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羽田空港アクセスシリーズ

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※当リポートは発表後の変化を反映させ再構成した Reconstruction スタイルです。

羽田空港連絡バス

羽田アクセスバスの新傾向は「派生型」

数年来拡充の続く羽田空港連絡バスだが、「規制緩和前夜」当初のように五月雨式に開業が続くことはなくなったものの、時期的に固まってぽつぽつ流動が見られるようになっている。さらに、いわゆる「オイシイところ」は粗方押さえられた感じがある中、最近の流動にも変化が見られる。

02/08 宇都宮線(東空交・関東自動車)鹿沼IC入口バス停移設(鹿沼市役所北犬飼コミュニティセンター内へ)
03/01 立川線(京急・立川)9往復中4往復を立川バス拝島営業所まで延長
03/18 横浜駅西口線(京急)新設(6往復) 横浜ベイシェラトンホテル&タワーズ発着
03/20 中野駅線(東空交・京王・関東)新設(9往復) 中野サンプラザ発着
04/01 茂原線(京急・小湊)上総牛久駅停車 勝浦・大多喜~上総牛久線バスに接続

既存路線の拡充が目立っているがこの動きは昨年から顕著であり、新路線にしても、横浜・新宿のカタチを変えた勢圏拡大とも取れる。「派生的路線」ともいえようか。特に横浜駅西口線は個人的に前々から期待していただけに注目していた。たまたま新規2路線の試乗機会を得たので速報で御紹介したい。


中野線

中野サンプラザ前 06:00■

03/20、早朝の中野駅はまだ静か、北口のバスプールも人影はない。東空交サイトで「中野駅北口」と出ていたのが頭にあってどこかと思いきや、あちこちに貼られているポスターを見るとサンプラザ前とある。ま、3分と歩かないが、中野のランドマークなのだから「サンプラザ線」とでも宣伝すれば?(ポスターでも括弧書きで控えめ)
サンプラザ前の関東バス乗場の中、オレンジ色が映える東空交便が停車中。早速乗り込むと先客は1名。実は中野発は京王絡みではお馴染みになった(原則)完全予約制で、余裕がある場合に限り当日受付とされているのだが、電話予約は18:00まで、『以降はネット・iモードで』とテープ案内されるも、件のハイウェイバスドットコムは悪戯防止の意もあってか要会員手続きで、パーソナルデータを入れるのに躊躇して…という訳ではないものの、いちげんさんにはとっつきにくい。というわけで「万が一」を考えて早めに来たのだが、予約は先客1名のみという。
それよりも圧倒的に多かったのがギャラリー。運行3社から出張ってきたのか関係者が20人以上はいらっしゃった。出発前には関東バスの女性社員から東空交運転手に花束贈呈がなされ、一斉にシャッターが切られた(というかデジタル記録された、とでも)。
花束贈呈の女性より改めて乗客に挨拶があり、関東バス製作の1,000円共通バスカードを頂戴する。その前乗車時には運転手より記念品ですと京王バスの紙袋が渡され、下敷きとボールペン、マグネットを頂いた(全部電車が絵柄というのも…だが)。件の先客は初老の御婦人で大分の親戚宅に行かれる由、『飛行機なんか全然乗らないし、このバスも家人がとってくれたもんで、なのにこんなに頂いて』とホクホク顔。当方も思わず運賃1,200円をあっさりと回収させて頂いたのだから、まさに早起きはなんとやらの気分になったのでありました。

駆け込みで出張然の男性が乗車、東空交社員が添乗して定刻出発、ギャラリーより拍手で見送られる。バスはサンプラザをぐるっと反時計回りに1周して、駅北口を通って一路南へ…であれば北口のバスプールを開放できなかったか。大袈裟にいえば5分は違うだろうと思う。
運転手の「新宿ランプから首都高に向かいます」との言葉通り、細い道を抜けて青梅街道を左折、若干滞る中野坂上を通って成子坂で右折し、都庁裏から新宿ランプへ。都庁横で新宿発の成田行と思しきリムジンが先行、20名程の乗りと見る。さらに首都高に乗ったあと、脇から羽田行きリムジンが抜き去った。時間的に国分寺06:00発便か…こちらも15名以上が乗っていた。
都心環状内回り一ノ橋JCTで若干詰まるも浜崎橋はすんなり過ぎ、レインボーブリッジでは先行2台に大きく水を開けられるも、結局羽田到着は07:17と、ナカ中野?好成績といえるだろう。
欲を言えば丸の内線沿線へのアピールとして、かの「公的取立屋」RCC(整理回収機構)が入る再開発ビルもある中野坂上での客扱いがあってしかるべきと思う。実質的に云えば空港発の新宿方面増発がメインと考えれば、掠めるセンチュリーハイアットやヒルトン経由としても効率は上がるかも。この中野線、意外や意外の絶妙な落としドコロなのかもしれない。

さて出勤までにはちとあるので、当初予定になかったもののタイミング良く横浜駅西口線があることを知り、ここぞとばかり試乗することに。この時間の到着ロビーは朝ラッシュ前で静かなもの。しかし連絡バスは設定上結構あって、そのほとんどが空気輸送のまま出発してゆく。07:39発YCAT行と入線同着となった07:37発西口行も当方貸切で出発となった。
朝の湾岸線、ここでは南行きになろうか、快調そのもの。北行きも大井でつっかえるだろうが、空港まではストレスなく来れよう。すれ違う京急便主体の羽田行はどれもかなりの乗り、成田行も概ね窓側が埋まるほどに乗っている様子だ。
ベイブリッジを渡ってすぐ分岐、湾岸線並木・横須賀方面も意外な程の流動が見受けられた。こちらはみなとみらいランプも降りず、YCATの入るスカイビルと横浜駅を眼下に捉えつつ、西口ランプを降りて西口ターミナルを横目に横浜ベイシェラトンホテル外周をぐるっと廻って車寄せへ。ちょっとこの辺りの処理も焦れったいものを感じた。08:00過ぎの到着で、すぐ折り返し(08:15発)ながらその乗車光景は当方自身のタイムアウトで見られなかったが、ホテルロビー周りに特段の告知もなく、正直利用者がさほどにいたとは思われない様子だった…。

横浜駅西口線

ところでこの横浜駅西口線、格好としてはベイシェラトンへのホテル送迎路線というものであり、昨年末の磯子線経路変更によるMM21地区ホテル経由となったことに通じる。都内ホテルを押さえている東空交に取られまいと京急が先手を打ったのかと邪推もできようが、先述の通り西口線設定に注目していた当方には大いなる前進ながらそのダイヤに中途半端さも否めないものとなっている。特に夕方以降の設定がないのは何とも遺憾だ。
西口線の必要性はなんといっても地下鉄・東急・相鉄駅からYCATまで中途半端に距離があること。さらに中央自由通路がMM21線工事もあって終日混雑している状況がここ何年も続いていた。疲れた身体で帰宅するには、西口直行という選択肢もあっていいはずでは?と思っていたのである。今回の設定は6往復、ランダムな設定でお世辞にも便利とは言い難い。特にチェックイン考慮本数は実質2本、空港発最終が16:30と早仕舞いにも程があろう。
京急本社としては今秋にも始まる空港~横浜間鉄道終日直通化がメインテーマであり、横浜駅自体でもMM21線開業に併せて北部・南部自由通路が設置予定である。現状ではYCATから多数の本数が出ていることもあり、消極的な展開になるのも分からなくはないが、今回の西口線が単なる「権益確保」のひとつに過ぎないとされているのなら残念と云わざるを得ない。
安全性確保は次論として、シェラトンを掠めて相鉄口前までバスを突っ込んでみるのはどうか。歩道部分の余裕を考えれば転回自体は難儀することはなかろうし、バックで通りに戻ってもいいだろう。圧倒的なアピールになること間違い無しである。現実的に云ってもわざわざ車寄せまで入れるなら、横にある市営バスブース共用でも実害はなかろう。ベイブリッジ経由スカイウォーク行路線バスに群がる長蛇の列を見ながら、そんなことをふと思ったのだった。

■08:05 横浜ベイシェラントンホテル&タワーズ


単独路線のてこ入れによる活性化、あるいは幹線流動の派生路線開設という傾向は今後も続いてゆくものと思われる。このほか現在盲点となっている高速道路上バス停への停車という模索もされて良いのではないか。広島の山陽道高坂SAにある乗継バス停の可能性は、東名・中央高速や東関道・常磐道など既存高速バス路線が高頻度で運行されているところではより広がるのではないか。その意味ではカタチは違うとはいえ、茂原線での大多喜・勝浦方面接続便運行という形態が試金石になるかもしれない。

あとは新規参入の動向か。空港での折り返し待ち等で既存会社と棲み分けが上手く行くかなど、規制緩和だけでない調整の難しさを感じるが、いまだ高価格で落ち着いている空港連絡バスだけに、「外的要因」による価格破壊の方向性があってもおかしくはないだろう。個人的にはさらには既存会社の食い合いも今後あって当然になるのかもしれないと思っている。乗合タクシーの動向も目が離せない…どうやら今年も精力的に羽田アクセスについて検証してゆくことになりそうである。

2012/03

新宿線との棲み分けを期待した中野線だが、翌2003/06に一部便を野方駅北口・練馬駅まで延伸。西武線沿線に勢圏を拡げたもののテコ入れ策だったようで、2005/07には京王が、2006/07には関東が撤退し東空交単独路線に。空港発は7便(うち練馬行4便)あるものの、結局空港行は2便に縮減されている。
中央環状品川線開通後の変化が注目だが、出入口は初台南となるので山手通りの信頼感等々から一筋縄では行かなさそうな気も…結局は定時性の高い鉄道との勝負となるだろうか。

一方の横浜駅西口線だが、2001/12からMM地区を経由するようになった磯子線が2004/02で廃止されたが2009/04にはMM地区路線として“復活”するなど周辺の動きは騒がしいものの、こちらは開業後に時刻の微調整が図られた程度でほとんど変化がない状態。やはりホテル連絡路線としての性格ありきなのだろうか。

結局のところ、高頻度運行のメイン路線の派生系というのはなかなか難しいものなのだなと感じさせられる。

 

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