【検証:】過去ログSpecial

【検証:近未来交通地図】Special001
香港・オクトパスカードに見る
共通乗車カードシステムの未来
(2001/08/04)

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香港島側で走っているノンステップ低硫黄軽油対応ハイブリッド2階建バス
 表示器はLEDではなくドット表示(よく漢字に対応している!)
全長15m、座席だけでも120席近くある(写真はとも氏提供)



 JR東日本のSuicaの導入に続き、大阪においてもICカードによる乗車システムがスタートすることになりそうである。 しかし、JR-Eのシステムにおいてはパスネット加盟各社の参画は夢に近く、大阪地区においての民鉄各社の参入についてもいまひとつはっきりしないという現状がある。

  そんな日本の状況とは対照的に世界各地の都市では共通乗車ICカードシステムの導入が盛んであり、電子マネー機能の付加などによる高度化も含め様々な都市において導入が進んでいる。
 このICカードシステムにおいて世界の最先端をいっているともいえるのが香港の「オクトパスカード(八達通)」である。 「オクトパスカード」については最近、様々なメディアでの紹介が増えているので、みなさんすでに御存じの事と思うが、香港の地下鉄(MTR)、バス、LRT、フェリー、マキシキャブ(乗合タクシー)、九広鉄道(KCR)などでの使用が可能な共通乗車システムであり、ICカード接触による改札を可能とし、さらにくり返しチャージすることが可能となっている。 今年からは香港内のセブンイレブンにおいてプリペイドカードとして利用できるようになったほか、公衆電話での使用も可能であるなど、電子マネー機能の強化がされている。

 今回、香港を訪ねる機会に恵まれたので、オクトパスカードを利用してみた。


1 購入

 オクトパスカード(写真左側)は、MTRのカウンターにて購入できる。香港の地下鉄各駅には「服務処」といういわばサービスカウンターがあり、そこで購入が可能である。また、外国人の場合には、空港到着ロビーにある交通インフォメーションでも購入が可能で、ここでは旅行者向けのツーリストカード(写真右側)の発売も行われている。
 オクトパスカードは1枚150HK$(約2,300円)で、100HK$が利用可能なチャージ額、残りの50HK$がデポジットである。 一方、ツーリストカードは300HK$で、空港〜市内のエアポートエクスプレス往復に地下鉄3日間フリーとなっている。 今回は、実際の使用のしやすさをチェックすることを目的としているので、一般のオクトパスカードを購入した。

2 使用

 使用方法は至って簡単で、改札機にあるセンサーにカードを触れさせればOKである。
 しかし、現地の香港人はそんなことはしない。どうするかと言えば、カバンに入れたまま改札機に接触させたり、財布ごと接触させるのである。 右の写真のように、バッグのポケット部にカードを入れ、そのままバッグごと押し付けるのである。 これはいちいち、カードを財布やパスケースから出すのにくらべ簡単で、一度試すとその楽さから病み付きになる。

Hongkongの常識…passはカバンの中

3 利用可能な範囲

 このカードは香港内のほとんどの交通機関で利用可能であり、さらにセブンイレブンでの買い物の支払にも利用可能である。これにより小銭はほとんど持ち歩く必要が無く、旅行者にとってもうれしい点である。

4 足りなくなったら

 残高が不足してきたら、「増殖機」と呼ばれるチャージ機で追加できる。 ただ、この機械では50HK$または100HK$での増殖しかできないため、おつりが欲しい場合などはカウンターで増殖してもらうこともできる。 また、セブンイレブンのレジでも増殖が可能であり、チャージは割と容易である。 チャージし忘れた場合にも、1回に限り自動的にデポジットから引かれるので、いわゆる乗り越し精算的なものは必要無い。

「増殖機」とは恐れ入る…?

5 使い終わったら

 このカードは最後の入金から3年間有効(ツーリストは3ヶ月)であるが、もし不要になった場合にはカウンター及び増殖機で払い戻しができる。 この場合、デポジット+チャージ分全額の払い戻しを受けることができる。 また、カードを手許に残したい場合には、チャージ分だけの払い戻しもできる。

6 使い勝手

 ハッキリ言って良い。不馴れな旅行者にとっても、非常に使いやすく、さらに運賃自体がこのカードで乗車すると割引になるためお得感がある。 また、バスのように細かい単位の料金のものに乗車するときにも小銭不要というのは大きい。 事実、日本人観光客で個人で廻る人の多くは購入しており、リピーターなどは払い戻しなぞせずにそのまま使い続けているようである。

7 日本への導入の可能性

 このカードの場合、どんな料金システムにも対応可能であり、ETCなどとの共通化などによって総合交通カードとしての成熟についても考えられる。 さらに、日本において遅れている電子マネーの普及にも寄与するものと考えられ、ぜひとも導入を検討してもらいたいところである。 前回の運輸政策審議会の解説においてもこのカードは紹介されており、国が調整役となり、全国統一の基準やシステム互換性などの検討もすすめるべきであるし、料金割引など普及に向けた施策も必要となるであろう。


 最後に、もし香港に行く機会があるかたはぜひとも使ってみていただきたい。 この便利さはパスネットやイオカードの比ではなく、NYのメトロカードやチケットキャンセラーによるマルチライダーよりも便利である。 ちょうど私が地下鉄の車内で耳にした日本人OLの一言がまさしくこのカードシステムの便利さを物語っている。

「香港ってあやしかったけど、日本より全然進んでるんだね。
こんなに楽で便利なカードで電車に乗れるし」

Abroad Travel Photo Diary (とも様のサイト 香港の乗り物紹介ページもあります) http://www.geocities.co.jp/SilkRoad-Desert/8325/

2004.11.14 Update


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