【検証:】空港板過去ログ集

【検証:近未来交通地図】<ニッポンの空(港)論>
(過去ログNo.437)
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時刻表と各国要覧データブックでできる非常におおざっぱな推量 〔続〕
 
投稿者---さいたま市民@西浦和氏(2003/08/22 00:16:53)
時刻表と各国要覧データブックでできる非常におおざっぱな推量
└Re:時刻表と各国要覧データブックでできる非常におおざっぱな推量
 └余計な話
アジアの空の覇権
 └時刻表と各国要覧データブックからできる…(データ編)
  └Re:時刻表と各国要覧データブックからできる…(データ編)
   └時刻表と各国要覧データブックからできる…(データ編その2)
    └Re:時刻表と各国要覧データブックからできる…(データ編その2)
(以上前ページ)

└国益って?
 └成田接続便を増やすのが王道でしょう
  └Re:成田接続便を増やすのが王道でしょう
   └成田の実質ハブ化が東京一極集中を物語っていることは否定しないが…

▽前ページより

国益って?
 
投稿者---まえだ氏(2003/08/24 00:31:10)

 ちょっと思いつくままに私の論点を整理しますね。

 国益って、何なんでしょうね。東京が栄えることだけが国益なんですかね?

成田接続便を増やすのが王道でしょう
 
投稿者---Tom氏(2003/08/24 06:51:55)

 国内でのハブを議論するのであれば、地方の主要空港から成田への接続便を多数設定することがやはり王道となると思います。
 昨年、成田B滑走路完成時に札幌・仙台・名古屋・伊丹・福岡−成田線が拡充されていますし、確か当時の国土交通省の意向としては今後は広島・小松・新潟・鹿児島にも広げて行きたいとのことであったと記憶しています。
 羽田−成田乗継の不便さはわずか8年とはいえ地方に在住したことのある私にはよくわかります。とはいえ、あまりにも需要が少ない路線にまで接続便を設定するわけには行かないので、各々の地方の中核都市1〜2空港から直行便を飛ばすのが限界でしょう(候補としては広島・小松・新潟・鹿児島の他高松か松山,秋田あたりまでか)。

 尚、航空板の本来の趣旨とは外れますが

 国益って、何なんでしょうね。東京が栄えることだけが国益なんですかね?

ということに関しては明らかに違う。またそういう政策にもなっていないです。
 地方にも住んだ上で東京に住んでいると東京の利便性と同時に不便さがよくわかります(不便なのは地価が高いため年収が多くても住居費に収入が吸われる、とか、どこに行っても混雑している、通勤地獄(混雑と時間)、道路・鉄道の整備が人口比率でみると最悪、など)。確かに東京には他にはない利点もあるからこれだけ集中するのですけど。 
 住むならばそれこそ余程海外出張が多い仕事でもないなら地方の方が良いですよ(もしこの議論をされるのならば空港板ではなく常設板の方が適切と思います)。

Re:成田接続便を増やすのが王道でしょう
 
投稿者---まえだ氏(2003/08/24 23:10:57)

 はい、Tomさんがおっしゃられていることはよくわかります。

 それで、また下記サイトからの引用なんですけど、
「国の航空政策や経済の動きによって、新千歳が追い風を受けたり、逆風を受けたりして、この15年の間に光と影の部分が結構あった。」
という部分が地方の状況を見事に言い表しているんじゃないか、と思えます。

http://www.kirari.com/sangaku/report/hubreport030212.html

 どういうことかといえば、「成田がパンク状態だったから地方空港からの国際線を推進した。ところが、成田が拡張され関空や中部空港が出来るから、地方からの国際線はもういいや、というふうに政策転換された。」ということじゃないのでしょうか。

 どこかのスレッドでもありましたが、やっぱり日本という国はグランドデザインというものがなくて、その時々の「中央」の情勢で、ころころ政策が変わるという印象を持っています。

 だから、いくらTomさんが「確か当時の国土交通省の意向としては今後は広島・小松・新潟・鹿児島にも広げて行きたいとのことであったと記憶しています。」とおっしゃっても、私には、「暫定滑走路が『暫定』でなくなれば、国際線ジャンボジェットの枠を広げるような政策に変わるだろう。」としか思えないのです。

 国内でのハブを議論するのであれば、地方の主要空港から成田への接続便を多数設定することがやはり王道となると思います。

という話であれば、それはそれで結構です。私が感じるのは、国内ハブの問題がそもそも議論になっていないということなんです。

 北米ヨーロッパ線における千歳ハブや、中国ローカル線における長崎ハブの問題などは、地元にとっては経済面で大問題ですから、大いに誘致に向けて「理論武装」しないといけないのですが、知的階級の層が薄くて大変です。北海道はまだ恵まれているほうだと思いますが、長崎などどうしようもありません(苦笑)。地元の限られた人材で東京を負かすだけの理屈を作るのは、大変なことです。

それで、これまた余談ですが、

  > 国益って、何なんでしょうね。東京が栄えることだけが国益なんですかね?
ということに関しては明らかに違う。またそういう政策にもなっていないです。

というお言葉ですが、私も東京に14年間住んでいましたので、その印象を合わせて言えば、「東京だけが栄えることが国益で、そういう政策になっている。」と強く感じます。また、知的階級の東京一極集中加速に伴い、その傾向は近年もっと強くなっているように思えます。

 一連のスレッドで、Tomさんは私の話とある程度議論がかみあっていると(勝手に私が)感じているのですが、やはり

 羽田−成田乗継の不便さはわずか8年とはいえ地方に在住したことのある私にはよくわかります。

という経験があるからなんでしょうね、と、思いました。

 やっぱり、関東平野にしか住んだ経験がない知的層ばかりが日本を動かすようになると(この傾向は相当加速していると感じています)、「東京だけが栄えることが国益で、そういう政策になる」ことがどんどん進行すると思っています。

 この辺は議論に直接関係ない話なので、ここらで終わろうと思います。

成田の実質ハブ化が東京一極集中を物語っていることは否定しないが…
 
投稿者---かまにし氏(2003/08/25 02:42:58)

 かまにしです。

 まえださんの論点は、要約すると「これまで成田が北米と東アジアの実質的なハブとして機能してきた一方で、成田が国内線専用の羽田と離れていることによって、日本の地方都市に住む人々は途方もない不便を被ってきた。ハブ空港の議論をはじめ、(日本のさまざまな政策は)東京中心で考えられているのではないか?」ということですよね。

 いくら成田が東アジアの実質的なハブとして機能し、日本以外の東アジア各国からは乗り継ぎが便利であっても、むしろ同じ国内からのアクセスが最も不便というのは確かに矛盾しており、地方都市の住民に限らず問題意識を抱くのはもっともだと思います。そしてその解決策を考えるとき、Tomさんが挙げられている

○地方都市から成田への接続便を増やす

という考え方が、僕ももっとも王道だと思います。ですがついでに記すのであれば、羽田線が就航している全ての地方都市から成田線を運行することは、これまた不可能なのも事実です。とした時に次善の策として、

○羽田〜成田のアクセスを改善する

という考え方もできると思います。そしてこれは今、実際に行なわれており、2010年に成田新高速鉄道が開業すれば、羽田〜成田が鉄道1本で1時間も不可能ではなくなり、少なくとも今よりは両空港間の移動がずっと便利になります。

 上記に挙げた2つの施策は、どちらか一方だけをやるというのではなく、おそらく両方組み合わせて行なうことが、地方都市の人々も含めて航路の選択肢を増やすものだと考えます。

***
 次に「ハブ空港の議論をはじめ、いつでも東京中心に語られるのではないか」というご批判ですが、僕はそれ自体にはある意味同感な部分もあります。ですがこの議論の場合、それ以前に次のように考えることから始めなければならないですよね。

(A) (日本の国内でも)ハブとなる拠点の空港を1ヶ所に絞った方がよいのか、あるいは複数に分散させた方がよいのか?
(B) Aの拠点をそれぞれどこに設けるのが、国内の全地域からのアクセシビリティを最大化させるか?

 まずAについてですが、僕は複数で成立するのであれば、拠点は複数あった方が望ましいと考えます。その場合、例えば成田と新千歳とか、成田と関空といった組み合わせが考えられますね。

 現実問題として今、成田に入れない航空路線が存在するぐらい日本の国際線のスロットが飽和している状況を考えれば、便数の多い路線のスロットを成田以外の拠点空港に振り分けて、そちらを拠点に育成するという考え方もできるし、おそらく既にやっていると思われます。

 ただ逆に、たくさんの路線がある程度の便数をもとに入ってくるからこそ、「ハブ空港」としての価値が高まるという側面もあります。こうしたときに上記のように、第2のハブを育成すべくいくつかの路線をそちらに振り向けたとして、やはりたくさんの路線がある程度の便数入る空港(=この場合成田)へのアクセスがよほど不便でない限り、利用者はそちらに流れてしまうのではないでしょうか?これを裏を返して考えれば「羽田〜成田があれだけ不便でも、ある程度の乗換客がついてしまうぐらい成田のハブ機能は高い」ということだって言えるわけです。

 この現実がある意味、東京一極集中を物語っていることは否定はしませんし、僕もそれが良いとは思っていません。ただハブ空港論ということだけを考えれば、Tomさんが挙げられたような「成田への接続便の増便」や「羽田〜成田アクセスの強化」、「首都圏の空港機能の強化」が現実的といわざるをえないのではないでしょうか。

 ではでは。

ハブ空港再論
 
投稿者---エル・アルコン氏(2003/09/01 17:19:27)
 
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs
ハブ空港再論
└皆さんに質問
└シンガポールを参考に
└ハブの地勢上の地位

 ハブ空港についてのこれまでの議論は、アジア地域のハブ空港というよりいわゆるスーパーハブ空港の立地論と、日本におけるハブ空港のあり方がリンクしてきたため、議論が錯綜してきた印象があります。また、いろいろご指摘も頂戴いたしましたし、さまざまな立場のご紹介もありましたので、それを踏まえて私なりに再論したいと思います。
 もちろん碩学の方から見れば噴飯ものの議論でしょうが、私もビジネスマンの端くれとして首都圏と関西圏で仕事をし、海外駐在の真似事もしてますので、ビジネス需要についてもそれなりに見ていると思っています。

●ハブ空港とは
 日本各地で研究・誘致が進んでいますが、そうした中の一つ、栃木国際ハブ空港研究会によると、「この内、支線に近距離国際線を持ち、国際線乗継ぎの結節点となる空港は「国際ハブ空港」と呼ばれており、特に21世紀初めに実用化される予定の新SST(次世代超音速機)の拠点となる空港をスーパーハブ空港と呼称し、世界のスーパーハブ空港の分布研究例として、全世界に6空港程度と見込まれている。」と定義付けられています。

栃木国際ハブ空港研究会 http://www.trendyhouse.jp/hub-airport/

 本来2国間輸送におけるゲートウェイとしての意味合いが強かった「ハブ空港」ですが、国境の枠を越えて大陸圏を代表するゲートウェイにまで昇華した議論が国際ハブ空港といえますが、なぜ特にアジアにおいて各国が競って国際ハブ空港の座を競っているのかを考えてみましょう。

●次世代超音速機とセットになった計画
 独立行政法人 航空宇宙技術研究所などの情報によると、大陸間を超音速で飛行することで所要時間を短縮し、かつ第一世代の超音速機(コンコルド)とは違い300人クラスの乗客を運べるというのが特徴です。
 この機材が実用化された暁には、大陸間の拠点間輸送は全世界で6箇所程度の国際ハブ空港に集約され、それに漏れた地域は国際スポーク路線でカバーされると言われています。

航空宇宙技術研究所 http://www.nal.go.jp/Welcome.html

 現在では我が国においては計画自体が凍結されていますが内容を見ますと、我が国の計画では3300m級の滑走路での離発着が可能としていますが、一方ではこの手の機材に代表される高速化、大型化への対応として、4000m超クラスの滑走路を複数本擁して初めて国際ハブ空港となり得るという意見があり、アジア各国の流れもこうした議論を踏まえているわけです。
 そしてそこには、どうしても日本への意識というものがあるわけで、アジア唯一のG8参加国である日本から「一本」とるためには、国際ハブ空港を実現して「アジアの玄関口」としての発展を考えていることは否定できません。

●次世代超音速機の陥穽
 
我が国はこの開発を諦めた訳ですが、計画を見ますとそこかしこに矛盾があるのも事実です。
 すなわち、莫大な開発費や運行・維持コストをカバーするのが、まず所要時間短縮による運用効率アップであることは分かりますが、一方で300人クラスの乗客というのはどうでしょうか。

 上記研究所のQ&Aでは、現行ビジネスクラス並みの運賃で提供出来るとありますが、現在、ビジネスクラス以上のクラスを正規運賃で搭乗する需要というものを考えてみましょう。
 バブル期の日系航空会社が北米東海岸路線で全体の7割がF・Cクラスという機材を運行していましたが、それは例外中の例外です。
 欧州と北米間における事例としてはコンコルドが最適でしょう。時間を金で買う需要があの規模で十分だったというのが現実なのです。そして金に糸目をつけない本当のエグゼクティブは「乗合」ではなくガルフストリームなどに代表される自家用のビジネスジェットを所有しているわけで、300人が相乗りする定期便には流れないでしょう。

 そうした中で、アジア発着の需要の根底がどこにあるかを考えると、それは日本を置いて他は考えられないのが現実です。もちろん中国や韓国といった諸国が今後キャッチアップする可能性は否定できません。そうであっても、日本政府が航空政策といった瑣末な話ではなく、本質的な「国策」を誤って国力を大きく損なわない限り、需要の根源が日本から去ると言うことは無いでしょう。

 そうした前提で考えると、限られた需要への対応であり、かつ日本が主たる目的地となる流動ですから、次世代超音速機が就航するとしたら成田以外はありえないわけです。逆に機材の都合で成田(日本)へは乗り換えになるというのでは超音速機のメリットが大いに減殺されるわけで、日本の計画のように成田での発着が可能な機材としてデビューすると考えるのが常識的な線でしょう。
 手段というのは目的があって初めて利用されるのであり、目的を手段に合わせることは無いのです。

 そして成田発着が可能と仮定した場合、次世代超音速機の乗り継ぎを含めた総需要は限定的であり、そうなると限られた成田の資源を無闇に食うと言うことも無いわけです。もちろん現状の主滑走路と暫定滑走路だけの状況は厳しいですが。

 次世代超音速機に疑義がある前提で考えると、国際ハブ空港が立地場所の需要如何に関わらず成立するのは、結局、航続距離の関係で直行便が飛べない拠点間輸送の寄港地ということになります。その代表はシンガポールであり、豪州・太洋州やアフリカ方面への寄港地としての位置付けになっています。

●ハブ空港のあり方
 結局は需要のある国への路線がいきおい拠点間輸送の核になるわけで、そのゲートウェイをもってハブ空港と称するのが妥当といえます。
 北海道国際ハブ空港研究会における旧運輸省運輸政策局長の講演における、「こうした中、まずは地域の需要を十分に賄える路線網を整備した空港をつくることが大切。日本の空港では、他国の客を取り込まなくても、十分な需要がある。北海道経済が厳しいと言われる中、新千歳の乗降客数は順調に増えている。自国の需要で路線の整備を図った上で、徐々に乗り継ぎ客や他国の客を増やしていくことも十分に可能だ。」という認識は極めて妥当なものであり、まずアジアにおいて「地域」の需要を十分に賄える日本におけるゲートウェイがどこなのか、それを考える尺度となるのが「地域の需要」なのです。

SKY MEETING `99国際ハブ空港シンポジウム 特別講演 「日本の航空政策について」 http://www.kirari.com/hub/lects/tomakomai.html

●日本におけるハブ空港のありかた
 
首都圏3000万人の需要を擁する成田を置いて他には無いと言うべきところ、成田空港最大の泣き所はようやく暫定滑走路が出来たというキャパシティの小ささです。
 もちろん日本には成田の他にも関空や名古屋といった三大都市圏を背景にした国際空港があるわけで、まず三大都市圏の需要含みの路線再編を行い、ハブとして育てていくのが王道です。

 ところが成田の枠空きを待つ会社がある反面、関空路線から撤退する会社が多いのです。
 このことは何を意味するのか。結局は首都・東京の政治、経済をバックにした安定した流動、つまり「正規運賃」で乗るような利用者がどれだけあるのかということでしょう。前述の7割ビジネスクラスは極端としても、パック旅行で埋まってもそれは採算の合う搭乗率ではないということです。

 こういう状況で成田以外の空港が国際空港としてやっていくにはどうしたらいいか。
 例えば中部(セントレア)になる名古屋空港ですが、ここの時刻表を見ると関空にもない南米路線が目につきます。わざわざ成田−NY−南米の路線が名古屋まで足を伸ばしているのは(余談ですがそのため関空にも無いNY行きが名古屋発で存在する)、東海地方の事業所に勤務する南米出身者が多いということから来る需要が大きいことが推測されますが、これこそまさに「地域の需要」です。
 また、アジア各国との交流が大きい九州経済圏を背景にした福岡空港のように、アジア各国への独自路線を充実させることで存在意義を見出すことも可能です。これもまさに「地域の需要」でしょう。

●そして新千歳
 
新千歳が国際ハブ空港になり得るか、これの鍵は結局は「地域の需要」ですが、実態はどうでしょう。
 残念ながら週あたりの就航数を見てもどの路線も毎日運行というレベルではなく、さらに仙台空港よりも便数が少ないというのが現実です。
 環日本海、北東アジアの連携という意味で福岡のようなポジションを占めているかというと、新潟空港がその意味では強く、中国やロシア各地への路線が豊富です。
 軍民共同空港であり、千歳基地が北方の要の基幹部隊という特殊要因はありますが、かつての仮想敵国ソ連はいまやG8メンバーとして「西側」の色を濃くしていますし、逆に今も体制的には「東側」である中国への路線はあるわけですから、防衛関係が総てとは言い難い面もあります。

 逼迫する成田の代替という位置付けであれば関空や中部があるわけで、関空や中部と一大需要地である首都圏の距離を指摘するのであれば、それこそ名古屋空港に匹敵する潜在需要があるとされる栃木国際ハブ空港計画や福島空港の活用のほうが理に適っています。
 このあたりは北海道国際ハブ空港研究会における北海道総合企画部参事の講演でも触れられているように、伊丹時代には枠が無くて就航できなかった外国航空会社が関空開港により新千歳などの地方に開設していた路線を関空にシフトしたことからも分かります。そして同じ現象が中部開港で起こることも確実でしょう。

国際ハブ空港問題セミナー 「新千歳空港国際線誘致の軌跡と今後の取組み」 http://www.kirari.com/sangaku/report/hubreport030212.html

●地方と海外間の需要をどう受け止めるか
 
とはいえ、成田をハブとした場合のネックはキャパシティもさることながら国内線=羽田、国際線=成田という棲み分けから来る羽田−成田間の乗り換えの問題です。
 暫定滑走路開業後、並み居る就航希望会社を置いてフェアリンクなどによる国内成田便が一定数確保されたのは、地方−海外の流動への対応であり、成田の利用を確保する前提においては地方からの成田便は無視出来ないと考えます。

 ここで国際線乗り継ぎを考えると、北米東海岸や欧州線対応の午前着、アジア方面対応の午後着、ハワイなどリゾート路線や豪州方面対応の夕方着の3パターンの確保が望ましいといえます。
 現行の成田路線は概ね対応していると言えますし、羽田−成田乗り継ぎの場合も羽田線の便数がこうした時間帯への対応をカバーしています。
 関空や中部の場合ももともとの国内路線によってカバーすることが可能ですが、一方で地方空港をゲートウェイとした場合、地方−地方のスポーク路線を設定しようとした場合、必ずしも国内線需要とマッチしない時間帯に不採算覚悟で設定するか、国内線の時間に合わせてもらい、乗り継ぎの時間を冗漫にするかのいずれかになります。これでは利便性が劣ってしまうので、何の為のハブかと言うことにもなります。

 結局は成田線が設定出来る幹線、準幹線クラスは成田便を設定し、それが出来ない場合は関空や中部での乗り継ぎで対応、もしくは成田−羽田アクセスの改善(2010年に「成田新高速」が開業する見通しです)といった対応がベストでしょう。

●おわりに・地方国際線の今後は
 
そもそも地方国際線は、成田の二期工事の行き詰まりや関空の開港遅れにより、増加する国際線需要を捌き切れない状態への緊急避難的側面をもっていました。
 また、2国間の航空協定における乗り入れ都市の拡大という要請において、互恵主義の観点から日本の地方空港の開放も必要となった経緯もあります。
 これには単純な乗り入れのほか、以遠権の問題もあり単純ではないのです。

 そうして出来た地方国際線ですが、外国航空会社にとっては自国権益の開放と引き換えに取得した貴重な資源のはずなのに、どうして先述の参事講演のように関空開港、また成田暫定滑走路開業により撤退されてしまうのでしょうか。それは乗り入れ都市の不均衡に目を瞑らないと採算が合わないということに他なりません。

 ただ、せっかくのリソースの活用も考えないといけません。
 上記の通り成田、関空や中部への国内スポーク路線を適切な時間帯に確保できないケースもあるわけで、そうしたケースにおける「第4のハブ」として地方国際線を介したソウルその他の他国ハブの活用は十分有り得ます。
 日本にあるべき需要に裏打ちされたハブをわざわざ他国に任せるというのは国益を大いに損ないますが、一方で国内のあらゆる需要を国内だけで賄うとしたらどこかに無理や無駄が出ます。
 そうした観点で、アジア各国が自国ハブを相互に開放し、お互いの弱点を補う活用をすることでアジアの国際線をより便利にするという調整は今後の課題でしょう。

皆さんに質問
 
投稿者---THE-Q氏(2003/09/02 00:34:52)

 結局、ハブとして相応しくない空港、建設・拡張計画を中止した方が良い空港はどれだと思っておられるのですか?

シンガポールを参考に
 
投稿者---じょりびい氏(2003/09/04 02:22:42)

 はじめまして。本ツリーを大変興味深く拝読させて頂いています。
 以前、シンガポールに在住していた経験から、所感を書かせて頂きます。詳細な数値を元にして書いている訳でないので、誤りがありましたらご容赦ください。

 シンガポールの人口は300万強で、大阪06地域(大阪+尼崎+東大阪)と同規模ですが、チャンギ空港の利用客数は成田を上回っています。その背景には、オセアニア〜欧州間の中継点(北米〜アジア間における成田と同様)、インドを含めた東南アジア域内の乗り継ぎ空港の2つの意味でのハブ空港としての成功が大きく寄与していますが、それと同様に旺盛なシンガポール地域内の航空需要もまた見逃せません。
 シンガポールには外国人が約100万人在住していると言われており、その半数は近隣諸国やインド、中国等からの出稼ぎ者、残り半数は日本を含めた外資系企業の駐在社と家族といったところ。そのどちらもが、年に数回は航空機を利用して母国と行き来する層です。
 また、シンガポールに拠点を置く企業の多数は、シンガポールを東南アジア、又はアジア・オセアニア全体の地域本社としており、駐在者は本国と頻繁に行き来しつつ、シンガポールをベースにしてオーストラリアへ、インドへ、タイへと飛び回っています。
 こうした層の存在が、チャンギの利用客の多さにつながっています(航空需要を考えるとき、地域人口だけでなく、外国人人口の多さや、海外部門を置く会社数、外資系の地域本社数といった「航空ヘビーユーザー人口」も考慮すべきではないでしょうか)。
 シンガポールの給与水準や生活コストが周辺国と比べ数倍高いにもかかわらず、多くの海外企業がシンガポールに地域本社を置いている背景には、

  1. 海外企業、特に地域本社や輸出目的の工場に対する税制優遇

  2. 高学歴な人材が豊富で、優秀な現地スタッフを確保しやすいこと

  3. 治安・住環境の良さ

  4. 空港・航空便の便利さ

等があります。1.の税制優遇は、マレーシアやタイ等も行っていますが、2.3.4.等をあわせて総合的に考えると、多少コスト高でもシンガポールに軍配が上がるようです。
 これらシンガポールで成功している点を取り入れ、「日本支社」や「アジア本社」を置く企業を誘致することが、千歳ハブ化への道、ひいては北海道経済活性化への道かと思います。

札幌にシンガポールの事例をあてはめてみると、

  1. 税制や制度面は現行では不可ですが、「特区」活用や、今後の財源や権限の地方移管とあわせて考えたら、地域振興策として可能になるかもしれません。

  2. 人材という点では、北大を初め多くの大学があり、文科系、理科系とも人材は豊富

  3. 治安は言うまでもなく良いですし、住環境も寒冷地ではあるものの、「転勤したい都市」に名を連ねることが多い等、魅力あると言えるのでは。東京や香港などの過密都市と比較すると、広い住居を求める欧米人には魅力的かも

  4. 航空便の便利さについては、現在欧米路線は皆無に等しいですが、北米航路が近くを通っており、欧州航路も小樽西方を通っているわけで、航路が開設されれば、東アジアでもっとも欧米に近い大都市になることが出来ます。この点は、本国と頻繁に行き来する必要がある欧米系外資企業にとっては、アピールになります。中国・極東アジア・朝鮮半島への距離も近いので、域内路線が開設されれば、既に便がよい日本国内各都市に加え、東アジア〜欧米の結節点としての機能を果たすことが出来るようになり得ます。

 結局の所、空港の発展と地域の発展は車の両輪のようなもので、具体化のためには双方をバランスよくあわせた絵を描く必要がありますが、千歳はハブ空港として成功する見込みはあると思います。

ハブの地勢上の地位
 投稿者---つくばっこ
(2003/09/10 02:15:47)

 直接関係あるかどうかわかりませんが、ハブ論で地理上の優位性などが述べられていますが、これは過大評価ではないかと思い始めています。

 例えば新千歳ハブ論ですが、対米の北太平洋航路とは数十キロずつ離れて平行に5本ほど設定されているわけですが、実は「相当」北海道の東南側を通っています。おそらく、南側の2−3本を使う場合、成田の方が北海道の西よりに位置する千歳より近く、千歳周りはかなりの無駄であると思います。

 また、5本の空路は気流や天候の状況やトラフィックの混雑、燃料経済性などでどこを通るかある程度融通があるわけですが、千歳に降りると決めてしまった段階でこの自由がかなり制限されてしまいます(南側の空路を使うと相当遠回りになってしまうから。これは経済合理性の足をひっぱりかねない)。

 アメリカ国内線のハブを見ていると、ハブの地勢学的条件はあまり大きくないように思います。航空会社によって選ぶハブは異なるために当然地勢上の条件はかなり違うのですが、これが例えば営業成績にはつながってきてないように思います。貨物のフェデックスなどは、西海岸間の貨物でも一度メンフィスに集めますが、それでも十分やっていける。それは、地勢上の欠点をカバーできるだけのシステムの経済合理性があるからですね。

 飛行機はかなり空間を自由に飛びますから、もう少し巨視的に見る必要があると思います。対ヨーロッパにしても対アメリカにしても10時間近くあるいはそれ以上かかる距離があるわけで、例えば短時間の対アジアなどに比べると、時間差のメリットは埋もれやすい。1日かけて旅行しようという人なら、例えば羽田・成田間の乗りつぎが面倒でも、全体のトリップ時間の中での比率は相対的に下がり、対アジアの旅客よりは飲みやすくなっているわけです。そんなこんなを考えると、対欧、対米での千歳の地理的優位性とは、巷に言われるほどではないでしょう。ないといってもいいかもしれない。

 まとめると、ハブを考える人は、地勢上の優位を過大評価するきらいがあると考えています。それは確かに要素のひとつで無視はできませんが、そんな優位など考えないで、どうやったら乗り継ぎ需要などに魅力ある環境を提供できるか?を考えることが、実際には重要じゃないかと、僕は考えています。

ホットな地域ゆえの「当事者の柔軟な発想」に敬意
 投稿者---551planning(2003/09/23 23:29:16)
ホットな地域ゆえの「当事者の柔軟な発想」に敬意
└Re:ホットな地域ゆえの「当事者の柔軟な発想」に敬意
└「ミニハブ」への期待
 └大いなる可能性に不釣合いな現実

 なるほど、という現実的対応です。

那覇乗り継ぎで中台間運航、中華と中国東方航空 (日経09/23)http://www.nikkei.co.jp/…

 台北−那覇線の中華航空(CI 毎日運行)、上海−那覇線の中国東方航空(MU 週2便→3便化)の時刻をそれぞれ修正、乗継時間を1時間とし、将来的には毎日運行にする予定。従来は香港やマカオ経由だったのが、時間短縮(全行程約4時間半)というメリット追求の那覇経由なのだとか。
 CIは中国参入を目標に中国側航空会社への投資も実施するなど、将来の中台間直行便への布石を着々と行っているとのことで、とかく政治的にはホットですが、まさに柔軟な展開といいましょうか。

※それにしても、良く韓国系航空会社の地方空港浸透が云われるところ、何気にMUも入ってきているんですね…まさに上海浦東ハブ会社、改めて勉強になりました。

中華航空 http://www.china-airlines.co.jp/index.htm
中国東方航空 
http://www.chinaeastern-air.co.jp/

 那覇空港は大規模免税店も構える国内線ターミナルが整備されたところ、国際線ターミナルの貧弱さについても指摘されているところの由、まさに大航海時代の中継点としての繁栄を想起させるような話に乗っからない手はないのでは?…まぁ当方現地を知りませんので、機会があれば…と密かに思っているところですので、乞う御期待?

Re:ホットな地域ゆえの「当事者の柔軟な発想」に敬意
 
投稿者---TAKA氏(2003/10/03 18:20:01)

 管理人様今晩は、大変な遅レスですがコメントさせて頂きます。

☆ 正直言えば、中国人は「建て前と本音」を使い分ける民族です。名目的には対立的な関係で有れども、現在の状況を考えると政治的な物は別として、経済的には中台間は既に密接不可分の関係です。
 しかし政治的には中国に極端に接近する事で中国に飲み込まれる事は避けたい台湾(本来は中華民国だが此処では便宜上台湾と称します)の陳水扁政権にしてみれば、三通(通信・通商・通行)の無制限自由化は行いたくない。しかし中国市場とその生産拠点を失えば台湾経済は一発で失速というジレンマの中で現実的に何が出来るかというのを民間(中国に「民間」という概念を用いて良いのかは疑問だが)で両政府暗黙の了解の下行った結果が、乗り継ぎの利便性向上による中台間の連絡強化という事です。
 まさしく「現実的対応」と「阿吽の呼吸」という世界でしょう。これこそ中国人の真骨頂でしょう。朝鮮半島ではこうはいきません。

 従来は香港やマカオ経由だったのが、時間短縮(全行程約4時間半)というメリット追求の那覇経由なのだとか。

☆ 中台間の地理的関係に対する沖縄の場所のメリットを生かしたという事でしょう。確かに華南や四川地域へは香港・マカオ経由の方が地理的には近いですが、政治・経済の中心の華北・華中地域へは、香港・マカオは沖縄に比べ遠回りになります。今や中国の中心は華中・華北へ移動しています。そう考えると沖縄乗り継ぎというのはメリットのある話でしょう。
 只中国本土〜沖縄間で単独の需要はそれほど期待出来ません。そうなると台湾〜華北・華中の大都市間の乗り継ぎとしては、沖縄が有利と言う事になるでしょうが、中国各都市と香港間の航空路の多さを考えると、今後とも香港乗り継ぎがかなりのウエイトを占め続ける事となるでしょう。対香港で有れば台湾〜香港・中国各都市〜香港でも十分デイリー運行をするだけの需要が単独で存在しますから・・・これは大きいでしょう。

 CIは中国参入を目標に中国側航空会社への投資も実施するなど、将来の中台間直行便への布石を着々と行っているとのことで、とかく政治的にはホットですが、まさに柔軟な展開といいましょうか。

☆ 私は別にCIが中国本土に進出する障害は中国には存在しないと考えます。その障害は台湾内特に政権内と与党民進党内にあるだけです。中国は三通を望む立場ですから、その足がかりにCIが本土に間接的にでも進出する事は悪くはない事です。
 中国としては国営航空であるのでキャセイやドラゴン航空の様に資本参加は出来ないにしろ、国際・東方・南方の基幹3社が中国の国有管理下に有れば、別に零細エアラインがCIに取られても大勢に影響有りません。
 ましてやCIは国民党に近い存在ですから、中国にしてみれば民進党に近いエバー航空(親会社のエバーグリーンの会長は陳水編政権のスポンサーで民進党に近い)が中国に乗り出すより全然受け入れやすい話です(中国(共産党)が長年対立の国民党の方が受け入れやすいと言うのは歴史的背景から)。
 政治的に越えてはならない一線(=台湾独立)を越えない限り、又自分にメリットになり面子が潰れなければ柔軟に対応というのは中国人の持つ特色です。

 それにしても、良く韓国系航空会社の地方空港浸透が云われるところ、何気にMUも入ってきているんですね…まさに上海浦東ハブ会社、改めて勉強になりました。

☆ この前のハブ空港の議論ではありませんが、上海の持つ経済力は今や香港をしのぎます。ソウルと比べてもそれ以上である事は疑う余地もありません。上海の都市としての経済力・後背地域である華中地域(南京・蘇州等)の経済力・浦東国際空港の設備等、上海浦東空港が東アジアのハブ空港たる要素は十二分に備わっていると考えます。
 今後は特に西日本地域で地方空港でのソウル便以上に上海便が増える事は十分あり得ます。対ヨーロッパ・アジアを考えれば九州では成田より上海の方がハブ足り得るという時代が来るかもしれません。

 那覇空港は大規模免税店も構える国内線ターミナルが整備されたところ、国際線ターミナルの貧弱さについても指摘されているところの由、まさに大航海時代の中継点としての繁栄を想起させるような話に乗っからない手はないのでは?

☆ これはどうだか・・・確かに沖縄は東アジア地域と東南アジアを結ぶ十字路の地域です。しかし沖縄の経済力は余りにも貧弱すぎます。空くまでも中継だけで生きていくというのは難しいでしょう。香港とてその都市の持つ経済力が中継点たらしめているのです(歴史的に見ても香港は中国のゲートウェイですし、経済的にも今でも中国の外への窓口です)。
 その点が沖縄にはない。観光と言っても限度がある。その様な状況で、中台間の「三通問題」という政治的な要因が、ただならぬ中継点ブームを起こしているだけであり、中台間の「三通」が認められれば、沖縄は又ローカルな地域に逆戻りする事は十分考えられます。
 ですから安易にブームに乗り浮かれた事をすべきではありません。空くまでも基礎となる経済の発展が、今の沖縄に取り繁栄に一番必要な事であると考えます。

「ミニハブ」への期待
 
投稿者---とも氏(2003/10/19 00:21:02) http://town-m.vop.jp/

 ともです。

 まぁ考えたモンです。
 以前から福岡乗継などは見られていましたし、案外中国国内の就航都市が少ない香港をカバーしていたのは成田や香港−深セン海路・陸路継走でしたからそれに追加する新たなルートとして期待をしておきましょう。

 那覇・沖縄の場合、その観光集客力は東アジアでも「眠れる獅子」であるのは間違いありません。東アジアからは「近場の秘境」、欧米からは「未知の秘境」としての存在とされている現状を考えれば、アクセス向上とともに、ビーチリゾート・ネイチャーリゾートとして幅広い年齢層を受け入れる地上側の整備さえ整えばリゾートとして発展する可能性は捨て切れません。その付帯的な移動ニーズとして東アジアローカルtoローカルネットワークにおけるミニハブになる可能性はあります。

 このようなリゾート地におけるその立地を生かした結節機能を有する典型的事例としては、南米・オーストラリア・ハワイ・北米・ポリネシア・メラネシアの結節点として機能する仏領ポリネシア(タヒチ)のパペーテや同じく政治的な制約からネットワークに問題が生じるカリブ海におけるキングストン(ジャマイカ)、カンクン(メキシコ)、ケアンズ(オーストラリア)、デンパサール(バリ島)のように経済規模は小さいものの旺盛なリゾート需要により路線ネットワークが維持され、それによりローカルに近いビジネス需要や都市間流動需要等を加えることでさらなる安定を図るという考え方もできます。逆説的な言い方ですが、これができれば、台北・上海・香港などからの利便性を、仮に三通がされようがなにしようがある程度保つこともできます。
 現に台北からは沖縄へはチャーターを含めれば日4便は就航しており、さらに香港などからのチャーターも日常的です。日本の代表的観光地吸収へのゲートウェイの一つにもなりますし、長崎や福岡とセットでの観光流動も期待できます。これらを単に観光だけではなく、広くさまざまな方法で活用してもらうことで路線の安定を図ることも考えられましょう。

 那覇にはDFSも出店し、やんばるの世界遺産登録(遅れていますが・・・)も考えられています。離島のビーチは海外のビーチに劣らぬすばらしいものですし、韓国や台湾・香港からの観光流動の増加も既定の事実としてあります。そういった「目に見える経済力」「データとしての経済指標」以外での沖縄の集客力は侮れません。こういった点をも含んだ視点で今回の事象を見ていくと、「小さくともキラリと光る」結節機能を有する空港になりうるかもしれません。

 そのためには・・・那覇空港の拡張は本気で考えてもよい時期に来ているのかもしれません。

 まとまりませんが。ではでは

大いなる可能性に不釣合いな現実
 投稿者---551planning(2003/11/09 19:51:25)

 「眠れる獅子」という表現、いいですね。当方も純粋に見て沖縄の持つ大いなる可能性に魅力を感じるのですが…。
 さて、別掲の通り、先日那覇周辺を駆け巡って参りました。那覇空港国際線ターミナルも立ち寄りましたが、あまりの現実に…。

2003・11ゆいレール&那覇都市交通調査オフ備忘録 ../report/048.html

 とその前に、MUも10月下旬からデイリー運行となっており、下記のような乗継パターンが完成しています。

上海(浦東)   沖縄   台北
16:00
20:50
→(MU287)→
←(MU288)←
19:00/20:05
19:50/18:45
→(CI123)→
←(CI122)←
20:35
16:30
※上海・台湾ともに日本との時差1時間、よって総時間はそのまま4時間半程度(那覇発着時刻を-1時間すると判りやすいかな…念のため)

***
 それにしてもターミナルビルは驚きました。たまたま行った時間が朝方、台北線の搭乗手続き中で活気がありましたが、1便だけで結構な混みように映るくらいの手狭さ。これで定期でデイリー2社3便、週で4社計28便を受け入れているのですから。ちなみに構内店舗はブルーシールアイスクリームのパーラーと土産物屋がある程度で、果たしてトランジットの場合は…とつい気になってしまいました(なんでもロビーすら満足にないとか…)。

国際線ビル移管・名実ともに誇れる“玄関”に(琉球新報社説06/27)http://www.ryukyushimpo.co.jp/…
空港管理一元化 国際線ビルの整備急げ(沖縄タイムス社説06/27)http://www.okinawatimes.co.jp/…

参考)4億円でビルディング社に譲渡/那覇空港国際線ビル(琉球新報06/26)http://www.ryukyushimpo.co.jp/…

 御承知の通り本土便も「国際線」だった時期もあったわけですが、順次移転整備を繰り返しつつ長らく県内便と計3ターミナルだった時期を経て1999年に現在の新国内線統合ターミナルが完成、今回利用してみてもなかなかの利便性を感じましたが、それだけ余計に国際線ターミナルがショボく見えてくるのもまた事実、さらには上記記事のような紆余曲折もあっての現状、ともあれ管理者一元化をきっかけにどのような展開をしてゆくかが当面の注目点でしょうか。

 「目に見える経済力」「データとしての経済指標」以外での沖縄の集客力は侮れません。こういった点をも含んだ視点で今回の事象を見ていくと、「小さくともキラリと光る」結節機能を有する空港になりうるかもしれません。

 別スレでTAKA様が御懸念されている沖縄を取り巻く(経済)状況も、周辺地域の特殊情勢をも見据えた中で一過的ブームに過ぎないと捉えるかチャンスと捉えるかは確かに難しいところはあろうと思います。ただし現状はというと、とも様も挙げられているDFSの2005年那覇新都心出店にも繋がった沖縄振興特別措置法の制定や更なる特区構想による活性化によるもきっかけのひとつになり得るかと。そこでそれをどのように活かすかこそがポイントであって、その中におけるまさに玄関口たる空港施設の強化のウエイトは重くあるべきと当方は考えます。

DFS http://www.dfsgalleria.com/Galleria/Japanese/Okinawa/Okinawa_Destination_Home.html

 そのためには・・・那覇空港の拡張は本気で考えてもよい時期に来ているのかもしれません。

 実際に行って痛感するのが空域の状況、さらには離発着の多さです。行ったからゆえにたまたま注目してということはありましょうが、半日常的?とも受け止められる事案が下記記事のように最近も相次いでいます。米軍空域とのバッティングはさておき、滑走路1本でセスナ級から民間ジャンボ・自衛隊まで扱うのはやはり重かろうと…。

油漏れ滑走路閉鎖/那覇空港 空自機、着陸衝撃か(沖縄タイムス11/05)
http://www.okinawatimes.co.jp/…
日航機からニアミス報告=米軍機か、那覇空港付近−衝突防止装置が作動(時事11/07)
http://headlines.yahoo.co.jp/…

 そこで拡張を巡る実状はというと、地元では長らく沖合展開が叫ばれてきたところ、県による拡張構想提示と一昨年の那覇空港拡張整備促進連盟設立を経て、ようやく昨年12月の国交省交通政策審議会航空分科会答申で将来逼迫性による抜本整備の必要性というお墨付きを得て、今年9月に那覇空港調査連絡調整会議が設置されて漸次検討という段階に入ってはいますが、遅々という印象は拭えません…といってもどうしても国頼みとなってしまう沖縄政経情勢の現実がここにもある、というわけですね…短期的側面では自衛隊移転による民間空港化も求められているところひとつとってもなかなかに難しい問題でもあり、今後も粘り強い進展に期待するほかなさそうなところは歯痒いばかりです。

那覇空港拡張整備構想---パシフィック・クロスロードの実現を目指して--- http://www.pref.okinawa.jp/sinkou.html
今後の空港及び航空保安施設の整備に関する方策について http://www.mlit.go.jp/singikai/koutusin/koku/toushin.pdf
那覇空港調査連絡調整会議について 
http://www.dc.ogb.go.jp/kyoku/information/nahakuukou_H151007/nahakuukou.htm

 ともあれ、個人的には50年100年先の沖縄のあり方から見た空港政策というものもより強く求められてくるのではないか、と感じるのですが如何でしょうか…ただなんにせよ現実を目の前にして出来得る早急な対応策の遂行、すなわち国際線ターミナルの整備・国内線ターミナルとの一体化を願いたいところです。

2004.11.14 Update


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