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【検証:近未来交通地図】Special024-2
JR-W125系・-E701系から探るロングシート・クロスシート論
701系

 本投稿は、【検証:】掲示板でもお馴染みの、エル・アルコン様はじめ皆様より当BBSに御投稿頂きました文章を、読みやすく構成させて頂いたものです(なお一部文面を編集しております)。

下記内容は予告なしに変更することが
ありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の
無断転載および再配布を禁じます。

125系

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函館サミット探訪記EX その1・701系雑多な話
 投稿者---くるりん氏(2003/10/14 19:34:56)
─続・転換クロスシート「神話」崩壊(ロングシート=悪の構図と「鉄道離れ」)
 └ワンマン単行前提の車両と中扉の根本的矛盾
  └Re:ワンマン単行前提の車両と中扉の根本的矛盾
   └何故最初から本設にしなかったのか?
    └それでも中途半端では
 └中間がないですよね
  └Re:中間がないですよね
   └Re:中間がないですよね
    └Re:中間がないですよね
     └立席通勤はアメリカ生まれ?
      └Re:立席通勤はアメリカ生まれ?

 今まで函館路面電車サミットの探訪記本編を書きましたが、移動時やその後においての変化など、かなり考えさせられた部分もあり、ある意味では中量板での書き込みよりもより総合的なこちらの方に雑多なものを書きとめようと思い、今回書き込ませていただきます。私の思ったことなどが主ですので、検証論どころかただの攻撃文になるやらそれとも・・・という危険な賭けではありますが。

函館サミット探訪記 030.html
函館サミット探訪記EX その2・新日本海フェリー敦賀〜苫小牧各停便 ../../topics/traffic/log124.html#2

 さて、今回は701系に久方ぶりに乗ってきたことと、なんといってもその元祖の秋田での乗車ですので、デビューからかなり経った現在ではどのような状況なのか、早朝に秋田を出る列車に乗って実感してみることにしました。

 10月2日、フェリーを降りて後、雨が降っていたのでタクシーで土崎へ。まだ人の少ない駅の中で朝食を摂っていると、次第に人が次から次へとやってくるではありませんか。まあ、秋田から距離が長いとはいえわずか1駅ですから・・・と時刻表を見ると、私が乗る大館行きの3分後に酒田行きがでるとのこと。
 6:41、やって来たのは秋田名物(?)ここにしかない701系3連。車内は席が半分以上程度埋まったといったところでしょうか。その中でサラリーマンがそれも東能代あるいは大館まで通勤する光景も・・・、こんな方もいるんですねえ。途中、数箇所で普通列車とすれ違うのですが、通勤・通学時間ということもあり、かなりの立ち客がいたように見えました。
 列車は淡々と進み、7:23森岳着。と、ここで大量の高校生。どうやら能代市内の高校に行くとみられる集団でした。ここでこの車両のオールロング車両という性能発揮とはいかにも田舎らしい光景に出くわしたものです。たった2駅とはいえ、彼らにとっては通学に死活の列車な訳で、ある種これでよかったかもしれないのですが、このあと東能代についてビックリ。高校生が我先にと下りて行った向かいのホームにいる五能線の気動車、5両です。ここまで矛盾があるとは・・・ショックでした。
 このあと、列車はいつもの席の空くローカルな状態にもどり淡々と進み、8:03鷹ノ巣に着きました(その後、特急料金をケチるためにわざわざ鷹ノ巣からあけぼのに乗車した訳ですが(笑))。

 私、701系は3回目です。この掲示板で語っている中でもおそらく一番少ないかと自虐的に推測しています(まあ、直流になった兄弟版は地元ですが故、毎日のように乗っている訳ですが)。
 そういえば、出たての頃、209系と並んで相当(特にインターネットの掲示板あたりで)虐められていたように記憶しています。特に移動手段としての車両としては問題だの、車両デザインがちゃちいだの・・・。しかしながら、こだわりさえなくせばかなりへっちゃらなもので、トイレも便座式だし、混雑時を除けばロングシートですので人さえ気にしなければ目前には大パノラマといったようなメリットもあるように感じます。確か、首都圏にある201系改造の四季彩感覚でしょうか。
 とはいうものの、現在でも一部の鉄道ファン・評論家による評価は相変わらず最悪で、このことは後でも述べますが、地方における先進地との空想的平等化傾向がまだかなりの面で残っているのかなという気もします。まあ、50系客車に比べ、乗り心地、旅行気分といった条項からすれば相当なデメリットですが(ところで、秋田・盛岡地区で起こった反対運動、最近は観念してしまった感があるのか、それとも秋田地区の一部でクロスシートをつけたからなのか下火になったようですね)。

 ここで出てくるのが直流化された弟分・E127系でしょう。出てきたときから運用が限られたからと、別系列の電車も走っていたからでしょうか、大した批判も出なかったように見えます(ただし、川島令三氏を除く)。このことからも、やはり慣れてしまえば一体化する、つまり、住めば都ということわざどおりのものなのでしょうか?

続・転換クロスシート「神話」崩壊 (ロングシート=悪の構図と「鉄道離れ」)
 投稿者---551planning(2003/10/23 00:26:03)

 701系話は間接的になりますが御容赦の程。
 正直、この続編が来るとは思っていませんでした…ことは半年前、こんな投稿をしておりまして。

転換クロスシート「神話」崩壊 (ロングシート=悪の構図と「鉄道離れ」) 024.html#3

 この中で電化開業により新形式125系電車が投入されたJR-W小浜線で、その125系電車の座席が少ないことについて地元で問題化していることから、転換クロスシートによる居住性向上が利用者訴求効果ありとの一部「定説化」に対する批判論を展開しようという意図があったのですが、正直その際にはいまひとつ攻め切れなかった?感があって半端に終わってしまった事が心残りでありました。
 で、忘れかけていた思いに飛び込んできたのがこの話題。

小浜線の電化で新型車両の座席を増設−−JR西日本金沢支社(10/22毎日)http://headlines.yahoo.co.jp/…

 沿線自治体などからの増席要望に対し、現在転換クロス1-2配置計31席のところに固定席と補助席を15席を増設し計46席にすることで、車両ダイヤ(概ね日中1両編成)を代えずに対処する方針が決まったというもので、まず気になるのは改造内容ですが、やはり中扉予定部分などをロング化するのかどうかというところではないでしょうか?
 さて、おいおいと思ったのがこの改造費用については要望元の地元にお願いしたいとするJR-Wの姿勢でしょう。『JRはいつも(負担を)持たそうとする』との小浜市の渋々反応も気掛かりな点です。

***
 以前のスレでは「居住性の問題の是非」がポイントになっていると思いますが、当時反応していなかったので簡単に。
 701系のボックスシート設置との比較考量で云えば、125系に軍配が上がるものと当方も考えます。ただ、701系登場時も提供座席数の大幅な減少が云われたところ、居住性という観点が声高に云われたという印象はそれこそ鉄道誌を初めとした趣味系からがメインでなかったかなと。くるりん様からもあるように、同列のE127系では新潟地区や最初からボックスシートがついていた大糸線ではそんなに不評の声は聞こえてこない印象があります。
 701系のときは最小限であったかもしれませんが増車という対応がなされたかの記憶があります。現在に至っては繁忙期の集中需要こそマイナスイメージを持ちがちですが、幸か不幸か(無論不幸であることが真の問題点になるべきところですが)ジャストサイズに落ち着いてきている印象があります。それゆえに、今回の125系が規格化を考えたあまりの大幅減席、さらには増車対応でなく増席対応になったという事をどのように考えればよいのか、さらにはその際の利用者対応の経緯、地元自治体等との関係性の変化をも注視する必要があろうかと思っております。

 なお、当方は6月に実車に乗車、その際は午後に敦賀から東舞鶴まで抜けたのですが、2両編成であったことから提供座席数そのものには不満を持ちませんでした。むしろ、0.5Mとされる足回りについて起動時の間隔が旧型気動車に近いものを感じさせてくれました(よっぽど昨今の気動車のほうがスタートダッシュが良い!)。東舞鶴で乗り継いだ「食パン改造」115系N40改車両の高加速力に度肝を抜かされたくらいですから…なお125系の名誉のため?に云えば中高速時の軽やかさはさすが電車でしたが

ワンマン単行前提の車両と中扉の根本的矛盾
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/10/27 19:01:21) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

125系

 125系の問題はとにもかくにも座席定員の少なさですが、その最たる部分である「中扉」の準備工事、これを冷静に考えてみると、そもそも必要な準備なのでしょうか。

 現在の使用法では125系はワンマン運行ですから、前寄りが降車で、後ろ寄りが乗車となります。運賃の取り漏れなどの問題もありますから、3扉での運用はまずないでしょう。
 一方で3扉での運行をするほど乗客が多いという事態になりますと、まさか単行で運転手と車掌を乗せるというような事態ではないでしょうから、そうした路線では勢い2両以上での運行を想定するはずです。で、高価なM車である単行用の電車を無為に増結することが合理的かどうか。片運車を新たに設計するのであれば、単行車に準備工事は要らないでしょう。
 有り得るとしたら3扉車で運行している区間に1両単位で増結ですが、なんか本末転倒です。

 それでも既存の3扉車と構体が共通であればまだわかりますが、ワンマン仕様、両運という専用の車体ですから、コストダウン効果もないわけですし、準備工事部分は専用の片引き扉スタイルの窓ですから、部品共通化からも外れています。

 結局、アコモの見直しを迫られたわけで、内外装とも企画倒れの車両でしょう。

Re:ワンマン単行前提の車両と中扉の根本的矛盾
 投稿者---たなべ氏(2003/12/23 06:11:43)

 準備工事部分は専用の片引き扉スタイルの窓ですから、部品共通化からも外れています。

 両引扉用にしか見えないんですが、どうやって片引き扉を設置できるんでしょうか?
 また、現在113系改造車が入っている地域等にラッシュ時2連以上で運行したい場合、中扉の意味はあると思うんですが。

 偶然乗り合わせた通学ラッシュ時の城端線キハ58はつらかったです。
 他の地域でもありえる話でしょう。

何故最初から本設にしなかったのか?
 投稿者---551planning(2003/12/23 08:23:06)

 たなべ様、初めまして。エル・アルコン様からも回答があるかもしれませんがBBS再録者として取り急ぎ。

 まず「片引き扉“スタイルの窓”」ということであって、本設が片引き扉という意ではなかろうかと。勿論本設時にはたなべ様のお見立て通り両引き扉になるでしょうし。
 城端線の例も挙げて頂きましたがまさにおっしゃる通りで、そうするとでは何故わざわざあのようなスタイルの中途半端な準備工事に留めたのかということになります。個人的には使う使わないに関わらず最初から本設にしておけば良かったのではと思う一方、座席配置の問題や本設にした場合のコスト見合いからあの実車となったと理解していますが、結局ココが矛盾点の堂々巡りとなって「内外装とも企画倒れの車両」という認識につながるのですね。登場時こそ「ローカル線版223系」と評価目で見られたわけですが、あまりに中途半端であったと。

 エル・アルコン様の評価を読んで想起されたのが、JR-S7000系電車です。1000系気動車から継承した独特なクロス−ロングの座席配置、単行ワンマンを意識した扉配置(端部片開き扉・両開き中扉)、さらには増結用制御車の存在と、まぁ曲がりなりにも本線(とは今呼称していないが)用と用途の差が出るものとは思われますが、-W125系の意図したコンセプトとの親和性を感じます。
 125系が「次配置」を見越して造られたかは判りかねるところもありますが、はや加古川線という話や紀勢線あたりでもとも思われる点、今後の-Wの展開(特に内装など)が注目されるところです。

それでも中途半端では
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/12/24 11:48:14) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 確かに中扉部の構造は両開き用の造作で、そこに片引きタイプの板をはめただけでした。
 あと、鉄道ジャーナル03年4月号の記事によると、223系2000番台同様、運転台ユニットがボルト接合構造になっており、223系との共通化にはなっているようで、その部分に誤解がありました。

 ただ中扉の存在が生きるとしたら、現在113系を使っている輸送力列車を125系の増結対応で置き換えるケースくらいですが、両運、かつ大型トイレの存在を考えると中扉を設置しても基本的な収容力に難があります。
 ならば現在の113系がお役ご免になる時期になれば、2連以上の対応及びワンマン改造が構造上容易(運転台直後に扉がある)と見られる221系での置き換えも可能でしょうし、223系の地方転出バージョンを改造することも可能です。
 このあたりが輸送力列車用の編成を持たない四国との違いでしょうし、変に中途半端な仕掛けを付けた車両にするより、捻出車での対応という使い分けで対応すべきだったと思います

中間がないですよね
 投稿者---World's Greatest Railway Enthusiast氏(2003/10/21 01:37:12) http://homepage3.nifty.com/tract/pecar.htm

 興味深い話なので、ちょっとコメントします。

 転換クロスは、着席者の快適性は確保されるものの、座席定員か立席用の空間が犠牲にされる、という議論は趣味人の定番です。
 しかし解決策も考えることが出来ないわけではなく、その一つはシートピッチを狭めることにあります。シートピッチを狭めた転換クロスシートを想定するのは決して不可能な話ではありません。現行より10〜15センチも狭めたシートは現実にはいろいろと問題があるにせよ、趣味人の仮定の議論としては面白いと思います。議論が流行らないのは有名な鉄道評論家が言及しないからでしょうか。最後に言及するように、私個人としてはこんなシートが広がると不便なのですが、「神話」に祭り上げられないような安っぽい転換シートがあっても良いと思いませんか?

○根拠
 ネットの古書店で入手したアメリカ(お決まりの話になってしまいごめんなさい・・・)の昔の郊外電車の車両形式図を見ると、えらくシートピッチの狭い(74〜86センチ 1インチ=2.54センチで計算)転換クロスシートが標準になっています。シートピッチにあわせて横幅も狭くなっているので、幅3メートルで2×3の配置なども実現しています。

シートピッチについてまとめた私のHPです http://homepage3.nifty.com/tract/pecar.htm#seat
車両形式図のあった元文献は<Cars of Pacific Electric Vol.2 Interurban & Delux car>
形式図はありませんが、ページ掲載のイラスト等で推測してください

 こんなシートピッチが可能なのは背ずりが低いタイプがアメリカの転換クロスの主流で、詰め物が薄いタイプもあったからですが、日本に伝播した際により高級なシートになるか、固定クロスシートやロングシートになるという形で二極分化したのは興味深い話です。
 勿論向かい合わせたときに12系客車のボックスよりも窮屈になるシートが日本のロングシートと比べて快適であろうわけがなく、誰かが仮説として提案していた「足の棲み分け」(地域柄、足の長い方が乗車されるので、ロングシートだと通路が狭くなってしまう)を実現させるためだったのだと思いますが、座席定員も立席面積も減らすのはいやで、しかも進行方向逆向きには座りたくないという場合の唯一の解決案なので、議論の種にはなるかと思います。

○書き込んだ当人はどう考えているのか
⇒車内で居眠りをするのが大好きなので、背ずりが低いのはちょっと。転換クロスでもロングでも窓にもたれて寝るので、205系でも221系でもそんなに乗り心地に違いは感じない(209系以降は冬寒いという問題はあるのだが)。
⇒シートピッチが狭くなると窓側の人が移動する際に、通路側の人が立たなくてはいけなくなり、乗降時間が明らかに長くなりそう。あんまり窓側には座りたくない・・・。

Re:中間がないですよね
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/10/24 15:39:29) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 座席定員を極限まで追求する形での詰め込みは確かに省みられていません。
 113系などの近郊型が中間車で76名の座席定員を実現していましたが、シートピッチ拡大で72名に減り、ロングシート化で64名となり、と、立たせて詰め込むほうがメインです。

 唯一の例外といえるのが、215系の120名で、ライナー使用で金を取るのに、とか、ただでさえ狭いのに、と不評なボックスシートですが、4扉ロング(54名)の2.2倍の座席定員である同車は、通勤輸送のパラダイム変換を促す意味でももう少し省みられていい存在でしょう。

***
 当たり前に考えると、膝突き合せて座るのは不快とは言いますが、では立ったまま膝どころか全身が触れ合う押し合いへしあいとどっちが良いかとなるとどうでしょうか。
 そう考えると、居住性を相当犠牲にしても立つよりはマシという発想で、詰め込み型の多座席車を考える余地があっても良いはずです。利用者が本当にそれを指向するのか、と言う疑問があるでしょうが、そもそも比較検討する材料が無いのですからイメージが湧かないと言うことかもしれませんし。

 Greatestさん(省略失礼)が例示された米国の鉄道ですが、確かに通勤鉄道は多座席詰め込み型のほうが主流です。もう現物を見たのは9年前の話になりますが、NYのメトロノースやLIRR(ロングアイランド鉄道)では2+3人掛け一方向き固定シートにして座席数を稼いでいますし(輸送量がやや少ない?ニュージャージートランジットは転クロ)、地下鉄ですら背反型のクロスシートとロングシートを組み合せたタイプの車両(阪神の初代ジェットカーがこの座席配置で登場している)がありました。

 もちろん、各列車とも座席定員ギリギリになるように利用状況に応じて停車駅を設定したり、ベッドタウンで集客後は中心街のターミナルで降車するだけと言う単純な流動に助けられている面はあります。

 余談ですが、LIRRでは1950〜60年代に特に台車間を低床化しているでもない通常と同じ程度の車体断面で2階建ての客車を通勤用に使用していました。また凸型を互い違いに組み合せたような個室寝台(スランバーコーチ)なんかも、日本の「ソロ」「デュエット」よりも圧倒的に狭く(でもトイレがついているが)、空間の有効利用という意味では優れています。そういう意味では「サンライズ」の2層式のノビノビ座席をもっと深度化して、軽く横になって移動できる夜行用車両といった発想もまた有っても良いのかなと思います。

 最後はだいぶ横道にそれましたね...

Re:中間がないですよね
 投稿者---World's Greatest Railway Enthusiast氏(2003/10/24 17:33:04) http://homepage3.nifty.com/tract/pecar.htm

 エル・アルコンさんは海外の鉄道にもお詳しいのですか?ここの論客の皆さんの知見の広さには感服させられます。

 戦前のアメリカ人というのは日本の鉄道ファン以上に転換クロスシート好きだったのですが、現代アメリカの通勤鉄道では一方向固定クロスが主流になっています。2−3座席も残っていますが、座席自体は少し高級になっていて、自動車からの旅客の流入を狙った構造が伺えます。
 アメリカの近郊旅客鉄道で着席通勤が前提になっているのは、長距離鉄道の衰退で線路容量に相当の余裕があることや、国の政策で通勤鉄道に莫大な補助金が支給されていることなどが影響していると考えられます。日本でも同じ事が出来ればいいのですが、補助金を出しても線路容量は常に逼迫しているので難しいような気がします。運賃収入のかなりを占め、かつ需要の弾力性が高そうな昼間旅客のための可動式座席は考えられますが、これも昼間旅客では流動がやや複雑になるということを考慮しなくてはいけないですし。

 どちらにせよ、色々な先例を見る限り、座り心地を別にすれば、固定クロスだろうが転換クロスだろうが多座席詰め込み型の設計は可能で、立席主体型と着席主体型の論争はあっても固定クロスと転換クロスの論争にはそんなに意味がないような感が私にはあります。

***
 LIRRの車両は座席車版「デュエット」といった客室構造になっていますね。着席対策として試作したら面白いのに(中二階座席への昇降が面倒ですが)。
 寝台車は北斗星の置き換え車両に期待したいところ(造る気あるのかな?)。スーパーライナーばりの二階建て展望座席車なんてものも連結してもらいたいものですが。

Re:中間がないですよね
 投稿者---とも氏(2003/10/25 02:53:33)

 ともです。
 諸外国の例に話が及んでいますが、私もそれほど多くに行ったことがあるわけではありませんが、経験から。

●とにかく座らせる?
 その姿勢に感激?すら覚えたのがエドモントンのLRTとバンクーバーのスカイトレイン(鉄軌道AGT)です。とにかくイスが多い。隙間にも作ってんだろ?といいたくなるほど。でもシートは全般に狭い。日本人としては平均的な体格と自負?している私ですが、それでも狭く感じました。
 特にバンクーバーの「1人がけロング・クロス」は狭い空間にも意地でも?席を作るんだぁ!的なもので、この姿勢には驚かされます。

 アメリカ・カナダでは固定クロスでもロングでも「座らせる」を徹底しているのは私も感じますが、そこまでのシートアレンジが日本で受け入れられるかなと感じてます。

●狭いけれど・・・
 香港の九龍〜中国との境界を結ぶKCRの電車はある意味日本的なロング主体です。しかし、妙な位置にはクロスがあって、こちらもやはり大変狭いです。
 同じく、香港のAEX。世界的に見ても成功例の空港特急ですが、こちらも集団見合い式の固定クロスですが、シートピッチがかなり狭いです。飛行機のエコノミーを降りてからこの電車に乗ると「狭い」と感じるといえば感覚的にお分かりになるかと。

 ただ、この2つ、意外と立ち席やその他のスペースも広いんです。空港特急はNEXにあるような荷物室がありますし、KCRは混雑する路線らしく立ち席スペースが確保されています。そのための狭い固定クロスなのでしょうか。
 そういえば、香港やシンガポールは1時間近い高速バスでもメガライナーが広く感じるほどシートピッチが狭いですから、そういうものなのかもしれません。

●体がでかくても・・・
 オーストラリアもアメリカなみに体格のいい方々が多いですが、ここもイスがやはり狭い。都市内電車ではロングとクロスの組み合わせが多く見られますが、乗ってみると狭さを実感できるほどです。
 ここではアメリカの地下鉄と同じようなシートアレンジが見られます。
 このほうが狭くできるのかな?

 と考えてみると、日本の場合、居住性を追求するあまりか、むしろ「中途半端」さを感じます。京急2100のように一方向準転換クロスで多座席を実現している例もありますが、どうも向かい合わせにできない点が嫌われている実情もあるようで・・・

 転クロも中間駅での乗り降りが多いような路線には向くものではないですし、転クロにしたがために座席定員を減らすんじゃ何の意味もありません。
 その辺が、どうにもこうにも・・・

 まとまりませんが、ではでは

立席通勤はアメリカ生まれ?
 投稿者---World's Greatest Railway Enthusiast氏(2003/10/25 03:31:15) http://homepage3.nifty.com/tract/pecar.htm

 現在のアメリカの通勤鉄道は着席通勤にフレンドリーでしたが、私が趣味的にもっとも関心のある大昔はそうでもなかったようです。海外事例の話では、「海外では(良い例が)実行されているのに、日本では行われてなくて良くない」といった話になりがちなので、逆の話も付け加えて起きます。

 第二次世界大戦前はアメリカの都市鉄道も独立採算でしたが、サービスのひどさは伝説になっています。シカゴやロサンゼルスの路面電車は(結構長い距離を走るのに)立ち客を出入り口にぶら下げて走るのは当たり前(同時期の東京市電もそうでしたが)、鉄道会社は改善策を講じるどころか、市議会での批判を封じ込むための買収工作に勤しみ、悪徳電鉄王として名を残す鉄道経営者もいたほどですからその腐敗ぶりがうかがえます。
 不思議なのは、出入り口に客をぶら下げて走っていた路面電車の座席がベンチのような形状ながら転換クロスであったことで、座席を減らして混雑緩和を図ろうという思想がなかったのかな、という疑問はいつも感じています。この乗り心地最悪の路面電車は1930年代に自家用車とバスにまたたくまに客を奪われてしまい、(PCC車という対抗策はあったものの)廃業が相次ぎました。あんまりにも急な都市鉄道の衰退は後に自動車会社の陰謀説という神話まで作り出してしまっているほどです。現代アメリカの公営の鉄道事業者が着席通勤にこだわるのはこのあたりに源流があるかもしれません。

⇒では日本は、という話になりますが、もし渋滞がなく無料の高速道路と都心の駐車スペースが大多数の通勤者分用意されたら、鉄道の旅客輸送シェアは限りなく低くなると思います(運賃を半分にして座席定員程度引き止められるかどうか?)。それが行われたら、30年後ぐらいに「トヨタの陰謀説」のような神話がつくられそうです。勿論そんなに道路は作れないので、大都市圏の鉄道輸送は安泰なわけですが。

Re:立席通勤はアメリカ生まれ?
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/10/27 18:47:10) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 詳しいというか、短期間ですがちょっと住んでいたことがあるもので...

●ダブルデッカー
 当時見掛けたのは、LIRRとボストンのTA、シカゴのメトラです。
 LIRRとシカゴは確か東急車両のちゃんと上下にフロアが分かれたタイプ。メトラは通路が吹き抜けになっているタイプでした。
 LIRRは後に川重の車両が入ってますね。

 大昔のLIRRのダブルデッカーについて、ちょっと検索してみたら、なんとボックスを2段重ねにして、上段へは梯子で登るという冗談のような車両だったようです。さしずめ583系下段の寝台使用時レベルの高さで上下とも詰めこまれている感じですが、今の215系のような断面で例えば3段重ねで作ってみたらどれだけ座れるか。究極の着席詰め込み車両として登場、は無理だろうな...

●座らせる車両への抵抗
 立つよりは腰掛けたほうがマシという設計思想でしくじった例があるのが悩ましいですね。
 名鉄の6000系がそれでして、シートに傾斜をつけて足の収まりをつけてシートピッチを詰めたり、幅が通常の2人分なく、肘掛がない通路側は前を向くも良し、横を向くも良しと言うような感じでした。
 MOMOのちょこっとベンチよりはマシですが、結局は「名古屋名物一半(1.5人前の意)」というレッテルを貼られ、ロング改造されて終わりました。

 NYの場合は少なくとも地下鉄はもともとロングシートのところにクロス風味のアレンジが登場している経緯があります。
 大柄な方が多い土地柄にもかかわらず、身を小さくして座っている人が案外多かったように記憶していますし、ちょうどその頃登場した川重製の新型車両が、従来車に比べて座席定員が減少しているということで、現地のCATVの交通トークショー(週末の朝に、その週の運休区間などの交通情報と交通問題に関するトークショーで構成される番組があった)で批判されていました。
 それを見たとき、「日本流」の導入でやらずもがなの日米摩擦か?と思ったんですが、その後どうなったんでしょうね。

 ちなみに、NYの地下鉄で朝ラッシュ時の着席率は平均で41%、ベストはD系統の54%でワーストは4系統の29%だそうで。
 日本のE231系が名目の定員比の座席数で33%、113系だと57%ですから羨ましい限りです。

2005.06.10 Update

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