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※当リポートは発表後の変化を反映させ再構成した Reconstruction スタイルです。

airtransse

エアトランセ“未搭乗”顛末録

北海道から沖縄まで…【検証:】でも折に触れ、その行末を気に掛けているエアトランセ(以下AT社)。先日の渡道の折、折角なので未だ飛んでいるうちに乗ってやろうと企図しました。旅程は彷徨録にて紹介している通りですが、正確に言えばAT社があったればこそ成立した旅程、だったわけなのですが…最終的には乗れず仕舞いという結果に。その顛末を時系列的にまとめてみます。

※やり取りの一言一句をメモしていたわけではないので、あくまで記憶の範囲内での記述となる点、予めご了承の程。
 ただし、誇張等は全くしていないことを、この場にて誓います。


5月 北海道行の大枠決定

・DMV試験的営業運行の夏季スケジュール発表により、07/26函館、/27DMV試乗、/28釧路野球観戦との大枠を決定。
 ※この際、AT社に運行時刻TEL確認(函館→女満別は午前便とWeb記載、結果、函館09:30→10:45女満別、が基本と確認)

06/01 DMV電話予約

・07/27 DMV3号(浜小清水14:53→16:02浜小清水→16:40網走)で予約。
・AT社にも予約メール送信…45日前より受付との確認メール受領、後日再度申し込み手続きをすることに。

06/14 AT社便予約

・予約確認メールに、函館13:20→14:30女満別と記載 慌ててTEL確認。

551planning: 以前確認した時、午前便って聞いたのですが…
AirTransse  : 実は07/21から仙台線が就航となるため、ダイヤ変更となりました
5p: 仙台線の話は未だWebに書かれてないですよね、女満別線は午前便って書いてあるし…
AT: 申し訳ありません、認可等の都合がありまして
5p: 不定期なのは分かりますが、ある程度早めに時間を明確化してもらえませんかね
AT: 当社は不定期運行のため、時刻の記載はできないことになっておりまして

 …TELで愚痴っても仕方ないため、急いでリスケジュール。
 DMVを07/29発1号に変更の上(意外とすんなり完了)、搭乗便はそのままで予約。
 この時点で07/26函館、/27フライト、/28釧路野球観戦、/29DMV試乗の3泊4日が確定。

06/16 支払手続(コンビニ)

・ちなみにローソンorセイコーマート(道外では埼玉・茨城両県にあり)のみの対応。

07/26(搭乗前日)

09:34

・丁度当方が羽田空港に到着した際、携帯に着信あり 「013」の市外局番表示に嫌な予感を…すぐさま折り返しTEL。

5p: 電話を頂いたようですが
AT: 大変申し訳ありません、明日のご搭乗予定便なのですが…

 ここでちょっと間を置かれ、欠航かと思った瞬間、

AT: 実は機材繰りの関係で、出発が早まってしまうのですが

 何だ、むしろDMVの前日取材(走行風景撮影)ができて好都合♪

5p: どれくらい早まるんですか?
AT: 13:20発予定が12:40になりますが
5p: 全然、OKですよ
AT: ありがとうございます、後程詳細はメールでお送りします

欠航にならないのであれば無問題 明日を楽しみにこの日は函館へ…函館空港ではオレンジ色のビーチクラフト機を見かける。

20:31

・函館で新鮮な海の幸を堪能した夕食を終え、宿までぶらぶらと散歩していると再び携帯が まさか…

AT: 大変申し訳ありません、実は機材故障が発生しまして、今日の便も全便運休だったんですが、現時点で明日飛べるかどうか分からないのですが…

 分からないって云われても困る どうすればいいというのだ。

AT: 別の日にご搭乗頂くか、返金させて頂ければと思うのですが
5p: 代替案っていうのはあるんですか?他の会社の路線を紹介してもらうとか
AT: 振替等はありませんが、お調べすることは可能です

とりあえず調べてもらうことにして、当方も急ぎ宿に戻り善後策を練ることに。

・明日はフライト後の最終目的地は釧路、当初予定からレンタカーピックアップを15:00で申し込み済。
 函館からの移動をフライト&JRで調べると、

  ・函館~女満別 当然ながらAT社以外になし
  ・函館14:10(ANA)14:50丘珠16:40(ANA)17:30釧路 14,400+18,000=¥32,400(特割)
  ・函館12:15(HAC)13:25釧路 ¥20,700(特便割引)

 いくらANA党としてもロスタイムが大きく、さりとてHACにしてもメリットはあまりない。

  ・函館11:00(S北斗7)13:49南千歳14:30(Sおおぞら7)17:48釧路 ¥15,280

 半日を移動に費やすものの、結局JR移動を選択することにした(というか、さすがに対フライトだと意外と安い)。

20:47

・上記のあたりをさらっと調べ上げたタイミングで連絡あり。

AT: お客様は釧路泊とのことでしたが、釧路行きがあります
5p: いくらですかね その空席状況って判りますか?
AT: すいません、そこまでは…

 あまり責めても仕方がない。

5p: まだ欠航と決まったわけじゃないんですよね
AT: はい、全力で対応して、まず明日の8時半を目処としています
5p: 他のお客さんってどれくらいいるんですか、皆さんどうしてます?
AT: はい、明日はほぼ満席でして…日にちをずらしていただける方もいらっしゃいますし
5p: いや、折角乗るの楽しみにしてたんで、明日まで待たせてください
AT: そうですか、では明日、8時半で状況が判明したらご連絡します

 正直、ほぼ満席近いというのには驚く てっきり貸切かと思っていたものを…。

・当方としては翌朝まで待つ方向でと思っていたものの、「そんな飛行機乗りたくない!」との連れの発言も尤も至極 一応待ってはみるものの、基本的にはJR移動に旅程変更と決することに。

07/27(搭乗予定当日)

・朝から旅程変更 JRのチケット確認の上、レンタカー返却のため函館空港へ。

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08:30

・レンタカー返却後、空港ターミナルで待機。連絡はないが、先客への連絡等をしているのだろうとしてしばらく様子見。カウンター前では何かの実習体験ツアーか、30人以上の子供たちが引率者のレクチャーを受けていた。
 3Fの送迎デッキからエプロンを眺めると、昨日と同じオレンジ色のビーチクラフト機が佇んでいた。

08:47

・カウンター前に戻るも、連絡がないためTEL。

AT: 申し訳ありません ご連絡が遅くなりまして
5p: で、どうなりましたか?
AT: 実は、片方のエンジンがかからない状態でして、今朝の点検でも同じ状態となっておりまして…
5p: 欠航になるんですか
AT: いえ、11時に再度確認を行ないます。お待ちの方もいらっしゃいまして…如何されますか
5p: うーん、キャンセルにして下さい
AT: 申し訳ありません、それではコンビニ支払ですので、入金させて頂く形になりますが…
5p: あ、今お宅のカウンター前にいますよ
AT: あ、そうですか。それでは現金でお返しさせていただきます。少々お待ち下さい…

・ということで、それから5分ほど待たされてようやく女性職員登場。

AT: お客様ですか…大変申し訳ございません
5p: タイヘンですね こんなに欠航したりするんですか?
AT: いえ、そんなことはないんですが…昨日から全便欠航しまして
5p: ツイてないな、楽しみにしてたんですけど
AT: 本当に申し訳ありません

・現金を返却してもらって、すべて終了。空港連絡バスで函館駅へと向かったのであった…。


搭乗直前云々の応対は、さすがに基本低姿勢でしたね。TELのやり取りでは半泣きというような声音にも聞こえました…あ、そんな責めてないですよ。ただ、十数人に電話をしなければならない立場もつらいものでしょう。
一方、予約時のくだりでは釈然としない思いも…確かに航空会社の戦略はあるでしょうが、「午前便」「午後便」との記載は、少なくとも変更されるのが明確化しているのであれば、ちゃんと提示しておいて欲しいもの。予約時の段階ではそのままの記載となっていましたから…ちなみに、同社の「安全への取り組み」ブログによると、06/26の第44回安全推進委員会では、

お客様の苦情について(…ダイヤの明示)…弊社は法によってダイヤを公表出来ないことを丁寧にお伝えした。

airtransse

と書かれているのですが、俺のこと? 苦情、だったかなぁ…まぁ苦情、なのかなぁ。ともかく繰り返しになりますが、沖縄撤退の微妙な時期だったとはいえ、数少ない情報源である自社サイトでの運航情報くらいは、きちんと即して欲しいなと思う次第です。

ともあれ、定期運航当時、欠航率が云々という話もあったようですが、不定期便とはいえ、『毎日きちんと決まった時間、ご予約があればお一人でも責任を持って運航!』とポスターで明記しているのですから、万が一の際の対応方を、大手並と云わないまでも、何とかしてもらいたいものです。

またぞろ大分-沖縄なんてな話も出ているようですが、ジプシーもホドホドにしておかないと…というか、正直先が見えてるな、という感を強くしたのでした。

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視界不良…「引き返し」ならぬエアトランセ

投稿者---551planning(2006/12/22 10:35:58)

2005年3月、函館-帯広線開設で産声を上げた北海道のコミューターエアライン・エアトランセ。一時は4空港に5航路を運行するなど拡大基調にあったものの、ここにきて俄かに雲行きが怪しくなっている様子…。

同社の経過を確認すると…

【2005】
 03/13 函館-帯広線開設 2往復
 10/01 新千歳線開設
    (函館-新千歳-帯広-函館 直行便各1往復 函館-帯広の新千歳経由搭乗も可能とし1往復分確保)
 12/24 2号機導入 函館-新千歳・新千歳-帯広 直行便各2往復化

【2006】
 04/01 函館-女満別線開設 2往復
 06/20 新千歳-女満別線開設 1往復 函館-女満別 1往復化
 10/01 3号機導入
 12/01 函館-新千歳 3往復化  新千歳-帯広 冬期運休(~03/31までを予定)

・現在運行便数
  函館-新千歳  3往復
  函館-女満別  2往復
  函館-帯広   1往復
  新千歳-女満別 1往復

【2007】
 02/01 函館-新千歳・新千歳-女満別線 運休

・2月以降運行便数
  函館-帯広   2往復
  函館-女満別  2往復

 

airtransse 日経記事からして、新千歳からは事実上の撤退となる模様。リリースでも

「高速交通網が磐石でない地方都市間を運航する」という当社の事業コンセプトに立ち戻った場合、新千歳からのこれらの移動経路は、空路又は陸路において、当社以外のその他の交通手段が十分に効果的なものであり、それが当社路線の搭乗率の伸び悩みにつながる要因でもあったと考えております

と、敗北宣言ともとれる物悲しく綴られています。

そもそもエアァシェンペクスから事業を引き継ぎ、なんとか就航にこぎつけたとはいえ、社長を前面に押し出したメディア戦略で突き進んできた部分にどうしてもスポットがあてられ、往々にして好評価で捉えられることもあったかと思いますが、今年5月には乗員のやりくりがつかずに欠航となるなど、自転車操業的な部分もちらちらと。利用確保のため急拡大し、その後低迷するパターンは初期のスカイマークにも見受けられたところ。折角の3機体制も2路線では…今後が気掛かりです。

ついに定期便撤退…んっ!沖縄ぁ?

投稿者---551planning(2007/02/08 12:10:10)

エアトランセがついに運航全路線の不定期化に至るそうです。

記事要旨は、

  • 函館-帯広、函館-女満別の現存2路線を3月中旬以降不定期化
  • 現在運休中の新千歳-函館・帯広・女満別線は4月に廃止
  • 帯広、女満別の運航基地機能は縮小、新千歳は撤収
  • 正社員を60人から40人程度に

 そして…

  • 3月を目処に沖縄本島と沖永良部など周辺の離島を結ぶ不定期数路線を開設予定

コメントは…ちょっと後程。

エアトランセ、迷走の行く末は…

投稿者---551planning(2007/06/14 17:48:18)

コメントは…としておいて、まぁ忘れていたわけですが、それにしても話題を提供してくれるエアトランセ、今度は4月就航したばかりの沖縄からの撤退を示唆したそうな。

エアトランセは、北海道路線の不定期化と共に沖縄に進出、自社サイトに「北海道から沖縄まで」とドーンと打ち出しました。ラッセンデザインの3号機を遠路はるばる送り込み、地場のエアードルフィンと業務提携し、同社の那覇-沖永良部線を受けたほか、那覇-下地島線を新設。下地島空港は民間ジェット機の訓練飛行場として知られ、旅客運航路線としては1994年以来の復活となることでも話題となっていました。
記事を見ると、5月半ばにはエアードルフィンに対して撤退意向を示していたとのこと。『下地島空港はまったくの新規路線で、市場をつくるのに時間がかかるのは当然。エアトランセにも長い目で運航計画を立ててほしかった』とのエアードルフィン社長の指摘は全く以ってではあるものの、1ヶ月での撤退意向というところで、そもそもどんな事業化経緯なんだと云わざるを得ないというか。担当者の『今のところ、そのまま廃止するつもりではない』との説明が空しく聞こえます。仮に「出稼ぎ運航」としても、これからが一番の稼ぎ時では? 北海道もそうだ、とするかもしれませんが、だったらばこそ何故沖縄だったのかというわけで…。

その代わりにというか、函館-仙台線不定期便を運航する由。ついに本州上陸です。7月21日からで、朝夕2往復。同区間ではANKとHACが季節路線を運航していた(特にHACとしては初の道外路線)ものの、昨年までに休止となり、その分の需要が見込めると…『要望がとても強く、運航したいと調整を重ねてきた。期待を感じており、全力で取り組む』とのコトらしいのですが…。

この話題、実はひょんなことから知りまして…うーん、どうしようかなぁ、というのが当方の今の率直な気持ち、です。

諦観?

投稿者---551planning(2007/10/29 14:00:58)

いやはや、よくカイシャとして持ち堪えているな…と思ってしまうのですが、正直。

6月に函館-仙台線就航と沖縄撤退が出たかと思いきや、サイトの「北海道から沖縄まで」なるコピーがどうしても諦め切れなかったのか、仙台線就航前に大分-那覇線検討の話が! 同路線はANA便が今年6月で休止となっており、18人乗りなら採算が取れると見込んで…って、まさにこれまでの路線開設経緯と同じ。一方で函館-女満別・帯広線は9月で休止となり、仙台線が2往復となってはいますが、これもどうなるか。そして今回の「就航前の諦観」。何でも運航開始日の8人以外に予約がないのだとか。

「チャーターの注文は多いが、沖縄線の販売状況は想像以上に厳しい。1日1往復ではビジネス需要に応えられないのかもしれない。大分市場のニーズに合った路線の検討も視野に入れている」(大分合同)
「沖縄便は当面運航するが今後の予約状況を見ながらダイヤの変更や路線の変更を視野に検討したい」(OBS)
「当面は運航を続けるが、乗客がいないのに飛ばすわけにはいかない。早急に路線を見直したい」(琉球)

いずれも紹介記事の江村会長発言と思しき?括弧書き部分ですが、では大分ベースでどうするの?というところは見えません。過去の経緯からして、超然とした態度であるとは思えないものの、そろそろ事の本質を見極めてもらいたいというのが正直なところでしょうか…。

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その後の状況…(2010/07) ■

エアァシェンペクスからエアトランセとなり、函館ベースで定期路線運航にこぎつけた段階では…いや、不定期化ながら道内路線を維持しようとした状況においてまでは、まさに勇敢なチャレンジと手放しで評したいところだったのですが、沖縄進出と失敗後の迷走振りには言葉を失うばかり。大分-那覇線も不定期乗合からすぐに団体チャーター便に衣替えしたものの長続きしませんでした。

2007年11月、函館市の信販会社「ハコセン」の民事再生申請に絡み、同社から20億円以上の融資を受けていた点がクローズアップされることに。その際、税金未納で保有機1機が国税当局の差し押さえを受けていることも判明(使用許可書申請が下り運航自体は継続)するなど、傍目にはかなり厳しい状況に陥ります。地元メディアのネガティブ報道に会長がブログで明示せずとも強い不快感を示す状況も続きました。
2008年2月に9割減資と資本準備金吐き出しで15億を捻出、その後函館ベースで場当たり的なチャーター運航を細々と続けるも、結局2008年秋に本社を東京に移し、航空機レンタル事業に転換。結果的にはなんと現存しており、会長改め社長ブログも健在…。
なお、本社移転時に時同じくして道内同業大手による支援で再建を図ることとなったハコセン関係者によると、結局その時点で融資の1割も返済されていない…なんて話もあったのですが、結局どうなったのやら。

***
エアトランセの函館時代、時を同じくして奥尻路線を担当していたエアー北海道(ADK-ANA系)が機材(DHC-6ツイン・オッター 19人乗り)老朽化等を理由に撤退(その後会社清算)、後を受けて北海道エアシステム(HAC-JAS=JAL系)がSaab340(36人乗り)が就航していますが、ADK撤退は収益に難があったところも大きく、HACも厳しい運営が続いています。
そして2010年、HACはJAL再建問題により事実上“道営航空化”される見込みで、A-net丘珠撤退とあわせ道内航空路線の今後は大きく揺れています。A-net丘珠撤退理由のひとつは丘珠の滑走路延長に合う機材が見当たらない(現行種のDHC-8-300は生産中止、-400では滑走路延長が足らない)ことがあり、HACのSaab機も生産中止の上、そろそろ機材更新を念頭に入れなければならない時期にも来ており、今後の大きな懸念材料となっています。airtransse

その意味で、エアトランセの挑戦を振り返るに、大手道外路線との連携などがないということを差し引いても、なかなかに厳しいといわざるを得ないのかなとなってしまいます。ただし、道営航空なりの機動性と、道内高速交通の確保という観点から、離島航路を絡めつつ戦略的な運営に期待というか希望を-というのが実情。歴史にifは許されないものの、仮にエアトランセと道が手を結んでいたらさてどうなっていたのか-と思ってしまうのは、当方だけでしょうか…。

 

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