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開業記念1日乗車券で行く TX全駅ウォッチング(2-1)

去る08/24、つくばエクスプレス線がついに開業しました。「首都圏新都市鉄道」という壮大な社名、あるいは「常磐新線」という仮称が示すように、この路線の開業によって新しい沿線開発が促進されるという“大掛かりな仕掛け”がまさに動き出したわけですが、それにしても長い時間がかかったというか、理想の具現化をはるかに上回るスピードで現実が激変してしまったことに、地域開発の難しさをまざまざと見る思いがします。単に鉄道だけで見ても、当初は最高時速160km/hや10両編成運転、ダブルデッカー投入などの青写真もあったわけですが…尤も、“ITライン”や“萌え”云々での商機も、といった現実的フレーズも聞かれるところはせめてもの救いなのかも。

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開業を当初計画の同年秋から、通学需要への配慮として夏休み期間中に前倒ししたのが結果的に奏効、初日から週末に掛けて秋葉原駅では一時入場規制が行われるなどの盛況となり、更に翌週平日3日間限定で、片道1,150円のところを500円で乗り放題となる「開業記念1日乗車券」を前売発売、鉄道ファンや沿線住民に限らず多くの老若男女が初乗りを楽しんだのでした。
かく云う当方もその1日乗車券を片手に乗り回し。恐らく御同輩も多かろうと思いますが、TX全駅を“制覇”してきました…ま、実は1駅だけ飛ばしたり、後日補足的に訪問しているのですが、行程仔細は彷徨録を御覧頂く事にして、こちらでは各駅前の様相について乗継利便性を中心に御紹介することと致しましょう。

  • photo:秋葉原駅
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    メインのA1出口はJR駅舎南側
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    ヨドバシ口 店舗には直結せず?
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    ベンチは2種類 この他バータイプもあったような
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    交通広場も整備された

東京都内を潜り抜け…

01  秋葉原駅  東京都千代田区
  乗換:JR-E 山手線・京浜東北線・総武緩行線
      東京メトロ日比谷線
  Akihabara Sta.

云わずと知れた始発駅。JR線等との乗換拠点であるほか、周辺はかつて世界有数の電気街が“オタクの聖地”と進化、更にIT拠点整備が進むなど、東京でも大きく変貌を遂げつつある地区の1つです。

TX駅は地下6層構造となっており、コンコースは地上から2層下の部分(B1)、さらに3層下の最下層(B4、地下33.6m)に1面2線のホームがあります。 tx
ホームは始発駅にしてはこぢんまりとした感じ、可動式ホーム柵があるとはいえ、階段部横の通路は結構狭いです。ホーム長も6両一杯で、東京?方も直ぐ行き止まっていました。全駅共通ですが、スタイリッシュなベンチは一部に段差が設けられていて、高齢者向けの配慮なのだとか。Edy対応の自動販売機は当方にとってはニンマリですが、コカコーラがシーモ非対応なのは何故? なお、ホームに売店はありません(恐らく全駅ラチ外、ampmのミニコンビニかキオスク的売店)。
改札口は1箇所で券売機も1箇所。それぞれの機器台数(自改機7台、自券機5台)が必要十分数に抑えられているところが開業人気の混雑に拍車を掛けたという感じもしますが、致し方ないところでもありましょう。

地上とは3つのルート、改札口南方にはちょっとした吹き抜け空間がありそこから二手に分かれて上がると、JR総武線高架の南北両端へ。その間にJR秋葉原駅の新しい中央改札口が新設されています。南側がJRとの乗換主要ルートとして広く取られ、ESも上下方向に複数台用意。地上もちょっとした広場になっており、その一角にTXのインフォメーションセンターもあります。 tx 一方北側は細い通路ながら駅前広場の一角に出るもので、地下1層部分の通路にはクイックマッサージ店がオープン、先の吹き抜け空間からも良く見えます。もう1つのルートは、改札口北方の通路を進んで右手に折れるとヨドバシカメラ店舗脇から地上に。ただし地下・地上ともヨドバシ店舗と直結してはいないようです。
地上にはロータリーが整備され、それまで付近道路上を始終点としていた都営バス2路線が発着、あと千代田区の乗合タクシー「風ぐるま」のポールも立っていました。まぁ今のところは殺風景でちと寂しい光景でもあるのですが、なにしろ傍にヨドバシビルがどーんと聳えておりまして…9月以降はかなりの人通りになるものと思われます。

さて、地下から地上まで上がってきたわけですが、JR線との乗換は意識的に小走りで5分程度、ゆとりを持たせて都合10分は見たいところです。東京メトロ日比谷線との乗換は街中を通る必要ありということで、金銭的判断含め北千住のほうがベターかなという気がしました。

02  新御徒町駅  東京都台東区 / 駅仮称「元浅草」
  乗換:都営地下鉄大江戸線
  Shin-Okachimachi Sta.
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都営大江戸線との乗換駅。春日通りと清洲橋通りの交点下にあり、地名では元浅草・小島・台東・東上野の境目。駅名は大江戸線開業時にも物議を醸しましたが、難しいところです。ちなみに、TX本社最寄り駅だったりします。

駅構造は4層で、地上から1層目にTX改札と大江戸線駅改札が間を置いて東西に並ぶ細長いコンコース、2層目に大江戸線ホームがあり、3層目にTXのラチ内コンコース、4層目がTXホームです。ホーム壁面にはアクセントとして武家の家紋が並んでいました。なお乗場番号は大江戸線からの連番となっています。
注目は大江戸線との連絡改札があることで、大江戸線ホームからES・EVを介して3層目にあります。改札自体はTXホームへの階段部を取り囲むように二手に分かれますが、係員対応は片方のみで、こちらをメインとすべく手書きの通路案内が追加されているのは、ま、御愛嬌としておきますか。

TXから新宿方面へのアプローチとしては大江戸線乗換が最短と思われるところ、都交的にはその色気もあってか開業記念パスネットを独自発売、ただ実情はかなり控えめな様子。TXでは普通乗車券での連絡運輸を関鉄としか設定していない(なお定期券ではJRほか各社とも設定あり)ため、各駅券売所でのインパクトもありません…昨今の都交や東京メトロの施策的には早晩1日乗車券等の企画券設定が考えられますが、パスネット1枚で事足りるような施策も期待したいです(つくば-都庁前で1,360円、-新宿西口で1,310円ということから、一律60円引きあたりが妥当?)。

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連絡改札(係員対応)TX側より
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連絡改札(同非対応)大江戸線側より
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大江戸線ホームとの連絡通路はES・EVのみ
  • photo:浅草駅
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    改札のキャパが気にかかる
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    TX各駅で「別駅」であることを案内
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    地上出口の場所に苦労?
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    健在!
03  浅草駅  東京都台東区 / 駅仮称「新浅草」
  Asakusa Sta.

いわゆる「浅草六区」への玄関口。国際通り直下にあり、花やしきや浅草寺は比較的近いものの、仲見世・雷門、そして東武伊勢崎線・東京メトロ銀座線・都営浅草線の浅草駅とはかなり離れます。

さて、この駅はホームに注目、花火や三社祭の光景を描いた大きな絵が壁面を彩ります。色彩こそシックですが、むしろ落ち着いた感じを醸し出していて好感を持ちました。 tx 歩を進めると、コンコースへのES脇には浅草や下町にゆかりのある著名人の似顔絵がいくつも飾られ、改札口には黄金の龍のステンドグラスがきらめくなど、アートに秀でた駅となっているのでした。
地上への出口は2つ、場所取りがなかなか難しかったようで、片方のビルはキャバクラビルの隅を間借りした感じ、もう1つは外観に凝っているものの、通り沿いはEV出口で階段部は脇道に顔を出していました。なお、コンコースは広く取られていて台東区営駐輪場が整備される様子…浅草ビューホテルには繋がらないのかな?未だ整備途上というところで、地上では「常磐新線工事中」の看板も出ていました。

話題の駅名問題ですが、まず実情対応としては、TXの一部駅にはその旨の案内板も掲げられていました。一方“先輩”である各浅草駅での対応はまちまち。東武は地図ポスターを製作し案内、東京メトロは田原町駅からの乗換を薦める一方で田原町ラチ外の地図は未対応とちぐはぐ、都交はラチ外からだけの印象ですが特段の対応をしていない感じです。なお、地名で云うとTX駅は浅草と西浅草の境目で、銀座線や浅草線駅は雷門・東武駅は花川戸。個人的には仮称の「新浅草」がベターかなとも思いましたが、 tx 実際に歩いてみると、昔日の栄光云々はあるにせよ、仲見世もお祝いムードなところからして、やはり浅草界隈の回遊性を期待しつつ新浅草では中途半端、浅草六区や西浅草ではイメージ的に狭くなってピンとこない、やっぱり浅草で…となりましょうか。そもそもの乗換ニーズもなかなか見出しにくいですし(あって浅草線だが、蔵前での大江戸線の乗換がああである以上は…)。

その意味でも気になったのは、自券機2台に自改機3台という最小限構成。臨時用のまさに旧来の有人改札が2基ありましたが、正月などはどうなることやら…。WINS需要もかなり当て込んでいる様子、『混雑が予想されますのでお帰りの切符は…』とお定まりのフレーズ告知をしていましたが、そのあたりからの見定めが肝要かと。

04  南千住駅  東京都荒川区
  乗換:JR-E 常磐線 東京メトロ日比谷線
  Minami-Senjyu Sta.
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既存2路線の間に割って入る形の駅。地下浅く、ホームは対向式2面2線で、コンコース階は地上、JR常磐線の高架下を間借りする感じです。細い路地を介してJR・メトロ日比谷線の改札が近接しています。 なお、丁度駅前から荒川区のコミュニティバス「さくら」が発着していました。

実情として乗換は便利ですが…個人的にはこの駅の必要性については疑問だったのですが、通過する以上はやはり停めざるを得ないでしょうかね。JR・メトロともに同駅での連絡定期券発売はしていません。加えて云えば、秋葉原までTXが最速(7分)ながら240円、日比谷線が9分、JRは乗換を要すもともに160円。なお快速も綺麗に停車となっていますが、この区間で1駅通過させても…という結果論かも知れません。

05  北千住駅  東京都足立区
  乗換:JR-E 常磐線 東武鉄道 伊勢崎線
      東京メトロ日比谷線 千代田線
  Kita-Senjyu Sta.

始発から初めての、そして都内唯一の地上駅。JR駅直上に整備され、東武駅日比谷線ホームよりも僅かに高くなっています。ただし双方ビルや駅舎に囲まれており、展望は利きません。 tx 夜の訪問でしたが、ホーム端部では飲食店からの換気が混ざり合って流れ込み、個人的にはあまり宜しくない匂いになっていました。

1面2線の島式ホームはゆったりと採られておりさすが一大乗換駅。通路を降りると乗降改札口は南北2箇所、なんでもTX唯一なのだとか(なお新御徒町に連絡改札とで計2つにはなる)。北改札はそのまま従前の自由通路に出る形となり、右手に東武・メトロ日比谷線、左手にJRの改札口に直ぐ連絡、左手奥を下ってメトロ千代田線地下駅へと進む形に。TXとJRの改札の間にみどりの窓口があるのですが、TXの施設にも見える感じがして少々滑稽に映りました。
一方南改札はTX開業に合わせ新設されたもので、JR・東武の改札口も整備され、西口方面裏手へ抜ける「仲町口」もできています。東武改札近くにTX定期券売り場があり、購入者が並んでいたのは頼もしいところ。南改札はスペースにもゆとりがあるものの、各種商業エリアがなくちと寂しい感じ。北改札ではTX構内にも生ジューススタンド(京阪の「ジューサーバー」)がオープンしていることから、まぁそのうちにこちらもどんどん“開発”が進むことでしょう…。

当方は仲町口から出て自由通路から北改札に戻りましたが、乗換についてはほぼ専用口然とした南改札のほうが便利そうですが、仲町口は手狭感があり地上も裏手ということで当駅利用は北改札で、となりましょうか。悩ましいのは千代田線との乗換で、仲町口のEVが「最短距離」のようですが、1基だけなのが惜しまれるところ。なお、仲町口には足立区駐輪場も隣接していますが、カードによる入場管理が行われているのですね。

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人通りの多い北改札前
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ゆとりのある南改札(東武口から望む)
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東武口横にあるTX定期券売場
06  青井駅  東京都足立区
  Aoi Sta.

都営アパート群のど真ん中にできた駅。荒川を越えいよいよ鉄道空白域へ進むこととなりますが、同駅の位置は首都高速三郷線の西側、東武五反野駅やJR綾瀬駅から直線で5~600m程という住居密集地域。地上に出るとすぐ背後にニョキッと団地が建っているのが、“後付けの駅”であることを十二分に感じさせてくれます。tx

ホームは対向式2面2線、駅出口は2箇所(他駐輪場スロープ2箇所)あり、うち1つがシンボル的に大きく、曲線を多用した柔らかな外観になっています。周囲は広場に整備され、小さなロータリーも。ただし周辺道路が狭いため、バス路線は足立区コミュニティバス「はるかぜ」1路線が立ち寄るのみ。予想される自転車対策として、地下に2000大規模の有料駐輪場が整備されており、現状とりあえずは放置自転車のないすっきりした広場を保っていましたが、肝心の駐輪場への通路の床が、排水不順で水に濡れていたのは…。

さて同駅と隣の六町駅での注目は、通過列車の状況。TX、1回乗ると判りますが、最高時速130km/hという事前知識を超えるくらいに、ほぼ全線で“ふっ飛ばす”感覚を強く抱きます。新線ゆえ直線的だからということではなく、むしろ都内を中心に急カーブもあるのですが、直線ではできるだけ速く走って所要時間を短縮しよう、という意気込みが感じられるのです。まぁ、残念ながら時勢柄、このように映る姿勢が諸手を挙げて受け入れられるかと云えなくなってしまったのはなんともなのですが、個人的には事業者たるもの、絶対は無いながら最善の安全を尽くした上においてかくあるべきだと考えています…。

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で、話を戻すと、両地下駅はほぼ直線上に並んでいることからスピードが出るであろうと思われ、実際初乗した快速列車は駅通過時もほとんど減速することなくMAXに近い速度で駆け抜けていました。その際にホームの状況はどうなるのだろうと興味を持ちまして…皆様の中にはほくほく線美佐島駅を思い浮かべた方もいらっしゃいましょうか。当方実見していませんが、あちらは単線トンネルで特急が160km/hで通過するため、地下ホームと待合室が安全管理上風防ドアで堅く閉ざされているというもの。一方こちらは複線トンネル、最高時速も少ないながら、可動式ホーム柵のみで仕切られた云わばオープンな状況、当方は東北新幹線くりこま高原駅ではやての通過を見送ったことがありますが、ある意味それに似た状況になるのではないか…と思ったのです。

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結果、まぁ予想されるくらいの轟音とスピード感を感じました。Max275km/hのくりこま高原と比べるのはどうかとはなりましょうが、速度感よりも地下の密閉空間での音の反響が威圧感を増すような感じが。6両編成ということもあってか長時間続くということでもないのですが、さすがにホームを駆け抜ける瞬間は、慣れるまでは少々びっくりするかと。

なお、ホーム上では風圧はさほど感じなかったのですが、地上出口への通路にも注意文が貼られている通り、同駅に限らず地下駅では条件次第ではよろけるほどの風圧を感じることもあり(当方は六町駅で体感)、その意味でもやはりせめてこの地下区間通過2駅だけでもホームドアと空調管理による安全性確保が望ましいのではないか…と思った次第です。

07  六町駅  東京都足立区
  Rokuchou Sta.

東京都最後の駅。ちなみに読みは「ろくちょう」。東京メトロ北綾瀬駅から直線で1km程、青井駅とは環七を挟んで南北に500m程の対にある感じです。 tx このあたりになると、住居と各種中小規模の工場が入り混じった様相となり、高層建築物も少なくなっています。

島式1面2線のホームから地上へ。なおこちらの駐輪場は地上に整備、それもあってか駅構内は青井駅より空間が広く感じられました。駅周辺では土地区画整理事業が併せて進められており、都道の拡幅によりバス路線も多く経由、駅前ロータリーも広く取られていて交通拠点としての期待度が伺えます。ただし発着路線のうち経由便については道路上バス停となり分散、いちげんさんには少々判り難いのは課題かと。なお、TX開業に合わせて足立区コミュニティバス「はるかぜ」は八潮駅まで乗り入れる1路線が新設されましたが、東武カラーのリエッセが同駅も経由しています。

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  • photo:八潮駅
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    3ヶ月前はこんな感じでしたが…
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    見学会は盛況
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    引上線4本が拠点性を思わせる
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    ゆったりとしたコンコース

埼玉県内「鉄道空白域」を貫き…

08  八潮駅  埼玉県八潮市
  Yashio Sta.

市にとっても、TXにとっても拠点となる駅。首都高三郷線という道路の大幹線を抱えつつも、鳩ヶ谷市に埼玉高速鉄道が延伸して以後、県内最後の「鉄道の通らない市」にようやくもたらされた光明、とするのは大袈裟でしょうか。ともあれ、県境を越えた先で地上に駆け上がり、乗客にとっても車外の光景を眩しく感じるはずです。
当方5月の見学会の際に1度来訪していますが、その際のある種荒涼とした遠景が印象的だったのが、整地状態にあった北口にはロータリーが整備され、ショッピングモールが急ピッチで建設中という光景には驚かされました。高層マンションも建つようで。

駅は2面4線でホームの横幅も広め、快速退避と区間快速緩急接続が行われるほか、現ダイヤでは始終着便はないものの、つくば方には引上線が4線あり、開発の進展で様々な展開が予想されます。1階のコンコースもラチ内・ラチ外ともかなりゆったりと取られており、ショッピング&グルメゾーン“TX AVENUE”も順次オープン予定…まぁありきたりな店舗構成であることは致し方なしですが、JR-E系のNRE「あじさい茶屋」が入っていたのには目を惹きました。

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駅前には南北2つの広場が整備。メインとなる北口にはロータリーにバス停が6つ造られており、東武バスがかなりの頻度で発着しますが、庇の無い取り付け道路上まで広範囲になってしまったのは玉に瑕?一方南側は未だ整地途上、バスも発着しますがこちらは実見漏れ…5月の見学会では南口側からのアプローチでしたが住居が微妙に迫っていてさほどの余裕は無かったかと記憶しています。バス拠点としては北口1本に絞ったほうが良かったのでは?とも思うのですが、こちらは京成バスの発着場所ということで、未だ区分思想が働いているのでしょうか。
八潮市中心部は首都高の北側になり、東武バス八潮車庫があります。一方の南側は中川伝いに三郷市や葛飾区、足立区と境を接し、旧来の集落の延長線上の開発状況で、三郷市境に京成バス戸ヶ崎操車場があります。従前は丁度人家が途絶える同駅付近が流動の谷間で、双方が常磐線や伊勢崎線方面への中距離路線バスを運行していたところ、今回丁度そこに拠点ができて双方足を伸ばした、という格好になっているのですが、こちらの鍔迫り合いも今後の開発状況に左右される、ということになりましょうか。

なお、個人的には駅から徒歩でも苦しくない圏内に首都高八潮料金所・PAがあることから、常磐道高速バスの異常時を見据えた降車停留所設置なぞ…と思うのですが、さて。なにもライバルつくばセンター線他の系統だけでなく、水戸以遠系統にとっては意義のあることと思うのですが…なるほど、それを狙ったのが守谷線系統の都市間バスなのですね。それについては後程別項にて。

09  三郷中央駅  埼玉県三郷市
  Misato-Chuo Sta.

埼玉県内もう1つの駅。従来JR-E武蔵野線のみで都心と短絡ルートが無かった三郷市にとっても待望の開通でしょう。整備中の外環道を潜った先で緩やかにカーブする区間に駅が設置されていますが、各駅の自動券売機液晶画面のスクリーンセーバー画像?には丁度同駅進入を捉えた写真も入っており、幹線同士の取り合わせということで沿線開発の象徴的な図柄かと…?

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ホームは対向式2面2線、駅舎自体は隣の八潮と比べるとこぢんまりした印象を受けますが、直ぐ隣にはマンションやスーパーがほぼ姿を見せており、他の新駅と比べ比較的早く活気が出るものと思われます。そして特筆すべきは線内随一といって云いバスターミナルでしょうか。タクシープールと区分した上、乗降の便を考えた斜め切込み型のバースを13も設けるという大きさ、かつ全乗場までしっかり庇がついています。東武・京成のほか、三郷市新規参入社三羽烏=マイスカイ交通・メートー観光、飯島興業も乗り入れ、トータル本数もかなり確保されている様子です。
ただ、個別に本数を見てゆくとほぼ1路線に1バースという配分が必要なのかな?とも思われ、駅改札からの動線を考えても、「大きいことは良い事だ」とは言い切れないと考えるのですが…。

いずれ折を見て三郷周辺の路線バス状況についてはまとめて考察してみたいな、と思っているのですが、バス事業の規制緩和を好機と捉えた市の「最小限のカネで口を出す」というモデルはまず成功したと思われるところ、1次アクセスチャンネルの増加と市域、周辺の流動をどのように勘案するかで、粗密感のある路線網の再編が早晩求められることになるのでは?と感じます。現状を見る限り、三郷中央駅開業はそれに拍車をかける混沌度合いを増したのではなかろうかと…まさしく、一大バスターミナルの中長期的な真価発揮の方向性を期待しましょうか。

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威風堂々とした駅舎(タクシープール側)
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バスターミナル側
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広々としたロータリー

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千葉県北西端を駆け抜けて…

10  南流山駅  千葉県流山市
  乗換:JR-E 武蔵野線
  Minami-Nagareyama Sta.

江戸川を越えて一旦地下に入りJR-E武蔵野線との交点下へ。千葉県最初の同駅は乗換拠点、北千住から4駅飛ばしてきた快速も停まります。

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島式1面2線のホームはやはり手狭な感じがしますが、コンコースは比較的ゆったり目、地上のJR駅舎前までは最短距離で一気に結ばれているところはさすがです。当方こちらも5月の見学会に立ち寄りましたが、終了時間ぎりぎりながらなかなか盛況だったことを思い出します。再整備中だったJR駅舎東西のロータリーも綺麗になっていました。
なおJR駅舎はTX開業前にES・EV設置などの改修工事が行われており、外観も緑とオレンジの湘南カラーならぬ「湘南新宿ラインカラー」とでも云うべきE231系帯色とド派手に主張していました。

同駅から快速で北千住まで10分、秋葉原まで20分とは、これまでと比べて驚異的とも云うべき時間感覚になろうかと。思い入れがあるのでつい触れますが、直通性と実質座席指定制で利ありでは…と読んでいたJRバス関東三郷・吉川・松伏線がTX開業を待たずして消えてしまった主因は、座れなくても定時性というところが大きかったものと考えます。その意味では、秋葉原(新御徒町)乗換の必要性を差し置いても、武蔵野線沿線からの流れがかなり起こるものと推測されるのですが…ちょいとココは今後「定点観測」してみたいな、と思いました。

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さて、同駅の北東700m程のところには総武流山電鉄(流鉄)の鰭ヶ崎駅があります。見学会の際この駅から歩いて行きましたが、流鉄の通る付近がなだらかながら丘陵地形にあり、両脇の平地は区画整理されているものの鰭ヶ崎駅付近を中心に細道が入り組む感じになっていて、近いようでちょっと遠く感じました…まぁ乗換需要は無いでしょうが。
流鉄はTXとの交差土地問題(区分地上権か)で営業補償を主張、切々と窮乏を訴える記録もありますが、簡裁の調停までもつれ込んだ長期交渉の末、2002年末に成立。それがTX開業の最終関門となっていた、というのは印象的な話。流鉄は補償の一環として受けた7億5千万余の融資をもとに柏市内に不動産を購入、その賃貸収入で旅客減分を補う由。TX開業に伴う沿線効果は少ないともしていたところ、さて“柏市内の所有不動産”がどのあたりなのか、興味深いです…。

11  流山セントラルパーク駅  千葉県流山市 / 駅仮称「流山運動公園」
  Nagareyama-centralpark Sta.
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流山市役所から約1km東方にある駅。確かに明治初期まで江戸川の舟運拠点として栄え、日本鉄道(現常磐線)通過時に云々という以降、流鉄はあっても、どちらかといえば「鉄道空白地域」と思われがちな流山市。今回一気にTX3駅ができたことでイメージも向上!と見る向きもあるかもしれません。その意味では「流山セントラルパーク」なる駅名は象徴的とも云えましょうか…ただ実のところ、市の南部にJR武蔵野線(南流山)と流鉄(鰭ヶ崎・平和台・流山)、北部に東武野田線(初石・江戸川台・運河)が通っており、今回のTX開業で実に4路線全9駅になったコト、御存知でしょうか(更に云えば、実は常磐線も市域を通過している)。

改めて地図を見ると、この駅のある場所はどちらかといえば市の南部側。駅北東に仮称に使われた流山運動公園があるゆえ、拡大解釈で「セントラルパーク」となったのか…なお地名は前平井です。
対向式2面2線のシンプルな駅舎で、駅西側のロータリーもシンプル。運動公園方面へのルートは…まだ整備途上という感じでした。そもそも林間にぽっとできたという印象、流山市街からの直接的な流動変化もそうですが、東武バスの南柏・柏との路線バスが発着することになり、この流動が注目と云えそうです。

12  流山おおたかの森駅  千葉県流山市 / 駅仮称「流山新市街地」
  乗換:東武鉄道 野田線
  Nagareyama-otakanomori Sta.

TX開業に合わせ新設された東武野田線との結節拠点駅。豊四季駅と初石駅のほぼ中間点というところ、周辺は平地が広がるものの長閑な風景、アスファルトが黒々とした道路や、なによりも駅前広場に赤土が広がる光景は「流山新市街地」たる仮称もうなづけますが、沿線開発調査の折、駅南側の“市野谷の森”に希少種オオタカの営巣が確認され、森の一部が保全されることになり、駅名もそれに倣ったというもの。里山近くで暮らすオオタカは都市開発で追いやられて…というホンネと、開発と自然の共生の象徴がオオタカになる…というタテマエのシナリオが容易に浮かぶところ、駅名の是非もいろいろあるようですが、戒めの意識を持って見守る…というところでしょうか。

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駅舎は3層、3Fのホームは島式2面4線、緩急接続も行われます。2FがTXと東武の改札口・コンコースで、TX最大級の広さを持ちます…まぁその分乗換については他の各線よりも若干歩く距離が長いかな、という気はしましたが。ラチ外はハの字型で、南向きに駅前がパッと開けます…まだ拓ける前ですが。
東武駅舎も屋根が曲線を描く堂々としたもの。1Fに相対式2面2線のホーム、東武駅舎の北側にロータリーが整備されていますが、乗り入れるバス路線は江戸川台駅との1路線。今後しばらくは乗換拠点としての機能が中心となりそうです。ただし、現時点で構内にはampmのミニコンビニくらいなもので寂しい…。

秋葉原まで快速で25分、普通でも30分ということで、南流山同様野田市方面へのアピールが大きいと思います。今後の動向でまず参考になるのはJRバス関東・東武バスの高速バス江戸川台線でしょう。こちらは柏の葉方面も経由しているわけですが、TX開業前に14往復から11往復に減便されており、今後の展開次第では予断を許さないものと思われます。野田線については速達化といっても限定的と考えられ、接続ダイヤや運賃面での施策が期待されましょうか。

13  柏の葉キャンパス駅  千葉県柏市 / 駅仮称「柏北部中央」
  Kashiwanoha-campus Sta.

文字通りキャンパスへの玄関口となる駅。キャンパスとは東京大学柏キャンパスのことでしょうが、直線距離で2km弱離れており、むしろ千葉大学環境健康フィールド科学センター(旧園芸学部農場)が駅の傍だったりします。サッカーJリーグの試合も行われる柏の葉公園総合競技場や、国立がんセンター東病院なども至近、東武バスも循環路線を新設しています。

対向式2面2線のホームは高度があり遠望がききますが、やはり畑の中にできた新駅ということで赤土が目立つ感じ。 tx ただしR16からそう離れていないことや、常磐線柏駅北部のベッドタウンとの路線バスも新設されるなど、交通センターとなる可能性を秘めているといえましょう。
ちと疑問だったのは、改札を出るとTXの高架を中心に対称して東西にロータリーが整備されていること。それぞれにバス乗場やタクシー乗場が設けられています。西側が柏の葉公園方面、東側がR16方面と区分化されるとはいえ、どちらかに統合してもさほど不便とは思えず、土地がたっぷりあるとはいえ少々無駄な感も? それでいてとりあえず間に合わせました感の強い整備で、庇の無いバス停も。駅前にはとりあえず未だ何も無い状況のため、荒天時には駅舎に避難するしかなく、今後の展開を待つしかないのかな…その意味ではTX高架下の活用など如何かと。
柏の葉公園方面へのアプローチ道路が整備途上ということもあり、バス乗換が当面ポイントと思われました。しかし上記のような実情、更にこれは他の駅にも共通するのですが、駅側の掲示とバス停等の掲示に統一感や関連性が無く、まごつく事しばし、という感じが。できれば開業前にすり合わせてもらいたいところですが、改善に期待です。

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東口と西口にバスターミナル
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高架を挟んで見える位置に…
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どのバスに乗ればいいかな?
14  柏たなか駅  千葉県柏市 / 駅仮称「柏北部東」
  Kashiwa-Tanaka Sta.

千葉県最後の駅。駅西部には十余二工業団地が広がりますが、林間に隠れてかさほど目立ちません。駅前のランドマークとしては千葉県立柏北高校があるものの、統廃合で2年後には無くなってしまう由。とりあえず駅周辺にはフェンスが張り巡らされ、都市機構が駅前の区画整理事業を行う旨の看板が出ていますが、はていつになることやら…と感じられます。特に駅東部はほとんど手のついていない里山然としていました。

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まず周辺の状況をさらっと見ましたが、なんと云ってもインパクトがあるのは駅舎です。銀色の楕円形の“物体”がTX高架橋を飲み込んでいるかの様は、まさにUFO襲来? あとはとりあえず駅前だけという感じで、TXに寄り添う4車線道路が整備されており、駅舎から歩道橋という形で道路を跨いで小振りな駅前ロータリーにつながっています。
同駅からは北柏・柏駅方面と野田梅郷住宅方面への東武路線バスが延びていますが、駅西方1km程にある東急柏ビレジとは結節なし。まぁたしかに直接的に結ぶ道が無いということが大きいのですが。なおそちらは柏の葉キャンパス駅と結ばれており、今後の流動志向が興味深いところです。確かに柏の葉キャンパス駅は区間快速停車駅、一方柏たなか駅では守谷始発の普通への着席チャンスが大きいとも思われ…。

▼いよいよ利根川を渡り茨城県へ…


ご意見は【検証:】常設板までお気軽に!

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