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総力取材!成田空港連絡“LCB”の成否 ~東京シャトル/THEアクセス成田が拓くものとは~

国内線LCC元年と云われる2012年、“遠くて高い”と揶揄される成田空港アクセスに一石を投じるべく、京成バスグループが生み出したのが「東京シャトル」-各所からの要請を受け、事前にはトイレ無しの“詰め込み仕様”等できる限りのコストダウンを-とも云われ、報道発表時に『低価格バス(LCB=ローコストバス)を実現できた』と京成バス社長が胸を張ったところ、蓋を開ければ12列補助席含む55人乗り、新車投入や各種装備で安全性を確保するとともにポーターサービスや車内Wi-Fi提供など利便性もアピールしつつ、予約期間毎の運賃設定などで収益性にも考慮するなど、さすが練られた印象を受けました。

ジェットスター・ジャパン(JJP)就航に合わせた07/03からの立ち上がりこそ微妙な乗りだったとはいえ、何より<デビュープライス800円>が効いたか7月後半にはなかなかの好調ぶりを見聞きしていましたが、その矢先にまさかの急展開が!
数年来の深夜急行バス“局地戦”から今年6月に千葉幕張エリア昼行便“海浜決戦”へと突入したばかりのBE-TRANSSEグループ(以下ビィートラ)・平和交通による「THEアクセス成田」運行開始-同グループでは西岬観光が2010/04から千葉市内とを結ぶ乗合タクシー「マイタウンシャトル」で空港入りを果たしていたとはいえ、路線バスとしては全くの新規参入。2011/05に高速ツアーバス乗車ポイントに飛び込む形で突如設置された東京八重洲「降車専用バス停」にも驚かされたものですが、まさしく京成の“シマ”であろう成田空港内にどうやって?とは早トチリ、その後の報道で成田空港会社(NAA)がアクセス強化のため新規参入を促すべく空港内バス停の増設等を図っていたとのこと…でしたが、その結果が空港内のりば“呉越同舟”となったのにはいちウォッチャーとしてもつい感慨を覚えたものです。

だからといって早々協調路線となるわけでもなく、「THEアクセス成田」はトイレ付き新車を投入する一方で事前予約不要の運賃1000円均一車内精算というシンプルスタイルでコストダウンを追求。プレスリリースでは『乗り方簡単!(中略)いつでも誰でも簡単にご乗車いただけます!』『複雑な割引条件一切なし!手荷物料金もかからず、分かりやすい“安心”料金設定!』と挑発的な文言を並べたて、08/01のエアアジア・ジャパン(WAJ)就航にこそ間に合わなかったもののお盆休みの最盛期直前となる08/10にいよいよデビュー…したわけですがやはり立ち上がりは苦戦している様子。知名度や後発組ゆえというところもあるでしょうが、『事前清算不要!』(原文ママ)と利点的に書いていた空港内チケットカウンター非設置がやはり大きいような。08/28にはTX系「ガイアの夜明け」でがっつり取り上げられたのがどう出てくるかも気掛かりなところかと。

【検証:】では既に深夜早朝便を中心に速報をお届けしてきましたが、今回は朝昼晩の状況を眺めつつ、双方の存在が成田空港連絡“LCB”を拓くや否や-について多角的に考えてみます。

  • Photo:08/18東京シャトル
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朝-東京→成田空港

「THEアクセス成田」運行開始から丸1週間が経過した08/18(土)、07:30前に東京八重洲へ向かう。先ずは駅から向かって正面の平和交通のりばに向かうと、丁度白地に青線のクルマが入線、窓上にアピール文字を入れた専用車だ。バス停には数人が待っていたのだがどうやら07:45発の銚子線旭ルート待ちの様子。銀座からの添乗社員氏を下ろすと、間際に御同輩と思しきカメラ片手の男性が乗り込んで出発-その方の貸切となった。成田LCB
お盆休みもこの週末で終了、どちらかといえばUターン時期ということもあり落ち着いているのかなと思いながら駅から向かって北側となる京成3番のりばに向かうと…08:00発の東京シャトルを待つ大荷物を抱えた人が並んでいる!出発までまだ30分近くあるというのに、である。しかも、列をなしていた人の多くが予約済客であった。ちょうど深夜便について予約満席で乗り切れない可能性もというサイト情報が出されたこともあるのだろうか…それにしても「800円パワー」があるにせよ、すっかり地位を確立した様子。

外国人客も含め続々と人が集まってくる中、出発15分前にポーター氏登場。予約客のチケットを確認しつつ、非予約客を別の列に誘導-実は次の08:00発は大網白子行と同発ということでそちらも整理し3本列に、そして手際良く大荷物をまとめてゆく。定刻5分程前に一端エメグリカラーの成空交車が現れたものの素通り、その後大網白子行小湊車が先に入り、10人ほどを乗せて定刻出発すると改めて入線、予約客から乗り込んでゆく…結局予約17人に非予約5人を加えて出発。離日する外国人客を中心にかなりの荷物で運転手氏も手伝ってなんとか仕舞うと、10分弱の遅れにて出発と相成ったが、その光景を先程添乗してきたビィートラ社員氏がチェックしていた。
道路状況が気になっていたが、上り線の渋滞を見ながら7号小松川線を東進、京葉道路は穴川先頭渋滞のみで宮野木JCTまではスイスイ。東関道も流れており、セキュリティゲートを過ぎて2TB北側に到着したのは09:00過ぎときっちり遅れを挽回しての到着となった。

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09/08(土)、この日は銀座07:25発THEアクセス成田をチョイス。出発10分前にバス停に着くと男性2人が先客、当方にわずか遅れて若い男女カップルが並んだ…のだが、このカップル、東京西部からやってくる某鉄道線でつい先程乗り合わせたような。もしやこれも「ガイア効果」かな?
先客の男性のうち御老人が運転手氏に「前使った時にはギリギリになったんだよね、今日は大丈夫?飛ばしてってな!」といきなり先制パンチ。『道路は空いてますんで定刻到着となりますが…』とさしもの運転手氏も苦笑いで返すしかない。
銀座で4人乗車と幸先良かったものの八重洲では乗車ゼロ。枝川の先で離合したのはあすか交通本社06:43発であろうマイタウンライナー中型車、それに見合う乗りだったような。東関道に入ってから07:20発の芝山千代田行JRバス関東便を追い抜いたが、10人弱とはいえ向こうのほうが乗っていたなと。確かにガラガラだった高速は淡々と走って、成田空港へは10分強の早着に。2TB北側で3人が降車、1TBへは当方と件の御老人、ゴキゲンで降りていった。

  • Photo:08/18アクセス成田
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午前-成田空港→東京

08/18(土)、東京シャトルを2TB4F出発階北側にて降車後、ダッシュで1F到着階南側へ…先ずはと見たのが19番のりばを09:05発の東雲車庫行東京シャトル京成便。朝イチの到着ラッシュ後ということもあるのか、乗車7人で出発していった。
成田LCB 同時発車の町田BC行神奈中便、TDR行東京ベイシティ便、土浦行関鉄便、中山行東急便も概ね似たような乗り具合。ちょうど各方面からの朝イチ便折り返しもあるのか各方面へ多彩な便が出発する中、09:15発TCAT経由東京駅は3人乗車は根強いニーズを感じさせる。

その足で北側2番のりばに向かうと、先程から怪しかった暗い空から叩きつけるようなゲリラ豪雨となる中、シャワーをひと浴びした格好で09:30発のTHEアクセス成田が早めの入線、早速乗り込むや否や、『お足元大丈夫ですか、濡れませんでしたか』とは運転手氏からの気遣いだ。
2番のりばは当方のみで出発も、19番のりばで若い母子とゴルフバッグを抱えた男性が乗車。男性は勝手が判らなかったようだが、母子はリピーターの様子、「新橋に行きたいんですけど」と運転手氏に確認、JRに乗るなら東京駅のほうがと返していたが、結局は銀座数寄屋橋から歩いて行くわとなった。1TBでは状況確認で出張るビィートラ社員氏が待機していたが乗車はなし。

YCAT行京急便に続いて高速入り、あちらはさすがかっ飛んでいったが、時折雨脚が強くなる中こちらは東関道を中央車線キープで安定走行。湾岸習志野では前が見えなくなる程の降りにさすがにハラハラしたが、湾岸市川でピタッと止んだ。箱崎JCT対向車線で渋滞に嵌る銀座10:25発を横目に、こちらはほぼ定刻で東京八重洲着、男性が降車。信号の関係で銀座数寄屋橋には5分弱の延着となった。成田LCB

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09/08(土)の到着後、1TBで09:40発THEアクセス成田をチェック。南ウイング外れの31番のりばには女性2人と壮年夫婦が待機中、やってきたバスには2TBからは男性2人が先乗、女性2人が乗車…夫婦は東京シャトルのチケットを運転手に示すも、それウチじゃないんです…という表情。実はこれも見慣れた風景だったり。
連絡バスで2TBに移動し、2番のりば10:00発の東京シャトルをチェック。5人ほどが乗車していた。タイムアップのため19番のりばでの乗車は確認できなかったがそれなりな乗車となるはずだ。

  • Photo:08/10成田1TB
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昼-成田空港→東京

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「THEアクセス成田」運行前の08/04(土)、LCC2社撮影にバス停確認を兼ねて鉄路成田空港へ。帰路は勿論「東京シャトル」、チケット購入後2番のりばに早めに向かうと、ポールには既にTHEアクセス成田の案内も入っていた…しかも仲良くスペースを折半!
この日は定刻ギリギリの入線で2番のりばで5人、19番のりばで14人が乗車。出発間際に駆け込んできた人がいたが、確認したポーターが運転手氏に「東京駅なんスけどリムジンさんでした」ということで出発。1TBでも列が伸びており12人が乗車。大半が日本人だが老若男女多彩、見学や空港関係者(通勤というよりは間合いで東京へ?)と思しき利用も見受けられた。
荷物の積み込みに手間取り5分程遅れての出発、渋谷行東空交便と並んで成田TBを通過。あちらが追越車線を飛ばしていくも中央車線で安定走行、仔細を確認しそびれたが京葉道渋滞情報に躊躇なく東関道直進ルートを選択、東京八重洲には定刻着となった。この便は東雲行だが大半が降車したものと。

***
08/10(水)はTHEアクセス成田試乗の帰路に再び14:00発の東京シャトルをチョイス。本当はTHEアクセス成田で折り返そうと思ったものの、乗ってきた便とさすがに同じ乗務員ではというのと、ちょうど穴の時間帯となっていたことからの選択。さすが京成はその辺り素早く、翌08/11改正でTHEアクセス成田の穴の時間を埋めたのだった。
THEアクセス成田で1TBに到着したのは13:00前、すぐさま南ウイング31番のりばに向かったところ、先ず目に留まったのは西岬観光の空港乗合タクシー「マイタウンシャトル」。何度か見かけたことはあるものの、間近で見るのは初めて…と、ここで警備員に呼び止められた。何かしたかな…と思い振り向くと、『コレは何処行きのバス?なんか新しいヤツできたんだよねぇ』と。斯々然々説明するにはしたが、さて理解頂けたろうか?
31番のりば前では13:10発東京シャトルを待つ10人以上が所在無げに待機中。カウンターで情報を仕入れたのか、外国人の姿もあった。結局1TBで13人が乗車、スモークガラスで確認し難かったが総勢で30人をゆうに越す乗りとなった様子。やはり荷物積み込みに時間を要し5分以上遅れての出発となった。成田LCB
いっぽうのTHEアクセス成田、1TB14:40発便はスカ…実は男性が1人待機していたのだが吉田社長だった様子、ちょうどガラガラと荷物を抱えてきた女性客がやはり東京シャトルのチケットをヒラヒラさせたのだが、『コレは乗れないんですよ…』とすかさずヒアリングしていた様子だった。
で、2TBに移動し14:00発に乗車。各バス停で乗るわ乗るわ、総勢41人で出発となった。1TBでは見送るポーターに吉田社長が何やら声掛けする姿も…この日は基本ルートである京葉道経由、定刻から20分遅れで東京八重洲着。到着後急ぎ平和交通のりばに向かうも、15:31発の初日空港行最終便もカラでの出発であった。

夜半-成田空港→東京

個人的には空港行深夜早朝便と同じくらい気になっていたのが、空港発夜半帯の状況。09/01(土)に成田21:09発の209系普通に揺られて鉄路成田空港入り。さすがにこの時間の乗客は空港周辺勤務客がパラパラとという状況、ただ大荷物を抱えた外国人も混じっていて、近隣ホテル泊だろうか。案内所で確認したところ1TB5Fのローソンは23:00まで開いているとのことで買い物がてら南ウイングを巡ったが、5Fショップは軒並み閉店していて展望デッキも21:00で終了、当然出発便チェックインも終わっており係員が引き上げてゆくところ。
さてこの日の到着はというと、国際線の到着も韓国・中国からの定刻21:00がラストのところ、悪天候の影響で軒並み30分以上の遅れ、重慶発上海経由のCA157便が21:51着、ソウル発KE705便が21:57着、北京発NH906便が22:06着、北京発上海経由のMU271便が22:50着、そして成都発北京経由のCA421便が結局22:52着となったのだった。1TBの到着ロビーでも疲れた表情を浮かべた到着客や、今かと待ち構える出迎客で人が多い印象。京成バスカウンターは21:45に終了も、東空交カウンターは窓口1つにするもまだ対応する様子だった。

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  • Photo:09/01成田1TB
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雨が激しくなってきて、改めて暗いわ屋根も貧弱だわと場末感を痛感せざるを得ない31番のりばに向かうと数人の列、22:10発東京シャトルは2TBの15人以上に7人を加えて出発していった。この時点で残る他方面便は、京成系が22:25発の稲毛海岸行成空交便で終了、東空交では22:40発のYCAT行、22:45発のTCAT経由新宿行、そしてTCAT経由東京駅行23:10発がラストとなる。先ず稲毛海岸行に数人が乗り込んで出発、隣に停まっていた連絡バスも22:30発がラスト。YCAT行は半分程席が埋まっていたか…そして新宿&TCAT方面行の10番のりばには続々と人が集まってくる状況に。
そんな中で31番のりばには22:40発THEアクセス成田が入線。2TBでの5人に加え2人を乗せての出発となった。うち1人は荻窪まで帰るという出張姿の男性、連絡バスのりばでまごついていたのでつい一声掛けたのだが、カタコトの日本語も旅慣れている感じ、どうやら東京シャトル目当てだった様子も「コレは知らなかっタ」と乗り込んでいった。

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TCAT経由新宿行に続々と人が乗り込む中、長野の中央タクシー乗合便が現れるなど目移りしているうちに当方が最も実見したかった便がやってくる時間に…22:55発のTHEアクセス成田鎌取大網行だが、31番のりばには東空交のりばから溢れた感じの人が何人か待ち受けていたところ、運転手氏から思いもよらない情報が!
『次の東京シャトル最終便(23:25発)は予約者優先で、ひょっとしたら乗り切れないかも。(23:10発の)リムジンさんも満席って話だし』-実はこの日、JJP便が遅れており22:00着予定の新千歳便が22:47着、22:15着予定の福岡便が欠航に。日中発生した機材トラブルが尾を引いて“成田門限”に間に合わなかったためだが、どうやら新千歳便の乗客が殺到している様子。当方は東京シャトルの予約をしておらず、翌朝は仕事とあってなんとしても帰らなければ…大網行を見送ることなくダッシュで地下へ駆け込んだ。

念のため調べておいたのは成田空港23:03発の京成本線終電の津田沼行普通-津田沼から上り方面の接続はないものの、勝田台から東葉高速、西船橋で総武線各停と終電の綱渡りながら三鷹・蒲田・赤羽まで到達することが可能だ。実は前日08/31までなら23:08発の高砂行臨時アクセス特急が設定されており、上野行普通乗継で日暮里に24:10に到達可能だったのだが…。
ともあれ駆け込みなんとか席にありつくも、やはり空港第2ビルで立客多数に。京成成田でかなり降りたのはJR成田線に乗り継いで千葉方面に向かうのか?一応京成でも津田沼乗換で辿り着けるのだが、時間運賃ともにJR経由のほうが有利。更に総武線津田沼・内房線木更津へも到達可能で、空港勤務者を中心に「知られざる定番経路」のようである。
途中駅でも乗降があり、勝田台で東葉高速に乗り継ぐ人も50人はゆうに超えていたものと。こちらは東京メトロ東西線東陽町行終電、やはり線内での乗降もパラパラとありさすが首都圏か。蛇足ながら北習志野で接続となる新京成線終電は“東葉高速ワープ”をしなくても京成津田沼で乗継可能だ。西船橋まで来るとまだまだ賑やか、秋葉原で山手線に乗り継いで、東京シャトルなら定刻00:25着の東京駅を通過したのは24:46であった…ん?鈍行ばかりにしては意外と速いというか何というか。

  • Photo:09/14成田2TB
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夜半その2-成田空港→東京

懲りずにというか飽きずにというか…どうしてもリベンジしたいのと東京シャトル09/09改正効果を体感すべく、09/14(金)に再チャレンジ。こんどは成田21:31発、最終のエアポート快速。千葉から乗ったが成田で綺麗サッパリ降車、空港第2ビルで降りたのはもはや数人といったところ。前回の反省を踏まえ京成バスカウンターに直行するも21:45よりも前に店仕舞い、通りかかったポーター氏に確認するも「まぁ大丈夫でしょ…」とはちと心許ない気もしたが仕方無い。
ま、結果から云えばこの日の運用は順調そのもの、国際線は全て到着済みで出国手続き待ちの様子、22時台着のJJP便も遅れて10分程度だったのだが、そういえば2TB1Fには国内線の到着案内板が見当たらなかったなと。

ということで19番のりばに張り付き開始…この日は京成社員氏が状況確認を兼ねて案内整理に務めていた。22:05発東京シャトルは成空交便、12人での出発。バスが出ると社員氏はベンチに腰掛け待機。さすがにしのぎやすくなってきたといってもまだまだ外は蒸す感じがするが御苦労様である。成田LCB
2001年登場の横芝方面空港シャトルバスが専用のエアロバスだったのに対し、2010年登場の多古方面空港シャトルバスは一般路線車使用なのか…などと見廻りつつ到着ロビーに向かうと、どこからの便かはチエックしそびれたが続々と到着客が出てくるところ。しばし見ていたがなんといっても眼前にあるバスカウンターに向かう流れが多数、やはり東空交カウンターが1つだけ開いていて応対に追われていた。
さて22:35発THEアクセス成田最終銀座行を実見-と、今度は国内線Tからまさしく“人波”が…どうやらJJP2便が到着した様子、時間的に22:29発最終アクセス特急京成上野行狙いだろうか急ぎ地下へと向かってゆく。単純計算でMAX360人、JRなり京成なりの電車であれば余裕も、バスで考えればやはり大きな数字だ。

それはすぐさま「結果」として現れる。THEアクセス成田が19番のりばに停まるや、どこからともなく人が吸い寄せられて…出発時刻を過ぎても駆けつける人がいて運転手氏が応対に追われることに。控えていた京成社員も座ったままを強いられているうちに、終には22:45発の東京シャトル京成便が登場、改正新設便ゆえながら禁断の両者揃い踏みがここで実現!
結局THEアクセス成田には30人近くが乗車し5分以上遅れての出発、東京シャトルにも更に人が駆けつけ16人乗車で数分遅れで出発。この時には22:50発THEアクセス成田鎌取大網行と再びのランデブーとなったのだが、そちらへの乗車がなかった。

何やら作業を行う工事関係者がゾロゾロと集まりだす中、17番のりばで20人近くが並んだTCAT経由東京駅行東空交便の乗車扱中にこちらも改正新設便の23:05発東京シャトル京成バスシステム便が到着、空港関係者と思しき女性組を含め8人での出発となった。残すは23:15発東京シャトル最終便のみ。
改めてロビー内を歩くと、先程の喧騒ははや落ち着くも、これから一夜をベンチで過ごそうという人がざっと30人程はいただろうか。警備員が周囲を確認する中、中央部に集められて千葉県警の警察官が身分チェックをしているところだった。

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というわけで北側2番のりばへ。バスレーンを見渡すも人影はなく外側の車寄せに数人が待機する程となる中、定刻5分前に京成車が入線。当方のみにて出発、19番のりばでは先程の京成社員が待機も乗車はなし。1TBで空港関係者と思しき軽装の女性が乗り込んできて終了とは拍子抜け…この日の1TBはすっかり静寂に包まれていた。そして社員とポーターも添乗。社員氏は新橋発の深夜急行バスに乗る由、さすがにそちらは状況確認ではなく帰路なのだろうが、さて何処まで帰るのやら。
個人的には“良い感じ”で進行してくれれば帰宅がかなりラクになる微妙な時間だったのだが安定の中央車線走行、とはいえこの時間だとむしろ追越車線がムチャクチャなので正直安心だ。京葉道路もスムーズに、東京駅に着いてしまえば定刻よりも10分強の早着は非常に有難かった。バス停には24:15発長沼原町行ちばきたライナー深夜便が10人以上を乗せ停車中、東京駅前の夜更けまではまだまだである。


かなり掻い摘んでの実見となりましたが、夕方を除き時間帯別の状況はざっとイメージ頂けたならば幸いです。空港行便については全日で平均的な利用があり、特に国内線LCC利用の深夜早朝便が絶好調。空港発便については午前中よりも午後、特に夜便については到着便次第で瞬間的に大きな需要が発生することがある-といったところですかね。
この点、東京シャトル09/09改正はさすが“痒いところに手が届く”対応になっているなと強く感じます…ただし、09/17のCTC系「NEWSチバ600」で本ダイヤ改正が取り上げられた際に『目標には達していない』と報じられたそうで…さすがに800円は厳しいと思われるところ、10月からは「粋割」最安900円ということは正直なところどうなのでしょうか。
あと気になるのは東京八重洲のりばの混雑ぶり。向かいのビルにはエントランスでの待ち合わせご遠慮を-との旨貼り出されているほか、ポーターが乗車前の“仕分け”中にもう少し歩道上の通行スペースを開けるようビルの管理人らしき女性が注意する光景も目の当たりにしています。まあこれはもはや東京シャトルだけでなく、3ヶ所に分かれている京成系高速バスのりば全体に云えることなのですが…さすがに東京駅前では賃料も高いでしょうが、テナントとしてチケットカウンターや待合機能を持った案内スペースを確保するのはやはり難しいですかね。それを云ってしまうと対成田空港における東京駅というポテンシャル論にもなってしまうのですが(新幹線連絡等の実情は理解するものの、個人的には疑問というか…ゆえに鉄道新線計画も懐疑的)。

片や「ガイアの夜明け」で採算ライン7割も運行開始10日間で1割と明かされたTHEアクセス成田、当方は9月に入って乗車機会がないものの、Twitter等を見るに全日的に利用が増えつつあるようで。無論採算性となるとまだまだでしょうが、時間帯によっては東京シャトルが満席近いこともざらであることから、知名度向上如何では-とも? 少なくとも、トイレが付いていてゆったり座れるのであれば当方ならコチラを選択しますがね…とはいえコレではコバンザメ商法と云われても仕方ないかな。

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ただ、利用者目線で云えばビィートラにも同情できるような。本文中でも触れましたが、これは2TB到着ロビーを出てきた際に見える光景-やはりカウンターを持っているのはこと空港発については強力な武器ですが、THEアクセス成田はこのコストをカットしているという点でとやかく云うことはできないと思われる一方、右ののりば案内には2番と19番にしっかりと「東京駅(八重洲口)・銀座駅、千葉県(大網)方面」と入っているわけで-こちらはNAA側のお仕事、「公共案内」ということであるならば、せめてTHEアクセス成田のみならず空港シャトルバスほか一般路線を含めた統合時刻表がロビー内に設置できないものかとも考えるのですが。
実は2TB1F中央部に詳細時刻表が掲示されてはいるのですが、方面別表示こそなっているとはいえ東空交/京成の事業者別が大前提となっており、THEアクセス成田の掲示は確認時点でありませんでした。

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そもそも、カウンターがそうしているように今やデジタルサイネージの時代ですから、カウンターとしての事業者別はまあ良しとしても、本来は別個にというか利用者にまず見える位置に方面別の時刻案内があって然るべきと考えるのですがねぇ…この点は羽田もまた然り(TIATはバスについてなんとか方面別にはなったが、判別性という意味ではまだまだ課題があるような)。
これはビィートラ云々ではなく、利用者としては次の東京駅行が何時にどこから出るのかがまず知りたいわけですし、こと夜半帯についてはよりシビアになるものと。少なくとも2TBの国内線到着口からの導線上に鉄道・バスの時刻案内等はロクになかったような気がしますが。LCC戦略としてLCB誘致を進めたNAAなのですから、少なくとも「公共案内」においてはフェアであるべきと考えますし、それが利用者への姿勢にもつながるものと思うのです。

***
ところでNAAでは2年に1度「アクセス交通実態調査」を実施しており、今年03/09(金)に20回目の調査を実施しています。東日本大震災をはじめ世界経済動向の影響、羽田国際化等もあり、入港者総数は前回2010/03に加え前々回2007/03からも更に減少していますが、アクセス交通手段の構成比は、鉄道33.0%/自動車58.6%/国内線4.1%で、前回比で鉄道+1.9ポイント(以下p)/自動車-3.3p、前々回比では+2.5p/-4.5pに。2010/03実施日はJRで遅延運休が発生していますが、やはり2010/07の成田スカイアクセス開業が数値に大きく影響しています。
具体的には京成利用者が22.9%、JRが10.2%でそれぞれ前回比+1.0p。スカイライナーは+0.7pで京成本線が4.0p減ったものの成田スカイアクセスがシェアの4.3%を占めてトータル増となりました。自家用車・貸切バス等が大きな変動がないところ、空港連絡バスが8.3%で前回比-2.7%が目立ちます。こと出発旅客に絞ると、鉄道42.5%で前回比+3.6p、うち京成利用者は28.6%で京成本線とスカイライナー&成田スカイアクセスで約半々の比率。前回比で+4.4pに。いっぽう自動車49.2%で同-6.9p、このうち空港連絡バスは14.7%で実に-7.1p、前々回比でも-7.4%となっているのです。

空港連絡バスの減少は複合的な要因があろうかと思いますが、少なくとも今回の“LCB登場”が与えるインパクトは少なくないものと考えますし、潜在需要はまだまだあるのではと感じさせるには十分かと。
成田LCB その意味での課題はどうしても運賃となってしまいますが、確かに東空交の価格設定要因の1つに「集中司令室(トラフィックコントロールセンター)による高度な運行管理システムでの定時性堅持」が語られるところ、図らずもLCBというよりLCCでは自己責任が強く求められる分、その制約というか使命というかのハードルは下がるのではとも…無論、LCBはLCCだけでなく広く空港利用者のニーズに応えうる存在なのですが、つまるところ安価第一という利用者の要望が炙り出されてしまったと言っても過言ではないでしょう。それでなくても端的に見て高速バス富里匝瑳線の芝山千代田まで1630円、成空交深夜急行バスでも京成成田まで2000円という辺りからして対都心3000円はやはり高過ぎると云わざるをえないかなと。

とはいえ、現時点でいきなり値下げ圧力が強まるまでには至らず、東空交が活発化する各種割引戦略での対応は現実的とも思われます。ただし、新高速バス制度が前倒し対応となる状況下、空港連絡バスが新たな“草刈り場”となる可能性は十二分にあるわけで…乗合バス事業規制緩和直後に一部地方で活発化したイイトコドリ事例の記憶はまだ新しいですし、一過的には利用者側の安価要望に沿うとはいえ最終的には元鞘というのが現実である以上、いたづらな参入は困り者…ビィートラがそうでないことをまず願うばかりですが。


なかなかまとめるのに苦労しましたが、国内線LCCが飛び始めてまだ3ヶ月余り。まだまだ話題先行のところがあるにせよ、数字を見るとやはり衝撃的ですね。個人的にそのビジネスモデルを未だに掴みきれていないですし、報道で漏れ聞こえてくる一部利用者の声もその特性というかメリット・デメリットを理解していないなと思われることも少なくありません。上手く活用するにはテクニックが必要であり、しばらくはその動向に注意しておくことが求められそうです。
しかしながら、“LCB”にはその特性は当てはまらないことにも気を留めておかなければなりません。カット可能なコスト範囲は航空モデルの比ではなく、利用スタイルもまた一般的であるがゆえに、安全性は当然ながら、求められるハードルが高くなる可能性が否定出来ないかなとも。どのように収益性を確保維持するのか-各社の奮闘をしばし見守ってゆく所存です。


最新情報は【検証:】Wiki-成田空港連絡“LCB”の成否にて
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