tw
top

トップページ企画一覧BBS(電子掲示板)新常設板ログ一覧>中量板過去ログ2014

(過去ログNo.)

BRT定義論から。

投稿者---551planning (2014/01/06(Mon) 17:58)

年末にTwitterを見ていたら、“BRTの定義論”が盛り上がっていました。個人的にはまたか、という感じでもあったのですが、ちょうど1年前に気仙沼線とかしてつバスの実見を踏まえて整理していた手前、興味が無い話ではないのでこのようにツイートを。

『BRTの定義論は難しい。LRTにしても欧米と日本のそれは違うし、世界標準をそのまま持ち込んでもどうなのか、となるだろうし。とはいえ、基幹バスとゆとりーとラインと廃線転用専用道をひっくるめるのは確かに違う反面、『BRTと違う』と一刀両断にするのもねぇ…ケースバイケースで見なければ』

すると、“定義”というのはこうでは?という御指摘を頂きました。

・万物において共通部分だけを抜き出す(一般化)=例外を削ぎ落とす
・それを定義した時点で矛盾が発生しえない
・曖昧な用語を使わずにはっきりと意味が分かる

数学的リテラシーの定義から考えると、むしろ定義・公理や定理・性質は、いかに活用しながら、より豊かにさせられるか否かの素材なのだから、定義は矛盾のないように簡単に設定すればいいだけだし、だからこそルール(定義・公理)を蔑ろにして議論することは考えにくい。

なるほど、それでは年末年始の宿題に…とさせて頂いたのですが、これがなかなか難しい。BRT=Bus Rapid Transit、和訳では「バス高速輸送システム」ともされていますが、その意味では英単語のほうがシンプルかもしれません。
改めて3点を考えるに、「走行環境の改善によりバス運行を高速化したシステム」だと収まりがいいでしょうか? 走行環境の改善-に、若干ふわっとした感があるやもしれませんが、専用路必須というわけでもない点を加味しての判断です。高速化-という部分については基本的に現行の路線バスの平均速度より上回ることでしょうか(表定速度25km/hを目指した名古屋基幹バスで、新出来町線では15→20km/hに向上。ゆとりーとラインでは専用道区間で30km/hを実現、平面区間でPTPSにより13→20km/hに向上)。

ちなみに国交省は「定時性向上や輸送能力増大を目指したシステム」としているのですが、なるほど高速感に乏しいような。“矛盾”とまでは行かないものの“はっきりと意味が分かる”ことの大事を改めて思い知らされます。

改めてBRTの歴史を辿ると、やはりブラジル・クリチバ(1970~)は外せないとなりましょうか。その他海外展開については下記に要点がバッチリ整理されているのでそちらにて…(ある意味、これらが解答そのものともなるのですが)。

BRT

むしろ国内での展開を振り返るに、モータリゼーション対策としてバス優先レーン(1970~)であったり信号制御の展開を手始めに、パッケージとしての名古屋基幹バス(1982~)や都市新バス、オムニバスタウンといった志向性、そしてようやく車両面としての連節バスが注目され始めている-となりましょうか。「走行環境の改善」には導入空間の問題がどうしても出てきてしまう反面、技術力でなんとか…という経過が伺えます。
他方、BRTということばが使われることで混乱のもととなっているのが鉄道代替輸送のカテゴリ。国鉄の白棚線での模索が1957年、以降岡崎や福岡、富山、北九州などで鉄道廃線・未成線路盤の活用例が続いた際には「バス専用道路」でしたが、2010年のかしてつバス専用道からBRTということばが使われるようになり、ひたちBRT(2013)およびJR-E気仙沼線・大船渡線暫定運行にも広がっています。尤も、バス専用道路の多くが先細っている状況の中で、専用空間確保や情報案内等での新たな工夫が見られる点は特記しておきたいです。

で、海外と日本の事例を比較するに決定的な違いが、都市部での導入か否か-かと。必ずしも鉄道代替の専用路をBRTではないと否定するものではありませんが、BRTは主に鉄道などの軌道系が未整備な場所で、なおかつ都市開発と一体的あるいは密接な関連のもとで整備されてきた点こそがキモであるところ、日本では路面電車や軽便鉄道などが文字通り張り巡らされていた過去からの転換ですから、同一視するのに無理があると考えます。
とはいえ、「走行環境の改善によりバス運行を高速化したシステム」の必要性は日本でもまた然り。先に触れた国交省のまとめこそ実は要点を突いているのですが、新潟市が目指しているのがまさにココ=“狭義のBRT”でしょうし、そこまで行かずとも連節バス+PTPSでの改善を目指しているのが神奈中や岐阜市=“広義のBRT”といった感じになりましょうか。これらには、濃淡こそあれど都市開発(再生)との関連性が伺えますし、なにより輸送力向上を目指す以上は採算性=前提需要(予測・開発)の存在ありきこそでは?
というわけで、BRTの定義について「都市圏域での輸送効率性を図るため、走行環境の改善によりバス運行を高速化したシステム」と捉えたいですし、そのシステムが軌道系では厳しい場所に援用できるかが茨城の2例と区分すれば、腑に落ちる気もします。カテゴリーとしてはそれこそ軌道系を活かせないかというDMVも含められるでしょうかね。
なお、気仙沼線・大船渡線の“暫定BRT”については、改めて特殊事例な上で現実的な解ではないかなと考えます。この辺りは去る10月に大船渡線を中心とした実見で改めて感じたところでもあるのですが…もう少々時間を頂戴致したく。と同時に、名古屋基幹バスやゆとりーとラインも数年来実見していないので、改めて見直してみたいなと沸々と感じてもいるところです。

うーん、結局捏ね繰り回しただけで解答になっていなような気もしますが…。

Re: BRT定義論から。

投稿者---ボンバーげん氏 (2014/01/09(Thu) 06:47)

BRTの定義論については、以下の報告書が参考になるかもしれません。
100点満点中、50点以上であればBRTになるとのことです。

Re: BRT定義論から。

投稿者---Hibikira氏 (2014/01/10(Fri) 17:11)

BRTという単語自体、欧米ですらブレがあるので、極端な話、「走行環境の改善によりバス運行を高速化したシステム」であれば全てBRTに含めてもいいのではないかと考えています(名古屋市の基幹バスなんかもBRTに含まれる)。

気仙沼線や大船渡線のはBRTといえばBRTですが、「鉄道代行」という意味あいからすれば、むしろ「白棚線」とか「五新線」とかのほうが性格としては近いのではないかと思います。


最新情報は【検証:】Wiki-BRT定義論からにて
ご意見は【検証:】常設板までどうぞ!

上に戻る▲

テンプレートのpondt