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【検証:近未来交通地図】  特別リポート2007-0801
Hybrid列車は行くよ…「こうみ」体験記
日本鉄道最高地点を行く「こうみ」
(2007/08/12)
下記内容は予告なしに変更することがありますので、予め御了承下さい。
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 今年、ディーゼル鉄道車両の革命児?が相次いで営業運行を開始しました。ひとつは2002年から開発が進められてきたJR-HのDMV。もうひとつは2003年に試験車「NEトレイン」が誕生し実用化が検討されてきたJR-Eのハイブリッド車両。それぞれ未来の鉄道を占う、そして斜陽とも云われる中で技術大国ニッポンの心意気を現すか、というべき意欲的なチャレンジであると感じます。

 当方、営業運行に就いたU-DMVとキハE200に相次いで試乗することが叶いましたが、DMVについては報告までもう少し時間を頂くとして、こちらではキハE200「こうみ」体験記をば(以下、折角愛称が付けられているので「こうみ」で統一しましょうか)。なお、同日に水郡線にデビューしたキハE130系にも乗車しましたので、いろいろと比較させながらまとめたいと思います。


 さて、「こうみ」は今後2年間のデータ確認の上量産車に反映するという量産先行車という位置付けであり、まず8月いっぱいは下記多客需要を睨みつつ、原則臨時列車での運行とすることで定期列車との区分を図っています。なお、9月以降は土休日に臨時列車として、平日には定期列車への活用も予定されているとのことです。
 ちなみにこの臨時列車、小淵沢〜野辺山間の小運転(3往復)を基本とし、夜は中込入庫、朝に小諸を経由する大運転が2日またぎで1往復という形態(中込〜小諸間は定期列車)。小運転には時刻表で「八ヶ岳高原列車1〜6号」との愛称も付けられていますが、これはもともとの多客期臨時スジからのもののようで、JR-Eのリリースにはその名前は入っていません。逆に、JR時刻表8月号では中込〜小淵沢間の大運転臨時列車区間の時刻が未掲載となっており、試乗プランニングには注意が必要! やはりWebで調べるのは大切ですね…。
 というわけで、試乗&鉄道最高地点訪問を織り込んで、佐久平→野辺山…(最高地点)…清里→小淵沢という旅程にしました。

 高崎駅発車時点で自由席150%、軽井沢で大分降りたのですがそれでも120%とさすがにお盆で激混みの「あさま501号」にて佐久平駅下車。以前ドライブ途中に最寄のイオンSCに立ち寄ってはいますが、駅下車は初めて。新幹線改札を出て、左回りにUターンする形で細長い連絡通路を進むと、無人の小海線高架ホームにダイレクトでつながります。乗換客はざっと30人ほど、その大半は7:47発の小海行定期普通列車に乗車してゆきました。一部に“内野勘助”をはじめ主要キャストが睨みを効かす「風林火山」ラッピング車を含んだ3両つないだキハ110は席がさらっと埋まる乗り。小諸からの新幹線乗継客もパラパラと降りてゆきましたが、接続まではちょっと空きます。次いで7:51発の小諸行が到着、こちらは乗車少々といったところ。

 急にガランとした連絡通路のベンチに腰掛けて、高崎で購入の「上州の朝がゆ」で腹ごしらえ。著名は以前より聞き及んでいるところ、ちょっと時間を置いたせいか粥の粘度がかなり強かったものの、美味しく頂きました。
 そうこうしているうちに、明らかに狙い乗車と思しき乗客がパラパラとやってくると、高架の北方から白の縁取りに黒ベース、青線が引き締めている新車の顔が近づいてきました。「こうみ」との初対面は特段強い印象もないままのもの。ステンレスの一般型気動車は春に-W126系を見ていることもありますが、やはり見た目は“電車感”が強いです。

姿が見えた佐久平駅到着

車内は程良く混んでいましたが、隣の岩村田で学生を中心に降車多数、すっかり静かになりました。腰を落ち着ける前に、当方はトイレ横に設置されている走行状況のモニタをしばしチェック…大きく分けると下記のような感じです。

停車時は蓄電池から車内電力を賄う 出発時は蓄電池の電力のみで起動 駅を離れる程度のスピードでエンジン起動
双方の力で力行
停車時は蓄電池から車内電力を賄う
惰性走行時にはエンジン発電エネルギーを蓄電池に充電
出発時は蓄電池の電力のみで起動
ブレーキ操作時や下り坂では回生エネルギーを蓄電池に充電
駅を離れる程度のスピードでエンジン起動、双方の力で力行
より大きな減速時にはエンジンブレーキも活用
惰性走行時にはエンジン発電エネルギーを
蓄電池に充電
ブレーキ操作時や下り坂では回生エネルギーを
蓄電池に充電
より大きな減速時にはエンジンブレーキも活用


 表示がめまぐるしく変わる、というわけではないものの、音を感じながら見ていると飽きません。平坦区間だと、1駅間の半数以上で“Ecoマーク”が点灯、さすがに勾配を含む区間だとエンジンがうなりを上げますが、それも音が聞こえる程度で車体が震えるというまでには至らず。ただ、何よりもは体感できる、駅停車中の静けさと、出発時のスーッという感覚。AT車のクリープのような感じでしょうかね。これまでの気動車とは全く異なる乗り心地でした。

 さて、実に十数年振りの小海線とあって、さすがに勿体ないとボックスシートしばし流れ行く風景を楽しみますが、シートはまさに通勤電車のそれにより近づいた感じ。直射日光はさすがにまぶしいものの、当然ながらカーテンはなし、吊手もE531系以後導入されている黒いタイプのもので、優先席付近はオレンジ色と、これだけでも「電車感」が増しますね。あとは天井にちょこっと顔を覗かせる車内監視用?カメラ…これも“時代”の現れでしょう。

 中込、小海で時間調整の間に外観を観察。小海ではホーム向かいのキハ110系と前面を見比べると、縦にシュッとした感じのキハ110に、横に膨れた感じのキハE200。後で乗車したキハE130ではそれほど感じなかったのですが、なるほど、前面下端部の塗り分けがキハE130では白のままのところ、キハE200では灰色となっているせいでそう感じたようで…このあたり何か理由があるのでしょうか?

 中込や小海などでこまめに乗車客を変えながら、車内は地元客と試乗組が半々に席を埋めるほどの乗りを保ちます。中込から乗車の親子連れは、帰省ついでに試乗を楽しんでいるようで、オトーさんがデジカム片手に車内をこまめに撮影する様が微笑ましいですね。オカーさんも子供に「いつも乗ってたのより静かな電車よね〜」と。

車内の様子

サイドビューキハ110と並ぶ

 小海を過ぎてからの各駅発車時には、時折出発時の「スーッ」感がなくなり、端からエンジンの鼓動を実感するようになりました。いよいよ列車は高度を稼いでいくわけですが、さすがに軽快感はやや失われるものの、それでもエンジン音は直結駆動でないためか十分静かな部類。
 そんな音や揺れを楽しみつつ、ようやく八ヶ岳が眼前に、そして高原野菜が丘を緑や黒(ビニールカバー)に染め上げている光景が広がると、野辺山到着です…意外なほど降車客はさほど多くなし。駅外からの「こうみ」狙いのギャラリーのほうが明らかに多かったです。

野辺山駅のこうみ


 「こうみ」を見送り駅舎内の「ハイブリッドコーナー」の説明文など眺めつつ、駅前に出ると、駅舎やJR最高所駅の看板をバックに写真撮影に興じる御婦人方を中心に大賑わい。どうも観光バスが到着した様子で、駅前ロータリーにも県外ナンバーを中心にクルマがびっしりと停まってました。当方もクルマ乗りになってから多分になった、鉄道との“触れ合い”シチュエーションですが、ちょっと複雑な心境。

さて、日差しが強い中、徒歩で日本鉄道最高地点へ。線路伝いの道を進みますが、空気が気持ちいい…ただちょっとでも高原の風があればよかったのではありますが、汗を拭き吹き到着後、土産物屋を冷やかしつつしばしクールダウン…汗が引いた後、最高地点の踏切付近で構図を決めてしばし待機。すると、三々五々人が集まってきます。クルマで乗り付けた親子連れ、「そろそろ来るよな…」とカメラを構えたオトーさんに、「清里34分発だから、ほんともうすぐ!」と詳しいオカーさん。コドモが「きたァ〜!」と叫べば、意外と高速でやってきた「こうみ」があっという間に走り去ってゆき…さすが最高所までのアプローチゆえか、見送る姿に吐き出された煙が漂っていました。

野辺山駅でメモっておいた電話番号でタクシーを呼び出し、清里へ。今度は駅前通りを冷やかす間もなく、野辺山から折り返してくる「こうみ」で小淵沢へと向かいます。「峠の釜飯」と「元気甲斐」&「高原野菜とカツの弁当」が構内で覇を競う?(そうそう、「こうみ」運行記念で誕生した「高原野菜と牛焼むすび」も売ってましたね)清里駅は、丁度合宿帰りと思しき学生の大群でホームは大混雑。到着の「こうみ」車内もかなり混んでいるようで、こりゃ座れないかなと思いましたが…結構降りました。旅行社のバッチを付けた方々で、どうも試乗が組み込まれたツアーがあるようですね。清里からは軽快な下り道。立ち客も出る中、「こうみ」はまさに軽やかに走り抜けます。大きなカーブの内側に「風林火山」の文字が浮かび上がる稲穂を見ればまもなく小淵沢です。


 「こうみ」乗車体験も覚めやらぬ数時間後の水戸駅。出迎えてくれたのは入線前待機中のビビットカラー、キハE130。両開き3ドアということもあってか、カラーリング含めしっくりしていたキハE200よりもかなり目立ちますが、写真等での先入観ほどの違和感はないというか、意外と駅構内の風景に溶け込んでいる感じを受けます。水郡線で常陸太田までの往復行、ダイヤ的には乗継もあるので、キハ110も乗れればベストと思いつつ、早速到着の列車は3連、両運のキハE130と2連のキハE131・132と新車全車種が確認できるとあって幸先良し…ま、車内は「こうみ」と同様の構成、ただ3ドアであることと、シートの柄がE531系と同じ暖色系であることが更に電車感を強めます。

見た目は「電車」3ドアの威力
車内の様子連結面通路は若干広め

 しかし!…停車中からのぐおーっというアイドリング音と振動に思わずおっとなりつつ、出発後もぐいぐい押される感覚に、ディーゼルカーであることを強く実感。改めて「こうみ」との乗り心地の差にびっくりさせられました。とはいっても、それこそ国鉄型車両とは比べ物にならない、エンジンパワーと軽量車体の軽やかさを併せ持つ乗り心地は、キハ100系列とも異なる新鋭さを実感できました。
 水戸発車時点で立客も多かった車内は、支線に入る段階で座席が埋まる程度となり、水郡線の水戸都市圏の足たる活躍を実感。3ドア乗降もことラッシュ時間帯には威力を存分に発揮しそう。一方、ボックス席こそ減ってはいるものの、広々とした車内からは外の景色も大きく楽しめるような気がして、ある程度の空きようであれば十分旅行気分を味わえるのではないかとも。ただ、さすがに郡山まで乗り通すにはキハ110のほうが良いかもしれませんね…。

上菅谷駅にて3形式揃い踏み
キハ110と混結まもなく北に去るキハ110

 常陸太田での短い折り返し時間に、線路等が綺麗さっぱり砂利だけを残す形となった旧日立電鉄常北太田駅跡を駆け足で確認後、上菅谷まで折り返し。乗り継いだ常陸大子からの列車は新車4連。残念ながらキハ110との乗り味比べは叶いませんでしたが、途中離合した姿で両者の形状の差を実感できたで良しとしましょう。それにしてもローカル線に新風を吹き込んだキハ100系列も誕生からもう15年以上となりましたか…。


 キハE200のシステムそのものは電気式気動車の流れを汲むもので、リチウムイオン蓄電池と組み合わせることで充電が可能となり、回生エネルギーの活用による効率化が実現されることになった訳ですが、無論究極は燃料電池ハイブリッド鉄道車両。既にキハE200の始祖であるNEトレインが改造の上試験段階に入っていますが、こちらの実現はいつになるでしょうか…コスト等を考えると、ディーゼルハイブリッド鉄道車両が当面、今後の気動車の主流となってゆくものと当方は考えます。
 その意味での「こうみ」の今後の展開が注目されましょう。ある程度の安定したパワーが求められる勾配路線が最適なのか、走行能力よりも車体負荷の高い都市近郊路線ではどうなのか。まずは「こうみ」における営業運行データが注目されましょう。

 で、JR-Eの新型気動車の利便性ですが、いろいろな部分がより電車に近づいたことでの効率化、コストダウンを実感しつつ、サービスレベルについては良い意味でもアップはしているかなと。まぁ個人的には、車内外LED表示がちと惜しまれるかなとも。キハE130・E200ともに車端上部に車内LED表示がありますが、横スペースが短めで、駅名も基本的にスクロール表示。キハE200では「空にいちばん近い小海線へようこそ!世界初のハイブリッド鉄道車両『こうみ』です!!」との告知表示もなされるものの、読み込むのに少々時間が掛かりました。車内は液晶モニターを活用したほうが、運賃表示等を含めた案内に優れているような気が。LED表示にせよ、せめてキハE130では3ドアある側面への設置のほうが良いような気がします。車外表示についても、まだまだ小ささ過ぎのきらいも。このあたりは電車と共有化しないのでしょうかね?

 ともあれ、Hybrid列車は高原の次にどのような展開を見せてくれるのでしょうか…。

煙を出して走り去るこうみ

フロンティアはJR-Hが拓く?
 投稿者---551planning(2007/10/28 06:01:06)

 JR北海道は10/23、「モータ・アシスト式ハイブリッド車両」ITT(Innovative Technology Train)の開発に世界で初めて成功したと発表しました。ハイブリッド車両といえば、今夏世界初の営業運転を開始したシリーズ式ハイブリッド=JR-EキハE200が出てくるところ、『(シリーズハイブリッドと比較して)ハイブリッドシステムを小型・軽量化することができ、バッテリ、コンバータ/インバータ等のコストを半分以下とすることができます』と1歩進んだところを強調。既存車両のハイブリッド化改造が可能とするほか、昨年発表済みの複合車体傾斜システムとの組み合わせでさらなる高速化を図り、省エネ・環境負荷低減を追及したコストパフォーマンスの高い車両開発を目指すとも。これは2015年の北海道新幹線新函館開業を見据えた、キハ281系「スーパー北斗」の次世代車両にとの報道もなされています。

 シリーズ式ハイブリッドは車輪駆動は完全モーターで行い、エンジン動力も発電機で電力に変えられる“電車ベース”のシステム。一方モーターアシスト式は車輪駆動をエンジン動力ベースとしつつ、モーター兼発動機が変速機をアシストする“気動車ベース”のシステムのため、エンジン動力から電力への変換ロス(10%程度)がなく、モーターと発電機がひとつになる上、その他の機器も小型化が可能になったというもの。なお、JR-EキハE200では「燃料消費率が小海線で約10%(最大約20%)低減」とするのに対し、JR-H ITTでは「従来の気動車と比較して15〜20%燃費改善」。また、モーター駆動走行は、JR-Eが30km/h程度までなのに対し、JR-Hは「45km/hでエンジン始動」とのこと。
…文字だけの比較では、なんだかJR-Hのシステムに分がありそうとも思ってしまいそうですが、JR-Eのシステムは“電車ベース”でのメンテナンス低減効果があること、かつ燃料電池ハイブリッド車両を見据えたものでもあることから、一長一短という関係性ではないような。ただ、既存車両のハイブリッド化改造も可能というところには注目ですね。実際、試験車両は元日高線用のキハ160。日高線カラーを残したデザインとなっているところがナカナカです。

 「こうみ」については大きなトラブルも聞こえてきていません(8月に空調等がダウンするトラブルがあったとか)ので順調なんでしょう。JR-Eが先行の利をどのように活かすのか。それとも「技術力のJR-H」がフロンティアを拓くのか…まずは過酷な環境下でのITTの試験走行が注目されます。

世界初の環境に優しい『モータ・アシスト式ハイブリッド車両』の開発に成功! http://www.jrhokkaido.co.jp/press/2007/071023-1.pdf
ハイブリッド車両「こうみ」情報 http://www.jreast.co.jp/nagano/notice/koumi/frame.html

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2007.08.26 Update

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