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【検証:近未来交通地図】<道往かば〜高速道研究>
(過去ログ-道路公団民営化編-No.505)
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新春特別企画(笑) なりふり構わなくなってきた「改革勢力」  投稿者---エル・アルコン氏(2002/01/03 23:25:59)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 あけましておめでとうございます。

 小泉内閣の特殊法人改革の旗印の下で進められてきている道路4公団の民営化問題ですが、行革断行評議会の素案発表後、賛否両論噴出する中で、それまでの「改革=善、反対=抵抗勢力=悪」といったステレオタイプの議論から、内容を吟味して改革論への疑問も呈されるようになってきました。
 いうならば改革勢力の姿が明らかになったことで、国民各層の判断材料が揃ってきたのであり、今までのように単純二元論による色分けは出来ない段階になっています。
 私はこれまで民営化に反対の立場から、主に行革断行評議会の事実上の代表とも言える猪瀬直樹氏の論を中心に批評してきましたが、ここに来て思うのは、改革論への反駁に対し、改革派は有効な反論を加えるというより「改革は絶対である」という主観的、観念的な反論に収斂しているということです。本当に改革派の言う「民営化」がベスト、いや、ベターであれば、これらの反駁や疑問に対する回答を用意できるはずなのですが、そうでないところに「改革」の底が見える思いであり、このまま改革を進めることに対する危殆がますます強まってくるのです。今回は文藝春秋新年号の対談「特殊法人解体に妥協はない」(猪瀬直樹氏、堀内光雄自民党総務会長)と「民営道路公団 時価総額は3兆円」(山田晴信氏・HSBC証券CEO)をテキストに批評したいと思います。

●序論・騙しのテクニック
 のっけから刺激的なタイトルで恐縮ですが、この問題における最大の問題点は、誰もが正論と思う議論の最後の部分をすりかえていることです。つまり、特殊法人におけるコスト意識や経営センスの無さといった運営上の問題提起について反対する人は私を含めてまずいないでしょう。ところが、それを解決する手法として「民営化」が提起されることが問題なのです。これは手段の改革であると同時に、道路整備など国家がその国土の発展や整備を進める骨格となる事業をどうするのかと言う目的の部分を変えてしまうことに他なりません。
 まず反対のしようが無い議論から入り、それと目的の変更を抱き合わせにすることで、目的変更への異論も封じてしまうテクニックに、強い疑念を感じるのです。

●対談に見る底の浅さ
 まさかこの程度の認識でもって「民間人のコモンセンスの代表」というのであれば、即刻お引き取り願いたいと思いますし、判ってて言っているのであれば重大な欺瞞としか言いようが無い点が散見されます。

 まずは、SAを民営化すればお客が増えてサービスが向上していいことずくめ、という議論ですが、SAに行くためにわざわざ高速に乗るアホはいません。海老名SAのお店に行きたいから、横浜町田から厚木まで東名に乗るような無駄足をするのではなく、東名を走っててちょうど休憩するのに適当だから海老名に寄るのです。
 確かにSAで不満に思う点は少なくないですが、「民営化」によって良くなるかというと甚だ疑問です。つまり、外部との選択が利かない(他SAとの選択は意味が無い)場所での営業において、利益を上げてナンボの民間企業が「独占」の恩恵をそうそう手放す訳がありません。観光地のジュースが何故高い、食事が不味くて高いのは何故かを考えてみましょう。独占状態で先ず利益から逆算した価格設定、品質設定がそうさせているのですが、彼らは「特殊法人」でしょうか。いいえ、バリバリの「民間企業」です。

 次に人々が必要としているのなら民間が引き継ぐ、という議論です。住宅金融公庫の廃止に対する懸念について、猪瀬氏はことある度にとある信金の商品を例示して代表させていますが、欺瞞もいい加減にして欲しいものです。東京都下の信金で公庫の廃止を肩代わりできるわけはありません。そして本当に民間で代替できる条件と言うのは、たまたま同条件か有利な条件の商品が出ていると言うこと「だけ」ではなく、その商品が「常に継続」して販売され、販売した条件が常に「維持」されることが必要なのです。上記の信金がそういう商品を出せるのも、公庫との競争のための値付けであるかもしれませんし、自庫の預貸や与信バランスに占める住宅ローンが小さいからペイできるのかも知れません。
 事実、長引く不況で各行の住宅ローン部門の不良債権化率は上がってきており、申し込みの拒絶どころか条件の悪化や返済(=差押)の強制がない保証はありません。いわゆるホールセール部門では既に4年前に金融業界の事情による、「貸し渋り」や「貸し剥がし」を体験しており、公的金融機関によって救われた企業も少なくありません。

 最後にこれは呆れるばかりですが、「道路公団方式でない道路建設」の議論です。小田原厚木道路や横浜新道が公団方式の半分のコストという「新説」は数字が欲しいですし、「立派な高速道路」ではなく相当規格が落ちることは一目瞭然です。「高架部分が少なく2車線だから安く出来た」とは驚きで、両道路とも片側2車線ですから通常の高速道路と同じというのを判っているのでしょうか。
 蛇足ですが、両道路とも、「高速道路事業以上に問題」と彼ら自身が指摘している道路公団の一般有料道路事業なのですから、自家撞着というか噴飯ものです。
 そしてミニ新幹線と同じ発想といいますが、ミニ新幹線の成功は、乗り換えと言う問題が大きい鉄道だから為し得たのであり、そもそもシームレス対応の道路交通においては対面通行のバイパスのように費用対効果が小さいものなのです。
 ちなみに小田原厚木道路は伊勢原市内などで地平を走っていますが、通常の高速道路もそうすればコストは安くなります。なぜそうしないのか、野村総研のリチャード・クー氏も指摘するように住民本意主義の行き過ぎにより、「地域が分断される」などという理由で出来ないのです。そればかりか高架部や掘割部ですら、もともとのケモノ道まで橋梁で残すという「無駄」を強いられ、それがコストに跳ね返ることを置き去りにした単純比較は出来ません。

●「民営化」のブルドーザーの後に控えるは...
 そもそもの疑念、「なぜ民営化か」について、今まで私も断言を避けてきた部分があります。しかし、今回山田氏の論文を見て、こちらも正面から述べたいと思います。

 これ以上の建設を止めて、現在の優秀なキャッシュフローの状態を固定して民営化するというある意味中途半端なプランの目的ですが、結局、論文のコピーにあるように「東電・JRに匹敵する巨大優良企業が誕生する」という部分に尽きるのです。民営化の目的とは「国土の均衡ある発展」でも「国民の利益」でもなく、「投資家にとって魅力ある投資先」の確保に他ならず、その視点で見れば、これ以上のキャッシュフローの悪化をもたらす建設はもってのほかであり、国土がどう発展しようが、東名や名神などの収益が確保できるうちに分離すべきなのです。

 マーケットのスタンスで見た山田論文だと、本四公団の統合は不可であり、この部分ですでに、「将来の国民負担を軽減」という美辞麗句の一つは反故になります。なにせ一番の「負担」が処理されずに残る(=新会社の負担から切り離される)のですから、投資家にとっては万万歳、国民にとっては踏んだり蹴ったりでしょう。
 また上下分離案を否定しているが、これも民営化による新会社による整備ではなく、既存資産の高度活用、つまりJRに見られる駅など自社資産の多目的活用への足かせとして否定しているのであり、現在の状況を鑑みるに、収益が飛躍的に伸びる可能性が薄い以上、本業の改善や改良(=既存利用者が利益を享受するため収益向上にならない)への投資すら覚束ないことが予想されます。

※一応は新規建設のプロセスに言及しているものの、「利潤」というチェックは絶対であり、財政支出といった支援で初めて乗り出せるという非常に消極的なもの。

●実体経済と市場の主従関係
 山田論文の結びを見ると、民営化の目的がよく分かります。つまり、「これまでも国営法人が民営化されるとき、市場は大きく活性化してきた。」これに尽きるのです。つまり、市場活性化の「エサ」としての道路4公団民営化議論といっても差し障りはなく、毀損した金融資産を抱える勢力にとっては、一発逆転の大相場として捉えられているはずです。
 もちろん、市場が活性化して金融資産が増大して、景気が回復、発展すれば皆ハッピーであり、そういう手法も否定することはないでしょう。しかし、バブル期のように金融市場の発展が実体経済に波及することは期待薄です。当時と違い自由化された市場においては、実体経済にまわるはずの果実を得ようにもザルのようにこぼれていくのがオチです。

 市場というものは売り買い両方があって初めて成立します。利潤を得る蔭で損失を蒙る存在もあるのです。活況化しているように見えても、投機資金はホットマネーの名の通り、利益を得たらすぐに去っていくのであり、それに頼って金融危機に陥った中南米や東南アジアの諸国を反面教師にすべきです。
 実体経済の資金需要に応えるのが市場であり、決して市場のために実体経済があるのではありません。ましてやハード、ソフトの社会インフラを市場の都合でどうこうするのは愚の骨頂です。これが昂じると、市場を活性化するために社会保障制度を整備するという本末転倒の施策を採った(ある意味IMFなどに取らされた)中南米諸国のような段階に進むのがオチです。

※年金や保険は最大の「投資家」でもあるため、その整備はプレイヤーとコマ(お金)を揃えることに他ならない。ただ、その市場で誰が勝者になったかは(=年金、保険の掛け金を得たかは)、決して年金や保険のプレイヤーとは限らないことに注意すべきである。

●自由経済に立脚する立場としての悩み
 もちろん市場を全否定する立場ではありませんし、統制経済を望んでいるのでもありません。しかし、自由経済、市場のメリットを享受するためには、その「土俵」と「ルール」を明確にする必要があります。
 私が思うに、そのもっとも外側にあり、確固たる姿を示す必要があるのが、「国家がどのような姿になっていくのか」というビジョンであり、その範囲において自由に競争すべきだということです。現状は、このまま自由にやっていってどうなるのか、子の国の形はどうなるのかという部分における強い不安が先に立ち、笛吹きに躍らされて断崖に向かう恐怖すら感じるのです。
 道路4公団民営化問題はその断片に過ぎませんが、これもまた民営化によって交通はどうなるのか、どうしようというのかというビジョンが見えないのです。この不安を誰も払拭しませんし、最高責任者である首相自らがその不安を煽っている感すらあるのです。
 蛇足ながら、国民の「お上頼み」こそ問題であり、自分で努力すべきという高説を高名な評論家諸氏からよく聞きますが、この手の問題において、自分でその意思を表示する機会、つまり主権を行使する機会すらないうちに決まってしまいかねない現状では、努力のしようも無いのです

「ガタガタ反発」とは...
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/01/28 19:50:51)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs
─Re:「ガタガタ反発」とは...

 道路公団第三者機関の人選、国会同意求めず 首相が指示

 小泉純一郎首相は28日、日本道路公団の民営化後の組織形態などを検討する第三者機関「道路関係四公団民営化推進委員会」(仮称)の人選にあたって、国会の同意人事としない方針を最終的に決めた。設置法案作成などの準備を進めている同委員会設立準備室の坂野泰治室長らに同日午前、直接指示した。
 与党側から国会の同意人事とするよう求める声が相次いでいることについて、首相は同日、「ガタガタ反発しているようだが、『国会同意を求めないから、その方針でやって下さい』と(同準備室に指示した)」と記者団に語った。
 また、個別路線の整備計画の見直しを第三者機関にゆだねるかどうかについて、首相は「費用対効果とか、そういう大枠の基準を示してくれれば、あとは政府が決めることだ」と述べた。具体的な整備計画の見直しまでは求めないとの考えを示したものだ。(アサヒ・コム 2002/1/28 13:13)

***
 道路公団をはじめとする4公団は、法律に基づいて設置されています。また、高速道路の路線についても法律に基づいて決められています。よしんば道路公団等民営化が正しいことであったとしても、法に基づいた組織や計画を改めることができるのは立法府だけのはずです。

 今回、小泉首相が「ガタガタ反発」といっているのが、「国権の最高機関」であり、道路4公団の組織とお仕事を改める権限を持つ国会であり、政府は法に基づいて執行する行政府に過ぎないという、小学校で習う「三権分立」のイロハに抵触することを誰も指摘しないんですね。特に憲法が大好きな某紙でも。

Re:「ガタガタ反発」とは...
 投稿者---けんご氏(2002/02/09 02:56:28)

 賛成です!
 真紀子更迭と言い最近の小泉氏ガケップチ続きですね。ま、支持率も下がったしやばいですね。

 支持率高い頃からでもこういう中身のない自分の意見押し通し型のコメントはこの人多かったですよね。前任者と外相の口害に誤魔化されてたけど実はこの人中身のあること言ったことあるかぐらいの。支持率におじけづいてたマスコミもそろそろツッコミ厳しくして欲しいですね。しかし、こういうときのいわゆる「抵抗勢力」の発言てきれいに正論で突っ込み入れててコワイ。えらいヤク○ほど法律知ってて丁寧な言葉遣いってこういうこと?

 早いとこ解散しませんかね

高速道路に対する疑問
 投稿者---けんご氏(2002/02/09 02:44:56)
─Re:高速道路に対する疑問
 └Re:高速道路に対する疑問
  └Re:高速道路に対する疑問
   └Re:高速道路に対する疑問

 はじめまして。唐突ですがここの書き込みのレベルの高さに甘えまして日頃の疑問を解決して欲しいんですが…。

  1. 何で「高速道路はいつかタダで走れるようになる」ことになってるんでしょう?
     思うに鉄道で言えば新幹線である高速道路。普通の道路とは格段に違うサービスを提供されているわけですから「新幹線」料金を取られることこそ筋がとおってる筈じゃないでしょうか?
     
  2. 何でまだ高速道路を作る作らないを国レベルで話してるんでしょう?
     国のグランドデザイン的にはぼちぼち骨格(国レベルで見て必要な幹線)作りは終わってきている時期だと思います。いいかげん国も予算や権限を地方に投げて任してしまえばいいんじゃないでしょうか?そうすれば地域ごとに必要な道路とそうでない道路は、それぞれに足りないなと思われる予算の中で厳選されて、道路網もいい感じに仕上がりません?今の議論てお互いの地域実情がわからんなかで、感情的な部分でお互いに「地域エゴ」て罵り合ってるだけのような気がします。
     
  3. 道路だけやないですけど交通て本来民間にやらせるべきジャンルじゃないですかね?
     今や水道/電力のような使わずに暮らしてる人間はおらんのちゃうかゆうような基本的人権クラスのサービスでも民営化でやってるとこもあります。うまいこといってへんみたいやけど。
     聞いた話ですが、鉄道会社は税金でゲシゲシできる高速道路と競争なんかできるかて言ったはる一方で、航空会社はかなり税金の入った山形新幹線のおかげで羽田山形線撤退やてキレてるつう話です。要するに同じ土俵で勝負すべきやないかと思うんですけど。
     他の交通と違って自動車交通はコスト意識が薄れがちや言いますよね(自家用車は特に)。他の交通は乗る度料金払うけどクルマは車買った時とガソリン代つう形やから一回一回計算してるかゆうたら…。要するに減価償却なんか家計簿につける人少ないですよね。1の話にもつながるんですけどクルマユーザーて金銭感覚おかしいんちゃうかて。甘えてません?
     話戻すと僕は受益者負担て資本主義の根本やと思うんで大賛成です。うまいケーキは高いんは当たり前、速い列車は高くて当たり前やと思うんです。確かにこれを突き詰めると高速道路は東名だけでいいやろてなりかねんと思いますが、実はその方が地球にはやさしい。
     ロスみたいな低密で広大な大都市はハイウェー網なしではやっていけなくて結果市民一人一人のエネルギー消費量はすごいです。東京は密度高く住んでるから鉄道が採算が(今のところ)とれてて手段分担率も高く交通に関してはエネルギー消費は少なく済んでます。都市計画的にも鉄道周辺に密度高く住むのが効率がいいのは明らかですが、ま、都市計画が通るような日本じゃないですけど。自分の土地が売れへんて市街化調整区域に難癖つけるのはあたりまえ、首都圏のグリーンベルトもできませんでしたし。
     今や途上国と違い、どの交通に関しても足りなくてしゃあないことはないわけなんですからここらで劇的に考え方変えてもいいんじゃないですかね。交通が競争することで、都市競争も激しくなり、より洗練された日本になりませんかね?

 はじめてやのに長々とすんませんでした。皆さんの厳すぃーいツッコミ期待してますんで宜しくお願いします(笑)。

Re:高速道路に対する疑問
 投稿者---和寒氏(2002/02/09 17:49:38) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 文体はともかく、本質的な御質問ですので、お答えします。
 ただし、あまり時間もないし、真面目に書くと本が一冊書けるほどの内容ですので、ウルトラ大雑把概略です。あしからず。

1.何で「高速道路はいつかタダで走れるようになる」ことになってるんでしょう?

→本来は「国道」だからです。ところが初期投資を一度にカバーできないため、資金を借り入れ、料金収入で償還する、償還後は無料開放する、というスキームが組まれています。
 高速道路初期の頃、「国道」ではなく「営利事業」(一例としては民間有料道の箱根ターンパイクがあります)として扱うかどうか検討もされたようですが、スキーム変更なしで今日に至っています。
 従って、

 思うに鉄道で言えば新幹線である高速道路。普通の道路とは格段に違うサービスを提供されているわけですから「新幹線」料金を取られることこそ筋がとおってる筈じゃないでしょうか?

→正論なんですけど、法的なバックはそうではないのです。

2.何でまだ高速道路を作る作らないを国レベルで話してるんでしょう?

→端的にいえば、地方には財源がないからです。地方交付税交付金がなければ、そもそも予算さえ組めない。
 ちなみに、道路公団廃止民営化・高速道路事業国直轄化に地方が反対しているのは、直轄事業だと地方からも費用の持ち出しがあるからです。道路公団方式では、地方の負担金はありません。

 いいかげん国も予算や権限を地方に投げて任してしまえば

→やはり正論ですが、税の再配分の仕組みをつくるまで、そしてさらに継続的に、えらく激しい軋轢が生じるような気もします。賛同できる意見ながら、現状での実現可能性はネガティブです。

3.道路だけやないですけど交通て本来民間にやらせるべきジャンルじゃないですかね?
  聞いた話ですが、鉄道会社は税金でゲシゲシできる高速道路と競争なんかできるかて言ったはる一方で、

→これはいわゆるイコールフッティング論でして、特に昭和40年代後半から、主に国鉄サイドから、「道路には税金がバシバシ投入されているのに鉄道がそうではないのはおかしい」と立論が呈されたものです。
 ところが、道路に投入する税金の大部分が、揮発油税ほか自動車関連税ですから、マクロ的には「受益者負担」という世界だとわかった瞬間、完全に粉砕されてしまいました。
 今日では、JHサイドから、「整備新幹線にはこれほど高率の(高額ではない点がミソ)税金が投入されているのに、高速道路事業にはこれだけの率しか投下されていない、もっと投入すべきだ」と立論されているほどです。

 クルマユーザーて金銭感覚おかしいんちゃうかて。

→まったく同感ですが、会社組織レベルならばともかく、個人にこの見解を押しつけるのはどうかと。対策としては、揮発油税をさらに上げるくらいですか(爆)。

 突き詰めると高速道路は東名だけでいいやろてなりかねんと思いますが、実はその方が地球にはやさしい。

 →自動車を環境負荷少なく利用するには、60km/h程度の定速度走行がいちばんです。歩車分離も必要。だから、私みたいな鉄道至上主義者でも、高速道路は必要だと思います。

 都市計画が通るような日本じゃないですけど。

→これはたいへん重要な指摘。
 でも申し訳ない、時間切れ。
 続きはまた来週(爆)。

Re:高速道路に対する疑問
 投稿者---けんご氏(2002/02/09 19:39:23)

 返事有難う御座います。深夜にこのページを見つけて勢いで書いてしまったものですから、かなり砕けた文体になっててすみませんでした。

 イコールフッティング論というのは結局世間に受け入れられなかったわけですね。自分としては同じように税金を入れるのではなく、どれにも全く入れる必要がないんではないかと考えているんですが、冷静になれば、港、空港、道路どれもメンテナンスには当然税金が投入されているわけで、あまり現実的ではないかもしれませんね。ただ、そういう意味で考えるなら、鉄道の上下分離方式は、駅や線路を税金で維持する意味では「同じ土俵」ということになるのかもしれないですね。

 道路に限った話ではないんですが、地方分権はやはり必要ではないでしょうか。教育や福祉、医療にしてもより現場に近いところで議論すべきで、何も国で統一された基準が必要とは限らない分野もあるのではないかと思います。

 話の逸れついでですが、都市計画のことで言いたかったのは、自動車に頼らなくても生きていける街づくりをするということなんです。鉄道などの公共交通のある地域に密集して住み、自動車をできるだけ使わないことで環境負荷を下げる。そうすることで高速道路や新幹線、空港、港などはそんなにたくさんどこにでも必要なものではなくなる。そして浮いたお金は福祉や経済などその時々に必要な分野へまわせるようになる。勿論、これを突き詰めると今過疎地域となっているところは無人地帯と化し、ローカル線というローカル線は廃止でしょう。これは極論ですが、ただ地球環境を考え、今の生活レベルをおとせないならば、このくらいのことは必要じゃないでしょうか?

 もしこの極論が実現すると意外に農林業が復活するかもしれません。都市と農村の間のグレーゾーン「郊外」を再び良好農地に転換できればですけど。

 昨夜にも書いたように基本的にはこんな風になることはありえないとは思っています。日本の都市計画にそんな力はありません。しかし、ひょっとすると交通事業者が持ちこたえられなくなって、あるいは地球環境のキャパシティを超えてしまうことになって、こんな日本に追い込まれてしまう可能性は否定できないと思います。その潮流が本物になってしまえば、今の地方の高速道路や新幹線、空港、港などに対する投資はまるきり無駄です。現実に地方部は高齢化が進み、彼らの年代が亡くなったら人口はまたガクンと減るわけですから、棄てられる村や島が出てくることも想定できます。追い込まれてそうなるよりはまさに日本の「構造改革」にうってでたほうがよいでしょうが。政治家や役人などの誰もそんな心配はしてないようなんで現実がそうなってゆくという将来予測はないんでしょうね。自分の杞憂?妄想?におわればいいとは思います。

 本題に帰ります。和寒さんの書き込みによると結局現状が大きく変わることはない、あるいは政治家達が変える気がないってことでしょうか?小泉首相の言葉は大概話半分の感じですが、案の定改革も声ばかりで中身なしということになるんですかね。

 まとまりのない乱文ですみません。皆さんの書き込みを読めるのを楽しみにしています。では。

Re:高速道路に対する疑問
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/02/09 23:58:04) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 話の逸れついでですが、都市計画のことで言いたかったのは、自動車に頼らなくても生きていける街づくりをするということなんです。鉄道などの公共交通のある地域に密集して住み、自動車をできるだけ使わないことで環境負荷を下げる。そうすることで高速道路や新幹線、空港、港などはそんなにたくさんどこにでも必要なものではなくなる。そして浮いたお金は福祉や経済などその時々に必要な分野へまわせるようになる。勿論、これを突き詰めると今過疎地域となっているところは無人地帯と化し、ローカル線というローカル線は廃止でしょう。これは極論ですが、ただ地球環境を考え、今の生活レベルをおとせないならば、このくらいのことは必要じゃないでしょうか?

 今の生活レベルを落とさずに、という前提であれば不可能でしょう。
 都市(公共交通の発達した地域)に集中して住むというのであれば、それを受け止めるだけの経済活動が必要です。絶対値としての経済規模は確かに地方とは比較になりませんが、それを都市在住者で分配できるかが問題なのです。
 絶対値としての経済規模が小さいため、地方からの流出が進みますが、一方で都市の経済規模で支えきれない流入による所謂スラム化の発生。そのバランスをどう取るのかで、それこそ江戸時代から為政者は悩んでいます。(ex:水野忠邦の人返し令)

 情報などはIT化により格差が減るといわれますが、結局衣食住なんにしても、「最低限」を越える部分、つまりお洒落であり、グルメであり、趣味であるといった部分はその対象物である「現物」が無いと始まりません。
 その現物は、ITでは動きません。物流によるのであり、生産拠点からの時間距離に応じたコストが掛かります。

 交通の整備がなければその格差は縮まりませんし、純粋にマーケットベースでそのコストが決まれば、その価格は輸送コストを専らとした大差が付きます。これは物流のみならず、人間が移動してアクセスする時にも当然当てはまりますし、時間や距離のみならず、供給サイドが独占状態にあるか否かでも成立します。卑近な例を挙げれば、ホテルの館内の自販機が何故高いか、というようなものです。

 現在の公共セクターによる整備と介入の根拠はそこにあります。
 「規制緩和」論による批判がありますが、こと交通の世界においては、規制緩和論の反面教師になる事象ばかりが発生していることを踏まえれば、どうあるべきかは自ずから明らかでしょう。
 このあたり、内橋克人著「規制緩和という悪夢」(文春文庫)が読みやすいでしょう。同著は月刊文藝春秋の初出から数えるともう7〜8年という「古典」の域に属する本ですが、今なお新鮮な刺激を与えてくれます。

Re:高速道路に対する疑問
 投稿者---とも氏(2002/02/13 12:55:16) http://town-m.vop.jp/

 ともです。まとめてレスを。

何で「高速道路はいつかタダで走れるようになる」ことになってるんでしょう?

 和寒さんもかかれていますが、いわゆる高速道路は道路法という法律において「高速国道」という指定をされた道路で、ここには有料・無料と言うものは書いてありません。
 有料の根拠は「国土開発幹線自動車道法」「道路整備緊急特別措置法」の2つで、これによると有料道路事業費を財政投融資及び民間資金の活用(アクアラインなど)によって早期に取得し、利用料で返還するとなっています。ここがいわゆる30年とか50年償還の元になる部分で、ここに、無料開放すると明記されているので、そうなります。

 速達料金の考え方は否定しませんが、基本的に道路は税金によって賄われる(=ガソリン税などの受益者負担)ものであるので、無料が前提であり、有料は過渡的なものとなります。

何でまだ高速道路を作る作らないを国レベルで話してるんでしょう?

 国土開発幹線自動車道法において、内閣総理大臣を座長とする審議会・会議、道路整備緊急特別措置法において国土交通省が道路審議会の意見を聞いて長期的な計画を定めることが決まっているので、国レベルの話しになります。
 ただ、現実には国土交通省の予算配分は地方のブロック機関が行っていますし、長期計画は各県レベルの寄せ集めに近いですから、地方に実質的な主導権が移りつつあったと考えられます。

道路だけやないですけど交通て本来民間にやらせるべきジャンルじゃないですかね?

 たしかにおっしゃることはわかりますが、世界中で道路整備を民間参入している国を探すほうが大変です。アメリカは一時期、その考え方でハイウェー整備を競争にして税を大幅カットしましたが、採算性の悪いものはどんどん捨てられ、ニューヨークの環状道路などでは道路の崩壊なども発生しました。さらに橋梁を安く上げるために手抜きを行うなどの問題も生じ、維持管理すらまともにできなくなったため、連邦政府の権限でもとにもどしています。
 また、イタリアが民間高速道路整備をやっていますが、ここもうまくはいっていません。

 なにも官がやるのが良いということではなく、交通基盤整備などはある程度公共のコントロールが必要ということは考えられますので、上下分離などの策を検討するのが筋だと思います。

***
 今の生活レベルから落ちたかどうかはそのときの生活者層が判断することであって、今、落ちる落ちないという議論はベクトルをどうとるかということもあるのでなんとも書きにくいところですが、それなりの成長を期待しながらの公共交通シフトは十分可能です。鉄道が移動全手段の5割に近いシェアの東京でも生活レベルは決して低くは無く、たしかにゆとりは少ないけれども満足度は高いですからね。
 ただ、本当にそれを突き詰めはじめると、それこそ徒歩+公共交通による移動がもっとも環境コストが低く、さらに公共交通もイス無し、山手線状態がベストになります。
 でも、それでは生活レベルは下がっていませんが、交通機関としてのあるべき姿とはいえませんよね。
 さらにはマンション住まいを皆することがベストですし、過疎地は切り捨てて都市に集中させるほうが環境負荷は小さいです。

 しかし、一戸建ても書いたいし、地方にも住みたい。だからこそその微妙なバランスで公共交通にも自動車にも偏らない都市計画・国土計画を立てる必要があるといえます。公共交通シフトを進めることはもちろん大事ですし、TDMなどを進めるのも必要です。ただ、自動車と公共交通のバランスをいかにうまく保ち、それぞれの特徴と特性を活かしたものにできるかが必要なのでは。

 闇雲に鉄道にシフトさせても乗客数が少なければ自動車にくらべ環境負荷は大きくなります。
 器にあったものを用意することが肝要では?

 ではで

民営化論者の主張はなぜブレるのか
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/06/08 21:07:28)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs
─同感です

 6月7日、道路関係4公団民営化推進委員会設置法が成立しました。これにより今後は民営化の形態、民営化後の採算性の確保などについて検討し、今年末までに小泉首相に「意見」を提出する委員会の人選や運営に注目が集まることになります。

 ケチをつければ、法律に基づいて設置されている4公団の存廃そのものについて、立法府の決定がなされていないのに、「民営化推進」という予断が入った法律を制定することは、同じ立法府の決定であっても越権の疑いがあります...

***
 ところで、着々と進んでいるように見える「民営化」ですが、民営化論者の意見を丹念に見ていると、奇妙な「ブレ」が見られます。

 道路4公団問題で民営化論者が「論点」にしているのは、「公団は赤字」というP/Lの部分と「公団は債務超過」というB/Sの部分です。
 ところが、まず「公団は赤字」と言う部分において、少なくとも本四公団を除く3公団は利益を計上し、償還準備金を含むキャッシュフローを計上しているという事実を前に、「このまま不採算路線の建設が続くと赤字転落」という予測の議論に話がすりかわりました。

 そして、債務超過論ですが、これの骨子は道路資産が減価償却されていないという点を捉えて、償却後資産で計算したら債務超過であるというものですが、これも例えば猪瀬直樹氏の場合は道路の使用可能性、耐用性を勘案して償却資産としないように、意見が分かれます。

※償却資産として資産項目を減少する場合は、負債項目の「償還準備金」を同時に落とさないとバランスしません。

***
 さて、今回槍玉に挙げるのは、またまた櫻井よしこ氏です。
 週刊新潮6月13日号の連載「日本ルネッサンス」での論ですが、以前の批判時とのブレが見られます。
 櫻井氏は公団債務超過論に立つわけですが、先の批判時には「債務超過に陥っている可能性がある」と後退している部分を指摘しました。

道路公団民営化問題第2弾〜櫻井論文への批判 h-log503.html#3

 これが今回どうなったかというと、計上方法によって債務超過の可能性もあるとさらに後退です。
 いわく、資産計上の際に、建中金利を計上するかしないかで異なるとあり、公団の場合、現在は建中金利を取得原価に含めていませんが、実際は建設費目的での機関債での調達ですから、その金利を建中金利として峻別して取得原価に含める処理をすることについては問題はありません。

 こうなると、今までの論は何だったんだということであり、批判対象となる公団の会計基準や会計のルールを確認しないで論理展開していた疑いすら出てきます。

 さらに、このように内容の把握が難しい組織だが、公団にそのビジョンを描く能力があるか、と疑問を呈しますが、これは論者の思い上がりであり、侮辱でしょう。どうもこの手の評論家には、官は無能、自律能力無しとこき下ろす傾向がありますが、そういう手合いに限って、いわゆるマスコミ規制法議論で、外部の批判にもかかわらず、自主規制で充分と強弁しているような...

 ちょっと筆が滑りましたが、その他にもあります。民営化した場合不採算路線の建設はしないが、ではそのような道路の代表格の第二東名の場合は、国費で整備することになるため無料になる。そうなると既存の民営高速の営業を妨害するので競業禁止を、というあたりは開いた口が塞がりません。
 前にも同じ指摘をしましたが、この道路公団問題について、民営化論者は日本の道路建設や整備、そして国家財政を問題にしているのではなく、民営化された「企業」の行く末が心配なだけではないでしょうか。投資家として魅力的な投資対象だから、業績を悪化させて配当や株価を損なうことを避けたい、そういう意思を中心に据えていると見れば、彼らの意見のブレも納得できます。

 道路はどうあるべきか、公団や国家財政はどうするのか、という本筋の議論をしているのなら、その根幹に関わる部分がブレることは有り得ません。逆に事業体がどうであろうと、最適な形態であればそれで良いだけの話です。
 最近の民営化論者の主張をみるにつけ、本末転倒の議論であることがいよいよ浮き彫りになってきた、そのような思いを禁じ得ません。

同感です
 投稿者---和寒氏(2002/06/10 14:18:20) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 さて、今回槍玉に挙げるのは、またまた櫻井よしこ氏です。
 週刊新潮6月13日号の連載「日本ルネッサンス」での論ですが、以前の批判時とのブレが見られます。
 櫻井氏は公団債務超過論に立つわけですが、先の批判時には「債務超過に陥っている可能性がある」と後退している部分を指摘しました。
 これが今回どうなったかというと、計上方法によって債務超過の可能性もあるとさらに後退です。

→この点は、私も「おや?」と首を傾げました。私は、道路公団に関する櫻井氏の分析はあまりにも恣意的で、とても賛同できないという印象を持ち続けていましたが、このように日和る表現を見ると、尚更その観が強くなります。あまりにも言い訳がましいので、「投了図づくり」か、とも受け止められます。
 公開されている資料を見る限り、道路公団は極めて安定した健全経営にあり、債務超過や経営破綻のおそれはありえない、というのが私の見立てです。ついでにいえば、「債務の絶対値」と「資本における債務の比率」を混同する向きが多いのも、この議論が混乱するもととなっているようですが・・・・・・

 前にも同じ指摘をしましたが、この道路公団問題について、民営化論者は日本の道路建設や整備、そして国家財政を問題にしているのではなく、民営化された「企業」の行く末が心配なだけではないでしょうか。投資家として魅力的な投資対象だから、業績を悪化させて配当や株価を損なうことを避けたい、そういう意思を中心に据えていると見れば、彼らの意見のブレも納得できます。

→穿った見方を、とたしなめたいところながら、おそらくこれが真相だろうと、私も同感せざるをえないところです。マスメディアにおいて経済的な提言をなす方々のかなりの部分が、自己の信念に基づくというよりむしろ、機関投資家の意を迎えることに腐心している、というのは一種の常識ですから。
 これを私の独断偏見と呼ぶなかれ。明治の鉄道国有化論議からして同様の弊が認められますから、長い長い伝統があると考えざるをえないのです

行革担当相と民営化委員の「採算第一主義」への警鐘
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/07/15 01:09:10)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs
─無知は罪ですらある。いわんや為にする議論なら…
 └どうせなら三郷でなく狛江や大泉で同じことを言わないかなあ?
  └Re:どうせなら三郷でなく狛江や大泉で同じことを言わないかなあ?

 7月12日の各紙に、「道路関係四公団民営化推進委員会」と石原行革担当相が、三郷市の外環建設現場を視察した記事が出ていました。
 私が目にしたのは大阪本社発行のため、ベタ記事もしくは話題ものとしての囲み記事でしたが、「採算合わない」(産経)、「ニーズに合うの?」(朝日)とネガティブな論調ということは共通していました。

 三郷JCT−湾岸高谷JCTまでの建設区間のうち、三郷−松戸までの建設コストが1kmあたり300億円になっており(朝日)、同行の公団側による「日本一高い高速道です」という説明を絡め、巨費を投じることへの疑問が担当相や委員から出たようです。
 産経によると松戸から市川までのコストはさらに上がって1kmあたり1000億円とあり、さすがにそこまで来ると身震いする数字であることは確かです。

 しかし、「採算を度外視している」(朝日)、「採算を考えると(建設)は難しくなってくる」と見直しを示唆した(産経)とされる担当相の認識は、道路行政、都市計画のイロハのイも解さぬ愚論であり、ある意味著しく見識を欠く暴言といえます。
 すなわち、首都をとりまく通過交通用の環状道路の整備を、その必要性とあるべき姿を論じる前に、「採算」で論じることの愚かさは、政府の一員とは思えないものであり、大都市の、特に自国の首都の交通インフラ整備を「採算が合うのなら作る」という姿勢は非常に嘆かわしいものです。
 また付言ながら、本件に限らず千葉県内での用地取得が困難かつ高コストになった原因は、本来機能すべき組織を解散させてしまった国の公安政策の失策以外の何者でもなく、その点においても政府の一員が事情認識を欠くことは許されません。
 以前も指摘しましたが、建設の実例が無いイタリアの民営化を賛美するなど、担当相の本件についての資質については非常に疑義を感じます。

 また、朝日によると、コンサル会社のマッキンゼーから招聘された川本裕子氏の「国民のニーズに合わせて造られてきたのか若干疑問だ」という批判もあったようですが、東京の交通渋滞の原因の一つが致命的なまでの環状道路不足であることはもはや常識であり、よしんばそれが「関東ローカル」「首都圏ローカル」の問題であっても、その渋滞問題がもたらす経済的損失や健康・環境問題などを考えると、「ニーズ」を問うレベルではないことは、少しでも事情を知っている人間なら分かるはずです。
 同じ金曜日のNHK・ニュース10ではロードプライシングの特集がありましたが、石原知事などが強く実施の意向を持っている東京での場合、湾岸から湾岸までの環状高速道路によるバイパス路の確保が大前提であり、こうした問題への波及もご存知無いか、それよりも民営化された公団の採算のほうが最優先されるというのでしょうか。

 今回の報道は、その程度の知識も無い人間、もしくはきわめて公共性の高い問題を犠牲にしてまで採算にこだわる人間が、今後の我が国の道路行政・交通インフラ整備を左右しようとしていることを露呈しました。もともとネガティブに見ていましたが、まさかこんなに早く、そしてそれこそ「ムネオ道路」のような事例ではなく、外環道のような重要案件で「馬脚」を現すとはさすがに予想だにしておらず、もっと警鐘を鳴らすべきであるという意を強くしました。

***
 なお余談ながら、これに先立ち同委員会の委員が、産経のインタビューか寄稿記事で、高速道路の高コスト体質を批判するくだりで、すぐに高架や盛り土構造にすることを指摘した上で、少々路面が水を被ってもいいから小田原厚木道路のように地平レベルにすべきという「見識」を示しています(残念ながら当該記事のスクラップをし忘れたため委員名は伏せます)。

 安全とコストをトレードオフに置くとは悪い冗談であり、高速道路における水捌けの悪さがいかに危険か、そしてどれだけの事故が発生して尊い命が犠牲になっているかを無視した暴論です。轍の水切り、水が溜まらず浸透する高機能舗装などの工法も同様に「無駄」というのでしょうか。民営化された高速道路では、ハイドロブレーニングなどによる事故やもらい事故で命を落とすことが無いように祈るしかないようです。
 公共性も安全も、採算の前には犠牲になるようですから...

無知は罪ですらある。いわんや為にする議論なら…
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/07/17 01:55:47) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 石原担当相は夕刊フジにコラムを書いていますが、その「永田町新人類 石原信晃 俺にも言わせろ」の7月17日付(大阪本社版・16日発行)の内容は先の視察を受けたものでした。

 リードが「外環道建設費は1メートル1億円」「フル規格でなくて良いのでは」とあり、外環道建設について、その機能や特性云々を全く無視して、建設費しか見ていないという恐ろしい認識を露呈しました。
 東京地区ならそれでもその是非を判断できる人は多いでしょうが、大阪本社版を手にする関西のサラリーマン諸氏は、「なるほど、こんな無駄な工事を千葉や埼玉あたりでやっているのか」と「義憤」に駆られるようなもっともらしい作りです。完全に間違った認識を一方的に垂れ流すことがいかに恐ろしいか、背筋が寒くなります。

***
 さて、担当相の発言ですが、「技術もすばらしいし、それはすばらしいものができるだろうけれど、これはどうかと思った。」「要するに全部フル規格なのだ。採算を度外視し、お金をかければいくらでもいいものはできる。(中略)これからの時代、手ごろなお値段でそこそこのものをつくって納得もいくというものにしていかないといけない。」とのことです。

 要するに担当相は、「安物買いの銭失い」を説いているのか、「魔法使い」なのか、いずれにしても外環が何故、何のために作られるかということを分からないから、ここまで情けないコメントになるのでしょう。

 何故こんな巨費が掛かるのか。道路公団が最高の技術をつぎ込んでいるからか。次の視察先としている第二東名について、往復6車線でトラックが140kmで突っ走れると述べていますが、外環道は第二東名の足下にも及ばない規格、最高速度80kmの往復4車線にすぎません。
 ではなぜかというと、環境問題に配慮して、通常の高速道路と比べ物にならないほどの用地を緩衝地帯として確保するからです。
 昭和44年の当初計画では幅員40mの高架構造だったのが、緩衝地帯片側16mを含む幅員60mとなっており、しかも専用部は半地下もしくは地下構造です。

 つまり用地だけでも距離1mあたり60平米です。極端な話全部が用地代だとしても平米あたり167万円。このあたりの相場の平米30〜100万円として実に1800〜6000万円は土地代です。おまけに収容委員会も無い千葉県では被買収者の力が強いですから、ざっくり事業費の半分以上、場所によっては大半が土地代と見て良いでしょう。しかも本来土地収用法によってそうした自体を抑制するはずの収容委員会は、国が事実上の「後ろ弾」を撃ったことで解散に追い込まれたのです。
 工事費も割高な地下構造と地上地下の連絡路もありますからこれも高くなります。

 ではこの経費は削れるのかというと、用地買収が出来ないと事業になりません。買収面積を削るとなると地元が環境問題を盾に譲りません。では外環のスペックを落とすのかというと、ただでさえ4車線では少ないという懸念があるうえに、一般部を削ったりすると、地域の生活道路の機能回復と地域の幹線道路の確保という外環の効果の重要な部分が大きく損なわれ、ただの広域通過道路になります。外環の効果について、R298が併設されている埼玉区間でのそれは革命的だったのは有名ですが、一般分が無い埼魂大橋以南においては、地域の道路に与える効果はほとんどありません。
 つまり、担当相が「フル規格でなくても…」といっている部分は、外環を少しでも知っていれば絶対に出てこない、暴論以前の妄言です。

***
 このような認識を現地談話にとどまらず、署名記事で駄目を押すとは悪い冗談としかいいようがありません。ひどい言い草ですが、これしか言い様が無いのです。

どうせなら三郷でなく狛江や大泉で同じことを言わないかなあ?
 投稿者---さいたま市民@西浦和氏(2002/07/20 21:51:06)

 みなさんこんばんわ。

 東京地区ならそれでもその是非を判断できる…大阪本社版を手にする関西のサラリーマン諸氏は、「なるほど、こんな無駄な工事を千葉や埼玉あたりでやっているのか」と「義憤」に駆られるようなもっともらしい作りです。完全に間違った認識を一方的に垂れ流すことがいかに恐ろしいか、背筋が寒くなります。

 言いたくはないですが、彼らも追いつめられているのかもしれません。必要なものを否定的に宣伝する報道なのでしょうか?ご紹介の2つのメディア両方とも否定的なんですね。

 さて、担当相の発言ですが、「技術もすばらしいし、それはすばらしいものができるだろうけれど、これはどうかと思った。」「要するに全部フル規格なのだ。採算を度外視し、お金をかければいくらでもいいものはできる。(中略)これからの時代、手ごろなお値段でそこそこのものをつくって納得もいくというものにしていかないといけない。」とのことです。
 要するに担当相は、「安物買いの銭失い」を説いているのか、「魔法使い」なのか、いずれにしても外環が何故、何のために作られるかということを分からないから、ここまで情けないコメントになるのでしょう。

 交通路を面としてとらえていない人の発言以外の何物でもありません。
 国土交通省の人たちはご進講してしてなかったんでしょうか。建設している企業に対するコストダウンの要求のメッセージなのであれば、納得できますが。
 大臣は静岡の山の中でも同じことを言えばいいのです。

 お金のことを考えれば、将来拡張もたやすくできなくなるのでしょうから、今、少しでも理想に近い道路を造るしかないでしょう。
 こういう政治というのは誰が責任をとるのでしょう。「市民派」千葉県知事に対する大臣の嫌みなのならそれはそれで筋が通るのかも。

 埼玉県民エゴモードで言わせてもらえば、三郷でなく、市川や大泉で言いたいことを言ってほしかった。
 三郷は東京20km圏でも、大河に囲まれ、地価が比較的安いはずなんです。ここで、理想の高速道路を造ることに対して大臣が茶々を入れるのは非常に腹立たしいです。そう、中央環状線や板橋王子線、外環道路となんで東京の東側ばかりに交通路建設の負担が来ているのか、それを理解した上でそういう発言をしたのならば、わからなくもないです。東京の東側は北側や西側に比べ、後背地も狭く人口の絶対数が少ないので、長距離道路の巨大な連絡道路は必要ないのですから、もともとの道路が整備されて良くなっているのなら高速道路なんかいらなかったのです。

 大阪だったらどういうたとえになるのでしょう。大阪でこの掲示板を読んでいる人のために解説しておいた方が良いのでは?

 O大臣が出てこないなあと思ったら、今度はI大臣ですか。お父さんの援護しているのか攻撃しているのか、わからないなあ?
 I瀬氏の「6分割」案もどこかで話題にしてください。

 乱筆ご容赦。少し酔ってます。

Re:どうせなら三郷でなく狛江や大泉で同じことを言わないかなあ?
 投稿者---とも氏(2002/07/21 02:08:20) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

 呆れてものも言えないというか・・・
 言うこと違うじゃない。いつ宗旨替えしたの?というとろでしょうか。
 アホらしくてイヤになってしまいます。

 しかも自分の選挙区の杉並区で言えばいいのに。「こんなフル規格不要だ」って。
 どうなるんでしょうかね。
 千葉に対して言ったのなら、市川や松戸の現状をまったく理解していない。国土交通省や道路公団の説明を聞いていないのか、無視したのか。官僚がちゃんと説明しないのか。いや「みどりの道」を見るだけでも十分金をかけてはいるが住民に配慮した構造だということぐらいは理解できるぞ・・・ということは・・・

 東京に対していったのなら話にならない。なんで40年も止まっているか、杉並を選挙区にしているのなら知らないとは言わせない。
 しかも、そもそも論を解っているのか。
 東京都と国土交通省が行った外環に関するアンケート結果によると、実に80%が環状道路の整備に賛成をし、事業にあたっての76%が環境配慮を第一に挙げ、費用面を懸念に挙げているのは17%。最優先課題としたのはわずかなのです。

外環に関するアンケート結果 http://www.ktr.mlit.go.jp/gaikan/chousa/index.htm

 「外環は環境に配慮して欲しい」「渋滞緩和を進めて欲しい」という「民意」よりも道路公団の経営改善=「市場価値の向上」を優先しているということでしょう。
 いえるものなら本当に、狛江や世田谷、杉並の抜け道沿いや環八沿道で言って欲しい。そこで住民が「そうだそうだ」となるか、環境に配慮した構造を望むのか。

 思いっきり愚痴主体モードで(爆)ではでは

民営化推進委員会の越権行為
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/08/21 10:44:45)
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs
─Re:民営化推進委員会の越権行為
 └Re:民営化推進委員会の越権行為
  └Re:民営化推進委員会の越権行為

 21日の産経(大阪)は1面で民営化推進委員会が、民営化前に道路関係4公団の人事刷新を求めることを今月末の「緊急提言」に盛り込む方針であることを報じました。

 道路公団等の資料提出を巡るゴタゴタに愛想が尽きたと言う格好で、これだけ読むと非協力な公団組織にメスを入れるという「善行」のようですが果たしてそうでしょうか。この話はそのような簡単な話ではありません。

 道路公団(JH)は日本道路公団法という法律に基づく法人であり、その人事権は国土交通大臣にあります。確かに国土交通大臣は同法13条2項で職務違反があった役員の解任権を持つのですが、民営化推進委員会がそれを国土交通大臣に求める権限はあるのでしょうか。任意に設立された私企業と異なり、法律で組織形態などが定められた組織体を改変することを、立法府ではなく行政府の一委員会が可能ならしめることは、三権の問題を持ち出すまでも無く問題かと思います。

 そもそも、民営化推進委員会がそのような「要求」を行う権限があるのでしょうか。あたかも道路関係4公団の業務監察のように振舞っており、誰も疑問を呈しませんが、彼らが法律上認められている権限は下記の通りです。

【道路関係四公団民営化推進委員会設置法】 第2条1項「所管事務」
 委員会は、特殊法人等改革基本法(平成十三年法律第五十八号)第五条第一項の規定により定められた特殊法人等整理合理化計画に基づき、日本道路公団、首都高速道路公団、阪神高速道路公団及び本州四国連絡橋公団(第六条において「日本道路公団等」という。)に代わる民営化を前提とした新たな組織及びその採算性の確保に関する事項について調査審議し、その結果に基づき、内閣総理大臣に意見を述べる。

 これだけです。「特殊法人等整理合理化計画」における日本道路公団等の見直しにおける、「民営化」という一手段の調査審議を行い、首相に答申する権限しかないのです。つまり、現行公団組織の業務監察に類する行為や介入は認められておらず、日本道路公団法に定められた国土交通大臣の職務権限の侵害、つまり法令違反に当たります。

 ついでに言えば、「民営化」は決定事項ではありません。そもそも決定しているのは「特殊法人等改革推進本部」が「特殊法人等整理合理化計画」を定めることであり、その一環として日本道路公団等の見直しをするに当たって、「民営化」という手段を調査審議することを決めたのが「設置法」なのです。

【特殊法人等改革基本法】 第5条
   特殊法人等改革推進本部は、この法律の施行後一年を目途として、基本理念にのっとり、各特殊法人等について、その事業及び組織形態の在り方を抜本的に見直し、その結果に基づき、特殊法人等整理合理化計画を定めなければならない。
 特殊法人等整理合理化計画は、次に掲げる事項について定めるものとする。
   廃止、整理縮小又は合理化、他の実施主体への移管その他各特殊法人等の事業について講ずべき措置
   廃止、民営化、独立行政法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第一項に規定する独立行政法人のうち、同条第二項に規定する特定独立行政法人以外のものをいう。)への移行その他各特殊法人等の組織形態について講ずべき措置
   前二号に掲げるもののほか、各特殊法人等の改革のために講ずべき措置その他の必要な事項

 最終的に特殊法人等整理合理化計画を策定して、総論および個別組織の設置法の改廃を定めた法律を国会に上程し、決議されないと決まりません。これは法治主義、三権のイロハであり、小泉首相がお手盛りで委員を集めて決めるのであればこれはただの独裁です。特に今回の民営化委員の選定にあたっては、設置自体は設置法に基づくものの、人選は官邸の独断であり、もし委員会の要求通りに日本道路公団等の組織が改変されたうえで、日本道路公団法などの改正が実施されたとしたら、行政府が立法府の権限を骨抜きにするという由々しき事態です。

 ここまでいうと、国鉄分割民営化の途上で当時の仁杉総裁が分割民営化に消極的という理由で事実上更迭され、分割民営化が進行したのでは、というでしょう。しかし、この時の「国鉄再建監理委員会設置法」では国鉄再建監理委員会に、(1)効率的な経営形態の確立、(2)長期債務に関する事項について企画・審議・決定し、内閣総理大臣に意見を述べる、また事業運営改善のため緊急措置について内閣総理大臣に意見を述べる権限を有し、内閣総理大臣は意見を尊重しなければならない、という権限を与えており、今回の民営化推進委員会の権限とは比べものにならない広範囲な権限と、現行組織への介入権を有しています。

 ただ、日本道路公団等について問題が無いかというとさにあらずで、設置法第6条の「委員会は、その所掌事務を遂行するため必要があると認めるときは、関係行政機関及び日本道路公団等に対して、資料の提出、意見の開陳、説明その他必要な協力を求めることができる。」という権限を明らかに侵しています。これでは自殺行為であり、首相経由で国土交通大臣に日本道路公団法13条2項に基づく処分を実施させる余地を与えており、今後の我が国の道路・交通のあり方を大きく左右する問題で、堂々と意見を戦わせるべきところ、それを怠りただ組織防衛に過ぎないような姑息な策に走るのは非常に嘆かわしいです。

***
 「正しいんだから良い」というムードに押し流されることは、それで結果オーライであったとしても実は問題です。特に二言目には「民主主義」を口端に上らせるマスコミ各社が、その骨抜きを全く問題にしないことは、都合の良い時だけ民主主義を利用するという批判を免れ得ません。

Re:民営化推進委員会の越権行為
 投稿者---横槍くん氏(2002/08/31 00:07:23)

 これは何かの勘違い。
 推進委員会が行おうとしたのは単なる「(緊急)提言」。
 これを「要求」と曲解しても意味はなし。

 猛省を求む。
 何かにつけて道路公団の民営化に難癖をつけたくなる気持ちも良く分かるが、いくらなんでもやりすぎないしは悪趣味。

Re:民営化推進委員会の越権行為
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/08/31 01:22:09) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 推進委員会が行おうとしたのは単なる「(緊急)提言」。
 これを「要求」と曲解しても意味はなし。

 官民問わず、組織体の長の人事権への言及が何の意思も持たないことはないでしょう。「提言」か「要求」かは字面レベルの問題ではなく、実質で判断すべきでは。

 何かにつけて道路公団の民営化に難癖をつけたくなる気持ちも良く分かるが、いくらなんでもやりすぎないしは悪趣味。

 「提言」と「要求」の(実際には意味の無い)峻別を求めるのであれば、まず「批判」と「難癖」の別くらいはわきまえてもらいたいものです。

 ちなみに、推進委員会が集中審議を通して行った下記の事実と合わせれば、この「提言」の本質は分かるかと思いますが、如何?

道路公団総裁更迭を要求 民営化推進委 (共同通信)

 政府の道路関係四公団民営化推進委員会(今井敬委員長)は7日午前、都内のホテルで2日目の集中審議を行った。日本道路公団が委員会への資料提出などについて、非協力的な姿勢を示していることに批判が集中、旧建設省出身の藤井治芳総裁の更迭を求めることになった。これを受け石原伸晃行革担当相が同日、小泉純一郎首相に推進委の意向を伝える。
 民営化推進委は日本道路公団人事への直接的な権限はなく、総裁は国土交通相が任命、正副官房長官により構成する閣議人事検討会議の対象となっている。藤井総裁の任期は2004年6月まで残っているが、総裁の進退問題が今後の民営化論議の中で大きな焦点となりそうだ。
 小泉首相は記者団に「(道路公団は)協力しなければならない。石原氏から事情を聴きたい」と述べた。

 集中審議では、個別路線の優先順位を推進委が議論していることを批判するなどの藤井総裁のこの間の発言を、田中一昭委員が取り上げ「道路公団が非協力ならわれわれの仕事ができなくなる。政府にそういう人がトップにいるのは問題と伝えるべきだ」と提案した。
 猪瀬直樹委員は「この人がいる限り、民営化改革は進まない。総裁を代えるべきだ」と同調。JR東日本会長の松田昌士委員は「総裁だけでなく、道路公団のスタッフも代えるつもりで態勢を整える必要がある」と応じた。
 中村英夫委員は「人事は委員会の仕事ではない」と更迭に反対した。
 石原行革相は「藤井総裁は言っていることと行動が違う。非協力的な態度だと断言せざるを得ない」と藤井総裁の対応を厳しく批判。その上で「各委員の意見を首相にはっきりと伝える」と引き取った。

京都新聞web 2002.08.07. http://www.kyoto-np.co.jp/…

Re:民営化推進委員会の越権行為
 投稿者---横槍くん氏(2002/08/31 07:28:29)

 エル・アルコンさん
 やや(私の)言葉はきつすぎました。
 でも、難しく考える必要はないんですよ。

 件の推進委員会設置法を一読すれば明らかなように、委員会の権限は「調査審議」「意見を述べる」の2つだけ。
 もともと「決定権」(法的拘束力)はゼロの組織なんです。

 平たくいえば、ものごとを決める権利は何一つないが、どんどん調べて話し合って、(内閣総理大臣に対し)意見を言って下さいという組織なのです。

 そして今回、委員会の運営に対して最低限の義務を果たそうとしない(非協力的な)公団トップにさんざん手を焼いた末、運営に大きな支障があるからと、更迭を「提言」(ないしは「要求」=この2つの用語の峻別に意味がないのはおっしゃる通り)、すなわち意見を言ったにすぎないわけです。
 まあ、あらかじめ定められた義務を果たさない当事者の処遇に意見することさえできずに、委員会の運営が成り立つわけがないのは当然でしょうが。

 これがもし推進委員会名で、公団トップの更迭を「決定」したりすれば、100%越権行為ですが。

***
 人間だれしも自分が望まない事柄には口を挟まれるだけでも不愉快なもの。
 エル・アルコンさんが憤る気持ちもよく分かるような気がします。

Re:民営化推進委員会の越権行為
 投稿者---エル・アルコン氏(2002/08/31 13:41:34) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 ご趣旨理解しました。

 ただ、あの局面で「越権」とした理由が、もともと石原担当相経由で小泉首相に対し、調査に対する協力義務の履行を指導するように要請するのならともかく、一足飛びに「更迭」にでたこと(あの時は結局首相は扇国土交通相に、公団が協力するよう指導することを指示したが、それは正当な判断だと思います)を踏まえ、報道からは「提言」に首脳人事への言及があるかの雰囲気だったため、ああいう論となっております。

 なお、30日に推進委が首相に提出した中間報告では(31日付の各紙に全文が掲載されています)、公団の人事関係については3(2)における、主に会計関係を中心に民間企業経営者の知恵を導入して民営化に備える、というものであり、「民営化について調査、提言する」民営化推進委の報告書に盛り込む内容としては至極当然であるものと考えます。

※中間報告については稿を改めます。

民営化推進委の中間報告への論評 ../../gallery/special/011.html

2005.07.20Update

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