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SKY

SKY最後の新航路?新千歳那覇線搭乗録

2015/01/28夜、スカイマークは東京地裁に民事再生法の適用を申請し、経営破綻に追い込まれました。2012/03期決算で売上高803億円、営業利益153億円の過去最高益を誇ってから僅か3年弱-エアバスを敵に回し、JALとANAを両天秤にかけ、国交省をも悪者に仕立て上げたこの半年間の動向から、言葉は悪いですが“壮絶に散った”感すら覚えます。

【検証:】では西久保体制後も続いた地方路線での“摘み食い”への不快感を示す一方で、経由便や深夜戦略などの挑戦には実際に搭ってみるなど、とかく目が離せない存在でもありました。A380やA330グリーンシート戦略も結果的に首を絞めたとはいえ、方向性そのものまでが全く御門違いであったとは思えないのです…ただ、経由便や深夜戦略がそうであったように、時代を数歩、いや数十歩先んじていた印象は否めないかなと。

その意味で、経営破綻から3ヶ月前のこの発表にも、複雑な心境を飛び越えて「搭ってみたい」という単純な想いが(まぁ、見方によっては多分に不純でしょうが)湧き上がったものです。

新千歳那覇線は云わずと知れた国内最長定期路線。現在はANAが就航していますが、2012/10に約11年半ぶりの復活、JALも2007/11限りで運休しており、ANAも旅割75で24,100円、普通運賃に至っては70,100円というシロモノ。かつての1日乗り放題時代ならいざ知らず、おいそれと手が出る金額ではないかなと。
そこをSKYは普通運賃でも44,000円、最安11,000円から飛ばそうというのですからね…とはいえ生業的に直前まで決められない当方、結局就航翌日の01/30付で手配したのは01/11時点で那覇発の15,000円也。11月のJAL共同運航提案後、風雲急な状況にちと早めにとは思っていたのですが、手配後も他路線で相次いでいた機材繰り欠航しないかヒヤヒヤ、加えて当日は首都圏大雪情報が出た中で直前キャンセルの可能性すらあったものの、なんとか無事飛べだ次第-とはいえさすがに搭乗2日前、新規就航前夜に会社が倒れようとまでは想定外…翌日に就航セレモニー等があったのか、未だ報道等は目にしておりません。


那覇空港

14:00 那覇空港 16.9度■

2015/01/30(金)、曇天模様な那覇空港の昼下がり。当方の貧乏暇なしは相変わらず、この日は成田から朝イチのJJPで那覇に飛び、新千歳からはVNLで帰るという飛行距離2891マイルの日帰り旅と相成ったのだが、4時間ほどのインターバルを活かしての那覇市近郊のショートトリップを終えて舞い戻ったターミナル内は修学旅行生の大群で賑やかな限り。出発案内には各方面へ向かう便が5分単位で並ぶが、SKY便も多い。
SKYは2005/07に羽田線季節運航深夜便で那覇進出、その後内地路線を順次拡充した後、2011/09から宮古線、2013/07から石垣線にも進出。この日時点では羽田・新千歳・中部・神戸(茨城)・米子・福岡・宮古・石垣と9都市と結ばれていたが、2月以降はうち羽田と1往復のみである新千歳・米子以外の路線で減便が行われ、宮古・石垣線は03/29以降の完全撤退が決定している。
スッタモンダがありつつの離島航路進出、価格戦略で存在感を示してきた中での撤退が波紋を呼んでいるのは各種報道の通りでもある。スッタモンダで思い出されるのはカウンター問題。宮古就航時には3Fと1Fで別れることにも…2013/09の国内線ターミナル増築で3F新棟に統合されたが、そのだだっ広いスペースはなにやら静まり返っていた。14時台には定期3便のほか、この日はなんと新千歳行チャーター便も!関連は不明も、1月下旬には農協観光のチャーター便が新千歳-宮古・石垣に飛んでいる由。これまではJTAで運航も、今シーズンからSKYに乗り換えていたようで…。

那覇空港

カウンター手前には無論ながら01/28付の「民事再生手続開始の申立てに関するお知らせ」が掲げられていた。それにしてもひっそりとしているなと…思わず係員に頑張って、と一声掛けずにはいられなかったが、笑顔で返してくれたのがせめてもの救いか。ただチャーター便は盛況だったものの、就航2便目となる定期便は「お席空いてますので」とこれまた正直に…事前の座席指定時にある程度把握していたが、まぁダイヤや価格設定等からも、北海道からの沖縄送客を狙ったものと推察はしていたものの寂しい限りなようだ。
そう時間もないので制限エリア内へ。バスラウンジに移動すると、久米島・石垣と並んで札幌/千歳の文字が光る。暫くしてバスが横付けされ車内へ、SKYマークをつけたクルマも結構いる中で今回はJALのクルマで移動となったが、立客も出たものの結果的には50人に遠く満たないといったところだったろうか。午前中の那覇到着時点でも感じたのだが、SKY機がやたらと目につく印象、沖止め2機並びの合間でバスが停まった。雨が落ちてきた中、機材チェックもそこそこに機内へ…ちなみにこの日はJA73NT、2013/05受領の新し目な機材だった。

  • Photo:SKY754
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SKY

【SKY754 那覇14:30→17:40新千歳】

結局バスは1台だった様子、出発準備もあっさり終わって出発。到着便が続いて離陸までには少々時間があったものの、飛び立つと雲海の上へ…午前中もほぼ眼下は望めなかったので期待はしておらず、機内誌を読んだり微睡んだり…それにしても機内誌、A330関連の記載がなんともな気分にさせてくれる。そういえばベルト着用サイン消灯後の機内放送で、民事再生法申請の旨もアナウンスがあったがさすがに一瞬涙声になったかな、「これからも安全運航、全社一丸となって再生に取り組む」という段は力強かったなと。
さて、微睡んでいるうちにぼんやりと外を見ると雲の切れ間から島々が見えた。飛び立って1時間程が経過、さては瀬戸内海辺りかな…と思っていたら、更に晴れ間が広がって、16:00少し前に大きな都市が眼に飛び込んできた。広島だ!そのまま中国地方をひとっ飛び、僅か10分程で浜村の辺りから日本海へと抜けた。
ここで反対側の空席に移動すると、遠くに但馬空港と思しき滑走路が浮かび上がらんばかりに見えた。その後はまた雲海の上…立て続けにJAL機が下っていったが、ドコからドコへ向かう便だったのやら。東の空高くに浮かぶ月をしばし眺めてから自席に戻ると、間もなく17:00の黄昏時に。スカイインテリア仕様を活かして機内のLED照明も赤みを帯びたものに変えられたのはなかなかどうしてニクい演出だった。眼下を見下ろせば薄暗闇の海岸線が見えたが、どうやら蓬田村からの陸奥湾だった様子。
“井の中の蛙”な当方にとって、搭り込む前は3時間強のロングフライト、B737でSKY故機内サービスも乏しいことからどうなるかとも思っていたが、気付けば間もなく降下との放送が。SKYは夜間の離着陸時には機内照明が落とされるが、碧いムーディーな中で最終の着陸態勢に。追分辺りから千歳市街に廻りこんでのランディングとなった。

SKY

■18:00 新千歳空港 0.4度

想定内とはいえ新千歳はさすがに寒かった。成田行VNL便までは2時間ちょいと中途半端故ターミナル内をぶらりとしていたが、SKYカウンターは飾り気のなかった那覇のそれと違って各種装飾が継続。やはり眼を惹いたのは那覇便プッシュ!やはり北海道から沖縄送客がメインだったのか。
ちなみに新千歳発羽田行最終便には翌01/31限りで運航停止が発表されたA330が充当されていたのだが、こちらの案内も継続。TXN系ガイアの夜明けで流されていたCM同様、江口洋介を起用したポスターやパンフ類も健在で、しっかり戴いてきた次第だが、翌々日には消える運命となるのか…『空の常識を、塗りかえてみせよう。』というコピーが、改めてコトの重大さを際立たせる。

米子神戸線の理想と現実■

SKY破綻の一因として挙げられているのが、地方路線の失敗-その象徴となりかけているのが米子空港だ。SKYは2013/12から成田と神戸経由茨城線を就航、2014/04には羽田・新千歳・那覇線を就航させ一挙に6空港を結んだのだが、搭乗率は羽田線が唯一6割に乗せた他は4割と低迷、成田線に至っては3割に留まり、新千歳・成田・羽田線が2014/10で運休、羽田線運休については15年度早期再開を仄めかして地元の動揺を抑えようとしたものの破綻で復活ならず、結局2015/09までに完全撤退となる見込みだ(残る神戸・那覇線ともSKY単独航路のため、運休までに最低6ヶ月必要)。

ところでSKY経由便では2011/01に旭川→新千歳の超短距離航路に搭った当方、やり方次第で可能性も…としていたものの、案の定?早々に消えてしまったが、あれから丸2年を経ての神戸米子線就航についてはかなり興味深い印象を持った。
普通に考えれば「やくも」ないし日交山陰特急バスが想起されるところ、当時の割引運賃フリー3で最安4800円と、山陰特急バスとほぼ同額というなかなか刺激的な設定に(余談ながら新千歳旭川は普通運賃のみ5000円だった)。なにより所要40分というのがどれだけ訴求力を持つか実乗してみたのだが、そこは貧乏暇なし、酔狂飛行となった次第で-

神戸米子

2014/01/19(日)、19:00前にポートライナーで神戸空港へ向かうが、みなとじま駅を過ぎると車内はひっそりと…それでも空港内は賑わっていた。2006/02の開港から丸8年目前の01/15にちょうど搭乗客2000万人を突破と、紆余曲折がありながらも歩みを進めてきたのも、ひとえに西の拠点と位置付けたSKYあってのもの、としても過言ではないだろう。加えて2013/06にはSNAとADOが新規就航し航空会社的には多彩となったものの、そちらはANA戦略でもあり機材的にはほぼB737中心ということで発着枠規制のある空港的には悩ましいところだろうか。
制限エリアに入れば、もともとコンパクトなスペースながら、利用者でベンチが埋まっていた。搭乗便はSKY127便、茨城発SKY287便で、茨城からは一旦全員降機となるため双方の利用比率こそ判らなかったが、搭乗後に見渡した限りでざっと5割強は席が埋まっただろうか。100人弱としてもバス3台分、侮れないものと。この日はJA73NY、2013/10受領の新造機で、現時点でこれがB737最新保有機材となっている。

神戸米子

この日は西日本で吹雪など天候悪化が懸念されていたが、米子にはほぼ定刻着。旭川新千歳より所要では5分長いが、それでも40分はあっという間な印象だった。ダッシュでターミナル内を一巡し直ぐ様制限エリアへ…そう、SKY128便で神戸に取って返すというわけ。旅程組みで逡巡した挙句、双方需要を実見する最適解としたわけだが、さすがにやり過ぎたかなぁとも。そんな戻り便はというとざっと50人程か、さすがに空いた印象も、バス1台で足りるか否かという意味では、可能性を感じたり…とはいえ、さすがに収益性では言わずもがなだろう。


結果的には先述の通り、結局は搭乗率は4割ほどと、この日の実見近くに留まったのだが、せめて惜しまれるのが、経営破綻後の2015/02から半減となった運休1往復がそれでも利用が多かったであろう米子向き(朝の米子発、夜の神戸発)である点だろうか。無論、米子ナイトステイの体制にないという意味では当然な判断ながら、米子“拠点化”におけるSKYと地元の同床異夢を見る気がしてならない。直近の取材で井手SKY会長は修学旅行等の臨時便や季節運航などでの再就航もいずれ-と答えているが、果たしてその日は来るだろうか…。

 

改めて新千歳那覇線、適正価格-という意味ではどのくらいが妥当なんでしょうかね。さすがに7万円は引きますが、ANAの旅割75で2.5万円弱でさもありなん、1.5万円だと安いかな、なんて。それこそLCCが出てきてから空の価格感は全く判らなくなっただけに、結局は需要の有り無し、ということになるのでしょう。
その意味でSKYは、地方路線の“摘み食い”を繰り返してきたわけですが、結果として米子も無残な結果に終わりそうです。ただ、SFJの福岡関西であったり、ANA戦略下でのADO千歳-福島・新潟・富山・小松線であったりと、ここにきて地方路線そのものの難しさもまた実感されるというか。その意味ではFDAの展開は興味深いというか、E170/175やCRJ700、そしてMRJといった100席未満の機材による可能性はあるでしょうし、一方でLCC国内線の次の手がどうなるかという部分においても「SKYの歩んだ道」が示すところは少なくないものと思われます。

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09/01米子完全撤退&経由便も消滅へ

投稿者---551planning (2015/03/04(Wed) 12:15)

神戸と那覇の2路線が残っていた米子空港から完全撤退となるほか、羽田-神戸-長崎、茨城-神戸-那覇の経由便も分断となり、経由便も消滅することに。
「今後も主力拠点として使う。増便もあり得る」との井手会長発言もあった茨城空港については、現在の1往復運休から03/29以降2往復に復便する予定の新千歳・福岡が正式に1往復に戻り計4往復となります。一方撤退可能性も囁かれていた仙台空港は、神戸2往復が残るほか、中部-新千歳、神戸-那覇が2往復から3往復に増便されるなど、明暗が別れた印象も。 個人的には分断となるも4往復が維持される神戸-長崎に注目しました。改めて搭乗実績を見ればコンスタントに6割強を確保してるんですね。西の拠点・神戸空港でも羽田に次ぐ便数であり、こうした路線が見いだせるかが今後のキモになるものと。


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