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航空と鉄道・バスの“会社関係”…「羽田応酬戦」の興味深い展開から見る

羽田といえばJALvs.ANA。羽田アクセスといえば東京モノレール(JR-E)vs.京浜急行。双方のサービス合戦は利用者として利便性高い方向に向かう分には大歓迎ですが、このところ興味深い展開になりつつあります。

羽田における航空と鉄道の“会社関係”としてまず想起されるのが、東京モノレールへのJAL・ANAの出資でしょう。その後、さまざまなキャンペンを経てその関係性が微妙に変化しつつあることに気づきます。

【2001】

  • 12/20 JR-E、東モノの子会社化発表
          日立物流保有株を譲渡し、JR-E70%・日立製作所30%保有に

【2002】

  • 04/21 JR-E+東モノ、Suica共通利用開始
  • 07/14 JR-E、京浜東北線快速の浜松町駅停車
  • 08/16 ANA+JR-E、10月以降「エアレール」(「超割」+「東北遊きっぷ」)展開を発表
  • 12/17 JAL・ANA、東モノの経営に参画
          日立製作所保有株を一部譲渡、JR-E70%・日立製作所12%・JAL9%・ANA9%保有に

【2003】

  • 05/13~/15 JAL+ANA+東モノ+JR-E、提携記念Suicaイオカードを新千歳・福岡・伊丹→羽田線の一部機内で限定販売
  • 07/19 JR-E+東モノ、浜松町駅新連絡通路オープン
  • 11/21 JAL+京急、羽田空港駅開業5周年記念「JALで羽田に着いたら京急で!!」
          新千歳・福岡→羽田JAL全41便で搭乗客にパスネット対応ルトランカード500円券プレゼント
  • 12/25 ANA+京急、羽田空港駅開業5周年記念「ANAチャータージェットで飛ぶ 京急Xmasフライト&ステイプレゼント」
          クイズ回答者から抽選で55組110名にANAチャーター便で遊覧フライト+ホテルパシフィック東京宿泊招待

【2004】

  • 04/21 JAL+JR-E、広範な業務提携合意を発表、「JALカードSuica」発行へ
  • 11/26 JAL+JR-E+ANA、タイアッププロジェクト「JAPAN SNOW PROJECT」発表
          「スノーレジャー」各種プロモーション活動の展開
  • 12/01 JAL+JR-E、「JALカードSuica」募集開始

【2005】

  • 03/15~/17 ANA+京急、オリジナルパスネットカードを新千歳・福岡・伊丹・那覇→羽田線の一部機内で限定販売
  • 03/14~ 京急、羽田空港駅PRシンボル電車「KEIKYU BLUE SKY TRAIN」運行開始
          外側を青1色としたデザイン、車内広告を統一したアドトレインで、初回スポンサーはANA
 

東モノのJR-E参加入り、さらにはJAL・ANAの東モノ資本参加という「前提」のもと両者での各種キャンペーンが張られる中、京急はというと空港駅開業5周年記念を機に手を打つも、一応JAL・ANA双方の顔を立てて、という印象がありました。

その流れを大きく変える端緒になったのが、まさしく昨年4月に発表されたJR-EとJALの「広範な業務提携」でしょう。現時点ではJALカードSuicaしか実例が見られませんが、この2月から始まったJAL ICチェックインでは「タッチ&ゴー」で飛ぼう!とSuicaと同じコピーを使っているところからもその延長線上の動きと見ていいかと。
そして今回のANA+京急ですが、パスネット販売のリリースに『従来ANAと京急は関係強化を図っており』という記載があります。そういえば、確かに昨年12月第2ターミナル開業時、京急駅からの通路に自動チェックイン機が多数置かれているのを見てほうと思ったものです。東モノは浜松町にM-CATがあるものの、横浜や都営浅草線方面からの利用者を中心に便宜を考えた策かな(ちなみに品川駅には2社のチェックイン機あり)と考えていましたが、背景には関係変化もあるやも知れません。そういえばYCATとANAの「てぶらサービス」も始まりましたが、表に出ていないにせよバスは京急の運行であり、こちらも流れの一環と解釈すれば納得が行きます。

その意味では、このパスネット販売と期を同じくして展開される京急のアドトレインも多分にANAありきでのスタートのように見受けられます…蛇足ながら、2TB開業記念ラッピング電車は京急の自腹と聞いたことがありますが、あれも青空ベースでANAの機体にマッチしていましたね。注目を集めていたのに味をしめたのでしょうか?…といっても外に広告を出すわけではないのでおとなしめと言えましょう。京急では随分昔に企画モノでのデザイン電車をやっていたかと思いますが、2003/05の川崎市条例改正によりラッピング電車も可能になっているわけで、なんだか最近過度になりつつある中でポリシーを感じなくもないです。
まぁ、「旅」をテーマコンセプトとした企画で、広告主として「航空会社」を対称にしていますが、羽田空港駅での柱巻広告をやっていたSKYやADOが食いつくでしょうかね? もともとどちらかといえば赤い電車のイメージが強いことからもJALと組めばいいのに、なんてな茶々を入れたくなるものです(まぁ会社のイメージカラーは実のところスカイブルーなんですが)。あと、「鉄道会社」入っていますが、ならばJR-Cにアプローチをかけてみるのも一興では?京急サン。

ところで、ラッピング電車としてはこんな話も届いています。

まずは1年間クライアントが付いていますが、広告料は半年単位で結構なお値段(ちなみに大江戸線フルラッピング車で年間契約1,500万とか)ですが、会社のシンボルでもある車両とはいえどうでしょう? 『有料特急のラッピングは大手私鉄ではじめて!』との言葉が正直泣かせます…。

 

話を戻すと、ANAの鉄道会社との関係模索が目を惹きます。筆頭株主でもある名鉄とはついにと云いましょうか、中部国際空港開港を機に大々的に「コネクション」をうたっていますし、超割とのセット企画「エアレール」も2002年3月のJR-Qとのタイアップを皮切りにJR-H・-S、そして-Eと組んで継続しています(ちなみにJALは2003年にJRタワーホテル日航札幌開業に合わせJR-Hと「バーゲンフェア+北割きっぷ」として追随していましたが終了したようで?)。
2004年にはEdyを軸にバス会社との連携にも着手、宮崎交通(宮崎就航50周年記念として、02年以降展開しているICカード「宮交バスカ」のAMC-Edy機能搭載版を12月に発売)、両備グループ(05年1月から岡電・下電運行の岡山空港リムジンバス乗車券のEdy購入対応開始(現在は窓口売りのみ))と展開しています。この2例はEdy戦略で大きく注目されようかと思います。

そんな中、こんな企画も発表されました。

そういえば3日前になる京急とのリリースで『ANAの機内で「パスネット・カード」を販売するのは、今回がはじめてとなります』と入っていましたが、これを意識してたんでしょうかね?
京急のほうは3,000円券でしたが、東メトは1,000円券と全線2日間チケットがセットになって2,000円での販売。デザインだけで見ると当方は東メト版のほうが欲しい…それはさておき、メトロの販売手法はなかなかいじらしいじゃないですか。折角なのですから京急にも組んで欲しかったところではあります。


航空と鉄道の“会社関係”。ときにライバルであり、手を組めるところは組むという協業関係が今後も進展しそうですが、そのスタイルとしては、1)広域型連携(「エアレール」や「SNOW PROJECT」など) と、2)都市圏連携(Suica・Edyを軸とした関係) に集約されようかと思います。
特に後者についてはEdyの先行をSuicaが猛追している状況で、Edyのバス乗車券対応やJAL ICチェックインがチケットレスの理想形として現実化したにもかかわらず、双方が同じFelicaシステムであるにもかかわらず融合されないのはなんとも悲しい限り…ハード的には来年導入がついに正式発表されたモバイルSuicaで統一されるも、電子マネーの出所が2つあるのは利用者として混乱しそうな気もします。
また前者にしても、購入手続きが依然少々煩わしかったり、そもそもやっているのかどうかが判然としないといったことがあったりしますが、取捨選択の上での標準サービス化への道が望まれましょう。例えば「てぶらサービス」は国際線でのCATサービスが軒並み縮小される中、国内線でやってみれば?という発想であり、その延長線上にはドイツで定着しつつあるらしいAIRailという方向性も見えてこようと思われます。手始めには名古屋-セントレア間なんかは素人目には最適かと思いますけどね…。

#そもそもセントレアが国内線と国際線の乗継便利といっても動線が多少短いかな、というだけで税関手続はまだしも荷物の経送とかまでやってくれるわけではないですから、喧伝されているほど中身が伴ってないのが現実ですから、そのあたりからの整理が必要なのでしょうが。その点は如何でしょうかね>ASTREC殿。

いずれにせよ、ANA主導のEdyサービス陣営とJR-E主導のSuica陣営という、電子マネー戦略での綱引きの中からどのような展開を見せてくるかが注目です。現時点では陸上系交通はSuica統一化で落ち着きそうなところ、各社のクレジットハウスカード戦略ともあいまってぽっとEdy引き落としを認めたときに流れがどう変わるのかが注目されるところです。

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ANAコネクション戦略さらに

投稿者---551planning(2005/04/19 16:59:51)

ANAが空港駅連携策を続けていくようで。

6/1からの時刻表に乗継ダイヤを記載するのはセントレア開港に伴う名鉄との策と同じもの。セントレアでは当面福岡・新千歳線からということで、今回で新千歳-中部線では双方に鉄道ダイヤが記載されるスタイルになります。空港駅へのチェックイン機設置は羽田2ビルオープンでの京急との策と同じもの。新千歳は繁忙期の集中度が高いことから、空港駅でチェックインして土産物屋に直行…てな使い方もできるのはいいかもしれません(まぁ従前札幌駅構内にチェックイン機はあるのですが)。

コネクションは名鉄・JR-H、あと羽田では京急とイイ関係。先日福岡に行った際には博多駅がANAのセントレア広告でジャックされていましたが、さてこんどは何処がコネクションに加わるでしょうか?
個人的にはここまで来るなら、搭乗半券がそのまま鉄道チケットになる、なんてことになれば素晴らしいかなぁなんて思っちゃいますけど。

Re:ANAコネクション戦略さらに

投稿者---ぴろぅ氏(2005/04/29 22:29:18)

個人的にはここまで来るなら、搭乗半券がそのまま鉄道チケットになる、なんてことになれば素晴らしいかなぁなんて思っちゃいますけど。

過去の「ルフトハンザエアポートエクスプレス」のような「航空便の代替」より、近年ではKLMオランダ航空+タリス、ユナイテッド航空+TGV、コンチネンタル航空+アムトラックのような「コードシェア運航」の例が海外には少なくありません。どの例も通常運航の定期列車の一部が「航空便」として販売され、航空会社の便名を割り振られています(CRS販売の関係から空港コードも割り当てられています)。アムステルダム、シャルルドゴール、ニューアークという何れも鉄道駅が空港にあるか隣接していることが条件としてはありますが、将来的に日本でも同様なことがあるかもしれませんね。ただし日本の場合は「直行便」指向が旅客に根強くありますから、そのへんの心理的バリアをどうみるか、でしょうが…。

小さなところからの航空と鉄道との連携に期待

投稿者---551planning(2005/05/11 18:05:00)

広域的な航空と鉄道との連携については以前議論になってました。

整備新幹線等の進展如何で、また現状でも例えば東北方面については航空需要をマイル等の特典含めて鉄道にスライドさせてその分の羽田枠を別に回す、なんてなことは出来なくはなかろうとも。必ずしも空港と駅が連絡している必要もないでしょうし。

その意味で、今回は空港利用時の近距離アクセスでの私見だったのですが、例えば岡山空港から岡山駅への連絡バスでは同一会社路線の市内移動1回タダとか、東京空港交通が東京メトロと組んで「リムジン&メトロパス」として成田空港からの片道バスに地下鉄1日乗車券をつけるといった取り組みも見られており、それに航空会社が巧く組めればもっと便利になるのではないかな、例えば未だ国内線ではJAL ICチェックイン以外は半券がほぼ発生していることから、それを使えないかな…なんて思ったのでした。

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ANA、東京メトロと営業提携

投稿者---551planning(2007/01/10 21:09:27)

JR北海道、名鉄の次は、意外にも東京メトロでした。

ポイントプログラムの提携や各種販促活動の相互展開を行なうとしていますが、なんといってもマイル交換に注目です。PASMO陣営では東急=JALが既にカード提携を発表、PiTaPaはANAと組んでいますし、先鞭はなんといっても「JALカードSuica」ですね。ここで交換レートを見てみると、航空マイルからはすべて10000マイル毎同額(10000円分ないし10000ポイント)交換ですが、逆はいろいろ…

  • JALカードSuica
     ビューサンクスポイント(1p500円)600p→JMB500M(JALカードショッピングマイル・プレミアム参加者は1000M)
  • JAL&東急カード(JALカード TOP&ClubQ/TOP&ClubQ JMBカード)
     東急ポイント(1p500円)2000p→JMB1000M
  • ANA PiTaPaカード※
     ショップdeポイント(1p100円)500p→AMC20M (※その他のPiTaPaカードは同レートでJMBとの交換可能)
  • Tokyo Metro To Me CARD
     メトロポイント1000p→AMC600M

現時点でメトロポイントの付加レートが不明ですが、メトロ(&東急)使いでANA党の当方としては魅力的です。

***
東京メトロは航空、特に羽田空港とは縁遠い気がしますが、営団時代から定期券売場で航空券を細々と売っていたところ、最近では着実に近寄りつつあります。

【2005】

  • 04/01~04/05 ANA機内で「東京メトロ設立1周年記念チケット」を限定発売
  • 04/01 「リムジン&メトロパス」発売開始
          成田空港~都区内リムジンバス1乗車とメトロ1日乗車券をセット(610円おトク)
  • 12/23 「京急羽田・ちか鉄共通パス」発売開始
          羽田空港→泉岳寺→都営・メトロ1日乗車券セット(140円おトク)

【2006】

  • 08/10 「リムジン&メトロパス」羽田空港路線発売開始
          羽田空港~都区内リムジンバス1乗車とメトロ1日乗車券をセット(310円おトク)
 

それぞれの特殊券発売に至る出自は相手会社のような気もしますが、やはり東京の足たる魅力があるのでしょう。
そして今回の発表。PASMO加盟他社の動きとともに、今後要注目です。

JR-E×ANA、本格始動

投稿者---551planning(2008/10/09 15:19:17)

2007/12に発表されていたJR-EとANAの営業面における包括提携、2008/02のAMCマイル→Suicaポイント交換サービス開始に続き、当初予定通りに各種サービス展開が本格始動することとなりました。

新たにスタートするのは「ANA VISA Suicaカード」の募集開始(10/22~)、「えきねっと⇔ANA SKY WEB」「ビジネスえきねっと⇔ANA@desk」のWeb提携(10/08~)、ANA FESTAへのSuica電子マネー導入(11/04~)の3つ。
まず注目はWeb提携。開始キャンペーンとして12/25出発分までのANA国内線利用のえきねっと予約同時購入、JR-E指定席特急券のANA SKY WEB予約でえきねっとポイント、AMCマイルが貯まることに。特設サイトが設けられたわけではなく、それぞれのID登録が必要となりひと手間加わる感じはするものの、それぞれ入ってみると双方のWebデザインを活かしており操作方法はほぼ同じ。キャンペーン期間中は使いこなしたいですが、その後はさてどうでしょうかねぇ…。

個人的に気になっているANA VISA Suicaカード。昨年の包括提携リリース時点で「Edyは搭載されません」とまずガッカリ?な感じだったのですが、そこはモバイルとの棲み分けでカバーしたいところ…そのあたりが気になっていたのですが、今回の発表によると

  • 年会費2100円(2009年3月末まで初年度年会費無料)
  • IC機能
     AMCマイル10000マイル単位でSuica直接チャージ可能(Suicaポイント交換ではひと手間必要な部分を省略可能に)
     Suicaクレジットチャージ、オートチャージサービス対応
     モバイルSuica年会費(1000円)当面無料
  • クレジットカード機能
     三井住友VISA(ワールドプレゼント等サービス利用可能)
     JR-E窓口購入5万円未満サインレス

といったところ。ビューカード機能に制限のあるいわゆるTypeIIカードとなったことから、2004年12月スタートのJALカードSuicaとの比較ではビューサンスクポイントからのマイル交換ができないのが大きな違いになりましょうか。


ご意見は【検証:】常設板までお気軽に!

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