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【検証:近未来交通地図】Special024
若狭路の「交通革命」を見る
(2003/03/16)

 本投稿は、【検証:】掲示板でもお馴染みの、エル・アルコン様より当BBSに御投稿頂きました文章を、読みやすく構成させて頂いたものです(なお一部文面を編集しております)。なお、文中一部写真はエル・アルコン様に所有権帰属となります。

 なお、【検証:】では掲示板投稿に限らず広く皆様からの御意見・レポート等を御紹介致します。自分ではホームページを持っていないけれど、意見が結構纏まっている…という貴方、各種ご相談に応じますのでお気軽に管理人までどうぞ!

下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。

小浜線=エル・アルコン様撮影

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 3月9日、舞鶴道が小浜西まで伸び、名称も「舞鶴若狭道」となり、15日には小浜線が電化されました。その開業景気に湧く若狭地方に15日、早速行ってきました。欲張って両方体験しようと、クルマを使い舞鶴若狭道で小浜入りして、小浜−上中を125系で往復しました。

 せっかくの試乗なのにお天気がさえず雨が残る舞鶴若狭道へ。9日の延伸と同時に綾部と舞鶴西のETCもスタートし、全ICで使えます。綾部PAまで4車線区間も延びて快調ですが、通行量は少ないです。綾部JCTで綾部宮津道を分けますが、2日に宮津天橋立まで開業しており、丹後方面の交通は大きく変わった感じです。
 新規区間はトンネルが多く、JR小浜線ほどの景色も期待できず、対面通行でもあり余り良い評価は出ません。しかし、敦賀まで開通して北陸道とつながった時の重要性は大きく、それくらいは我慢ということでしょう。

 小浜西で降りてR27を約8kmで小浜市街。R27を外れて駅に向かうと、駅前は電化開業イベントの真っ最中で賑わっています。駐車場に車を止めましたが、結局上中までという短距離利用でも無料になるシステムでこれは地元には重宝でしょう。駅舎に入ると地元と「鉄」で混雑。
 ちょうど臨時延長された京都行きの特急「まいづる4号」が発車待ち。カメラの放列は敷かれますが、車内は結局20人程度で出発。行きの1号はともかく、土曜の昼前の発車では利用のしようも無いというのはあります。
 お目当ての125系敦賀行きは、小浜行きで到着した編成がそのまま直通。単行で到着時も発車時も相当な混雑。上り列車が遅れたため13分遅れになりましたが、交換があり、交換箇所の変更をかけていないようなので、ひとたび遅れると全列車へ同程度波及します。

 折り返した上中もイベントの真っ最中。「今日は小浜線の電化の日」といいながら、舞鶴若狭道の延伸も触れており、地元には外せない話題のようです。
 帰りの電車は2連ですが、こんどは座れるほどで、立つ客もそこそこいますが、「鉄」や地元の試乗を除外すると、結局は単行でいいのかもしれません。座席定員わずかに31名では、昨日までの気動車と比較以前のサービスダウン、そもそも2連つないでも気動車1両にも満たないのですからひどいと思ったんですが、開業日でもそういう状態があるとなると日頃はそれでことが足りるということでしょうか。

 125系の車内で注目の中扉準備工事箇所は居住性がいまいち。座ると窓が遠いし、足下が「空きすぎ」なんです。あと、座席番号で7番が無いのは何故でしょう。バリアフリー対応のトイレが大きくのは仕方が無いとは言え気になりますし、連結運転時の運転台周りの通過が屈曲しており、空いている次位車両への誘導がしづらいのも気になります。

小浜線=エル・アルコン様撮影

 気になったのは、地元の方から「珍しく混んでる」「座れない」といった感想が出ており、1日乗車券にスタンプラリーと集客に務めたのはいいが、「電車になって混む」という認識を与えてしまっては将来的に列車離れにもなりかねません。「鉄」独特の光景も霞むほどの地元の動員が多かったのですが、それだけに初日くらい最大限に増結して「電車になって良かった」という印象を持って帰ってもらうことは出来なかったのか。余談ですが、地元の高校生が結構熱心に写真をカメラや携帯で撮っており、女子高生も携帯で撮ってたりするのには驚きました。

 後に小浜市役所を通ってびっくり。「祝 大願成就」と書かれた幕が庁舎の側壁の大半をおおっています。電化して特急も臨時ながら来ました。高速も来ましたと、盆と正月が一遍に来た騒ぎですから気持ちは分かります。そういえば開業記念のポスターにサトエリを起用と気合いが入っています。
 駅でのイベントもそうですし、試乗しに来た地元の方の数もそうでしょう。今回の電化に対する感心の強さを図らずも実証した格好で、今後はこの熱意をどう持続させるか、また京阪神からどう集客するかでしょう。

 通過流動対応の使命が重くなるであろう舞鶴若狭道と異なり、若狭湾沿岸関係の集客に総てがかかっているわけですから。
 ましてや電化費用を沿線自治体が負担しているだけに、地元の利便性、観光振興の両面から多大にコミットしていく必要があります

小浜線電化っていったい...
 投稿者---エル・アルコン氏
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs
─Re:小浜線電化っていったい...
 └Re:小浜線電化っていったい...
  └Re:小浜線電化っていったい...

 昨日の新聞に、9月14日から10月13日まで開催の「若狭路博2003」の広告が出ていました。
 小浜市を中心とした若狭湾周辺を舞台に「交流・活力、そして未来の創造」をテーマにして開催されるこの地方博、今春の小浜線電化、舞鶴若狭道開通が契機であることは言うまでも無いでしょう。

 さて、広告で気になったのはアクセスの案内です。
 自動車利用の場合、開通なった舞鶴若狭道経由を案内しているのは当然として、鉄道利用のそれが電化なった小浜線経由ではないのです。
 もちろん名古屋、東京方面からは敦賀経由小浜線ですが、大阪からのそれはなんと近江今津からJRバスというルート。もちろんそれが一番速いということもありますが、せっかく電化して乗り換え無しになったというのに、生かしていない様が気になります。
 大阪からのアクセスとしては9月開業予定の高速バスが早くも上がっており、こちらは舞鶴若狭道開通による変化を生かしているというのに。

***
 気になって若狭路博2003の公式HPを覗いて見ました。アクセスの項目では大阪から3時間の所要として小浜線経由もメニューに上がっていますがやはり弱いです。京阪神からの直通は季節運行の京都発着の特急「まいづる1号、4号」だけで推移しており、小浜市役所HP掲載の臨時列車情報でも、京阪神からはこれだけです。
 おまけに設定時刻も相変わらず昼前に小浜に着いてのとんぼ返りでは使い勝手も最悪で(日帰りには全く使えない、宿泊には往路が早過ぎる)、ただ延長しましたというような列車です。
 逆に北陸方面からは富山からの臨時特急「若狭路博号」、福井からの臨時急行「若狭路号」(往路のみ)、そして敦賀からの「若狭路快速」とこちらは手厚く、小浜線電化の位置付けと使われ方が透けて見えます。

 近江今津ルートは新快速継送で確かに関西人にとっては受け入れやすく、かつ新快速からバスというコースゆえ近く感じるというメリットもありますが、せっかくの電化、こういうイベント時にはもっと京阪神方面から直通があってもいいと思います。それこそ、大阪発福知山・舞鶴線経由小浜行きの「若狭路快速」とか、「きのくにシーサイド」使用の観光列車の設定とか考えられますが、沿線でのイベント時でこれでは、少なくとも京阪神からの入りこみに今回の電化を商売のネタにする気は無いようです。

若狭路博2003 http://www.wakasajihaku2003.jp/index.html
小浜市役所 http://www.city.obama.fukui.jp/news/20030807.htm

Re:小浜線電化っていったい...
 投稿者---THE-Q氏(2003/09/01 19:46:51)

 大阪からのそれはなんと近江今津からJRバスというルート。もちろんそれが一番速いということもありますが、

 このバスが通るルートって、最近拡幅されたばかりの道路じゃないですか?

Re:小浜線電化っていったい...
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/09/01 20:28:30) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 このバスが通るルートって、最近拡幅されたばかりの道路じゃないですか?

 これは福井県の上中町と滋賀県の今津町を結ぶ区間(国道303号線)です。
 実は4月に上中から今津に向けて走ってますが、完全2車線の走り良い道ではありますが、いわゆる普通の山あいの道でして、最近拡幅したという感じでは無かったですね(道路管理者である滋賀県や福井県のHPでも最近の改良の記録が無い)。

 余談ですが、このルートでそのままクルマで京阪神に向かおうとすると、湖西のR161が新旭付近ではまり、その先も対面通行に高い通行料を払った湖西道路の終点から京都東ICにかけてがはまります...

湖西ルートの問題点 ../../highway/log523.html

Re:小浜線電化っていったい...
 投稿者---THE-Q氏(2003/09/01 21:42:26)

 微妙ですね・・・。
 ここには数年前に行ってるんですよ。
 さらに言うと、当時はちょうど拡幅中で、センターラインも無いような場所が一部区間残ってたような気がします。
 この記憶が確かなら、拡幅されたことは確定なんですけど、何せ数年前の記憶。
 しかも、記録が無いとなると・・・。

 余談ですが、このルートでそのままクルマで京阪神に向かおうとすると、湖西のR161が新旭付近ではまり、その先も対面通行に高い通行料を払った湖西道路の終点から京都東ICにかけてがはまります...

 約束ですね(^^;;;


転換クロスシート「神話」崩壊 (ロングシート=悪の構図と「鉄道離れ」)
 投稿者---551planning(2003/05/10 02:42:25)
─バリアフリーとその代償
 └701系の事例よりも論点は明白では
  └鳥取県内高速化事業向けキハ121から見てみる
 └125系増席工事成る…気になる「中扉」付近は?

 この投稿自体は思いつきに過ぎず、客観的論証の必要性を認識してもおりますが、あえてそれを明記しません。危険な「かほり」を感じ取られる方もいらっしゃるでしょうが、あえて。

***
 やはり、というところである。

JR小浜線電化から2カ月 新型車両、座席減で不満の声(05/09毎日)http://headlines.yahoo.co.jp/…

 3/15のJR-W小浜線電化については、【検証:】でも既に当日のレポートを投稿して頂いているが、その中でも『試乗を除外すると、結局は単行でいいのかもしれません』と言及されていたが、実際のところはそうは甘くなかったということだろうか。
 記事中にある通り、先代のキハ53(50席)から125系(31席)と実に3/5の現着席定員減。さらにいえばディーゼル時代は2両以上の連結運行が主であったと記憶するだけに、行政・政治で問題視されていることからして、よほど利用者からは「席のないクルマ」と思われているに違いなかろう。
 その意味ではJR-Wの認識『イベントにより集客が見込めるならば』との素っ気無さにも驚かされた。

 ここでの問題点は、まさしく「着席提供の重要性」評価といえよう。いくら転換クロスシートといえど、座れる担保がなければまさしく「鉄道離れ」の遠因となると、この記事から導き出すことは危険すぎるであろうか?
 ここで思い出すのが、JR-Eが秋田地区を皮切りに701/E127系を導入した際に巻き起こった「(地方圏輸送における)ロングシート不適論」である。結論は急激な編成車両数の減による着席定員の大幅減少にあるはずが、非日常的利用においての「郷愁」ともいうべき「汽車旅幻想」から語られることでややこしくなったのではなかったか…もっとも、ゆえに「観光路線」とされるところではボックスシート併置という結果まで生まれることにもなったわけだが。
 125系は俗に言う「転換クロスシート」であり、京阪神地区のイメージリーダーカーの221/223系の亜流というべき車両。これまで地方圏では主に「都落ち車両の衣替え」で対処してきたJR-Wにとっては、次世代の地方圏用車両といっていい果敢な投資として「その筋」からは評価されそうなところであるが、やはり単行ばかりでは限界だったということになろうか…しかし当方はやはり「転換クロスで評価されなかった」現実を率直に考えるべきであると考える。

 増結して、あるいは増便して、と考えるのは容易い。しかしJR-Wとすれば「現有需給は賄えられる」と判断した結果であろう。その裏付けは通学対応として113系4連編成の改造が行われたことに見えよう。
 単行運転車両としての機動性・効率性を追究しての125系誕生であれば当方は手放しで評価したい。さらにはその中にあっての居住性追求として「転換クロス」を導入したことについても素直に好感を覚える。ただやはり「コストダウン追求」が現代企業により求められているとする観点からは、若年層の車内モラル対応までをも提案した-Eの701系のコンセプトにより秀逸さを感じさせられるといえまいか。
 無論、-Eも701系導入によってかどうかはともかく、地方圏での鉄道利用人員が減ってゆくという事実への言及を忘れてはならない。しかし今回の小浜線は地方交通線、たまたま沿線の財源が比較的豊かゆえに…という「電化」の意義をも考えるとき、「ローカル線問題」がさらに深度化しつつあるということを強く認識させられるものに感じてしまうのである。

***
 こんな日にこんな発表も…

JR西日本、人件費減で経常利益が過去最高(05/09日経)http://www.nikkei.co.jp/news/sangyo/…

バリアフリーとその代償
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/05/11 01:42:15) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 交通機関のバリアフリー対策の最大の泣き所が、車両をバリアフリー対応にした時、座席定員が著しく減少するということです。
 いうまでもなく車椅子の通行や取り回しスペースを確保するために、椅子その他のものが無いフラットな空間を用意しないといけないこと、また床面を下げる必要がある場合、これまで床下に収納していた機器等が客室内に現れ、デッドスペース化するということです。

 増結対応が難しい路面電車の場合は深刻で、松山の伊予鉄に導入された2100形の場合、拙レポートにもあるように、座席定員が大きく減少し、それを補償しようとするとデッドスペースを取り込んだ居住性の悪い(出入りしづらい)座席とならざるをえないという問題があります。

いよてつ駆け足見聞 ../../topics/neotrans/log357.html#2

 もちろん小浜線のようなケースは物理的問題が無いので増結すればいいのですが、一方で551plnningさんが引用された拙レポートにも書いた通り、開業当日の2連運行では、開業イベントなどがある沿線の中心都市小浜到着時点で座席定員程度という現実もあり、通常時を考えると相当期間は使われない車両の増備につながる全面的な増結を単純に訴えるには苦しく、可能な範囲での増結が落とし所でしょう。実際、記事内でも「恒常的不足」を匂わせる感はあるものの前面に押し出すまでには事態は至ってないようで、「若狭路博」というイベント対応への懸念となっており、その場合は一過的な対応でも代案になり得る気もします。
 また、導入された125系は将来の3扉化を考慮した設計ということで、扉増設用のスペースの座席が中途半端に間隔が空いており、通常の設計であればあと1列3席が増やせるはずです。このあたりは「ケチ」が招いた点は否めません。

***
 車椅子利用のケースはともかく、お年寄りなど歩けるが足腰の弱い方への対応として見た場合のバリアフリーとして考えた場合、低床化による乗降の平易化と引き換えになる座席減少が本当に受け入れられるのか。例えば車椅子にしても、乗車位置を決めて最小限の空間を確保し、あとは通常の室内構成にするといった障害者、健常者の両方に目配りはできないのでしょうか、車椅子スペースに名を借りた体のいい立客スペースとしか思えないような設計も多く見られるのも気になります。

 世に言うバリアフリー対応に「反抗」しているケースとして、岡山の宇野バスの例があります。タイヤ径を小さくして車高全体を下げることで、ツーステップながら床面までの段差の高さを低くしています。
 これにより車内の突起物が少ないことで、座席定員は30人以上確保しており、ステップを我慢すれば座れるというほうを選択し、実際、その旨を謳っています。

 「バリアフリー」によって失うものが「バリアフリー」の恩恵を受ける側にとっても重要なもの、いわんや優先順位が高いものではないのか、昨今の整備には形から入ったバリアフリーも多々あるような気がします。

701系の事例よりも論点は明白では
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/05/11 01:47:35) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 関西私鉄に関する西尾さんの書き込みにも絡む話ですが、125系への批判を(転換)クロス「神話」の崩壊とするには早計ではという気がします。

関西私鉄の良く言えば模索,悪く言えば… ../../topics/traffic/log108.html#4

 首都圏のように、設備面での限界に達してしまい詰め込まざるを得ない環境でない限り、ロングシートと(転換)クロスシートの「居住性における優劣」についてはある意味結論が出ていると断じてもいいと考えています。
 もとより、附加料金を取るサービスにおいてロングシートを優先的に充てているケースが無いという時点で、クロス>ロングのコンセンサスがあるということは言うまでもないでしょう。
 その例外としては明治期など車両限界が小さく、ロングシートの方がゆったりした配列が可能だった時期と、夏の臨時列車として冷房車であることを優先したかつての京急の海水浴臨時くらいしか見当たりません。

 西尾さんの書き込みにもあるように、関西私鉄では転換クロスシート導入やロングシート化にあたっての逡巡が見られますが、「混雑」という要因を別とすれば、時刻表に転換クロスである2扉車運用を明記することで狙い乗車も見られる阪急京都線、駅で配布の無料刊行物に会社別(=必ず(転換)クロスが入る)の運用入りの時刻表を掲出したばかりか、明らかな狙い乗車の発生に新造車のみならず在来車の改造で転換クロス車を増やしている阪神、LCカーの増備が続く近鉄を見ると、一般的な嗜好が何処にあるかは明らかです。
 また、転換クロス車運用の新快速と、ロングシート運用の多い路線では時間距離で見た利用半径に差があるとしか思えない現象や、そうした路線では料金を払ってでも特急列車に乗車するケースが多いことも、時短効果とともに快適性に価値を感じているという見方が可能です。

 551planningさんも書かれてますが、とやかく言われるJR東日本でも701系の「不評」に応える形でE-127系では大糸線投入バージョンでは1両に4個所、千鳥配置でのボックスを設置し、後に701系も同様に改造された車両が現れたわけですし、仙石線では近鉄のLCカーばりのクロス車両投入という流れもあり、乗客への「サービス」を削ってまでコストダウン仕様にすることが是とは言い難いと思います。
 125系の例では、もし125系が同じ座席定員31人のロングシート車で投入されていたらどういう反応だったかを考えたいです。
 座席定員減少という「不評」を少しでも和らげているのが「バリアフリー」だけなのか、「居住性」がどう働いているのか、東北での701系の時には「旅行者の意見ではないのか」という逆批判まで呼んだ「ロング化への批判」が存在しましたが、今回は少なくとも居住面への批判が無いわけで、座席数減少の一点に論点が絞られていることに回答があると思います。

鳥取県内高速化事業向けキハ121から見てみる
 投稿者---あんぱん氏(2003/05/23 00:31:43) http://homepage1.nifty.com/m-fujii//

 岡山のあんぱんでございます。

 JR西日本で、因美線・山陰線・境線高速化事業向けの快速用キハ121が、本日報道公開されました。

 基本的には島根県内高速化事業用のキハ126とほぼ同一仕様で作成されているのがポイントです。
 20mのステンレス車体、座席配置は両側2人がけのボックスシートのみ、身体障害者対応巨大トイレとなっております。変更箇所は、両運転台化、乗務員用扉を新設、車体構体をビートありへ変更、と作りやすい・使い勝手の面が中心で、基本デザインは同一と言えるでしょう。残念なのは出入り口に数cmと小さいながらもステップが残った点で、車椅子利用者の自力乗降が不可能になります。ワンマン運転が中心になりますから、全く予備車無いキハ126に対するカバーが必要だとしても、この程度の設計変更は行う必要があったと思います。
 たまたまとはいえ、小浜線向け125系電車とは全く違い、座席数をより確保する方向で維持されたわけです。2ドア車両では直角クロスシートは座席数を確保するには最適の手段です。

 逆に言えば、小浜線向け電車はキハ121と共通構体で作成するべきだったと思います。JR西日本の方針として気動車でも電車部品が使える様にキハ126とキハ187から使用電圧を大幅に変更しておりますから、構体面でも押し進めるべきでしょう。北越急行の例もあります。動力面でも大出力モーターを少数積むという考え方はコスト面や車内騒音ではメリットがあったかもしれませんが、走行面では空転が多く難儀しています。北越急行では小出力でも全電動台車に近い使い方として、加速を稼いでいます。
 125系電車がJR西日本ではドコでも使い道がある直流電車なので、将来の転属のみを主眼に考えて設計されたと推測されます。701系と同じ様に使う場面を想定しなかった中途半端な車両になったと考えられます。松浦鉄道と同じデザイン(新潟の規格品?)のキハ120みたいに完全に割り切った方が良かったものと考えています。山陰地区の高速化では、デザインは二の次にして使い勝手のみを追求したことが有利に働いたと思います。小浜鉄道部レベルではダメで、米子支社だと意向が最大限発揮されたのでしょうか?

 また、小浜線の場合、113系電車の使い方に問題があり、朝の片道一本を走っただけで1日の運用が終わるという無茶苦茶なダイヤが組まれており、これが混雑に拍車をかけています。113系は4両編成で乗務員手配の問題がありますけど、113系と125系をある程度混ぜて使うことで対応するべきでしょう。

***
 さて、話は鳥取に戻りますが、今年8月までに特急用が12両、快速用が19両と合計31両が投入されます。また、別に智頭急行が富士重工の鉄道・バス部門からの撤退に駆け込む形で、独自に昨年秋、特急車両を8両増備しております(ちなみに智頭急行は黒字経営が続いています)。これで、米子支社からはキハ181やキハ58はほぼ引退、キハ47についてもラッシュ時を中心にした運用になるでしょう。
 高速化事業完成によるダイヤ改正は今年秋の品川新駅白紙ダイヤ改正に合わせて行われます。
 鳥取県内のJR線はこれで殆ど高速化されることになります。伯備線は鳥取県西部地震の復旧工事に合わせて、米子支社管内の一部のみですが、緩和曲線の延伸などの高速化工事が実施されています。

 改正後の運行体系ですが、まず特急列車は、スーパーはくとは1往復増発、約10分程度の短縮し、大阪〜鳥取間で2時間20分前半。いなばはキハ181からキハ187に準じたものとなり、岡山〜鳥取間が20分短縮の1時間40分となります。いなばの増発する方針ですが、本数については決まっていません。乗務員は車掌を中心に智頭急行とJRがお互いに相互乗り入れすることでカバーしている現状がありますので、乗務員手配の面から難航しているものと思われます。山陰線の特急は鳥取〜益田間の直通運転が増発される様です。
 快速・普通列車ですが、鳥取〜米子間は1時間40分から20分の短縮、山陰線と境線の直通運転がされる予定です。

 米子空港は国が地方空港整備を縮小した中では例外的に滑走路延伸の方向で進んでいます。自衛隊の輸送機が常駐しており、そう遠くない将来国内専用機材のC-1やYS-11が超長距離が飛べる機材に更新されるのは間違いない情勢が影響しているのでしょう。滑走路は内陸側に延伸される予定で、JR境線は地下化されターミナルビル間近(約250m)に新駅が設けられる予定です。

 高速化事業の資金手当ですが、県予算が中心で、夢みなと博覧会の黒字分とかも充てる方針で、市町村レベルも固定資産税の増加分程度の負担となり、国レベルの負担がほとんど無いのが特長です。

 余談ですが、やくも系統では、今年3月から割引切符を値上げ無しにのぞみ解禁したことで、3〜4両が標準編成だったのに、6〜9両の増強編成で運行されるケースが増えております

125系増席工事成る…気になる「中扉」付近は?
 投稿者---551planning(2003/12/18 20:42:51)

 JR-W小浜線用単行電車125系の座席増設工事が実施、先ず3両が完了し運行を始めたとのことです。

125系 座席数増やし運行 JR小浜線 まず3両改造、31から46席に(福井12/18)http://www.fukuishimbun.co.jp/…

 従前の1人掛けの部分を2人掛けシートに取り替えたほか、収納式補助席を新たに設置したとのことですが、上記記事添付写真を拡大すると、かの「中扉予定部分」に固定式が1脚入っているようにも見受けられますが…(枕部分の白いカバーが無い)。下記写真から考えると片方を反転固定として適度な部分に固定脚を入れているようにも思われます。

※2-1時代の「中扉」部 広いボックス形状になっていたが…

 改造費用は全額地元負担、ただし施工場所の吹田工場往復回送分は-W持ちとは予備車があって廻せるにせよ一括で工事できない分複数のスジが立つことで結構費用が掛かるということなのでしょうか。
 また通路幅か狭まったことで車椅子の単独での車内通行が難しくなった事から各駅に車椅子スペースのある乗車位置案内板を設置したとのことですが、そもそもの単行の場合の無人駅取り扱いは前乗り前降りでしたっけ?無論単独乗車の際には運転士の介助前提であろうことから然程問題は発生しないものと思いますが、車椅子利用の多さとともにこれまでがどうであったのか(わざわざ案内板を新設するということは車内通行を強いる形もあったのかという点)も気になるところです。

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2005.06.10 Update

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