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(過去ログNo.)
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JRバス関東宇都宮支店の朝

投稿者---551planning (2014/04/28(Mon) 14:57)

amazonamazon

戦前の鉄道省・省営バスから国鉄バス時代、分割民営化を経て開業80年を超えるJRバス。
しかしそれは、国の交通施策に左右され、厳しい時代の変革にもまれてきた波瀾の歴史でもあった。現在JRバス各社は、独自色を出しながら生き抜く努力を重ねている。さらに今も、長年国民生活を支えてきたノウハウとネットワーク、そして矜持が、いざという時に発揮されている。

「先行・代行・培養・短絡・補完」という国鉄自動車5原則を掲げた時代から幾年月、地場の路線バスから高速バスへと飛躍しながらその姿を大きく変えているJRバス。ちょうど2014/04に発刊された本書では歴史的変遷を中心に取り上げられており、当方も大変興味深く読み進めたところですが、その意味では『独自色を出しながら生き抜く努力を重ねている』現代のJR路線バスとしての一端をちょうど実見して参りました。

JRバス関東宇都宮支店-昭和初期の烏山を端緒に栃木県東部で「先行」路線網を広げていった国鉄バスが、昭和30年代にそれまで駅前にあった車庫を4km弱西方となる一の沢に移転、国鉄と東武という離れた2駅周辺に広がる中心市街地を結ぶ役割をも担うことに。関東自動車・東野交通という競合他社との紆余曲折、モータリゼーションや国鉄分割民営化など種々の環境変化もあって往時からは相当に規模縮小し、現在は宇都宮~茂木間の水都西線のみとなっていますが、沿線の宅地開発や工業団地整備などにより「培養」都市型路線として、今なおそれなりの存在感を残しているとしても過言ではないかと。
-なんて、知ったような書きぶりですが、当方が俄に気になったのは昨年のことでして…長らく市中心部にあった車庫を、鬼怒川を越えた東方・栃木県芳賀町に移転、その際『朝夕を中心に運行本数を増やし、町内からJR宇都宮駅東口までの最短ルートの便を新設。通勤・通学客の利便性を高める』『バス利用者らの要望を受け、宇都宮駅上り最初の新幹線に間に合うよう設定した』というダイヤ改正が行われたのでした。
その始発は従前より1時間繰り上がった05:10発、“深夜早朝バスウォッチャー”としては興味深い時間帯だなと。なかなか機会がなくはや1年が過ぎてしまう中、ふと思い立ったが吉日と現地に向かったのでした。


前夜、オバマ米大統領到着後とあってか緊張感がいくばくか緩んだかのような羽田空港から空港連絡バス宇都宮線関東自動車便最終バスに乗って柳田車庫に1時過ぎ着、柳田大橋を渡って鬼怒通りをしばし東進した先のマクドナルド宇都宮テクノポリスセンター店にて時間調整し、空が白み始めた頃にタクシーでやってきたのは芳賀温泉ロマンの湯-水都西線2002年にオープンした道の駅はがに併設されている日帰り温泉だが、さすがにこの時間は道の駅ともども人の気配はなかった。このバス停から宇都宮方面へは平日16本のバスが出ているが、実にうち6本が5・6時台の出発、ちなみに終バスは18:01発。
200m弱東方には町中心部の祖母井(うばがい)集落があり、嘗ては拠点として自動車駅も置かれていたが、営業所移転ダイヤ改正に伴い中心部からは若干外れとなるロマンの湯に移された。軒先に宝くじ売り場の文字も残る詰所がそのまま残っていたが、恐らくもう使われていないものと。

水都西線

始発05:10発便はギリギリで現れたが、乗車したのは結局当方のみ。水都西線は複数経路があるが、上記掲載地図では青太線がメインルートのところ、この便は赤線ルートを辿る速達便で支店移転後の新設経路、10分後の05:20発便が青太線ルートを進む。
r69からr154を淡々と進んでゆくが、さすがにこの時間は行き交う車も少ない。丘を駆け上がってセブン-イレブンのある交差点を左に曲がると清原台団地エリア。ちょうど芳賀町と宇都宮市の境界部に位置し、昭和50年代に造成が進んだ戸建住宅が並ぶ成熟した内部を周回するが、清原台6丁目でようやく男子学生が乗車してくれた。セブンの交差点をそのまま直進、駅方面行としてはメインルートとは逆向きとなる。清原台3丁目で駆けてきたたスーツ姿の男性を加えるが、こちらも定期券ではなく降車時現金払いだったなと。
清原台を抜けると、先程まで休んでいたマクドナルドを横目にして鬼怒通りを真っ直ぐ西進。柳田車庫からは関東自動車エリアなるが同一経路便は1時間後までなし。昔は市内の関東自動車・東野交通エリアでは長らくクローズドドア制となっていたそうだが、2001年の関東自動車バスカード共通利用化を境にポール共通化を含めた相互開放が進んでいるそうだが、早朝とあってか結局2人乗車のまま宇都宮駅東口に定刻05:50到着と相成った。少し拍子抜けしながらなおバス停でしばし待機…芳賀BT05:45発の鬼怒通り直行便が定刻06:08から少し遅れて到着、乗車3人で用務客と思しき2人が降車、この便は作新学院行で残る1人も何処かへの通学生だった。そしてロマンの湯05:20発便がほぼ定刻06:12着、宇大前等の市街地経由ながら、こちらも数人程度の乗りに留まった様子。この3本のみが東口に乗り入れる便で、東口発の芳賀・茂木方面便はない。新幹線上り始発は06:26発なすの254号で東京07:20着、このほか6時台に2本、7時台には6本の東京行があり、07:50発なすの266号でも東京08:44着だ。ちなみに06:20発発宇都宮線上りだと大宮07:47着、上野08:20着となる。

水都西線
水都西線

宇都宮駅東口は2008年にロータリーが整備され、バスのりばは6つ設けられているが、路線バスが使用しているのは3・4番のりばのみ。その他4か所はというと、周辺工業団地行の従業員送迎バスのりばとなっていた。1・2番がキヤノン、ホンダ、花王と中外製薬、5・6番がホンダが使用。キヤノンは地場の貸切事業者であるキャリー交通が、ホンダは関東自動車と東野交通が担当している様子。キヤノンは06:25から5分間隔で7本が出発し、21:10発の最終まで17時台に6本、18時台に4本を挟んで時間1~3本、ホンダに至っては06:00から6時台3本・7時台10本・8時台7本・9時台4本という高頻度運行となっている。のりばは関東自動車が取り仕切っていると思しき「宇都宮駅東口バス乗降場等利用組合」の入構許可証必須となっていて、JRバス3台もきっちり掲げていた。

さて3本目到着は駅自由通路上から遠目にした当方、ダッシュで西口に向かい06:15発便で芳賀BTへ。先ほど乗ってきたクルマだった。メインルートを辿り、茂木への接続便ともなるが始発段階で4人が乗車、途中でパラパラと乗降があるも数人オーダーのまま鬼怒橋を渡る。宇都宮清陵高校や作新学院大学・女子短大、清原球場など清原工業団地エリアを横切ると、先程のセブン交差点へ。清原台団地エリアを巡り、鬼怒通りを東進して芳賀工業団地内の芳賀BTに5分ほどの遅れにて到着した。水都西線芳賀BTはロマンの湯から西に5km弱に位置し、利用者駐車場・駐輪場も整備されるバスターミナル…といえど待合所らしい建てかけの設備がある砂利舗装という絶賛工事中、工期はGW開けまでとなっていたが大丈夫か? 通学生が数人所在無げにしていた。
当初は07:10発の便でいま来た道を戻る予定も、茂木06:30始発便が立客多数にて気持ち遅れて到着したのでこれに乗車。こちらは清原台団地内非経由でR408を道場宿から鎧山に向かうルート、途中でもパラパラと乗車が続き満載状態となったが、道路も比例するかのように工場への通勤の車で、柳田大橋、新鬼怒川橋ともに袂の交差点がボトルネックとなっている様子、新鬼怒川橋からのR123は宇都宮市街地近くまで渋滞が伸びていた。駅方面行こそまだ流れていたが、従業員送迎バスに加え東野交通の益子・真岡方面行バスも渋滞に嵌っていた。
結局宇都宮駅西口には10分弱の遅れにて到着、車内は半分弱が降車したが、駅前も送迎車や通学生でいっぱい!当方は終点の作新学院まで乗り通したが、東武宇都宮駅前から先までの中心部各バス停で降車が相次ぐ一方、終点近くまで乗り通した通学生も着席定員ほど。2駅間で数珠繋ぎとなって行き交うバスそれぞれにもそれなりの人が乗車していたのだった。

水都西線

当方注目の、早朝バス対新幹線等日常的通勤需要という『独自色』について、その実を感じることは残念ながらできなかったなと。余談ながら東武宇都宮駅23:39・JR宇都宮駅西口23:46発の清原台団地方面行深夜バスが2008年に新設されたものの、昨年の支店移転時改正で廃止されてもいたり。ロマンの湯までは最終が50分近く繰り下げ(JR宇都宮駅西口発21:10→21:57)となった一方で清原台団地エリアでは通常最終も繰り上げ(同22:15→21:57)られています。柳田大橋を渡った際には運転代行のクルマをよく見掛けましたが、やはり動きまわるには自家用車のほうが…となってしまいそうです。ともあれ、芳賀BTが機能し始めた頃に再訪してみたいとは思っております。水都西線

さて、すでにお気づきの方もいらっしゃろうかと思いますが、このエリアはまさに宇都宮LRT計画が進められているところでもあります。直近の話題としては、これまで消極的とされてきた関東自動車が『営業主体を担うのは地元最大手の公共交通事業者としての責務』として肯定的姿勢を示した-とのことですが、どちらかといえばJRバス関東および東野交通がメインのエリアとも思われ、一筋縄ではいかないのでは…なんて。しかも『東と西は違う。当面は既存バスネットワークの高度化、利便性の強化が合理的』と、自社メインの西口方面については否定的とも。さて、どうなるでしょうか。


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