営にしてしまうのも一案です(今のマスコミ論調とは逆ですが)。
 そうすればゾーン制もフリーゾーンも可能性大です。
 東京や大阪は無理に1社にすると料金格差による分散が生じなくなるなどの問題があるので困難でしょうが。

そもそもの根底にある「都市内交通機関の独立採算制確保」が時代錯誤なんです。都市内交通というものは都市の重要な骨幹ですから、行政がある程度の負担をすべきというのが世界の潮流です。国鉄状態になっては問題ありでしょうが、ある程度の公的負担を事業者に対して行った上であれば、いろいろ可能なことは多いですから(今は、公的負担も無いのに、国や自治体がバスや鉄道の計画に口を出すとして事業者は反発するのです。公的負担があれば行政は強いリーダーシップをとれるでしょう )。
 もちろん、北総公団線のように上手くは行かない例もありますが、独立採算確保に固執するがあまり、高い運賃をとっているのが主因でしょう。
 低運賃になれば他からの転換や沿線開発の進展にプラスでしょうから(ある意味でアクアラインの交通量増がお手本かもしれませんね)。

ぐちゃってしまいました。では。

〔LRT〕バスに対する優位性の証明
 投稿者:打越健太郎氏 投稿日:00/12/03(日) 22:22
〔LRT〕バスに対する優位性の証明
└信憑性に欠けるのでは?
 └Re:信憑性に欠けるのでは?
  └Re:信憑性に欠けるのでは?
   └Re:信憑性に欠けるのでは?
    └Re:信憑性に欠けるのでは?

 引き続いて、打越健太郎です。以前から問題となっていた「LRTは本当にバスよりも優れているのか?」という議論に関する証明が見つかりました。
 この研究「公共交通と自動車交通を統合した都市交通シミュレーションシステムを用いたLRT導入効果の定量的検討」(伊藤雅氏、中川大氏、西尾健司氏)によると、京都市バス206系統(京都駅〜東山七条〜高野〜北大路〜千本北大路〜七条大宮〜京都駅の循環系統)をLRTに置き換えた場合、運行本数や料金はバスと全く同じ(220円、内外回り各109本)で、パーク&ライドなどの手法を一切用いない場合でも、乗客の数は何と2.4倍にも達することが証明されました。キロ当たりの輸送人数は、現在の1069人から2568人に増加し、この循環路線は、LRTとしても採算が取れる人数だとの事です。

 こうなった理由ですが、

  1. 専用軌道の確保によって公共交通の利便性が高まった(ここまで自家用車に対して優位なのは軌道を有するLRTなるが故で、バスではこうならない)
  2. LRTの輸送力の大きさゆえに、乗客が快適と感じるようになった(=自家用車と同様のゆとりある車内が好まれた)

とのことです。これまで「LRTはバスと何が違うのか」「LRTの可能性は大きくないのでは」などという懸念が示されていましたが、こうしてハッキリと、バスに対するLRTの人気ぶりを証明され、皆様の懸念も消えたことと思われます。「LRTはバスよりも人をひきつける」、これはLRT導入を論ずる際、大いに参考になりそうです。


京大大学院工学研究所 都市地域計画研究室  http://utel.kuciv.kyoto-u.ac.jp/
公共交通と自動車交通を統合した都市交通シミュレーションシステムを用いたLRT導入効果の定量的検討
http://utel.kuciv.kyoto-u.ac.jp/research/99_zenkoku_1.pdf

信憑性に欠けるのでは?
 投稿者KAZ氏 投稿日:00/12/04(月) 00:22

 ども。

 上記のサイトですが、このレポートだけではLRTの数字の定義が何を元にして算出したのか全く分からず、信憑性に欠けるのでは?

 論文もしくはレポートの全文と参考資料の検証をしないと鵜呑みにはできないというのが私の感想です。

Re:信憑性に欠けるのでは?
 投稿者エル・アルコン氏の ホームページ 投稿日:00/12/04(月) 10:45

 私の感想です。
 レポート全体を云々する以前の問題として、下記の点について前提に重大な問題があります。

 一方、評価できる点は下記の通りです。

***
 利用者がどこから転移するか、誘発されるかという前提の甘さは、地方空港の需要予測のようでもあり、昨今の新規開業鉄道で見られる問題です。
 また、その需要予測が本当に実現した時に設備が耐えられるかという問題も、多摩都市モノレールで露呈しました。

Re:信憑性に欠けるのでは?
 投稿者とも氏 投稿日:00/12/04(月) 17:44

 どうも。ともです。なかなか投稿できなくてすみません。

 さて、この論文読んでみました。なかなかおもしろい検証です。
 とはいえ、僕も疑問がいくつかあります。特に前提ですね。
 エル・アルコン様がご指摘の通り、利用者増加の源泉がなく、また利用分担率に変化が無いというのは疑問ですね。簡易な評価ツールという意味では良いのかもしれませんが。

 あとはちょっと専門的になってしまいますが、PT(パーソントリップ)データの使い方に問題がありますね。
 まず、自動車トリップと公共交通利用トリップを別に推計していますが、これでは手段選択の手順を省略しており、現在パターンの推計だといえばそれまでですが、このような交通機関手段選択評価を行うので有ればあまり良い手法とは言えません。
 また、PTデータはご存じかと思いますが人の動きに注目したデータであり、その手段の表示(OD表上の手段=代表交通手段)は、バス利用トリップが過小に出ます(出発地〜(バス)〜駅〜(鉄道)〜目的地と移動すると、その移動手段は鉄道になります )。
 一般的にこのデータは行政がマスターを保有しており、そのマスターデータは容易には使用できませんから、おそらく、現況のOD表をもとにゾーン毎の代表交通手段から配分したものと考えます。端末がバスのものを抜き出すのは可能ですが、ゾーン間OD交通量からはかなり大変です。
 とすると、本来のバス利用者に比べ現況が過小にでることが考えられますから、現状のバス利用者データとのクロスチェック評価なしでの検討には無理があります。
 また、自動車トリップを動的交通配分で走行させていますが、ゾーン内々の交通をどのように配分させたのかなど疑問が残ります。
 所要時間による選択をさせていくのであれば、等間隔での出発地スタートは単純にゾーン(ノード)間を最速・最短で動く交通機関への集中を招き、しかも容量無視というものであれば、考えられるゾーンペアの交通がすべて最速リンクに流入しますので、LRTは過大になりますね。

 この論文の作者は当然そんなことはわかっていると思いますので、おそらく交通手段の単純移行を行う場合の評価についてまとめ、定量的評価手法としての可能性を追求したものではないでしょうか。
 ということでこれをもって、LRTがバスに対する優位性があるとは言えないと思います(行政へのレポートであればアウトです)。

 僕がやるのであれば、現況の手段別OD表とLRTを新たに加え、道路容量を小さくしたたネットワークを入れ、単純配分します。
 その後、各トリップの内訳から、LRTに誘導させるべき交通を抜き出し、どのような優位策で転換するかを検証し、再度ネットワークを構築、配分します。
 この時の配分では、ネットワークに時間評価を加え(待ち時間と所要時間)、さらに容量を加えて配分します。容量は最初は混雑率100%程度とし、他も100%になったら最短経路から20%づつ上げていきます。
 こうすれば、定時性や速達性などLRTの優位性を正当評価したものになります。

 ちょっとマニアックすぎますね。交通をやっている方から見れば、バカなことをと言われそうな内容です。
 みなさま、どんなもんでしょうか??

 では。

Re:信憑性に欠けるのでは?
 投稿者打越健太郎氏 投稿日:00/12/07(木) 22:51

 なるほど、確かに「証明」というのは僕の先走りでしたね。ただ、この環状路線は、確か京都市交通局の当初の再建案では軌道として残す区間だったような気が… とも様がより精確なシミュレーションの手法をご提示になっていらっしゃいますが、個人的にはこうした盛んに利用されているバス路線に関して、バスとLRTのどちらがより向いているのかの検証を見てみたい気が致します。例えば福岡であるとか、名古屋の「基幹バス」東郊線・新出来町線、或いは金沢や浜松の主要な路線などです。

2004.11.14 Update


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