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【検証:近未来交通地図】Special017
ふくおか放浪記
(2003/04/06 21:54:42)

 本投稿は、【検証:】掲示板でもお馴染みの、KAZ様より当BBSに御投稿頂きました文章を、読みやすく構成させて頂いたものです(なお一部文面を編集しております)。文中写真の著作権はKAZ様に帰属します(なお一部写真は縮小表示しており、原寸大にリンクしています)。

 なお、【検証:】では掲示板投稿に限らず広く皆様からの御意見・レポート等を御紹介致します。自分ではホームページを持っていないけれど、意見が結構纏まっている…という貴方、各種ご相談に応じますのでお気軽に管理人までどうぞ!

下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。

貝塚駅
天神BC

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 どうもです。
 久しぶりに西の拠点都市・福岡へ行くことになりまして、放浪癖のある私め、またうろついてきましたのでそのご報告を・・・。

 ■ 天神バスセンター

 早朝に福岡入りし、暫く市内散策を楽しんだ後、西鉄が誇る大バスターミナルである「天神バスセンター」へ。できてからさほど経っていないこともありますが、乗り場とガラスドアで仕切られているせいかくすんだ感じもなく非常に明るく綺麗です。

バスセンターの入るソラリアステージビル
天神BC
バスセンター全景 (夕方に撮影)
天神BC

 乗り場は通常ガラスドアが閉じられていて排気ガスがロビーに入り込むことはありません。バスが到着すると運転手がガラスドアを開けてバスに乗客を誘導します。

改札風景
天神BC
自動券売機とカウンター
天神BC
カウンターの様子
天神BC

 福岡県内はおろか九州全土や本州各地からのバスが集中するバスターミナル、カウンターも立派で自動券売機や定数券発行機なども並びます。
 カウンターを見るとキャンセル待ち受付の表示、そして小荷物発送の文字が。西鉄は高速バスを使って小荷物の配送サービスも行っています。運べるモノはみんな運んでしまおうということでしょうか。

 このバスセンターは利用者や乗り入れ本数が多いこともありますが、その最大の特徴は「大袈裟な設備」でしょうか。天神のメインストリートから建物を見上げると、百貨店の連絡通路のようなものが見えますが、実はバスセンターへの取付道路だったりします。
 その取付道路の入口からセンターを見上げると、降りてきましたバスがぞろぞろと・・・。

バスセンター取付道路(上段・下段は西鉄電車)

バスセンター案内

天神BC
天神BC
取付道路入口

天神BC
バス数珠繋ぎ

天神BC
天神BC
発車案内アップ(夕方に撮影)

 大袈裟というか立派なのは旅客案内も同じ。バスセンター入口にはバスの発車時刻表やバスセンター見取り図などが掲出されているのですが、発車案内に表示されている時刻を見て唖然。

 いやはや・・・西鉄の意地とも取れるほどの積極的バス運営には恐れ入るばかり。小倉線や熊本線、大分線などは市内バス並の運転本数ですからね。バスでもここまでやれば、立派な「都市の基幹交通」になり得るのでしょうか。

 ■ 二日市駅

 バスセンターを満喫した後は、電車で二日市駅へ向かいました。ここはつい最近バリアフリー化を意図した東口改札が開設され、またそれと同時にパーク&ライド用の駐車場も整備されると言うので、どうなったのか見に行ってきました。

エレベータと5000系電車
二日市駅

エスカレータ
二日市駅

新設された跨線橋
二日市駅

 ホームからのエスカレータは幅違いのものを並べており、興味深い配置。列車到着時に一時的にに大量利用がある上り方向には太いものを使っているようです。
 東口改札は太宰府線用ホーム(6番線だったかな?)に併設された地平駅舎で、今回はバリアフリー対策ということで今までの西口橋上駅舎に向かう跨線橋に加え、エレベータ・エスカレータ用に別の跨線橋を架けています。

 改札口自体はこぢんまりとしたものですが、一番特徴的だったのは売店と有人ラッチが一体化されており、売店業務と駅業務を兼任させていることでしょうか。

ラッチから改札内を望む
二日市駅

売店と一体化
二日市駅

売店内にある駅業務カウンター(レジ兼務)
二日市駅

 駅前広場もさほど広くはないのですが、平面横断が可能なので各方面へのアクセスがしやすく好感が持てました。必要にして十分な設備です。
 駅前広場の向こうにはパーク&ライド用駐車場が整備されるようですが、今回の訪問時は工事中でした。ここには駅前広場に設けられなかった一般者用ロータリーの代わりにループ道路が造られており、駅前に入ったクルマはここでループして来た道を戻ることになります。

駅前広場
二日市駅
P&R用駐車場(工事中)
二日市駅
一般者用ループ道路
二日市駅
二日市駅
西口駅舎
二日市駅
西口駅前広場

 狭い用地で最大限工夫をした駅前広場とP&R用駐車場整備だったようですが、駅周辺の道路は改良されておらず、その辺は残念なところですが、この駅周辺は行政区画が入り乱れており、調整が大変なんでしょうかね。

 ■ 宮地岳線

宮地岳線

 二日市からはJRの快速電車で筑前新宮へ。ここから西鉄宮地岳線に乗るべく「三苫駅」を目指しました。何故西鉄新宮じゃないのかとか香椎乗換の方が便利とかというツッコミは入れないで下さい(笑)。

 駅舎新設工事が進む筑前新宮駅を後に丘陵地を上り三苫へ向かいます。丘陵地は美和台・和白台といった新興(と言っても結構昔の開発ですが)住宅地として人口も定着し、すっかり落ち着いた町並みです。しかしやはり福岡と言えばバス、天神直通便が私の横を通り過ぎて行きます。

美和台の宅地と西鉄バス

 丘を二つ越えるとようやく西鉄三苫駅。広い駅前広場に質素な駅舎、駅の真正面には天神直通や都市高速経由で速達化をアピールするバス停が。
 三苫駅は宮地岳線の拠点駅のひとつで、ラッシュや早朝深夜などには折り返し列車も設定されています。相対式2面2線の構造で、ここでの列車交換はほとんど行われないため副本線側は折り返し列車用として使われているようです。

宮地岳線
駅前広場

宮地岳線
三苫駅前バス停

宮地岳線
質素な三苫駅

宮地岳線
列車発着ホーム案内

宮地岳線
ホームから津屋崎方面を望む

宮地岳線
貝塚行き列車到着

 西鉄のローカル線として紹介されることの多い宮地岳線ですが、ここ三苫駅までは都市近郊鉄道としてそれなりに利用されています。ただここより先は海とJR線に挟まれ開発余地が少ないことから利用は少なくローカル線然とはしていますが、ほぼ終日13分間隔の運行がされていて、決して不便ではありません。

 私はここから貝塚に向かいます。列車は住宅地の中を進みながらJR香椎線との接続駅である和白へ到着します。宮地岳線と香椎線は歴史的には同一会社(博多湾鉄道汽船)の路線で、石炭輸送の重要路線だった香椎線は国鉄に買収されて別会社となりました。博多湾鉄道汽船は今の西鉄の母体のひとつです(福岡県内の複数の事業者が統合して西日本鉄道となった)。列車はそのまま住宅街の中を進み唐の原駅に。ちょっとホームに降りてのんびりしてみました。

宮地岳線
唐の原駅ホームから津屋崎方を望む

宮地岳線
唐の原駅構内踏切から貝塚方を望む

宮地岳線
唐の原駅舎

 次にやってきた電車は、なつかしい走行音の吊り掛け車。鉄道ファンとしては興味ある車両ですが、やはり騒音や揺れは現代のサービスレベルには程遠く、淘汰が待たれるところ。今後の地下鉄直通問題と併せて早期の決着を望みたいですね。

香椎駅前の通りを横断する電車
宮地岳線
宮地岳線
香椎駅付近を走る電車

 唐の原から再度丘陵地を通り、福岡近郊の遊園地として親しまれている「かしいかえん(香椎花園)」の脇を抜け、福岡市の東部副都心として発展する香椎地区を通ります。この辺りは駅間距離も短く、市街地内を走る風景はローカル線というよりLRTに近い印象。福岡市は地下鉄の列車をここまで走らせるべく西鉄と協議を続けていますが、なにせ宮地岳線は中型3連、しかも狭幅車体なので設備面での格差が大きく西鉄が費用面で躊躇しており、一向に話が進んでいません。

 ■ 貝塚駅
西鉄貝塚駅に停まる旧型車
貝塚駅

 香椎を過ぎると再開発工事真っ盛りの中を走り、川を渡れば貝塚駅。今はここで終点になっていますが、博多湾鉄道汽船は新博多駅まで軌道を敷いていました。しかし西鉄は市街地内であったこの区間の利便性向上と路面電車(福岡市内線)のネットワーク強化ため、改軌して市内線に編入し、宮地岳線は貝塚で市内線と乗り継ぎという形にしました。もっとも新博多駅は今の千鳥橋付近にあったので繁華街へ出るには市内線に乗り継がないといけなかったので、その乗り継ぎ地点が多少郊外側にズレただけですから利便性は変わらない、ということだったのでしょう。現在は福岡市営地下鉄が市内線の代わりを務めています。

貝塚駅
西鉄ホーム
貝塚駅
西鉄側の出札口と改札

 西鉄改札を出るとコンコースを挟んで地下鉄の改札が向かい合っています。乗り継ぎは同一フロアで直進するだけの便利なものですが、宮地岳線沿線各所からは西鉄バスの都心直通便が多数設定されており、そちらを指向する旅客も少なからず居るようで、宮地岳線&地下鉄の利用者はさほど多くありません。やはり乗り継ぎは嫌われるのでしょうか。

西鉄ホームからラッチを見る
貝塚駅
コンコースから地下鉄改札を望む

貝塚駅

 地下鉄二号線(箱崎線)は中洲川端が終点で、都心である天神駅のひとつ手前。宮地岳線からの乗り継ぎの場合、都心である天神へ出るには貝塚・中洲川端と二回も乗り継がなければいけないことになり、都心直通バスに比べて著しく利便性が劣ります。それをカバーすべく一号線(空港線)へ直通し、天神や西の副都心である西新までの直通電車も走らせていますが、これも決定打にはならず二号線自体の利用者も伸び悩んでいます。

貝塚駅
貝塚駅に停まる一号線直通電車

 ■ 貝塚線廃線跡
廃線跡
駅出口から貝塚駅側を望む
廃線跡
箱崎九大前駅西方

 地下鉄二号線は、貝塚から西鉄の廃線敷を使って西へ進みます。

 閑散とした地下鉄は貝塚の次駅である箱崎九大前で下車、地上に出ます。九州大学の敷地脇にあたり、昔の湾鉄→市内線になってからは貝塚線の軌道敷だった場所です。
 貝塚線は市内線と言えども元は湾鉄の軌道敷、全線が専用軌道でしたから定時性も高かったようですが、ここだけ単独で残しても仕方がないので地下鉄代替となりました。この辺りではルートが重なっており、軌道敷は地下鉄用地となったようです。

 このまま進むと道は南にそれ、筥崎宮に入っていきます。この筥崎宮には市内貫線の一部区間が専用軌道となっており、それがバス専用道路として今でも引き継がれています。

バス専用道路ゲート
廃線跡

専用道を走るバス
廃線跡

 肝心の湾鉄跡地は筥崎宮の境内で一旦途切れ、抜ければすぐに現れます。ほとんど全線が切り売りされずに緑地として残されています。

 暫く進むとバスの走る道路が接近してきます。最近出店したイズミ「you-meタウン博多」のすぐ側を通ります。ここから少しの間は緑地ではなく民間に売却されたようです。

 少し進むと再び緑地になります。ここは博多区なので緑地化の様子が東区内と異なります。
 緑地を歩くことしばし、目の前に現れた広い敷地とバスの姿。いよいよ「新博多駅」跡地です。後に敷地が買い足されたのか、かなり広くなっています。先に進んで千鳥橋のたもとが駅舎のあった位置のようです。市内線化される以前の姿を知ることのできる資料なども少ないようで、詳しい駅の様子などはなかなか確認できません。

廃線跡
筥崎宮を過ぎ東区の緑地となった軌道跡

廃線跡
ゆめタウン博多とバス停

ゆめタウン前の軌道跡の様子
廃線跡

再び現れた緑地
廃線跡

バス千代営業所
廃線跡
元の駅舎だったらしい場所より
廃線跡
南側より新博多駅跡を望む
廃線跡

 歴史に「もし」はタブーですが、西鉄が市内線廃止の際に貝塚線を再び狭軌化して宮地岳線を千鳥橋まで運行したりしていれば、状況はどう変わっていたのでしょうか。まあ当時は宮地岳線自体も近代化されておらず、西鉄自体もバス強化で対処できると踏んでいたのでしょうけど、貴重な都市内での専用軌道空間を失くしてしまったのは、なんだか勿体ない気がします。この空間を活かして地下鉄二号線は建設せず、宮地岳線との結節は中洲川端から分岐して呉服町経由で千鳥橋までの支線で対応ということもできたでしょうしね・・・。
 しかし軌道敷の北側は臨港区域で、再開発が始まったのも最近ですから鉄軌道を必要としていたのは貝塚線ルートではなく貫線ルート(呉服町から現県庁経由で筥崎宮)だったのかな。

 福岡市の地下鉄整備に伴う鉄軌道の変遷は、筑肥線の代替廃止も含めてなかなか不思議かつ惜しいものが多いですね。地下鉄の整備区間も、もっと他に考えられたようにも思うのですが・・・。


興味深い西日本新聞の連載記事
 投稿者---551planning(2004/04/12 13:24:46)

 見つけたのが遅かった…。
 西日本新聞で今春から「都市探究」という連載記事が開始されています。4/6〜/10の5日間は福岡市中心部の渋滞問題がテーマに取り上げられており、内容も興味深いものでした。
 タイトルを紹介します。リンクが張られているものはサイトで確認できるものです。最初に気づいたのはYahoo!ニュースでですが、西日本新聞サイトでも全部出ていない…最終回の本紙記事を当方はゲットしましたが、2回目を是非読みたいです…(なお、おそらく明日付けで読者の声紹介がなされる旨紹介されている)。いずれ図書館あたりで探ってみたいと思いますが、九州方面の方ぁ〜!御協力賜りたく!

連載−都市探究 「渋滞問題」
 (1) 天神は「大損」をしている
 (2) 徘徊生む「割引」と「県外」
 (3) 疲れ知らずの「空」待ち族
 (4) 列車のように連なるバス
 (5) 「天神離れ」を防ぐために

 あと、七隈線特集もありました。

福岡の交通網拡充 地下鉄七隈線 来年2月開業

連載−街を変える 街が変わる・地下鉄七隈線
 (1) 通学路―沿線環境見直し急務 歩道設け、児童の安全を
 (2) マンション開発―明暗を分けた建築協定
 (3) 放置自転車―迷惑の芽、摘む手だては
 (4) 将来像―交差点問題契機に共有
 (5) 都心―新たな流れに活路模索

***
 できれば全部入手してからコメントしたいのですが、やはり「列車のように連なるバス」というタイトルに惹かれます。
 『渋滞の解決策はいたって簡単。バスを減らせば済むと思います』『あんなに“空箱”状態で走らせなくても』という読者の声から調べてみれば、天神−渡辺通4丁目交差点間に平日延べ約4,700台が通過(西鉄保有台数が約3,800台)、天神交差点前の通過全交通量の13.8%をバスが占めている由…当方自身も見聞しているものの、数値にして改めてその圧倒さを感じずにはいられません。『比較できる他都市のデータはないが、絶対的に多いのではないか』とは市交通計画課長の弁、“空箱”も市に苦情が絶えないのだとか。『「公共交通」が本当の意味で「公共」なのか、もう一度読者と一緒に考えてみたい』という記者の締めの言葉が重いです。

 …さりとて、西鉄が手を拱いているわけでもないでしょうし、七隈線開業で根本的解決と行かないことの意味を問う必要もあるでしょう。『バスといえば、渋滞緩和策として優先される公共交通機関のはずだが…』と示している記事が今度どのようなトーンで伝えるのかが注目されます。

2004.11.14 Update


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