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都市圏近距離直行バス

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あなたが、“通勤高速バス”を知らなかったら… from J-WAVE JAM THE WORLD

“ニュースを読み取る感性を伝える情報プログラム”ー2001/10からJ-WAVEが放送する夜の帯番組「JAM THE WORLD」。その1コーナである「SAGAWA EXPRESS CASE FILE」は、ひとつのキーワードについて専門家のコメントと番組独自アンケート結果から迫ってゆく-というものですが、去る07/09~/13では『あなたが、“通勤高速バス”を知らなかったら…』と題しての放送、何の因果か当方がコメントすることとなりまして…もしや耳にされた方もいらっしゃるかもしれませんが、当方出演部分についてお聞き苦しかった点を先ずお詫び致します(それにしても電波を通す自分の声には馴れないもので)。
公式サイトでは放送で流れたコメントがそのままテキスト化されていますが、当然ながらアレを澱みなく喋ったわけではなく巧みに繋ぎ合わされています。その意味では一部意図とのズレがあるかな?と個人的に感じられる部分もなくはないかなとも…折角の機会、こちらで補足等を入れつつ再録(ついでにウラ話も少々?)、改めて「通勤高速バス」について整理してみようかなと-今後の議論の一助となれば幸いです。


コメント放送部分は分割なため4部構成となっていますが、確かにこの4つのお題についてざっくばらんに喋ったところ、先述の通り“編集”されております-というわけで、まずは各全文を載せつつ、補足を加えることとします。

通勤高速バスとはどんなものか?(07/09)

もともと、1970年代くらいからあったんですが、大都市から離れたニュータウンから、都心の中心部に直結する高速バスというかたちで、東京以外で言えば、名古屋、三重の桑名、四日市というニュータウンから名古屋の市内だったり、新潟と長岡を結ぶ都市間バスの間の高速道路上のバスストップから、通勤通学で利用するというのは現在も利用を集めていますし、東京でも首都高を通って三軒茶屋や桜新町、等々力から 霞ヶ関、東京駅に直行するバスが一時期出ていたんですが、こちらは、首都高の激しい渋滞で、1980年代くらいまでで一旦なくなってしまいました。

首都高がだいぶ、道路の整備が進んできたのと、経済環境とバブルの崩壊などで、車の流れが変わってきた、都市部でも一部の路線バスの利用が長年減ってきた中でバス会社が新たな試みとして、ベッドタウンから都心まで直行するというのがここ最近増えてきているということですね。
去年でいうと、東急バスがまさしく同じ、東急電鉄の田園都市線の沿線から渋谷駅に直行する東急イーライナーというのをはじめたり、また、西東京バスが夜、新橋や新宿から八王子や青梅方面に、いわゆるホームライナー的に走らせるバスが増えてきているというのがあります。

やはりバス業界が変わってきている中で、新しい試みをということだと思います。例えば、従来のルートから大きくショートカットするような、東京はアクアラインのバスだったり、川崎の工業地帯、東扇島、浮島だったりを湾岸線で横浜で直行するバスというのも出てきています。千葉方面は、住宅地の都心の片方向直結ではなくて、千葉方向にある大学、幕張メッセ、東京ディズニーランドのほうへ、両方向に向かうバスが増えています。埼玉では、さいたま新都心から離れた団地までひと区間だけ高速バスに乗るという高速バスも出ています。

 
通勤高速バス

番組が「通勤高速バス」をキーワードとして選定したのは、京成マイタウン・ダイレクトバス(2009/03~)やTOKYU E-Liner(2011/11~)の誕生に因るところからと思われますが、先ずは首都圏内外での動きについて触れてみました。
新潟交通・越後交通の新潟長岡線は1978/09、三重交通名古屋桑名高速線は1985/04の開業、また西鉄福岡北九州線は1980/03の高速バス化ということで、現行スタイルの「通勤高速バス」は1980年代からとなりましょうが、東急・都営の桜新町東京駅線(東83乙)が1967/12、等々力東京駅線(東98乙)が1968/06の開業ということで「1970年代くらいからあった」としています。

次に触れたのは形態について。ひとくちに「通勤高速バス」といっても、いわゆる既存住宅地と都心部の直結スタイルだけでなく、臨港地域直結や大学・観光地等との双方向需要対応、“チョイ乗り高速バス”なんてのもありますよ-との紹介を。なお、個人的には首都圏における試乗活発化にはやはりアクアラインバスの存在は大きいものがあると感じているのですが、この辺りをもう少し伝えられればなというのがちと心残りですかね。

通勤高速バスのメリットデメリット(07/10)

通勤高速バスは、ベットタウン、駅から離れた場所と、大都心の中心部を直結する、鉄道と比べて乗り換えの手間もないし、座って行けるというバスですね。高速道路を走るので座席定員制になっています。最近のバスは、Wi-Fi対応だったり、そういう意味でいうと、車内でゆっくり眠っていたり、パソコンで仕事もできちゃいます。
デメリットという意味では、高速道路の渋滞状況次第で到着がよめないというところがありますね。高速道路が事故や渋滞になっていても、電車に乗り換えられないので、そこが、デメリットになると思います。一部のバスではトイレがついているものもありますね。空港に直行するバスの間合いに使っているとこもあるので、ただ、ない路線もあるので、途中でどうするのかは私も経験したことがないので分かりませんが、ちょっと不安なところですね。

バス会社自体が試みを始めて数年なので、鉄道のように3分5分で電車が来る状況ではなくて、1時間に1本、30分に1本くらいなので、バス自体も新しい試みなので、なかなか増やしずらいということもあるかもしれません。利用される方は事前に道路状況をチェックしたり、30分、1時間早めに利用することを心がけられた方がいいと思います。基本的には、座席定員制でたいていのバスがICカードで支払うことが可能となっています。逆に満席になると、乗れないということもあります。

 
通勤高速バス

何よりもメリットは「座って行ける」、コレに尽きるでしょう。加えてWi-Fi対応などでその気になればひと仕事も…と。ただこれはメリットになるのかな?
デメリット-としてしまうと種々出てくるわけですが、何よりも定時性への不安がありますし、後でも触れていますが特に高速道路上でのトラブル発生時の対処が不透明なのが気になるところ。トイレの有無が切実ですが車両格差も今後ポイントになるのではと思いますし、本数が少なく、座席定員制のために途中乗車へのフォローも課題になってこようかと。これだけのIT時代なわけですから多角的な情報提供整備に期待したいのですが、輸送障害が多面化する鉄道もまた然りなところ、こちらはインフラと運営が無論一体化しているところ、バス(道路)では当然ながらそうも行かないわけで…投資の見返りが見え難い分野でもあるだけになかなか。

あとは現時点で定期券や回数券等の設定がなされている路線は限られているので、“毎日使い”としては選択し難いのかなとも。そもそも、高速道路がないことには路線設定可能性もないわけですし、また渋谷や東京八重洲が目的地でない人にとっては、場合によって別の乗継も発生するわけで、その辺りにも利用者層を狭める要因があるやもしれません。
その意味で、首都圏における「通勤高速バス」の次なるステップとしては、到着地の多様化というものがポイントになるのではと睨んでいるのですが。

通勤高速バスができて、鉄道の通勤混雑は緩和されたのか?(07/11)

通勤高速バス自体がまだこれからの存在なので、今、何かが変わったということではないんですが、高速道路の近くでどうしても限られてしまうという部分でいうと、快適な通勤が出来る人が限られてしまっているのは、もったいない話だなと思っています。ただ、先般も大きな高速ツアーバスの事故があったんですが、2002年からの規制緩和を経て、バス業界自体がこれから大きく変わっていく局面にあるので、今後通勤高速バスというのも大きな展開をみせていくのではないかなと個人的には思っています。

いわゆる混雑値というのを国土交通省が発表しているんですが、その値、200%とか立って新聞が読めないとかあるんですが、その数値自体は、バブルの時代よりは下がってきているのが実情です。鉄道自体も今後直通運転が増えたり、というところで大きく流れが変わってくることはあると思うんですが、後は、フレックス、SOHOとかテレワークという言葉も、昔から聞かれていますが、いわゆる通勤自体はこれからも残るんじゃないかなと。そういう意味でいうと大きく変わらないかなと思っていますね。
通勤というものの課題に対して鉄道会社でもさまざまな試みを行なっているところでもあります。東急でいうと早起きキャンペーンといって、ICカードを事前に登録しておくと7時までの乗車の時に東急ポイントというポイントがもらえたり、東京メトロの東西線でいうと、同じようにICカードに登録しておいて朝の早い段階で乗車するとギフト券がもらえたりという試みが行われているところもありますね。

これからでいうと、来年には、東急東横線と東京メトロの副都心線が直通したり、将来的にはJRの湘南新宿ラインと相模鉄道が直通するという大きなプロジェクトがあるんですが、鉄道のプロジェクトというのは5年、10年スパンなので、通勤という流れはまだまだ残って行くのではないかと思います。

 
副都心線

この辺りからお題が難しくなってゆくのですが-先ず訂正、混雑値ではなくて混雑率ですね。恥ずかしながらパッと浮かばなかった…ちなみに180%が「体が触れ合うが、新聞は読める」、200%だと「体が触れ合い、相当な圧迫感がある。しかし、週刊誌なら何とか読める」のだそうで。そして、三大都市圏の混雑率はバブル期どころかオイルショック期からずっと低下傾向となっているそうで…各社の設備投資等の積極策の賜物ですし、まだまだ続いていくわけですな。

とはいえ長期不況下、そして人口減少期を迎えた現在にあっては更なる設備投資にも限界が…東京メトロが始めたのが「東西線早起きキャンペーン」(2007/12~)、着膨れラッシュの冬季限定企画は5年連続で実施されています。2009/11からは東急も「早起き応援キャンペーン」を田園都市線でスタート。こちらも当初は冬季限定だったのが、東日本大震災後の電力不足を受ける形で2011/07~/09には「サマータイム版」として対象も世田谷線を除く全線に拡大。今年は03/17~12/31と長期間化しており、継続施策になってゆくものとも思われます。
ちなみにこの2路線では、朝ラッシュ時の優等列車ダイヤの変更も話題に-東京メトロ東西線の2007/03改正時の快速→通勤快速化と、東急田園都市線の2007/04改正時の準急導入化がそれで、ともに最混雑区間における全列車各駅停車化という施策。背景としてはメトロ各停および東急急行への乗客集中という真逆の理由ながらともに混雑平準化を目指したものですね。ホームドア導入“圧力”もあり他路線では消えつつある6ドア車・ワイドドア車の投入が続いているのも注目点でしょうか。

通勤高速バスの今後の課題(07/12)

鉄道でも大きなプロジェクトが続いていたり、高速道路でいうと首都高の中央環状線ですとか、圏央道の延伸が続いていくので車の流れも大きく変わっていくものと思います。そういう意味でいうと、通勤高速バスの可能性はこれからどんどん広がっていくと思いますし、極端ないい方をしますと、LCCやリニアができて東京大阪圏が通勤圏になると昔は言われていました。今年は、ピーチ、ジェットスター、エアアジアとか国内線のLCC元年と言われていまして、そういう意味でいうと、東京大阪、東京札幌とか、これから便数や値段が大きく変わっていくものと思います。極端ないい方をすると将来的に通勤飛行機というのも誕生するかもしれませんね。

鉄道会社としても通勤緩和という部分ですとか、新たなライバルに対抗するところもあると思います。つくばエクスプレスが開業して東京とつくばを結ぶ高速バスや東京と守谷を結ぶバスが減便されたり、廃止された例もありますし、今後首都圏でいえば、東急東横線と東京メトロ副都心線の直通運転とか湘南新宿ラインと相模鉄道の直通運転とか東海道線と宇都宮、高崎線が直通するとか大きなプロジェクトが控えているので鉄道としても通勤だけではなくて首都圏自体の大きな流れが変わっていくという局面に入っていると思います。

やはり人の流れ、モノの流れが変わりつつある中で各社どのように収益をあげていくかというのが今後大きな課題になっている中で、ひとつ、通勤高速バスというのもでてきていると。渋滞で心配という部分がありますが、そういったところでのお客さんの情報提供やサービス面の向上も課題になると思います。

 
通勤高速バス

先ず断っておくと、「通勤飛行機」の件は半ば言わされてます…はい。まぁ、通勤新幹線もこれだけメジャーな存在になろうとは思っていませんでしたし、SOHOだテレワークだと触れていますが、“痛勤”そのものは直ぐに無くなることはないにせよ勤務形態の更なる変化によっては…というところで御勘弁を。

鉄道も東京メトロ副都心線と東急東横線の相直開始(2013/03)、JR-E東北縦貫線開通(復活)(2014年度予定)、相鉄都心直通プロジェクト(2015/03予定)など目白押しのところ、道路も首都高速中央環状品川線(2013年度予定)や外環千葉区間(2015年度予定)、圏央道の3環状整備進展を中心に首都圏の交通流動が今後大きく変わろうとしているちょうど“潮目”ともいうべき現状、そしてあえて云うなれば“多大なる犠牲”を払って激変へと加速度的に進むこととなったバス業界を取り巻く動向の中で、「通勤高速バス」が新たなジャンルとして成長してゆく可能性が大きくなっているのではないかと考えますね。
その意味ではやはり京葉エリアにおける京成vs.BE-TRANSSE両グループ間の鍔迫り合い…というよりももはや全面戦争に近い状況というのが先行例として注目せざるを得ないなと改めて痛感するわけですが、今後は首都圏だけでなく他地域でも「新高速参入組」を交えた展開が起こるのは必至かなと-その際たる理由というか鍵が“バス停(ターミナル)開放化”にあると見ているのですが…これは機会を改めてと致したく。


折角なので出演経緯を少々。
サイト問い合わせフォームに担当者(女性放送作家さん)から「通勤高速バスの件で一度、お話を伺いたい」と届いたのが07/04(水)の昼下がり。当方がコレを確認したのは翌朝で、ちと仕事が忙しかったのでメールでやり取りを…としたものの「来週の放送で取り上げたいので、できれば早めにご連絡を…」とのことで夕方にTel。ともかく1度会いますかとなったのがその後収録での出演を…となって、07/07(土)の朝に六本木ヒルズ33Fに御邪魔したというわけで。

当方も一応番組サイトはチェックしたものの、その場で「コチラのコーナーで取り上げまして、4日間分録らせて頂きます」となりまた面食らった次第…なぜ当方に?と伺ったところ、当初はTOKYU E-Linerのネタから、先述の東急田園都市線準急導入に関して論文発表した田口東中大教授等に連絡を取ったものの、通勤高速バスそのものは門外漢として断られ、その後種々のネット検索で【検証:】がヒットしたため…とか。

ちなみにこれは蛇足というか邪推というか、J-WAVEには東急も若干ながら出資しており、そういった絡みが有りや無しや…ま、関係無いでしょうね。

当方も5日間聞きました…と言いたいところですが、3日目(07/11)は録音も失敗し聞けず仕舞い、ナビゲーターのコメントも確認できませんでした。あと5日目は「番組とマクロミルが独自に調査したアンケート結果」からのトークでしたが、通勤高速バスというよりは“痛勤”全般のネタで、それ故なのかバックナンバーにも収録されていないんですよね…何かあったかな?
ちとコワくて当方からその後コンタクトを取ってないんですが。

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深夜定着で朝も快走?!~日経記事を読む

投稿者---551planning (2012/08/27(Mon) 16:00)

通勤高速バス、日経が記事にしてきましたね。

何故か2本建てになってますが、下のは付け足し感があるものの気になる記述も。
まず上段記事概要ですが、京成MDBユーカリが丘線四街道IC系統の描写が。添付画像は佐倉そめい野NT内地区センターバス停で乗車扱をする千葉内陸バス車、少なくとも5人が乗り込むところですが記事にもあるように宮ノ台06:00発の2便(四街道IC系統始発便)ですな。『座って通勤できるのが魅力。自宅から東京の会社まで、電車とバスを乗り継ぐ必要がないので楽だ』とは、昨年から毎朝痛勤利用しているという男性の声。その後『郊外から都心に向かう路線で依然深刻』な鉄道混雑率に触れつつ、『高速通勤バスは道路渋滞に巻き込まれることもあり電車に比べ時間を読みにくいとの声もあるが、通勤ラッシュの混雑を避けてゆったりと通勤できる魅力が集客につながっている』とまとめています。
『電車の混雑を避けたい人のニーズが高い』東急バスは『仕事で疲れがたまり、週後半に「今日はゆったり通勤したい」と考える人が増えている』との分析を示せば、『4月にJR青梅線沿線を起点とする通勤高速バスを開始。8月には千葉市と新宿駅を結ぶ路線も始めた』と西東京と土気新宿線が言及された京王グループの『バスはどこにでも行けるのがメリット。需要が見込めれば新たな路線を開拓していきたい』との声は注目ですな。あと本文では触れられていないものの運行経路の図解には平和交通MLちはら台線も掲載されていました。

さて下段記事ですが、『終電後に出発する「深夜高速バス」が知られている』として、『関東運輸局によると2012年3月末時点で、深夜に東京駅や新宿駅など都内の主要駅を出発し、1都3県(東京23区を除く)の住宅地に向かうバスは17社が40路線を運行(中略)1年前と比べ3路線増えた』とのことですが、【検証:】調べではもっと多いんじゃないかとも…1路線を複数事業者で担当していたり、グループでまとめている可能性もあるのでなんともではありますが。
『首都圏のあるバス会社は「終電後の深夜バスが好評だったことから、朝もいけると考えた」と打ち明ける。深夜高速バスが定着したことが、朝の通勤時のバス利用者を掘り起こす下地になっている』とありますが、やはり千葉方面のそれなんでしょうね…個人的には小田急・西武沿線方面にはもう少し路線があっても良いような気もしていますが。

個人的には各事業者・路線での収支状況ですが、日経にしては全く言及がなかったのは残念な限り。京成vs.平和のバトルも然りですが、ニッチの次にあるものを【検証:】としては考えてゆきたいなと思っております。


ご意見は【検証:】常設板までお気軽に!

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