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深夜急行バス

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深夜特急

富士山麓フクロウ啼く?-新宿発河口湖/御殿場行深夜高速バス登場

2013/06/22、ユネスコ世界文化遺産への登録が決定した富士山-信仰の対象と芸術の源。ゴミ問題等で世界自然遺産への推薦リストから漏れた2003年から足掛け10年を経て、まさしく日本人の心の拠り所、日本の象徴たる存在に“お墨付き”が得られたとあって今夏は各方面で大フィーバーとなったのは記憶に新しいところです(が、今やすっかり2020東京五輪にムーブメントがシフト?したのもまた日本人らしいというか)。

ところで、「富士を世界に拓く」を創業精神とする富士急行はもとより、JR-Eなども急に色気づいたような気もしなくはないアクセス面ですが、異色なアプローチが今夏2路線誕生! ともに高速バスとしても老舗路線である、中央高速バス富士五湖線(新宿→河口湖)と小田急箱根高速バス箱根線(新宿→御殿場)に相次いで“新宿発深夜便”が設定されたのです。東京発の中距離高速バス深夜便では、ミッドナイトみと号(2010/09~)やミッドナイトマロニエ号(2010/10~)、ミッドナイトかしま号(2013/08~)など北関東方面で設定がありましたが、満を持してということなのか…メインターゲットはやはり地元客と考え、閉山後の9月3連休直前をチョイスして見ることにしました。


現行往26+深夜1便/復24便を擁する中央高速バス富士五湖線、繁忙期には増車増便も随時という一大幹線ですが、やはり観光路線という性格が強かったためか早仕舞いな印象もあったところ、近年相次いで強化が図られてきました。2010年上期に1ヶ月間試行した当時最終である新宿20:10発山中湖行への女性専用車両投入を同年12/17から2号車本設化、翌2011/02/10には新宿発22:20発河口湖行を新設、03/05からは土休日のみながら新宿06:00発早朝便も設定されています。

その直後となった東日本大震災の影響考慮もあったのかもしれませんが、中央高速バスでは松本線が今年4月から始発最終便を強化してきたところでの、07/01富士五湖線深夜便登場-早朝深夜が再びトレンドとなってくるのでしょうか。富士五湖線では運賃5割増し設定となりましたが、この点の評価も気になりますね。ちなみに運用は隔月で京王バス東(偶数月)と富士急山梨バス・フジエクスプレス(奇数月)が担当替えとなるそうで。

 
富士五湖線

■09/13(金) 新宿→河口湖

広範囲に猛威を振るった台風18号が接近する直前、文字通り“嵐の前”かつ“13日の金曜日”深夜の新宿西口。まだまだ夜はこれからという雑踏の中、先ずはハルク前23:05発の深夜特急御殿場行を実見-先代エアロバスはLEDでなく方向幕だったがしっかりと深夜特急の赤文字が加えられていた。係員がハンドマイクで案内するも、乗車は3人と寂しい。運行開始半月とあってはまだ知名度が、といったところか。

さて今宵の仮宿は新宿高速BT23:20発河口湖行、事前にハイウェイバスドットコムで予約しておいたが、16時過ぎの段階で既に半分近く席が埋まっていたのには思わず唸った。26番のりばには既に行列ができていて、現れた高飛車セレガ(さすがナンバーも2236!)に吸い込まれてゆく。キャリーバックをトランクに入れる人も少なくない。結局26人が乗車、年齢構成は比較的若めも、男女比はほぼ同一といったろころか。旅行者然とした人がいる一方で出張ないし通勤帰りという感じの方も。
この日は初台入路料金所工事通行止めのため永福まで下道。若干引っかかる印象はあったが、高速に乗れば順調そのもの。八王子IC手前では府中・聖蹟桜ケ丘駅経由の名古屋行京王便を捉えて先を急ぐ。車内は消灯こそされていないもののさすがに目を閉じる人が多い様子で静かなものであったが、降車エリアとなる中央道上野原到着前から前面モニタで都度富士五湖周辺の観光案内映像が流されるのは昼行便と変わらない扱いというか、寝過ごし防止の意図もあるのか。

富士五湖線

大月JCTの長い併走区間で京阪神ドリームさいたま号NJRB便を見送りつつ富士吉田線へ。ここまで降車はなかったが、5分程の早着となった中央道都留で初の降車、明らかにTDR帰りと思しき大袋を手にした若い女性グループ4人が真っ暗な本線BSに降りていった。次いで中央道下吉田では、通勤然とした男性個客5人が降車。さすがに富士急ハイランドは素通りで、富士山駅では男女2人が降車。ちなみに魚民の灯りだけが眩しい中、バス停では若い男性が完全にグロッキーで寝そべっていたが大丈夫だったろうか?
終点・河口湖駅には10分強の早着に、大量15人が乗り通すとは思っていなかったが、終電到着から1時間近く経過しているため改札前を除いて完全消灯、客待ちタクシーも2台と思いの外寂しい感じに。河口湖駅には有料駐車場(高速バス利用者は1日500円)が100台分ありその利用が多いのかもとのことだが、歩いて闇夜に消えてゆく人、迎えを待つ人など様々、バスが出てゆくと静寂に包まれたのだった。


ロマンスカー補完という印象の一方で御殿場や東名高速上BSの需要を手堅く拾っている印象も受ける小田急箱根高速バス。近年は羽田系統や三島エクスプレスなどの展開が目立っていましたが、メインルートである箱根線に手を入れてきました。09/01改正では新宿発2本の深夜特急新設のほか、御殿場駅始発繰り上げや土休日便の毎日運行化など厚みを増しています。結果、往33+深夜2便/復34便を擁することに。併せて三島エクスプレスも土休日1往復増となっています。

深夜特急は超特急も停まる東名足柄も通過する最速タイプ。運賃は3000円と東名御殿場の1540円、御殿場駅の1630円という通常運賃の倍近い設定となりました。ICカード対応ながら、回数券・復路引換券での利用は差額調整も含めて不可、他便との乗車変更もできず1度払戻手数料100円を要するとは硬いなぁという印象も。他方、クレジットカード支払対応を意識してハルクの案内所営業時間を2時間伸ばした点には意気込みを感じますね。

 
御殿場深夜特急

09/20(金) 新宿→御殿場■

本来は河口湖線試乗翌日の09/14(土)を狙っていたものの台風18号の影響を鑑み中止…御殿場は同夜強雨だったようで。
というわけで翌週末の09/20(金)に同じアプローチで新宿西口へ…やはり台風が秋の空気に変えたことを実感させられる。先ずは23:05発の深夜特急、やはり先代エアロバスが入線もこの日はLED、深夜特急がしっかり縁取られていたが、なんと乗車はゼロ!池尻大橋を経由するのでそのまま出発していったが…。
一方の23:20発河口湖行、先週と同じく高飛車セレガが入線するとやはり続々と吸い込まれて総勢25人に。客層は先週とほぼ似通った印象だったが、最後に乗り込んだのは大柄な白人男性2人でこれまた大荷物。観光というよりは米軍関係者?とも見受けたがどうだろうか。

再びハルク前に戻り案内所で発券手続き、箱根線は座席指定制のためICカード利用でも事前に対応しておくのが無難というかそのための営業時間延長の様子。指定座席は4D…貸切は免れたか。バス停でしばし待っていると、現れたのはなんと虎の子のエヴァバスであった。当方実見するのも初めて…車内にも装飾があったが比較的大人しいかな。なお、昼行便だと車内放送も登場人物がとのことらしいが、さすがに深夜特急では通常のものだった。
結局今宵の仮宿に乗り合わせたのは7人。壮年の親子?3人のほかは男女各2人ずつの個客だった。23:30定刻出発、先ずは山手通りを下って池尻大橋へ。信号の絡みで5分ほど遅れて到着も乗車はなし。ここで運転手氏から『伊勢原付近で故障車のため少し渋滞しているようです』との案内があったが、その後は先週の中央道と比べるとやはり交通量が多い東名を淡々と西へ。西新宿22:40発梅田経由心斎橋行と思しきさくら@ライナーが東京IC手前で脇をすり抜けていったが、時間的にやはり出発がかなり遅延するのだろうか。

御殿場深夜特急

単調な走りっぷりについウトウトするうちに故障車渋滞情報のあった伊勢原通過も影響は解消されていた様子、大井松田ICからは左ルートを選択したな…と朧げに記憶していたが、その後こちらに故障車がいた上に低速な乗用車に行く手を阻まれ少し気を揉んだものの、東名御殿場には池尻での5分延そのままで到着。ここで親子連れと女性1人が降車。御殿場駅乙女口はすっかり闇に包まれていたが残る3人が降車、女性1人は自由通路で富士山口へ、男性1人は自転車、もう1人は迎えのクルマに乗り込んでいった。
ちなみにバス停ポールは、新宿にも同型があったが太陽光電池パネルを組み込んだ存在感あるもの、まあさすがにこの時間ともなると消灯されていた。翌朝…といっても3時間ちょい後の羽田行始発便で通った時にも点いていなかったようだが、実用性は如何ほどなのだろうか。


以上乗り比べであったが、運行開始2ヶ月でしっかりとした需要を掴んでいる河口湖便と、思い切った2便設定が先ずは裏目かなとも感じられる御殿場便-ともつい見えてしまいますが、もう少し長い目でとは。ただし、御殿場便で気になるのは強気とも取れる運賃設定かなとも思われます。富士五湖線でも(Web)回数券使用不可、通常便乗車券からは払戻の上再購入となるのですが(手数料は記載なし)、富士五湖線では往復割引の設定がなくネット予約主流となっていることもあるかなと。当方実乗時も乗車7時間前の段階でかなりな予約となっていましたし、ケータイおよび印刷用紙の人が過半でしたし。
箱根線はネット予約がなく往復割引乗車券利用も多いと聞いたことがあるので、例えば往復割引ないし回数券利用時にはプラス1000円程度の深夜割増運賃とするのはどうかなと。現行設定的には1500円と言いたいところなのでしょうが、さすがにそれは通常片道分となるので…。

一方の河口湖便、個人的には高速BSのニーズがどれだけあるかなという点が興味だったのですが、実見時には都留・下吉田とまあ想定内。JR-E中央東線の大月行最終は新宿23:45発(01:10着)であることや、高速BSと周辺居住エリアとの関係性等々を考えればゼロベースというのが近いのかもしれませんが、むしろ中央道八王子や相模湖はどうなんでしょうか。それこそ御殿場便もどうなのよと思うのですがねぇ、やはり運賃設定がネックになったのかな?
あとはP&BRの強化も期待されましょうか。河口湖駅で100台、御殿場ICではそれ以上の駐車台数があろうかと思いますが、そういやこんな話もありまして。

秦野市役所が積極策に打って出ている理由は、成田空港路線運休と東名伊勢原・東名大井BSの停車本数との差からと神奈川新聞にありましたが、たかが13台分、されど13台分では、と感じるのですが、やはり高速BSはいろいろと難しいですかね。

最後は個人的視点に偏ってしまいましたが、他にも可能性が広がると考えます。御殿場便については朝の状況も実見できればとも思っていますし、中央高速バスへの早朝深夜戦略拡大の有無も楽しみにしつつ。


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