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羽田空港アクセスシリーズ

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【羽田アクセス@夏の陣 3-1】 大宮地区線・立川線

2000年・夏、羽田空港連絡バスはかつてない新規路線開業ラッシュとなった。
規制緩和策による需給調整規程撤廃へのカウントダウンが近づく中で、既存事業者の収益および権益の確保が最大の理由であるが、羽田空港アクセス向上は我々利用者にとって歓迎すべきもの。
新規路線紹介とその利便性についての検証を【羽田アクセス@夏の陣】として数回に分けて御紹介しよう。

Limousine01 大宮地区線

まずは先陣を切って07/07に運行を開始した大宮線を取り上げる。羽田側のライバル2社である京浜急行電鉄と東京空港交通の2社相乗りや西武バス・国際興業バスの新規参入も話題であるが…。

取材日の07/15だが、サミットが近いこともあって警備体制が物々しい空港周辺が、10:30頃に伊豆諸島を震源地とし、新島で震度6弱を観測した強い地震もあったことで、さらに緊張感に包まれていた。東京でも震度3を観測したが、幸い空港や高速道に影響は出ていないようである。
7番乗り場は東京空港交通(リムジンバス)のブースで、成田空港便を主に、T-CATや臨海副都心方面、高崎・館林方面路線が発着しているが、7日から新たに 後楽園(東京ドームホテル)線(東空交単独路線)と今から御紹介する大宮線が新たに加わった。
大宮線は初の埼玉県直結路線であるだけでなく、東空交・京急・西武・国際興業4社共同での運行という点も注目である。

正午のバス乗り場はやや落ちつき加減。それでも成田空港行、T-CAT行と5分差で出て行くと、後ろで入線を待っていた白いボディに紺の線をまとった国際興業バスが「大宮」の幕も初々しくやって来た。東空交スタップの指示で行儀良く並んでいた10名弱の乗客が乗り終えるとすぐさま出発だ。
都心方面へ向かう場合(と横浜方面から来た場合)、ターミナル内をぐるっと1周するかたちになるのだが、結構時間を食う。東ターミナルが出来ればまた変わるのだろうが、到着の場合は「飛び立つ」という高揚した雰囲気には持ってこいの時間だが、早く帰りたいときにはなんだかやるせないのでは無いか…とは余計な考えか。
大井料金所手前で早くも渋滞に捕まるものの、八潮連絡線を通って1号羽田線へ。都心方面からの羽田行きはレインボーブリッジを渡る楽しみがあるが、東京港トンネルという曲者もあるので、八潮連絡線は空港連絡バスには欠かせないルートなのである。とはいえ、こっちでも浜崎橋JCTという難所があるのだが。
その浜崎橋でも引っかかるが、羽田から20分では軽い方か。ここから都心環状線内回りに入って5号線を目指す。

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都心環状線の東側はゲームでも御馴染み?の通りの隘路。そこを快調に走って行く。江戸橋JCTを過ぎてしばらく行くと日本橋「上」。左手を見やるとすっかり取り壊されて更地になった東急日本橋店がちらと見えた。あれから1年半で、「百貨店の崩壊」が現実になるとは…。
神田橋付近で若干滞るも、竹橋JCTから先は順調。池袋のサンシャイン60が見えたかと思えば上越・長野方面からの高速バスと対向し始めた。折りしもこの日は上越・長野新幹線が車両故障のため日中5時間以上ストップしていたのだが、そうとも知らずに各車を見たがそこそこの乗りのようで何より…。

板橋区内を進んで行くと進行方向左手に周囲に緑が多く見られるようになってきた。そんなことを思いつつ右側は…高島平の団地街。こうしたギャップも沿線風景の楽しみのひとつだ。
そんなことを思いながら荒川を越えて埼玉県へ。しばし走ると美女木JCT。御存知の方も多かろうが、名前も印象的だが外環道との間で信号機つき交差点を持つJCTでもある。残念ながらこの路線は通らないが、上信越路線や羽田-高崎・館林線では「迷所」が楽しめる。
バスは真上をあっさりと越える。めっきり交通量の減った対向車線に京急便が目分量10名ちょいの乗客を乗せて走り去った。ところでこの首都高大宮線、外環道以上に防音壁に囲まれっぱなしの面白味に欠けるルートだ。高速バスゆえの視点の高さに救われて遠くにさいたま新都心の建物が見えてきたが、乗用車では単調な道のりになるのではないだろうか…要らぬ心配をしているうちに首都高の終点へ、大きなループを通って地上に降り立った。

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首都高のさいたま新都心内へ至る地下道区間が未開通のため以降は一般道を走る。下りたのが新都心駅と大宮市街の中間地点といったところで、時間のロスは否めない。新幹線と埼京線の高架を越えてさいたまスーパーアリーナが眼前に飛びこんでくるかと思ううちに建物の中へ。目の前に成田空港行きONライナー千葉交通便が停まっており、ここがさいたま新都心駅のバスターミナルだった。人気もないせいか薄暗い感じがする中、1名が下車した。

もと来た道を引き返して大宮方面へ。案の定渋滞に捕まり、大宮駅西口ロータリー内すらそろりそろりの通行であるが、羽田から70分での到着は立派だろう。当方以外の全員が下車した。

『では西武車庫に参ります』…半ば回送状態なのだが、違う会社の車庫に向かうというのもなんだか可笑しい話ではある。R16旧道を通ってしばし、西武バスの大宮営業所に到着、庫内をぐるっとまわって事務所入口前にぴたっと止まった。当方が下車してしばし、国際興業バスは居心地悪げに車庫を後に新大宮バイパス方面へ走り去って行った…15時前の折り返し時間まで何処へ行くのやら?
道を隔てた両側に広がる西武バス大宮営業所の一角には、空港線利用者のためのパークアンドバスライド専用駐車場が設置された。チラシを見ると30台とのことだが、現地看板を見ると40台分ある模様。実際かなり埋まっていたのには驚いた。1日の使用料税込み500円との由、駐車票と引き換えでそれを掲出しておくというパターンだ。本厚木・平塚田村車庫線でもあったがそちらよりは乗車位置とは近め、ただし交通量の多い道路またぎで野天は同じであるが、周辺交通利便性等を比較してもこちらの需要は今後結構見込めそうである。

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新路線の中では最も期待される「成長株」。それだけにまだまだ粗い点も見受けられるような気がする。

■ダイヤ・路線設定の検討を!

率直に言って16往復の「様子見」としては「掴み所のないダイヤ」。せめて朝夕だけでもパターン化して分かりやすさを追求してもらいたい所である。羽田発の始発3本もおそらく「回送状態」となるであろうから、時刻および担当会社見直しのきっかけとなろうか。
またこまめに客を拾おうという姿勢も何かから回りした印象を受ける。大宮駅はともかく、さいたま新都心駅に4時台に着く電車は大宮発の京浜東北線2本のみ。車やタクシーでの送迎があるかもしれないが、駐車場設定がなければ大宮とほぼ変わらないだろう。
このように、時間帯によっては無理にさいたま新都心を経由する必要はないだろう。確かに業務核地域として今後の発展が期待される所ではあるが、首都高完成まで待っても遅いことはないと考える。

■大宮駅発着地について

大宮駅西口はバスロータリーから離れた大宮そごう前の野天に設置されている。余計なお節介だが、まず「そごう前」とチラシ等で記しているのをどうするのであろうか…。
それはさておき、知名度の高い成田空港行き「ONライナー」の発着地(大宮駅屋1F)とは別の場所である。チラシには御丁寧にも成田空港ゆきバスのりばと書かれた上に×印をして、「×印は羽田空港ゆきのりばではございません」と注意書きまでされている。
成田行きのりばには待合室もあり、駅構内からは雨に濡れずに行く事もできる。これを捨てる手はなかろう。ONライナー運行事業者は6社(東武・西武・国際興業・JRバス関東・京成・千葉交通)。待合室管理はどの社かは知らないが、誤乗防止の観点があるとはいえ、それ以上の利便性をもたらすのに乗らない手はないのではないだろうか。

 

Limousine02 立川線

第2弾は立川線。多摩地域への路線展開はすでにたまプラーザ線や聖蹟桜ヶ丘・多摩センター線があるが、JR中央線地域まで到達したのはこの路線がはじめて。三多摩の心の「本命」として今後の発展が注目されている立川と羽田の直結の意義を探ってみたい。

12番乗り場は京急のブース、幕張・千葉便を主に、本厚木方面やつくばセンター方面が発着、07/13から立川線も戦列に加わった。京急と立川バスの共同運行、立川バスは成田空港直行バスをすでに運行しているが羽田は初参入、成田線で相方であった東空交ではなく京急を選んだ点も興味深い。クリーム地に翼をイメージした赤線のカラーリングをまとった背の高いバスが現れるとさすがに華やぐ。とはいえ、この小田急バス系列の塗装はすでに大船・藤沢線で江ノ電が、更に今回新百合ヶ丘線で小田急バスが加わっており、色で判断してとんでもないところへ連れて行かれないように注意…余計なお節介か。

定刻に10名足らずの乗客を乗せて出発。八潮連絡線を通って浜崎橋JCTまで順調に進む。ここから中央道国立府中ICまでは多摩センター線と同じ道中。
車内に洗面所はない。その代わりに運転席後ろの最前列席には自動車電話が。混んでいる特は使いずらいし、最前列はおそらく最も選ばれるであろう席であるから座っている人に遠慮してもらうような場面も生じよう。そしてなにより…携帯電話の普及はいざ知らずや。また、貸切車の転用かどうかは分からないが、各席前面に灰皿が設置されているもののシール張りで「禁煙」。余計なものは外してしまった方が良いと思うのであるが…。

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そんな事を見ているうちに三宅坂JCTを通過。右手に最高裁判所の白亜の建物が広がり、赤坂付近を通過。ホテルのプールが眩しく映る。4号線に入っても順調だが、新宿ランプ手前では立川10:20発の京急便と離合。ここまで1時間とはちょっと掛かっているなという印象を受ける。車内はちらほらという感じとみてとった。
新宿を過ぎると中央道高速バス通り。富士山線を中心に結構乗っていて、京王・山梨交通・信南交通や岡谷バス…「Highland Express」のアルピコカラーバスも颯爽と過ぎて行った。中でも富士急便は深い緑の旧塗装・白い新塗装に加え、富士急ハイランドの宣伝やきかんしゃトーマスをあしらったクルマもあって眼を楽しませる。
中央道も問題無く進んで行く。早くも三鷹料金所を過ぎれば国立府中ICまでもうちょっとである…が。

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国立府中ICを下りて甲州街道へ。信号で引っかかりつつも進んで行くと、日野橋北詰の交差点でぴたりと止まった。甲州街道が南に曲がり、真っ直ぐは新奥多摩街道、その他2本の道路がぶつかる五差路で、いずれも交通量が多く信号の変わりも早い。なんといっても(↑)のかたちの指定進行信号が4つもあるのだから…。
なんとか曲がって進路を北に取るも、駐車場のある立川駅北口周辺を目指す車の多い事。JR線を跨ぐ東橋下道路の拡張工事のために狭い2車線対向道路となっており、ここがボトルネックでつながっている感じである。なんともはやでまわりを見つめていたが、クルマの多さに閉口しつつ先を急がない身、クーラーの効いた車内にいる安心感もある。周りのドライバーの苛立ちが熱気として立ち上っているのやら…。

そんなこんなで立川駅北口は80分超での到着。国立府中ICから40分掛かっているから、京急便が出たであろう10:00過ぎと周辺道路の混雑がさほど変わっていないということになるであろうか。
それはともかく到着地でもある立川駅ののりばの関係ではロータリーをぐるっと回って着くのはそれだけでロスとなっている。駅前ロータリーがペデストリアンデッキ工事のために手狭になっているのも分かるが、せっかく駅前まで車を回すのであればそこで降ろすぐらいの利便を考えてほしいと思う。
終着のパレスホテル立川へは当方1人の乗車。高島屋の駐車場に入るべく、という行く手を阻む車の洪水に耐え兼ねて、運転士はあえて遠回りのルートを取っての到着となった。前方には成田行きの東空交便が20名ほどの乗客を乗せて走り去って行った。あとに残るは夏の暑い日差しのみ…。

本来であれば、立川・八王子といったJR線連絡としたほうがより安定した需要を見込めるのではないだろうか。
実際、立川・八王子は成田空港直行バスが運行されており、路線開設も苦ではなかろう。

…と書いていた3月開業の多摩センター線レポートから4ヶ月、まさにその通りとなった。
現状は朝夕に特化するかたちを取り、特に羽田空港発便は16時台から1時間ヘッドでの設定と、空港からの帰宅客を狙った考えられたものとなっているのは好感が持てる。利用次第では今後の発展も考えられるが、数点指摘して終わりとしよう…。

■立川駅周辺乗降地について

乗ったバスが悪かったのかどうか、立川駅周辺で交通渋滞にハマってしまった。
立川といえばパークアンドライドを利用した駅周辺交通規制の実験も行なわれたことからも分かるように道路整備が交通量に追いつかない状況がまま見られる。南口再開発の進展次第でバス発着地も変わる事になるだろうがまだ先の話、今後も渋滞にはまる事が確実とも言えそうである。

であれば、旅客サービスから考えるに空港からの帰り便では何かしらの対処法を検討する必要があるのではないだろうか。
具体的には立川市役所前に乗降地を設定するのはどうか。市役所は駅南口から500mほど、歩いて10分弱といったところ。またJR南武線西国立駅にも近い。先を急ぐ人に車中でカンヅメになっていてもらうより、こちらで下りてもらって…とアナウンスする方がよほどマシでは?
また、本文にも記したが、現在駅前ロータリーでペデストリアンデッキの工事中のためバス停が暫定的に周辺に散っており、空港行きバス停もかなり離れているのだが、わざわざそこで降車させるので、混み合うロータリーをまわることになり、信号で引っかかって結構なロスタイムとなってしまった。これでは乗客としての印象は宜しくないのでは無いかと…?せっかく駅入口前までバスが通るのなら、そこで降車させるべきではないだろうか。
確かに路線バスの降車の妨げになる可能性も否めないが、現実的なスマートな対応をお願いしたいものである。

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また、「先輩」である成田空港アクセスバスは立川駅前には入らずに立川グランドホテル前・パレスホテル立川が乗車地。羽田線と別という事で逆に分かりやすいという事もあろうが、統一した方が宣伝効果があるのではないか。なにぶんペデの完成とバスターミナル整備次第ということになるが、この点の検討も御願いしたい所である。

■車内設備について

チラシでは「ゆったり座って…」と唄っている。
車内設備に関しては本文でも触れているが、まず気になるのが「トイレの有無」。これは在るに越した事はない。その上で、車内での缶飲料等の発売も考えてみてはどうだろうか。今後は距離が長くなる路線も増えるであろうし、「冷たいコーヒーあります」というようなものが意外と需要を得るかも。
あとこれは毎度言っているが、車内へのチラシの装備や時刻表の設置を徹底してもらいたいもの。時刻表には接続に適するJRやモノレールの時刻を沿えておくとなお良いのではないだろうか。
今後は路線展開そのものもあるが、より車内サービス環境の整備もポイントになってくるものと考えるのだが…。

 

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