08/23に発生した東名高速での事故(日本ユース旅行主催・菰野東部交通運行の「JAMJAMライナー」が大型トレーラーに追突、乗客乗員27人重軽傷)で高速ツアーバスの安全管理体制がひとしきり話題となりましたが、個人的にこっちのほうが怖い気が…。

とその前に、“菰野事故”の陰？になったか08/25には中央道で「大型バス」の乗客乗員3人軽傷を負う多重事故が発生。
各種報道では「大型観光バス」「高速バス」とされ、SBCの映像からしてどうも高速ツアーバスっぽいのですが、負傷者数のせいかあまり話題になってないなぁと…このあたり路線バスなら報道の扱いも変わったのかなとも思うのですが。

飯田市の中央道で大型バスなど6台絡む多重事故・5人が重軽傷〔SBC 2010/08/25〕

話を戻して、個人情報流出事案が発生－との一件。

白河・さくら観光で個人情報17万件流出か〔福島民友 2010/09/02〕
顧客情報：17万件が流出　福島の旅行会社〔毎日 2010/09/02〕

東京～仙台間などで高速ツアーバスを主催するさくら観光が、韓国からの不正アクセスによりカード情報を含む個人情報が流出した可能性が高いと発表しました。流出したと見られる個人情報は、2005/10～2010/06までに同社旧システムで新規会員登録を行った利用者の、氏名・ログインIDおよびパスワード・メールアドレス・クレジット情報および銀行口座情報。なお、住所や電話番号等は現時点で流出の形跡はないとしています。サーバ・プログラム等を改修するとともに、該当利用者にはメールおよび郵送で連絡、加えて09/01～09/04 10:00までを目処にサイトおよび電話での予約受付業務自粛に踏み切っていますが、催行自体は通常通り継続しているとのこと。

さくら観光

さくら観光の親会社は高速ツアーバス運行主体である桜交通、2003/12～2005/10まで郡山・福島～仙台間で、盟友？富士交通とともに高速路線バスに新規参入していたハナシは【検証：】でも都度取り上げていましたが、時をほぼ同じくして2005年頃からツアーバスにも参入。やはりツアーバス事業者となっていた富士交通が帝産富士交通を経て消えたのとは対照的に、東京～仙台間を中心に伸張、東北急行やJRバスなど既存路線事業者だけでなく、ウィラーや旅の散策ツアーズ等“旅行会社上がり”のツアーバスグループなどもをも向こうに廻す一大勢力を築いています。
毎日記事によると現在9路線で約30便/日を催行、年間利用者は46万人に上るとのこと。流出数を考えてみても、広くかつリピーターも確保しているとも推測できようかと。2009年度の東北6県対首都圏間の高速路線バス8社一部系統の年間利用者数が326万人とのことですから、凄まじい数字といっても過言ではないという気がします。

東北運輸局－東北地方における運輸の動き(平成21年度総括編 p2)

窓口販売ではない高速ツアーバスは、とりわけネット予約こそが生命線というところでもあるだけに、今回の一件がどのような展開を見せるかで、パワーバランスへの影響すらとするもの大袈裟ではないような。現時点でのサイト他での告知や営業自粛についてはなかなかと思わせる対応かと思いますが、個人情報流出事案としては某通販会社の素早く真摯な対応でむしろ名を上げた－といった事例もあるだけに、ある意味マニュアル通りの対応なのかもしれません。ともあれ、今後どうなる？

参考：【検証：】データベースラボ－“富士桜”の挑戦と挫折