【検証:】過去ログSpecial

【検証:近未来交通地図】Special015-3
「のぞみ」シフトを検証する(展論)

 本投稿は、【検証:】掲示板でもお馴染みの、和寒様とエル・アルコン様の対論を中心に、読みやすく構成させて頂いたものです(なお一部文面を編集しております)。

展論その1・「マクドナルドのジレンマ」の出現
展論その2・新幹線の付加価値と料金

「新幹線回数券」デビュー
空席状況から感じられること

第3回全国幹線旅客純流動調査が語るもの
改正前に冷静な議論が出てきた意味は
 

下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
当サイトの全文、または一部の無断転載および再配布を禁じます。



展論その1・「マクドナルドのジレンマ」の出現
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/05/19 00:20:33)
  http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs
展論その1・「マクドナルドのジレンマ」の出現
└Re:展論その1・「マクドナルドのジレンマ」の出現
└Re:展論その1・「マクドナルドのジレンマ」への疑問
 └Re:展論その1・「マクドナルドのジレンマ」への疑問

 価格設定と収益のミスマッチ、つまり薄利多売路線の行き詰まりとも言える「マクドナルドのジレンマ」ですが、2002年度のJR東日本の決算に現れています。
 マスコミ報道では連結ベースの数字を主に取り上げ、東モノ連結化による影響なのに増収増益としたりしてますが、単体ベースの数字に興味深い現象が見て取れます。

 決算参考資料の鉄道輸送量・鉄道運輸収入の概要を見ますと、新幹線の定期外の数字が奇妙な動きをしています。輸送量が前年比3.3%伸びているのに、収入が0.2%減っているのです。輸送量のベースを揃えたベースで計算し直すと3.4%の減少であり、利用者の単価が3.4%減少していることになります。
 JR東海やJR西日本の決算参考資料を見ますと、両社とも新幹線定期外利用は3%程度の減少ですが、こちらは両社とも輸送量と運輸収入の減少率はリンクしており、運賃・料金の改定が無かったことを考えると、両社の方が自然です。

 JR東日本の輸送量の伸びは12月の八戸開業が大きく寄与していることは明らかでしょう。年度の三分の一しか効いていないのに3%の増加を叩き出したのは大きく、東京からの末端部での開業ゆえ、人キロベースの伸びに寄与しています。
ところが収入が減ったのはなぜでしょう。同じ12月にグリーン料金の期間限定値下げが実施されており、その影響もあるでしょうが、東京起点では新潟や仙台といったメインの区間では値下げになってませんし、運賃や特急券との合計では値下げ幅の大きい福島でもトータルで8%の減収に過ぎません。全体に占めるグリーン車の乗客の比率を考えると、これで単価ベース3.4%の説明はとうてい出来ませんし、目だって減収に利くようでは値下げによる誘発効果が全く無い最悪の結果となります。

 結局、利用の伸びが「東日本パス」をはじめとする企画商品による押し上げであり、平均単価の大幅な減少もさることながら、本来の目的の誘発効果よりも既存の個札客シフトの深度化の方が大きく(もしくは個札の逸走と企画商品での誘発が同時大量発生)、絶対値での収入額まで減少させてしまっているのではないでしょうか。全体的なトレンドであれば、八戸開業景気はあっても、JR東海や西日本のように漸減傾向、まあ開業景気で人員収入とも微減であろうところを商品面のフォローで輸送量は伸ばしたまではよかったのですが、その「薄利多売」路線を持ってしても、収入減がカバーできないという拙い結果になったわけです。

 安くしないと乗ってくれない、乗っても収入は増えない状況はつらいです。特に指定席やグリーン車の利用といった制限を解除してきており、実質的な単価切り下げも並行しての数字だけに、デファクトの数字を守った上で、附加料金が受容されるかどうかという議論になっている東海道・山陽新幹線よりも厳しい状況といえます。

Re:展論その1・「マクドナルドのジレンマ」の出現
 投稿者---串間氏(2003/05/20 20:36:31)

 串間です。

 割引きっぷが常態化したことによって、安いきっぷしか買ってくれなくなったのではなく、デフレ進行における影響から純粋に「安くなければ買わない」となっているものと私は考えます。

 あくまで東海道筋や山陽筋(東海道ほどではないですが、レールスターの健闘でもっている)はビジネス利用が多いことによって値段の維持がされているわけであり、ビジネスの利用がほとんどないと言っていい東北筋や上越筋で値段の維持をしても買ってくれなくなるだけです。実際にビジネス利用が多いのならば、昔から速達型の新幹線がたくさん東北筋で走っていたはずです。それに利用経験からしても、東北筋でスーツ姿の会社員が乗っているという感覚はありません。

 東京に本社がある企業がどこに支店を置こうかと考えた場合、当然日本第二の人口集積地京阪神を束ねる「大阪」となり、その次には九州を束ねる「博多」と北海道を束ねる「札幌」。続いて中間地の「名古屋」「広島」・・・となっていくもので、仙台や新潟のビジネス利用はきわめて小さいことは明らかです。
 これは父の出張地の偏りがあることに対して、私が疑問をぶつけてみた時に説明してくれたものですが、出張が多い方ならば納得されるものと思います。説明がつかないと思われる名古屋の需要は、日帰り出張が増えるなか、大阪と東京の中間地点として場所に適しているからか、大きく増加する傾向にあります。

 ビジネス利用はJRにとって偉大です。いくら高くとも、必要ならば費用として払ってくれる。だからこそ東海道新幹線は今の値段で成り立っているわけですが、エル・アルコン様が指摘されたとおり、限界が近づいているのは確かではあります。

 それだけにレジャーの方は深刻です。原価がいくらなのかわからないほどのパック旅行の安さに対して、安くならない鉄道の割高感が目立ち、利用を下げているように感じます。仮に鉄道側が割引きっぷを設定していなかったとしても、旅行会社がバスや飛行機を利用した安売り攻勢をしていた以上、需要の落ち込みは避けられなかったでしょう。これは行き先と時間が決まっているビジネスとは、大きく異なる点です。

 それだけにJR東日本の施策は確かにあっています。「大人の休日(高齢者)」「めぐり姫(主婦)」などはビジネス層を利用させないなど、したたかな面を見せ付けています。もっとも、もう一つの需要層である「学生」を見ていないのはちょっと間違っていますが・・・。
 一方で「JR東日本パス」のような理解に苦しむ料金設定も目立ちます。仮に「一日10000円、二日16000円」だったとしても、確実に利用は多かったはず。少なくとも売り出し日から空席が埋まってしまうような料金設定は、マクドナルドの65円→59円と同じぐらいの愚策でしょう。少なくとも当日に利用したいという人が使えるように、空席が出るぐらいの料金設定に出来なかったのでしょうか。
 少なくともJR-Eのフリーパスの指定席発券に関しては、オプションとして追加料金にするぐらいの方法をとる必要があるでしょう。指定席は一律300円、グリーン車は通常料金の3割あたりが妥当でしょうか・・・。

 平均単価の減少については、エル・アルコン様ご指摘のとおり企画商品によるものでしょうが、私としてはそのままにしていたら逃げていたであろう客を引き止めた、と感じるところであり、施策として決してまずいわけではないと思う次第です。ただ、そのフリーパスの設定に関しては甲乙つけがたいところではあります。指定席がある程度残るような設定であるべきでしょうね。

 ちょっと補足を・・・。
 「東北筋でスーツ姿の会社員がいない」というのは優等列車(現状の「はやて」「こまち」)のことで、短距離区間において多くのサラリーマンが利用していることを否定しかねない発言になっていたことを訂正しておきます。あくまで優等内の乗客を見て、の話です。
 長距離においては単身赴任者とおぼしき利用(金曜上り)は多く見られましたが・・・。(串間)

Re:展論その1・「マクドナルドのジレンマ」の出現
 投稿者---仙人氏(2003/05/20 21:12:35)

 仙人と申します。
 東北新幹線の沿線の住人で、件の「東日本パス」は複数回利用しました。
 エル・アルコンさんの深い分析と鋭い洞察には、いつも敬服しております。
 ただ、今回の「マクドナルドのジレンマ」には疑問だらけです。

疑問その1 JR東日本の新幹線は本当に実質「減収」だったのか?

 エル・アルコンさんのコメントの中にもありましたが、2002年度の東海道・山陽新幹線は輸送量・収入とも3%前後の減となりました。この数字を「安売り施策を実施しなかった場合」のベースと考えたならば、東日本の新幹線の輸送収入の0.2%減を「減収」(=営業政策の失敗)と見るのは果たして妥当でしょうか。
 確かに12月の八戸開業はありました。しかし、新規開業部分は全線の1割足らずの長さの末端区間(輸送量が恐らく一番少ない)であり、年度の3分の1しか効いていないことも考え合わせれば、新幹線全体で0.2%減という数字は実質的には増収(というか営業政策の成功)の可能性すらあると思います。

 百歩譲って減収とみなすとして、
疑問その2 もともと「東日本パス」は減収承知の謝恩が目的ではなかったか?

 「東日本パス」は発売側の予想を大きく上回る人気となった旨の報道がなされましたが、その記事の中でJR東日本の幹部(社長?)が「もともと完全民営化を機会に顧客への感謝の気持ちを示すために発売した(還元のための)企画商品であり、もうけは見こんでいない」とコメントしていたと記憶します。なるほど、3月の「顧客感謝月間」(という名前だったかな?)の一環という位置付けのきっぷでした。破天荒とさえ思える割引を見れば、その趣旨にもうなづけるものがあります。
 つまり、減収だったとしても、それは政策の齟齬や失敗を意味しないのでは、ということです。

 百歩譲って政策の失敗とみなすとして、
疑問その3 「マクドナルドのジレンマ」はあてはまらないのでは?

 「マクドナルドのジレンマ」の意味は、「安売り(100円ハンバーガーなど)を長期間継続することにより、顧客がその価格をしだいに実質標準と認識してしまったため、安売りの解除時に値上げと受け止められ予想外の顧客流失を招いた」というものだったと思います。違っていたらご指摘ください。
 今回の「東日本パス」はもともと期間限定とうたわれており、利用日数も週末ののべ数日間とごく限られたものでした。また他に恒常的な割引きっぷは見当たらず、「こまち」「はやて」の全席指定席化など逆に恒常的な単価増をねらった政策も目立ちます。マクドナルドのケースとの違いは明らかでしょう。
 そもそも、期間限定か否かに関係なく大幅な割引を行えば、利用数の伸び>収入の伸びとなるのはごくありふれた結末であり、待ってましたとばかりにマクドナルドの失敗を持ち出すのは早計と思いますがいかがでしょう。

 それでも問題だと受け止めるとして、
疑問その4 東日本の新幹線のケースは、方向としてはいままでの東海道・山陽新幹線の論議の中で望まれたものに近いのでは?

 もし誤解があれば申し訳ないのですが、ここ最近この掲示板でエル・アルコンさんや和寒さんを中心に議論されてきた東海道・山陽新幹線の料金体系に関する話題の結論は、

「現ダイヤでの「のぞみ」の附加料金は明らかに顧客から受容されていない。需要の低迷や航空機との競合、はたまた企業等の交通費削減の動向などを考えると、のぞみ料金の撤廃ないし大幅縮小が望まれる」

というものであると理解しました。
 単価の低下こそが顧客や企業等のニーズに合致するポリシーであるという論旨。私も同感です。当然それを補うだけの顧客の増加は運営側としても必要不可欠ですね。
 さて、今回エル・アルコンさんが疑問を呈した2002年度のJR東日本の新幹線に関する数字(輸送量の増加>収入の増加)は、その「望ましい」とされた方向を彷彿とさせます。このあたり、論旨の一貫性は保たれているのでしょうか。東海道新幹線と東北新幹線との事情の違いの一言で片付けるには、結論が正反対に過ぎるように思います。

 非常に批判的で恐縮でした。吟味してくだされば幸いです。

Re:展論その1・「マクドナルドのジレンマ」の出現
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/05/21 00:47:26) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 仙人さん、ご指摘ありがとうございます。以下、ご回答させて頂きます。

●絶対値での減収に対する懸念がスタート
 拙論は絶対値としての「輸送人キロ」が伸びたのにも関らず、同じく絶対値としての「運輸収入が減少した」という一点に尽きます。これは「伸び」としての差違や爬行とは全く性格が異なると見ています。
 八戸開業についての評価も、その延長開業は100kmに満たない距離であるにしろ、各メディアで大幅増と報じられた利用増加が、大票田である首都圏から既存開業区間を経て八戸に至ったと考えるのが自然であり、既存区間のほぼ全区間を乗車する流動による押し上げという営業面では申し分の無い背景にも関らず、減収という事態になったことを疑問視している訳です。

 「東日本パス」を名指しで出したことは誤解を招いたかもしれませんが、その他にも「土日きっぷ」「三連休パス」といった商品が事実上通年の週末発売体制になったことも大きいのではと考えています。特に普通車指定席に加え、グリーン車への乗車も可能な商品により、グリーン料金の値下げとは比較にならぬ減収を招いているのではという懸念を持つとお考え下さい。
 なお、「東日本パス」については閑散期の設定にもかかわらず相当な誘発効果や波及効果を生んだとされています。本当にこれが「誘発効果」であれば、単価は大きく減っても、収入の絶対値は増加こそすれ減らないはずであり、ますます「減収」のメカニズムの説明につき「期間限定の」商品に理由を求めることが困難になる、つまり、構造的な減収傾向に陥ったという指摘に至ります。

●マクドナルドのジレンマ
 和寒さんの原文を再掲しますと「商品を値下げすれば需要が伸びても利幅が減るし、そうかといって値上げすれば(というより元の価格に戻すとした方が正確か)客が逃げ売上減になるという現象」という定義になります。
 今回私がこの言葉を用いた真意は、前段を専らにしており、確かに後段の「ジレンマ」を構成する部分に適切に当てはまる部分がないので、誤解を招く表現であったと反省しております。ただ私も拙文中の「安くしないと乗ってくれない、乗っても収入は増えない状況」という表現を以って「ジレンマ」となると考えており、和寒さんの定義と全く違うかと言われますと、私自身はほぼ同義ではと考えてはいます(誤解しているとしたらご指摘頂ければ幸いです)。

●これまでの議論との整合性
 東海道・山陽新幹線については「デファクトの数字を守った上で、附加料金が受容されるかどうか」という論点であり、JR東日本の新幹線については「安くしないと乗ってくれない、乗っても収入は増えない状況」という論点として併存が可能と考えます。もちろん東海道・山陽新幹線においても「ジレンマ」的な現象に至る危険性が無いとは言えませんが、足下の議論においては少なくとも利用の主力である「ビジネスきっぷ」自体の更なる安売りや、さらなる価格破壊商品の設定を前提にしてはいません。

 非常に微妙な表現の違いですが、お分かり頂ければ幸いです。

「新幹線回数券」デビュー
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/06/27 21:00:22)
 
 http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs
「新幹線回数券」デビュー
└やはり廃止か「ビジネスきっぷ」
 └実質値上げのマグニチュード
  └航空機側の様子はどうか?
   └ついに動いた
    └Re:ついに動いた
     └更なる追い討ちか!
   └この「値上げ」で考えられること
    └デファクトスタンダードへの抵抗は吉か
     └対チケットショップという観点でしょう
      └Re:対チケットショップという観点でしょう

       └割引スタイルに求められる変化

(以下次ページ)
        └空いた座席に誰が座るのか
         └沃野に塩を撒く...
         └航空の余力が生む怖さ
          └政府がもっとちゃんとしてくれればねぇ・・・

「新幹線回数券」の相場

 └「新幹線回数券」の相場(10月初旬:神戸市内調べ
)

 6月26日、JR東海と西日本は現行の「のぞみ指定席特急回数券」を6月30日発売分をもって終了し、7月1日から「新幹線回数券」「新幹線回数券20」「のぞみ指定席回数券」に改組することを発表しました。

 10月改正からの「のぞみ」中心ダイヤに対応した商品で、「のぞみ指定席回数券」を除き、「のぞみ」「ひかり」「こだま」共通となっており(「のぞみ指定席回数券」はなぜか「のぞみ」「ひかり」のみ)、原則6枚綴り、ただし東京都区内−大阪市内のみ20枚綴りの「新幹線回数券20」が発売されます。

http://jr-central.co.jp/service.nsf/doc/shinkansen_kaisuken
http://www.jr-central.co.jp/news.nsf/frame/2003626-172017

 10月からの「のぞみ」値下げ対応商品が7月から先行登場ということで、「のぞみ」利用者にとっては7〜9月の3ヶ月間に限り大幅値下げとなる福音ですが、気になるのは僅か5日前の発表であり、既に購入どころか指定券交付を受けている利用者はいい面の皮です。
 払い戻しについては、同一区間・等級の新しい回数券の購入を条件に残余券片の無手数料払い戻しに応じるとありますが、残り1枚の人は6枚分買わないと払い戻せないとか、指定券交付済みの救済とか、「ビジネスきっぷ」との逆転とか、非常に問題のある取扱です。

***
 さて、27日の各メディアは例によって「のぞみ回数券値下げ」という見出しですが、この商品が「のぞみ」利用の定番商品として位置付けられることは、「新幹線回数券20」の存在で明白でしょう。現行の「ビジネスきっぷ」がもし存続するとしても、「のぞみ」利用時の「のぞみ利用券」との合計価格が、「新幹線回数券」を下回ることは無いでしょうから。

 では、主な区間の1枚あたりの新旧料金比較に入ります(東阪間のみ「新幹線回数券20」。カッコは現行「ビジネスきっぷ」。京都は指定席回数券との比較)。

◆まずは普通車です。

東京−大阪 13,240 (12,160) ▲1,080
東京−神戸 13,760 (12,580) ▲1,180
東京−京都 12,710 (12,210) ▲500
大阪−福岡 12,900 (11,930) ▲970
東京−名古屋 10,070 ( 9,770) ▲300

 割引率の高かった大阪、神戸への値上げ幅が9%と高いです。
 東京−新大阪間の「のぞみ」料金が300円と先に報道されており、もし「ビジネスきっぷ」と「のぞみ利用券」が存続し、その合計が「新幹線回数券」と等しいと仮定したら780円高い設定です。これは現行の「のぞみ」料金970円に対する「のぞみ利用券」2,350円の1,380円増しに比べると緩和されていますが、割高感は否めません。

(10月改正後の個札料金:PDF) http://www.jr-central.co.jp/news.nsf/news/…

 現行の「のぞみ指定席特急回数券」との比較ですと、東阪間で14,510円でしたから1,270円の値下げというわけですが、「のぞみ」の個札自体が値下げされることを考えると素直には喜べません。「のぞみ」の個札は14,050円と報道されているので、10月以降の割引額は810円、5.7%の割引とやっぱり相当渋い対応です。

◆さらにグリーン車の比較です。

東京−名古屋 14,070 (12,950) ▲1,120
東京−大阪 18,390 (14,590) ▲3,800
東京−神戸 18,910 (15,010) ▲3,900

 こちらは20枚綴りの商品が無く、「ビジネスきっぷ」との単純比較は出来ないのですが、上記のプレスリリースでは、「10月1日からの新しいダイヤを踏まえ、「新幹線回数券」がカバーする区間については、これまでの「ひかり」のご利用を前提とした商品を廃止するなど商品構成の変更を考えておりますが、その具体的な内容は、ダイヤの詳細とともに7月末に発表します。」とあり、この時点で「ビジネスきっぷ」クラスの「新幹線回数券20」の発表があったことから、グリーン車用の多券片型回数券の設定は無くなるという可能性が強いです。

 しかし、そうなるとご覧の通り、東阪間で26%、3,800円の値上げになります。これはあまりにも無謀な値上げ幅であり、何らかの緩和措置が無いと、ただでさえ苦戦気味の3両のグリーン車がいよいよ厳しいことになりかねません。
 個札との比較でも、10月改正後は東阪間で18,690円ですから(上記14,050円−510円+5,150円)、わずか1.6%、300円の割引とはあんまりな感じですし。

***
 今回の発表でまず問題なのは、利用者が必ずしも望んでいない「のぞみ」増強(事実上の統一ともいえる)を強行し、あまつさえ大幅な値上げに踏み切ったことです。特にグリーン車の値上げ幅は強烈で、現行のグリーン車用「のぞみ変更券」が東阪間で4,550円ですから、現行の「のぞみ」利用者ベースでも750円の値下げにしかならず、普通車が1,270円の値下げになっているのと比較してもバランスが取れません。
 最低でも「新幹線回数券20」のグリーン車用の設定が無いと、グリーン車利用者の不公平感が高まることが予想されます。

 次に問題なのが、これにより航空機との格差が縮まったことです。
 7月から航空各社の値上げがあるということで安心している向きもあるようですが、それでも航空機の特定便割引や回数券などの実勢が保険料込みでも14,000円程度になりそうです。
 価格差は今と同様1,000円弱というところでしょうが、15,000円台が予想されるシャトルも含めて、13,000円からの1,000円割引と、14,000円からの1,000円割引では難易度や余力が全然違うことを考えると、比較的余力をもって「同額」もしくは「やや安」の設定をぶつけてくる可能性があります。特に固定費部分が大きくとりあえず乗客を確保することが第一の航空機ですから、最大のマーケットである東阪間の戦略をどう立ててくるのか、それを考えると今回の「新幹線回数券」の「賭け」がどうなるのか、やや心配でもあります。

 品川開業で新幹線の時間的優位性が盤石、という見方も出来ますが、特に重要なビジネス需要において、午前中に東京や大阪に入る際、発地サイドの出発時刻が遅く出来るという特徴は航空機に絶対的なアドバンテージを与えています(早朝の新幹線に間に合わない近郊居住の人でも楽に乗れる。また、帰りも家に早く帰れる。帰宅時間を早めることで深夜手当てを削減出来るという隠れたメリットもある)。
 そのメリットを比較的安価に手に入れることができるとなった場合、やはり航空機へのシフトが発生しない保証はあるでしょうか。

やはり廃止か「ビジネスきっぷ」
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/07/01 11:44:33) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 7月1日の「新幹線回数券」デビューに伴い、東海道区間では割高になる「のぞみ指定席特急回数券」が発売を終了しました。
 一方、山陽区間では、「のぞみ指定席特急回数券」のほか、割引率を高めたことで割高になった「新幹線指定席特急回数券」のグリーン車用もあわせて発売を終了しており、その点では紛れの無い施策です。
 ここで気になるのは、「新幹線回数券」のグリーン車用が、山陽区間では従来の「ひかり」利用商品よりも割安に設定されたこと。これは東海道区間に無い特徴であり、グリーン車のてこ入れが急務という感が窺えます。

 ところが、やはり山陽区間でも「山陽新幹線エコノミーきっぷ」との比較では割高になります。
 もちろん「ひかり」は定期5往復を除いてグリーン車がない「レールスター」であり、普通車には前月購入が条件ですがさらに割安な「ひかりカルテットきっぷ」もあるわけで、少なくとも「カルテットきっぷ」が残っていれば「エコノミーきっぷ」が無くなっても救いはあります。
 しかし、「カルテットきっぷ」の設定が無いグリーン車は悲惨で、5往復しかないとはいえ「ひかり」利用だと大阪−北九州で2,420円、福岡で3,570円の値上げになります。これではグリーン車に乗る人などいないでしょう。

 ちなみに「カルテットきっぷ」ですが、現行は「エコノミーきっぷ」比で「ひかり」が930円、「のぞみ」が2,030円の割引ですが、「新幹線回数券」比では「ひかり」が1,900円、「のぞみ」820円になります。このため、こちらも「のぞみ」「ひかり」一本化の上、値上げとなる可能性が強いでしょう。

***
 さて、最大の焦点である「ビジネスきっぷ」ですが、6月30日の産経によると、JR東海は自由席回数券を廃止する意向のようです。

http://www.sankei.co.jp/news/030630/0630kei132.htm

 さらに記事では、『「ひかり」「こだま」の自由席回数券のほかに、現在は「のぞみ」に乗れない指定席用、追加料金を払えば「のぞみ」に乗れる指定席用の回数券がある。いずれも新幹線回数券より安いが、JR東海は新幹線回数券に統合することを検討中だ。』とあり、「ビジネスきっぷ」「エコノミーきっぷ」の廃止が現実のものとなりそうです。

 結局、「のぞみ」料金をそれなりに下げる代わりに、回数券の割引率を現行の「のぞみ指定席特急回数券」並みに悪くした商品に統合して、利用者の太宗を占める「ひかり」を回数券で利用する乗客にとっては大幅な値上げになることになりそうです。

実質値上げのマグニチュード
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/07/01 13:10:03) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 今回の「実質値上げ」のマグニチュードですが、もちろんデフレが深度化する中、名目での値上げは額面以上の実質となってふりかぶります。

 企業にとって「経費(旅費)」となる部分ですが、このご時世、経費削減が当たり前の中で、新幹線の「実質値上げ」を理由に「経費」増加の予算を組めるような悠長な企業はありません。
 当然、「経費(旅費)」総枠は一定若しくは外部環境に関わらず一律カットが当たり前であり、そのためには無駄な出張の削減、必要最小限の出張しかしない、というように工夫を凝らすわけです。

***
 今回、「ビジネスきっぷ」比で約1,000円の値上げとなりますが、これを企業の経費でシミュレーションしてみましょう。

【企業モデル】
 東京本社、大阪本社を持つ東西両本社制の企業。
 両本社から毎日10人が相手の本社に日帰り出張する。

 この会社の1日のトリップ数は、10×2×2=40
 年間250日として250×40=10,000回となります。

 この企業の場合、1,000円の値上げは年間で1,000万円のコストアップとなります。

 このコストアップ(実際の外部流出)を取り返そうとすると、例えば売上高最終利益率が5%としたら、なんと2億円の売上に相当します。それだけ売らないと1,000万円は出てきません。
 もちろん「のぞみ」による時間短縮がもたらす効果もありますが、往復で1時間にもならないレベルではいかばかりか。航空機にしたほうが、特に多彩なリムジンの存在を考えると直行直帰時の出張手当や時間外の支給で有利になりますし(法定割増の必要な時間外にかからないように遅く出る、早く帰ることが可能)。

航空機側の様子はどうか?
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/07/01 18:03:19) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 最近、航空機がシェアを伸ばしているといっても新幹線は品川開業もあるし、7月から運賃も値上げするからという理由で東阪間での新幹線優位が言われますが、果たして新幹線の優位は確かでしょうか。

 例えば明日7月2日の航空機の運賃を検索してみると面白い結果が出ています。前日の予約購入であれば新幹線利用とそう変わりが無いわけですが、前日ならまだ特定便割引といった割引が使えます。

 ANAの羽田→伊丹・関空で見ますと、保険料込みのチケットレス予約で伊丹が11,200円〜14,100円、関空が10,200円〜13,150円。シャトルで14,500円、4枚回数券で13,050円です。ちなみにスーパーシートは4,200円です。
 特割を個別に見ますと、伊丹は羽田朝7時台の便が11,200円、18時以降の便が13,150円。関空着なら羽田20:55、21:45で11,200円で、その前が13,150円といった感じ。

 ビジネス利用のモデルケースとして、

  1. 羽田7:15→伊丹8:15の013便で行き、伊丹18:00→19:05羽田036便で帰るとしたら、
    往路11,200円、復路12,150円。合計23,350円。

 関西の方なら、

  1. 伊丹7:15→羽田8:20の014便で行き、羽田18:30→伊丹19:30の037便で帰ると、
    往路12,650円、復路13,150円。合計25,800円。
  2. 関空なら関空7:20→羽田8:25の142便で行き、羽田20:00→関空21:15の149便で帰ると、
    往路11,200円、復路13,150円。合計24,350円。

 そしてスーパーシートは4,200円です。

 新幹線は東阪間「新幹線回数券20」で往復26,480円。金券屋手配なら27,000円程度でしょう。
 しかもグリーン車との価格差は片道5,150円です。
 単純比較で4枚回数券より高く、エンドーズの効くシャトル往復との差も1,000円程度。特割利用だと前後のアクセスを入れても航空有利となりそうですし、少々高くとも自宅側で直行直帰が可能なリムジンを選択することも可能です。

 さらにグリーン車の場合、スーパーシートの方が完全に安くなるだけに、「長時間座ったきり」とならない航空機の優位性は非常に高まります。

***
 2000年の全国旅客純流動データによると、新幹線は2000年、航空機は1999年のデータにもかかわらず、航空機は既に23区と大阪市内で15%のシェアがあり、堺など南河内、泉州では既に航空優位、神戸・阪神間で20%、東大阪や豊中など大阪近郊で25%程度と、空港が遠く手戻りになる京都が2%程度にとどまるほかは案外とシェアを確保しています(23区から京阪神エリアで20%程度)。

http://www.mlit.go.jp/seisakutokatsu/jyunryuudou/

 その後の航空機の増便にも裏打ちされた伸びを考えると、足下のシェアは京都を除けば過去の議論でもありました通り、30%程度の確保があってもおかしくない状況です。

JRと利用者の10年戦争 015.html#2

 今回の「新幹線回数券」「新幹線回数券20」への統合がそのまま実現した場合、7月の値上げ後の数字で価格競争力を十分に持つ航空機のさらなるシェア増大どころか、航空機側の戦略次第では場合によっては「逆転」も視野に入るといってもあながち冗談でもないかもしれません。

ついに動いた
 投稿者---とも氏(2003/07/25 12:30:05) http://www.koutsu-machi.com/

 ともです。
 ついに航空会社が動き出しました。

ANAプレスリリース http://svc.ana.co.jp/pr/03-0709/03-089.html

 東京−大阪間のシャトル往復割引が片道13,700円(▲800円)となるほか、岡山・広島へのリピート(4回回数券)も大幅値下げ(岡山線15,000円(▲4,700円)、広島線17,000円(▲2,950円)となります。
 さらに企業向け回数券のビジネスリピート(無記名式)では岡山線で14,700円、広島線で16,650円とさらに安くなります。
 JALからは発表がありませんが、東阪間・東京中国地方間に力を入れるANAの今回の策は見逃せません。

 なかでも東京−大阪間では、「のぞみ」の正規指定席料金で14,050円。新幹線回数券が1枚あたり13,240円。過去の例から行けば金券屋での実勢は13,400〜13,500円見当でしょう。
 それに対して特に制約のない(エンドース可)のシャトル割引が新幹線回数券との料金差500円以内、正規指定席料金よりも安いというのは大きいです。
 ましてやシャトル割引は当日空港でも空席があれば買うことが可能なチケットです。その自由度も高い。

 また、岡山線・広島線においても、双方ともに新幹線回数券を下回ります。

 さて、この策がどうでるか。10/1以降に注目したいところ。
 それでは。

Re:ついに動いた
 投稿者---エル・アルコン氏(2003/07/25 19:38:27) http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

 JALも動きましたね。同内容でしかも9月からとJRのみならずANAに対してもという王手飛車チックな先制パンチです。

産経 http://www.sankei.co.jp/news/030725/0725kei087.htm

 今回もっとも注目したいのは、航空側が「正規運賃」であるシャトル往復で、鉄道側の「企画商品」である「新幹線回数券」とほぼ拮抗したこと。そして鉄道側の「正規運賃」を下回ったことです(チケット発行ベース、保険料込みで50円安い)。

 航空側は搭乗変更や振替が可能で、しかも新幹線だとエクスプレスカードなどの会員に限定される電話予約も原則OKです。見逃せないのは、多客期制限が無いことであり、盆暮GWになると250円航空機のほうが安いのです。
 もちろんよほど目的地が東京駅・品川駅と新大阪駅に近くない限り、時間的優位性があるわけで、こうなると速くて便利、しかも安い(か、ほぼ同じ)という移動手段に背を向ける道理はありません。

 航空各社が動いたことで、「お山が動く」可能性が無いとは言えなくなりました。

更なる追い討ちか!
 投稿者---551planning(2003/08/22 21:32:30)

 率直に申し上げます。当方、管理者なんぞで偉ぶっているわけですが、卑下でもまた皆様のことをどうこうというわけでもなく、客観的な側面からの立論・補強が弱い性質でして、特にこの「のぞみ論」について数々のデータおよび御意見を拝読してきたながらも、キャパシティや東阪間以外の需要の存在を考慮すれば、JR-Cのある意味媚びないというと語弊があるかもしれませんが、そのように映る施策も十分に「あり」だろうと思っており、よって参加してこなかった、すなわち当方自身の中では率先して議論に加わるという事はありませんでした。

 しかし今日、この2つの記事を眼にして、当方の考えは大きく揺らごうとしています…もちろん「主観的」にという註は入りますが。

JR秋の臨時列車、「のぞみ」大幅増発 日経(08/22) http://www.nikkei.co.jp/news/…
全日空、新幹線「のぞみ」競合路線のマイル2倍に 日経(08/22) 
http://www.nikkei.co.jp/news/…

 先ず前者。なるほど、臨時でも「のぞみシフト」かとその徹底振りには改めて驚きますが、一方ではJR-Cとしては繁忙期の臨時便について数年前から着実にひかり含め全車指定列車を運行することでの確定提供座席数をアピールしてきた事もあって、その意味でも王道であるとも言えそうです。それにしても臨時のぞみ867本に対してひかり9本ですが…。

 そして後者。まずお断りしておくと、当方いまだにあの金属の塊が空を飛んでいるのに納得していない(!)という性格でして、よって成人をとうに過ぎて初フライト、いまだ搭乗回数を指折り数えられる程度なのですが、ここ2年で急増中…まさに虜になった理由はマイレージですね。特に最初のお付き合いのANAから浮気した事は一度もなく、『乗るたび1000マイルキャンペーン』なんて云われるともうがめつく貯めこもうという状態に…しかしクレジットカードはやだななんて思っていたところにEdy対応ですから、もうコンビニはampmだけ!なんてなコトになっておりまして…。
 大なり小なりそんな方は多いはず。しかもまさに「のぞみ」狙い撃ち企画第2弾ですから、安くなるわマイルは貯まるわ…ANA、本気ですね。

***
 ま、冷静に考えれば、トータルで見て「安心感」があるのは新幹線に間違いなかろうという思いは揺らぎません。品川開業による全線フルダイヤ可能化により、季節を問わず全日において着席可能性もかなり高くなることは間違いないでしょう。さらに云えばむしろ運賃の「定額性」が利用者に安心感を与えることもあると考えます。
 しかし旅する者としては、航空のバラエティ性は強く訴えかけてくるものを感じずにはいられません。幅運賃然り、マイル然り、いわゆる「くすぐり」が堪らないのです。ただアイデア勝負になってきていることも事実、さらには世界的な航空不況による企業脆弱性の危険もまたあることは否めず、ビジネスとしてはハイリスク・ローリターンの方向性にあることが気掛かりなところではあります。

 ただ、皆様がこれまで議論されてきた中で、「それでもJRは揺るがないのか?」という問いかけについて、恥ずかしながらようやく理解しかけてきたと申し上げさせて頂きたく…投稿としてはズルい部類に入るかもしれませんが、以上率直に主観「押し」で述べさせて頂きました!

この「値上げ」で考えられること
 投稿者---和寒氏(2003/07/02 08:21:24) http://www.geocities.jp/history_of_rail/

 「のぞみ」シフト論の対論者としてひとこと。
 といっても、同じことの繰り返しは意味がないので、簡潔に。

 JR東海の打ち出した「実質値上げ」は、本来望ましい方向性からは異なるものといえます。
 それを敢えて「真っ向勝負」している背景はなにか。やはり、割引率の高いビジネス客がある程度(あるいは相当程度)逸走しても、「新たな沃野」を求めたい、ということなのではないでしょうか。ひょっとすると、「新たな沃野」を求められる目算が得られているのかもしれません。

 極めて個人的な感覚から演繹します。
 「ビジネスきっぷ」のようなヘビーユーザー向け回数券がバラ売りされているという実態は確かにあります。しかし、スポットユーザーにとっては、どこでバラ売りしているか(チケットショップがどこか)の情報が少ないですし、それを知っていたとしても立ち寄るほどの時間を割けるかどうかという問題があります。つまり、その存在を知っていても、利用できる機会の(少)ないスポットユーザーに対してたいへん強い不公平感を与える状態が、現状だと思います。
 この個人的感覚をJR東海側に投影するとどうなるか。本来もっと収益できるはずの個客を相手にしているのに、チケットショップを通じていたずらに安価で叩き売りしている、という感覚になるのではないでしょうか。
 チケットショップというシステムに対する挑戦(JR東海にしてみれば調整にすぎないかもしれない)が、この「実質値上げ」の本質と見ます。ただし、それでヘビーユーザーの太宗を失っては、元も子もないのですが。

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2007.01.28 Update


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