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羽田空港アクセスシリーズ

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※当リポートは発表後の変化を反映させ再構成した Reconstruction スタイルです。

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〔羽田バスアクセス〕神奈川県央地域-羽田空港連絡バス試乗記

羽田空港連絡バスリポート第3弾は、湘南・相模の神奈川県中央地域を結ぶ路線にスポット。まもなく開業1周年を迎える本厚木・平塚田村車庫線と旺盛な需要を維持している大船・藤沢線。今後の方向性を視野に入れて検証してみたい。

Limousine01 本厚木・平塚田村車庫線

12:00 羽田空港12番バスのりば

取材日は05/07、GW最終日の日曜日ということもあって、ちょうど出発・到着両ロビーとも行き交う人が絶えない。
乗り場に到着したのが発車直前ということもあってじっくり観察はできなかったが、各路線とも行列が延びているようで何より。めざす本厚木行きは神奈中便のため出入庫を兼ねて平塚・田村車庫まで運転される。すでに入線して乗車も始まっていたが、それでも結構な行列では、果たして補助席か?そんな心配をよそに皆手馴れた手つきでトランクハッチを開けてぽんぽんと荷物を入れてゆく。
ところで、羽田空港の出発ロビーには3ヵ所ツアーデスクが設けられており、東京空港交通絡みの便では窓口で、京急絡みの便では自動券売機で乗車券が発売されている。ただし、両者運行の東京駅便では窓口売りでアクアライン経由木更津駅便では自動券売機売りとややこしい。どうにかすっきりしないものか。
それはさておき、乗車時に運賃箱上の小さなアクリル箱には切符が結構入っている。律儀に買っている人が多いようで、直接応対する運転手にとっては助かるが、事業者としてはあとで精算業務が入るので面倒かも?飛込みの当方が「田村車庫まで」と2000円を差し出して言うと、運転手からは『とりあえず(本厚木駅までの)1500円頂きます』と500円のお釣り。後で聞くと運転手によって対応はまちまちということ。田村車庫までの人には2度手間となるが、さしたることでもなく、混雑時には逆に対応的にすっきりしよう。実際、例の“運賃投入口・両替機一体型高速仕様運賃箱”で運転手はつり銭準備で悪戦苦闘していた…御苦労様。

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結局正座席をほぼ満席にして定刻発車。すでに横羽線やアクアライン線、たまプラ線で馴染みとなった“高速バス銀座”湾岸線をすべるように走ってゆく。結構空いていて心地良いが、10m前後の横風が吹いており、コントロール維持に気を遣っての影響か微蛇行を繰り返す。クルマに弱い人にはダメかも…実際子供が乗り合わせていて、チョッとぐずりがち。混み合う「密室」だけにこちらの精神衛生上も良いとは言いきれない。
湾岸線を抜け、狩場線の市街地ルートに入るともともとカーブが適度にあるせいもあってか微蛇行はなくなった。狩場ICを抜けると「ハマレバ…」渋滞の名所・新保土ヶ谷バイパスだが…あっさりと通過して東名へ。東名も上下線スムーズで、ハイウェイラジオも「首都高谷町IC~名神京都南IC間順調」と繰り返している。GWの高速道渋滞のピークはどうやら昨日のうちに済んだようだ。
対向車線には小田急箱根高速バスやJR東名ハイウェイバスと思しきクルマがそこそこの乗車率で行き交ってゆく。と、大和バス停を通過してしばらく、本厚木12:30発の京急便と離合。目測10名以上と見た。さらに綾瀬バス停目前で、バスストップエリアからJR・小田急両便が続行形態となって再合流してくるのを確認。乗換需要は定時性等を鑑みてなかなか見こみづらいかもしれないが、大和・綾瀬両バス停への停車も考えてみては如何だろうか?
そうこうしているうちに相模川を渡って厚木インターに到着、小田原厚木道路もR129も混んでいない。

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R129をしばし北へ。交通量はかなりあるものの順調に流れている。小田急線を陸橋で越えてしばし、右折すると本厚木駅が見えてきた。道路が若干狭い感じ、対向車とのやり取りに苦労する。本厚木駅北口を見やってぐるっとまわるかたち、道路脇の3番のりばに5分の早着は有難かろう。
果たしてどれだけそのまま残るかと思いきや、降りる降りる…結局田村車庫行きはオジさんと当方の2名だけだった。
乗降が済んで再度R129へ。今度は厚木インターを超えて南下する。ここまで来ると結構田畑が広がっているのに感心しつつ、突然「新幹線相模新駅を!」との看板が見えてくると目前を東海道新幹線がカッ飛んでいった。相模川の向うはJR相模線の倉見駅。新駅設置の有力候補である。新幹線をくぐってしばらくして右折。神奈中バスが大挙して見えてくると田村車庫に静かに到着した。

田村車庫には周辺需要を見越して羽田空港線利用者専用有料駐車場が設置されている。昨年12月に有料化されたようだが、車庫事務所わきの乗り場から奥に100mは入った所に真新しい自動券売機つきの専用駐車場があった。若干とはいえ野天を歩かされるのはどうか?果たして、1日利用500円、以降500円増しということで、50台は軽く置けようか…10台も停まっていなかった。

本厚木駅着 13:05 田村車庫着 13:20

Limousine02 大船・藤沢線

藤沢駅発 15:35

田村車庫から平塚駅を経由して藤沢駅へ。しばしの休憩をとってお次は大船・藤沢線である。
駅南北に百貨店を要する湘南随一の繁華街はGW最終日を楽しむ若年層で賑わっている。南口のファッションビルに“流行り”のユニクロがオープンしたてで、結構人が流れている様子だ。ビル内から江ノ電が発着する藤沢小田急百貨店も人の出入りが多い。その外観、「江ノ電のりば」の上に「羽田空港直行バス」の文字が眩しい。地元ではすっかり定着した感じすらある。
そんな小田急百貨店の目の前、駅前ロータリー7番ポールが専用のりばにはすでに10人ほど集まっている。ベンチがぽつんとあるが庇はなく、雨の日は百貨店の入口で待つ格好か。乗り場の前は客待ちのタクシーが連なっていて、バスがついたらどうするんだろうと思ってしまう。所在なげにロータリーを見ていると、小さな男の子が時間待ちの路線バスに近づいて行ってしきりにドアをゆすって乗りたがっている。運転手も『お母さんどうした?』と聞くがかまわずうろちょろ。そこそこ通行があるロータリーだけに危なっかしいったら…。
そんなこんなしているうちに発車時間が近づくが一向にバスは現れない。と、タクシーが散ってゆく。高速バス様の御通りというわけでもなかろうが、発車3分前の到着はチョッと冷や冷やするが…。

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10名弱が乗りこんではや出発。と、いきなり駅脇の細い道へ突っ込んでゆく…。対向車も多く、大型のバスには一苦労。運転手のハンドル捌きが冴える場面か。しばらくして合流した県道もさほど広いとはいえず、路線バスも結構行き交う。
左折してしばらく行くと右手にJR大船工場が。周辺も神戸製鋼や三菱電機などに囲まれた工場地帯だ。と、14:40空港発江ノ電便が対向、20名は軽く乗っていよう。
湘南モノレールの桁が見えてくるとまもなく大船、細い道を右左…行く手に最大の難所が。実はこの路線、高速バスとしては車高の低い車両が使われているが、JR東海道-横須賀線連絡線の築堤をくぐるため。制限高3.1mだが、奥にはすぐ横須賀線の踏切があって用心のためもあろうか。横幅も狭く、対向車とのやり過ごしも苦労しよう。
そんなこんなで電車で一駅を20分かけて大船駅前バスロータリー7番ポールに定時着。ここで6名の乗客を乗せて一路空港へ向かうことになる。

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大船駅前も大型バスには手狭な道が続く。ちょうど横浜市と鎌倉市の市境が入り組んでいるのか看板を何度か見る。松竹大船撮影所跡地を買った鎌倉女子大前を通って県道21号・鎌倉街道と合流、栄区役所前公田交差点で15:25空港発京急便が視界に、ほぼ満席の状態のようだ。
ときおりかなり細くなる道を快調に進む。対面も結構なほどの切り通しの内にJR根岸線をオーバーパス、ようやく見えた横横日野インターから高速だ。狩場インターからは先ほど来た道。ラッシュに捕まらずにすいすい通る。東扇島工場郡の絶景を見やりつつ、対向する各線ともにほぼ満席の様子、空港の混雑もピークに達していようか。そんなことを思いつつ、再び羽田空港へと戻ってきた。
藤沢や大船からだと、横浜乗換でもざっと同じ時間はかかろうか。JR~京急線乗り継ぎで藤沢870円、大船760円、価格設定も妙なるかな。苦しい一般道をどう攻略するかが今後の鍵なのかもしれない。

17時前の到着ロビー前は大混雑。東空交のスタッフもいつもの倍はいようか。普段人員を配置しない京急も係員が結構出て列の整理や案内にあたっていた。そうした積み重ねによって、高速バスの安全運行は守られているのである。

16:48 羽田空港着


実際乗車してみて、特に注目する「定時性」という観点で改めて両路線の今後を考えてみたい。

「安定成長」に入った藤沢・大船線は苦心の一般道経由が目を惹く。
本編で記したように価格的に絶妙のバランスを持つ同路線。高速道経由も気がかりなポイントが点在するが、一般道経由が長いだけに渋滞の「はまり」は気になるところ。
例えば藤沢-大船間では、湘南モノレール下部道路経由も検討すべきか。ただここも狭隘で起伏もある分、路線バスも走る現ルートが選択されたのであろう。JR東海道線北部にもそこそこまっすぐな道があるものの、大船駅の乗り場をどうするかで問題。最悪大船駅打切りにするにせよ、大船駅-日野インター間も改修中とはいえ一部狭隘区間を持つ。
いずれにせよ一般道のほとんどの区間が片側1車線である点は、異常事対応の難しさを感じさせる。

本厚木線は余計気になるといっては何だが、なんと言ってもの東名&保土ヶ谷バイパス。
このリンクが完成して首都高~横浜中心部からの東名アプローチが飛躍的に向上したのは言うまでもないが、同時に渋滞の名所となったことは周知の事実、逃げ場がないだけにはまりっぱなしという悲惨もあり得る。
よって本厚木発午前中はさておき、午後であればそこそこの余裕をもってという頭が働くはず。乗換最低2回の不便さとの相殺を何処に見出すかが今後の路線展開の鍵となろうか。

こうした両線に対して、実際に乗車して感じた要望点を少々記してまとめとしよう。

■運賃箱をバスカード対応とすること

これは毎度言っている通り。江ノ電便は通常の運賃箱を載せていたが、運賃が端数ありでは必ず両替が生じている証拠で、利便性を考えれば言うまでもないと思われる。

■車内への案内チラシ(時刻表)の常備

神奈中便は運賃箱脇に常設していた。大いに評価したい。ちなみに藤沢線は江ノ電切符売り場で見つけた。両者ともに折れば名刺大のサイフなどに仕舞っておきやすいコンパクト仕様。ただどちらも広告が大きくて時刻表の字が小さい…コストと増収のために致し方なかろうが、もう少し上手い方法はないか。
ちなみに東京空港交通は関係便を収録した冊子を随時作成し、また新規路線や増発などの時はプレスリリースを発行、ツアーデスク等で無料配布しているが、残念ながら京急はこれがなく、相互補完でもないのは残念である。

■パターンダイヤへの挑戦

「定時性」というところで疑問を呈したが、これはあくまでも空港行きに関して。
空港連絡バスの存在意義は、「目的地(近辺)まで直行」というところにある。ということは空港発便が重要なのである。
時間帯による経由道路状況、旅客利用率や車両運用効率等を総合的に勘案して作られるダイヤである点はわかるが、何といっても利用者に覚えてもらいやすいものが何よりではないだろうか。
例えば藤沢線では17時~21時が20・50分発ときっかり30分間隔で、リピーターに覚えやすく親切である点評価できよう。

■柔軟な途中停留所の設定・パークアンドライドへの対応

本厚木線では東名の大和・綾瀬バス停はすぐ活用できる。
また、田村車庫でのパークアンドライドも注目だが、利便性の更なる考慮を期待したいところ。

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■その後の後の記(2010/12)

羽田空港連絡バス隆盛の端緒をたまプラーザ線であり葛西一之江小岩線であるとしたところ、そのモデルとなったのが大船藤沢線です。それまで東空交・京急が都内等拠点駅やホテル連絡路線をほぼ単独で運行していたところ、さらに地方拠点へと拡充するきっかけを作ったのです。発地事業者との共同運行については千葉地区線や新横浜線で先例があったものの、本路線展開が他の事業者に与えた影響は少なくないでしょう。

江ノ電はこの路線のみの展開、神奈川中央交通は町田・相模大野線と港南台・戸塚線(湘南神奈交バス運行)と拡充していますが、運行便数的に大きくなった路線はそうないのも興味深いというか。そもそも、開業時に20往復前後で立ち上げて現状維持ないし漸減というスタイルになっています。

 

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