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  • photo:東名ビジネスライナー
  • 東名デイライト号
    入口に座席が張り出されている
  • 東名デイライト号
    終始静かな車内だった
  • 東名デイライト号
    牧之原SAで浦和中央観光の一隊
  • 東名デイライト号
    海老名SAにて
  • 東名デイライト号
    新宿ではこんなバスも
  • 実乗記録
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    名古屋駅太閤口発
    黄金ランプ
    高針IC
    上社JCT
    名古屋IC
    豊川IC
    浜松IC
    牧之原SA
    牧之原SA発
    静岡IC
    沼津IC
    御殿場IC
    厚木IC
    海老名SA
    海老名SA発
    横浜町田IC
    東京料金所
    新宿駅西口着

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※当リポートは発表後の変化を反映させ再構成した Reconstruction スタイルです。

東名デイライト号

激安!便利?「東名ビジネスライナー」体験記

先日、福岡市営地下鉄七隈線と中部国際空港(セントレア)の実見に駆け足で行ってきました。もともと七隈線開業に合わせ福岡に行こうかと話していた同行者と、仕事などの都合が折り合わずに無期延期になっていたところ、セントレア開港に合わせて半ば衝動的に双方欲張って行きたくなった次第-ということで思い立ったのが10日ほど前、まずはエアーのチケットを押さえておき、自身の都合が固まり、行こうとなっていろいろ行程組みしたのが1週間を切る程度。1人旅ゆえ結果的に自身呆れるほどハードなスケジュールになったのですが、福岡・セントレアの実見記はまたお時間を頂いてという事で…。

さて、行程組みではて困ったのがセントレアからの帰路。当日中に帰京するのが大前提で、最初はNAL改めエアーセントラルの成田便でと思っていたのですがキャンセル待ちの状態、新幹線は元日に使ったばかりだしということで浮かんだのが高速バスですが、JR系の東名ライナーも中央ライナーも乗車経験あり、中央ライナーと同経路となる名鉄・京王の名古屋~新宿線もなぁ…と思っておりました。
そこで思い出したのが流行の「格安バス」。夜行主体のところ東名間は確か昼行便もあったよな、ということで調べてみると、最大手?のオリオンツアーにはありませんでしたが、2社がやっておりました。

ビジネストラベル「東名ビジネスライナー」2,900円
ロータリーエアーサービス「足元ゆったりキラキラ号」3,500円

もちろん選択は前者…というのもこの会社、もともと大阪にあるアジア系の格安航空券販売会社のアベニュートラベルが、オリオン他の国内格安バスの代理販売から一転、2004年7月に同線と首都圏-関西圏の「ビジネスライナー」・新宿-仙台の「あおばビジネスライナー」を引っさげて自社参入(その後実対応はビジネストラベル社が担当)。当初最小催行人員を20名とする分他社より2~3割程度安い価格設定の上、片道500円などという投売り的な破格の割引などを行いながら何とか踏ん張りつつ、経路等の紆余曲折を経ながら3ルート体制を維持しております。
こう書くだけでもアングラ系な臭いがプンプンなのですが、注目すべきはかの2chのスレで関係者(しかも代表者?)が時折書き込みをしているらしいこと。しかも利用者側とのQ&A状態になっています…もちろんその真偽云々については置いて捉える必要はありましょうが、微笑ましさすら感じさせてくれます。

ちなみに後者に触れておくと、昨年12月に運行開始、当初はビジネストラベル社と同様、朝・新宿発→夕・名古屋発の1往復体制だったのが、この2月から双方朝夕発の2往復化されました。トイレなし・4列座席ではあるものの間隔が1.5倍でフットレスト付きで「ゆったり」を売りにしています。なかなか派手なカラーリングの専用車両を投入しており、やる気を感じさせてはくれます。

というわけで前置きが長くなりましたが、東名“激安バス”体験録をば…。

まずは予約

正直なところ「キラキラ号」にも惹かれたのですが、東名ビジネスライナーに決めた最たる理由は名古屋発が遅めということ。キラキラ号が15:40集合(16:00発)→21:00着なところ、ビジネスライナーは16:55集合(17:15発)→22:45着と1時間余計に滞在可能。ちなみに東名ハイウェイバスの東京行最終(急行)が16:30発→22:50着なので、東名間のバスで一番遅い発車でもあります。2chのほうでも要望があったとの記述がありました。
で、乗車6日前の予約になりましたが当時△マーク(空席10席~19席)、すんなりと予約できました。ちなみに座席等の事前指定はできません。個人情報画面では氏名のほか住所、携帯電話番号と緊急連絡先・メールアドレスが聞かれます。所定の内容を打ち込んで確認すれば予約完了。受付番号が指定されており、振込時と予約確認書印刷時に必要となるのでメモするようにとされますが、後述の通りメルアドを指定しておけば大丈夫です。

振込はクレジットまたは銀行振込(三井住友or尼崎信金)、郵便局払いとコンビニ支払(請求書郵送orスマートピット)。ということで、なにかと「激安価格」が注目されますが、クレジットカード以外では手数料が発生することは気に留めておいたほうがいいでしょう。当方は近くのampmで支払、手数料は210円でしたので総計3,110円也。まぁこれでも十二分に安いです。振込票は念のため当日所持するようにとのことですのでちゃんと取っておきます。
振込している間に予約完了のメールも届いておりました。受付番号が記載されており、これと登録の携帯電話番号をサイト所定の場所に入力すると「予約確認書」が表示されます。これが乗車時確認の証になりますので印刷して所持することになります…それにしても乗車後1週間が過ぎましたがまだ表示されてしまうのは如何なものかと。

これで準備完了。当日必要なのは「予約確認書」と念のための「振込票」ですので忘れずに…。ちなみにそのあとも予約状況をチェックしていましたが前々日の段階では残席7。「満席」の文字もちらほら見られ、とりあえずは順調に集客ができているようです。

ドキドキの御対面

当日、無事にハードスケジュールをこなして16:48に名鉄名古屋駅に到着。とりあえず真っ直ぐ集合場所のJR名古屋駅太閤口噴水前を目指します。所定きっかりの16:55に着けば、「東名ビジネスライナー」の紙を掲げた女性係員が独り。予約確認書を見せると手持ちの予約表と名前を照合して『バスはあちらです。入口に座席表が貼ってありますので』とそれだけ。飲み物等を準備していなかったこともあって発車まで時間ありますよね、と問うとハイとのことで、とりあえずバスに向かいます。
直ぐの通りに白地にブルーラインが3本入ったバスが停車中、2chなどの事前情報ではこの手のクルマは結構ボロが来るとのことでしたが、東名デイライト号まだ新し目の日野セレガR-FSでとりあえずホッとします。八王子ナンバーのクルマでフロントには「MINAMI」と入っており、日野にある南観光交通だそうで。

入口に貼ってある座席表で確認すると最後尾一つ前の窓側席とのこと。11列車で最後尾中央は空席のため44席定員のうち先頭1席を除く43人乗車、車内はすでに6割近くの乗客が座っており、その過半が女性でしたが、男性を中心に年齢層は広め。入口では見送り組と談笑中のグループがいて丁度話題になっていましたが、当方の隣席は若いオニーサンで、そのあたりの配慮はちゃんとなされています。
とりあえず荷物を置いて、あおなみ線改札前の駅売店に向かい飲み物などを調達、直ぐ戻りましたが、その時点(17時過ぎ)であらかた席は埋まっていました。改めて座ってみると、ブルー系の座席もまだ真新しい感じが残っており新車に近いものと思われます。窓枠は中途半端でしたが外を見る分には支障なく、また非常口に近いせいか比較的足回りにゆとりがある感じがしてラッキーでした。

路線バスと勝手が違うため、いろいろな意味で初物づくしの体験でドキドキものでしたが、総じて印象に影響を与えるものではありませんでしたね。

ちょい遅れで出発

発車予定時刻になっても動き出す気配はなし。受付の女性係員がバスにやってきて何人かに声を掛けつつ空席を確認。しばらくしてから2人連れが2組やってきて着席と同時に出発となりました。まさかキャンセル待ちということはないでしょうが、その意味では利用する側は遅刻厳禁で御願いしたいところですね。
まずは太閤通を西に向かい、中村区役所前から南下、左手にJRと近鉄の車庫を眺めながら陸橋を越えて、上空を横切る名古屋高速道路に黄金ランプから入りました。ETC非搭載ですね。セントラルタワーに別れを告げて都心環状線を跨ぎ、鶴舞の先から東山をトンネルで貫けば東名阪道を経て名古屋ICからいよいよ東名入り。一体どんな走りを見せてくれるかと思っていた矢先にICの料金所で横を名鉄バス豊田線のクルマがETC車線をかっ飛んで行きました…。
事前情報からこちらもかなりかっ飛ばすのではと思っていると、いきなり追い越し車線入り。それなりなスピード維持を好む当方、更に当日はJR東海バス名古屋駅→中部国際空港間エアポートバスの「手堅い走り」に少々うんざしりしていたこともあり正直喜ばしい限り。ただし後述する通り、その後を追ってゆくとそう無理をしない走りでした。

すっかり日も暮れて車内も静かな感じでまったり気分になりますが、ここで気になるのは何処で休憩するのかということ。実はここまで運転手氏より挨拶等アナウンスが一切なく、よって休憩場所も判らずにおりました。まずは浜名湖SAあたりかな…と思いきや、1時間半足らずで通過。ひょっとして富士川SAあたりまで突っ走るのか?と思っていた矢先、ちょうど発車後2時間近くが経過しようかというところで車内が俄かにざわつきだすとSA進入。『お疲れ様です。ここで15分休憩です』とここで初めて運転手氏のアナウンスがあって到着したのは牧之原SAでした。車内のほとんどが下車してトイレ休憩へ。それにしてもそれまですっかり静かだった車内がぴったりざわついたことから、利用者の多くが事前に休憩場所を聞いていたのかな?、いやそれともリピーターが多い証拠なのかもしれません。

メリハリある走りで東京へ

牧之原SAはHELLO SQUARE(ハイウェイ交流センター)管轄で、上り線にはファミリーマートがありました…が、激混み!本館のほうは正直いまいちな感じで、自販機で飲み物を買ってさっさと戻りました。と、奥のほうには浦和中央観光のクルマが4台停車中。仙台方面のオリオンツアーの常連だそうで、ついついこれも会員制バス関連か?なんて思ってしまったり。
さて乗客は10分程度でほとんど戻ってきており、運転手氏が乗車確認をして所定時刻で発車です。その後も所々で併走するクルマの量が増えるものの、渋滞等までには至らずに、淡々とした走りで東名をひたすら東へ。21時前に神奈川県入り、丁度東名大井バス停付近で静岡駅19時発の東名ハイウェイバス急行をさらりと追い抜きましたが、あちらはちらほらの乗りの様子。

厚木ICを過ぎて、個人的には一気に東京へ行ってもいいぞ!なんてなことを思っていたらやはり海老名SA入り。さすがに混んでいる様子で停車に手間取りつつ運転手氏から放送が入り2回目の休憩となりました。こちらでも15分の休憩ですが、10分休憩だと実質的にトイレに行って終わりとなる分、ちょっとした買い物にゆとりを持って行けるのでいいですね。
そういえば海老名もHELLO SQUARE管轄。なかなかに混んでいましたが時間的に屋台が店仕舞い中で、売店コーナーもめぼしいものがなくすぐに退散しました。乗客の多くももうすぐ東京とあってか今度は車内のままという人も多かったようです。

ここでも所定時刻からそう遅れることなく発車、最後の区間に進みます。首都高都心部での渋滞情報などが見られるようになればすでに横浜町田ICを過ぎて東京料金所へ。首都高に入れば対向車線にはさきほど出発したばかりの夜行定期バスが何台もすれ違ってゆきます。

最後はミソをつけたが

で、てっきり池尻ランプで降りて山手通りを進むのかと思いきや、そのまま都心へ突っ込んでゆきます。渋谷駅のきらめきを見られたのはいいにせよ、案の定先程の渋滞情報通り六本木の手前でノロノロ状態に。 東名デイライト号谷町JCTまでの間に10分以上はロスしたでしょうかね。都心環状線から新宿線に入れば再びスムーズな流れとなり、新宿ランプで降りてこれまた会員制バスが集っている都庁大型バス乗場の横を抜けると、新宿駅西口八十二銀行向かいに無事到着となりました。

結果は所定より15分ほど早着、まぁ最後の渋滞がなければ…とつい思ってしまうものの順調なドライブに満足です。
それにしても、乗客の多くが足早に駅方面へ向かう横を、会員制バスが関西方面へと2台3台と走り去って行くのを見るに、その定着ぶりを改めて印象付けられたのでした。

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『電車だけではない交通不信 高速バスも危ない』

投稿者---551planning(2005/05/23 23:24:03)

昨日、電車に乗っていて何気にある中吊り広告を見たときに「格安高速バスの実態」といった見出しが目に飛び込んできました…をっ、取り上げたか!と思うと、その横には「現役運転手2人が激白」といった言葉も載っているじゃないですか。
今日発売の日経ビジネス05/23号(No.1292)で、タイトルに引かれ思わず買ってしまいました…コンビニ等であまり売っておらず、駅売店での購入。頁を繰れば、なんのことはない見開き2ページ(p6・p7)にちとがっかりはしましたが、読み進めてみましょう。

「時流超流 News&Trends:深層」というコーナーで、タイトルは『東京~大阪3900円、格安高速バスの実態 列車と同じコスト優先』。なおコレとは別に表紙では『電車だけではない交通不信 高速バスも危ない』とついています。
タイトルからも判るように、冒頭でJR-W尼崎脱線事故に触れ、『コスト優先で安全を置き去りにする会社の実態を明らかにした』とし、コレとよく似た構図が、破格の値段で若者に人気の格安高速バスにもあるとしています。
GW初日深夜の新宿駅西口の喧騒の出発風景や、GW明けに東京→大阪での格安バス試乗の様子を織り込みつつ、2001年5月運行開始のオリオンツアーを端緒に急拡大した格安バスについての状況説明、「相場は東京~大阪間往復で16万円。諸経費を加えても1席当たりの原価は2400~3000円」と明かすビジネストラベル代表の話や、東京~関西間に毎晩27往復の路線バスを運行するJRバス関東で03年度の95万人から04年度では9万人減の86万人に落ち込んだとの情報も。

そして核心と思った現役運転手2名の話は…というと、東京近鉄バス買収を手始めに一気に貸切バス会社全国大手にのし上がったクリスタル観光所属で、

「新宿から河口湖までバスを走らせ、現地で1泊。翌朝客を新宿まで戻して、たったの16分しか休まないで、また別の仕事を1往復」
「ろくに道も知らない契約社員の新米運転手同士で、格安高速バスを運転しているケースがある」(別の会社では客に道を聞いて顰蹙を買った例も)

といった話が。
また、試乗時の運転手からは、「仮眠時間は6時間くらい。正直きつい」「布団で手足を伸ばして休まなければ、とても疲れは取れない」とも、と記されています。
このあと、クリスタルの正社員から契約社員への切り替えによるコストダウンなどを指摘しつつ、現時点で「貸し切りバスと見れば合法」との国交省見解と、今後の実態調査の可能性示唆に触れ、格安高速バス登場は規制緩和の成果であるものの安全にしわ寄せが行くような価格競争は本末転倒。重大事故が起こってからでは遅い…と締めています。

***
格安バス問題については安全面も然りながらどうしても価格面に目が行きがちで、これまでは比較的評価する報道が多かったかと思います。

その意味では安全面への警鐘を念頭に基本的には要点が抑えられている記事だと思いました。
#試乗車がガムテープで補修されていたり、客席シートベルト未装着といったかなりの旧式車だったとも書かれていて正直驚いた…特に後者は有り得るのか?
#また規制緩和後バス運転手の健康状態に起因する重大事故発生件数が4倍増(01年度4件、02年度17件)という数値も瞠目させられるものがあります。

ただ、当方も先に予告した(ものの結局未完…)以後いろいろ調べてみると、この問題は奥が深そうと感じているのですが、その意味ではちと表面的なまとめかなとも思ってしまったり。カンタンに触れると、例えば既存事業者が格安化の流れを加速させた(ex.青春ドリーム号(2001/12~)、カジュアルツインクル(2002/03~))ということもありますし、事業者間でのサービス競争(新車導入や座席レベルでの価格設定等多様なニーズに応える姿勢など)好意的な部分もあることを抑えることも必要かなと(仔細はしばしお時間を頂いて…)。
尼崎事故と対比させるのであれば、実際報道されない事故(特に格安系は物損事故等が頻繁なようで)、更には尼崎事故直後で陰に隠れがちながら、既存事業者でかつ格安路線にも積極的だった近鉄バスの磐越道横転死傷事故の背景分析なども求められようかと。

***
最後に、久々に見た2ch格安高速バススレ、この記事も話題になっていますが…先に触れた取材の当人が出てくる「東名ビジネスライナー板」は相変わらずですねぇ。

『結構センセーショナルでした。あたっていますけれど』

なんて書いてていいのかな?その前には物損事故にも触れていますし…。

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〔都市間会員制バス〕そろそろ国交省が動くときか?

投稿者---551planning(2005/06/01 11:55:05)

信濃毎日新聞でも記事が出ました…それに自動でついてくるGoogleの広告バナーがなんとも皮肉ではありますが。

4月下旬から関西の旅行会社が始めた長野-新宿間ツアーバスが順調に集客する中、既存路線バス会社が公共性から見て疑問と反発している…というもの。国交省長野運輸支局も、現行法上問題ないながらも『認可のいらないツアーバスが増えて路線バスのように走るようになると、実態を把握できず、こちらの安全管理・指導も手が回らない』との認識を示している由。
ひとつ引っかかるのは、東京-長野間の格安バス設定は昨年あたりからも行われていたかと…毎日運行になったということかな? それにしても対長野県内路線の増殖振りは凄いの一言かと。
全体的に見ればオリオンが北陸・東北方面へのネットワーク化を進めており、やはりというべき東京-弘前・青森線にも進出、今後の展開が見逃せないところです。

ただこうなってくると、そろそろ監督官庁の実態把握と見解が求められてくるのではないかなと感じます。JR-W尼崎事故やJAL問題等を受け、事業者に対する輸送安全総点検指示と巡視を実施しているわけですが、所謂「新免事業者」への対応も急務ではないかと感じられます。

問題提供になれば・・・

投稿者---安田氏(2005/06/25 10:40:58)

その路線業者も、既存自社路線に限りなく近いエリアでツアーを企画していることもあったり・・・

難しい論点

投稿者---551planning(2005/06/27 10:19:10)

御紹介は三重交通系の三交トライパル主催による格安バスですね。東京-名古屋(三重)・京阪神・仙台・新潟の都市間ツアーバスを発売していますが、自前で手掛けているのは恐らく東京-名古屋(三重)間のみかと思われます(関西バスでは101便等の便名からホワイティツアー(西日本ツアーズ)への相乗りと思われ、仙台バスではタイセイ観光バスとの記載が見られるため)。

三交の場合ちと特殊と感じられるのは、もともと同社が、スキーやTDR等、所謂目的地往復型の各種オールパッケージングツアーに積極的であったところ、その運行に乗っかって都市間ツアー形態も売るようにしているのではないか?と感じられるところでしょうか。
それは、例えば名古屋バスの場合、卸先では津発着である等仔細明示があるというのに、自社サイトでは全くのツアー形式での案内、かつ名古屋バスでは名古屋・岡崎発着しかアナウンスしていないというところからも感じられます。一方自社サイトのTDRバスプランを見ると、三重地区の発着が名古屋バスのそれと同じであることがお判り頂けようかと…。東京-新潟線については触れてもいませんし。
勿論、三重県内等でどのような販促をしているかは不明ですが、三交的にはパッケージツアーがメインで、都市間ツアーでさらに集客を狙うというスタンスかと思われます。確かにオリオン他もパッケージツアーがあるわけですが、あくまで都市間ツアーの活用版、といったところではないでしょうか。

***
路線事業者が都市間ツアーバスを手掛けることがすぐ問題にはならなかろうとは思います。都市間ではないものの、JRバス関東が草津や房総方面にツアーバス形態で路線を開設しその後路線運行化した例もあります。
しかし、たまたま出された例が三重交通ということに、つい思わぬ感慨を抱いてしまいます…そう、未だ御記憶の方もいらっしゃろうかとは思いますが、20年前に同社のスキーバスが長野でダム湖に転落、多数の犠牲者が出たのですが、運転手の過密スケジュールが大きな問題となったものです。そこから同社について云々するつもりは毛頭ありませんが、総じて都市間ツアーバス形態を捉えるに、規制緩和による新免事業者の生き残り策として相当無理のあるところまで来ているような感じもするだけに、帰省時期を迎え新規路線も増えている様子な昨今、その動向はさらに気がかりに感じられます。

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その後の状況…(2010/08) ■

「格安バス」は若者を中心に支持を受け、その後「高速ツアーバス」として認知されることとなります…といっても、乗合事業者やいわゆる趣味層により“区分された”認知であり、一般利用層には既存路線との区別-すなわち法律的には似て非なる存在ということはあまり知られていないものと。今なお乗合路線のバスターミナルなどでツアーバス乗場を問い合わせる利用者を数多く見ることができることがその端緒と云えましょう。

格安バス誕生の背景には、2000年の一般貸切旅客自動車運送事業規制緩和(免許制から許可制へ)があります。タクシー業や貨物業からの参入が相次ぎ(いわゆる新免事業者)、一方で団体旅行のニーズ低下など社会情勢ともあいまって過当競争化-そんな折、2001/03のUSJオープンに合わせ一部旅行会社が東阪間にツアーバスを設定したことがきっかけで、新興旅行会社主導による都市間ツアーバスが続々誕生。既存高速路線バス夜行便ではトイレつき3列シートが標準となっていたところ、トイレはおろか遮光カーテンすらない4列シート車での移動ながら料金は路線バスよりも2割3割安は当たり前、中には直前割引として1000円や500円!といった価格提示すら出るなど、一気に沸騰状態となったのです。

ただし、格安バスの運行スタイル自体は本編にも記したように、既存乗合事業者が2002年の乗合事業規制緩和に伴う新規参入の防衛措置として青春ドリーム号やカジュアルツインクルなどで導入しており、またツアーバス自体も既存事業者が帰省バス等期間限定運行や路線化前のパイロット運行でとってきた手法なだけに、必ずしも目新しいものではありませんでした。
その意味で、高速ツアーバス成功の真の要因は、高度IT化と顧客ニーズへの細やかな対応にあるというべきでしょう。それまで既存高速バスのチケットは窓口販売や電話予約が主流、インターネットや携帯予約、さらに座席自体のランク化や先述のような時限的割引などの多用化は、まさに旅行会社的発想といえるのではないでしょうか。

一方で「格安バス」の背景には運行事業者の厳しい労働環境があり、オンボロバスで途中で降ろされた、そもそもバスが来なかった…といった笑えない話や、乗降は大概路駐となることから、既存乗合事業者などとトラブルとなることも。
そして2007/02/18、大阪府吹田市でスキーバスがモノレールの橋脚に激突し添乗員1人が死亡、乗客乗員26人が負傷する「あずみ野観光バス死傷事故」が発生。ドライバーの過酷な労働環境や、亡くなった添乗員は16歳でギリギリの家族経営であったことが社会的に大きくクローズアップされたのでした。特にその後放送されたNHKスペシャル「高速ツアーバス 格安競争の裏で」やTX系日経スペシャルガイアの夜明け「町からバスが消える~規制緩和で揺らぐ地域の足~」は実態を掘り下げた内容として趣味界でも大きく注目を集めます。

この事故を受け国交省がようやくツアーバスの実態把握に乗り出したほか、それ以前から機運のあった業界内での管理統制化の動きが活発化し、2008年には高速ツアーバス連絡協議会が設立されています。
それと前後して業界自体の変化も顕著となり、旅行会社による運行事業者の専属化や自社子会社化が進む一方、自転車操業の果てに運行事業者や旅行会社が破綻する例も。本編で紹介したビジネストラベルも一時は仙台便などでかなり名前を売った次期もあったものの、過度な激安をウリしにていたのが裏目となったのか九州方面に手を出すなどして次第に迷走、結局2007年夏に事実上の事業停止に追い込まれています。

2010/08時点で東名間を走行している高速ツアーバス昼行便は、楽天バスで確認するだけでも4社10往復以上。競争が熾烈となっている東京仙台間に至っては昼行便だけでその倍の20往復以上が走っているものと思われます…「思われます」とは何分日替わりゆえ。5年を経てもなお、結果的に行政当局としても全貌を把握し切れていない状態はいまだに続いているというのがその実体ではないでしょうか。

 

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