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※当リポートは発表後の変化を反映させ再構成した Reconstruction スタイルです。

ミニバス

ミニバス商戦を探る~千葉からのリポート~

乗合自動車業界でここ5年以上トレンドであり続けているコミュニティバス。それを支えたのはまさしく代名詞となっている武蔵野市ムーバスに始まる日野リエッセの存在に他ならない。小回りが効く小型バスにあって2扉化を実現、運賃収受面・輸送力・乗降効率性から見てもまさしくぴったりのクルマでベストセラーに。小型バス市場を席巻してきたといっても過言ではないだろう。
その一方でこれまたトレンドとなっているノンステップ化が小型バスにも波及、国産車で適度な車種を持たない中、金沢ふらっとバスに始まるフォルクスワーゲンベースのクセニッツシティシリーズ、大阪赤バスに始まるルノーベースのオムニノーバーマルチライダーの輸入2車種の全国展開が進みつつある。
両車種とも一昨年の東京モーターショーで実見済みながら、実使用については未体験であった。首都圏でも導入が進んできたのでいずれ、と思っていたのだが、最近千葉での導入が重なったので、初夏の爽やかな天気となった05/20(日)、乗り継ぎ小旅行と洒落込んでみた。


浦安市おさんぽバス

クセニッツ…浦安市「おさんぽバス」■

GW中04/29から運行を開始した浦安市の「おさんぽバス」にはクセニッツシティIIIが導入された。旧江戸川沿いの市民病院から浦安駅、市役所と進み新浦安駅に至る。運賃100円、20分間隔運行、停留所には番号を振るなど「コミバスのツボ」を押さえたものになっている。運行委託は東京ベイシティバス。

 

お昼前の営団東西線浦安駅。駅頭に「おさんぽバス」の告知はない。駅前通りのスクランブル交差点からちょっと入ったところにある至近のバス停はおさんぽバス専用ながらちょっと離れていて分かりづらい。
ホワイトベースに黄色帯・テントウムシや太陽を模したマークがアクセントとなったクセニッツがやってきた。先に市民病院行きが来たのでそちらに乗る。立客含め10名以上が下車、運転手に「駅はどこ?」と聞く人も。残った乗客は4名、初老の男性と母子連れ。男性が当代島児童公園で降りるとき、スーパーのナイロン袋に入ったクッションをお尻から持ち上げていった。クセニッツの座席、申し訳程度にクッションをつけました程度の簡易なものだ。長時間座るわけでもないので甲乙はつけられないが。跳ね上げ式含め中心向きに3方向全部で16席が設置されているが、それぞれからポールが伸びているのは小煩い感じもする。あと空調音が意外と耳障りだった。
終点の市民病院で母子連れと下車。IIIタイプは前後に乗降ドアがついている(基本は前乗り後ろ降り)がニーリング機能を活かしてか前ドアからの降車を進めていたのは親切…しかし停留所は単なる道沿いで市民病院玄関まで入らないのは問題だ。
クルマはそのまま北のほうへ進み、1ブロック使って方向転換してやってきた。小型車なら簡単である。ここから新浦安駅まで乗り通してみる。船圦緑道で中年女性が、当代島児童公園で若い女性が乗車。浦安駅付近ではルートが異なり、新浦安行きでは迂回と表現していたが、浦安橋から浦安のメインストリートであるやなぎ通り(浦安街道)をしばし走り、駅前スクランブル交差点から南へと向かう。浦安駅前停留所で中年女性が下車し、中年夫婦が乗車。このあとやなぎ通り南側を平行に猫実地区の隘路を進む。
中央武道館、中央図書館、市役所と、ネズミ御殿…もとい公共諸施設の脇を進むが、市役所の玄関を通らないのは驚いた。ここから境川北岸沿いに進むが、「順天堂浦安病院」停留所も道端、その病院は川向こう…。
京葉線高架下を潜ってマンション街をしばし、コの字型に進んで新浦安駅前バスターミナルへ。入船団地地区で客を拾っていつしか車内は立客も出る盛況となっていた。

安全性ゆえのポールと理解するが…吊革はまさしく「吊革」
浦安市おさんぽバス浦安市おさんぽバス
塗装的に訴えるものはない…「テントウムシ」も大意はなさそう

浦安市の場合、ディズニーランド開業前後からベットタウン化が急進展、東西線浦安駅が都心アクセスを一手に引き受ける状況下の中、地元オリエンタルランド交通(→現東京ベイシティ交通)が長尺3ドア車を増備して伸びる需要に対応していたが、京葉線開業後新浦安・舞浜に需要が分散、とはいえ浦安駅から両駅への流動はまだまだ太いといっていい。
その中で保有車が大型車一辺倒の構成であったがゆえ、線的な流動対応に終始していたつけが旧市街地である浦安駅周辺の乱開発・空洞化に繋がっている嫌いは否めない。特に隘路が多く公共交通の空白帯であった浦安駅北部地域に視点を向けた今回のコミバス導入はまず評価すべきと思われた。
しかしながら、両拠点駅を結ぶ意識が強すぎたかゆえに直線的な路線構成に拘り、結果各停留所の「微妙な距離」を生んでいると感じざるを得なかった。特に浦安駅や市役所、順天堂病院など、小型バスの特性を活かしてどんどん玄関付けしてゆくほうがいいのではなかろうか。無論効率性や採算性とは相反する提案かもしれないが。乗降時に運転手が帽子を取って出迎えるやさしさが見られるだけに、「ルートとしてのやさしさ」をも期待したいところであった。

新京成井草循環線

■三菱ローザ…新京成井草循環線

新京成線鎌ヶ谷大仏駅と駅北方の井草県営住宅を循環する路線ができたのは今年05/16。全線2kmちょいながら高頻度運行と意欲的な設定となっている。150円均一運賃。できたてほやほやの路線に投入されたのは後述の鎌ヶ谷グリーンハイツ線から転用された三菱ローザ。渋谷代官山循環の東急トランセでも導入されているマイクロバスのスタンダードといえようか。

 

京葉線~武蔵野線~新京成と乗り継いでやってきたのは初めて降ります鎌ヶ谷大仏駅。駅横のバス車庫の入口、駅施設と融合して小さくも機能的なバスの発車ホームが備えられており、立派…二和台経由船橋駅行に5人ほど乗り込んだ後は閑散としたが。その一方で兄弟会社というべきちばレインボーバスはこのスペースには入らない…。
臨時ホームとされる2番乗場にやってきたクルマに乗ってまずびっくり。運転席横にまさに聳えるように運賃箱があって、着席すると前がほとんど見えない感じだ。新京成井草循環線運転席部は前輪ないし駆動系機器があって床が上がっているところに通常タイプの運賃箱をそのまま設置しているために起こったものだが、バスカードも使える分文句は言えないか。供用路線が均一にも関わらず「乗車の際は行き先をお告げ下さい」の張り紙はいかにも既存車用を流用した出自を示すものだ。座席は前向きに12席を確保も最後部に車椅子リフト機器があって物々しい。
駅から出て大仏交差点のちょい先を右折、道なりに進んで井草団地界隈へ。住宅街を左回りに1周し、ぐるっとまわった井草橋公園停留所で下車したが、確かに一部狭隘路もあるが中型車でも無理はなさそうにも感じた。ただ日中とはいえ需要レベルは小型車そのものであり、駅からいって余裕の自転車圏内であること、大仏交差点の渋滞加減を思えば20分間隔運行はむしろ破格ともいえそう。

運行形態からすれば団地路線にしては域内停留所間隔がちょっとある感じもした。150円という価格も微妙…「傘代わり」適な需要でいいのか、さらに新規開拓を模索するのか…新京成の姿勢が問われる実験運行となりそうである。

鎌ケ谷市「ききょう号」

■日野リエッセ…鎌ケ谷市「ききょう号」

昨年04/01運行開始。市内の公共諸施設を結ぶ4ルートが設定されているが、それぞれが近接した路線設定になっている。その理由はA・Bルートが日水金、C・Dルートが火土のみの運行で、それぞれ3往復しか設定されていない。各ルート鎌ヶ谷市役所で接続を取っている。運賃100円、A・Cルートがちばレインボー、B・Dルートが新京成への運行委託、リエッセが各1台配属されている。

 

井草橋公園には2本のポールが並んでいた。一方は鎌ケ谷市のコミバス「ききょう号」Aルートで、時間的に最終便が程なくやってくるというのはラッキーであった。なぜならポールにある時刻表では1日3本、日水金のみの運行…。コミュニティバスといよりも福祉バスというべきだろうか。「さわやかプラザ軽井沢」行きというのもなんとなく違和感が。
鎌ケ谷市「ききょう号」 やってきた車は日野リエッセ、桔梗をかたどった独自カラーだがちばレインボーバスの運行委託だ。中戸はリフト付きながら構造的にはさほど大袈裟にはなっていない。車内は前向き17席を確保していて、今やバスとして成立している内観といえる。
井草第二公園で老婦人2名が乗車、県道57号木下街道の渋滞に難儀しつつ、先程の新京成ローザと対向、これまた違和感…。このとき運転手が乗車報告を書いているのを見ることができたが、各便とも10名前後の利用はある様子。県道59号を進み新京成線沿いの「東武分譲地」停留所に微笑みつつ、商工会館で1名下車、東武鎌ヶ谷駅で当方ともう1名が下車し、6名が乗車した。続けてやってきたBルートからは5名が下車した。Bルートは日ハム二軍のファイターズタウン方面からのクルマで、続けて乗っている人も多かった。

鎌ケ谷市は鉄道3線が近接しながらも長い間連携がなかったが、新鎌ヶ谷ターミナルの成立で解消された。とはいえ市内移動における公共系は不十分であり、東武野田線の高架化は成ったものの新京成の踏切がいまだ道路事情に影響を及ぼしている。という中での「コミバス」導入の成果は、日3本ながら狙い乗車があるところからして一定の評価ができ得るのかもしれないが、既存バス路線、特に新京成自体の縮小化が懸念される中で、今後どのような展開を見せてくるのかが気になるところではある。

新京成「ドレミ号」

マルチライダー…新京成鎌ヶ谷GH循環線「ドレミ号」■

昨年度より乗合事業部門の大幅縮小を打ち出している新京成が放った新たな運行形態路線。東武野田線馬込沢駅と駅西北の鎌ヶ谷グリーンハイツを結ぶ小循環路線で、今年02/16から運行を開始した。当初は三菱ローザが投入されたが、05/16よりマルチライダーがラインナップ。愛称の「ドレミ号」とボディカラーのデザインはグリーンハイツ居住者の応募で決定したもの。 日中20分間隔、150円均一。

 

東武鎌ヶ谷駅から馬込沢駅へ移動。駅西側、スーパーサミットの横に造られた小さなロータリーから出発する鎌ヶ谷グリーンハイツ線に追加投入された「マルチライダー」は独特なサイドボディー窓配置の影響もあるが、ライバル・クセニッツよりも大柄に見える。端緒となった大阪市交通局「赤バス」のインパクトも手伝ってか原色ベタ塗りの似合うクルマでもある。新京成では黄色に塗られ、「ドレミ号」の愛称も付いている。
ロータリーに到着したクルマからは立客含め15名ほどが降り、12名が乗車した。車内の座席配置は中心向きで後輪タイヤハウス付近では一部前向きにするなど苦労しつつ15席確保している。クセニッツの車内レイアウトの自由度を思うと同時に、一方でマルチライダーは天井高がかなりあり、ポール配置含め手狭さを感じない。
気になったのは停留所表示のLED板配置。前面に付けられなかったためか車内ドア横側面部についていて、場所によっては見えないということもあったが、それよりも気になるのは普通の運賃表示機になっていたこと…現状均一区間専用ながら、将来は既存路線の多段階運賃対応も視野に入っているのか…?
狭いながらも起伏の激しいルートを通って、グリーンハイツ内をぐるっと1周する。各所で乗降があり、ハイツ内を出るときにも6名が残った。改めて車内を見るとハイツの情報板が掲出されるなど、今回見て廻った中でいちばんコミバスチックといえた。運転手も女性で子供にも気軽に声をかけるなど細やかさも。黄色が目を引く「ドレミ号」、沿線の注目度はまだまだ高く、熱心に写真を撮られるオバサマもいらっしゃいましたよ。

前面が高狭く、採光面で難点ありも高すぎる天井が開放感を与える 吊革は普通のタイプ
浦安市おさんぽバス浦安市おさんぽバス
タイヤハウス付近の造作は苦労も、座席を1席でもという工夫に拍手

駅から1キロちょいとはいえ、日曜日中でもこれだけの需要、流動があるということは団地小路線は新京成にとって盲点であったに違いない…蛇足ながら鎌ヶ谷グリーンハイツに続いて同じデベロッパー(大成建設系)が造った船橋グリーンハイツではデベロッパーが公共交通(船橋バス)を確保していたことがふとよぎった。造成30年、街の熟成と居住層の高齢化もあるとはいえ、今後こうした「足なし」地域における公共交通系の確保は新京成の大きな課題となるのではないか。
その点三菱ローザに続く今回のマルチライダーの投入、新京成の独自施策であろう。大いに意を買いたいところである。


三菱ローザ
大仰な装置が空間を殺している(三菱ローザの車椅子リフト)

改めて車両面の評価をば。

まずリエッセ。やはりノンステ車には負けるな、というのが感想ながら、バスとしてはもはや完成型といっていい。今後も7m中型車と事業者側の人気を2分してゆくと思われるが、悲しいかな輸入車種と比べマンネリ化は否めないかも…。
マイクロバスの派生系であるローザも補助ステップ装備などの努力は買うが、室内空間等はマイクロバスのままといわざるを得ない。別の視点になるが、車椅子リフトは必要だろうか…小型バスのサービスを考えるうえで「バリアフリーという縛り」の存在は理解しているものの、福祉サービスとの兼ね合いはより整理されて然るべきではないかと考える。

停め方次第ではノンステでも「段差」が(マルチライダー)
マルチライダー

マルチライダーは運転席高と前面窓が高いことから採光面からは圧迫感があったが、ありすぎるくらいの天井高が補って余りある感じがした。丸みのあるボディも親近感を覚える。ただノンステとはいえ地上高はそれなりにあり(一般的なバスのワンステップ分弱か)、停留所の停め方によってはむしろ段差を感じた。
クセニッツは側面の直線的なところが都会的、室内構成のフレキシブルさなど小型ノンステバスの到達点にあるといってもいいかもしれない。一方で直線的ゆえに貧弱のような気もし、採光面はゆとりがあるものの箱の中は混めば圧迫感を覚える感じがした。ただ地上高はニーリングを駆使しなくても低く感じられ、前ドアの広さも手伝って「乗りやすい」印象を与えてくれる。

輸入車種は2000万以上と一般(ワンステ)中型車のそれと大差ない、そこそこの値段がする。今後の普及如何でどのようになってゆくかがひとつのポイントかもしれない。
その意味において、今月号のRJ「バスコーナ」でプジョーベースの日野小型ノンステが紹介されている。既に長野・松本「タウンスニーカー」に納車されているそうだが、1600万ながらレディメイドと「使い勝手」から云えば及第点には後一歩といえそう。さらには「純国産」の登場を期待したい。

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ムーバスの呪縛と小型バス信仰

投稿者---とも氏(2002/05/27 18:02:11)

ともです。

ムーバス以降、猫も杓子もといっては語弊があるものの様々な都市で導入が進んでいますが、どうにも先駆的な循環スタイルコミバスであるムーバスが与えている影響の大きさが気になります。

○浦安

実見していませんので推測ですが、すぎ丸スタイルの拠点連絡といった趣かと。であれば、なぜ浦安でクセニッツかということになります。
浦安~新浦安は、すぎ丸やムーバスほどの過酷な道路環境ではなく、いっそ世田谷南北やKBバス新宿百人町線で使われている8mノンステ車(いわゆる「チョロQ」)でもいけそうなもの。それをクセニッツにしているのが疑問といえば疑問です。
すぎ丸は、あの乗用車ですら入るのをためらう道路環境にバス路線を通すための手段が「リエッセ」であり、いわゆるムーバススタイルのコミュニティバスとは一線を介した存在といえます。同じようなコンセプトであろう「おさんぽ」バスならば、「コミバス車種」にこだわる必要はなかろうと感じます。

○新京成2路線

なかなか鋭い路線設定ですね。団地内路線は団地の高齢化とともにいわゆるコミバス的サービスとして可能性のある路線です。雨の日や暑い時期や寒い時期には健常者であっても1kmもの道のりを歩くのは苦痛です。微妙な距離のサービスではありますが、今回の新京成2路線の運行はなかなか良いかと。こういうところこそ、コミバス車種が生きる路線ともいえますね。

○鎌ヶ谷

これはコミバスといえるのか・・・
いわゆるムーバス系統のコミバスではなく、福祉循環バスを一般客の利用も認めるといった趣ですね。これはまさにヨーロッパ型の「スペシャルトランスポートサービス」に近いもので、コミバスの先祖がえりともいえるものですが、果たして日本のしかも都市近郊で成立するのか。
どうにも解せない運行形態といえます。確かに既存路線網との関係もあるでしょうが、せっかくのリエッセを活かすのなら、もう少し工夫がほしいところです。
とはいえ、市役所での乗り継ぎ(タイムドトランスファー)ダイヤなどは評価できます。

○タウンスニーカー

松本市の英断ともいえますが、さして狭い道路をめぐるわけでもなく、非常に不思議ではあります。
せっかくの小型車種ですから松本駅~松本城を狭隘なパルコ前経由にするなど観光客だけではなく地元住民にも使いやすい工夫がほしいところ。
しかし、供給力が追いつくのか。これまで中型クラスで運行してきた路線に小型で大丈夫なのかが不安ではあります。

○結局抜けないムーバスの呪縛

短いバス停間隔、綿密な路線設定、嘱託運転手などによるコストダウン、小型バスによる細街路走行による渋滞回避、高い運行密度などムーバスが公共交通運営に与えた影響は計り知れないものがあります。その与えた影響は評価できるものであり、昨今のバス復権への大きなチャンスメークをしたものと考えられます。
しかし、ムーバスは非常に緻密な路線設定、バス停間隔の設定など綿密な調査・計画があり、かつ吉祥寺という単独で完結する中心市街地と都内でも有数の住宅密集地であるからこそ成立したのであって、真似して巧くいくものではないことは周知の事実であるはずです。 しかし、未だ「小型バスで短いバス停間隔」のものがコミュニティバスであるとなり、その地域特性に当てはまらない路線をむやみやたらに引いている現状があるのは事実です。

この「ムーバスの呪縛」から抜け出したコミバスが現れるかどうか。この千葉の各路線は呪縛から解き放たれたのか・・・

シャトルコミバスの「すぎ丸」や中型車を使い都心循環で運行している「長野ぐるりん」のような新たなジャンルを切り開くコミバスとなりうるか、そこがこれらの路線の真の評価につながるのではないかと感じます。

ではでは

新京成の方向性

投稿者---エル・アルコン氏(2002/05/28 15:56:56)
http://6408.teacup.com/narashinohara/bbs

新京成の場合、2000年8月に大規模な路線の統廃合、というか廃止を行っており、鎌ヶ谷市内でも県道57号線と船取線をΛ型に走る初富線が廃止になっています。
その一方でコミュバスの「ききょう号」の運行を受託し、今回の馬01グリーンハイツ線と鎌01井草線の両系統の新設と、良く言えばスクラップアンドビルドなんでしょう。
白井市のコミュバス「ナッシー号」の運行も受託していますし、船橋市でも昨年の市議会報で、一昨年夏にコミュバスの運行試験を行ったという議事報告があり、おいおい出来るのでしょうが、先の鎌ヶ谷市とあわせて、意地の悪い見方をすれば、総て自社負担となる自社運行を中止して、自治体の負担で運行して受託代金を稼ぐ「コストの付け替え」ともいえます。

***
さて、今回の路線のコンセプトを既存の団地路線に生かせないものでしょうか。
新京成の場合、高根台団地と習志野台団地において、高根公団駅と北習志野駅から普通の大型車両を使ったバス路線が設定されています。これらの路線は駅や線路からやや離れた団地のメインストリートを縦貫する形態となっていますが、もともと自転車や徒歩で行けなくは無い距離だけに、雨降りでもない限り利用は限定的です。
かつてはもう少し利用が多かったのですが、運賃値上げで170円ともなるとさすがに割高感が出ており、正直なもので利用が落ちこんだので、運行間隔が25分ヘッドに、と言う悪循環を辿っています。

これを鎌ヶ谷の2路線のように小型車、もしくは中型車で団地内に踏みこんだ路線設定をすることで、新たな需要を掘り起こすのです。輸送力不足については中型車の使用や、運行経費がかさみますが複数系統を設定して分散させるといった対応が考えられます。
幸い、両駅へのルートは渋滞とはほぼ無縁であり、信頼度は高いので、団地や住宅街からのアクセスが向上して、運賃が手頃(理想は100円。譲って150円均一)であれば充分な利用が見こまれます。
このエリアであれば、習志野台、高根台全域や大穴南、大穴北、松ヶ丘、西習志野といった住宅街がターゲットであり、その他にも新高根や芝山をターゲットに飯山満駅とか、応用はいくらでもあります。

もともと新京成の電車自体が駅がこまめにあってカバーするエリアが狭い特徴があるだけに、それをフォローするバスの場合、まさに面的にカバーするくらいの木目細かさが必要でしょう。
また、シームレス輸送のクルマに対抗・対応するためには、極力家や目的地と交通機関とのあいだのギャップを埋める必要があり、この手の路線の拡充が今後のバス事業者の死活の鍵になるかもしれません。

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「おさんぽバス」について

投稿者---かまにし氏(2002/05/26 19:45:34)

こんばんは、かまにしです。
浦安の「おさんぽバス」についてのレスです。

お昼前の営団東西線浦安駅。駅頭に「おさんぽバス」の告知はない。駅前通りのスクランブル交差点からちょっと入ったところにある至近のバス停はおさんぽバス専用ながらちょっと離れていて分かりづらい。

分かりづらかったです。私は一度、5月5日に乗りに行こうと浦安に行ったのですが、駅周辺に案内がなかったので10分ぐらい駅周辺をうろうろしていました。すると、ゼミの先生から携帯に電話がかかってきて、当時、大学院入試のために「研究計画書」を作成している身であった私は、そのまま数十分にわたって「研究計画書」の内容の添削を受け、気がつくとデジカメのバッテリーが落ち、結局、分からずじまいで帰宅という苦い経験がありました。

詳しい方にお聞きした後、5月25日に再び浦安に向かいました。浦安駅南口のバス停は一般路線バスもA・B・Cの3つに分かれていて、前回はA・Bに行ったので、今回は一番遠いCの方に行ってみようと思ったところ、Cのバス停の手前で分岐している脇道に「おさんぽバス」のバス停を発見しました。

私は浦安駅から新浦安駅の方へしか乗らなかったのですが、浦安駅で7~8名を乗せてその時点で20名弱。途中では降車もあったものの、市営武道館や市役所前からの乗車で、車内は30名近くを乗せて新浦安駅に到着しました。このような高乗車率の背景には、天気の良い土曜日の午後だったということもあると思いますが…。

 しかしながら、両拠点駅を結ぶ意識が強すぎたかゆえに直線的な路線構成に拘り、結果各停留所の「微妙な距離」を生んでいると感じざるを得なかった。特に浦安駅や市役所、順天堂病院など、小型バスの特性を活かしてどんどん玄関付けしてゆくほうがいいのではなかろうか。

私も一番気になったのは、すでに浦安駅~新浦安駅を結んでいる既存の東京ベイシティバスとのすみわけです。私が乗ったときも、浦安駅~新浦安駅を乗りとおす人は5~6人いて、「おさんぽバス」は拠点輸送にも使われていました。しかし両駅間には、路線バスも系統こそ違えど合わせると1時間に5・6本は確保され、バスカード等も使えて140円。利用者にとって「おさんぽバス」と路線バスはどうすみわけされて利用されているかが非常に気になったわけです。

私が新浦安駅でバスターミナルから発車していく浦安駅行きのバスを眺めたときは、ちゃんと座席はほとんど埋まるくらいの乗車率はあったのですが、普段はどう利用されているのでしょう?そういう意味でも、551さんがおっしゃられたように、コミバスが公共施設へのドアtoドアにより力を入れてもいいんじゃないかと思いました。

浦安市内交通としてのコミュニティバスのあり方

投稿者---551planning(2002/06/01 06:02:30)

遅レス御容赦。こちらは浦安市内交通論に絞ります。

▽クセニッツ選択の可否

浦安~新浦安は、すぎ丸やムーバスほどの過酷な道路環境ではなく、いっそ世田谷南北やKBバス新宿百人町線で使われている8mノンステ車(いわゆる「チョロQ」)でもいけそうなもの。それをクセニッツにしているのが疑問といえば疑問です。《とも様》

今回の経路だけで言えば、浦安駅周辺での一部ルートでかなりの狭隘区間があり、また猫実地区でも対向車とのやりとりを勘案して7~8mクラスの短尺車ではちょっと苦しいのも事実です。
ただし、かまにし氏による「実乗30名」との報告を聞くと、路線需給としてクセニッツでの限界が伺えるところです。
先述の通り、浦安市内交通としてはそれなりに道路整備がなされており、浦安~新浦安・舞浜間という拠点間では東京ベイシティ交通(TBCK)による高頻度サービスも提供されているわけですが、隘路の残る北部旧江戸川沿岸地区や東部団地群内での移動には徒歩ないし自転車しか手段がなく、TBCKも3ドア長尺車が過半を占める保有車構成で効率的な路線展開を図れなかったところに今回の市先導型コミバス企画が始まったとすれば、クセニッツというチョイスはあながち間違いとは言い切れません。

北部ないし東部の主要拠点を効率的に巡回する小運行、地理的にも市役所での接続等を考慮してやればTBCK路線網を補うカタチが出来上がりそうです。採算性に色気を出せば今回のような需要集約点結節型ルートがベストなのは分かりますが、まさしくコンセプト違いというか…。

▽市内交通再編の鍵は?

私も一番気になったのは、すでに浦安駅~新浦安駅を結んでいる既存の東京ベイシティバスとのすみわけです。私が乗ったときも、浦安駅~新浦安駅を乗りとおす人は5~6人いて、「おさんぽバス」は拠点輸送にも使われていました。しかし両駅間には、路線バスも系統こそ違えど合わせると1時間に5・6本は確保され、バスカード等も使えて140円。利用者にとって「おさんぽバス」と路線バスはどうすみわけされて利用されているかが非常に気になったわけです。《かまにし様》

浦安駅-新浦安駅・舞浜駅間の直行需要はあります。個人的には浦安-新浦安間の軌道系導入も大袈裟な話ではないと思っています。ただ惜しむらくはなにぶん浦安駅付近で交通ターミナルが形成できない点。浦安駅の結節性の悪さがこれまで北部地域の交通空白地帯を生んできたとも言え、さらには御多分に漏れずの自転車公害を生んでいる点、適切な役割分担の必要性は高いと思われます。
ここで難しい論点として「コミバスと既存一般路線バスの運行を峻別すべきか」ということが挙げられるかと思います。仔細は別掲するとして、浦安の場合はTBCKによる幹線運行の中で交通不便地域が生じていたところへのサポート役の期待がコミバスにあるといえましょう。その意味で今回の路線設定自体そのものは間違いである、と断言はしないものの、TBCK既存路線を意識したが故に裏目に出たのでは?最たる例がまさしく浦安駅入口停留所の中途半端な位置にあろうかと…。
既存一般路線との連携を考えるならば浦安・新浦安両駅周辺域での小運行がベスト、ただし公共施設への足付けを意識すれば市役所拠点でのタイムドトランスファー運行が理想…いずれにせよ、今回の「おさんぽバス」はTBCKの今後のあり方を問う試みともいえ、中長期的な注目を行ってゆきたいと思っております。

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2012/04

本編の最後で若干触れたのが「日野ポンチョ」(初代)、2002~05に90台限定で販売されましたが好評で、確か120台まで増やされたかと記憶しています。
2004年の東京モーターショーではリエッセベースのコンセプトカー「ポンチョL」が展示され、2006年から2代目ポンチョとして販売開始。1扉のショートボディに加え2扉も可能なロングボディも用意され、コミュニティバスに留まらず、地方だけでなく都心部でも既存路線バスの代替導入例も出るなど、今や全国でその姿を見かけることも珍しくなくなっています。少なくとも事業者ウケがいいということは、及第点としてもいいのではないでしょうか。
ちなみにリエッセはバス事業合弁により2003年からいすゞ「ジャーニーJ」としても発売されるなどロングセラーとなっていましたが、2009年排出ガス規制への対応をせずに2011/08を以って製造中止となっています。

いっぽう輸入車は、高温多湿な日本の環境に合わなかったのかクセニッツ・マルチライダーとも不具合話が漏れ聞こえるようになり、欧州自動車不況ともあいまってマルチライダーは2002年にオムニノーバ社破綻により、クセニッツは2005年に販売不振を理由にいずれも撤退、2004年に大阪市が赤バス用にベンツのスプリンターを振替導入したものの追随するところは現れませんでした。

 

ご意見は【検証:】常設板までお気軽に!

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